【完結】閃光と隼と風神の駆ける夢   作:そとみち

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158 ドバイターフ 中編

 

 

 

(────────やられた!!)

 

 ヴィクトールピストは、己のゲート反応がコンマ2秒遅れたことを自覚した。

 出遅れた。

 すべてのウマ娘に、前を譲る形のスタートとなってしまった。

 

 原因は、己の隣にいたプッシュウィズである。

 スタート直前、気を引き締めていたところに隣から圧をぶち込まれ、僅かに動揺をしてしまったのだ。

 

(ウィンキスにばかり気を取られすぎていた……ってのは、言い訳にならないわね!私の弱点、よく分析してきているじゃない…!)

 

 ヴィクトールピストの領域はとても異質なもので、彼女特有なものだ。

 発動すれば、そこから先彼女はあらゆるデバフを拒む。

 だからこそ、それが発動する前に牽制をかけなければならない。当然にウマ娘達が考えることだ。

 

 そして、プッシュウィズはそれを、最も効果の出るタイミングで放った。

 そもそもがヴィクトールピストは優駿である。領域に至る前だって、牽制に対する抵抗を兼ね備えている。

 彼女がスピカのウマ娘であるからこそ。

 エイシンフラッシュと言う、牽制を得意とするウマ娘をライバルに持っているからこそ。

 その牽制への抵抗力は、領域無しでも他のウマ娘と比較しても全く落ちることのないそれであった。

 

 だからこそ、そんな彼女を走り出す前に潰さんと、スタート枠で放つ視殺をプッシュウィズは覚え、繰り出してきた。

 世界の頂点を決めるレースに出走するウマ娘だ。その程度の事は朝飯前にやってくる。

 

 これでヴィクトールピストは崩れた。

 仕掛けたプッシュウィズも、他の世界のウマ娘達も、そう感じた。

 何故なら彼女は現在最後方。

 追込の位置からレースを組み立てることになる。それは余りにもいばらの道だ。

 彼女のこれまでのレースは研究し尽くしている。

 

 これまでに、彼女は()()()()()の作戦でしか走っていない。

 追込はやったことがないはずだ、と。

 

 だが。

 世界の優駿たちは、ヴィクトールピストのチームのウマ娘のことを把握していなかった。

 

 

 追込の代名詞たる()()()()()()の存在を知らなかった。

 

 

(舐めないでよね、()()()を!!あらゆる作戦のプロフェッサーが揃ってるのよ、うちには!!!)

 

 

 ヴィクトールピストは、己のチームのサブトレーナーであるゴールドシップの教えを思い出し、冷静さを取り戻した。

 脚質を変幻自在に変えられる、マヤノトップガンにも似た才能を持つヴィクトールピストは、当然の如く、ゴールドシップから追込で走る際の心構えやペース配分も学んでいた。

 彼女に走れない位置取りはない。

 チームJAPANで全てのバ場を走れるのがスマートファルコン、全ての距離を走れるのがアイネスフウジンなら、全ての作戦で走れるのがヴィクトールピストなのだ。

 

 それに、だ。

 スタートで牽制をかけてくるというのなら、この程度では生温い。

 

 ヴィクトールピストもまた、見ているのだ。

 先月のフェブラリーステークスを。

 砂の頂点たるスマートファルコンすら揺らした、鬼の睥睨を。

 

 コンマ2秒の遅れ。

 しかし、それは周りのウマ娘の油断を生み、領域に入るまでの距離を走る間の牽制の緩みを生んだ。

 ヴィクトールピストにとっては、まだ全く動じるほどのそれではなかった。

 追込の位置から冷静に全体を観察し、徐々に追い上げながら、500m地点で領域に走る準備を整えることが出来ていた。

 

 ただ、その道中で。

 

「──────」

 

『────────!?』

 

 後方、差しの位置からレースを展開しようとしていたプッシュウィズを見つけて。

 スタート直後の成功で油断をしていた彼女の背後から、その呼吸の合間を縫って、突き刺すような牽制をぶち込んでおいた。

 

 忘れてはいけない。

 ヴィクトールピストもまた、牽制を武器としているウマ娘であることを。

 

 それはナイスネイチャがエイシンフラッシュにぶちかましたような八方睨みにも近い威力をもって、プッシュウィズの首を貫く。

 呼吸を乱され、プッシュウィズがかかり気味に加速し、しかしそれは暴走となった。

 先程潰したばかりのウマ娘から逆に牽制を返され、動揺してしまい、その事を自覚してさらに動揺する。ここに至り、プッシュウィズとヴィクトールピストの格は決定した。

 勝負はついた。

 

 ヴィクトールピストはまず厄介なマーク対象を潰し返したことに得心し、そのまま己の第一領域へと突入する。

 

 

 ────────【勝利の山(サント・ヴィクトワール)

 

 

 レースは500mを越え、コーナーに向かっていくところ。

 勝負は、ここからである。

 

 

────────────────

────────────────

 

 

『逃げる逃げる逃げるっ!!サクラノササヤキがとにかく逃げるッ!!後続との差は10バ身はあるか!?最後までそのスタミナが保つか!?保ってくれっ!!そしてその後ろ先行集団から睨む形でウィンキスがここにいます!このウマ娘が怖い!!その3バ身ほど後ろ、差し集団にマイルイルネルの姿があります!おっとここでヴィクトールピストがアガってきた!徐々に位置取りを上げていく!!不沈艦がここドバイにも現れてくれるのか!!残り1200mッ!!コーナーに入っていきますッ!!』

 

 

 サクラノササヤキは、大逃げと言う己が初めて見せる作戦を繰り出し、その勢いのままに先頭を突っ走っていた。

 これは、ナイスネイチャや南坂トレーナーと事前に組み立てていた作戦だ。

 

 彼女はスタートが上手い。

 他の革命世代の輝きに隠れがちで目立たないが、スタートでは抜群の反応を見せる。

 それは、世界の優駿を相手取ったとしても、決して譲らぬ反応速度。

 

 具体的な例を挙げて理解を深めよう。

 サクラノササヤキが、アイネスフウジンと共に出走したレースは、選抜レースを含めて秋華賞まで計5回。

 そのうち()()はサクラノササヤキが先にゲートから飛び出している。

 立華が磨き上げたアイネスフウジンの反応速度をもってなお上回るその才能。

 

 しかし、この大逃げと言う作戦を繰り出したのは今回が初めてだ。

 理由はいくつかある。

 まず一つ。

 

(やっぱり、牽制が薄い…っ!!みんな、勘違いしてくれている!!)

 

 ここが世界の舞台であること。

 これが日本であれば、効果が薄まる。大逃げの恐ろしさと言うものはおおよそ全てのウマ娘が身に染みて実感している。

 大逃げで勝利をもぎ取る優駿たちを知っているからだ。

 逃げ切られたら終わる。その恐れが、大逃げを繰り出すウマ娘への牽制を欠かさずに繰り出すが……ここは世界の大舞台だ。

 

 結論から言う。

 ()()()()()()()()()()という読みをもって、サクラノササヤキはこの作戦を繰り出した。

 

 このドバイターフには、日本からは3人のウマ娘が出走している。

 先のゴールデンシャヒーンでも一人ラビットがいたように、同じ国、同じチームから出走しているウマ娘がいれば、一人がペース乱で大逃げを繰り出し、ラビットとして活躍することも立派な作戦として存在していた。

 そして、その常識を知る世界のウマ娘達がこのサクラノササヤキの走りを見れば、おおよそ同じ結論に至る。

 

 あれは、ラビットだ。

 本命であるヴィクトールピストを、同チームであるマイルイルネルを活かすために、捨て石になったのだ、と。

 

 そしてもちろん。

 そんなふざけた考えは、サクラノササヤキには欠片も存在しない。

 

 いや、それはヴィクトールピストもマイルイルネルも同様だ。

 なにせ二人とも、知っている。経験()っている。()っている。

 彼女たちが、チームJAPANであり、チームスピカとチームカノープスのウマ娘なれば。

 

 スマートファルコンと。

 サイレンススズカと。

 ツインターボを、知っているからこそ。

 

 あれは、大逃げの作戦だ。

 ラビットなど欠片も考えていない。自分たちの為になんか走っていない。

 彼女は彼女の勝利の為だけに、走っているのだと。

 

(刻め………この世界に、私だけのビートを刻めッ!!)

 

 秋華賞の時に刻んだビートの、さらに1秒以上縮めるラップタイムをクリアしていきながら、先頭をただひたすら走るサクラノササヤキの姿が、そこに在った。

 

 

────────────────

────────────────

 

 

 勝負は中盤戦に入る。

 

 

『今1000m地点をサクラノササヤキが通過っ!!タイムは…56秒5!!速いッ!!これは圧倒的な速さだ!!大逃げの走りに恥じないタイムがはじき出されたッ!!その後ろの先行集団が徐々に詰まって行きますがこの圧倒的リード!守り切れるか!?』

 

 

 1000m地点を通過し、後続がコーナーに入っていきながら徐々に最終直線に向けて脚を整える中で、己の領域に突入したヴィクトールピストが、()()()()()()()()()()()

 

 領域に入っているのに、違和感を覚える。

 この時点で相当な異常事態だ。

 彼女はすべての牽制を無効化する状態に入っており、基本的にこの時間は己の好きなように走り抜けることが出来る。

 それが、違和感を伴うような事態が起きている。

 

 まず、ヴィクトールピストの前…第4コーナーに入ろうという地点で、一人のウマ娘が進路上で速度を落とした。

 わざとではないのは理解している。表情で分かる。大逃げが生む速度についていけていないのだ。

 実力不足。ヴィクトールピストは、そのウマ娘を避けるルートを探る。

 

(……邪魔、よっ!)

 

 領域に入っている以上、ヴィクトールピストはバ群すら拒む。

 垂れウマに巻き込まれることはない。反射で、最適解を導き出せるのだ。

 外─────だ。外に持ち出せと、己の本能は結論を出した。

 内によければ、その先に道がないとまず答えが出た。

 

 そうして、外に持ち出し、位置取りを上げて抜き去った先に。

 

(─────!?)

 

 さらに、もう一人ウマ娘が壁になる様に存在していた。

 こちらも相当に慌てている。その理由はヴィクトールピストにも分かる。

 

 何故なら、彼女は()()の作戦を得意とするウマ娘なのだ。

 ここで初めて、ヴィクトールピストはその奇妙な感覚に答えが出た。

 

(……!?さっき抜いたの、()()のウマ娘よね…!?)

 

 先行の作戦を得意としていたはずのウマ娘の前に、差しの作戦のウマ娘がいた。

 

 そして、そのどちらも動揺で上手く走れていなかった。

 何かが起きている。

 ヴィクトールピストはその第二のウマ娘も、外に向かって避けようとして、しかし本能がそれを拒み内に舵を切った。

 それがなければヴィクトールピストもまた、領域を発動したうえで()()()にやられていたであろう。

 何故ならその先、本命だとでも言うかのように複数名の動揺したウマ娘がいたのだから。

 

(……ッッ!!!そうかっ、これは……!!!)

 

 一呼吸おいて、ヴィクトールピストが広く視野を持ち、観察して、そして理解した。

 

 レースを走るウマ娘達、その位置取りがぐっちゃぐちゃになっていた。

 

 

 そして、これは、()()()()()()()()にとって引き起こされたものだと確信した。

 

 

 ああ、凄まじい。

 大逃げのサクラノササヤキ以外、その全てを巻き込むほどの、面影糸を張る蜘蛛のようなレースの支配。

 

 

 これが。

 

 

 これが、()()()()()()()一人によって、起こされている。

 

 

 

(──────10が右。……7、11、3にセット。4ダウン。3カット。2は……駄目か。流石はウィンキス、位置取りが完璧、動じない。……7行った、その先9カット。6足音…ヴィイちゃん、そっちか。無理だな、9ロック、シフト、7と11再セット、3と4終わり。8と11ブースト、13と14壁、5ダウン。16暴走。後1秒…牽制、今。10終わり。1は……遠い。ササちゃん止まってよ……4復活、させない、16流して、13壁ズレて、包んだ、4と16終わり────────)

 

 

 凍てつきそうなほどに冷静な思考の中で、マイルイルネルは孤独な詰将棋を同じレースを走る15名のウマ娘を相手に繰り出し続けていた。

 大きな耳をぐるぐるとソナーのように動かし続け、周囲の足音を、位置取りを、呼吸を読み続ける。

 彼女の武器である、冷静な思考と的確な牽制の才能。

 それが、ここドバイターフにおいて、満開の開花を見せていた。

 

 覚醒の原因は、推して知るべきであろう。

 昨年末の有マ記念で、彼女は見ていた。

 牽制技術を誇らしいほどに散らしあっていた優駿たちの姿を。

 ナイスネイチャを、グラスワンダーを、セイウンスカイを見ていた。

 

 それを見て、マイルイルネルの走りのスタイルが完成に至る。

 最大の武器である冷静な思考が最も効率よく使えるその技術に、至る。

 さらに、このドバイに来てからの練習では、ナイスネイチャのマンツーマンの指導の下、マイルイルネルのレース支配は凄まじい成長を見せ、ナイスネイチャのそれに肩を並べるまでに至った。

 支配度で言えば、シンボリルドルフにすら手が届き得る、至高のフェイバリット。

 

 彼女が、いや彼女に至るまでに日本が…シンボリルドルフに始まりネイチャへと繋がった、日本のレースの歴史が重ねた重みを含んだこの支配は、とうとう世界のウマ娘達に通用した。

 マイルイルネルへの注目度、警戒度が低い事……そして、サクラノササヤキの大逃げでペースが崩れたこと、ヴィクトールピストの追い上げで掛かり気味になったこと。

 そして、最大の要因はウィンキスと言う圧倒的なウマ娘が存在すること。

 それにより、走る全てのウマ娘のマークが、意識がおおよそ一つに向いたことで、牽制を差し込む隙が出来た。詰将棋に必要な道筋が立てられた。

 それを、ナイスネイチャと詰めに詰め、凝り固め、ここドバイターフに放たれた。

 それは圧倒的な攪乱力を持ち、このレースを走るウマ娘達の作戦も位置取りも粉々に粉砕した。

 

 

 このマイルイルネルのレースの支配に溺れなかったウマ娘は3人。

 

 大逃げにより、他のウマ娘の影響を受けずに己のビートを刻み続ける桜の囁きと。

 

 領域により、牽制も垂れウマすらも拒む帝王の時間を駆け抜ける勝利の山と。

 

 

 ──────そして、世界最強。

 

 

 勝負は、この4人に絞られた。

 

 

『さあっ!!もう間もなく最終コーナーですっ!!先頭を走るサクラノササヤキがただ一人最終コーナーに突っ込んでくるーーーーッ!!!しかし後続ッ!!飛び出してくるウマ娘は……3人!!伝説に恥じない走りだウィンキス!!末脚が放たれるッ!!速い!!!その後ろからマイルイルネルとヴィクトールピストも突っ込んできた!!!!この4人か!?この4人だ!!!残りは最終直線500mを残すのみッ!!!行ってくれチームJAPAN!!!』

 

 

 

────────────────

────────────────

 

 

「───────すぅ」

 

 

 ウィンキスが、最終直線に向かう直前に、一呼吸だけ息を溜めた。

 

 この最終直線に至るまで、凄まじい攻防が展開されていた。

 スタート直後のヴィクトールピストの出遅れと、サクラノササヤキの大逃げ。

 そして最初の1000m近い直線の中で、サクラノササヤキの走りを見て、これはラビットではないと直感し、方程式を修正した。

 ヴィクトールピストが追込の作戦も取れることをデータに入力し、方程式を修正した。

 マイルイルネルのレース支配力が彼女のチーフたるナイスネイチャにも並んでいることを察し、方程式を修正した。

 他にも混戦となったレース模様の、その全てのウマ娘の走りを把握し、方程式を修正した。

 

 これを全部、()()でやった。

 

 ウィンキスの方程式は、組み上げた上で、そこに走る最中には思考を用いない。

 全て反射で終わらせる。

 思考と言う無駄な工程を踏むことで、血中酸素を消費する。無駄な時間が生まれる。

 そのために、無我の境地で計算を済ませ、最適な走りを常にできるように、彼女は備えていた。

 ジュニア期の数回の敗北は、この技術の為に。己が反射でレースの方程式をくみ上げられるようにと試行錯誤をする中で重ね、そして反射をものにしてからは、敗北はない。

 

 

 絶対の勝利の方程式の証明に必要なものとは、何か。

 

 

 ────────走りのスキル?

 否。

 それはコースや位置取りで変わるもの。好調不調で上手く引き出せない物。

 不確定要素は排除する。スキルに頼らず、己の走りで速度を出せばいいだけの話。

 

 

 ────────牽制技術?

 否。

 それは相手の強さによって変わるもの。相手の強弱に効果を委ねてしまう物。

 不確定要素は排除する。牽制に頼らず、圧倒するだけの走りを見せればいい話。

 

 

 ────────領域(ゾーン)

 ()

 間違いなく否。入れるかもわからない物に頼ることほど不安定なものはない。

 不確定要素は、徹底的に排除する。周りが領域に入ってもなお、()()()()()()()()()()()

 

 

 不確定要素をそぎ落とし。

 己の体を研ぎ澄まし。

 相手からの牽制に意識されず。

 絶対の自信を元に。

 

 ただ、当たり前に末脚を繰り出して、当たり前に抜き去ればいい。

 

 

「………はっ!!」

 

 

 一呼吸息を溜めてからの、加速。

 ウマ娘がレースを走る際、誰もが当たり前にやることだ。

 たとえそれが小学生であろうとも、絶対にやる。最後の直線で思いっきり走る。

 当然で、必然の加速。

 

 そして、彼女が繰り出したその末脚は。

 他のウマ娘が領域に入った時の速度を、軽く上回っていた。

 

 

『ッ!?ウィンキスが来た!!凄まじい末脚だ!!これは速い!!……速すぎるッ!?これが世界最強なのか!?差し切られてしまうのかサクラノササヤキ!?マイルイルネルは、ヴィクトールピストは追いつけるのか!?ドバイの夜空に芝が舞うッ!!無慈悲にも先頭との距離が詰まって行きます!!』

 

 

 実況が叫ぶ。

 誰もが一目見てわかる、その絶望的な速度差。

 

 ウィンキスは、ここに至るまで────────なんら特別な走りのスキルも、牽制のスキルも、領域も使っていなかった。

 ただ、走っていた。

 普通に、当たり前にゲートを出て、当たり前に先行の位置取りをして、当たり前に牽制に抵抗し、当たり前に最終コーナーに臨み、当たり前に末脚を繰り出した。

 

 そして、それは。

 世界最強の、最速の走りとなるほどの、圧倒的な力の差がそこにあった。

 そこにウィンキスはなんら感情の高ぶりを感じない。

 1+1が2になるように、当たり前に勝利する。

 

 先頭のサクラノササヤキまでは後4バ身。

 後続からアガってくるヴィクトールピストとマイルイルネルとは、あと2バ身。

 

 ウィンキスは、その3名……やはりチームJAPANの精鋭たる3名が最終直線の相手になることを理解し。

 勝利の方程式の再計算を実行する。

 

 サクラノササヤキが突入が稀な領域に入ったとして。

 マイルイルネルがアイネスフウジンにも競り勝つ領域に入ったとして。

 ヴィクトールピストが、arima kinenで目覚めた第二領域に入ったとして。

 

 そして、ここ3カ月でさらなる成長を見せていたとして。

 

 

 それでも。

 

 

(───────────勝率、99%)

 

 

 己の勝利は、揺るがない。

 

 

 世界最強の()()()()()が、ドバイターフに放たれた。

 

 

 

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