【完結】閃光と隼と風神の駆ける夢   作:そとみち

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165 ぱかちゅーぶっ! ドバイシーマC 前編

 

 

 

 

 

 

 

!!ぱかちゅーぶっ!!

 

!! GⅠ生実況 !!

 

!!ドバイ3連勝中!!

 

 

…なうろーでぃんぐ…

 

…なうろーでぃんぐ…

 

 

 

 

 

「……っと、そろそろだな!!ヨシ!!興奮冷めやらぬってところだけどそろそろ次のレース始まりそうだから解説から始めるぜー!もう時間も日にち跨いじまったけど全ッ然眠くならねー!!テンション爆上げで行くぜーーーっ!!」

 

「こんなレースを見せられて眠れるはずもない……目が、頭が冴えきっているよ。現役時代ぶりに夜更かし気味になってしまいそうだ」

 

「ホンマやな、いつの間にか明日になっとるわ。これ明日…いや今日のレース出走する子たちは難儀やな……流石にテレビ見ないで早く寝とるか?どーなんやゴルシ、明日の大阪杯なんかはウオッカとスカーレットが出るんやろ?」

 

「おん?おー、勿論二人には気になるのは分かっけど早く寝ろって言ってあるぜー!!明日はアタシも付き添いお願いした教官と一緒に引率しなきゃならねーからな!!飛行機使って朝9時出発だからよー、ゴルシちゃんちょっとだけ明日は寝不足気味の予感だぜー。まー何とかなるだろ!!」

 

『もうすぐシーマクラシックか』

『ここまで来たら全勝行ってくれるやろ』

『だが相手は油断できない強敵よ』

『俺たちは全力で応援することしかできない』

『全然眠くない定期』

『ここで寝るやついる!?』

『いねぇよなぁ!?』

『あーそういや明日大阪杯か』

『流石に明日のレース出るウマ娘達は寝てるやろ』

『起きたらびっくりするやつ』

『ウオッカもスカーレットも今談話室でみんなと一緒にテレビ見てるけどね@ミラクル奇術師』

『おい起きてるぞあの二人』

『オイオイオイ』

『死ぬわアイツら』

『リークされるのウケる』

『1レースだけ見て寝る予定だったのかな?』

『明日走るウマ娘達はよ寝ろ』

『寝れません!!』

『寝ろ』

『ゴルシも無理しないでね』

 

「おう。フジキセキのリークでうちのチームの二人が起きてることが判明したんだがよ?……寝ろォォォ!!!お前ら二人は今日GⅠだろうがァァァ!!!起きてんじゃねぇー!!!アタシがトレーナーに怒られんだかんな!?!?」

 

「いや、しかし最早ここまでレースを見てしまっては今寝るのは無理ではないか…?気になって文字通り寝付けなくなってしまうだろう」

 

「やったなぁ?……せめて全部レース見たらすぐに寝るんやぞ、応援してくれとるファンもおんのやからな。まーでも過ぎたことはしゃーない!ほれ、レース解説いこうや!」

 

「おー、しょうがねぇなホントにもー。……さってと。そんじゃドバイシーマクラシックのレース解説だぜぇー!!1998年に第一回のレースが開催されてるぜ!!名前は一番最初はドバイターフクラシックって名前だったんだけど2000年からシーマクラシックに変わってるぜー」

 

「2410m、芝のレースだな。10mという半端な数字はメイダンレース場が一周2400mピッタリのコースであり、ゴールとスタートを一緒に配置できない分、10mの端数が生まれているというわけだ。ベルモントステークスも同じような理由で2414mとなっている」

 

「このレースは国際ウマ娘連盟のレーティングでもかなり上位に位置しとる相当格の高いレースやで!!そんだけ力自慢のウマ娘達が集まってくるってわけや!!ちなみに凱旋門賞がランキングではよく一位になって、日本だと天皇賞秋や有マ記念も同じくらい高評価を受けることがあるで。確かおととしは天皇賞秋がレーティング世界4位だったはずや」

 

「GⅠになったのは設立から少ししてからだけどよー、その前にもその後にも日本のウマ娘が一着を取ったことが何度もあるレースだぜ!!ドバイターフと同じで芝が日本のそれに近い高速バ場だから力を発揮できる環境にあることはまちがいねーぜ!!」

 

「だが、無論の事世界中から猛者が集まり、さらに言えば日本の最大のライバルともいえるあのウマ娘も参加している。油断は出来ないレースだな。では次に出走ウマ娘の紹介……と、失礼………ん……ん?……ぷっ、ははは!」

 

『解説助かる』

『ありがたい…』

『これで呼吸が出来た』

『芝2410mっつーと中距離の限界みたいな感じの距離ね』

『スタミナも問われる距離なんやな……』

『アイネスねーちゃんとかも得意な距離だよね』

『挑むのがフラッシュとライアンだから安心感がすごい』

『日本ダービーでも有マでも好走してたからな…』

『行ける!はず!』

『日本のレースそんなにレーティング高かったんか…』

『日本のレースは世界的に見ても賞金も高くレベルの高いウマ娘が集まるんだ』

『◆知らなかったのか────────?』

『ほえー普通に知らなかった』

『とはいえまだ世界的には実力が及んでないって言われてるね』

『今夜でひっくり返るけどな』

『今半分くらいひっくり返ってるところ』

『全部返してやろうぜ!』

『ん?』

『ルドルフどした?』

『ウマホ取り出した?』

『何?何の笑いなのぉ!?』

『まさか激ウマギャグを思いついてしまって───!?』

『ミュートにしなきゃ』

『芝』

 

「ん?どーしたよ会長。この時間に生放送やってて連絡入れてくるやついんのか?」

 

「深夜やぞ?誰やそんな空気読めとらんやつは。ってかルドルフも何わろとんねん」

 

「ああ、いや……すまんな。どちらかと言えば最高に空気を呼んだ連絡が来たよ。そうか、ゴールドシップは生放送中に個人用ウマホを撮影機材に使っているし、私に連絡が来たのだな………なんと、話題沸騰の立華トレーナーからの連絡だ」

 

「あァ!?猫トレから!?何やってんだあの人!?」

 

「ってかこの放送見とんのか!?……ああ、いや見とるかもなぁ?控室で再生してる分には別に影響もないやろし。おー見とっかーお前らー?ホンマ、日本中大盛り上がりやぞ!!この先も頑張るんやぞ!!」

 

「ふふ、ここでの応援が少しでも力になっていることを祈ろう。そして、LANEに来たメッセージだが……何と、ウマ娘の安眠のツボを押すコツを送ってきてくれたよ。ウオッカとダイワスカーレットの話を耳にして送ってきたのだろうな、なんとも彼らしい。後でゴールドシップとフジキセキのLANEにも転送しておくよ。フジキセキ、二人の事は任せるぞ」

 

「ぶっはははは!!!あの人ホンットウマ娘の世話焼いてねーと死んじまうのかぁ!?ったくよー、そんだけ余裕もあるってことかねー。あーアホらし…ったく、バカなやつ。こんだけ余裕こいてボロ負けしたらただじゃおかねーからな猫トレよぉ!!」

 

『猫トレ!?』

『クッソ芝』

『芝』

『猫トレやってんなぁ!?』

『どのタイミングでの連絡なんだこれは…』

『もうウマ娘達が控室出たタイミングじゃない?』

『送り届けてからこの生放送見たらって感じなのかね』

『ようやる』

『ウマ娘の安眠のツボ…そんなものがあるのか』

『猫トレだしそういうの覚えてても違和感ない』

『猫トレだしな…』

『了解、レースが終わったらちゃんと寝かしつけるよ@ミラクル奇術師』

『普通に人間にもございますよ安眠のツボ』

『猫トレのテクなら効きそう』

『知りたい…そのツボ知りたいいいい!!』

『これでウオダスは安眠が約束された…』

『よかったよかった』

 

「なんや猫トレのおかげでちっと興奮落ち着いたわ。あの人アホやで。…って、と。そんじゃ改めてウマ娘の紹介に入ろうや」

 

「だね。さて、このドバイシーマクラシック、日本からは2名のウマ娘が参戦している。既にレース前の時間で紹介しているから改めての詳細な説明は不要だな」

 

「革命世代の三冠ウマ娘エイシンフラッシュ!!日本初クラシック期宝塚記念勝者メジロライアンっ!!この二人が世界に挑むぜっ!!どっちも確かな実力あるウマ娘だぁー!!アタシなんかは有マで走った仲だな!!いやーこいつら強ぇんだわ!!マジで!!」

 

「知らない人はもうおらんやろ。さて、そんな二人と相対する世界のウマ娘の中でも、有力候補を一人紹介するで!!つってもこっちもちょっと前の頃からレース見とる人にはご存じの顔やけどな」

 

「紹介しよう。フランスから参戦したウマ娘……ブロワイエだ。この名前を聞いて震える人も多かろう。エルコンドルパサーの挑んだ凱旋門にて、僅かな差で日本の一位を奪い取ったウマ娘だ。ジャパンカップでスペシャルウィークとも戦い、そこではスペシャルウィークが勝利している」

 

『フラッシュとライアンだ!!』

『もう見た』

『CMで見た』

『ダービーでレース場で見た』

『うらやま!』

『この二人もとにかく優駿よ』

『結果はフラッシュが出してるけど毎回それに食らいついてるライアンも猛者なんだよなぁ…』

『ライアンはチーム移籍があったんだっけ?』

『せやね 小内トレーナーのチームレグルスに入ったはず』

『前の専属トレーナーが産休らしいからね』

『あのトレーナー美人でファンだったんだよなぁ…』

『祝い事だから祝って差し上げろ』

『レグルスでも楽しくやれてる感じの事ウマッターで呟いてたね』

『来たなブロワイエ』

『ブロワイエだああああああああ!!!』

『こいつはヤバい』

『シンザンレースファンのワイ、知らない顔』

『当時の凱旋門を見ろ』

『あの凱旋門賞は悔しかったなぁ』

『あと半バ身だった……』

『スペちゃんがリベンジ決めてくれた時は叫んだよマジで…』

『あのジャパンカップは伝説よ』

『日本総大将!』

『でもそういえばジャパンカップの後のブロワイエどうなったか知らないや』

『現役長いんな』

『いうても黄金世代の一つ後の世代だしね彼女』

 

「おー、ブロワイエの事知ってるやつもやっぱ多いな!!スペと走ったジャパンカップの時点じゃクラシック期だったんだけどよ、その後シニアに行ってからなんと凱旋門賞を連覇してやがるぜー!!とんでもねぇバケモンだ!!」

 

「日本やドバイのような高速バ場よりも、フランスのような長く深い芝に脚があっているのだろうな……あの凱旋門賞で連覇というのは尋常ではない。その後のレースでも好走をしており、連対率も極めて高い」

 

「安定した実力のあるウマ娘やで。最近日本でもよー語られとる体幹がそれこそしっかりしとるんやろな。指一本で逆立ちして腕立て伏せ出来るレベルらしいからな噂やと」

 

「会長が言ったように、高速バ場は得意としてねーんじゃねぇか?って所が今回のドバイシーマクラシックでは光明かもしれねーけどよ、それにしたって一切気の抜けないウマ娘だぜ!!なんてったって世界の頂を二度も見てるんだからよー!!」

 

「ああ、だがあの二人ならば油断も一切ないだろう。勝ちきって、日本全勝の夢を繋いで欲しい所だな」

 

「やな!!…おー、そんな話してるうちにゲート前にウマ娘達がよう集まってきよったでー。花火もよう上がるわマジで……お!!チームJAPANの二人が出て来たで!!」

 

『凱旋門賞連覇ってマ?』

『こいつヤバい』

『未知の怪物じゃなくて既知の怪物なのがコワイ!!』

『ジャパンカップで負けたのは高速バ場の影響なんか?』

『わからん…あの時のスペ極まってたからな…』

『フェリスみたいな加速してたしなあの時代に』

『油断はできない相手ってことね』

『まぁそれは全員そうなんやけどなブヘヘヘ』

『何わろとんねん』

『お』

『フラッシュとライアンが来た!!』

『落ち着いていますね』

『緊張してる?』

『頑張れー!!差し切れー!!』

『二人とも差し戦法だからな』

『差し切り!差し切り!!』

『今日オニャで逃げ切りシスターズVS差し切りバスターズやってたねそういや』

『差し切りバスターズは芝』

『何それ面白そう…』

『オニャンコポンのナイトプールの頃やね』

 

「ん!!二人とも調子はよさそうだぜ……連勝のプレッシャーもあるかと思ったが出てきた感じそこは問題なさそうだな!!流石は猫トレと小内トレーナーだぜ!!」

 

「ああ、立華さんは言うまでもなく、小内トレーナーもレグルスで多数のGⅠ勝利を経験している敏腕トレーナーだからな。あの二人がよくケアしたのだろう。……だが、ああ、やはりこうなるな……危惧はしていたが」

 

「やんなぁ……他のウマ娘全員からもうマークされとるわ。逆の立場だったら絶対やるし当たり前やな……チームJAPAN、それ自体への警戒度が三連勝で爆上がりしたからなぁ。二人はこのマークの中で走り抜けなきゃならんのやな」

 

『小内トレーナーも中央トレーナーの中でも変人寄りだからな』

『デカいし光るし』

『DX小内トレーナー(小売価格1980円)』

『芝』

『有能トレーナーだいたいどっか変だからな…』

『今猫トレの事言った?』

『今沖野の事言った?』

『今南坂の事言った?』

『今初咲の事言った?』

『しまったな…チームJAPANのトレーナー全滅じゃないか』

『SSがおるやろがい!!』

『全滅じゃないか(沈痛)』

『あとでSSに怒られるやつ』

『ってか雰囲気ヤバ』

『うわぁ』

『全員がぁ……二人をにらんでますねぇ……』

『勝ち続けると、周り全てが敵になる(CM感)』

『三連勝だもんなぁ…』

『そんだけ日本が注目されているという事の裏返しでもあるが』

『世界の優駿全員から狙われちまうのか…』

『流石に二人にだけって話にはならないだろうけどそれでもなぁ』

『それでもフラッシュとライアンならやってくれる!!』

 

「牽制についちゃー日本にも得意とするヤツ多いし、そんな相手と走り抜けてきたアイツらならやってくれる!!そう信じるしかねぇんだもう!!」

 

「だ、な。私と肩を並べ……いや、意地を張るのはやめよう。私を超える牽制の長たるナイスネイチャとマイルイルネル、そんな二人とも競い合い、併走を果たしてきたであろう彼女たちならば。きっと勝ってくれるだろう。生徒会長として、心からそう信じている」

 

「おう、一人のウマ娘としてはどうなんやルドルフ?」

 

「………殺伐激越。本気の牽制を見せてやるから早くドリームに上がってこい二人とも」

 

「ぶははははは!!!現役時代の素が出そうになってんじゃねーか会長!!ったくよー、ドリームあがっても落ち着かねぇんだから……最近そんなウマ娘多いけどなー。革命世代のせいだぜ絶対。……ま、そんなアイツらだからこそ、アタシ達も信じられるんだ。祈ろうぜ……お!!ゲート入りだ!!よっしゃお前らぁ!!わかってんだろうなぁ!!!」

 

『会長がネイチャとイルイル君を認めた…!』

『エモかよ』

『それだけの走りを二人とも見せたもんな……』

『と思ったらこれだからよぉ!!』

『芝』

『会長!!親しみやすいことを目指す人がしちゃいけない顔してます会長!!』

『テノヒラクルー』

『クッソ芝』

『目に毒なんよね革命世代の走りは』

『強くなりたくなる…』

『おゲート入りだ』

『オイオイオイ』

『死ぬわゴルシ』

『ほう…ゴルシのゲート入り擦りですか』

『たいした拒みようですね』

『1日に複数回のゲート入り擦りはネタ切れが極めて高いらしくネタに困るコメ民もいるほどです』

『なんでもいいけどよォ』

『相手はあのブロワイエだぜ』

『それにフラッシュとライアンのゲート入り』

『全く不安のない入りです』

『北半球と腹筋でバランスもいい』

『ゴルシのゲート入りとは全く違うというほかはない』

『ゲン担ぎよし…と────』

 

「ネタ切れして来てんなお前ら!?でも頑張れ!!アタシの事もっと詰って!!もっといじめてぇん!!もっとぉ!!」

 

「待てや。それ以上そっちの方面の声出すなやゴルシ。テンション上がっとんのは分かるがこの生放送BANされたらどうするねん!!割と歴史に残る放送やぞこれェ!!」

 

「この瞬間のコメントの皆の連携はすさまじいな……っと、そんな話をしているうちにゲートに各ウマ娘が収まったようだ。始まるな……日本の4連勝、願わくば!!」

 

「……っスタートしたぜ!!!揃ったスタートだぁ!!展開は……波乱はなし!!今回はどうやら大逃げのウマ娘はいねーようだな!!全員がある程度塊になりながら進んでいくぜっ!!」

 

『また』

『はじまた』

『いけーっフラッシュー!!』

『ライアン頑張れー!!』

『スタートはよし!!』

『さあどうなる…!?』

『あっバ群がまとまってる』

『全員が距離を取らない走りになりましたねぇ…』

『これはあれか?牽制目的か』

 

「…ちっ、早速牽制が飛んどるわ。フラッシュとライアンに比重が高い…!!二人とも落ち着いて自分のポジションはキープできとるが、中々に厳しいで!!」

 

「やはりブロワイエだけとは言わず、全員が世界の優駿だ……走り一つ一つを見て、見事なものだと感嘆してしまうな。位置取りや加速が世界レベル…と表現してもいい。コーナーに入って行ったが、そこでも減速が見事に抑えられている」

 

「フラッシュはいつも通りフェリスコーナリングで減速を極力落としてるなー、ライアンもいい感じ……ってか、ライアンがスゲーいい感じじゃねーか!?これまでのレースじゃ大体コーナーではフラッシュとかに譲ってたが今回はいいぞ!?」

 

「おん!?ってかライアンは全く動じとらんのやないか!?あんだけ圧かけられてあの走りは表彰もんやぞ!?ルドルフ、どう見るあの走り!?」

 

「っ、なんと……いや、凄まじい抵抗力だ!ヴィクトールピストのように無力化しているわけではないにせよ、しかし全く意に介さない!!何と力強い走りだ!!……いや、彼女はそうか、思えばこれまで革命世代の抜身の刀のような牽制の中を走り抜けて来ていた。余りにも重苦しいレースを走り続け……慣れた、のか!?くっ、流石だよ革命世代!!」

 

『うおーやられてる!!』

『すげーはっきりわかる』

『明らか周囲が二人に注意してんだね』

『後ろの子たちがめっちゃ睨みつけてきてる…』

『横も前も明らかにフラッシュとライアンの位置意識してるね』

『流石に壁にはならないけどちょっとすごいなこれ』

『でもコーナーで二人とも落ちてねぇ!』

『スタミナが削られているのでは…!?』

『フラッシュはコーナーで脚を溜めつつ加速できるから…(震え声)』

『菊花賞とかそんな感じだったね』

『ってかライアンもすげぇな』

『いい速度だぁ…』

『ライアンの位置が少しずつ上がってるか?』

『周りの子がなんかびっくりしとる』

『ライアンに驚いてるのか?』

 

「いやこれライアンがすっげぇぞ!?むしろフラッシュがちっと効いてるか!?だいぶ大人しい感じだぜ…フラッシュの得意な牽制もあんまり周りに出してねーな!!やられちまってるか!?」

 

「…どうかな、これが普通のウマ娘ならば心配もするところなのだが、あのチームフェリスだぞ?彼女は。絶対に何か牙を隠し持っていると私は見る」

 

「やんな。ただ……それにもましてライアンがええぞ!!向こう正面に入ったがあんま牽制効いてるって感じじゃないわ!!こーれライアンの方があるか!?ただその後ろブロワイエがついてっとるなぁ!!ブロワイエのマーク対象はライアンになったか…!!」

 

「……1000m通過!!タイムは60秒1、落ち着いたタイムだぜ!!少しフラッシュが後ろに下がり気味で、ライアンはむしろ向こう正面で位置を少し上げてる感じかー?」

 

「だな。エイシンフラッシュへの牽制がある程度減っている……海外のウマ娘は牽制が彼女には効いたと判断したか。甘いぞ、チームフェリスを無礼るなよ。間違いなく彼女は来る」

 

「こっからは最終コーナーに向かって息を整えるところやなー……ってぇ!?オイオイオイオイ!!ライアンが一気に上がってっとるぞー!?そこからその加速は無茶やないかー!?」

 

「ウワーッ!?ライアンのヤツ掛かっちまってねぇかー!?まだ900mはあるんだぜぇ!?」

 

「……いやっ!?その後ろからブロワイエもアガってきた!!これは確信のある位置取り押上げだ!!走っている二人にしか感じられない何かがあるのだ!!!あの二人がこの大一番で判断を誤るものか…!!」

 

『うわー!?』

『ライアンそれは暴走では!?』

『やっちまったか!?』

『ブロワイエも来たー!?』

『なんだこれ!?』

『いやでもライアンも革命世代だ…!!』

『このまま走り切るつもりじゃね?』

『無茶だろ』

『革命世代に無茶という言葉があったか?』

『革命世代だからな…』

『やるのか……ライアン!!』

『タブーを犯すのか!?』

 

「一気にレースが動きやがったぜぇ!!二人の位置の上りで周りのウマ娘が一気に動揺してるぜっ!!」

 

「ライアンが掛かったと思ったらブロワイエがついてったんやもんな…!!そりゃ驚くで!!そしてその隙にほぼほぼ先頭集団までアガっていきよった!!フラッシュはまだ最後方や!!これフラッシュは相当きつくないか!?」

 

「……っ、10バ身以上は先頭とついてしまっているか!?厳しい、残り距離も600mを切る…!!ここからライアンとブロワイエが万全に末脚を発揮したならば、フラッシュの位置からは追い切れない…!牽制が刺さってしまっていたか!?」

 

「でもってここでブロワイエがまず領域に入りやがったぜェー!!!とうとうラストスパートの勝負っ!!クッソ!!流石だなぁあの加速!!ジャパンカップ思いだしてやんなるぜったくよォ!!」

 

「シンプルに強い領域や……あの位置からライアンの領域は入れんのか!?ほぼ先頭集団─────ッッ!?なんやぁーーーーーッ!?ライアンの体がヤバいで!?!?」

 

「何だ!?あの筋肉の膨張…ッ!?目で見て分かるレベルの其れッ……突入した!!ライアンの……あれは新たなる領域か!?第二……いや、領域自体が進化している、だと!?」

 

『うわああああああああ来るうううううう!!』

『フラッシュは来ないのか!?フラッシュは来ないのか!?』

『いやこれ絶望的な距離』

『フラッシュは厳しいか…!』

『溜めすぎちまったか!?』

『うわーこうなりゃライアン頑張れ!!』

『ライアン!!ライアン!!!』

『いけーっ!!革命世代ーっ!!』

『ブロワイエがきたあああああ!?!?!』

『うわまたなんか見えた』

『凱旋門に佇む獣…?』

『ベルーガちゃんとかファルコンと同格かよぉ!?』

『ブロワイエがはえええええええ!!!』

『ライアン粘れーっ!!いけーっ!!』

『ライアンもいった!?』

『ライアンが来た!!』

『あの位置取り上げからその加速ゥ!?』

『ライアンが来たああああああああああ!!!』

『筋肉……!!』

『何だあの筋肉!?』

『今体が膨れ上がったぞ』

『幽遊白書で見た』

『体ヤバい』

『俺が最後に見るSEXYはライアンだ』

『その闘力いかなるウマ娘も防げない』

『いったああああああああああああ!!!』

『これは二人の勝負か!!』

『うわーーーーライアンいけええええええええええ!!!!』

『勝てる!!加速は互角!!!』

『行ってくれー!!!日本の4連勝を…!!!』

 

「凄んげぇ走りだ!!300m加速してから600m全力疾走かよぉ!?こりゃあるぜ!!ライアンとブロワイエの一騎打ちになったッ!!残りのウマ娘はその速度に追いついてねぇ────────は。……ぁ?」

 

「───な、んだ……と?」

 

「……ここで来たかフラッシュゥ!!!領域の同時発動ッ!!!これを狙っていたんか!!とんでもない加速……いや待て!!待て待て待て待てェ!?!?自分それ2000m近く走ってから出していい速度やないぞォ!?」

 

 

 

 

 




長くなりすぎたので分割です。
どうやっても筆が伸びて15000字を超えてしまう。書く方もテンション上がりすぎ。



以下、閑話。









 夜の10時。
 普段から生活リズムは規則正しく、早寝早起きを基本とする寮生活のウマ娘にとっては消灯時間である。
 無論の事、この相部屋の二人も己の布団に入り、何とか眠りを迎えようと努力していた。

 ダイワスカーレットと、ウオッカだ。

「────────」

「────────」

 明日は二人とも、大きなレースを控えている。GⅠの大阪杯だ。
 勝負の相手はまさしくライバルたる隣のベッドで眠る彼女。
 しっかりと睡眠をとり、完璧なコンディションで望まねばならぬレースである。
 無論の事、二人ともそれは分かっている。
 わかっているが、だからこそ、今日は何としても眠らなければならない。
 早くに、意識を落とさねばならなかった。
 明日を迎えねばならなかった。

 例え、今日のこの時間に、ドバイで革命世代が走っていたとしても、だ。

「────────」

「────────」

 二人とも、本当に真摯に、眠るための努力はしていたと言えるだろう。
 8時の時点で、既に二人ともウマホの電源は落としていた。
 ウマホを起動できる状態にあったら、間違いなくそちらを気にしてしまい、それでウマッターやぱかちゅーぶでも見ようものならもう眠れないと知っていたからだ。
 だからこそ努力した。ストレッチなどをして、早くに風呂に入り、トイレも済ませて、いつもの時間にベッドに横になっていた。
 幸いにして季節は冬。寒い時期に、暖かい布団で体も温まっていけば、いつもの様に安眠に至れたであろう。
 勿論、革命世代を、チームJAPANを応援する気持ちもあり、メッセージなども送り、チームメイトの勝利を祈る気持ちもあるが、それはそれ、これはこれだ。
 自分たちのレースの為に、眠らなければならなかった。

「────────」

「────────」

 10時を少し回る。
 二人とも、努力の甲斐あってか、十分に睡魔が襲ってきており、このまま意識を落とせば朝まで眠れていただろう。
 そうあるべきであった。
 そうありたかった。

 だが、二人はとても大切な、一つの事を忘れてしまっていた。
 それが敗因であった。
 ()()をつけて眠るべきだったのだ。


 10時12分。



『ッワアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!』



「────────!!」

「────────ぅ、…!」

 聞こえてしまったのだ。
 寮の、談話室のあたりからの大歓声が、二人の部屋にまで届いてしまった。

 ここは栗東寮、ウマ娘達が生活する建物である。
 人間と比べて耳が良いウマ娘達が静かに安眠できるよう、勿論のこと壁は防音処理を施されており、普通の大声程度であれば個室にまでは響かないのだ。
 だが、その歓声は桁が違った。
 みんなの熱狂が、聞こえてしまった。

「…………あー、ウオッカ。起きてる?」

「……起きてるよ。いい感じに眠れそうだったのによ……くそ、起きちまった」

「アタシもよ。……今何時?」

「……10時13分。……アルクオーツスプリントの時間、か」

「そうね……アイネス先輩、勝ったのかしら……」

「……俺らをブチ抜いた先輩だぜ?勝つに決まってる……わかってんだ。絶対、チームJAPAN全勝だよ。結果は分かってる。先輩たちが負けるもんか……」

「そう、よね……だから、アタシたちは、明日の為に寝なきゃ……まだ全然、寝る時間はあるものね……」

 布団に横になったまま、歓声が耳に残ってしまったダイワスカーレットとウオッカが小声でやり取りをする。
 歓声により、意識が覚醒してしまった。
 微睡まで達していた意識が、覚醒してしまったのだ。

 もう一度目を閉じる二人。
 しかし、目を閉じることでより一層、音に集中してしまう。
 ウマ娘が音に集中してしまえば、僅かな音も拾えてしまう。

 談話室の声が。
 盛り上がる、ウマ娘達の声が。
 そして、何よりも自分達だって応援したいという気持ちが。
 次々と湧いて出てきてしまっていた。

 そして、横になった二人の内、一人が冷静に計算を始めてしまった。
 睡眠時間の計算を。
 今はまだ10時。明日のレースは15時に控室にいればいい。
 朝9時集合。8時に起きて身嗜みすれば全然間に合う。

 ─────0時くらいまでは、大丈夫?

「……………」

「……………オイ」

 無言でベッドから身を起こしたダイワスカーレットに、ウオッカが咎めるように声をかける。
 そんな音すら察してしまう。

「………トイレよ。……ちょっとしたら、すぐに戻るわ」

「……あー。……ちゃんと戻って来いよ」

 そうしてダイワスカーレットは、パジャマの上に一枚はおり、部屋を出て行ってしまった。
 ウオッカはそれをへっ、と咎めるように見送ったが、目論見はバレている。
 少しだけ談話室に顔を出して、様子を見てくるつもりだ。

 まぁだが、しかし、アイツは優等生だ。
 流石に明日にGⅠレースを控える、アイツにとっては復帰戦でもあるそれに真剣に参加するだろう。
 そりゃオレだって見てえさ。明日レースがなかったらマジで見てえ。談話室でみんなと応援してぇ。
 けどゴルシにだって言われてるし、沖野トレーナーにも怒られちまうし、自分のレースだって大切だし。

 ……つってもまだ10時なんだよな。
 よく考えれば、朝9時出発でそこそこ余裕はあるんだから、ちょっとくらいは大丈夫なのか?

 ……いやいや駄目だって。よく考えろ。見始めたら絶対止まらなくなる。
 今だって意識したら思わずウマホに手を伸ばしかけちまいたいくらいなんだって。
 日本中が応援してる、チームJAPANのレースなんだ。そりゃ見たいって。
 アイネス先輩が、ウララ先輩が、同じチームのヴィイ先輩が、ササ先輩とイルイル先輩が、フラッシュ先輩が、ライアン先輩が、ファルコン先輩が、世界で…きっと、勝ってくれるのをそりゃ見たい。
 けどオレらには明日が────────って。

「あの野郎戻ってこねぇじゃねぇか!!」

 トイレには長すぎる、10分の時間が経過してもダイワスカーレットが戻ってこなかったのを察してウオッカが飛び起きる。
 絶対談話室だ。戻ってくる気がなかったのか、はたまた凄まじい何かでも見てしまったのか。
 しかし、とにかく明日レースを走るライバルが全速前進で寝不足に向かっていることを察し、ウオッカはそれを咎めるために己も談話室に向かう。
 上着を手に取り、無意識でウマホを手に取り、部屋を飛び出した。
 談話室にいるであろうスカーレットを叱って、ちゃんと寝るように言ってやらなければ。




 ────────30分後。

 そこには談話室でテレビ画面を食い入るように見つめるダイワスカーレットとウオッカの姿があり。
 そして、画面の向こうでは、ハルウララが激走を果たしていた。

 おめでとう。
 今夜はもう眠れない。




 !夜更かし気味!になった………。



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