ズチャズチャズチャズン♫ズチャズチャズチャズン♫
ドクター・ゲロとレッド総帥の活躍により、レッドリボン軍はその脅威を全世界へと広めていた。それは近い未来で平和の象徴と呼ばれる青年の耳にも届き、オール・フォー・ワンなる者の影が垣間見えた。
一方、ドクター・ゲロはレッドリボン軍のバックアップを受け、気や個性の研究を着々と進めていく。完全機械タイプの人造人間6号を起動し、優秀な助手を着けた彼らの行く先とは…
デッデデ♫デーデデデデデーデデーン♫デデン♫
造られた個性マウス!ゲロは宇宙の彼方まで!
人造人間6号の開発前から続けていた個性マウス計画。それについて一定の結果が見込めたために参照記録とデータの整理をしようと思う。
個性マウス計画とは、その名のとおり個性を有したネズミを製造する計画だ。
まず採取した検体の塩基配列を組み直し、実験用マウスへと馴染ませる。この時点でゲノム配列を弄り、人間の因子による拒絶反応を鎮静化。注入した微量の個性因子を同時に成長させることによって、マウスの体に馴染んだ検体のDNAは受け継がれ、理論上マウスでも個性を扱えるという名目から行われる実験だ。ヒロアカでは根津校長という実例があるのだ。できないということはないだろう。
複製個性というのは現在でも何とか作り上げることが出来るが、コストがあまりにかかり過ぎる。比較的身体に影響を与えない個性でも人造人間6号よりも高かった。
また、わたしの技術力を以てしても容易な生産は難しく、それでいて他者への移植となると、無個性か余程相性が良くない限り死亡してしまう。類似した説としては日本で提唱された『個性特異点』がそれに近いだろうか。
一応、その発展形として個性因子の組み合わせによる新たな個性の開発というものがあったが、これも扱いが難しい。その場合それ専用の改造人間、原作に於いては脳無と呼ばれたそれが必要になる。
流石に今からそれの開発をするのは時間もサンプルも足りず、わたしの本来の目的が達成できなくなってしまう。
AFOと接触することも考えたが、今の私やレッドリボン軍では、良くて利用され、最悪わたしたちも殺され技術や成果を奪われるだけになるだろう。それだけ、全盛期の魔王というのは恐ろしいのだ。
ともかく、わたしの求める理想形には成りえないと判断、そして踏み込むリスクの大きさからそれ以上の研究は凍結。仮に再び手を出すとしたらAFOが弱体化してからだろう。
だが、わたしとて協力が得られないから研究を断念した。等と言っている訳ではない。わたしにはわたしのアプローチがある。
そもわたしが作りたいのは個性を備えない人造人間で、ドラゴンボールを再現したいだけなのだ。主目的のために個性の研究を進めているだけであり、そちらに傾倒してしまえば本末転倒だろう。
よって、わたしが考えた個性特異点論に縛られない実験の為の研究。それが先述した個性マウス計画だ。それらを簡潔にまとめたデータは、6号含めてメインコンピューターにも保管している。
第1世代:塩基配列を弄り、ヒトの細胞への親和性を高める。最初は配分を間違えてずいぶんと死なせてしまったが、コツを掴んでからは容易だった。このマウスであれば人間の因子に適合できるだろう。
第2世代:個性因子は拒絶反応を起こさず、マウスの状態も良好。外見の変化は少ないが、異形型個性のみ確認できる。個性因子は低出力だが安定。
第3世代:ストレスを与えることで発動型個性の確認。単純なものほど高い効果が見受けられたが、最高でも本来の10%程度と効果は低く振れ幅も大きい。また生存本能を刺激したストレス環境になければ個性を使用出来ず、自らの意志で発動させることは困難な様だ。
この時点で細胞の一部を人間へ移植し、個性因子を定着させることは可能だが、拒絶反応あり。適合出来た被検体もその個性を自らの意思で満足に扱うことは出来なかった。
全体的に不安定。要改良。
第4世代:前世代の結果から改良し、個性の制御に重点を置いた世代。専用知識が必要な複雑な個性はまだ難しいが、単純なものならばマウスの意志で使用可能。ケージ内に餌となる昆虫などを配置した結果、各々の個性を利用し捕獲することに成功。
同種での喧嘩や遊びでの使用も確認できた。発揮できる出力は個体差があるが、殆ど制御は可能。
第5世代:さらなる安定性を求める。出力の均等化に成功。
第6世代:個性因子の濃度を上げ、出力の増加を計る。個性因子が活発化し、目標を超える出力が確認できたが個性が暴走し凶暴化。ケージを破壊したのち、目につくものに襲いかかった。
第3実験室を隔離し、閉じ込めることに成功。それらのマウスたちは妻自らが
第7世代:素体のマウスの強度を高め、肉体と個性へのキャパシティの向上を目的としたが失敗。
第8世代:失敗
第9世代:成功。この世代のマウスからは安定した出力で個性のコントロールが可能になった。移植手術を試みるが、そちらはあまり芳しくない。
第10世代:人間への拒絶反応を抑えるため、個性因子の一部をマウスの細胞と共に培養ポットに移動。人間の遺伝子と細胞を合成。結果は失敗。
第11世代:成功。被験者への手術は必要だが、素でそれなりに鍛えた肉体を持ってさえいれば劣化個性を宿すことに成功。デメリットも消失。自らの意志で個性をコントロール可能。最も相性がいいのは単純な増強系で、その再現率は60%にも迫る。
まだ改良は必要だが、このマウスを基礎として発展していくことになるだろう。
と、このような結果となっている。
マウス達由来の劣化個性は個性因子の容量は小さく、既に個性を持っている人間でも拒絶反応を起こさないことが特徴だ。その特徴を活かし、レッドリボン軍の幹部には漏れなく増強系個性を移植している。うむ。ドラゴンボールといえばやはり肉弾戦だな。
当然口止めはしてある。わたしとしては交戦したヒーローが「増強系でもないのにこの力…!?」となるのがベストだ。
更に嬉しいことは重なる。スパイ衛星からの情報でAFOと八木師弟達の戦いを確認。わたしはスパイ衛星である程度のサンプルが摂れていたから特に気にしてはいなかったが、妻が差し向けた輸送用ステルス機があるものを回収した。
白い布で覆われたそれは、後のオールマイトの師、志村菜奈の遺体だった。
出来るだけバレないようにと慎重に輸送した結果、一部腐敗が進んでいるが、これも切除して冷凍すれば問題ない。
彼女の個性「浮遊」はジェットに頼った飛行をしているわたしには正に天啓だった。だって、これならば舞空術の原理が分かるかもしれないからだ。
他にも空を飛ぶことの出来る個性はあるが、そのどれもが推進力を生みだしたりそういった肉体の構造だったり、個性で創り出したものに乗ることなどだった。故にどれもがただの飛行であり、浮遊の面は持ち合わせていなかった。
意外なことかもしれないが、この浮遊というのは世界でもほぼ見つかっていない。
まあ、場所とポジションなだけに細胞片の回収くらいが限界だと思っていたが、とんだ嬉しい誤算だ。今度妻には礼をしなければならんな。
いや、何処かへ出かけるのもいいな。思えば新婚旅行などしていなかったし、今や立場上困難になっていたが、これは考えてみてもいいかもしれん。
そこからは早かった。表で行っている事業を、本来の意味で活用するときが来ただけのことだ。とはいっても、通常の素材というのも味気ない。
折角だから今持てる科学力の粋を全て使って最高峰の、いや現行の宇宙産業を鼻で笑える程のすごい宇宙船を作ってやろう。そうだな…ナメック星の辺りでも目指してみるか。
原作ではブルマとミスターポポが乗ったナメック星人の宇宙船は木星までの距離をほぼ一瞬で飛んでみせた。
地球から木星までの距離は最大で9億3000万キロ、最小で6億3000万キロ。光の速度が毎秒30万キロで、宇宙船が1秒で木星まで到達したと仮定すると、毎秒6億3000万キロ~9億3000万キロ。光速の2100~3100倍ほどの速度で移動したという計算になる。
これは可笑しい。冗談にしても笑えないが、何も速度を出せと言っている訳ではない。あの世界だって悟空の瞬間移動で一秒もかからずナメック星に飛べるのだ。個性ならばあるいは可能かもしれない。
因みにこれは余談だが、そのブルマ達の乗った宇宙船がナメック星まで一ヶ月近くかかったのに対し、悟空が乗ったブリーフ博士作の宇宙船は一週間しかかかっていない。いくらサイヤ人の技術を使ったとはいえ、単純計算で光速の12000倍近くの速度を出せる代物を、たった数週間で作り上げたブリーフ博士の手腕には感服せざるを得ない。
とにかく、これから全世界のラボを用いた作業に入る。殆どの作業は機械に任せるが、わたしがやらねばならない部分も多い。さて、腕がなるわ。
〜一年後〜
………完成だ!素晴らしい!素晴らしいぞ!わたしはやってやったのだ!純粋な速力でこそブリーフ博士の宇宙船を超えることは出来ないがそれでもジェット機など止まって見える速度!
完璧に計算され尽くした卵型、上部は透過素材が取り付けられ、六つの脚は無骨ながらも機能性に満ちている。……旧ブロリーのパラガスの宇宙船の完成だ!
「おお……これが…!くうっ…素晴らしい…!素晴らしいぞわたし!よくやったぞわたし!」
「はい。おめでとうございますドクター・ゲロさま。これは大変喜ばしいことです」
「おまえ…もうちょっと嬉しそうにとかは出来んのかね…」
「…?…はい。嬉しいという感情に虚偽はありません」
まあ、感情が顔に出にくいのだろう。このあたりはもう人造人間云々では解決出来ない問題のために放っておく。
それよりも!それよりもだ!この宇宙船は本当に素晴らしい!しつこいようだがそれだけわたしの思い入れが強いことが理解できるだろう。
「浮遊」「エネルギー」の個性がなければこの宇宙船の基盤は完成しなかった。浮遊の力場を観測し、人体から発せられるそれを解析。三日三晩かけて作り上げた反重力装置は推進力を用いない宇宙船の動力になり、これからも重宝するだろう。また、動力として考えていたエンジンの開発中、思わぬきっかけで永久エネルギー炉が完成した。まだまだ大型で中型トラック程もあるが、造れたというだけで大躍進だ。
いや何、それだけではないが……まあ、それは追々。今はとにかく、妻に知らせなければ…!旅行の準備もあるし、必要な物資も準備せねば……。
それから少しして、宇宙船の前にはわたしが手ずから作り上げた装備を身に纏ったクローン兵士『アンゴル』と、アンゴルがいるなら…という理由で造りあげた搭乗員『モア』の部隊が展開されている。
劇場版を思わせる様子で跪く彼らの前で、準備を終えたわたし達が6号とゲボにしばしの別れを告げる。
「それでは行ってくる。帰宅は…恐らく一年後になるだろう」
「6号、どうか息子をお願いします。出来れば、研究所ではなく自宅で過ごさせてやってあげてください。………では、また」
「はい。お二人の家宅とゲボ様はお任せください。それではいってらっしゃいませ」
「ウム、頼んだぞ。では乗り込め」
そうして身を翻し、先にアンゴル達を内部に移動させる。やはりあのデザインの出入り口は大勢の人物を入れるには助かるな。
さて、不備はないな?機械と6号で確認した後にわたしも再度確認したが、何分初めてのことだ。慎重で損はない。
エンジン、軌道、コンピュータ…よし。制御装置とエネルギー炉、ああ、クローン溶液と宇宙空間でも育つ植物。予備電力…これは永久エネルギー炉があるからいらないか…?まあいい。それに、極寒、灼熱、海底、宇宙、地底全てに対応している防護スーツは予備の予備の予備まで。うむ。何も問題は……おっとしまった。アレを忘れていた。
「モア、お前たちの仕事は何かわかっているな?」
「はい…宇宙にいきましても、一生懸命に…」
「よろしい…6号!」
「はい」
モアの忠誠を確認し、6号に指示を出せば、緑色のエネルギー弾が掌から放たれモアの体を撃ち抜いた。
「アッー!」
汚い悲鳴を上げて倒れ伏すモア。うむうむ、やはりこうでなくてはな。人造人間編を再現したいのは事実だが、計画に無関係な私的なことで再現してもいいだろう。第一、これでも自重しているほうなのだ。その気になればサイボーグ桃白白の群れでも作って主要な都市を襲撃させて、ミサイルかなんかで人質をとっていれば終わることだからな。
おっと、話が逸れた。何故6号が気弾を放っているのかだと?確かに見た目は非常に似ているが、これは気弾ではない。
腕のエネルギー放出装置から放つことの出来るそれは、転換エネルギー炉からエネルギーを供給し、そのエネルギーを機構内で空気と混ぜる事により爆発し反発力を得て推進するものだ。掌の部分でエネルギーに電流を流す事によってプラズマにして放出しているので、詳しくはエネルギー弾や光線ではなく、炎や雷に近いものである。
エネルギーの個性から生体エネルギーを観測する技術は出来ても、まだそこまで応用が利くものではない。ドラゴンボールの気のように、全ての生物に備わっていることは確認済みなのだが……それを扱えと言われても早々出来るものではない。
無事モアの殺害も完了し、宇宙船にも離陸のときは訪れた。レッドリボン軍のことは少し不安が残るが、あれはそこまで大物ばかりの組織ではない。何より、守るべき平和を気にせず、正義に属さない強大な個の悪であれば、殲滅も容易いだろう。それではいけない。レッドリボン軍は正義に属する者によって滅ぼされなければならないのだからな。そのあたりは6号がうまくやってくれるだろう。
それよりも、わたしが気にするのは宇宙のことだな。さて、妻が喜ぶような内容があればいいが……。宇宙人や新物質を発見するのでも目標にするかな。
そう独り言ち、基地から「浮遊」を始めた宇宙船は、しばらくの間ゴウンゴウンと音を立て、瞬間。6号の視界から消え去った。ステルスではない。純然たる超科学によった飛行が開始したのだ。
6号には太陽系までなら宇宙船の位置を正確に把握出来るレーダーが備わっており、それが指し示すのは――木星。
「……システム異常なし、想定消費エネルギーの3%増、誤差の範囲だ。よし!成功だ…成功したぞ!」
外部のモニター、計測機器、それら全てを幾度も幾度も穴が空くほどに観察し、ようやっとのことで確認を取る。テストは行っていたが、自らの体で確かめるのでは達成感も違う。
「太陽系も脱出したか。滑り出しは好調のようだな」
スペースデブリの類は6号に搭載したレーダーと同種の物を備え付け、また自動化した装置で回避することが可能。僅かな座標のズレも逐次修正している。よって、わたしたちはそれなりの余裕を持って旅行と洒落込むことが出来ている。
妻とわたしの部屋は外を一望できるテラスのような造り――実際に外に出ているわけではなく、外壁などを透過しているだけである――になっており、そういったことに疎いわたしでもロマンチックに仕上がったと思う。まあ、妻としては多種の天体を観測できるという点に目を向けていたが……まあ、喜んでいるのでよいか。
それからしばらくは本当にただ彷徨っているだけだった。途中、気になる物質や星に止まっては様々なサンプルを回収していったが、どれも長くは滞在していない。
新婚旅行とは言ったが、研究をしないとは言っていない。今までと比べると二人の時間も長く作ったが、やはり我々は根っこのところで研究者だということだろう。気がつけば二人であーだこーだと言いながら作業していた。
ああ、勿論食事も摂取している。持ってきた個性マウスとクローン装置、そして妻の個性さえあれば食事に困ることは無かった。それで最近気づいたのだが、悲しいことにステーキを重く感じるようになってしまっていたのだ。昔は普通に食べられていたのだが、どうにも脂身がな…。やはり年には敵わんか。原作のゲロが人造人間になったのはひょっとしたらこんな形で老いを実感したからなのかもしれない。
さて、そんな短くも長い時間だったが、今回いよいよ新たな成果が出た。それは地球出発から1ヶ月半ほど経った頃。人類が到達できる領域を大幅に更新しての発見だ。
「これは…細胞片だと!?」
「……地球上のどの細胞にも合致しない…」
そう、流れてきたデブリの一部を観察していると、生物の細胞が僅かに付着していたのだ。急いで鑑識にかけても、出るのはError表記。更に追い打ちをかけるように、レーダーが海の存在する惑星を捉えた。極低温でも灼熱地帯でもなく、人体に有害なガスなども観測されていない星。細胞の付着していた欠片は、どうにもその星と同じ組成だったらしい。
「あなた、もしかして…!」
「…ああ…もしかするかもしれんぞ…?」
早急に、進路を変更。目指すは件の惑星。仮称SU-24に向け、わたしたちは降り立とうとしていた。
このお話が出来るまでの前日譚
フリーザ様「星や宇宙関連が分からないと嘆くのでしたら…
そこを簡略化したり、超科学で片付けてしまえばよろしいでしょう ドラゴンボールは真面目な科学雑誌じゃないのですから。
あなたは現実的じゃない、科学エアプと言われるのを嫌って 投稿を怠った……」
ザーボンさん「も、もうしわけありません……!今すぐ投稿を…!」
フリーザ様「覚悟はよろしいですね…一時間たっても続きをハーメルンに投稿することができなかったらこのわたしがあなたを殺しますから…!」
ザーボンさん「は、はいっ!!」