大学生楽玲同棲ユニバース。
「こ、これ美味しいですね…!」
「でしょ? 最近ハマってて、せっかくならお土産にってね。ちょっと甘さ控えめな所がイイんだ」
「わ、わかります!」
俺の隣で玲さんと京ティメットが土産の菓子で話に花を咲かせている。俺も一つ食べてみたけど、うまいはうまいが二人ほど好みに刺さらなかったかなというところ。エナドリとの食べ合わせも良くはなさそうだ。
……はて、エナドリとの食べ合わせはデフォだっただろうか。
「後で好きなだけ食べな玲ちゃん。彼氏サンの方はそこまで合わなかったみたいだし」
「かっ、カレ…!」
「玲さん、そこで止まると色々と話進まないよ」
玲さんはハッと我に返るも、少し居心地が悪いのか黙々と眼の前のお菓子に集中する。
それを見て、京ティメットはこちらへと向き直った。
「んでさあ、まさか玲ちゃんの彼氏サンがあのサンラクだったとはねぇ」
「正直京ティメットとリアルで顔会わせるの、おっかないから勘弁願いたいんだけどな」
「ひどくない?」
京ティメットはけらけらと笑う。だってお前ゲームの恨みを気軽にリアル天誅で晴らしてきそうだし。コイツが関西在住で良かった。
「いくら私でも分別はわきまえてるよ。こんなところで竹刀振り回すワケ無いでしょ」
「もしここが道場だったら?」
「とりあえず天誅」
だめだコイツ魂が幕末に囚われてやがる。あと俺の評価間違ってなかったじゃねえかよ。
「まあ、こんな面白い事知れただけでも、わざわざこっちまで来た意味はあったか――」
「あ、京ティメットちょいまち」
「ん?」
京ティメットが来たからか玲さんのガードが緩んでいる。今ならいけるな。
「玲さん」
「は――むぐ!?」
こちらに振り向いた瞬間に、玲さんの口の中に菓子をつっこむ。瞬間、玲さんは目を見開いて気付いたがもう手遅れ。玲さんの前の菓子は無くなっていて、今この場には俺が食べさせた分で全部だ。
つまり。
「むぐむぐっ……んぐ。もうっ、楽郎くん! またお返しできないじゃないですか!」
「ははは、忘れるほうが悪いのさ」
「む~~~~~っ!」
玲さんは、俺から貰ったものを返せない。これが玲さんにとってはどうにもやきもきするらしく、珍しくも『ちょっぴり不機嫌な玲さん』を見られる。
まあ軽いイタズラのようなものだ。腕を捕まれ神社の鈴みたいに身体を揺さぶられるが反撃としては可愛らしいもの。愉快愉快…おや?
「どうした京ティメット。鳩が豆ガトリングを食らった顔して」
「それ蜂の巣じゃん…いやそうじゃなくて。え、なに。君らいつもそんなことしてんの?」
「いつもってほどじゃないな。一回やると玲さん警戒しちゃうからしばらくはさせてくれないし。だからこうやって油断した時にだな」
「うぅ~~っ」
「………」
京ティメット、呆然。
「あー口の中甘ったる」
「ん? 甘さ控えめなんだろ?」
「そうじゃないんだよ。なあ」