【完結】閃光と隼と風神の駆ける夢   作:そとみち

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160 ぱかちゅーぶっ! ドバイターフ 前編

 

 

 

 

 

!!ぱかちゅーぶっ!!

 

!! GⅠ生実況 !!

 

!!ドバイ2連勝中!!

 

 

…なうろーでぃんぐ…

 

…なうろーでぃんぐ…

 

 

 

 

 

「─────っし、休憩も終わり!続いて始まるのがドバイターフだぜぇ!!チームJAPANの第三戦!!ここまで最高の流れで来てるからここもなんとか!!何とか続いてほしい所だ!!」

 

「一先ずはレース紹介だな。……ドバイターフ、芝1800mのレースだ。創設は1999年、ドバイデューティフリーという名称で開かれている。今のドバイターフに名前が変わったのが2015年でかなり最近だな。創設の年にはダート2000mのレースだったが、翌年より芝の1800mに変更となっている」

 

「芝に変わったことで世界中のそれっ位の距離を得意とするウマ娘達が一気に集うようになったんや。んでもってちょびっと距離変更とかもあったりしたんやけど、2002年には国際GⅠに昇格して、2010年からはメイダンレース場での開催に変更になって今がある、って感じやな」

 

「このレースにはおもしれージンクスがあってよぉ……何とこれまでの開催の勝敗データを見ていると、同着による1着がなんと2回も起きてるんだぜ!!GⅠで同着なんて本当に稀なのによ!!日本でも多分今現在まではダービーのブルボンとライスくらいじゃねーか?それなのに同じレースで2回も起きてっから、超激戦になることが多い……なんて言われてるな!!」

 

「日本のウマ娘もかなりの数が挑戦をしていて、過去にはアドマイヤルナが勝利してもいるな。決して日本のウマ娘にとって苦手なレースと言うわけでもない……勝ってほしいな、何とか…」

 

『解説助かる』

『解説のおかげで呼吸できるようになった』

『熱い解説助かる』

『歴史は相変らず浅いんな…』

『とはいえこのレースは早い時期から優駿集まってたんよ』

『GⅠになったのもめっちゃ早い』

『1800m走れるウマ娘多いもんな』

『短距離専門とか長距離専門とかじゃなければおおよそ走れる距離』

『かなり中距離寄りのマイルって感じ』

『同着が二回も!?』

『はえーすっごい』

『同着レースなんてブルライの日本ダービーしか見たことないや』

『写真判定でもピッタリ同着って本当に珍しいからね…』

『ドバイは同着判定に使うカメラ超高性能だから僅かな差でもちゃんと見えるぞ』

『夜に開かれるレースだから逆にその辺しっかりしてるよね』

『その上で2回か…』

『写真判定に持ち込まずにぶち抜けばええ!』

『それはそう』

 

「んでもって次は有力ウマ娘の紹介になるけどよー、日本の三人はこの生放送最初の頃にも話したし、知らねーヤツいねーだろーから大丈夫だよな?」

 

「チームスピカのヴィクトールピストと、チームカノープスからサクラノササヤキ、マイルイルネルやな。革命世代のダートのウララを除いた若手3人って感じやで」

 

「昨年それぞれがGⅠ勝利経験もあり…そしてもちろんの事、優駿だ。勝率や戦歴を見ればチームフェリスの3人が少し頭抜けてはいるが、しかし彼女たちはそれに何度も、諦めずに食らいついていった。負けん気ならば彼女たち以上だ」

 

「おーよ!!ヴィイの奴だってこのドバイに向けてマジで真ッ剣に練習してやがったからよ、気持ちは一番強いと言っても過言じゃねーぜ!!…ああいやファルコンも強かったか?まぁいいや!!そんなこんなでアタシたちチームJAPANの3人が挑むレースになる!!勿論その分勝ってくれる確率も普通に考えりゃ上がる!!────んだけどなぁ」

 

「……せやなぁ……」

 

「相手が、な……… チームJAPANにとって、極めて厳しい戦いになることだろう」

 

『おー!革命世代の中等部トリオ!!』

『ウララちゃんもやろがい!』

『革命世代の筆頭8人は綺麗に学年分かれてるよね』

『フフフシスターズとライアンが高等部2年、他4人が中等部2年だっけ』

『同級生も多いから横のつながりも強いんかな?』

『仲はすごくいいよね』

『ライバルでもあるが日常生活で仲悪いことはなさそう』

『ドバイ遠征も楽しそうにやってるっぽいしな』

『そういう所ほんとすこ』

『今日オニャのSR率高かったね3月は』

『ヴィイちゃんの有マの鬼の末脚があればやってくれるやろ……』

『ササイルはカノープスなんだよなぁ…』

『最近はカノープスだから勝てないってジンクス無くなったから…』

『実際有マのターボとネイチャ見たらもう何も言えん』

『普通に強いよね アイネスにだって勝ってるしレコードパなしてるし』

『叩き上げって印象が強いねカノープスの二人は』

『ん?』

『急に口が重くなるやん』

『芝 いや芝はやしていいのか?』

『何?』

『気持ちわかる海外レース下調べ勢のワイ』

『やべーやつがいんの?』

『ここ2戦もやべーやつじゃなかった?』

『いやまぁ……ね……』

 

「おー、このレースに挑んでくるライバルがよぉ、ホントーにやべぇんだわ!!世界一番人気、圧倒的な得票率になってるウマ娘紹介してくぜ!!オーストラリアのウマ娘!!ウィンキスだぁ!!はいフリップドーン!!」

 

「コメント欄の皆もパソコンかタブレットの前にいるのだろう?よければ戦歴を調べてみてほしい。戦慄するだろう……短距離のブラックベルーガと並び、オーストラリアにおいて彼女はマイルから中距離では絶対の名をほしいままにしている。世界最強のウマ娘、と言っても誰も異を唱えまい。全盛期の私が、得意とする日本のレース場で今の彼女に挑んだとして、どうかな……際どい、と言う言葉では表せないほど、苦戦は必至だろうな」

 

「32戦26勝。GⅠ14勝や。もうこの時点で頭おかしいやろ。オペラオーがグランドスラム達成したあの1年をプラス1年半回ったようなもんやぞ?クラシック中盤からは敗北無し、全部勝利。シンプルに強すぎるわ……それに、オグリにも負けんくらい走るスパンも短いんや。もうなんつーか……体全体がタフなんやろな。フィジカルエリートっちゅーやつや」

 

『戦歴見た は?』

『1着がずらりと並びすぎてて芝はやすしかない』

『戦歴おかしい…』

『なんだこいつ…』

『誤解恐れず言うけどオーストラリアのレベルが低いとかそういう話…ではないよね?』

『※ドバイ以外の世界のレースでウィンキスに負けてるオーストラリアウマ娘の勝利経験多数』

『オーストラリアは国土も広くレースもめっちゃ盛んだから基本的に強いウマ娘が育つところよ』

『そこで……この戦績なんですか……?』

『モンスター……』

『ってか走るスパンが普通に化物』

『それでケガもなく走ってるのはどういうことなの……』

『よっぽど強い領域を使うのか、はたまたネイチャみたいな策士タイプか、大逃げか?』

『アイネスねーちゃんみたいなチート領域持ちだったりすんの?』

 

「おー、コメント欄も気にし始めたからよ、やりたくなかったウィンキスの走りの特徴についての解説も始めるぜー。ちゃーんとアタシがサブトレーナーとして過去の走りのデータも調べて作ってきたやったぜ!!はい次のフリップどーん!!!」

 

 

【ウィンキスの強み】────────【速い。】

 

 

「……いや手抜きやろがい!!前のレースまでは結構真面目な領域解説フリップ作ってたやろゴルシ!!まぁこう書くしかないってのもわかっとるが…!!」

 

「……あー、解説を加えよう。実を言うと、ゴールドシップの示したこれが本当に答えなのだ。ウィンキスは、既にシニア期を2年も迎えた熟達したウマ娘だが……領域に、入った事がない。いや、牽制も飛ばしていないし、何か特別な技術……例えばそう、私のコーナー技術や、タマモクロスで言えば中盤の滝登りのような加速、ゴールドシップで言えば下り坂で一気にスタミナを回復するような……そういう技術も用いないのだ。ただ、当たり前にスタートを出て、当たり前に先行の位置取りをキープし、牽制に抵抗し、最終コーナーから加速して、勝つのだ。………それが、他のウマ娘が技術や領域を駆使してもなお追いすがれない速度となる。………これがどれほど恐ろしい事か分かるだろう。隙がない事と同義だ。ヴィクトールピストと同じ、私にとっては最も相性が悪いウマ娘の一人だな」

 

『はー!』

『はーなの!』

『ちょっと何言ってるかよくわかりませんねぇ……』

『つまり……ただ走るだけで勝ってる……ってコト!?』

『どんな体してんだ』

『何か特別なことをするわけでもないからそれを潰したりもできないってことね』

『無敵かよ』

『無敵だよ(事実)』

『成績がそれを物語っている…』

『怖すぎる……』

『いやだが革命世代だぞこちとら!!』

『1戦目も2戦目も下バ評覆してきてるんやぞ!』

『きっと3人の誰かが勝ってくれる!』

『俺たちはそう信じている!!』

 

「おー!!コメント欄のヤロー共その意気だぜぇ!!確かにめちゃくちゃ強敵だ!けどよぉ!革命世代ってのはそんな相手に挑み続けて強くなってきたんだ!!少なくとも気圧されるようなことはないはずだぜ!!」

 

「ああ、その通りだ。2連勝を見てここに至り、私も心の底から言える。たとえ相手が世界最強だろうと、革命世代ならやってくれると…!」

 

「ウチらはもう信じて応援することしかできないんや!!最後の一瞬まで全力で応援したろうや!!」

 

『うおー!!頑張れー!!』

『ヴィイー!!ササイルー!!みんな頑張れー!!』

『あの三人ならやってくれる!!』

『むしろ格上食いなら最も得意としている所』

『日本の三連勝を任せたぞ…!!』

『がんばれー!!!』

『テンション上がってきた』

『やってくれる…はず!』

『勝ったな風呂入ってくる』

『ゲート前に集まってきたところやろがい!!』

『現実逃避はいけない』

『絶対に目をそむけねぇからよ…頑張ってくれ…』

 

「ヨシそんじゃ解説は終わりだー!!ゲート前にウマ娘達が集まってきやがったぜぇ!!」

 

「芝コースのレースでは初めてのナイターになるな……ん、出てきたな。ウィンキスだ。…………パーフェクトだ。その脚の仕上がりに、綻びの一つも見られない……強いな、やはり」

 

「それでもやってくれるって信じとるで…!!……ってか、立ってるだけで周りのウマ娘が委縮し始めとんぞ。やってるわけでもないんやが……それほど、ってことなんやろうな」

 

『うわ出た』

『出たわね』

『もうなんか立ち方に風格出てんな』

『調子ぃ……悪くなさそうですねぇ…』

『尻尾の揺れがメトロノームみたいに規則的』

『落ち着いてんな……』

『自信があるんだろうね』

『お』

『来た!』

『チームJAPAN登場!!』

『うおー!!ヴィイちゃーん!!』

『頑張れヴィイちゃーん!!』

『ササちゃんビート刻んでいけぇ!!』

『イルイルー!!今日も一杯おみみ動かして行けー!!』

 

「チームJAPANの三人も出てきたな!!…っと、スゲェ歓声だ!!期待されてるぜ…!!流石に二連勝してるだけあるな!!」

 

「ああ……だがしかし、ウィンキスの気配に呑まれかけているか…?……ん、いや、切り替えたな。いい顔だ。ああ、彼女たちがよく見せる表情だな。挑戦者の顔をしている」

 

「秋華賞と有マで見た顔やで!!せやな……アンタらもとんでもないバケモンと戦ってきたんや。気合で負けんなや!!」

 

「……っとぉ!?ヴィイのやつ、ウィンキスに声を掛けに行ったかぁ!?なんつークソ度胸だ!!確かに英語はできっけどよぉ!!」

 

「……挑戦者として、決闘の手袋でも投げつけたかな?わずかだが、ウィンキスが楽しそうに尻尾を一振りしている。よくやる……流石は革命世代だ」

 

「おっしゃその意気やヴィイ!!ササイルも絶対負けんなやー!!ファイトやー!!!」

 

『気合入ってるな3人とも』

『事前にウィンキスの情報は当然集めてただろーしな』

『いやそれでもメンチまで切れんのはすげぇよ』

『ヴィイちゃんこれまでにも強敵としか走ってないからな……』

『フラッシュ…アイネス…ライアン…凱旋門…有マ……』

『経験が活きたな』

『ササイルも負けていませんよ』

『この二人何かやらかしそうな雰囲気』

『頑張ってくれ…マジで』

『ゲート入り始まる』

 

「よっしゃゲート入りだぁ!!あたしを擦れ!!摩擦熱でファイヤーさせてみろぉ!!ゲン担ぎ続けていくぜぇ!!!」

 

「君もまたメンタル強いな……」

 

「ま、ゲート入り自体は順調やな。逃げのササヤキが一番内枠を取れてるのはデカいで。……ああ、このヴィクトールピストの隣に入ったプッシュウィズ、これもドバイの経験が多いウマ娘でそれなりに危険なんよな。ま、コイツとならチームJAPANの方が上やと思うが…」

 

『開き直りやがって』

『どうしてもゲート入りを擦ってもらいたいのか?』

『この欲しがりさんめ』

『口はこう言ってるがこっちのゲート入りは素直だな』

『怯えろ!竦め!』

『ゲートに入れぬまま落ちてゆけ!』

『スタートが遅れてるのね』

『ゴルシがゲート入りしないのなんて日本じゃ当り前よ』

『お前が……ゲート難だ!』

『それでも入りたくないゲートがあるんだああ!!』

『このウマ娘……戯れている!!』

『ゴルシさんかい!?ゲート入りが遅い!遅いよ!?』

 

「ガンダムネタとなったらすぐに足並み揃えやがって…。っさて、今最後のウマ娘がゲートに入ったぜー」

 

「始まるな……1800m、ドバイターフ………今スタート!!……なんと!?」

 

「オイオイオイオイ!!!サクラノササヤキがぶっ飛ばして大逃げやんか!!最っ高のゲート反応やで!!やるなぁアイツ!!」

 

「っておぉい!?ヴィイがスタート出遅れたか!?最後方からのスタートになってやがるー!!」

 

『!?』

『ササちゃん行ったか!?』

『えっすげぇスタート…』

『サイレンススズカみたいでやんした…』

『カノープスのサイレンススズカ』

『ターボ()』

『ってそっちに気を取られてたけどヴィイちゃん!?』

『うわ今最後尾か!?』

『やっちまったか!?』

『うわーキツい!?』

 

「っ、ヴィクトールピストは隣枠のプッシュウィズにゲート内で牽制を飛ばされたな…!コンマ数秒ゲートから出るのが遅れたようだ…!……こうなると、どうなんだ?ゴールドシップ、彼女は」

 

「せやな、スピカのウマ娘なんやからゴルシがきっちり教えてたんやろ?その辺は。ヴィイはどの作戦でも走れる器用なタイプやもんな、ウチみたいに」

 

「あったり前のパーペキよーぃ!!勿論ゴルシちゃん流の追込タクティクスを指導済みだぜーっ!!ほれよ、スタートで出遅れる可能性はいつだってあるじゃん?そういう時に冷静になって落ち着きながら追込に切り替えて走る練習はちゃーんと身につけさせてるぜっ!!去年はフランスで1か月以上アタシとの併走ばっかりだったんだからよー!」

 

「ほう……成程、確かにいい走りだ。最後方からの戦い方が出来ている、動揺もない…これは、悪くないぞ?むしろ出遅れて最後方に位置したことで、彼女の最大のウィークポイントである領域が発動するまでの牽制の集中が無くなっている!世界のウマ娘にとっては彼女が追込で走れるなど知らないからな…!!」

 

「おー、ウチの目から見ても中々の追込の走りやないか!!やるやんかゴルシ!!こりゃヴィイもまだまだ期待できるで!!んでもってササヤキは大逃げぶっぱ、イルイルは差しの位置で悪くないポジションをキープできとるな!レースはこっからやー!!!」

 

『お、何とかなりそう?』

『日本が誇る優駿たちの熱い解説助かる』

『ヴィイは出遅れがむしろ功を成したか』

『塞翁がウマ……ってコト!?』

『実際出遅れて最後尾に堕ちたらそっちに牽制しかけるウマ娘はいないやろうし』

『なおそのウマ娘は追込の作戦もできる模様』

『逃げも先行も差しもできる模様』

『そして追込を教えたのがゴルシというね』

『期待と不安がすごい』

『期待が100%で不安も100%という謎の感情』

『頑張れヴィイちゃん…!!』

『ササちゃんはぶっ飛ばすな!』

『あーれやってますわ』

『キメてる(ターボ因子)』

『逆噴射する前に逃げ切っちまえ!!』

『イルイル君はいつものポジションって感じね』

『彼女こそ冷静なレース展開が売りだしな』

『面白くなってきた』

 

「これよー、ヴィイみてーにササヤキのやつも功を成してねぇか?日本であんなことやったら速攻潰されるけど、最初のコーナーに入るまでを見ても……牽制が余り飛んでねぇ。多分、ラビットに間違われてるんだ」

 

「……だな。世界の一般常識で言えば、大逃げと言う作戦はあり得ない。それをするものはチームの為に貢献するラビットとしか思われないだろう。しかし日本では大逃げで強いウマ娘が複数存在している……無論の事、このサクラノササヤキの走りも、己の勝利の為に駆け抜けているそれだ。駆け抜けるだけのスタミナも、ドバイで鍛えこんでいるのだろう」

 

「これ、後続めっちゃ荒れるで。ササのことラビットだと思ってペース配分する世界のウマ娘と、関係なくマイペースをキープするウィンキスと、惑わされてない日本の二人……牽制得意なヴィイとイルイルがいるわけやろ?中盤はこの大荒れに巻き込まれたら終わりやな。…っと、ホレ。今ちょうどヴィイが上がるついでにプッシュウィズを潰しよった」

 

「見事な睨みだったな。プッシュウィズは先ほど潰したと思っていたはずのヴィクトールピストが意に介さず反撃してきたことで相当に動揺し、掛かってしまったな……掛かりはこれほどハイレベルなレースでは一手で致命傷になる。彼女は厳しいか」

 

「そしてまずここでヴィイが領域に突入したぜっ!!練習の成果が出てやがる!!マイルレースなら500m地点からゴールまでずっとデバフに抵抗し続けられるぜっ!!バ群の乱れにもめちゃんこ強いしよー!!こりゃ日本に取っちゃ悪くねぇ流れだ!!」

 

『流れ…来てるぞ』

『ササちゃんの大逃げは珍しいけどペースすげーな!?』

『あれが出来るほどに鍛え上げたんやろな…』

『ヴィイちゃんも冷静に位置を上げ始めた』

『追込でも動じてないな』

『サスガダァ…』

『領域きたんか!?』

『出たイージスの盾』

『ヴィイちゃんが領域入ると大体その後好きに走ってるのわかるよね』

『周り殆ど見なくなるからな』

『そのままウィンキスもぶち抜いてってくれー!!』

 

「ウィンキスは全く動じてないぜ……こうして俯瞰で見てるから分かる最適解の位置取りをずっと続けてやがるって感じだな!!コーナーに入っていく!!1000m通過タイムは56秒5!!速っええ!!」

 

「大逃げ、ばっちりハマっとるな……20バ身近い差が出来とるで、こういうのはワンチャンあるんや。有マのターボやスズカみたいに最後の脚を残せてれば、これはウィンキスだろうとまったくわからんで…!!」

 

「───────────」

 

「お、お……中団のウマ娘達が随分動き始めたな?最終コーナーに最適な位置取りで……ん、おん?動きがおかしくねーかぁ?なんで下がってんだアイツ?……あん?」

 

「おぉ?なんやコレ………あり得んやろ、先行のウマ娘がずるずる下がって……差しのウマ娘がアガっとるやんけ!そりゃ壁や!!ヴィイも……そっちはアカンぞ!!内……に行ったなぁ!!偉い!!偉いがしかし、なんや?何が………ん…─────なぁルドルフ。これ、やっとんのか?」

 

「……ああ…絶句してしまった。この混乱は……全て、マイルイルネルが引き起こしている。間違いない」

 

『何!?何が起きてんの!?』

『集団ぐっちゃぐちゃじゃない?』

『素人目に見てもわかるおかしさ』

『実際に走ってるウマ娘も混乱の最中』

『ヴィイちゃんが領域突入済みでよかった…』

『ウィンキスは動じてないか?』

『ってこれイルイル君の仕業なん?』

『え、マ?』

『マ?』

『イルイル君やってんな!?』

 

「…今、10番に牽制を飛ばした、同時に7番と11番と…3番か?いや……ん、7番のウマ娘が負けじと抵抗したがその前の9番……いや、11………待て、待て待て。そこまで視野が広くなっている、のか……!?……凄まじいぞ、今日一番の驚きだ……どこまで、どこまで読んでいるのだマイルイルネル…!?そこまで詰めてこのレースに挑んだか…!?」

 

「はははは!!珍しいもんが見れてるぜぇ……会長の冷や汗なんてよぉ!!やってんなぁイルネルのやつ!!いやっ、これすっげぇわ!!詰めてきたなぁ!!」

 

「ウチにはもうわからんレベルや!!元からイルイルは牽制得意で周りを見る冷静さが武器やったが……そうか、覚醒したんや!!こないだゴルシらが走った有マ記念、あそこで見せたネイチャの支配力をイルイルが叩き込まれたってことやろ!!そうでないとこんなん説明がつかんわ!!ネイチャも同伴ウマ娘としてドバイに行っとるからな、二人と南坂トレーナーで、研究し尽くしてきたんや…!!」

 

「……ああ、くっそ、羨ましいな…!!私があそこにいられないのが悔しいよ!!見事だマイルイルネルッ!!これで距離のあるサクラノササヤキ、領域に入っているヴィクトールピストと、絶対王者ウィンキス以外は……潰れた!最終コーナーに入り4人の叩き合いになる!!」

 

「っしゃこっからだぜェーーー!!!行けーーーーッッ!!ぶっ飛べーーーーー!!!」

 

『イルイルすげええええ!!!』

『カイチョーが絶賛するほどか…』

『ものすごい獰猛な笑顔を見せていますね会長』

『現役時代の気性が蘇る』

『ぱかちゅーぶのウマ娘現役時代に戻りがち』

『いやでもこれ完全にヴィイとイルイル抜け出した!!』

『ササちゃんがコーナーを一人だけ回っていくゥ!!』

『ターボを彷彿とさせる走り!』

『そのまま逃げ切れーーーーっ!!!』

『ウィンキスが来る!来る!!』

『その後ろからヴィイちゃんたち来てる!!』

『行けーっ!!チームJAPAN!!!』

『世界最強に負けんなーーーー!!!』

 

「行ける!!行けるで!!ササもまだ勢い落ちとらん!!ヴィイとイルイルもいい位置や!!これはあるで!!」

 

「よし、行け!!勝てるぞ、そのままだ!!3人で行けっ!!」

 

「コーナー抜けたっ!!こ────────は?」

 

「───────な、」

 

「────────────嘘、やろ……」

 

『は?』

『はっや』

『ウィンキスが来た!!』

『はや』

『え、これ』

『終わった』

『頑張れ!!』

『うわ』

『ぎゃあああああああああ!!!』

『速すぎんだろ……』

『行けええええええええ!!』

『ぎゃああ差が一気に詰まるうううううう!!!』

『駄目なのか…?』

『これが世界最強……』

 

 








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