蜘蛛のヒーローアカデミア   作:大同爽

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今朝の私

大同爽「さぁて昨日お気に入り件数100件超えてたけど、今はどないに……え、200超えてる?……え、なんで急に?」

よくよく調べたらランキングに入ったようで、読んでいただいた方、評価いただいた方、お気に入り登録していただいた方、皆様本当にありがとうございます!
とても嬉しかったので最新話投稿します!




ep.5 「ピーター・パーカー:オリジン⑤」

 この半年の間に僕はヒーローの真似事をする中でそれなりに場数を踏んでいた。

 事故に遭いそうになった子どもを助けたり、『敵』くずれのチンピラのする強盗などの犯罪行為、それこそ今日のつい今大勢に囲われる事態となった原因の女の子に善からぬことを働こうとしていたようなのを現行犯で取り押さえたり――そう言えばちゃんと確認してないけどあの襲われていた金髪をお団子二つ括りにしたセーラー服の彼女は大丈夫だっただろうか?――結構な場数を踏んでそれなりに経験を積んでいた……いや、積んだ気になっていた、と言う方が正しかったかもしれない。

 少なくとも20人の悪党に囲まれて絶賛窮地に追いやられている現状を考えれば嫌でも自分の自信が間違いだったかを痛感せざるを得ない。

 

「がッ!?」

 

 と、背後から殴ってきた拳を避けて逆に顔面に拳を叩き込みながら僕は半ば他人事のように考える。そして――

 

「うらぁッ!!」

 

「ぐぅッ!?」

 

 入れ替わりにまるで鞭のように伸びた腕を叩きつけられ僕はそのまま地面に叩きつけられた。

 しかし、そこで息をついている暇はない。すぐにスパイダーセンスに反応があり転がるように避ける。直後、一瞬前まで僕のいた場所に拳が叩きつけられる。

 ドゴッとかなり大きな音が聞こえたがその様子を確認する前に――

 

「おらぁッ!!」

 

「がはッ!?」

 

 背中に蹴りを入れられサッカーボールのように蹴り飛ばされた。

 蹴られた痛みに顔を顰めながらその勢いを利用して身体を捻って体勢を立て直して着地し――

 

「シッ!!」

 

「うおッ!?」

 

 肉食動物のような爪を目の前に振るわれ身体を逸らすことで回避。そのまま体を捻って逆に爪を振るった相手の首に回転の威力を加えた右足の蹴りを叩き込む。

 蹴りで倒れた相手が意識を失っているかどうかも確認できないまますぐさま別の相手が次々と仕掛けてくる。

 息つく暇もない、とはこのことだ。

 正直さっきからスパイダーセンスがひっきりなしに反応していて頭痛で頭が割れそうだ。吐き気もしてきた。――いや、吐き気は殴られたせいかも……。

 とにかく常日頃から何かと反応を示すスパイダーセンスがこれまでで一番反応している、この危機的状況は完全に大誤算だ。

 これまではスパイダーセンスは超便利な能力だと思っていたが、今はその超便利な能力を活かしきれていない。能力を活かせるだけの経験も力も自分で思っているよりなかった。おかげでスパイダーセンスの告げる危機の半分も回避できない。

 そして、もう一つ――

 

「ッ!!?」

 

 この乱戦に突入して何度目だろうか、背筋にゾクリと寒気を感じるほどのスパイダーセンスに従って身体を逸らす。と、何度も目にしたオレンジ色のボール型爆弾が目の前を通過し

 

「ふッ!」

 

 咄嗟の判断でそれを手で弾いて軌道を変える。直後――

 

――ボンッ!!!

 

「くッ!」

 

 爆風に弾き飛ばされる。

 地面を転がり身を起こして身構える。

 目の前では最初に現れた仮面の男――ゴブリンとでも呼ぼうか――が、僕の目の前に悠々と現れる、ヘンテコな乗り物に乗って。

 なんていったらうまく伝わるだろうか……そう!あれだ!だいぶ昔の超有名アニメ制作会社の代表作の一つ、某風の谷のお姫様が乗ってるグライダー!

 まあアレより尖ってるしあのお姫様よろしく手で手すり持って飛ぶんじゃなく両脚ついて飛んでるけど……それはともかくようはあんな感じの空飛ぶ乗り物に乗っていた。

 ゴブリンは地面から2mくらいのところで逆噴射で静止したまま部下たちに指示を出して待機させ、さっきと同じような低い声で笑う。

 

「ハッハァ~、なかなかやるじゃないか!見くびってたよ、もっとあっけなく終わると思ってたんだけどなァ!」

 

「ハァ…ハァ…それはどうも」

 

 ゴブリンの言葉に僕は息を整えながら言う。

 

「……ねぇ、僕からも一つ訊いてもいい?」

 

「なんだァ?」

 

「その乗り物や爆弾はアンタが作ったの?」

 

「ほう?いい質問だなァ」

 

 僕の質問にゴブリンは気をよくした様子で頷きながら朗らかに言う。

 

「そうだァ!このグライダーも爆弾も他にも俺様が作ったものはたくさんある!どれもこれも自信作ばかりだァ!」

 

「そうか……じゃあなんでその自信作たちをもっと別の使い方ができないんだ?」

 

「別の使い方ァ?それは人助けとか世のため人の為とか言うんじゃないだろうなァ?」

 

「そう言う使い方だよ」

 

「はぁッ!下らんッ!いい子ちゃんぶるな、反吐が出るッ!」

 

 ゴブリンは言いながら嘔吐する真似をして茶化すように言う。

 

「せっかくの力なら人の為に使うもんでしょ!?」

 

「甘いなァ!まだ世の中のことを何一つわかっていないガキの戯言だァ!」

 

 僕の言葉にやれやれと肩を竦めながら言うゴブリン。

 

「この発明たちも『個性』も俺達自身のものだァ。自分のために使って何が悪い?お前もそうだろォ?」

 

「一緒にするな!僕は人を助けるために使い、お前らは人を傷付けてる!」

 

「まあ、人それぞれだなァ」

 

 僕の言葉にゴブリンは頷く。

 

「俺達は俺達の道を選び、お前はヒーローの道を選んだ。まあそのヒーローの道も紛い物だがなァ」

 

「紛い物?」

 

「そうだろう?」

 

 ゴブリンは楽し気に僕を見る。

 

「お前はヒーローのように振舞っているが本物じゃあない、だろう?本物ならヴィジランテなんてやっていないもんなァ?」

 

「それは……」

 

「結局は所詮お前も俺達のように『力』を好き勝手に使う、同じ穴の狢ってわけだァ」

 

「…………」

 

 僕は言い返せなかった。

 言い淀んでいる僕にゴブリンは猗意地悪く笑いながらその距離を詰めてくる。

 

「同じ穴の狢なら…どうだ?こっち側に来ないか?」

 

「何…?」

 

「お前をここで虫けらの様に捻り潰すのはわけないことだが、選択の余地を与えてやる」

 

 言いながらズイッと顔を寄せてくるゴブリン。

 

「仲間になれ。俺の元で俺の手足として働け」

 

 言いながらゴブリンは手を差し出す。

 

「僕はあんたの手下を警察に突き出したんだぞ?それでも仲間にするのか?」

 

「確かになァ。だが、俺様も鬼じゃねェ。まだ年端もいかないガキを殺して悦に浸るより、ガキにこの世の条理ってものを教える方がよっぽど有意義だァ、だろう?」

 

 言いながらゴブリンは優しい声音で言う。

 

「お前もいい加減疲れたろう?今俺の手を取れば助けてやろう……どうだ?」

 

「…………」

 

 僕は数秒考え、ゴブリンの伸ばす手へ手を伸ばし

 

――パシッ

 

 弾き落とした。

 その瞬間周囲で静観していたゴブリンの手下たちがざわつく。

 

「……これが答えか?」

 

「ああ、そうだ」

 

 ゴブリンの問いに僕は頷く。

 

「例え、他の人から見たらアンタらと僕は大差ないのかもしれない。それでも、僕はアンタの手は取らない。人からなんて言われても、僕は僕の信じた『ヒーロー』の道を進みたい」

 

「そうかァ……」

 

 ゴブリンは頷きながら先ほどまでの優しげな雰囲気を引っ込め、元の邪悪な雰囲気に戻る。

 

「せっかくこの俺が手を差し伸べてやっているって言うのに、少しは賢いかと思ったが、所詮ガキはガキだなァ……例え相手がガキでも、俺は俺にNOと言うやつを許さねェ――やれ、お前ら!」

 

 憎々し気に言ったゴブリンは再び手下たちに命令を下す。

 再び手下たちは僕を殺すべく飛びかかってきた。

 

 

 ○

 

 

 

「ハァ…ハァ…ピーター、いったいどこに行ったんだ?」

 

 雨の降る中、傘を差しながら片手にはもう一本傘を持ってベンは夜の街を走っていた。

 直後――

 

――ドォンッ!!

 

「ッ!?」

 

 爆発音が響き町はずれの方向から煙が登る。

 

「……まさか、ピーター?」

 

 その煙にベンは胸騒ぎを感じ駆け出した。

 

 

 ○

 

 

 

「随分手こずらせてくれたもんだなァ」

 

 へたり込み力なく俯く僕。そんな僕にグライダーから降り立ったゴブリンは楽し気に言う。

 

「ひどく情けない姿だがそうなるのを選んだのはお前自身だァ」

 

 言いながら僕の頭を掴み無理矢理顔を上げさせる。

 周りは僕が倒した手下たちが倒れているがまだ半分くらいは残って周りを囲んでいる。

 僕自身もボロボロでコスチュームもあちこち穴が開き爆発で焦げたところもある。マスクも右目のあたりが破け顕わになっている。

 

「せっかくこの俺が手を差し伸べてやったって言うのに、お前は俺の顔に唾を吐きやがったァ――ハァっ!」

 

「がはッ!!」

 

 ゴブリンは言いながら僕の顔を殴る。

 倒れた僕を再び無理矢理に引き起こしゴブリンは憎々しげに言う。

 

「せめてもの情けだ、苦しまないように一息にあの世に送ってやろうじゃないかァ」

 

 言いながらゴブリンは右腕を上げる。とこぶしの両脇、手首からブレードが飛び出す。

 

「あの世で俺様に逆らったこと後悔するがいい!!」

 

 叫びながらブレードを振り被ったゴブリン――直後

 

――バコッ

 

 ゴブリンの肩に拳大の石がぶつかる。

 

「あぁん?」

 

 そのことに動きを止めたゴブリンはゆっくりと振り返り、石の飛んできた方向に視線を向ける。そこには――

 

「ベン…伯父さん……?」

 

 ベン伯父さんがゴブリンや周りの手下たちを睨んで立ってた。

 

「そ、その子を解放しろ!」

 

「あぁ?何だお前?」

 

「邪魔してんじゃねぇぞ!!」

 

 伯父さんの言葉に手下たちが怒声を上げるが伯父さんは一歩も引かず睨んでいる。

 

「伯父さん…!ダメだ、逃げて…!」

 

「ほう?アレはお前の知り合いかァ?」

 

 僕が振り絞って叫ぶと、その言葉にゴブリンは興味を示した様子で言い

 

「そうかそうか…お前の知り合いかァ…だったら――」

 

 言いながらゴブリンは左手首に取り付けられたデバイスを操作する。と、それに呼応してグライダーがゴブリンのそばに飛んでくる。ゴブリンはそんなグライダーからオレンジ色の爆弾を取り出し

 

「だったら、一緒にあの世に送ってやる。お前はそこで指を咥えて見てろ」

 

「ッ!?や、やめろ!!やめてくれ!!」

 

 ゴブリンの言葉に僕は叫ぶが、そんな僕の反応すらゴブリンには面白くて仕方がない様子で

 

「すべてはお前の陳腐なヒーローごっこが招いた結果だァ。恨むんなら、自分の浅はかな正義感を恨むんだなァ!!」

 

 ゴブリンは楽しげに言いながら爆弾のスイッチを押して伯父さんに向けて投げる。

 

「ッ!?」

 

 僕は満身創痍の身体に鞭打って伯父さんに向けて駆ける。

 手下たちがそれを阻もうと動こうとするが、ゴブリンは面白がっている様子でそれを制する。

 そんなゴブリンたちの様子も気にしている暇はない僕は伯父さんに向かって駆けながら叫ぶ、逃げろ、と。叫びながら爆弾へ糸を飛ばす。

 しかし、伯父さんが逃げようと足を踏み出しかけたところで、僕の糸も届かないままに、無情にも目の前で爆弾のカウントは刻まれ

 

――ドガンッ!!!

 

 爆弾が爆発した。

 その威力はこれまでで一番で少し離れていた僕も爆発に巻き込まれ吹き飛ばされ地面を転がる。

 マスクも半分破れ、爆発の炎に焙られて顔の皮膚が軽度に火傷を負ったのかヒリヒリとする。前髪がチリチリと焦げている音がする。

 

「ガフッ!」

 

 口の中に鉄の味が広がり思わず吐き出しながら恐る恐る顔を上げる。と、先程伯父さんが立っていたところには伯父さんの姿は無く、さらに離れた先に力なく倒れ伏す伯父さん姿があった。

 

「お…伯父さん……!ベン…伯父さん……!」

 

 僕はそんな伯父さんに向かって手を伸ばし

 

「ハッハァ~!!」

 

「がはッ!?」

 

 横からお腹を蹴られ地面を転がる。

 痛みに顔を顰めながら見れば、そこには小躍りするゴブリンが立っていた。

 

「哀れだなァ、お前が偽善的に行動しなければ、あの男もああはならなかったのに」

 

 言いながらゴブリンは倒れる僕に目線を合わせながら言う。

 

「俺を本気で怒らせたせいで、あの男は死んだんだァ」

 

 言いながら再びブレードを僕に向け

 

「精々あの世であの男によろしく言ってくれェ!!」

 

 叫びながら僕にブレードを振り下ろし

 

「ッ!!」

 

 僕はブレードの付け根のゴブリンの手首を掴んで受け止める。

 顔の数mm先で止まったブレードを押し返しながら僕はゴブリンを睨む。

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 そのままゆっくりと立ち上がった僕は

 

「はぁぁッ!!!」

 

「があッ!?」

 

 ゴブリンを押し返し投げ飛ばした。

 

「あの世に行くのはお前だゴブリン……!」

 

 驚いているゴブリンを睨みながら叫んだ僕はそのまま追撃を仕掛け――

 

「お前ら何してる!?殺せェ!!」

 

 ゴブリンの叫びに手下たちが僕を阻みに襲い掛かってくる。でも、僕にはそんなこと気にしている暇はない。

 

「邪魔を、するなァァァッ!!」

 

 叫びながら足元の瓦礫に糸を飛ばし体を回転させてハンマー投げの要領で遠心力を乗せて一番側に迫っていた男の頭に叩きつける。そのまま瓦礫が砕けて白目を剥いている男の顔に念押しで殴りつけぶっ飛ばす。

 そのままさらに側に向かってきた別の男の顔に糸を張り付け引っ張り姿勢を崩した男の顔に膝蹴りを叩き込む。膝に男の鼻か頭蓋骨か、とにかく何か骨が折れる感触がしたが気にせずそのまま後頭部殴りつけ地面に叩きつける。

 その調子で来る相手を次々に叩き伏せながらゴブリンへ向かって行く。

 ゴブリンはそんな僕から距離を取るためかグライダーに乗り込んでいる最中だった。

 このまま飛び立たれると厄介だ。

 そう考えた僕は足元のマンホールの蓋に糸を張り付けながら向かってきた手下の一人を踏みつけて大きく跳び上がり、糸のついたマンホールの蓋を先程の瓦礫の様に振り回し

 

「はぁッ!!」

 

「なぁッ!?」

 

 ゴブリンのグライダーに叩き付ける。

 左の翼にマンホールの蓋が当たり推進力のバランスが崩れたらしいグライダーが煙を上げながら暴走する。

 ヨロヨロと揺れながらゴブリンにも制御できない様子で工場の建物のあちこちにぶつかりながら高速で飛んで行く。

 

「待てェ!!」

 

 グライダーの思わぬ動きに逃がすものかと追いかけようと糸を飛ばそうと右手を伸ばした僕は

 

「そこまでだッ!!全員動くな!!」

 

 響いた声とともにゴブリンに向け伸ばした右腕に白いマフラーのような布が巻き付く。

 しかし、今ここで止まればゴブリンを取り逃がす。

 気にせず糸を飛ばそうとして――

 

「ッ!?」

 

 巻き付いた布に強引に引っ張られ姿勢を崩し地面に叩きつけられる。

 

「ぐッ!?」

 

 叩きつけられたところから身を起こすと辺りに転がっていたり、まだ立っていたゴブリンの手下たちをヒーローと思われるコスチュームに身を包んだ人達が取り押さえていた。

 そして――

 

「ふッ!」

 

 僕の目の前にも僕の右腕に巻き付けられた布の持ち主らしいボサボサの髪に目元だけを隠したゴーグルをつけた黒ずくめの男が降り立つ。

 僕の腕に巻き付いた布を首元にマフラーのように巻いた男はゴーグルで隠れているが僕を見下ろしている様で

 

「シッ!!」

 

 素早く右腕を振るい僕の顎を撫でる様に叩いたと認識するとすぐに

 視界が回るように揺れ、僕の思考はブラックアウトした。

 

 

 




改めまして読んでいただいている皆様ありがとうございます!
お陰様でこの度ランキングに入ったりお気に入り件数も250件を超えました!
自分の中でお気に入り件数が200件行ったら連載にしようと思っていたので、連載にしようと思います!
ただお話のストックがピーターが雄英に入学することになる経緯――「ピーター・パーカー:オリジン」とおまけの番外編だけなのでそれ以降の入学してからの話は他に連載している小説と順番に投稿していこうと思いますので投稿頻度は落ちますのでご了承ください。
とりあえずまだ数話は隔週更新で投稿しますのでお楽しみに!


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