アプリ産です。通っていいですか?   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます。ガッツリ意味を間違えていて確認した時は恥ずかしさで顔から火を吹くと思った。

それから今回はレースが無いんだ……楽しみにしてくれたみんなには申し訳ない。あと長くなったから分けることにしました。


夏ですよ!海に行きましょう!前編

「準備はいいか?」

 

「大丈夫よ。ラモちゃんは?」

 

「僕もオッケーだよ!」

 

 我が家の玄関前で荷物の確認を行う。食べ放題チケットも入れたし、替えの服も入れた、トレーニング中に着る水着も入れた。いらないと思うけどハリボテも入れたし問題無いね!

 

「よし、それじゃあ行くか。」

 

 季節は夏。合宿の始まりである。

 

 

 

 

 

 

 

「夏だぁぁぁあ!!!」

 

「海だぁぁぁあ!!!」

 

「「………(チラッ)」」

 

「え?ライスも?え、えっと……スイカだぁ!……で、いい…かな?」

 

「「いえぇぇぇぇい!!」」

 

「い、いぇーい」

 

 お義父さんの車で合宿地につき、さぁトレーニングだって思ってたけどお義父さんから今日は説明だけだから自由にしていいと言われたので海に来た次第である。

 そこでいつの間にか後ろにいたテイオーと座って海を眺めていたライスシャワーさんに出会った。

 それからテイオーにライスシャワーさんの紹介をしてもらい、仲良くなったところでアプリの世界でテイオーにやりたいと言っていた海に叫ぶというのをやってみた。急に叫んだのでびっくりされないかなって思ったけどテイオーはすぐに乗ってくれた。なんなら僕が言おうと思っていた次の言葉も言ってくれた。

 

「びっくりされるって思ったけどよく覚えてたね。」

 

「ふふん。ラモの言っていたことをボクが忘れるわけないよ!」

 

 ドヤ顔で胸を張るテイオー。それをライスシャワーさんと一緒に微笑ましいものを見るような表情で見つめる。暫くすると恥ずかしくなってきたのか少し顔を赤くしてドヤ顔をやめた。

 

「と、ところでどうしてラモはここにいるの?」

 

「僕はお義父さんの付き添い。だけど今日一日は自由時間だから海に来てるって感じ。テイオーは?」

 

「ボクのところは基本自由だからね、ラモの気配を感じたからここに来たんだ!ライスはどうなの?」

 

 テイオーがサラッとすごいことを言った気がするがそんなことよりテイオーとライスシャワーさんがお互いを呼び捨てにするほど仲が良いとは思わなかった。

 

「ライスはね、なんとなくここに来ただけだよ。」

 

 そう言って俯くライスシャワーさん。さっきまでの笑顔とは一転して悲しげな表情をして落ち込んだ空気を出されたら、はいそうですかって納得することは出来ない。

 

「何かあったの?ボクたちでよければ力になるよ?」

 

「なんでもないの……。なんでも……。」

 

 テイオーも何かを感じたのか相談に乗ろうとするけどライスシャワーさんは話す気がないみたい。それを確信したテイオーが頬を膨らませてライスシャワーさんに抱きつく。

 

「なら話したくなるまで甘え尽くしてやる!」

 

「ひゃあ!?テイオー!?離して、くすぐったいよ!」

 

 テイオーの甘えスキルは僕によく使うことで相当上がっている。そして今回の相手は僕のオリジナルであるライスシャワーさん。

 つまりテイオーの甘え攻撃が最大威力で発揮される。勝ち目はない。

 

「わかった!言う!言うから離して!」

 

「むぅ。甘えたりない。」

 

「なら僕においでよ。ほら。……おっとっと。」

 

 腕を広げてテイオーを迎え入れる体勢になると同時に飛び込んできた。脚も使って完全にしがみついてきて、暫くは離れなさそうだね。

 

「よしよし、テイオーは甘えん坊だね。それでライスシャワーさん。悩みを聞いていいかな?」

 

「うん、その前にライスのことはライスでいいよ?」

 

「それだと僕とこんがらがっちゃう。シャワーさんだと違和感があるし、お姉ちゃんでいい?」

 

「ふぇ!?そ、それは流石にダメ……じゃないよ。」

 

 やったね。お義母さんにおねだりするために鍛えた子犬のような顔がここに来て初めて役に立った。お義母さんには通用しないから効果が無いのかなって思ってたけどちゃんと効果はあったみたいだ。

 

「ありがとう!僕のことはラモって呼んでね?それじゃあお姉ちゃん。改めて悩みを聞いていい?」

 

「うん、あのね──」

 

 ライスシャワーさんが言うにはトレーニングの時間になっても自分のトレーナーが来ないので心配になって様子を見に行ったところ、知らない人がトレーナーと愚痴を言い合っていたみたい。

 暫く聞いていると知らない人がライスシャワーさんの文句を言い始め、それをトレーナーが否定する様子が見れなかったのがショックで逃げてきたとのこと。

 トレーナーは実はライスのことなんてどうでもいいんじゃないか?それとも鬱陶しく思ってる?と考え始めていたところで僕たちが来たみたい。

 ライスシャワーさんも話の途中で逃げてきたので早とちりではないか?とか今までの思い出からトレーナーがそんなこと思うはずがないと嫌な考えを払拭しようとしているみたいだけどどうしても考えてしまうらしい。なのでとりあえず。

 

「お姉ちゃんのトレーナーとその知らない人を海に沈めたらいいのかな?」

 

 深いところまで連れて行ったら流石に反省するだろう。ダメだったら何度でも連れて行く。ライスシャワーさんを落ち込ませた罪は重いんだよ。

 

「だ、ダメだよ!そうだ!テイオーはどう……かな?」

 

 腕やこめかみに血管が浮き上がっている僕を見て本気と思ったのかライスシャワーさんが慌てて僕に抱きついているテイオーに意見を求める。

 

「ボク的にはライスにいつの間にかトレーナーがいたことに驚いているんだけど……。要するにライスはトレーナーが自分のことを大切かどうかを知りたいんだよね?」

 

「うん。そうなる……かな?」

 

「だったらボクにいい考えがあるよ!」

 

 背中を叩かれたのでテイオーを解放する。僕から離れたテイオーはあるものを取り出した。

 

「じゃじゃーん!これなんてどうかな?」

 

「その前にどこから出したの?えっと、カラーコンタクト?」

 

「ライスの目と同じ色だね。」

 

「なんかゴルシに『今ゴルゴル星から緊急連絡が届いたぜーい!テイオー、これを持っていけ!!』って渡されたんだけど役に立ちそうだね。」

 

「それでこれを使ってどうするの?」

 

「ラモにつけて欲しいんだ。カラーコンタクトは大丈夫だよね?」

 

「うん、大丈夫だよ。ちょっと待っててね?」

 

 テイオーからカラーコンタクトを受け取って鏡のあるところに移動して装着。違和感がないのを確認してからテイオーたちのところに戻る。

 

「どう?僕も確認したけど違和感とかある?」

 

「全然!それから髪型を少し弄って〜。」

 

 テイオーが僕の髪を整えていく。暫くしたら満足したのか手を離した。

 

「完成!どうかな?」

 

「わぁ、ライスそっくり。」

 

 また鏡のあるところに移動して僕の姿を確認するとそこにいたのはライスシャワーさんそっくりの僕だった。目の色や髪型もライスシャワーさんと一緒なので見分けれる人なんてほぼいないんじゃないかな?

 

「それでテイオー。僕をお姉ちゃんに似せてどうするの?」

 

「ボクが考えた作戦は『ライスのことを大切に思っているのなら瓜二つのライスでも見分けれて当たり前作戦』だよ!ライスのトレーナーをやっているんだからそれぐらい出来て当然だよね!」

 

「なるほど。後は僕……じゃないね。ライスがお姉ちゃんの雰囲気に合わせればいいんだね。」

 

 テイオーのやりたいことを理解したので一人称をライスに変更。雰囲気も少しおどおどとした感じに修正する。

 

「ライスの帽子も預かって……。これでよし!それじゃあ作戦開始だよ!せーの、おー!」

 

「「おー!」」

 

 

 

 

 

 

 

「はわわ、トレーナーさん!合宿に来てから早速素晴らしいものを目撃しちゃいました!!悩むライスシャワーさんを助ける二人のお姿!リーダーシップを発揮するテイオーさん!それに追従する二人のあの小動物みたいな動き!それだけでもう!もう!!」

 

「落ち着きなさい、デジタル。私も今すぐにでも倒れたい気分だけどそれはまだ早計よ。貴方の今まで鍛えてきた尊み耐性ならまだ耐えられ「もう無理でしゅ!爆発しましゅ!!」る……って、は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!はぁ!どこだ!?ライス!」

 

 辺りに目を配りながらライスを必死に探す。久々に会った先輩だからと愚痴に付き合ったのが間違いだった。話し続けて調子がついてきたのか急に俺が担当するライスシャワーの愚痴を言い出したのだ。あまりにも急に飛び出てきた愚痴に呆けてしまい、暫く反論出来なかった。

 そのせいで心配してこちらに来たライスを傷つけてしまった。先輩の話を打ち切ってライスを追いかけたがこの身は人間。あっという間に離されてしまった。

 

「畜生!俺はお兄さまだって言うのに何という体たらく!過去に戻ってぶん殴りたい!」

 

 自分の行いを後悔したところでもう遅い。今の自分に出来ることはライスを見つけて誠心誠意謝ることだ。

 今までの関係に戻れる保証はないが、しないままズルズル引き摺るよりは何倍もマシだ。

 

「あ、ライスのトレーナー!そんなに焦ってどうしたの?」

 

「テイオーか!?すまないが後にしてく……れ?」

 

 横から聞こえてくるライスの友人の声に返事をしながら振り向くが、視線はすぐにテイオーが被っている青薔薇の帽子に固定される。

 

「テイオー、その帽子。もしかしてライスの居場所を知っているのか!?頼む!教えてくれ!」

 

「ボクもそうしたいんだけどなぁ〜、どこかの誰かが変なことを言うからライスが落ち込んでるんだよね〜。」

 

「グゥ!?それについては申し訳ないとしか言えない。俺が間抜けにも呆けてしまったせいでライスを傷つけてしまった。」

 

「なら聞かせて?ライスのトレーナーはライスのことを大切に思ってるの?」

 

 テイオーから凄まじい圧がくる。俺はライスに黒のカラーコンタクトをつけて甘えている姿しか知らないため、思わず退きそうになるが歯を食いしばり、テイオーを見据える。

 

「確かに疑われるかもしれない。だけど俺はライスのお兄さまだ!大切に思っているに決まっている!」

 

「ふーん?人混みにライスが紛れていてもすぐに見つけられる?」

 

「あぁ!俺はお兄さまだからな!」

 

「……例えライスが増えてもどっちが本物か分かる?」

 

「当たり前だ!!」

 

「へぇ〜、だってさ。ライス。」

 

 後ろから聞こえてくる足音。聴き慣れたライスの足音だ。

 

「ライス!本当にすまない!俺としたことがお前を傷つけるようなこと──」

 

 後ろに振り向きながら謝罪の言葉を口にするが途中で中断した。するしかなかった。だって

 

「「お兄さま?」」

 

 ライスが二人いるのだから。

 

「はぁ?えっ?」

 

「ほらほら〜、ライスのトレーナー。例え増えても分かるんでしょ〜?」

 

 横からテイオーが煽ってくるが聞き流し、目の前の二人のライスを観察する。

 髪型、同じ。目の色、同じ。声、同じ。身長、同じ。雰囲気、同じ。ちょっとしたことで出る癖、同じ。失礼だが体型、同じ。他にも判断材料になるところを見てみるが全て同じ、どう言うことだ??

 

「えっと、ライス?」

 

「「何かな?お兄さま?」」

 

「さっきのことは本当にすまないと思う。あれはすぐにでも止めるべきだった。そのせいでライスを傷つけてしまった。」

 

「後ろから聞いていたけどライスの早とちりだったからもういいの。」

 

「お兄さまも謝ってくれたからこのお話はおしまい。」

 

「そんなことよりトレーニングをしたいな?」

 

「「だから、ね?お兄さま。早く行こう?」」

 

 交互に話した後にこちらに差し出される二人の手。タイムアップ。後は選べということだろう。俺の顔から冷や汗が流れるのを感じる。

 

(どっちだ?どっちが本物のライスなんだ!?)

 

 ライスと二人三脚で進んできた俺でも分からないほどそっくりな二人。万事休すか……いや、まだ手はある!

 

「ライス……俺が子どもの時に飼っていた犬の名前は!?」

 

「「ポンタだよ?お兄さま。」」

 

「ぐっ!なら俺と数日前に出かけた飯屋「「◯◯店だよね?お兄さま。」」……その通りだ。」

 

「もしかして。」「お兄さま。」

 

「「ライスが分からないって訳じゃない……よね?」」

 

 俺に向けられる悲しげな表情。もしかしたらと思い、俺とライスで決めたなりすまし対策の問答を出してみたが無駄だったようだ。それどころかライスを悲しませてしまった。

 

(ライスを悲しませるなんて……覚悟を決めろ!俺はお兄さまだ!)

 

 俺の覚悟を決めた目を見たのか二人が改めて手を差し出す。

 

(俺のお兄さまセンサーによると本物は右のライスだ!)

 

 確信し、右のライスに意識を向けてそちらに向かおうとした時、そのライスの様子が変わる。

 隣のライスからは見えない位置の血管が浮き上がる。片目も悲しげな目ではなく、こちらを刺し殺すかのように睨みつけている。

 

(こちらではないな、うん。誰だよお兄さまセンサーとかアホなことを言ったやつ。後でセンサーは解体だな。)

 

 無表情を維持しながら左のライスに近づいて差し出された手を取る。その間、一切右のライスには目を向けないように意識する。

 

「お兄さま!」

 

 本物のライスがたちまち笑顔になる。それを偽物ライスとテイオーが笑顔で見つめている。

 

「さっすがライスのトレーナーだね!見直したよ!」

 

 テイオーがキラキラした目を向けてくるが間違いかけたこともあり、非常に気まずい。

 

「あはは、言っただろ?俺はライスのお兄さまだからな。例えライスが10人に増えても見つけてみせるさ。」

 

 この言葉にテイオーは感心した表情で、ライスは笑顔で、偽ライスは無表情で見つめてくる。俺はキチンと笑えているだろうか?正直自信がない。

 そんなことを考えている時、強風が吹いてテイオーが被っていた帽子が飛んでいく。

 

「あ、ライスの帽子が飛んでいっちゃった!ボクとライスで取ってくるからライスのトレーナーは少し待っててね?行こ!ライス。」

 

「え?う、うん。」

 

 テイオーがライスを連れて走っていく。ん?ちょっと待て。今俺の近くって偽ライスしかいないんじゃ……。

 

「ねぇ?」

 

 嫌な予感が湧いたと同時に腹に衝撃。恐る恐る下を見ると偽ライスが俺に抱きついてる。引き離したいが腕ごと万力みたいな力で抱きつかれているので抵抗ができない。表情を窺いたいが、顔が俺からは見えない程度に下げられていて分からない。

 

「な、なんだ?」

 

「さっき、間違えたでしょ?」

 

 息を呑む。やっぱり気付かれていたか……。俺の中で警鐘が鳴り響き、無駄だと思うが力を込めてなんとか脱出を出来ないか試してみるが逆に力が強くなってくる。

 

「僕はね?とある事情でライスシャワーさんには特別な想いがあるんだ。だから次にあの子が貴方のせいで悲しんでいる姿を見たら──」

 

 俺を抱きしめる力がかなり強くなってきた。骨が軋み、あと少しでも力を込めれば俺の骨は砕けると確信してしまうぐらいだ。

 

「ゆ る さ な い か ら ね ?」

 

 下げられていた顔がゆっくりと上がり、薄く笑った表情なのに全く笑っていない昏い目が俺を見つめてくる。

 

「あぁ、約束する。二度とライスを悲しませない。」

 

「……ならいいや。ちゃんと守ってよね?ライスのお兄さま?」

 

 俺から距離をとって偽ライスが朗らかに笑う。先程のような気配がなくなり、ライスとは違う活発さが出てくる。恐らくこれがこの子の本来の性格なんだろう。

 

「ただいま〜。って二人とも何かあった?」

 

「ううん、何でもないよ。お帰り、テイオー。」

 

 いつの間にかテイオーたちも戻ってきている。俺たちの様子を見て疑問を感じていたが偽ライスの言葉でどうでもよくなったようだ。

 

「取り敢えずこれでライスの悩みは無くなったと思うけど二人はどうするの?遊ぶ?」

 

「えっと、ライスは予定してたトレーニングをしに行こうと思ってるよ。ね?お兄さま?」

 

「俺は遊んでもいいと思うが……ライスが望むならそうしようか。」

 

「うん!それじゃあ、テイオーにラモちゃん。またね?」

 

「バイバイ!また遊ぼうね?」「またね?お姉ちゃん!」

 

 手を振りながらテイオーたちと別れる。今日中に予定していたトレーニングを全て行うのは時間的に無理だな。また作り直さないと。

 

「?どうしたの?お兄さま?」

 

「いや、何でもない。」

 

 ふとライスの方を見てみると、笑顔のライスが問いかけてくる。その姿とあの昏い目をした偽ライスが被る。

 

(流石にあれはあれでアリだと思ったなんて口が裂けても言えないよなぁ。)

 

 

 

 

 

「それで?本当は何があったの?」

 

「ちょっと釘を刺しただけでそれ以外は本当に何もないよ?」

 

 僕らに手を振っているライスシャワーさんに手を振りかえしているとテイオーが再び聞いてきたので本当のことを教える。テイオーはふーんって言っているが不満そうな態度は出ていないので納得したようだ。

 

「お姉ちゃんはトレーニングに行ったけど僕たちはどうする?」

 

「だったら併走でもする?普通のウマ娘基準の速度で。」

 

「いいね、それで行こう!」

 

 この後テイオーとメチャクチャ走った。夜まで走っていると迎えに来たお義母さんに捕まって縄で縛られたまま帰ることになった。知らないうちに真後ろで走っているから心臓に悪いよお義母さん……。

 

 

 

 それから二週間ぐらい、最初の目的であるお義父さんが担当するウマ娘のトレーニングを手伝った。真後ろにピッタリくっついて併走したり、トレーニング用のタイヤを運んだり、ハリボテを被って第一コーナーで一緒に転倒したりと色々だ。

 タイヤを運ぶ時にいちいち身体に括り付けるのが面倒くさくて片手で引っ張ったりしたんだけどあり得ないものを見るような目で見られた。

 あと、これは気のせいだと思いたいんだけど担当の子がお義母さんに縛られてるところを何回か見たんだけどすっごい嬉しそうだった。他にも僕が縛られているところを羨ましそうに見てたりしているんだけどこの子M気質とか持ってないよね?大丈夫だよね?けどハリボテの特訓を素直にしてる時点で濃いのは確実だしなぁ。

 だってお義父さんがハリボテ頭を取り出して絶対に転けるけど怪我しないから安心しろって言ったらすぐに被ったからね?尻尾もぶんぶん振ってたからね?困惑のこの字もなかったからね?

 それ以外には僕のことを知ってたのか僕にもトレーニングをお願いしてきた。確かにこの世界の人から僕を見たらどんなトレーニングをしたらこうなるのか気になるよね。僕は元からこれなので何も言えないけど……。

 なので僕が知っているトレーニングを夜にこっそりとすることにした。何をするかというと何故かこの世界にもお守りと緑の液体と気分が上がりそうなケーキがあった。つまりそういうことです。

 お守りを首にかけて走りながらケーキを頬張り、緑の液体で流し込む。途中でテンションが振り切ったのか僕に罵ってほしいとか言い出したので控えめに罵ったら興奮してスピードが上がった。

 しかも途中から僕のことをお姉さまとか言い出した。このウマ娘自分の性癖を隠すつもりないでしょ。効率は上がるので僕だけの時は許してるけどお義父さんたちの前だと絶対に言わないでとは注意しといた。

 そしたら次の日の夜に鞭と縄を持ってきた。どう解釈したら鞭と縄を持ってくるの?僕に何をさせたいの?ちなみに理由を聞いてみたら僕に見られながら何かをされたらすごく興奮するんだって。ちょっと引いたり、必要最低限しか話さなくても興奮してた。このウマ娘無敵か?

 そんな日々を過ごして久しぶりに一日丸ごと自由時間の日が来た。合宿前はこんなに疲れるとは思わなかったよ。肉体的には元気なのに精神がバテバテだ。このまま頭痛などになれば持ち前の修復能力で無理矢理回復することは出来るのだけど、そこまでいく前にあの子がMモードを止めるから、尚更タチが悪い。

 

「テイオー、僕は疲れたよ……。」

 

「よしよし、ラモがこんなに疲れてるところってボクは初めてみるよ。」

 

 ベンチで寝転がっているとテイオーが来て膝枕をしてくれたのでありがたく使わせてもらっている。アニマルセラピーならぬテイオーセラピーである。

 

「担当の子がね?思った以上に濃かった。」

 

「ラモが言うって相当濃いんだろうね。ゴルシくらい?」

 

「流石にゴルシさんには負けるよ。けど特化型だから一部では勝ってるかも。」

 

 白衣を着たウマ娘と女のトレーナーらしき人がピンク髪の大きなリボンが特徴的なウマ娘を担架に乗せて運んでいくのを見ながらテイオーと言葉を交わす。それだけで疲弊した精神が回復していくのを感じる。

 

「僕復活!膝枕ありがとうね、テイオー。」

 

「もっと乗っててもよかったんだよ?」

 

 確かにもっと乗っていたいが我慢する。僕はテイオーの前では頼れるお姉さんキャラなのだ。それを崩す気は今のところない。

 

「それでテイオーがここにいるってことは今日は自由時間なんだよね?何して遊ぶ?」

 

「今日は海で競争でも……って雨?」

 

 ポツポツと雨が降ってくる。怪しげな天気だけど今日は降るとは言ってなかったような気がする。そんなことを考えているうちにどんどん雨脚が強くなってくる。

 

「わわわ、これは本降りだね。雨宿りしたいけど……ここからだとボクの泊まっているところが一番近いね!行こう、ラモ!」

 

「わっ!テイオー、急に走り出すと危ないよ!」

 

 テイオーが僕の手をひいて駆け出すのでそのままついていく。暫く走っていると見たことがあるようなボロ宿が見えてきた。

 

「テイオー!何処に行ったと思ったら……ってライスモドキもいるのか。」

 

 宿の入り口では沖野トレーナーが心配そうに周りを見ていたが、テイオーの姿を見るとホッと胸を撫で下ろしている。

 

「うん、急に雨が降ってきたから宿に戻ってきたんだ。」

 

「急にって……今日は雨が降るから仮に外に出てもすぐに戻れる距離にいろって朝に言っていただろ……。」

 

「そうだっけ?忘れてたよ!」

 

「この様子だとライスモドキも知らないみたいだな?」

 

「うん、聞き流していたから今日は降らないと思ってた。雨が弱くなったらすぐに帰るよ。」

 

「お前らなぁ……。残念だが今日はずっと雨だ。それと雨の中で女の子を一人で帰すわけにはいかないな。」

 

 ため息を吐く沖野トレーナーを尻目に外を見ると雨がかなりキツく、外の景色が全く見えない。これが今日一日続くなら預かる側として帰すわけにはいかないか。

 

「仕方ない、今日はここで泊まれ。宿の人には俺が話を通しておく。ライスモドキは歩トレーナーに泊まるってことを伝えておけ。テイオー、電話まで案内してやれ。」

 

「お泊まりだね!やった!電話はこっちだよ、ラモ!」

 

 お泊まりかぁ……僕水着なんだけど服はどうしよう。

 

 

 

 案外なんとかなった。お義父さんに電話で現状を伝え、宿の人が用意してくれた服に着替える。その後はテイオーに手を引かれてスピカのみんなを紹介してもらった。

 順に紹介してもらったけどスカーレットは化けの皮を被っていたけどウオッカにすぐに剥がされるし、ゴルシは開口一番に黄金焼きそば屋はゴルゴル星で整備しているからやってねーぜ!と言われた。それはいいんだけど僕はゴルシを追いかけた時に顔を一切見せてないんだけどなぁ……ゴルシだからかな?

 紹介が終わってからはトランプで遊ぶことになった。スカーレットとかウオッカは僕と走りたかったみたいだけど、それはまた今度ってことで。

 ババ抜きから始まって七並べとか神経衰弱とか色々だ。ちなみにスピードの時は僕の全戦全勝だった。

 それで今度はゴルシが持ってきたニンジンをみんなに配って違うゲームをしている。インディアンポーカーという自分の額にトランプのカードを当てて、自分以外のみんなのカードが見える状態で自分のカードの大小で勝負を決めるゲームらしい。他にも細かいルールはあるみたいだけど取り敢えずこれだけ覚えておけばいいとのこと。何もないままだとつまらないので貰ってきたニンジンをかけて勝負をするってことで始まった。

 相手はゴルシ テイオー スカーレット。それから僕を入れての四人対戦。他の三人は沖野トレーナーに呼ばれて部屋から出ていった。簡単な手伝いって言ってたからすぐに帰ってくると思う。

 

「よーし、んじゃあお前ら勝負するか?」

 

「ボクはする!」「アタシもよ!」

 

「ラモはどうだぁ?」

 

 二人は勝負を挑むみたいだね。だけどカードの数字はお互いに一。負けは確実だ。ゴルシの掲げているカードも二。下から二番目。つまり雑魚。なら僕のカードはどの数字かな?

 みんなの反応から見るに下の方なのは確実。だけどゴルシが僕のカードを見て少し悩むような表情をしたのを僕は見逃さない。つまり僕のカードはニか三とみた!!

 

「もちろん勝負するよ!更に倍プッシュだ!!」

 

「お、やるねぇ〜。ならゴルシちゃんも倍プッシュだぜ!」

 

「ならボクも!」

 

「アタシは……そのままでいくわよ。」

 

 テイオーは乗ったけどスカーレットはそのまま。てっきり彼女の性格的に乗って来ると思ったのに意外だ。

 

「それじゃあ、いっくぞぉ!せーの!」

 

 

 

 

 

「ようやく見つけましたわ、ラモさんにテイオー。……こんなところでどうしましたの?」

 

「マックイーン。賭け事って難しいんだね。」

 

「ボク、一と三しか引いてないよ……」

 

 隅っこで三角座りをしてジメジメしている僕たちにマックイーンが少し引き気味で聞いてくる。

 あの後、僕はボロ負けした。その次にテイオー、最後はスカーレットで勝者はゴルシ。僕の引いたカードは一と二しかなかった。そもそもこの勝負でみんな五以上を引かなかったので疑問に思ってカードの山を確認してみたけどちゃんと枚数分のキングとかもあった。訳が分からないよ……。

 

「ところで僕たちに何か用があるの?」

 

「えぇ、トレーナーさんがもういい時間だから風呂に入って寝ろとのことですわ。」

 

「え?もうそんな時間なの?」

 

 近くの時計を確認してみると確かにもうそろそろ風呂に入って眠らないといけない時間だ。トランプにここまで熱中するなんて初めてかもしれない。

 

「ほら、テイオー。ジメジメしてないでお風呂に行こ。」

 

「抱っこ。」

 

「えぇ?しょうがないなぁ。」

 

 僕に向けて広げられた手を掴んでテイオーを抱き上げてしっかりとテイオーが抱きついたのを確認する。

 

「僕たちはお風呂に行くけどマックイーンはどうするの?」

 

「私は既に入っていますので後は寝るだけですわ。」

 

「そうなんだ。それじゃあ、おやすみなさい。マックイーン。」

 

「おやすみなさいですわ。ラモ。テイオー。」

 

「おやすみ〜。」

 

 マックイーンと別れて風呂場へと向かう。っていっても詳しい位置は知らないからテイオーに教えてもらわないといけないんだけどね。

 

『うお!トレーナー、どうしたんだ?砂浜に打ち上げられたまま干からびたナマコみたいになって……。』

 

『あぁ、ゴルシか……。ちょっと追加の食費を見て少し前に見た悪夢を思い出してな……。』

 

『へぇ〜、それってどんな夢だったんだ?』

 

『巨大なハンバーグの上でライスモドキとテイオーが俺を囲んで踊りながら財布の中身を貪る夢だ。』

 

『どんな夢だよ、それ。』

 

 途中で過去のすれ違いが起こした被害者の嘆きが聞こえてきたが気のせいということにしておこう。まだ沖野トレーナーには言ってないけど、僕が食べた分の食費は後でお義父さんが払うって言ってたから許して欲しい。

 そんなことを考えているうちに風呂場についた。ちゃちゃっと入ってさっさと寝てしまおう。

 

 

 

 

 

「よし、これで完成。」

 

 みんなが寝静まった後、僕は食堂であるものを作っていた。しっかりと宿の人に使っていい許可もとっているし料金も払っている。(お義父さん名義で)

 一度はやってみたかったことなので作っている最中はずっとワクワクしていた。

 

「ん?この足音……。テイオーかな?」

 

 静かな空間に響く足音。軽さ的にあの中だと当てはまるのはテイオーだけのはず。ここに来るってことは小腹が空いているってことだろうしテイオーの分も作ってみよう。

 

「電気がついてる?ってラモ?どうしたの?」

 

「やぁ……、テイオー。ここに来たってことはお腹が空いたってことでいいよね?」

 

 コクリと頷くテイオーに思わず笑みが溢れる。今から作るのは一人だとちょっと覚悟のいるものだからだ。

 

「そんなテイオーにはこれだよ。」

 

「……ミキサー?」

 

 僕の置いたものにテイオーが疑問を感じているうちに食材とか調味料を並べていく。

 

「これを……。」

 

 それらを一気にミキサーにぶち込んで。

 

「こう。」

 

 スイッチオン。中で食材たちがかき混ぜられて粉々になる。しかし液体を入れていないのでここにあるのはグチャグチャになった食材だけだ。なので。

 

「それからはちみーをぶち込む。」

 

 満タンギリギリまではちみーを入れてもう一回かき混ぜる。これが僕がやりたかったこと。色々混ぜたものを食べるということだ。一部ではハイポーションとか言われていたりするので本家を見習ってウマのマスクとか被りたかったけどここにはないので仕方ない。

 

「これで完成。はい、テイオーの分。」

 

「え?いやいや、流石にラモがくれたものでもそれはちょっと遠慮したい「よく考えてみて、テイオー。」……何を?」

 

 ここでテイオーが嫌がるのは予想済み。だから僕も対策を考えているんだよ。

 

「この中にははちみーがいっぱい入っている。そして中の食材たちにもはちみーが徐々に染み込んでいる。つまり……。」

 

「つまり……?」

 

「これは実質はちみーってことだよ!」

 

「はち……みー?」

 

 作戦名、取り敢えずそれっぽいことを言ってゴリ押そうよ作戦。効果があるか自信はなかったけどテイオーの目がぐるぐる巻きになってきているから多分効果ある。

 

「ってことではい、はちみー。あとストローはこのホースを使ってね?粘度が高すぎて普通のストローだとダメだと思うから。」

 

「はちみー。」

 

「よし、飲むよ!テイオー!はちみー探求者の第一歩を僕たちは歩むんだ!」

 

「はちみー!!」

 

 ジュゴゴゴゴゴゴゴ……

 

「「オ゛ッ゛ッ゛!!」」




ライスとラモの絡みはライスのトレーナーが本物はどっちだ!って困惑するところだけを書きたかったのに導入を考えたらなんかしっとりしてしまった……。


以下、アプリ風イベント


【育成イベント ライスが二人!?】

 サポートカード『「ボクたちは絶対の帝王」トウカイテイオー』をつけた状態で二年目の夏合宿にライスシャワーの調子が普通以下でごく稀に発生するイベント。
 トレーナーである貴方がライスシャワーの愚痴をいう先輩の相手をしているところをライスシャワーが目撃、逃走。慌ててライスシャワーを追いかけるが離されてしまう。
 ライスシャワーを探す貴方に青薔薇の帽子を被ったトウカイテイオーが現れ、ライスシャワーの元へと案内してもらうがそこにいたのは二人のライスシャワー!?
 少し会話をした後に制限時間付きの選択肢が現れ、正解するとライスシャワーの調子が絶好調に、それからステータスが全て一段階上昇し、更に練習補正が壊れているライスモドキがトレーニングに参加するという神イベント……と見せかけたクソイベントである。

 まず選択肢が完全にランダムであることから正解が分からない。ライスシャワーの姿で見分けようともそっくりなので見分けようが無い。
 更に凶悪なのが間違えた時のデメリットである。選択肢を間違えるとライスシャワーの調子が絶不調に、ステータスが全て一段階下がり、更にライスシャワーが逃走して練習に現れなくなり、捜索フェイズに入る。
 イベントが終わるとトレーニングマークが捜索マークに変更され、ライスシャワーを探さなければならない。捜索マークを押すと画面が切り替わり、今までライスシャワーと訪れた場所全てが選択肢に入る。全てとは育成イベントで訪れた場所も含まれており、その中で一番多く訪れた場所がライスシャワーの逃走先になる。
 ちなみにその間に目標レースがあっても強制的に最下位となる。
 救済処置なのか一発でライスシャワーを見つけると、元のステータスに戻る設定になっている。
 実はこのイベントは抜け穴があって制限時間が1秒を切るとトウカイテイオーがライスモドキの方を一瞬だけ見るようになっている。
 一部のお兄さまはその一瞬に全てを賭けている……らしい。
このイベントをクリア出来ればサポートカードをトウカイテイオー以外つけていなくても最高ランクのライスシャワーを高確率で育成できることからこのイベントの壊れ具合がよく分かる。


 なおこのイベントを成功するとバッドエンドルートが追加される。条件は目標の未達成で途中で育成が失敗すること。イベントを成功した時点で育成失敗なんて起こる確率はまず無いが、育成失敗すると失意のままに道を歩いている貴方に向けて後ろから声をかけられる。振り返ると目が全く笑っていないライスモドキがこちらに向かって歩いてきて、最後に「僕、言ったよね?」という言葉とともに画面が暗転し、育成失敗の文字が出る。
 その後のことは何を書かれておらず、考察班が色々と推測しているらしい。



 妄想を書いていたらめっちゃ長くなった……。
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