とあるウマ娘が怪我から走れなくなり、悩んでいたときに出会った1人のウマ娘に振り回された5日間のお話し

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初めまして、ゴルシに狂わされた一人の男です。

アニメとかのゴルシとかアプリのストーリーゴルシとかを見てたらよく気が効く子だから意外とトレーナーとか向いてんじゃないかと思って衝動で書いたものです。出てくるウマ娘にはモデルの子はいませんのでご安心を


 黄金のトレーナー

 

 

走るのが好き

 

だって風が気持ちいい

 

走るのが好き

みんなを笑顔にできるから

 

走るのが好き

足の裏の草を、土を蹴る感覚がたまらなく楽しい

 

小さな頃から走るのが大好きだった。

パパもママも私が走っているのを見て笑顔だった。

弟も目を輝かせながら追いつこうと一緒に走っていた。

 

そんな家族と一緒だったから走るのが大好きだった。

 

ある日同じクラスの友達がトレセン学園に応募しないの?

って聞いてきた。その時は走ることだけを考えていたから

トレセン学園というものがどういうものか分からなかった。

 

友達は知らない事にちょっとビックリした様子だったけれど、クスリと笑って

教えてくれた、

 

「君みたいに走るのが大好きな人達が集まる学校だよ、すっごく大きな練習場やレース上で思う存分走れるんだ」って

 

 

絶対応募するって言ったら

 

「じゃあ、トレセン学園に入れるように手伝ってあげる」

ってにっこり笑って言ってくれた。

 

 

そこからは2人で一緒に勉強して、筋肉の育て方とか走りやすいフォームとか。まぁ色々と勉強した。楽じゃなかったけど楽しかった。

 

受験の時、友達の子はガチガチに緊張してた。

私は…ちょっぴりだけ緊張してた。

 

 

受験が終わった後も気が休まらなかった。家に帰って携帯でその子と一緒に不安がっていた。

 

 

そこから何日か経って、合格通知の日が来た、結果は私達2人とも合格だった。

2人して飛び跳ねて喜んだ。

 

お父さんもお母さんも弟も自分のことみたいに喜んでご馳走を用意してくれた。ちょっぴり恥ずかしかった。

 

 

そして、入学式が終わりチーム選びの時間が来た。トレセン学園は大きなレースに出たりするにはチームに所属しなくてはならないらしく、クラスのみんながどれに入ろうかと話していた。

 

私も何処に入ろうか悩んでいたら友達の子が此処に一緒に入ろって言って、あるチームを指差した。少し大きなチームで実績もあって楽しそうだった。直ぐにそのチームの部屋に行き入部手続きをして早速トレーニングの日々が始まった。

 

 

トレーナーさんは私や他の子の走り方を見て、色々アドバイスしてくれたり、筋トレのメニューやオススメの食事、マッサージ等を教えてくれた。

 

夢にまで見た楽しい日々だった。トレセン学園のコースは広くて大きくて全力で走ってもまだまだ足りなかった。

 

ずうっと走っていたかった。 

   

 

 

 

 

 

 

けれど

 

何日か経ったある日、私は転倒してしまった。

 

雨上がりの練習中に濡れた芝に滑って。

 

 

良く覚えていないけど、左腕と右脚の骨折と内臓損傷による出血、これが私の負った怪我だった。この時は失敗しちゃった、次は気をつけないとぐらいに思ってた。トレーナーさんにもそう話してたし、友達にもそう言って笑っていた。けれど…

 

 

 

この時から走れなくなった。

 

 

芝の上に立つと脚が震える。

呼吸がうまく出来なくなる。 

覚えていないはずなのに、

左腕と右脚に衝撃が走ったような感じがする。

気分が悪くなる。

 

 

トレーナーさんに相談したら転倒が原因で走ることがトラウマになってしまったんじゃないかと言われた。それからウマ娘にはよくある事だとも。

 

しばらくはトレーニングを休むように言われてベンチでみんなのトレーニングを眺めてた。

 

最初のうちは見ているだけなら大丈夫だったけれど、だんだんとみんなのトレーニングを見ているだけで変な汗を描き始めた。

 

みんなの芝を蹴る音が耳から離れない。

 

視界が歪む。

 

耳が遠くなる。

 

症状はどんどん悪くなりベンチにも居られなくなった。

 

友達や同じチームの仲間達、トレーナーさんに心配されるのが嫌でとうとうトレーニングにも出なくなった。

 

走るのが好きなはずなのに、走る事を考えると眠れなくなった。

 

走るのが好きなはずなのに、あの日の事を考えると叫びそうになった。

 

寮長さんや、トレーナーさん、保健室の先生達が色々話を聞いてくれたけれど、その事が申し訳なくって学園にいる事自体が少なくなっていた。

 

 

授業には出るように努めていたけれど、クラスのみんなの労わるような目線がなんだか居心地悪くて授業にも出れなくなった。

 

同室の子は色々良くしてくれて、子守唄を歌ったり、添い寝してくれたり本当に色々してくれた。

同室の子は

「ゆっくりでいいからね」って何度も言ってくれた。

 

 

でも

 

 

でも

 

 

ちょっぴり限界が近い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

屋上からグラウンドを見る、コースを楽しそうに走る子達が見える、学園の外を見ると外周を楽しそうに走る子達が見える。

 

そんな子達を見ているとなんだか自分が惨めに見えて来て涙が出てきた。あの日から半年たっても症状は治らない、治ってくれない。

 

「どうして…」自分は立ち直れないの?

 

「どうして…」心配してくれてるみんなの為に走れないの?

 

「どう「なにしてんだ?お前?」…え?」

 

 

屋上には私1人だけだと思っていたけれど、どうやら1人ではなかったらしい。振り返れば、赤いジャケットを羽織った長身で銀髪の綺麗なウマ娘が立っていた。

 

「なになに泣いてんのか、よっしゃお姉さんに話してみな?ほれ!」

「え?あのちょっ」

そしてその人はあっという間に私に近づいてわたしを抱きしめ座り込んだ。

 

「おー、ちょうどいい所に頭がある」

 

そして私の頭の上に顎を乗せてごりごり押してくる。

 

「…あの、誰…ですか?」

「おいおぉい!私の事知らねぇのかぁ!?このトレセン学園で1番の焼きそば職人たぁあたしのことよ!」

 

…結局は誰なんだろう

 

「ほれほれ、このお姉さんに話してみな?なんかあったんだろ?」

 

…抱きしめられていて離れる事も出来なさそうだし、話すまで私の事を解放しないだろうことだけは分かったから、素直に話すとする。それに全く知らない人のほうが話しやすかったりもするって本に書いてあった気がするから。

 

 

いろんな事を話した。練習中に怪我した事。それが原因で走れなくなった事。症状がだんだんと悪くなっている事。その事でチームメイトや友達、トレーナーさんを心配させている自分が嫌な事。元気に走っている子達を見てこんな自分に絶望した事。いっぱい話した。

 

お姉さんはたまに「うん」とか「そっか」って相槌だけ打って最後まで聞いてくれた。身体をゆっくり揺らしながら屋上に吹く風と背中に感じるお姉さんの体温を感じてなんだかひどく安心した。

 

 

「あの…最後まで聞いてくださってありがとうございました」

日も暮れて来た頃にお礼を言って立ちあがろうとしたけれど

「まだダメだぞー、もうちょっとだけあたしの顎置きになっとくれ」

そう言って離してくれなかった。

「でもそろそろ門限が…」

「ん?あたしの部屋に泊めるからへーきへーき」

 

 

「…はい?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あの、ここって」

連れてこられたのはトレーナー寮にある一室だった。

「好きにくつろげよー!あたしはちょっと飯用意すっから」

 

「ふんふーん」と台所で準備をし始めるお姉さん。

私は立ち尽くしていただけだったが、立っているのもなんだと思い座布団を履いて座る。

 

部屋の中にはお姉さんのトレセン学園に通っていた頃の写真だろうか?ファミレスで自撮りをしている写真やトロフィーを手に笑顔で写真に写っている写真立てが机の上には置いてあった。

 

本棚にはトレーナー用の教本やトレーニング用の教本がズラリと並んでいるところを見ると、やはりお姉さんは学園のトレーナーの様だった。

 

 

しばらくすると、お姉さんが鍋を持って部屋に入ってきた。

 

「ちょっち屋上で冷えたかんなー、あったけぇ鍋でも突くべ」

お姉さんは私の分と自分の器を用意して手を合わせた。

「いただきます、ほれ食いねぇ食いねぇ」

「ありがとうございます…あの、寮長さんには?」

「あたしから言っといたから大丈夫大丈夫、同室の子にも伝えといたから安心していいぜ」

 

いつの間にか連絡はしていたらしい。屋上の時にはそんな暇無かったと思うのだが…

 

私の目の前には湯気を放つ美味しそうな鍋が鎮座している。

お姉さんは食べろと言ってくれたが…なんだか食欲が湧かない。

 

でも、せっかく用意してくれたものだし、一杯だけ…

 

箸で白菜やタラ、匙で豆腐と汁を掬い冷ましてから口に運ぶ。

口いっぱいに広がる出汁の味と何日振りかわからない暖食に自然と涙が浮かぶ。暖かい豆腐が喉を通るたびにホッとする。白菜を噛む度に唾液が出てくる。パクパクと食べていたら、2杯、3杯と食べていた。

 

お姉さんは「良い食いっぷりだ、あたしも負けてらんねぇ」と言って具材を食べていく。

 

思えばこんな風に腰を据えて暖かいご飯を食べるのは久しぶりだった。いつも栄養バーと水で済ませていたから。

 

お姉さんと一緒にパクパクと食べているとあっという間に鍋の具材が無くなった。お姉さんは一度台所に行くと、手にうどんを持ってきていた。

 

「締めはうどん〜、ネギを添えて…へいお待ち!」

 

コトっと私の前に置かれた器には鍋の汁とうどん、生卵とネギが入ったとても美味しそうなものが置かれた。

 

食欲が無かったはずだったのに、鍋もうどんも食べてしまった。お姉さんも「食った食ったー!」とお腹を叩いている、ちょっとはしたない。

 

 

「次は風呂だ風呂、あたしが洗ってやるよ」

 

と言ってお姉さんは私の服をって

 

「ひ、1人で入れますから、大丈夫ですから、だから脱がそうとしないでください…!」

 

「良いではないかー…隙あり!」

 

 

 

…結局一緒にお風呂にまで入ってしまった。

頭も身体も全部洗われてしまった。

 

でも、なんだか懐かしい感じ…昔…お母さんにしてもらった時みたいな…安心する。

 

 

「んー…ん!?おいおい!寝るなよ!風呂で寝るなよ!?……ダメだこりゃ、完全に寝ちまってる…あー…上がるかぁ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

…昨日いつの間にか寝ちゃってたのか…今何時…だろう?

【10:47】

 

「っ!?」

遅刻っ!

 

「はいはいステイステイ、落ち着けー」

急いで飛び起きようとしたら昨日のお姉さんに肩を押されて布団に戻された。

 

 

「授業が…!出ないと…っ!」

「大丈夫だ!しばらく休むって連絡入れといたから!理事長からも許可貰っといた!」

 

笑顔でサムズアップを決めるお姉さん。

 

「いいん…です…かね?」

色んな人に心配をかけたのに…これ以上心配をかけるのは…

 

「あたしに任せとけって!」

そう言って「ぴすぴーす!」と両手でピースサインをするお姉さん。

 

何の根拠もないけれど、

昨日知り合っただけの関係だけど…

 

 

それでも

 

 

 

 

 

 

なんだかお姉さんの笑顔を見ると、大丈夫な気がするから不思議だ

 

 

 

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「と!言うわけでぇ!!やって来ました大海原!!」

 

どうして私は海に出ているんだろう?

 

朝の一件の後、ちょっと遅めの朝ごはんを食べた後に「問答無用!」と連れ出されて気がついたらお姉さんが運転する船で海に出ていた。

 

「あたしくらいになると機械にゃ頼らねぇ…ここだ!多分!絶対に!おらぁ!釣り糸を垂らせぇ!」

 

 

…考えるだけ無駄なのかもしれない、海気持ちいい

揺れる船と流れてくる潮風が心地いい。

 

釣り糸を垂らしながら水平線や空を眺める。曇っているが、お姉さんの髪色みたいな銀色の空がどこまでも広がっていて落ち着く。

 

 

「よっしゃぁい!かかったァァァァァァァァ!!おるァァァァァァァァああああああ!!!」

 

船首の方でお姉さんの声が聞こえくる。大物がかかったらしい。

私の方はまだだった。

 

しばらく粘ったが、私の方にはピクリとも当たりがこなかった。代わりにお姉さんの方は大魚だった様だ、ずっとお姉さんの声が聞こえ続けていたから。

 

 

「ふぃー、激しい戦いだったぜ…」

 

そう言いながら船尾の方に歩いて来たお姉さんの方を見ると、手に持つバケツの中には魚の姿は無く。

 

代わりにこちらに見せつける様に突き付けている携帯ゲーム機の画面には某人気狩猟ゲームのリザルトが映っていて、そこに狩ったモンスターの素材と釣り上げた魚の姿があった。

 

 

「…あ、ゲームだったんですね」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あの後、お姉さんが

「ゲームの魚じゃ不満かぁ?しょうがねぇなあ」と言って

 

少し船を動かして糸を垂らすと大きな真鯛が釣れた。

「よしっ!晩飯ゲットぉ!今日は刺身作ってやっからな!」

 

釣り上げた真鯛とお姉さんの姿をスマホのカメラで収めた。

 

 

 

 

真鯛のお刺身、とても美味しかったです。

 

 

 

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お休みを頂いて2日目

 

【06:30】

今日はしっかりと起きれた、お姉さんはまだ眠っている…顔を洗って歯を磨いて…朝ごはん…作ろうかな?

 

冷蔵庫の中には普段はちょっと手が出ないお高いウィンナーと卵が3つ、キャベツの千切りが置いてあった。台所を探すとパンもあり、トースターも発見したのでウィンナーと卵を焼いてトーストを用意した。

 

そして時間も7時半だったのでお姉さんを揺すって起こす。

 

「お姉さん、起きてください。朝ですよ」

布団に広がるお姉さんの髪が綺麗でつい見惚れてしまうが、起こさないと朝食が冷めてしまうので努めて冷静にお姉さんを起こす。

 

「ん…ふぅわぁぁぁぁあっ…おはよう」

「はい、おはようございます、朝食用意出来てますから」

「さんきゅー」

 

まだ目がしょぼしょぼする様で足取りはおぼつかないが洗面所に行き、顔を洗い、髪をセットしたお姉さんは朝食の席に来る。

 

「おはようさん、朝食サンキューな」

「礼は寝起きに聞きましたよ、私が用意したかっただけなので気にしないでください。お姉さんには色々とお世話になってますから」

 

何故だかお姉さんは私を助けてくれる。理由は分からないがお姉さんの行動が私にとって良いものなのはここ2日で分かった。寝るときに悪夢を見ないし、症状も出ない。

 

 

なんだか前までの生活が嘘の様だ。

この調子で私も元に戻れたら…

 

「今日は山行くぞー!」

そう、拳を突き上げて宣言するお姉さん。

 

昨日は海で今日は山…明日は何処にいくのだろう?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

お姉さんの運転する車で山…というかキャンプ場まで連れてこられた。入口の看板には【黄金の安らぎ】と書いてあったが、ほとんどの人は黄金があると安らぎを得られないのではないだろうか。名前を考えた人はどう言う思いで名付けたのだろう?

 

 

「よぉぉおっし!今日は貸し切りにしといたからSIZUKADAーーッ!」

 

貸し切り…ん?貸し切り?

 

「あの、お姉さん?今聞き間違いでなければ貸し切りと…?」

出来れば当たって欲しくはない…そんな私の心など知らないと言った様子でお姉さんは笑顔で頷く。

 

「おう!周りに誰かいるとゆったりできねぇからな!」

 

…あ、このお姉さん行動力があってお金持ちなんだ

 

 

 

 

「よいしょ…あー、ちょい右だな…よしおっけー」

 

お姉さんは近くの林の中に行って薪を集めて来たようだ。私は座ってろって言われて展開式のイスに座ってココアを飲んでいる。

 

「あの、手伝いましょうか?」

「んー?いいよ、あたしはこう言う作業は1人でやりたい派なんで…ねっ!」お姉さんは喋りながら火起こしをして種火に火をつけた。

 

 

そしてそれをあっという間に焚き火に移してどんどんと火を大きくしていく。

 

「そう言えばここって焚き火大丈夫なんですか?ダメなところもあるって前テレビで聞きましたが」

 

「大丈夫大丈夫、ここは大丈夫な所だから」

 

 

しばらく火を眺めているとお姉さんがキャンプバッグから何かを取り出した。火かき棒で焚き火の炭を崩すとそこに、バッグから取り出した鉄製の固定具の用な物をセットし、その上に鉄フライパンを置いた。

 

 

どうやら焚き火で出来るコンロの様な物を作れる道具の様だ。火に熱せられた鉄フライパンは直ぐに熱くなり、お姉さんはフライパンにバターを落とす。

 

「今からアメリカの友達から送ってもらったデケェ肉焼くからなぁ…よく見てろよぉ…!」

 

と、お姉さんが取り出したのは見たこともないぐらい大きな牛肉。これがアメリカンサイズなのだろうか…?

 

「確かタイキは…切り分けずに表面焼いて後は蒸せって言ってたっけか」

 

お姉さんは見たこともないぐらい真剣な表情で牛肉を焼いている。バターで焼かれた牛肉の表面は美味しそうな色をしている。

 

だが中まで火は通っていない。お姉さんは大きな鍋を取り出すと中に焼き色をつけた牛肉を入れて蓋を閉めて蓋の上と鍋の下に炭を置き「これでよしっと…次は副菜だな」と言って大きな包丁でジャガイモを切り始めた。

 

 

切り分けたジャガイモ…ポテトと言った方がいいだろう。ポテトを牛肉を焼いた後のフライパンでこんがりと焼き始めた。

 

 

…正直言ってもうお腹が減って大変な事になっている。

早く食べたい。

 

 

「そう焦らない焦らない…ほいポテト上がり、ちょっと食うか?」

 

お姉さんはそう言いながら私の目の前には塩をざっくり振ったフライドポテトを差し出してくる。無論私はこの誘惑に逆らえるはずもなく食べた。

 

 

 

ものすごく美味しかった。大自然の中で食べるフライドポテト…

 

そしてその後に食べた牛肉のステーキも…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その後もいろいろな所に連れて行ってくれたお姉さん、時には牧場、時には動物園・水族館。お姉さんと行動している間に悪夢や症状は一切出なかった。

 

 

お姉さんと行動して5日目、その日お姉さんが連れて行ってくれたのは東京レース場だった。私の気持ちと連動する様にペタリと動いた耳を見てお姉さんは「大丈夫だって、心配すんな!お前はもう大丈夫だから、ほれ」

そう言って手を引いてスタンドに連れ出してくれた。

 

 

 

 

 

久しぶりに匂う芝の香り。

土の香り。

人々の熱気

レースに出ている子達の想い

 

その全てを久しぶりに感じた様に思う。

 

 

 

『最終コーナー回って最後の直線!7番が1番手!2番手には1番!ここで上がって来たのは8番!持ち堪えるか7時!抜かすか8番!抜いた!8番抜いた!そして今!一着でゴール!!』

 

 

そして、私の見ている前で一着を取ったのは私の友達だった。

 

 

笑顔でスタンドに手を振っている。

脚は少し震えて、呼吸も全然落ち着いていないけれど。

満面の笑みでスタンドに手を振っている。

 

 

そして、目があった。

 

 

笑顔のまま固まる友達。

 

…ちょっと気まずいと思って顔を俯かせようとした時、お姉さんが背中に手を当てた。その瞬間、ちょっと勇気が湧いて。顔を上げて口パクだけどこう言った。

 

 

『おめでとう、カッコよかったよ』

 

 

友達は満面の笑みのまま号泣すると言う器用な事をしてスタンドを少々困惑してみせた。

 

 

 

 

芝の香りもみんなが走った音も覚えてるのに息が出来る、脚も震えない。嫌な汗も描かないし視界もぼやけない。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あの後友達の控え室に行ってちゃんと言葉にして勝利を讃えた後にふと思い出したことがあった。

 

 

「あの、私お姉さんの名前まだ聞いてないんですが」

 

そう、ここまで良くしてくれたお姉さんの名前をしらないのだ、私は。流石にこれはダメだと思う。多分私のメンタルケアをしてくれたであろう恩人の名前も知らないのは絶対にダメだ。

 

「あ、名前言ってなかったっけ?」

「はい、是非教えてください」

 

お姉さんは腰に手を当て太陽の様な笑顔で自らの名前を言う

 

「あたしの名前はゴールドシップ!日本ウマ娘トレーニングセンター学園のトレーナーだ、良かったら今のチームからあたしのチーム『スピカ』にこねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






私:怪我でメンタルが大幅にダウンしていた子
マイル・中距離で先行と作者は考えている。作中では睡眠不足による情緒不安定に陥っていたが、ゴルシお手製鍋とお風呂、そして暖かいオフトゥンには勝てなかった。

友達:中距離・長距離で差しと作者は考えている。
私ちゃんが目の前で転けて足や腕が変な方向に曲がってるのを見ちゃってしばらくメンタルケアを受けていた。トレーニングや授業に出ないのを心配していたが、私ちゃんなら大丈夫と信じてトレーニングに励みデビュー戦で一着をとり私ちゃんに見てもらえた。

同室の子:多分1番辛かったんじゃないだろうか。何かをしてあげたいが、どうすればいいのかわからなくて自分が情けなく感じており、トレーニングの傍ら精神医学などを勉強していた

トレーナー:私ちゃんが転けた時に真っ先に担架を持って来た男性トレーナー。一目見て重症だと悟りすぐさま保健室に運ぶと同時に学園に救急車を呼び自分のチームメンバーを集合させ他に怪我人が居ないかを確認した後寮に帰らせた後に私ちゃんが目を覚すまで病院に詰めた。雨上がりにトレーニングをさせた自分の判断を責め続けている。


理事長:皆さんご存知、秋川理事長。現在学園にいる人員では私ちゃんのケアが上手く出来ないことに気が付き出張中だったゴールドシップを呼び戻し理由説明してメンタルケアに当てた


ゴールドシップ:アニメ版かアプリ版かは決めていない。作者の思いつきでトレーナーになった。今回の件はゴルシなりに最大限の注意を払っていた。屋上で出会った時も飛び降りるんじゃないかとヒヤヒヤしていたし。タキオンに精神を落ち着かせる様な香りのシャンプーを作ってもらい私ちゃんに使ったり、タイキシャトルに大きな牛肉を送ってもらったり、マックイーンにお高いソーセージを送ってもらったり(ソーセージは自分が食べたかっただけ)色々頑張った。気分が落ち込んでいる時は何か美味い物を食べるとわりと回復するのが作者の考えなのでこのお話にはそれが色濃く出てしまったのではないかと思います。






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