とある日の昼休み。
ナリタタイシンはいつものように自身の担当トレーナーがいるトレーナー室へやってきて、同じく昼休みである彼をソファーへ座らせると、その股の隙間に腰を下ろす。
最初は自分がトレーナーに惚れているなんて夢にも思っていなかったナリタタイシン。
しかし一度認めてしまえばあとは早かった。
『……『一生』って言った』
トレーナーがあの時そう言わなければ、あの時自分の走りを認めてくれなければ、ナリタタイシンはこんなにも人を愛することはなかっただろう。
「ねぇ」
「好きだぞ、タイシン!」
「ん♡」
トレーナーはいつも、その時ナリタタイシンが欲しい言葉をくれる。
ナリタタイシンはもう、彼がいないという生活が想像出来ない。
それだけ彼は大きな存在であり、唯一無二なのだ。
「今日の弁当はどんな弁当?」
後ろから抱きしめ、彼女の細い肩に軽く顎を乗せながらいつもの楽しみである愛バ弁当を訊ねるトレーナー。
「アンタが前に言ってたから、のり弁。初めて作ったから不味くても文句言わずに残さず食べるように」
対してナリタタイシンはそんな言葉を返しながら、トレーナーの頬へ自身の頬を擦り付ける。
「この前の覚えてたのか?」
「当たり前じゃん。そもそもアンタがそこののり弁が美味かったって大絶賛したんだよ?」
「それでわざわざ作ってくれるとか最高かよ。好きだ、タイシン」
「ん♡」
ナリタタイシンはトレーナーと付き合ってからというもの、彼がなんの気無しに話す料理に関しては大体次の日それを作って食べさせるのだ。
彼女なりの対抗意識であるが、トレーナーとしてはそんな彼女が愛おしくて堪らない。
だから何度も何度も彼女の耳元に「好きだ」と伝える。
そうすれば、
「アタシも、アンタが好きだよ♡」
ナリタタイシンも自ら愛の言葉を囁いてくれるのだ。
こうなれば二人は余計に二人だけの世界に入り込む。
「好きだ、タイシン!」
「うっさ……でも、アタシの方が好きだから♡」
「確かに告白はタイシンからだったが、今は俺の方がタイシンを好きだぞ!」
「は?♡ アタシなんてずっと好きだったんだよ?♡ アンタへの想いの強さ……アタシがマジだってこと教えたよね?♡」
「ぐぬぬぬぅ……でも負けないぞ! 俺はタイシンのことが大好きだー!」
「はいはい♡」
「くぅ! 俺はタイシンのことが大好きだー!」
「まだまだアタシの方が上だね♡ 好きだよ♡ トレーナー♡ 一生、好き♡ アタシに勝てるなんて思わないでね♡」
「タイシン好きだ! 大大大大大好きだー!」
「むきになってる……そういう可愛いとこもアタシは前から知ってて、好きだから♡」
何を言っても返されるトレーナーはそれでもめげずにナリタタイシンへの愛を叫んだ。
結局、この好き好きステークスは今回も決着はつかず、今後一生をかけて二人で競うことになるだろう。
のり弁<解せぬ
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