好き放題してた市長ですが、気が付いたらイカダで漂流していました 作:ひいちゃ
さて、ワニに食べられた元市長です、こんにちは。この通り、チートで復活して戻ってきました。
いやー、もうやられるのにも慣れ……ってこんなのに慣れたくないわ! 前に言ったような気がするけど!
さて、そんなことを言ってる場合ではない。俺が死んだあそこには、いろいろなグッズも置いてきてしまったんだ。あれも回収しないと……。
俺は素っ裸のまま、仮の拠点を飛び出して、死んだ現場へと走っていった!
……。
………。
…………。
「よし、あったあった。よかったー」
艱難辛苦を(再び)乗り越え、俺がやられた場所に行ってみると、そこには俺が落とした、革で作ったバックパックが。
質素も質素、ドが256個憑きそうなほどお粗末なそのバックパックに近寄り、中を開けてみる。
「よかった、まだ手を付けられてないな」
ほっと一安心。だが俺はしくじった。
一安心しすぎて、周囲への警戒を忘れていたのだ。
とたん、背中に痛みが走った!
「やばい!」
何がやばいのかわからないが、やばいというのは俺の直感からわかる。
後ろを振り向くと、やはり巨大な蛇が俺を襲っていた!
「やばいやばい!」
そう言っている間にも、再び蛇の攻撃! すっげぇ痛い!! これはめっちゃやばい!
「うわぁ、ダメだこりゃ、回収できん! わははは……」
それが俺の、今回の生での最期のセリフだった。あまりのひどさに笑いをこぼしながら。
……って、この世界、あまりにも厳しすぎるぞ!
* * * * *
そして俺は再び、仮拠点の小屋の中でよみがえった。……すべてを失って。
再び石や枝を拾って……。こりゃ、作れるもの全部作ってから出かけよう。でないと無理だこれ。
「原始人から邪馬台国の人間になる位まで頑張ろう。そうでないと勝てない、奴らに」
そう言いながら、半日かけて収集したりものを作ったりして……。
ついにできた! 今までは布の服だったのが、革の服になったぞ! わはははは!
ルーキーからベテランになったような感じがあるぞ!
でもこれだけでは不足なんだよな……。あとは奴らを撃退できるだけの武器が必要なんだが……。
「マシンガンみたいなのねぇのか?」
……って、あるわけないんだよな。イカダ時代に神様からもらった知識の中にもないし、そもそも作れる材料がない。
弓なら作れそうだが……悠長に弓なんか撃っている場合か? そもそもすぐに追いつけれそうだからな……ないよりはましだけど。
あとは、強そうな恐竜がほしいんだよな。あそこに歩いてるトリケラトプスなんか結構強そうじゃね?
えーと、捕まえるために使えるものは何かないかな……?
興奮剤……こういうのも作れるのかよ!? びっくりだ……。って、興奮させてどうするんだよ。むしろ鎮静剤必要だろ……。
ともあれ、なんとしてもトリケラトプスをゲットするぞー!
と、いろいろやってみるが、うまくいかず……とげ突きの柵で囲おうとしてもうまくいかないし、ポーラでからめとることもできないし……。
仕方ない。殴ろう! もしかして、さっきの柵で瀕死になってるかも!
そう考えて殴りかかるが……。
ドカァン!!
やべぇ、すっごい吹っ飛ばされるし痛い……。でも、なんか叩いているうちに、奴の動きも鈍ってきたような……?
「お、お?」
そんなことを考えながら、続けて殴りかかるも……。
ドコーン!!
いてぇ、痛すぎる!! でも負けるもんかー!
と、トリケラトプスと死闘を繰り広げて数時間……。
「なんかやれそうな気がする!」
奴がふらふらになってきたぞ! もう少しだ、そう俺の直感が叫んでる!
そして……ついにその時がきた!
俺のこん棒の一撃をもらったトリケラトプスは、ついにその身体を横たえ、昏倒したのだ!
* * * * *
そして、いろいろと餌付けして、トリケラトプスは起き上がり、速攻でなついてくれた。
……しかし、あれだけ追い回して、こん棒で殴りまくったのに、よく従ってくれるよな。……力で従属させてるのか?
だとしたら、全然友達じゃないな。
さて、このトリケラトプスはどれだけの力があるんだ? ちょっとそこの小型の恐竜をけしかけてみるか。
そして、その恐竜を攻撃しろと命令してみると……。
強(つよ)っ!? 一撃で、その恐竜はさっきの俺のように吹き飛ばされて、そして絶命してしまった。
本当に強いなお前!?
俺がこいつを、『本当のトモダチ』に改名したことは言うまでもない。
パラサウロロプスなんて弱い奴を友達にした俺が間違ってた! シンユウなんて弱い奴はいらねぇんだ。やっぱりこれからはトリケラトプスだよな!
あー、あー、『薄情者』とか『掌返しすぎる』なんて批判は聞こえなーい。
* * * * *
だが、その決心も少しぐらついてきた。
こいつ、強いには強いのだが、足がかなり遅いのだ。……こいつは本当の友達じゃないかも。まいったなぁ……。
でも、成長すれば変わるかもしれんしな。そう思ってると、俺たちの前を亀が通りがかった。
よし! この亀で経験を積ませよう。いけ、本当のトモダチ!
かくして亀と激しいバトルを繰り広げる本当のトモダチ。でも、かなりてこずってるな。大丈夫か?
……いや、俺は手を貸さない! ここでやられるようなら、お前はそこまでの……。
突然、本当のトモダチが倒れ、絶命した。
……男……だ……え?
待て待て待て、一体なにがあった? って、あ!! 本当のトモダチにピラニアっぽい魚が群がってる! こいつにやられたのか!
……やっぱり、こいつも本当のトモダチじゃなかった。結構苦労したのになー……。
でもこれじゃ、次の友達は大変だぞ。
そう思いながら、トリケラトプスを肉と革に解体している俺の前を、小型の恐竜が通り過ぎた。
むむ、こいつは小さいけど、もしかしたら強いんじゃないのか? 曲がりなりにも肉食っぽいしな。
* * * * *
……かくして、俺の前には、さっき捕まえた奴と同種の恐竜、ティロフォサウルスたちが勢ぞろいしていた。
数は力だと思った俺は、彼らを片っ端から捕まえ、しもべにしたのだ。
名付けて……『少年〇偵団!!』。なお、小学館とは何の関係もありません……。ごめんなさい。
だが、俺はこの少年探〇団をあっけなく失うことになるのだった! そう、俺がある欲望を抱いたことがきっかけに……。
* * * * *
拠点の近くの湖をぐるっと探検していたところ。とても大きな、山のような背びれが特徴の恐竜と出会ったのだ。
こいつが仲間になればすごいだろうなー、と思った俺は、『意外とポーラが効くかも?』と淡い期待とともに、奴に挑んだ。だが、それが失敗だったのだ!
やはりというべきか、ポーラは効かず、奴は俺に飛び掛かってきた! その俺を助けようと、少年〇偵団たちが恐竜に飛び掛かる!
だが、奴は強すぎる! 瞬く間に、二匹の探〇団が蹴散らされ、絶命した。
そして……。
一番強い探偵団が尻尾の一撃で肉塊になるのと同時に、奴の牙が俺に突き刺さり、俺は死んだ……。
ちょっと待て、強すぎるだろコイツ!?
それが今回の生で俺が最期に思ったことだった……。