【完結】閃光と隼と風神の駆ける夢   作:そとみち

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※脳の1割も使わず出力した話になります。






149 待たせたな水着回だ

 

 

 

 ドバイに来て三週間が過ぎようとしていた。

 この1週間、午前中はミーティング、午後は体幹トレーニングや各々の仕上げにかかる併走など、レースに向けて少しずつウマ娘達を仕上げていた。

 それぞれの仕上がりは上々。やはり、革命世代たる優駿たち……特に今回は、全員が全員の仕上がりを見ながら己の走りを仕上げていくことになる。

 その中で、ライバル心と言うか、自分も負けない、という強い向上心により、誰もが気を緩めずに真剣に練習に取り組んでくれることで、トレーニング効果も何倍もの効率をもって鍛え上げられていた。

 夏合宿に近い……いや、それ以上の目を見張る仕上がり。俺達トレーナー陣としても、彼女たちの頑張りに応えられるように、全力で体調管理やメンタル管理、疲労管理に努めているところだ。

 

 さて。

 そんな順調な練習を続けているところなのだが、当然の話で、ウマ娘達も疲労がたまる。

 これからレースまであと1週間だが、休みなく毎日練習などするはずがない。

 レース前日は脚を休めるとして、その前にもやはり適切に休みを取る必要がある。

 

 そんなわけで、週末の今日は完全に休みの日とした。

 

「えー、今日は一日ゆっくりしてくれな。観光とかにも出かけてOKだけど、ウマ娘達だけでは行かせられないから、必ず大人の人と一緒に出掛けること。一人で行動しないようにね」

 

 ホテルの朝食を取り終えたところで俺が改めてウマ娘達に案内し、彼女たちも元気に返事を返してくれる。

 既に今日と言う日に備えて、それぞれのウマ娘が誘い合ってお出かけするようだ。

 

 フラッシュはヴィクトールピストとマイルイルネル、サイレンススズカを誘って、文化的施設の観光をするようだ。

 なお付き添いは俺と沖野先輩である。車も出してやることになっている。

 

 ファルコンはどうやら同じタイミングで休みをとったマジェスティックプリンスに誘われて、二人で遊びに行くようだ。

 そこにアメリカのトレーナー2名と、日本からはSSとキタが同行することになる。人数は十分と言ったところだろう。

 ここはウマ娘だけで構成されているし、遠出する予定もないので、その脚で市街を移動するとのことである。

 

 アイネスはメジロライアン、サクラノササヤキ、ハルウララ、ナイスネイチャを連れてお土産を買い漁るらしい。

 家族想いのアイネスやネイチャ、地元に向けて買いためるウララやササヤキ、ライアンはメジロ家で付き合いも多いだろう。

 そして荷物持ちに駆り出されたのが小内先輩と南坂先輩と初咲さん。小内先輩は適材適所と言ったところか。

 観光客に向けた値切り交渉などは南坂先輩に任せておけば問題ないだろう。

 初咲さんがウララとずっと手を繋いで行動すると言っていたのでその辺についても心配はなさそうだ。

 

「……で、今日は日が落ちる前には帰ってくるようにしような。事前に話している通りだけど、夜にも出かけるからね、みんなで。夕飯食べたら準備してもらうからね」

 

 それぞれの行き先などを確認したうえで、俺は改めて通知する。

 その言葉に、何人かのウマ娘が目を光らせたような気がするが、まぁ俺も察するところだ。

 今日の夜。夕食はみんなでホテルで取ったうえで……その後にお楽しみが待っているのだ。

 

「今夜は……()()()()()()、ですものね。ふふ、準備した水着を披露する時です」

 

「楽しみなのー!夏合宿だとなんだかんだで水着で遊ぶ機会少なかったし!」

 

「トレーナーさんと買った水着、まだ全部披露してないもんね☆メロメロにしちゃうんだから」

 

「ははは。俺も楽しみにしてるよ、マジでね」

 

 そう、夜のイベントはナイトプールだ。

 ホテルに併設された施設で、今日はそこに全員で予約を入れてある。

 プールでのトレーニングはこれまでホテル内にある競泳用温水プールで実施していたので、ナイトプールで練習だ、など無粋なことを言うつもりはない。

 純粋に、プールを楽しんでもらう。ウマ娘達の気分転換と、体のリフレッシュと、夜の熟睡にうってつけであろう。

 トレーナー陣だって中々ナイトプールなんて楽しむ機会はない。これをいい機会として、俺達も楽しむつもりである。

 

 そんなこんなで、ドバイで最後となる休日が幕を開けた。

 

 

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 そして時は流れて、夕刻。

 俺達は全員無事に観光から帰ってきて、みんな揃って夕食を取っていた。

 みんながみんな、とても貴重な体験をできたようで、夕食の場でもマナー違反にならない程度に、お互いが思い出話に花を咲かせている。

 

「こちらがジュメイラ・モスクの写真です。非常に荘厳な雰囲気で素晴らしかったですね、流石のパワースポットでした……バスタキヤ地区も実に歴史を感じられる伝統的な建造物が並んでおりまして……」

 

「ドバイ博物館もよかったですね……!ダウ船が見ごたえがありましたね、フラッシュ先輩……サルク博物館の考古学の資料も勉強になりました……」

 

「えへへ、こっちもすごいよ☆?IMGワールドの中、アメコミテーマパークがすっごい楽しかった☆!アトラクションもいっぱいでね、マジェプリちゃん意外と絶叫マシン苦手で……クリークパークもすっごい可愛いイルカちゃんがいて……」

 

「こっちはミラクルガーデン行ってきたの!砂漠の中であれだけ花があると感動しちゃった!モールもアウトレットもすっごい色んな店があって、お土産買いすぎちゃったの!えへへ、日本に一杯送っちゃった……」

 

「シュワルマの料理、驚くほどおいしかったです!!!あのケバブ、一生忘れられない……」

 

「ドネルケバブが現地であんなに美味しいとは僕、知りませんでしたよ……柔らかくて……」

 

「ケバブ、美味しかったねー!ウララ、すっごい気に入っちゃった!!日本に帰っても屋台で見かけたら買っちゃいそー……」

 

「アタシ、マックイーンにこっちのお菓子で日持ちする物買う約束してたんだけど、買いすぎたかな……」

 

「サンデートレーナー……買ってもらったペアリング、大切にしますね……」

 

「おォよ、こっちもいい想い出になったぜキタ。ゴアともこうして遊ぶのって何気に初めてだったしなァ。楽しかったな……」

 

「ドバイクリーク付近で見た夕日がきれいでしたね、沖野トレーナー。ああいう夕焼け、好きです……」

 

「南坂トレーナー、今日は色々荷物持ってもらっちゃってごめんね?疲れてない?……」

 

 その笑顔を見ているだけで、俺も随分と嬉しい気分になってしまう。勿論これは、俺だけではなくトレーナー達全員がそうだろう。

 ウマ娘は、笑顔が一番似合う。

 勿論、レースに懸ける情熱も、勝敗も大切なものではあるのだが……こうして観光し、彼女たちの年相応な笑顔を、想い出を作ってもらうことも同じくらい大切なことだ。

 願わくばこのドバイ遠征が、彼女たちの人生でかけがえのない想い出になれるように。

 そんな祈りを果たしつつも、俺たちは夕飯を食べ終えた。

 

「ごちそうさまでした、と。……それじゃ、各自準備の上、ナイトプールに行こうか。向こうについてから集まったりはしないから、各自自由に、到着したら遊んでていいからね」

 

 勿論、これで今日は終わりではない。お楽しみのナイトプールがこの後に待っているのだ。

 俺はウマ娘達に指示し、水着と着替えを準備してナイトプールで集合することを告げ、元気よく返事が返ってきた。

 各々、ワクワクを隠し切れないといった尻尾の揺らし方をして一度自室に戻り、荷物を準備しに行く。

 それを見送りながら、トレーナー同士で簡単に今日一日の動きについて報告しあった後に、俺達も後に続いて準備に入ることにした。

 

 しかし、これから水着になる事を気にしてか、夕飯はちょっと少なめだったかもな、みんな。

 この後ホテルにお願いしてウマ娘達向けの夜食を準備しておくか。

 ナイトプールが終わったら軽く風呂に入り、食べ過ぎない程度に夜食をぺろりとしてベッドに入れば、最高の安眠が約束されるだろう。

 

 俺も猫缶を食べ終えたオニャンコポンを肩に乗せて、初咲さんと共に一度自室に戻る。

 自分の水着も準備しないといけないし、オニャンコポン用の浮き輪も準備しているのだ。

 プール前に一度オニャンコポンの体をしっかりと洗えば猫同伴の許可は取ってある。

 

「ニャー」

 

「おー、これからプールだぞーオニャンコポン。溺れないように気をつけるんだぞー」

 

「猫なのに水を一切怖がらないのってすげーよなオニャンコポン……毎日のように風呂に入りたがる猫ってのは初めて見たよ俺。流石は立華さんのペットだわ」

 

「家族ね、家族。自慢の猫だよ」

 

 俺達も手早く準備を整えて、ウマ娘達の待つナイトプールに向かったのだった。

 

 

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 熱帯であるドバイの3月は、非常に過ごしやすい気候となっている。

 日中の最高気温は暑くても30℃、夜も一番冷え込んで20℃弱と、一日の寒暖差が大きくなく、雨も少ない。

 夏になれば最高40℃にもなる砂漠の気候であるドバイだが、3月が一年を通して最も過ごしやすい時期となっており、それに合わせてドバイワールドカップデーが開催されている。

 

 夜に遊泳するナイトプールと言えど、気温は25℃程度と水着でも問題なく過ごせる気候となっており、さらにはプールの水温で体が冷えない様に温水プール、フードサービスなどもあったりと至れり尽くせり。

 最高の思い出を約束するそんな有名ナイトプールに、この日はチームJAPANのウマ娘達が集まり、楽しんでいた。

 

 いや、楽しむと表現したが……正確には、勝負を楽しんでいた。

 

「うおーーーーりゃぁーーーーーー!!!」

 

「いいペースだよササちゃん☆!そのままもーすこしっ!!」

 

「頑張るの!!ここで一気に差を広げるの!!」

 

「先頭の景色を譲っちゃダメ…!!次、キタちゃん、頑張って…!!」

 

「任せてくださいっ!!臨時逃げ切りシスターズのメンバーとして負けませんっ!!いくぞぉー!!」

 

「甘いですよ…!私達チームの中で一番水泳が得意なライアンさんがラストバッターに控えています…!」

 

「……ぷはぁ!!ネイチャさんっ、よろしくですっ!!」

 

「任せろイルイル!!よっしゃ頑張りますよっと!!」

 

「がんばれーネイチャちゃーん!!ウララいっしょうけんめー応援するよー!!」

 

「差し切りバスターズとして負けてられない…!最後でアタシが一気にまくるから!ネイチャちゃんファイトー!!ナイスマッスルー!!」

 

 2つのチームに分かれて水泳往復リレーでの勝負。

 準備運動をし終えたウマ娘達は、ハルウララの提案のもと、色気もへったくれもない水泳勝負に興じていた。

 

 チームJAPANのウマ娘は、逃げウマ娘と差しウマ娘におおよそ2分される。

 チーム『逃げ切りシスターズ』として、スマートファルコン、アイネスフウジン、サイレンススズカ、サクラノササヤキ、キタサンブラック。

 対するはチーム『差し切りバスターズ』として、エイシンフラッシュ、メジロライアン、マイルイルネル、ハルウララ、ナイスネイチャ。

 5人による水泳リレーの勝負が繰り広げられており、そして審判は脚質自在のヴィクトールピストに任されていた。

 

「……ゴール!!僅差でしたが、勝者はライアン先輩です!この勝負、差し切りバスターズの勝利!!」

 

「やったぁ!!やはり筋肉…!筋肉はすべてを解決する…!!」

 

「だー!!しまったの…!!ビキニにしたから速度出そうとすると脱げそうになっちゃって……!!」

 

「やりましたねライアンさん!」

 

「悔しーー☆!!もう一回!もう一回勝負しよ!!」

 

 なんともまぁ色気のない、しかし逆に年相応ともいえる遊びをしていた彼女たちであるが。

 しかし、そんな雰囲気はとある人物たちの登場によってぴたりと静まるのであった。

 

 

「……おー、勝負してたのか?見たかったな、どっちが勝った?」

 

「あんまり激しい遊泳はいけませんからね。今日はリラックスするのが主目的なのですから、疲れすぎてはいけません」

 

「夜のプールですか……他にもお客様はいるようですから、7色に発光するのだけは避けないといけませんね……」

 

「小内先輩、ふとした拍子に光るっすもんね。めっちゃくちゃ目立つだろうなナイトプールだと……」

 

「ほらオニャンコポン、泳いできていいぞー。浮き輪は外さないようにな」

 

「ニャー」

 

 

 チームJAPANを率いる男性トレーナー達が、水着に着替えてナイトプールに現れたのだ。

 それぞれを順番に、ウマ娘の視点から説明しよう。

 

 まず、沖野トレーナー。

 この日は朝からウマ娘と出かけることもあり、無精ひげは綺麗に剃られ、整えられている。泳ぐこともあってか、髪も自然と下ろしてやってきており、いつぞやのライブで見せたようなイケメンに変貌を遂げていた。

 そしてパーカーとトランクスタイプの水着を着用してきているが、そのパーカーから覗かれる筋肉は間違いなく鍛えこんだ物。見せかけの筋肉ではない、使える筋肉を搭載していた。

 かつて演劇で腕を慣らした彼の、その全身にバランスよく搭載された肉体。姿勢もよく、性格も快活なものがある沖野トレーナーは、頼れる大人であり、肩肘張らずに話せる雰囲気を持つ、ウマ娘にとって親しみやすい男性であった。

 しかしひげを整え髪を下ろしている今回は別だ。サイレンススズカはそんな見慣れたトレーナーの見慣れぬ姿を見て、ごくりと喉を鳴らした。

 

 次に、南坂トレーナー。

 この男は普段から優男風味を醸し出しており、線の細い印象を与えることもある。常にスーツで隠されているはずのその肉体が、しかしこのナイトプールにおいては、色白の肉体を惜しげもなくさらしていた。

 噂話に上がるような無数の傷跡……などと言うものは一切なく、シミひとつない綺麗な肉体。しかし、脂肪は必要最低限に、その下にしなやかで柔軟な筋肉が存在した。

 ウマ娘でも思わずうなってしまう、その筋肉。あらゆる運動において彼は好成績を果たすであろう、そう思わせるような可能性の獣。理想的なバランスの細マッチョ。

 見れば、髪型も彼にしては珍しく、首の後ろあたりで一つ結っている。普段の沖野トレーナーのようなその髪型は、しかし彼の妖しい魅力を増すのに十分なワンポイントアクセントであった。

 マイルイルネルとサクラノササヤキがよだれが垂れそうになるのを堪え、ナイスネイチャは己の心の内の雌を抑えるのに労力を使った。

 

 さて、そして小内トレーナーだ。

 彼は身長が高い。2m超えの身長はウマ娘が見上げるほどの高さで、普段スーツなどを着ている際には威圧感を与える身長差を少しでも埋めようと、猫背になっていることも多いのだが。

 しかし今日、サイズの大きいパーカーを羽織って水着でやってきた彼は、流石に薄着で猫背であると見た目もよろしくない物になるだろうと、胸を張り、その胸板を惜しげもなくさらしていた。

 身長が高い男性は、おおよそ二通りに体つきが分かれる。細く、まるで棒のような体…と表現されるタイプと、全身に筋肉を搭載し、フィジカルエリートであることをアピールする体。

 小内トレーナーは後者であった。胸板の厚み、骨の太さ、脚の強靭たる筋肉の太さが、種族的に力で上回るはずのウマ娘達から見ても絶対的なフィジカルを感じさせる。

 なお、プールと言うことで、普段かけている眼鏡をはずし、コンタクトレンズにして裸眼となっている。裸眼になると普段のきつい目つきが随分と解れ、顔もウマ娘達から見ても満点が出ておかしくない精悍さを持ち合わせていた。

 メジロライアンの筋肉が、小内トレーナーの筋肉に呼応するように一度脈打った。

 

 続いては初咲トレーナーだ。

 このトレーナーはまだ若い。立華と同年代、大学を上がってからまだ数年とたっておらず、その体も他のトレーナーと比べれば磨き上げられていると察するほどの筋肉は搭載していない。

 だが、その未熟さが逆にウマ娘達にとって危険な香りを醸し出している。まるで大学生のお兄さんかとでもいうような、年齢の近さをいやおうなしに感じさせる。より、身近な男性として彼の自然な肉体は可愛らしいものとしてウマ娘の目に映った。

 顔についても、流石に南坂トレーナーや沖野トレーナー、立華ほどではないにせよ、十分に整っていると言える顔。ウマ娘への距離感も近く、若く勢いもあり世話焼きでもある彼は、何気に学園内でのウマ娘人気が高いトレーナーであった。

 周りのトレーナーと比較してまだ未熟さの残る体は、しかし危うい距離間の近さをもってウマ娘達の目前に晒される。

 ハルウララが、前に海で見た時からちょっと腹筋の割れが深くなっていることに気付いて、しっとりとした笑顔を浮かべた。

 

 最後に立華トレーナーだが、コイツは既にオニャンコポンをプールに入れて遊んでいる。

 なんなら一番楽しむ気満々で、その体もフェリスのウマ娘にすれば海で見慣れた体なので説明は割愛させていただく。

 一先ず言えることとしては、3人ほどウマ娘が獲物を捕らえる前のマンボのような眼になったという事だろうか。

 狙われているのだがそんなことに気付かない悲しみがこのクソボケにはあった。

 

「……うん、オニャンコポンもプールに浮き輪で浮かべてるな。ヨシ!」

 

 そうしてオニャンコポンをプールに浮かべ、水にぬれ細くなった下半身と尻尾でニャーニャーと楽しそうに鳴いている猫という何とも言えない場面を作り出していたところに、新たなる闖入者がやってきた。

 

『……悪いわね、タチバナ。コイツらに捕まったわ……』

 

『ハーッハッハッハ!!ナイトプールがあるとファルコンから聞いていましたので、いずれここで合流する運命でしたよ、サンデートレーナー!!』

 

『私たちはむしろこれまでも何回かここに来てるしね。チームJAPANのみんなのほうが使う回数少ないんじゃない?』

 

『プール運動は筋肉の疲労回復、リラックス効果、メンタルを整えるのにも高い効果が出る。いいものだよ』

 

 4人のウマ娘が新たにナイトプールに現れる。

 サンデーサイレンスと、アメリカ組の3人だ。

 ホテルからナイトプールに移動する道中でアメリカ組に捕まり、今からプールであることを聞き出され、3人もついてくることになってしまったサンデーサイレンスがため息交じりでやってくる。

 

 サンデーサイレンスもトレーナーであるからして、彼女の佇まいについても説明しなければなるまい。

 彼女はメリハリのありすぎる肉体だ。150cm程度の身長に、95cmを超える大いなる実りを身に着け、かつウエストは鍛え上げ余計な肉はどこにもない。腰は年齢を重ねたことで現役時代より若干ボリュームが増えている。

 そんな彼女が選べる水着は少ない。タンクトップビキニなど着ようものなら、水に濡れて張り付かない限りは樽のような造形になってしまい、流石に修道女の資格を持つ彼女としてもプールでそのような醜態をさらすつもりはなかった。

 しかし余分な露出を嫌った彼女が選んだ水着は、ハイネックビキニにより胸元の谷間を覆い隠し、腰から下はパレオで脛下まで隠す、と言うものだった。

 だが、余りにも傲慢たるその実りにより、胸元の谷間を覆い隠すはずのハイネックビキニは彼女の大きさをより強調させ、パレオで隠したはずの脚は生まれつきの外反膝、内股である彼女の白い脚がチラリズムを醸し出しており、上下黒で合わせた水着に純白の肌が見え隠れする淫靡さを生んでいた。

 そのことに本人は気付いていない。これがプライベートなナイトプールではなく大衆海水浴場などでお出しされれば、視線を一つに集めてしまうこと請け合いであろう。

 

 そしてそんなサンデーサイレンスの隣に立つイージーゴア、オベイユアマスターも魅力的な水着を着用している。日本のウマ娘で、今回参加するチームJAPAN、その生徒達ではキタサンブラックしか並び立つものがない、高身長に実る大いなる果実。アメリカの広大さが感じられる、まさしくアメリカンなそれだ。

 イージーゴアは己の体の武器を理解しており、彼女の水着はまさかの星条旗ビキニだ。その隣、落ち着いた雰囲気の水着で身を包んだオベイユアマスターと比べると露出が多い。

 それに並ぶマジェスティックプリンスの目が曇り気味であり、その顔を見て砂の隼もまたシンクロして目を曇らせた。サイレンススズカも曇らせた。

 余りにも大いなるライバルの登場であった。

 

「──あはははは!オニャンコポンお前、上半身まだ濡れてなくてふわふわなのに、下半身がほっそりしちゃってまぁ!!見てくれみんなこれ!今日のオニャンコポンにしちゃおうぜ!!」

 

 そしてそんなウマ娘達の魅力的な肉体を前にして愛猫と遊ぶのに夢中になってしまっているクソボケに対して、怒りのやり場に困っていたウマ娘達(ファルコン、スズカ、ネイチャ、ササヤキ、イルネル、マジェプリ)から尻尾による猛攻撃が浴びせられ、プールに叩き込まれることになるのだった。

 

 

 とはいえ、お互いの体にも慣れれば、あとはお楽しみの時間である。

 それぞれのウマ娘が、トレーナー達も交えてボール遊びや遊泳などで楽しく過ごし、練習の疲れをすっかりとリフレッシュできたのだった。

 

 ドバイワールドカップデーまで、あと一週間。

 ウマ娘達は英気を養い、世界の強敵に挑む。

 

 つかの間の安らぎを、今はただ満喫するといい。

 明日からはまた、勝利に向けた練習が待っているのだから。

 

 

 

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