「どうしたんですか! 一体何が起きてるんですか⁈」
「貴方は危険なので此処で待っていてください。決して外には出てはいけません!」
そう言い残し、メリーを一人残して部屋の者が全員出て行ってしまった。
次から次へと何が起きているのか分からない。
「もう……一体何なの? 私はどうすれば……」
静けさを取り戻す部屋。
静かすぎる部屋の中に取り残された彼女に、不安と焦燥感がただただ襲うばかりである。
左腕を失った事。
幻想郷という危険な場所に来てしまった事。
蓮子と離れ離れになってしまった事。
そして、今起きている不明な事態。
その全てが望まれることなく突然彼女の身に同時に降りかかったのである。その負担は尋常ならざるものだった。
全てが夢だったら。
そんな思いが込み上げてくると同時に、今起きていることは全て夢ではなく、現実であるという謎の実感があるのはどうしてなのだろうか。
もう何が何だか分からなかった。
もし、これが本当に現実だったとしても、自分はどうやって元の世界に変えることが出来るのか。そもそも、この危険な世界で生き残ることが出来るのだろうか。
次から次へと疑問が湧いてくるのに、その全ての答えが分からない。
先の見えない暗闇の中にただ一人立たされた気分だ。
この先自分はどうしていけばいいのか、それすら分からない現状に加えて、追い打ちをかける様に何か普通ではないことが今も起きていることに苛立ちすら覚えてしまう。
「……っ! 建物が揺れてる?」
揺れを感じた。
地震とは違い、定期的に僅かに振動を感じる。
「……外で何が起きているの?」
外で何かが起きている。
それ以上のことが分からない。
しかし、今この部屋を飛び出すのは明らかに危険だ。
このままじっと部屋の中で待つしか、安全な選択肢が無い。
部屋にいた者たちが飛び出して行ってからどれくらい経ったのか、色んな事が起きすぎて、頭の整理がついてない彼女には正確な時間を予測することができなかった。
部屋の中を見渡しても時計が見つからない。
普段携帯しているスマートデバイスも、不運な事に出かける際に家に置いてきてしまった。
「こんな時、蓮子がいれば……」
普段ならすぐに答えてくれる相棒が今はいない。
「蓮子……」
消え入る声でそう呟く。
「助けて……蓮子……助けてよ」
涙が目から零れる。
一人取り残された静かすぎる部屋の中でただただ、助けを請うことしかできなかった。
「メリーさん!」
「……え?」
突然大きな声を掛けられ驚くメリー。
だが、それ以上に目に映った光景にさらに驚かされる。
「早く……ここから……逃げて……くだ……さい」
先ほど部屋の片隅に居た兎の耳が生えたブレザー姿の少女が部屋に入ってきていた。
しかし、その姿は先ほどとは違い、服はボロボロに破け、横腹を負傷しているのか手で押さえているがその場所から大量に出血をしていた。
「何があったんですか!」
座っていた寝具から慌てて降りて彼女の下に駆け寄る。
「大丈夫ですかっ!」
「私は、良いですからから……。貴方は……早く逃げてください」
明らかに重傷を負っていた。
「外で……外で一体何が起きてるんですかっ!」
混乱する頭で呼びかける。
「博麗の巫女が……来ました」