好き放題してた市長ですが、気が付いたらイカダで漂流していました   作:ひいちゃ

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漂流2日目

 相変わらず、転生市長(悪徳をつけるなよ、絶対つけるなよ!)の俺は、ぷかぷかとイカダの上で揺られている。

 

 鮫に食べられるというBAD ENDこそ夢オチで済んだものの、この状況自体は変わらないようだ。しかし、水も食料もなく、フック一本で俺にどうしろというのか。

 

「俺にサバイバルしろというなら、少しチートくらいくれればいいのに! 神様の……」

 

 そう神様に恨み言をぶちまけようとしたところで、俺の頭に突然浮かんだものがあった。それは色々なツールの作り方の知識だった。神様が転生チートみたいなので少しくれたのだろうか。

 

「さっそくもらったんだから活用しないとな。えーと、まずはこのイカダを大きくしないと……。鮫に破壊されたら大変だぞ」

 

 というわけで、さっそく俺はその知識を使って簡単な建築用のハンマーを作った。

 

「うん、できるじゃねーか」

 

 うん、はじめてにしてはよくできた。これもチートのおかげだろうか。神様、さっきは恨み言を言おうとして済まなかったな。

 

 そしてさっそく資材を集めながらイカダを大きくした。ほんの少しだが。

 

* * * * *

 

 そうしているうちに、イカダはどこかの島に流れ着いた。岸壁にぶつかって壊れやしないかと危惧したが、幸いにもそんなことにはならなかった。本当によかった。イカダを失うのは一度でたくさんだ。

 

 そして上陸してみるが、何もなかった。これ、島というよりはただの岩山じゃねーか。がっかりだよ。

 

 悪態をつきながらイカダに戻る。そして、木の槍と、行きたい方向に行けるようにパドルをこしらえた。

 

「だけど作ったのはいいけど、何も見えねぇのに、どっちに進むんだよこれ……」

 

 何しろ、周囲は海。どこを向いても海。方向磁石もないから、どこが北なのかもわからないのだ。進みたい方向なんてないっ!

 

 仕方ないので、島を離れるためにパドルでこいだ後は、風の向くまま流されるままに向かうことにした。

 

 そうしているうち、またどこかで聞いたことが。

 

「うわっ、やめろー!」

 

 そう、あの鮫の奴が、イカダにかじりついていたのだ! せっかく大きくしたイカダを壊されてなるものか!

 俺は必死になって鮫をさっそく作った木の槍で突いた。突いて突きまくった。

 

 そうして、何度か突いたところで、鮫の奴は耐えかねたのはイカダから口を離して逃げて行ったのだった。

 

「ふふふ、馬鹿め」

 

 とそう強がるものの、この鮫との戦いが新たな問題を呼びこんだのを俺は感じた。

 

「のどがかわいた……」

 

 そう鮫と戦って動いたからか、のどがかわいてきたのだ。飲み水はどうしたらいいんだ? とりあえず、海水を両手にすくって飲んでみる、が……。

 

「うげーー!! げほげほっ!!」

 

 もっとのどが渇いた。当然だが。だが、その時、俺にあるものの作り方が浮かんだ。

 それは簡単な濾過器の作り方。とはいっても、汲んだ海水を沸かして塩分や有毒物質を飛ばして真水に近くする、というものだ。

 そんなものだけど、ないよりはマシ。さっそく作った。そして、水を沸かして飲んだ。

 

「はぁ~……」

 

 一安心だ。やばい状況は何も改善されてないけど。

 

* * * * *

 

 ……ん? なんだこの音は? 例えるなら、鮫がイカダをかみ砕こうとしているような……。そう思って、背筋を汗が伝う中、背後を振り向くと……。

 

「わあああああ!!」

 

 やっぱり、例の鮫がイカダにかじりついていた。お前いつの間に!

 俺は慌てて木の槍を手にとり、鮫を追い払おうとするが……。

 

「うわあぁ!!」

 

 奴にかみつかれていた床板が限界に来ていたのか、俺が足を踏み出した瞬間、床板が割れて、俺は海中に堕ちてしまった! 一瞬、鮫に噛み殺された夢の記憶がよみがえる。ちょっと待て!!

 

 早く、早くイカダに戻らないと!

 

「許してくれぇ……」

 

 背後にひしひしと感じる鮫の気配に恐怖を感じながら必死に泳ぐ。幸いにも、そんなに離れてなかったらしく、なんとか俺はイカダに戻ることができた。

 

* * * * *

 

 困ったことになった。いつの間にか、ゴミが少ないゾーンに入ってしまったらしい。周囲にゴミの一つも見当たらないのだ。これでは新しく何かを作ることも、このイカダを修理したり、拡張することもできない……。

 

「都会の人ー! もっと海にゴミ捨ててくださーい! できればプラスチックごみとかお願いしまーす!」

 

 環境保護の人たちに聞かれたらめっちゃ怒られそうだけど、そんなこと知ったことではない。何しろこちらはごみが見つからないと困るんだから。

 

 しかも、問題はそれだけではなかった!

 

「おなか減った……。そりゃあ、おなかも減るよなぁ……」

 

 あれからろくに何も食べていないのだ。仕方ないので、携えているビートを食べてみるも、大した解決にはならない。

 ん? そういえば魚釣り用の竿が作れたような……。チートで与えられた記憶を漁り、作り方を思い出し、残り少なくなった資材で作ろうとしたところで……。

 

 べきっ。

 

 え、なんだ今の音は? めっちゃ嫌な予感がするんだが。

 

 そう思って、横を見ると……。

 

「あああああああ!?」

 

 鮫の奴にイカダの一部をかみ砕かれていたのだ。しかも、その上に置いてあった濾過器もろとも。

 

「なんてこった……」

 

 俺は思わず、OTLの形に崩れ落ちた。

 

 全て持っていかれてしまった……。濾過器が……。

 

 ひどい、ひどすぎる……(血涙

 

 だけど、生き抜くためには、めげている場合ではない。

 俺はさらに残り少なくなった資材をやりくりして、なんとか濾過器を作り直したのだった。

 

 おのれ、鮫めー! 必ず復讐してやるー!!

 

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