お母ちゃんってすげえよな

1 / 1
よくある少し悲しい話

 今日は母が朝からテンションが高い。「何かあったか?」と聞いても何もないよ。っていう。

 昼メシを食べた後に「今日は特別にハンバーグを作るんだ。」ってルンルンな母。でも父と姉が軽く喧嘩してどっちも外出した。

「母にこういう事があると色々疲れるよね?」って言うと「こんな事はよくあることだから、いちいち疲れてたらやってられんよ」と逞しい母。俺は特に考えずゲームに没頭した。

 今晩は母が珍しく俺に「ご飯先食べるね」ってLINEが来た。俺はゲームの区切りが着いてから飯を食いに一階に降りた。そしたら食卓の上には大きな冷えたハンバーグが載った皿が3つと空になった皿が一つとどこか寂しそうな母。

 俺は何て言葉を掛ければ良いのか分からなかった。母が俺を見ると「今からあっためるね。先にお風呂入ってね」って言う。俺は母が家族みんなが好きなハンバーグを作ってくれた気持ちを初めて考えた。母は俺が小さい頃から「ご飯は皆んなで仲良く話をしながら食べたい」と言っていた。普段から何かしたい、何か欲しい何て一切言わない母だからそんな事を言うのがが珍しくてよく覚えている。

 思えばいつからだろうか会話に溢れていた我が家の食卓がシーンとなったのは。何か大きな事件が起きた気がするのだが覚えていない。ただ、母が「こんなに静かならテレビをつけながらご飯を食べよう」って言い出したのはよく覚えている。

 思えばいつからだろうか母が家族と言い争いをしないようになったのは。母と最後に言い争ったのは小学生の頃だった気がする。確か俺が母に「どうして俺を産んだの?」って言ってビンタされたのを覚えている。俺は母にそのことを謝っただろうか?よく覚えていない。

 そんな事を思い出しながらシャワーを浴びていたら涙が溢れてきた。俺はどうにかして母に「美味しい。ありがとう」って言わなきゃいけないって思った。

 結局それは出来たし、母が少し嬉しそうにしてて嬉しかった。

 「母を喜ばせたい。」何て考えたのは生まれて初めてだった。

 思えば父や姉が家族の事を喜ばせよう何て行動をとった事はあっただろうか。よく覚えてない。

 今気づいたが俺は恐ろしく家族に興味がなかった。俺は当然家族の誕生日なんて知らないし、いつ家を出ていつ帰るかも知らない。

 母はなんでこんな家族を続けてるのかな?母は何で何も言わずに家族のお世話をしてくれるんだろう?

「こんな事はよくあることだから、いちいち疲れてたらやってられんよ」

逞しい?何を言っているんだ俺は。唯逞しいわけないだろ。どんだけ母は削られてきたんだろう。ごめんなさい。今まで本当にありがとう。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。