ヒロアカ世界だが、人造人間編を始めたい   作:食卓の英雄

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まさかこんな短期間で評価者が百人を越え、評価バーが真っ赤になるとは思ってもいませんでした。お気に入り数も1000人を越え、日刊ランキングも8位になりました!
これも読んでくれるみなさまのおかげです。ありがとうございました!
やっぱ神龍の力って偉大やなって



ズチャズチャズチャズン♫ズチャズチャズチャズン♫

僕のヒーローアカデミアの世界だと気がついたドクター・ゲロは、己の野望のためにレッドリボン軍の結成を決意した。
そのためには世界が平和すぎると、自分が製造した兵器を安価で売り捌く作戦は大成功!ヒーローたちの目がうつった隙に、ゲロは単身ドイツへ趣き、総統となる冷酷非道な人物、シュライフェを勧誘した。
総統はコードネームをレッドと改め、見事レッドリボン軍を結成!みるみるうちに力を増すレッドリボン軍にゲロは喜び、貪欲に新たな技術を求めるのであった………!

デッデデ♫デーデデデデデーデデーン♫デデン♫

正義と悪!お互いの進展!


正義と悪!お互いの進展!

「――レッドリボン軍と名乗る組織はこれまでにも大小問わず膨大な犯罪を犯しており、今尚その動向、規模ともに不明ですが……」「レッドリボン軍…今最も力のあるヴィランといえますが、専門家の方から見て…」「レッドリボン軍の手により被害に遭われた地域には各地からの応援のメッセージや手紙が届き、最後まで体を張って市民を守ったヒーローにはファンからの追悼の言葉が送られています」

 

『解明!レッドリボン軍の秘密に迫る!』

 

 ニュースキャスターやコメンテーターといった者達が真剣な顔で展開させてゆく声をBGMに、デカデカと注目をひく書体で書かれた、如何にもといった感じの記事に彼は目を通した――。

 

 レッドリボン軍が本格的な活動を初めて早数年。その莫大な組織力と人数で行われた悪逆非道の限りを尽くしたかのような最悪の軍隊の名は、この短期間で世界中に知れ渡った。

 

 場所を選ばず活動している彼らの被害は多く、どれだけヒーローが動いたところで尻尾も掴めず、広すぎる活動範囲から拠点を絞ることもできない。

 今までのヴィランといえば、個性を持て余した集団や、社会不適合者が落ちぶれたものというのが定番だった(勿論その例から外れた強力な敵もいる)。だからこそ起こす犯罪も個人の程度で収まっていたが、それに慣れていたヒーロー達市民達にとって、レッドリボン軍はあまりに異質すぎた。

 

 まず、装備が違う。どこで手に入れたのか、従来の兵器を超える高性能な兵器を湯水の如く使用してくる相手には、ヒーローも容易には手が出せず、相性が悪ければ何もできない者までいるほどだ。

 そして連携。今までのヴィランといえば、個性を活用して逃げる事に重点を置いた軽犯罪者が多かったのだが、このレッドリボン軍は人を殺す為の動きが完成されていたのだ。

 好き勝手に力を振るう者が多い中、決められた兵器と作戦で戦うその様はなるほど、軍を名乗るのも頷けるだろう。

 

 これだけなら、これだけなら良かったのだ。上に述べたような犯罪は今までにも起こっており、個別で見れば質に差こそあれど、やっていることは同じだ。

 

 だが、世界を騒がせている組織がその程度で収まるものだろうか?否。これこそがレッドリボン軍最大の強みである。

 

 数だ。あまりに多すぎる数。メディアやヒーローですらその全容を把握できず、ただ漠然とかなりの数がいるとしか分かっていないのだ。南米で強盗をした同日に中東でのヒーローとの交戦が判明し、その数時間後には南極基地の監視カメラにも映り込んでいた。

 まさしくどこにでも現れる悪夢。どれだけ対処しようとそれを覆い尽くす数の暴力は当事者たちには無限に湧き出る悪魔のように見えていただろう。

 

 それほどの数が、先述した二つを伴っていると聞けば、誰しもがその脅威の程を推測できるだろう。今や世界で最も有名で、最も残虐で、強大な悪の組織。それが世間からの評価である。

 

 同時期に極東で活動している悪の象徴、オール・フォー・ワンを日本を混沌に陥れる魔王だとすれば、レッドリボン軍は世界を蝕む虫の群れである。

 

 被害が甚大であるがゆえに、人が動かねばならない。人が動けばその隙に他で活動が始まる。そしてまた振り出しに戻るイタチごっこだ。

 一応個々の実力は然程でもなく、連携なども専門職とヒーローに比べればまだ未熟な点もあり、強力な敵には及ぶべくもない。また兵器の通用しない相手には滅法弱いという弱点はある。だとしてもあまりに広すぎる活動範囲でそれを望むのは酷であろう。

 

 一度だけ、ある地域のヒーロー全体でチームアップを図って一つの支部を抑え込もうとしたことがあった。その目論見は見事成功し、多数の構成員に加えて幹部までを捕縛することが出来たのだ。

 それなりに大きな支部で、本基地とも繋がっていると踏んだヒーロー達はそのまま情報を探っていたのだが、突如ボイスメッセージが届き、その数秒後に支部が音を立てて倒壊したのだ。現場にいたとあるヒーローの活躍によって死者はいなかったものの、重体が3名、重軽傷者を16名出し、ヒーロー活動の停止を余儀なくされた者も複数いた。

 後日跡地を警察が調べたが、数々の兵器は皆一様にスクラップと化し、データも徹底的に削除されていたとのことだ。

 そして同日、他国では報復と称して民間人への暴虐な行いが世界へと発信され、その冷酷で非道な振る舞いは全世界を恐怖の渦に巻き込んだ。

 支部を攻撃しても自爆を行い、それらの情報を把握しているのかわざわざ手の届かない場所での報復を行う。

 これは莫大な数の民間人が人質に取られているも同義であり、最早一国ですら収まりきらない被害には、トップヒーローですら迂闊に手が出せなくなっていた。

 

 レッドリボン軍の悪名は同じヴィランからですら畏敬の念を抱くほどで、その名を聞くだけで震え上がる者も多くいる。齎した甚大な被害とその凶悪性を知るものからすれば、頷けることだろう。

 

「レッドリボン軍……」

「どうした俊典?」

「あ、いえ。最近聞かぬ日はないので、ヒーロー志望としては放っておけず…」

 

 上に跳ねた特徴的な金髪を携えた青年と、力強く利発な輝きを瞳に込めた黒髪の女性が言葉を交わす。

 ここは日本。優秀なヒーローを輩出する国として世界でも度々挙げられている。

 そして今、全世界に蔓延しているレッドリボン軍の魔の手が唯一伸びていない国でもある。

 

「ああ、前から注目はしてたが、まさかここまで広がるとは」

「やはり、日本に近づけないのは、奴を恐れているからでしょうか?」

 

 グッと拳を握りしめ、憎き仇敵の姿を思い浮かべる。とはいっても、そのどちらもが世界にとっての脅威であることに違いはない。

 オール・フォー・ワンは、その圧倒的な力と、極めて高い人心掌握術。正義に生きる者を愚弄し、老獪な手腕で日本を裏から支配する悪のカリスマ。

 レッドリボン軍は、莫大な兵力と残虐性。ヒーローの対応が追いつかないほどの軍事力を持ち、殺しを厭わない兵士たち。確認されているだけでも最低20万以上の構成員を抱えているとされ、その全てに潤沢に行き渡る組織力。極めて強大な個こそいないが、先の事件からヒーローですら手を出せなくなっている。

 

 日本にはオール・フォー・ワンの支配が、他国ではレッドリボン軍の影が。後に2大巨悪とも称されたこの時代。一向に晴れそうもない暗雲は厚く、己の力不足を強く実感させられる。

 

「かもしれないし、そうじゃないかもしれない。少なくとも、その巨悪どうしが手を組むなんて最悪はありえないってことかな」

「お師匠?」

 

 どこか確信を伴った発言に、八木俊典は強張っていた顔も忘れて聞き返す。

 

「だってさ、スタンスが全然違う。オール・フォー・ワンのやり方ではレッドリボン軍は成り立たないし、レッドリボン軍はオール・フォー・ワンと組むことで得られるメリットは少ない。個の力で劣るレッドリボン軍はオール・フォー・ワンなんてのがいたら気が気じゃないだろうし、かえって吸収されるかもしれない。世界征服を謳って大々的に活動する組織がむざむざ今の地位を手放すはずがないだろう?」

「それは…」

 

 希望論だ。そう言いかけた心の声を飲み込んだ。いつもそうだ。この人はどこか悟ったように、優しく受け入れてくれるのだと。

 歯切れの悪い返事に、志村菜奈は静観して次の言葉を待っていた。

 

「ええ、きっと。そのどちらもが、私が生きている間にはこの世から消え去っているでしょう」

 

 青く澄み渡る空に、今も同じ空のもとで悪事を働くヴィランたちに。晴天を睨みあげ、正しくトップヒーローとしての気迫を醸し出す。

 

「ほう、私が生きてる間、とは言わないのか」

「えっ、あっ!それは言葉の綾というもので……!その、違うんです…!」

 

 一転、一言でプレッシャーを霧散させ、わたわたと手を振っている姿からは、先程の威容など微塵も感じられない。幼さの残る形のいい眉をさげ、青褪めた顔で否定する。

 

「なんて、冗談だよ。……そうだね、俊典の代で全てが終われば…どれだけいいことか」

「お師匠……」

 

 なんて少し湿っぽくなり、つい自分らしくなかったかと反省をし――弟子がなんとも言えない顔でこちらを見ていることに気づく。

 

「ん?どうしたんだ?」

「その、お師匠…。言いにくいんですが…、虫が集ってます…」

「嘘!?」

 

 見れば頭の上を羽虫が飛び回り、外見だけを見れば相当不潔に見えなくもない。

 羽織っていたマントを振って追い払うと、今度は俊典の顔を見て笑う。

 

「俊典、お前は顔刺されすぎだっ…」

「え、ウソ!?」

 

 ほいと手渡された手鏡で見れば、両頬と鼻頭が腫れ、某菓子パンヒーローの如き様相となっていた。

 

「って私も刺されてる、いつの間に!?」

 

 そのリアクションに自然と笑いが漏れ、二人揃って大笑をこぼす。この笑いを胸に、人々のために。願わくば、こうして笑いあえることが、誰にとっても日常でありますように。

 

 そんな細やかな、切なる想いは空に。この僅かな一時は風にさらわれるように過ぎていった。

 

 

 

―――この一ヶ月後、志村菜奈はAFOと交戦し死亡。八木俊典はAFOの魔の手から逃れるためにアメリカへ留学することになる。

 

 

 

 

 いやあ、実に順調だ。当面の問題だったエネルギー炉の転換効率は意外な事で解決した。それというのも、レッドリボン軍上級兵士の中にいた「エネルギー」という個性が役に立ったのだ。

 エネルギーを見ることが出来るようになるという個性だが、そのお陰で原因の早期発見が可能で、更にある程度ならその流れを制御できるのだ。

 これを使わない手はあるまい。しかしまあ、わたしの目標は個性を用いない人造人間であるため、複製した劣化個性でデータを収集する程度にしている。どれもこれもを個性に頼っていては、とても人造人間編など始められたものではないからな。

 一応試作的に個性持ちの人造人間を作る予定はあるが、それにはまだ個性への理解と情報が足りない。

 

 そうしてみれば、メタリック軍曹は中々作り甲斐があった。並のヒーローに力や耐久だけなら勝るロボットだが、乾電池で動くというトンデモな代物だ。乾電池故にエネルギー切れを起こしやすいが、そもそもこの性能で市販の乾電池で動くようにするのはかなりの挑戦だった。

 

 肝心の人造人間も妻との共同研究により、既に6号も完成している。さっさと進めて原作のようにハッチャンを製造したいところだが、まだまだその時間ではなさそうだ。

 

 しかし、そうなるとレッドリボン軍でもやることがほぼなくなってきた。支給する兵器などの武装は全て自動化しているし、かといってこれ以上の品質の装備となると、明らかに強すぎてしまう。

 思うようにいかず少し悶々とした時期もあった。

 

 だから、わたしは個性研究に精を出した。主にドラゴンボールの世界の再現に必要な個性から、一見なんの意味もなさそうなものまで。

 レッドリボン軍としては優秀な個性持ちは必要としているし、そもそも総帥の目的からして、個人的な願いを叶える個性を探しているのだ。その中から多少引き抜いたところで、わたしに意見するやつなどいるはずもない。

 

 

 わたしが目をつけたのは先述の「エネルギー」を筆頭に、「波動」「活力」「耐久」「剛筋」などのドラゴンボールらしい戦いを演出できるものから、「レーダー」「再生」「テレパシー」などの補助系統まで揃えている。

 全世界から似たような系統も複数集め、その差異についても見ているが、しかしこうしてみると日本から回収した個性の有用性が高いな。流石は原作の舞台といったところか。

 

 個性は各自特徴がありすぎて、安定性を持たせることは苦労したが、中々いい塩梅に仕上がってきた。

 ドクター(わたしではない)が作っていた複製個性は出来ていないが、劣化個性ならば開発できた。

 これは本人の細胞と個性因子の関係性を見、対象の肉体遺伝子を培養させて作った特注の実験用マウスで馴染ませたところ、マウスがその個性を発現するようになったのだ。

 

 まだ次の段階へは進められていないが、そこから人間の遺伝子構造に慣れさせ、ゆくゆくは他者へ植え付けることを目標にしている。

 

「――では起きるがいい。人造人間6号よ」

 

 ところ変わって研究所。わたしことドクター・ゲロは研究所の最奥、特に繊細な作業を必要とする一区画にてとある作品の起動を行っていた。

 人間の域を逸脱した白い肌の女性型人造人間が、その切れ長の青い瞳を開いた。体に繋がったままのチューブや、固定器具を自らの手で外し、体の出来を確かめるように拳を開閉している。

 わたしの研究所を見回し、やっと気づいたかのようにわたしの姿を収める。

 

「おはようございます。ドクター・ゲロさま」

 

 うむ。とりあえずの起動は成功。人語を介しわたしが創造主であることも理解出来ているようだ。しかし、このセリフは心臓に悪いな。不意をついて胸を貫いたりしないだろうか。17号ならいざ知らずこんな所で死ぬわけにはいかないのだが…。

 

「さて……おまえはわたしのことが分かっているのか?」

「はい、勿論です。あなたにお造りいただいたのですから」

 

 今のところ、人格面に問題はないように思える。電子頭脳とエネルギー炉に特に力を入れており、お陰で戦闘力はほぼないが、これから先のメカタイプ人造人間の金型とも言える性能になっている。

 

「始めまして、6号。わたしの事は分かりますか?」

「ええ、奥様にご子息様。私の記憶領域にはあなた方もインプットされています。ご入用の際は何なりと」

 

 そうして一礼。ドクター・ゲロの製造した人造人間は尽く性格に難があったため不安だったが、どうやら杞憂で済んだらしい。

 

 今回わたしが6号を製作するに至った理由として、妻と息子に関係がある。

 わたしが言うのも何だが、わたしはとても恵まれていると思っている。わたしのことを愛してくれる美しい妻とかわいい息子に恵まれているのだからな。

 けれどわたしはといえば研究や開発ばかり。ゲボが生まれたときだって、わたしはあまり時間を割けなかった。妻も同じ科学者であるため理解はあるのだが、やはり負担を掛けすぎているのはよくない。というよりももっと家族らしいことがしたい。

 

 そんなわけで、この人造人間6号の主な用途はわたしの助手兼ハウスキーパーのようなものだ。わたしの研究所におけるロボットへの第二級指揮権限を持ち、またわたしのデータや考証などの記録も全て入っている。

 妻の指示にも従うように設計しており、妻の研究の手伝いや、わたし達のどちらもが手が離せない時にはゲボの世話までしてくれるのだ。故あって生身の人間を雇えないわたしたちにはとても助かる機能が勢揃いだ。

 

 わたしの求める基準をクリアした人造人間としては初の成功作品。今まさに目の前で動くそれは現行の科学技術を大きく越えており、その実例がわたしの技術力の結晶と見れば、中々感慨深いものがある。

 しかしまだこの程度で満足するわけにはいかない。わたしはこれからも驕らず、慢心せず、目的のために高めてゆくとしよう。

 

「……重力室でも作ってみるか?」

 

 とはいえ、一介のドラゴンボールファンからすれば造ってみたいものもあるのであった。

 




皆様こんにちは。人造人間6号です。6号ともむーちゃんとも好きにお呼びください。
ドクター・ゲロさまは個性の研究に力を入れ、マウスを使った実験方法を編み出していきます。
一方、日本からはとある梱包物が届き、舞台は宇宙へと移り変わる…?

次回、ヒロアカ世界だが、人造人間編を始めたい『造られた個性マウス!ゲロは宇宙の彼方まで!』

わたしは…ゲボ様とお留守番でしょうか?
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