先程までは11月初旬に開催されたJBC、ダートレースについて書き記した。
続いては、芝のGⅠについて記述していこう。
この月に日本で開催される芝のGⅠは3つ。
エリザベス女王杯。
マイルCS。
ジャパンカップ。
(この3つのうち、チームフェリスが参加したレースはマイルCS、アイネスが挑んだレースだけね…とはいえ、他の2つも大波乱。全部活動記録には書き記しておくべきね)
まずは暦通り、エリザベス女王杯の結末から書き記すことにした。
参加した主なメンバーは、革命世代からはサクラノササヤキ。
シニアの上の年代からはダイワスカーレットと、連覇を目指すメジロドーベル。
サクラノササヤキは天皇賞秋からほぼ連闘のようなスパンとなったが、しかしそこは流石のカノープス、サブトレーナーのイクノディクタスが見事に脚の負担管理を行い、ササヤキは万全の状態で出走することが出来ていた。
さて、そしてこのレースの決着だが、三番人気であったサクラノササヤキが見事に上の世代をぶち抜き、一着を勝ち取った。
(このレース、有力ウマ娘が少ない……と言ったら失礼だけれど、実際にはスカーレットとドーベルに分があると見られていた。スカーレットは第二領域にも目覚めていたからね。私も7割くらいの確率でどっちかだ、と思っていたけれど……ササヤキが、まさかの進化を果たすとは、ね)
私はレース映像を再生しながら当時のレースを振り返る。
まず、前にヴィクトリアマイルで見せたように、逃げの先頭集団はサクラノササヤキとダイワスカーレットがバチバチにやりあった。
今度はササヤキもペースを乱されることなく、道中は互角と言ったところ。
後続集団で脚を溜めているドーベルが中盤からアガっていき、最終コーナーにおいては3人が勢い有。
しかしラストの直線でダイワスカーレットが第一領域に加え、第二領域【Queen's Lumination】に開花。
速度を上げ続けるその領域の効果で、先頭を走っていたサクラノササヤキとの距離を一気に縮め、そのまま差し切りの末の逃げ切りを決めるかに見えた。
だが、そこでサクラノササヤキが覚醒する。
最終直線で何かを呟いた彼女は、領域【トキノサエズリ】を、さらに進化させた、時を支配する領域──────【
(あの領域、極めて特殊な効果……間違いなく彼女のオリジナル。ペース走法の果てに、あんな領域に目覚めるなんてね……)
サクラノササヤキの新領域の効果は、極めて稀なそれだ。
ヴィクトールピストの【
景色が全て、
いや、こう書くと比喩表現の何かか、と感じられるが、しかしこれは事実である。
あのレースを走っていた全てのウマ娘、および領域が目に見えるレベルのウマ娘やトレーナー、その全てがそれを目撃した。
走っている全員が、景色が、スローモーションになったかのように見えた。
そんな中で、実況だけが通常通り流れる様な、異様なる違和感。
だが、その領域は無論の事、サクラノササヤキもスローモーションになっている。
全員が一律にスローの世界に入っているのであれば、速度的なアドバンテージは生まれない。
しかし、だからこそ、この領域の真の力はそこではない。
(目に見える全てがスローに見えながら、思考は通常通りの速さで……つまり、
さて、簡単に想像してみてほしい。
全力疾走中に、急に意識がクリアになり、自分の走り全てを含めた周囲の光景がスローになるのを。
どうする?
次に一歩踏み込む脚への力配分はどうすればいい?
いつスローが元の時間間隔に戻るかもわからない中で、どう走る?
視線は?体重移動は?踏み込んだ瞬間に通常の意識に戻ったら、踏み込みを違えてしまわないか?
そんな葛藤を走る全員が浮かべるには十分なそれであろう。
己の意志ではない。
己の精神的な高まりによるものではない。
強制的にスローの世界に引きずり込むえげつない領域効果。
(実際にスローになった間隔は、1秒強……と、言ったところ。けど、終わりは突然にやってくる。スローの世界が開けた瞬間の動揺で……スカーレットとドーベルは踏み込みを躊躇って、加速が鈍った。そして、進化した領域の副次効果で躊躇いなくスムーズに加速したササヤキ。ここでまたレースはひっくり返った……)
そしてその勢いのままに、サクラノササヤキがドバイでも見せた獣のような執念でトップを譲らず、クビ差で先着しゴールを割った。
カノープスの久しぶりのGⅠ勝利。ササヤキの執念が風穴を開けたレース。
またしても革命世代の強さを見せつけたレースとなった。
(第二領域…ではなく、己の領域を進化させたタイプと言えるわね。メジロライアンのような。突入条件は相変らず高難易度のままだけど、入ればそれだけで距離も何もかも関係なく、特殊なデバフを叩き込みつつ自分は加速する……全く、恐ろしい効果だわ。見てるだけでも頭が混乱するわよ、実況は普通に聞こえるんだから)
これでゼロの領域には至っていない……否、むしろ魂の輝きとしてはサクラノササヤキとマイルイルネルは輝きが少ないウマ娘の側に位置する。
私の目から見た所感になるが、やはり強いウマ娘は魂も輝いて見えるものだ。それが一般的で、基本だとは考えていた。
しかしこの世代、この日本には……そう、ササヤキとイルネル、あとはフジマサマーチやノルンエースなど、魂の輝きとは関係なく、凄まじい力を生み出しているウマ娘がいる。
これがなぜなのか、その子達に共通する何かがあるのかはわからないけれど……いい事なのだろう。
魂だけが全てではない。
ウマ娘は、想いを籠めて走れば、強くなる権利があるのだから。
(…あ、そういえば……)
私はふと、記録には記さない部分で一つ、当時の出来事を思い出した。
ササヤキがレースを走り終えて学園に戻ってきてから、とある人にレースの内容、領域の力について根掘り葉掘り聞かれているのを遠目にして、何だったんだ?と首をかしげたのだ。
そのとある人とは、
基本的にレース内容には口出ししてこないはずの彼女が、なぜかササヤキの見せた領域【
あの人が帽子の下にとある秘密を隠していることは知っている。
なにせドバイで部屋を共にしたのだ。たづなサンだけではなく、理事長についても既に私は秘密を知るところで、勿論誰にも言うつもりはない。お互いに何かあればフォローしあうことでお約束を頂いている。
まぁ、彼女もそうである以上、自分の若い頃を想い出したのかもしれない。
もしかすれば、領域の質が彼女の其れと似ているものだったのかもしれない。
……まぁ、それの真偽は分からないし、私もそこまでは興味を持っているわけではないのだが。
(……エリザベス女王杯の記録はこれでおしまい。さて、次は……アイネスが挑んだマイルCSね)
私は白湯で喉を潤してから、次のレースの記録に入った。
────────────────
────────────────
マイルCSに参加する有力ウマ娘は3名。
(アイネスの他、挑んできたのはマイルイルネル……と、ダイタクヘリオス。まぁ、エリ女と同じ、連覇を狙うシニアと、カノープスからの参戦、って感じね)
マイル1600mのレースにおいては、3人とも脚は慣れている距離。
大逃げのヘリオス、それを追うアイネス、最後に差してくるイルネルの勝負になるか、という前評判で行われたレースだ。
(当然、アイネスはやる気十分、万全な備えで出走した……けど、やっぱりレースに絶対はない。このレースは兄さんも零してたわね……
私はマイルCSのレース映像を再生しながら、当時のレースを振り返る。
レース前、チームミーティングで一番のライバルとして注意するべきはダイタクヘリオスだ、という結論が出ていた。
彼女も革命を目の当たりにし、そして大逃げの走りを見事に仕上げて来ていた。レース前の仕上がりはアイネスと遜色がないほどに。
だからこそ、それを捉えるペース配分、差し切るタイミングなどを事前に組み立てていた。
さて、しかしそうなると革命世代のイルネルはどうなのか?という話になる。
勿論こちらも要マーク対象で、アイネスの走りを十全に理解しているウマ娘だ。しっかりと注意はしていた。
しかし、6月にあった安田記念での彼女の走りを私も兄さんも見ている。
1600mの距離、マイルイルネルにとっては微妙に足りないと思われたその距離。
苦手だとは口が裂けても言わないが、しかし、完全な適性を果たしているアイネスやヘリオスに比べれば、一寸適性が落ちる。
蜘蛛の巣のような支配力においても、大逃げのヘリオスやそれに続けるアイネスには効果は薄い。
油断しなければ、逃げ切れるだろう。
────────という私達の読みを、あの子は見事に上回ってきた。
レース映像を注視する。
1000m地点、この時点で明らかに位置取りがおかしい。
ヘリオスが先頭を走り、その次がアイネスでやりあっているのだが、その1バ身後ろに既に先行集団が走ってきているのだ。
その足音が逃げの二人にとっては圧になりうる。
イルネルの支配だ。魅惑のささやきも交えて、彼女はレースを走る逃げ二人以外の
大逃げにすら対処しうる支配力を持ち得ていた。
(そして、それだけじゃない……あの安田記念の敗北を経て、1600mのレースがむしろ最も得意な距離になる様に、夏合宿で仕上げていたのね……適性が二段飛ばしで上がっていたわ)
マイルイルネルの走りは完成されていた。
前情報では全く読めなかったその走り。このレース、この距離だけに焦点を当てて挑みに来ていたのだ。
当然に事前に収集していた全てのウマ娘の情報を活かして、己が一着を獲れるように。
その相手が例え、暴風の化身のアイネスであっても。
(でも、まだ分からなかった。ヘリオスは大逃げが崩れたことで際どくなったけど、アイネスには残り300mのゼロの領域がある。あれさえ決まれば、1600mのレースにおいては80km/hに近い速度だって出せた……ん、だけれどね)
当時、愛バを見守っていた兄さんも、私も、まだわからない、勝てる、と思っていた。
ここまでやっても、私達が磨き上げたアイネスの走りは陰らない。
最終直線に出て、ラスト300m、後ろから領域に突入して迫るイルネルの気配を察して、アイネスがゼロの領域─────【零式・
暴風の狂乱。
その暴風は、後ろから迫るイルネルの足並みを確かに乱す……はず、だった。
だが。
その瞬間、マイルイルネルは。
────────他のウマ娘を、風よけのシールド代わりにした。
(……あんな対策手段があったなんて。いえ、やられてみれば成程、としか思えないけれど……コロンブスの卵を見事に割って見せたわ、彼女は)
レース支配によって掛かり気味に走っていた先行のウマ娘。
その走るルートは、マイルイルネルの支配下にあり、彼女にルートを誘導されている。
そんなウマ娘を、マイルイルネルは、己とアイネスを結ぶ導線に配置したのだ。
アイネスの領域から生じるものがあくまで風であるならば、それと己の間に障壁を建てればいい。
理外のスリップストリームによって、マイルイルネルは己の末脚を一切削がれることなく、残り200m地点でベストポジションをキープした。
(そして、それがトリガー。彼女もまた、ササヤキと同じく……いえ、ネイチャと同じく、ね。己の完璧なレース支配をきっかけに、領域を進化させた)
残り200m地点からぶっ飛んでいくアイネスフウジンが、体力を根こそぎ奪われたヘリオスを差し切って、しかし隣を走るマイルイルネルを引きはがすことは能わなかった。
マイルイルネルの従来の領域からさらに加速を上乗せした、進化した領域─────【
マイル戦においての最速の上り1ハロンを刻んだデッドヒートは、イルネルの獣の咆哮が勝り、ハナ差で彼女が勝利した。
アイネスフウジンは二着。大逃げのペース配分をミスったダイタクヘリオスは7着だった。
(……レース前から、この勝利のためだけに……熱を、作戦を、執念をため込み爆発させたイルネルの勝利。やられた、って感じよ。本当に……カノープスは、いつ来るかわからない。だからこそ最強の伏兵の名が相応しいわね……うん、完敗ね)
強かった。
革命世代であることを、勝利することで見せつけた。
やはりあの二人も、間違いなく革命世代なのだ。
勝つために、限界を踏み越えてくる。
(……ホント、油断ならないわ)
レースを終えた後の映像、観客席でエリザベス女王杯に続いて南坂がまたしても見せた特大のガッツポーズを眺めて、苦笑を零して映像を停止した。
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さて、あとは11月最後のGⅠ、ジャパンカップ。
ここは芝の2400m、中距離を得意とする代表的なウマ娘が集まってきていた。
(うちのフラッシュは、有マ記念に脚を万全に備えるため…出走は回避したけれど、それにしたってこのレースも実力者が勢ぞろい。恐ろしいレースになったわ……)
革命世代から出走したのは、ヴィクトールピストとメジロライアン。
上の世代からはウオッカ。
また、とうとうこのジャパンカップにおいて、クラシックウマ娘も参加を表明し、ベイパートレイルとデアリングタクトが参戦している。
日本の全世代から、最有力候補のウマ娘が集っていた。
(でも………ええ、このレースは、持ってかれた、と表現してもいいわね。世界最強の名を取り戻しに来た、あのウマ娘に……)
しかし、このジャパンカップは国際招待レースだ。海外からの参加が当然にしてある。
そんな中で、やはり、このウマ娘が日本へのリベンジに参戦していた。
ウィンキス。
(……ドバイターフでヴィクトールピストに僅差で敗北。その後、オーストラリアでまた連勝を上げ、挑んだ凱旋門賞ではフラッシュに敗北、ヴィイと同着。日本へのリベンジにはうってつけの舞台に挑んできたわね……)
改めて彼女の戦歴も書き起こしつつ、しかし、凱旋門賞については触れておく部分がある。
あのレース、実を言えば、ウィンキスはかなりのハンデを背負っていた。
いや、ハンデと表現するのは少し不適切かもしれない。しいて言うならば、もし彼女がチームフェリスにいたならば解消されていたかもしれない、そのハンデ。
彼女は、ロンシャンレース場の深い芝を、得意としていなかった。
(走っている道中を見たけれど、ウィンキスの脚は明らかに高速バ場への適性が高く、あの芝の上では十全に脚が発揮できない。オーストラリアの、ドバイの、日本の芝の方が合うでしょうね……そうね、凱旋門で見せた実力は、強いて言うなら芝を走るプリンスと似たようなくらいかしら。万全ではない……その結果の3着なのだから、恐ろしさしかない。そんな子が、ジャパンカップに殴りこんできた)
あの凱旋門では我らがフラッシュが勝利したことは先ほど書き記したが、しかしその勝利によってウィンキスの恐ろしさは一切損なわれない。
いや、むしろその敗北の悔しさをさらに力に変えて、世界最強が日本に挑みに来た。
(……映像を見ましょうか)
私はジャパンカップの映像を再生する。
様々なドラマが生まれた、あのレースを。
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────────【永久に流れる飛行機雲】
ベイパートレイルが、クラシック期の激戦を潜り抜ける中で目覚めた己の領域に突入した。
最終直線400m、追い越しによりそこから加速し続ける、彼女らしさを表した領域。
飛行機乗りのような勝負服を身にまとう彼女は、その領域でこれまで無敗で走り抜けていた。
その走りは飛行機雲のように一直線に真っすぐに。
躊躇いなく芝を踏み抜いて、ゴールに向けて一目散に。
(────────ッ、これが!)
そんな彼女が踏み込んでいった世界は、さて、何と表せばいいだろうか。
ベイパートレイルの表情に、冷や汗が浮かんでいる。
否、その隣から同じように伸びてきたデアリングタクトもそれに近い表情だ。
デアリングタクトは史上初の無敗のティアラ3冠を成した優駿。
同年に無敗の三冠ウマ娘が二人生まれるという快挙を成した、優駿コンビ。
デアリングタクトもまた、己が持つ領域に突入し、末脚を発揮して、最終直線に挑もうとしていた。
(────────これが、革命世代っ……!?)
だが。
そんな二人が、初めて味わうシニア級。
初めて味わう、革命の頂。
革命世代が、何故革命世代と呼ばれているかを─────二人は、身に染みて味わっていた。
「は───あああああああああああああッッ!!!」
ヴィクトールピストが、ゼロの領域に突入し、吹き飛ぶような加速で駆け抜ける。
その勝利への執念は、最早想いを超えて呪いになり得るほどの、凄まじい迫力。
「甘いぜヴィイ先輩ッッ!!この府中の2400mで、もう二度と、俺は負けねェッッ!!!おっしゃあァァッ!!!」
そして隙間を縫うようにして後方からぶっ飛んできた流星は、ウオッカの突破力。
第一領域に連なる様に第二領域に突入し、脚の馴染んだこの府中を全速力で駆け上がっていく。
「逃がすかァッ!!去年の宝塚の再現だウオッカちゃんッ!!!ガアアアアアアッッ!!!」
さらに後方からもう一つ、熱源が迫っている。灼熱を背に感じる。
それはメジロライアンの筋肉が生む熱。重戦車に追い立てられるような恐怖を、ベイパートレイルとデアリングタクトは味わった。
殺伐たる、殺意すら交わしていそうなほどのぶつかり合いを、彼女たちは初めて味わった。
そして。
そんな、比類なき優駿たちの圧にこらえながらも、二人が走る先。
先頭を走るウマ娘が。
世界最強の、ウマ娘が。
鼓動をどくんと一つ鳴らして、己の領域に突入した。
『無駄です、ヴィイ。ライアン。ウオッカ。……このレースの勝率、100%!!』
────────【
とうとう放たれる、世界最強の領域。
残り距離も、走るバ場も、最高の状態で放たれてしまった其れは────ゼロの領域に勝るとも劣らない、暴虐の王たる走りを生み出す。
その圧に、後方から挑むすべてのウマ娘が委縮を覚えてしまうほど。
「……くっ!!まだ、ここからよウィンキスさんッ!!」
「府中で二度と遅れは取らねェッ!!待ちやがれぇっ!!」
「恐ろしい圧…けど、力で圧し通るッ!!」
そして一瞬の間に、圧を弾き飛ばしてさらに加速する3人。
その姿に、ベイパートレイルとデアリングタクトは、自分たちの挑む頂の、誇りを見た。
勝ちたい。
その想いが煮詰められた末に見せる、美しさすら感じられる、その走りを。
(これだ…僕が勝ちたいのは、これなんだっ!!僕だって!!負けるかぁッッ!!!)
(諦めないっ!!私だって、世代のプライドがあるっ!!絶対に、最後まで諦めないッ!!!)
そして、それに追いすがる。
連なる様に限界を超えていく。
例え先頭を走るウィンキスの背が遠く離れていこうとも、それを追いかける先輩たちとの距離が詰まらなくとも。
それでも、超える。
まず、ここで己の限界を。
そして、いつかは彼女たちをも。
─────レースに決着はあっても、勝ちたいという想いに果てはない。
『混戦!!激戦!!大接戦ッッ!!!残り100ッ!!先頭のウィンキスがさらに前傾して加速ッ!!追いつけるか日本のウマ娘は、革命世代は、無敗三冠ウマ娘コンビは追いつけるのかッ!?もう距離がない!!これは速いッ!!1バ身差が埋まらないッ!!やはり怖かったウィンキス!!復讐者が成し遂げるッ!!今ッウィンキスが一着でゴーーーーーーールッッ!!!世界最強のその肩書に偽りなしッ!!!リベンジはここにありッ!!!やられましたッ!!激戦となったレース、しかし一着はウィンキス!!日本の大一番は、革命返しの決着となりましたっ!!』
────────────────
────────────────
(……隙が無い。そう、ルドルフは表現したけれど……本当にウィンキスはそれ、ね。今にして振り返れば、ドバイの一戦が奇跡的すぎた……ウィンキスが万全に走った時に、果たして今後も追い縋れるか……いえ、でも、あの子たちは全く諦めていないからね。まだ成長できるはず。強い想いがあれば、きっと)
レース映像を停止して、決着を改めて書き記す。
ウィンキスが速い段階で位置を上げ、最終コーナーを回り終えるころには既に先頭に立ち……そのまま、残り400m地点で領域を展開、後続から追いすがる日本の優駿たちを一蹴しての一着。
強すぎた。小手先ではどうにもならない、圧倒的な強さ。
それを、リベンジにやってきた日本で、とうとうウィンキスが見せつけたというわけだ。
(これでヴィイとの戦歴は1勝1敗1引き分け。並んだわね。元々ササイルとは1引き分けのままだから、これでドバイ勢との負け越しはなくなったというわけね。フラッシュが唯一勝ち越してるけれど……今から来年が怖いわ。またいつかレースで一緒しそうね。備えないと……)
将来のその光景に恐怖しつつも、しかし日本のウマ娘だって見事な走りであったことは間違いない。
特に、クラシック世代の二人だ。無敗三冠の二人が初めて敗北したこのジャパンカップというレースで、しかし、二人が得たものはとても大きなものだっただろう。
その後のインタビューで、先達が見せてくれた革命の火を、自分達も起こしていきたい……と、前向きな表情で語った二人が、この後もさらに成長して自分たちの世代に挑んでくることは想像に難くない。
全く、ライバルがどんどん増えて困ったものだ。
この二人は有マ記念への出走も既に発表している。果たしてどんなレースになる事やら。
(……そして、レースで一着を勝ち取ったウィンキスもまた、スプリンターズステークスの二人、ブラックベルーガやミサイルマンと同じく、その後1週間のトレセン学園への体験留学を実施した、と)
今後恒例になるであろう海外留学もその後きちんと実施されている。
ウィンキスとミホノブルボンが出会い意気投合する一幕や、なぜジャパンカップに来なかったのです、とササイルコンビのお尻をひっぱたくウィンキスの姿が見られたりと、中々のイベントも発生していた。
この交換留学は、日本だけではなく世界で実施するべきだろう。遠征を繰り返し、他の国のウマ娘と交流することで得られる見地、見える景色があるはずだ。
私が日本に来て、大いに学びを得ているように。
学生の時から、そんな素敵な出会いがあれば、とても素晴らしい事だから。
(……うん、それじゃあ、11月のレースについてはこんなところね。あとは12月分をまとめたらおしまい、と)
長かった活動記録も、あと一息だ。
私はぐっと背を伸ばしてから、最後の記録を埋めるべく、ページを更新した。
余談
ササヤキは精神統一のメンタルトレーニングで仏教の座禅を嗜むようになっており、その影響で最終直線でとある言葉を三度呟きました。
ササヤキの領域イメージ動画
https://youtu.be/V_AKWWXhews?t=242