好き放題してた市長ですが、気が付いたらイカダで漂流していました   作:ひいちゃ

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漂流4日目

 イカダに乗って漂流する元市長の俺の目の前に現れたのは大きな島。これなら、俺が住むのに問題はなさそうだ。

 

 ……と思っていたことが俺にもありました。

 

 木と石で作った斧を片手に、木材をとろうと、意気揚々と島に上陸した俺を待っていたのは……!

 

「うっ、ちょっと待て!」

 

 一頭の猪だった。その体躯は大きく、俺の持っている槍と斧でどうにかできる相手とは思えない。

 奴はやけに俺を警戒しているようだ。え、もしかしてこれ敵……? 思わず俺が槍に持ち替えたところで。

 

 どかーん!!

 

「敵じゃねーか! 嘘だろ!?」

 

 奴はすさまじい勢いで俺に突進してきた! そのパワーはすさまじく、俺はあっけなく吹き飛ばされ、地面に転がされてしまう。

 

 立ち上がったところに再び……。

 

 どかーん!

 

「いかん、死ぬ死ぬ!!」

 

 こうなれば撤退するのみ! 「逃げるが勝ち」と孫氏様も言っておられる!

 そして背を向けた俺に再び……。

 

 どかーん!!

 

 またも体当たり!

 

「ごめんなさい、本当ごめんなさい!!」

 

 なぜ俺が謝らなけりゃならんのだ? そう思いながらも遁走し、なんとかイカダにたどり着く。

 これで一安心……と思うのはまだ早かった!

 

 どかーん!

 

「うわぁ! やばいぞこれ!? どーしよ、どーしよ!?」

 

 なんと奴は、イカダの上の俺に突撃を仕掛けてきたのだ! これではイカダに乗れないぞ、本当どーしよ!?

 マジでやばい!

 

 海の中に避難! さすがの猪も、水中にまでは来れないはず!

 どぼんっと、イカダから水中に飛び込み、イカダから離れた海上から奴の様子をうかがう。

 

「うわ、最悪だよ~」

 

 猪の奴は、イカダからは離れたものの、まだその近くでこちらを警戒している。

 ダメだ。海の中にいないと、あいつまたこっちに来るぞ……。

 

 くそう、あの猪、俺に恨みでもあるのか!?

 「汚水を飲ませたせいだ」とか「好き放題やってたからだ」とかいう意見は却下だからな。

 

 そして数時間経ったあと、どうにかあいつはいなくなったようだ。でもこの島には上陸できないのは明らかだ。

 となればやることは一つ!

 

「帆を張って逃げます!」

 

 なんで敬語で言ってるのかわからんが。とにかく、この島を離れることにした。

 ここに来るのは今ではなかった! これは決して、負け惜しみではないので念のため。

 

 かくして俺は、再びイカダの上の人、漂流者となった。

 

* * * * *

 

 その後も、俺はイカダ暮らしを続いていた。

 幸いにも、流れてくる資材を回収するネットを作ることができたので、資材にはあまり困ることはなくなった。よかったよかった。

 

「あれ? なんかもう、安定コースに入っちゃった?」

 

 資材は何もせずに集まるし、食料や水の問題もほぼ解決したし、これはもう問題なくなるのでは?

 

 カジカジ……。

 

 と、そこで聞こえてくる何かをかじる声。その声のほうを向くと……。

 

「あー、ダメ、ダメだ!」

 

 鮫の奴が、イカダの一部をカジカジしているところだった。

 槍を構えて急ぐも時すでに遅く、その一部は砕け散ってしまった……。ネットまで破壊されなかったのは不幸中の幸い。だけど……

 

「安定とはなんだったのか……」

 

 まだ苦難から逃れられそうもなさそうだ。

 

* * * * *

 

 あれから数日経過。

 資材が増えてきたこともあって、かかしを作ってみた。これで俺のスイカたちが、あの忌々しい鳥たちに食われることは避けられる……と思っていたが。

 

「おわあああ、ちょっと待てええええ!!」

 

 なんと、そのカカシが鳥に食べられてる! カカシの上に鳥がとまり、そのカカシをつまんでいるのだ。

 なんとか追い払うも……。

 

「本当、役にたたねーなお前!」

 

 さて。どうやら、ネジがあれば、弓やらなにやらを作れそうなんだが……付近にはそれらしいものは見当たらない。

 まぁ……でも、海の中に落ちていたりするかもな。……よし。

 

「行きます、潜ります! とう!」

 

 どぼんっ!と飛び込む。しかし……。

 

「あ、なんも見えねー。ダメかも!」

 

 どこを見渡しても、何も見えない。やはり沖合だとダメなのかもなぁ……。そう思ったその時!

 

 がぶり!!

 

「いてててて!!」

 

 また鮫の奴にかじられた! 大急ぎでイカダに戻る。

 なんか思ってたのと違った。今潜ったら死ぬのだけだ。

 

「やはり、浅瀬を探して潜らないとかー……」

 

 そうしないと、とんでもないことになってしまう……。これは、次の島に期待かな。

 

* * * * *

 

 そしてその翌日。俺が目を覚ますと、そこはとても大きい島の海岸だった。

 恵みもいっぱいあり、ここなら暮らすこともできそうだ。

 

「やったー! これでイカダ暮らしとはおさらばだー!! わはははは!!」

 

 と喜ぶものの、その笑顔はすぐに凍り付くことになる。なぜなら。

 

「なんでこんなところに恐竜がいるんだよ!?」

 

 そう、確かこの島なら生きていくのに問題なさそうだった。

 しかしこの島には、見たことがあるもの、見たことがないもの、色々な恐竜が闊歩していたのだ!!

 

 ……俺の苦難はまだまだ続きそうだ。

 




第4話、お読みいただきありがとうございます。
イカダはこの後も、不定期更新していく予定です。

さて、来週の月曜日9/12 12:00には、ひいちゃオリジナルのガンダム短編

小惑星帯(アステロイド)でガンダムを見つけたら、それが冒険(オデッセイ)の始まりでした~機動新伝説ガンダム(プレビュー版)』

を公開予定です。こちらも、どうぞお楽しみください!
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