「みんなー☆ これまで応援ありがとー☆」
わぁぁぁぁっ!!!!!
大熱狂に包まれたスマートファルコンの単独ステージ。
大井競技場で行われた、彼女のラストラン『ドリーム・シリーズ・ダート』の大舞台で、圧倒的大差で勝利を収めた。
通常のウイニングライブから始まり、この日だけ復活した『逃げ切りシスターズ』の限定ライブ。
そして本当のラストライブを今終えた。
そんな彼女をここまで支えてきた担当トレーナーは、彼女がこの日のためにわざわざ用意してくれた最前列のどセンターで感涙にむせぶ。
数々の苦悩を彼女と乗り越え、数々の栄光を彼女と勝ち取ってきた。
「ありがとう! ありがとう、ファル子ー!」
トレーナーが叫ぶと、スマートファルコンはしっかりと彼の目を見詰める。
そして、
「ファンのみんなにご報告があります!」
「私、スマートファルコンは、ウマドルから、普通のウマ娘に戻ります! そして―――」
「―――私の担当トレーナーさんの愛バになりまーす!」
宣言して、トレーナーの胸に飛び込んだ。
ファンたちはそれを聞いて大熱狂。狂喜乱舞である。
何故なら彼女が担当トレーナーのことを好きなのはファンの間では有名で、なのにずっと逃げていたことに散々やきもきさせられていたからだ。
それがやっと、自分たちの目の前で、ゴールインしたのだから妬む者などいない。
「ファル子……」
「えへへ、もう逃げないし、逃さないからね、トレーナーさん♡」
「……ああ、俺はファン一号から、ファル子の最愛になるよ」
わぁぁぁぁっ!!!!!!!!!
そんな大ニュースがあったものの、世間はあまり騒がなかった。
やっとあのスマートファルコンがトレーナーと結ばれたのだから、変に騒ぎ立てる必要はないし、騒ぎ立てるなら彼女たちの結婚式があるから。
「……なんか思ってたのと違う」
「何が?」
しかしスマートファルコンは複雑な表情を浮かべ、トレーナーが住むアパートの部屋で彼があぐらをかく隙間に横抱きしてもらいながら唸る。
彼女としてはもっとみんな驚くと思っていたのに、蓋を開けてみれば、
『やっと想いを告げたスマートファルコン』
なんて見出しばかりだったから。
「ファル子ってそんなにバレバレだったのかな?」
「分からないな、俺には」
「にぶトレーナーさんだもんね☆」
「い、いいだろ。もうちゃんと理解したんだから……」
「うん☆ じゃあじゃあ、私にいーっぱい好き好き言って♡」
「お安い御用だ。好きだよ、ファル子」
「もっとー♡」
「好き好きファル子。大好きファル子」
「へへへ〜、嬉しいなぁ♡」
にやにやデレデレとだらしなく口が開いてしまうスマートファルコン。
「私もね、トレーナーさんのこと好きだよ♡」
首に両手を回してしっとりと囁いてくる彼女に、トレーナーの胸はずきゅんどきゅんする。
「俺も好きだ、ファル子!」
「私も好きー♡」
「好きだぞ、ファル子!」
「私も好き好きだぞー♡!」
その後も二人は末永く、好き好き言い合う日々を送った。
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