EP FINAL・カットシーン
ジオウに変身したソウゴと、ディケイド・コンプリートフォーム21に変身した門矢士を合わせた五人で攻撃を仕掛ける。
が、真実のソウゴはその場から動くことなく俺達三人を吹き飛ばし、代わりに化物を何体か引き寄せる。
「お前達はこの者らと遊んでいるがいい」
真実のソウゴはそう言うと化物達にエネルギーを注ぎ込んでいく。化物達の筋肉は更に盛り上がり、体色は灰色から黄金になり、禍々しい角が一対生えてくる。
変貌した化物はエネルギーの供給が終わるや否や俺達に襲いかかり、ソウゴと門矢士、真実のソウゴから引き離していく。
その勢いを止めようと目の前の化物に拳を入れる。しかし拳は筋肉に跳ね返され、化物そのものも怯む様子は無く進み続ける。
ならばと掌を胸に当てて光弾を何発か撃ち込む。これでようやく止まるが代わりに鉤爪を振り回す。
当たらないように回避していると肩が何かにぶつかる。アナザーディケイド──スウォルツの肩だ。スウォルツの肩もジオウ・プトティラアーマー──ソウゴBの肩にぶつかった。
「……包囲されてないか?」
「いや、後ろには化物はいない」
「まだ、な」
スウォルツはチラリと背後を見る。そう遠くない場所でウールと気絶したツクヨミ、そして二人を守るウォズが化物達と戦っている。
「ここでコイツらを倒す。意見は求めん」
スウォルツは一方的にそう言い放つと、拳から光剣を生やして強化された化物に斬りかかる。
続いてソウゴBも右腕から生えた紫色のヒレで化物に襲いかかる。
二人の相手の筋肉がざっくり斬れる斬れる斬れる。ある程度再生しているとはいえ、確実にダメージを与えられている風に見える。
スウォルツの斬撃の方がより深く裂けている。オーマジオウの力の残滓の影響だろうか。
とりあえず俺は光弾を撃っておいたが、然程効いている様子はない。
やっぱり剣か。さっきみたいに殴っても効かないだろうしな。
そう判断した俺はアナザーディエンドの力でガンマイザー・ブレードを喚び出す。異世界の十五体の守り神、その一体。その姿は太い大剣だ。
更に召喚するのはグレングラファイトバグスター。狩猟ゲームのラスボスである龍戦士。
グレングラファイトは背から得物であるグレングラファイトファングを引き抜き、化物の腹を切り裂く。
俺もブレードを化物に振り抜く。化物の腕が吹っ飛ぶ。胸を狙ったはずなのに。当たっていれば流石の化物も死んでいたはず。
くそ、重い。思わず舌打ちしてしまう。アナザーディエンドに向いていない武器だった。
アナザーディエンドの基本的な戦術は遠距離攻撃と召喚怪人、オーロラカーテンなどでの撹乱及び支援。今回のように真っ向勝負ばかりなのがおかしいんだ。
でもそうしなければ負けてしまう。そう言い聞かせてどうにか大剣を持ち上げ、振り下ろす。
化物の頭が弾け、倒れる。爆発はしなかった。
ようやくか、と重すぎる大剣を下げる。とその瞬間、グラファイトに突き飛ばされる。
「お前、何を──」
顔を上げると、化物が化物を食べている光景が見えた。一分も掛からずにペロリと平らげると、倒れているグラファイトにもその牙を向ける。
不味い、と俺はグラファイトを消滅させる。
助けてくれたのに、申し訳なかった。
「コイツら、共食いするぞ!」
「まさかあの言い訳が本当になるとはな……」
「えっ何だそれ」
「悪いな、独り言だッ!」
スウォルツは光剣を化物に突き刺す。光剣が更に輝いたその瞬間、スウォルツは光剣を勢いよく引き抜く。
その直後、化物は爆散した。
「エネルギーを流し入れて内部から爆発させたのか」
「ああ。ついでにオーマジオウの力の一端も回収しておいた」
「ちゃっかりしてん、な!」
少し話そうとする間にも、化物は襲いかかってくる。
Bの方を見ると、奴も奴で苦戦している。
「外部から力は奪えないのか?」
「できたらやっている」
そりゃそうか。
「なら役割分担して撃破した方がまだいいか」
「……役割?」
「俺とBで妨害に徹する。そしてお前が全部倒す」
「俺だけ負担大きくないか」
「オーマジオウの力の一端を受け取れるんだから安いもんだろ」
「正直言って今の俺にはその力は必要無いんだが……」
その時、誰かが通り過ぎて行った。スカートは控えめに広がり、そこから筋肉の付いた脚が覗いている。
「えっ──」
「ちょっ──」
「やめて常磐君! "ソウゴ"!!」
月読だ。ファイズフォンXを二人のソウゴに向けている。
「アイツ……!」
スウォルツはすぐさま彼女の元へ駆け出す。ファイズフォンXを下げさせ、更に身体も下げさせようと踏ん張る。
「何をしている!」
「何なのあんた!!」
急な質問に困ったらしいスウォルツは何故か俺を指差す。
「俺はだな、アイツが喚び出した怪人でな──」
「何でアナザーディエンドが!?」
「更に混乱させてどうすんだ!?」
叫び返したがスウォルツはスルー、ソウゴに一言言ってから月読を抑え込むのに集中し始める。
ウォズは何をしている、と後ろを向くと化物の鉤爪が俺の胸を抉る。軽く吹っ飛ばされながらも、ウォズが大量の化物に囲まれている様子がかろうじて見えた。
ヤバい。早く加勢しなければ。
焦る俺に駆け寄ってきたBが問いかける。
「オイ加古川、お前怪人喚び出せるんだよな」
「ああ」
「ヤミーはどうだ」
「……まさか」
右腕のメダガブリューZ。オリジナルのメダガブリューと同じ能力が備わっているのならば。
この戦局をひっくり返せる。
「できるのか」
「やるさ。俺はアイツから返して貰わなきゃいけないものがある」
仮面の下でBが笑ったように思えた。
「わかった」
俺はガンマイザー・ブレードを化物の方へ投げ捨ててクワガタヤミー、カマキリヤミー、バッタヤミーを喚び出す。
無理矢理三体喚び出せたが、そのせいで耐久力は無い。まぁ、耐久力は必要無いが。
Bは三体のヤミーを一気に斬り裂く。血のように噴き出したセルメダルをメダガブリューZはバリボリと貪る、貪る、貪る。
プトティラウォッチが発光し、メダガブリューZが肥大化していく。紫色の怪しい輝きを増していく刃。
〈フィニッシュ・タイム!〉〈オォーズ!〉
Bは天に吠える。そして荒々しくドライバーを回した。
〈プトティラァ〜ノッ!〉〈タイムブレーク!〉
化物達の足が凍る。与えられた力で溶かそうとするが、もはや手遅れだ。
奴らの身体を、紫の巨大な刃が断った。
「ぐっ……」
化物の切れた上半身がずるりとズレると同時にBも膝をつく。アーマーも解除されてしまう。
それでもBは立ち上がり、よろめきながらウォズの方へ向かおうとする。
やっぱりお前も、常磐ソウゴだな。
肩を貸してやると、Bは意外そうにこっちを見た、ように思えた。
「行くぞ」
「ああ」
ジカンギレードの銃弾と掌の光弾で牽制しつつ、俺達はウォズに加勢した。
〈ファイナルアタック・タイムブレェーイク!!〉
化物との小競り合いの最中。その音声と大きな爆破音で、俺はこの戦いの終焉を知覚した。