【完結】閃光と隼と風神の駆ける夢   作:そとみち

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150 革命への評価

 

 

 ドバイワールドカップデーまであと3日。

 ここドバイの市内、各所のホテルにおいては、世界各国のウマ娘が集い、そしてレースに向けて脚を仕上げていた。

 そんな中のひとつ、オーストラリア出身のウマ娘2人と、隣国であるシンガポールのウマ娘が一人、チームJAPANとは違う別のホテルで過ごしていた3人が談話室で会話していた。

 内容は当然レースにかかる検討会である。

 これまでにもトレーナーを含めて何度も実施していたが、最後の確認として改めてウマ娘達の情報を見ながら話し合っていた。

 

『……で、どう見る?』

 

『チームJAPANが怖い!!……って噂は耳にしてっけどねー』

 

『レース映像は既に複数回の視聴を完了。走るウマ娘全員のデータは確保済み』

 

 オーストラリア出身のウマ娘、アイネスフウジンと同じアルクオーツスプリントに出走するブラックベルーガが検討内容を提示する。

 それに軽い口調で返すのは、シンガポール出身のウマ娘、ハルウララと同じゴールデンシャヒーンに出走するミサイルマンだ。彼女はその名の通り、思考はどちらかと言えば真っすぐ寄りだ。

 そして最後に、抑揚の少ない事務的な口調で話すのがオーストラリアのウマ娘、ウィンキス。彼女はヴィクトールピスト、サクラノササヤキ、マイルイルネルと同じドバイターフに出走する。

 

 優駿が3人。

 国が近いこともあり、またブラックベルーガとウィンキスについては現役でオーストラリア国内のGⅠを総ナメしている実績から、以前より知り合っていた彼女たちがそれぞれのレースについて所感を零す。

 

『私の出るアルクオーツスプリント、正直に言えば……敵になるやつはいない。勝てると思う。…ウィンキス、意見ある?』

 

『短距離ではあなたに勝るウマ娘は皆無。私の計算でも勝率は95%』

 

『ベルーガはつっええからなー!でもウィンキス先生の計算でも5%あるんだな、敗北』

 

 話はまずアルクオーツスプリントの話題になる。

 ブラックベルーガの出走するレース。このレースに挑むにあたり、ブラックベルーガには絶対の自信があった。

 彼女は短距離のレースで敗北を経験していない。

 圧倒的な実力差。そしてレース中に出遅れない、掛からない、冷静かつ情熱的な走りで、オーストラリアの短距離レースを蹂躙していた。

 その実力は当然世界レベルで見ても明らかに頭一つ抜け出ている。

 今回の直線1200mのレースでも、同じくレースを走る()()()()()()の過去のレース映像や実力を分析し、勝てるだろう、と考えられていた。

 

 だが。

 不安要素が、一点。

 

『……アイネスフウジンだけが読めない』

 

 そう、それはチームJAPANの風神。

 これまで短距離レースはジュニア期の重賞2回のみ、それ以降はマイルから中距離2400mまでを走っていた、日本のウマ娘だ。

 このウマ娘の短距離戦の情報は正直、集めることができない。

 ジュニア期の短距離レースなど、はっきり言ってしまえば()()()()だ。適性がやや劣っていても、単純に速く走れる方が勝つこともある。

 であるからして、今現在、シニア期のウマ娘達の集うここアルクオーツスプリントにて、アイネスフウジンがどのような走りを見せるのかが計算できなかった。

 

 さらに言えば、彼女の前走、ジャパンカップがさらに推察にノイズを混ぜる。

 

『アイネスフウジン。1ハロンの世界最速記録を所有。それも短距離レースではなく、2400mレースにおいてそれは発揮された』

 

『何度映像見てもありえねーよなぁあれ!!あの後脚ぶっ壊れたらしいじゃん?コワー。あれ、ベルーガなら超えられる?』

 

『……無理。200mだけ、その後脚が壊れてもいいってレベルで全力疾走すれば並ぶ記録は出せると思うけど。そもそも2000mも私は走れないし……あれがあるから、このウマ娘が読めないのよね…』

 

 アプリでジャパンカップのレース映像を見る。

 何度見ても、あり得ないのだ。下手なCG映像でも見せられているんじゃないかと錯覚するほどの加速。

 瞬間速度は80km/hを超えていたという。

 こんな速さは、レースで出していいものではないのだ。

 短距離ウマ娘の全てを否定するようなその走り。

 

『……あの一戦だけの、奇跡だと信じたい。80km/hに至られたら、私でも厳しいわ。勿論、残り200m地点までには3バ身以上の距離をもって、私も最高75km/hくらいは出るから、それで走り切れば逃げ切れるとは思うけど……』

 

『ウマ娘の体格、骨格から考えて当時の速度を再び出せる可能性は10%未満。加えて、出せたとしてもブラックベルーガが述べた位置取りでレースを進められれば、勝率は50%オーバー』

 

『ジャパンカップの時でも先頭集団からタレ気味で……ようは、脚を溜めてから放った感じあるもんな。加速ブチまけられても抜かせない距離を保ってれば問題ねーよな!……いや、そもそもあんなの出されてたまるかって話だが』

 

『そもそも、短距離に脚があってるのかどうか、よ。2400mも走れて1200mも走れるようなウマ娘がそうポンポンいてたまるもんですか』

 

 ブラックベルーガは常識論で僅かな不安を払拭した。

 あんな速度を毎回レースで安定して出せるようになっているのであれば……アイネスフウジンが現役でいる限り、彼女が勝ち続けるだろう。

 そして、そんなことはレースの歴史が許さない。あの速度で走れるウマ娘はいない。いてたまるか。

 だから、末脚を繰り出したとしても、あの時よりは速度が落ちている……と、考えて。

 

 そして、そう考えた上で、万が一あの速度を繰り出されても負けない様に。

 ラスト1ハロンで、自分が出せる最高時速75㎞/hで走り抜ければ、80㎞/hでも追い抜けない差を作っておけばいい。

 それがどれほどの難易度かも理解しており、そしてそれが出来る実力が己に在ることを理解していた。

 21戦21勝、GⅠ11勝を無礼るな。

 

『スタートからの加速が上手くて、ハイペースな展開に持ち込めてるところから、短距離も全く走れないってことはないんだろうけどね……ま、私が勝つわ。次のレース検討行きましょ』

 

『おー、んじゃアタシのゴールデンシャヒーンだな!!ダートウマ娘もいい短距離ウマ娘が集まってるぜぇ!!名前聞いたことあるやつらばっかりで嬉しくなるな!!』

 

『世界中から優駿が集合。特にアメリカなど、ダートを主軸とする国のウマ娘が強敵。私の計算ではミサイルマンの勝率は75%』

 

『具体的な数字を言わないでくれっかなぁ!?そりゃアンタらに比べりゃアタシは戦歴はアレだけどさぁ!?それだって連対率100%なんだけどなぁ!?遠征慣れもしてるしアンタらに外国での心構え教えてあげたよなぁ!?』

 

『あー……や、そこはホントに助かってるよ。生水飲まないのって大切なんだね。他の子がそれでお腹の調子やっちゃってたの見てマジでそう思ったよ』

 

『心から感謝』

 

『そうだよなぁ!?ウィンキスはもうちょっと笑顔で言ってくれてもいいよなぁ!?』

 

 続いて話はミサイルマンの出走するゴールデンシャヒーンの検討に移った。

 ダート1200mのレース。短距離ダートのこのレースに、ダートであり短距離を得意とするウマ娘が集まってきている。

 説明するまでもなく、走る全員が優駿であり、全員が高レベル。

 だが、その中でもミサイルマンはやはり一番人気を獲得している通り、1段実力が上だと判断されていた。

 

『レース展開もいつもの感じでいけるよね。逃げに近い先行の形から飛び出す形の、アタシたちのそれで』

 

『おーよ!!短距離レースってのは前の位置につくのが必勝の鉄則だからな!』

 

『短距離においては逃げ先行の戦法有利のデータ有』

 

『うんうん、ウィンキスに太鼓判押されっと気持ちいいわ!!さて、んじゃライバルウマ娘達の検討かねー』

 

 そうして、レースを共に走るダートウマ娘の検討に入る。

 どのウマ娘がどんな戦法を得意としており、どれほどの速さなのか。

 猪突猛進タイプのミサイルマンでも、情報の大切さは理解している。改めて、見落としがないように確認を進める中で、一つの疑問が出てきた。

 

『……で、チームJAPANからはハルウララ、か』

 

『日本ではGⅠ2勝。スマートファルコンとのレースではすべて敗着。レコード更新もあるが、他のチームJAPANのウマ娘のような目立つ記録はない』

 

『ウィンキス、流石にそれは傲慢。私達がGⅠいっぱい勝ってるからって言いすぎ。クラシック期にGⅠ2勝、十分頑張ってるじゃない、この子』

 

『……失礼。見解を更新』

 

『まーでもぶっちゃけ、革命世代の中でもフツーって感じはあるよな!差しのスピードは光るもんあるけどよ!』

 

『こら、ミサイルマン!』

 

『事実さ。こいつよりもマークしなきゃならねぇウマ娘は他にもいっぱいいるんだ、事実で検討していこうぜ。差しでの戦法を得意としてるやつだが……差し切ってるレースは正直周りのウマ娘が遅い。差し切れなかったレースはスマートファルコンやら、実力ウマ娘がいて差し切れてないレースが多い。つまりはまぁ……スピード不足だろ。日本のレコードタイム更新してるのだって、スマートファルコンに引っ張り上げられてのそれだろうが、アタシほど速くはねぇ。普通に走れば負けねぇだろ』

 

 ミサイルマンは口調はぶっきらぼうに、しかし記録するタイムやレース映像を読み込んだうえで、ハルウララは要注意マーク対象ではないと判断した。

 先程も話した通り、短距離レースにおいて差しの作戦は難しい。距離が短い都合で、アガってくるタイミングを失すれば先頭に追い付けないケースが多々ある。

 確かにその差し足の速度は一級品と称してもいいだろう。そこまでミサイルマンは侮ってはいない。

 だが、一級品の末脚など、このレースに出走する全員が当たり前に持っているのだ。

 世界最高峰のウマ娘が集まるレースにおいて、ハルウララと言うウマ娘は、徹底マークを入れる対象にならなかった。

 

『まーなにせ噂のチームJAPANだからな、何が起きるかはわかんねー、って所だけは頭に入れておくぜ。油断だったり慢心だったりとは言わねぇけどよ、他のライバルに負けない様に走るのでアタシは精一杯だよ』

 

『……アンタのそういう所が、4敗を生んでるんだと思うわよ、私は』

 

『やはり勝率75%』

 

『責められるほどかぁ!?じゃあ分かったよ!ハルウララにもし負けるようなことがあったら後でお前らにシンガポールの特上スイーツ奢ってやるよぉ!!そんくらい真剣に挑む!!それならどうだ!!』

 

『ハルウララって応援したくなるような子よね。可愛くって。ファンになりそう』

 

『勝率50%に訂正』

 

『友達甲斐がねぇなぁお前らァ!?!?』

 

 彼女たちはレースについて真剣に検討しているだけであるが、しかしやはり彼女たちもウマ娘であり、年頃の女の子である。スイーツには弱かった。

 オーストラリアの最上位2名と、ノリの良いシンガポールウマ娘。この3人はお互いに、それなりに気が合う存在であった。

 

 だが、悲しいことに彼女たちはライバルになり得ない。

 ブラックベルーガとウィンキスは同じ国の芝ウマ娘だが、その距離が違う。短距離はブラックベルーガの聖域であり、マイルから中距離はウィンキスの聖域だ。お互いの走る道が交差することはない。

 そしてシンガポールでのレースや、海外遠征が多いミサイルマンは芝の短距離も走れるが、ダートの短距離の方が得意としていることもあり、ブラックベルーガと同じレースに出たことはなかった。

 だからこそ、こうしてお互いのレースに何の懸念もなく検討をできている。

 

『……んじゃ、最後にウィンキスのレース検討しよっか。と言っても、もうデータは集まってるんでしょ?』

 

『肯定。全てのウマ娘のデータを完備済み。その上で、計算では私の勝つ確率99%』

 

『出た。ウィンキス先生の謎計算。……外れたことがねぇからなぁこれが……』

 

 ウィンキスの走るドバイターフの話に移るが、これについての詳しい検討は行われなかった。

 何故なら、ウィンキス自身が、情報を収集し、そこから彼女独特の計算式を当てはめることにより、己の勝利を確信したうえで走るからだ。

 

 ウィンキスの方程式。

 詳細な計算は省くが、大まかに言ってしまえば、ウマ娘の走る実力を測り、その上振れと下振れを算出するものだ。

 あらゆるウマ娘が、レースにおいては実力以上のものを発揮することもあれば、実力を出し切れないことがある。

 それを、彼女独自の算定式ではじき出す。勿論、己の走りについても冷静に分析して同様にはじき出す。

 はじき出したうえで、()()()()()()()()()()()()()()()()()敗北はない。

 そのような理屈で、オーストラリアのGⅠレースを蹂躙していた。

 

 彼女が計算式を煮詰め、完成に至ったのがクラシック期の中盤。

 それ以降は、その計算が裏切ったことはない。勝利することで全てを証明してきた。

 無論の事、彼女の肉体は才能の塊。純粋な実力が、周りのウマ娘と比較してとびぬけて高いからこそ、そんな傲慢な計算が許される。

 今現在、オーストラリアに彼女に並びたてるウマ娘はいなかった。ライバルたるウマ娘はいない。

 

 そして、そんな彼女はこのドバイターフのレースにおいても既に計算を終えていた。

 証明はレースの上で行われるが、これまで走ってきたレースと同じく、己が勝つだろうという確信があった。

 1+1が2になるのと同じように、走って、勝つ。

 

『……けどね、ウィンキスのその計算式……奇跡が起きる、って要素も含まれてる?』

 

『大地震の発生や天災などは含まない。ウマ娘の走れる限界を、一回り大きく算定した上での計算となっている』

 

『おーおー言うねぇ。いや、災害はマジ勘弁だけどよ。じゃあよ……ウィンキス、アンタはさ。例えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()や、()()()()()()()()()()()()()()()()みてぇな走りをされたとしても、絶対に勝てるのかい?』

 

『…………』

 

 ミサイルマンに指摘された内容で、ウィンキスは一度再計算を実施する。

 これまでも考えていた可能性だ。あのような、ウマ娘の限界値をはるかに大きく超えるような走りをされたときに、己は勝てるのか。

 彼女の答えは。

 

『……肯定であり否定』

 

『お、ウィンキスにしては面白い答えね。その心は?』

 

『仮にアイネスフウジンがドバイターフに出走し、あの速度を繰り出されたら勝率は70%程度。しかし、ヴィクトールピスト、サクラノササヤキ、マイルイルネルであれば、その勝率は99%をギリギリ下回らない』

 

『ギリギリが出た!なるほどね、つまりは結構ヤバいかも、ってことか』

 

『その質問には肯定。しかし、前提としてあのような奇跡がそうそう起きるはずがない』

 

 その答えは、ドバイターフで走るチームJAPANの3名であれば、たとえ奇跡を起こされても勝てるという算定結果。

 ギリギリ、と本人が言うように、仮にあんな、領域を超えるような領域に至られてしまえば、その際は己も最高の走りをしなければ厳しいだろう。

 だが、そんなものは起きない。普通は、起きない。

 計算式とは毎回同じ結果が出るからこそ式足り得る。不確定要素は入れるべきではないのだ。

 

『……随分と、興味深い話をしているね』

 

 だが。

 ちょうど、その話を3人がしていたところに通りがかったウマ娘がいた。

 同じホテルに滞在する、()()()()のウマ娘だ。

 3人が話す共用の言語である英語に合わせて、彼女も普段使っているフランス語ではなく英語で会話する。

 

『……()()()()()、さん。……聞いていました?』

 

『ああ、最後の方だけね。ウィンキスのレースの話と、チームJAPANの話をしていたようだが……』

 

『肯定。チームJAPAN、その内、奇跡のような走りを見せたウマ娘が2名。しかし、奇跡は早々起こらないという話を』

 

『スマートファルコンならともかく、距離間違えてるアイネスフウジンと他の子なら何とかなるかなーって感じの話っすわ!』

 

『…ふっ。そうか、君達は知らないのだな……』

 

 ウィンキスの話と、その先を続けるミサイルマンの言葉に、ブロワイエは苦笑を零す。

 その笑みに、怪訝な表情をする3人。

 ブロワイエの事は当然に3人とも知っている。長くレースを走るベテランのウマ娘で、その実力も認めている。そして、彼女の走りも絶対に近い、強者たる走り。堅実な実力を持ち、それで凱旋門を2連覇している、間違いなく世界最高峰に肩を並べる一人。

 そんな彼女が、奇跡はないという話に、否定的に笑ったのだから。

 

『……3人とも。先達から、一つだけアドバイスしておこう』

 

『……何です?』

 

『傾聴。ブロワイエの戦術判断は極めて重要な情報』

 

『おー、何々?』

 

『ああ。……()()()()()()()()()()()()()()()。私はそれで一度驚かされ、一度辛酸を嘗めている。……彼女たちは、ある条件下でなら、奇跡を起こせるのだ』

 

『……は?』

 

『……困惑。計算にノイズ発生』

 

『マジで言ってる?ブロワイエさんモーロクした?』

 

『ってこら!ミサイルマン!失礼でしょ!!』

 

『くっ、ははは…!面白いな、君は。まぁ、そう思ってくれても結構さ。答えは3日後に出るだろう』

 

 ブロワイエの放った言葉に、3人は困惑の色を返した。

 何故なら、その言葉を放ったブロワイエの表情が……余りにも、真に迫っていたからだ。

 奇跡を起こせる、という事実に、何故か彼女は一切の疑念を抱いていないのだ。

 困惑しかないだろう。確かに、彼女はかつてジャパンカップで5着を取っているが、あれは芝適性などの問題も大きかったのだろう、とは思うが。

 だが、その1戦だけで確信するほどのそれなのか?

 日本とは、チームJAPANとは何なのか?

 

『ブラックベルーガ、ウィンキス、ミサイルマン。君たちはこれからも、ますますレース界で輝いていくウマ娘だろう。そこは私も素直に応援しているよ。……だが、目の前の小石に躓かないようにするといい』

 

『……たりめぇだ。このドバイで、負けるつもりはねぇよ』

 

『同右。必勝の方程式の証明を』

 

『気は抜かないわ、先達の言葉として受け取ります。……ブロワイエさんも、ドバイシーマクラシック頑張って』

 

有難う(メルシー)。君達のレースに、素敵なものがあることを祈っているよ。いろんな意味でね』

 

 ブロワイエはそれで話を切り上げて、談話室を後にしていく。

 残された3人は、ブロワイエの立ち去る背を眺めながら……一つ、見解を新たにした。

 

『……やっぱ、チームJAPANのウマ娘、注意しておこうか』

 

『肯定。たとえ計算式による勝率は100%でも、レースに絶対はない』

 

『おお、そうすっか!油断して負けちまったら恥ずかしいからな!!』

 

 たとえ己の脚に絶対の自信を持っていたとしても、何が起きるかわからないのがレースなのだから。

 ブロワイエの言う通り、チームJAPANへの注意を。

 そして、それにもまして、走る事に真摯に。

 勝てると思えるようなレースでも絶対はないのだから、敬意をもって全力で走るように。

 

 

 

 決戦まではもう間もなく。

 すべてのウマ娘達が、勝利に向けて、心を、体を、想いを備え始めていた。

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