FOREVER モーガンのBeika Street事件簿 作:Rogers
私はヘンリー・モーガン。長い物語を背負っている。
恐らく皆さんはこう言うことだろう。そんな話は俄かに信じられないことだと。
だが、話そうと思う。なぜなら時間だけならたっぷりあるからだ。
AM8:00
米花町からバスに乗り込む。
朝のバスは週末ということもあり非常に混んでいる。
妊婦にとってはこの朝はさぞかし辛いことだろう
「「もしよければ、この席を…」」
「っ…ありがとうございます。」
妊婦は戸惑いを見せつつも感謝をしながら席につくことができたが、隣りの女性は再び座ろうとすると先にサラリーマンの男性が座ってしまった。
「オーケストラのコンサート頑張って」女性は驚き困惑した表情を僕に見せた。
「何故わかったの?」
「あぁ、失敬。。指に絃の跡があるから音楽家、チェリかバイオリンでも首や顎周りに痣、首が少し横にそれているのを見ると答えは自ずとバイオリニストだろうと思ってね」
「あぁ、…でも何故、コンサートだと思ったの?」
「まずは襟の濡れた具合からお風呂に入ったことがわかるから、恐らくデートか仕事、でも君みたいな綺麗な人ならデートでこんな時間からバスには乗らないだろうから仕事だろう。しかも昼の部の東都行きの場所は東都コンサートホールで開催されるオーケストラコンサートだと推察しただけさ」
「貴方、観察眼鋭いのね、」
「すまないつい癖でね、昔からこういうのを見てきたから。」
「まるで小説に出てくる探偵みたい」
「ミステリー小説が好きでね」
「私もミステリー小説結構好きなんです。ナイトバロンとか」
「あれはかなりの傑作だったよ。アーサーの小説と同じぐらい面白い小説だね」
次はコンサートホール前の停車場とアナウンスが出る
「もう行かないと…もしよかったら、夜の部、見に来ない?」
「是非とも見に行こう」
「その後、もしよかったら…また会わない?」
「喜んで」
直後、バスはいきなりスピードを上げてコンサートホールに向かった。
激しい揺れと共に広場のオブジェに突っ込み車内は悲惨な現場に塗り替えられた。
彼女の動向が開いたまま、動きを止めた。
…長く生きてきて、燃えるような恋もした。打ちひしがれたこともある。戦場にも行き、数多くの死も見てきた。
私自身、何度も最期を経験したが、始まりは…あの夜だった。
遡ること200年前、航海には向かない大嵐だったが、奴隷を運んだ船がイギリスに向けて帰って来る途中、私は
一人の男の症状の悪化を診察していた。
そこにこの船の船長が現れこう告げた。
「そこの奴隷に用はない、病人なら使いものにはならん、コレラなら尚更」
「この人はコレラじゃない!!治療すれば生きられる!殺す必要はない。奴隷制なんて…」
「そんなこと構うもんか。モーガン先生、そこをどけ、さもなきゃあんたを撃つ」
「そんなこと…させられない」
「じゃあ死んでもらおう」船長が銃で一発心臓に打ち込んだ。
私は海に投げ捨てられたとき私は死んだはずだった。水面には雷の光と沈んでゆく金色の懐中時計が見える
だが、あの夜私の身に何かが起こった。別のものになったのだ。
今でも愛や喜び、痛みを感じる
普段は皆さんの一生と変わらないがたった一つの些細な違いは…終わりがないことだ。
200年近く前のあの夜以来何故か死ぬ度に水の中で蘇る。 実のところ説明できるのはこれぐらいだ。
職場は警視庁近くにある法医学研究所で監察医をしている。ここには多くの遺体が届く、死を学ぶにはうってつけの場所だ。
連続爆破事件が起こった1年後11月1日
AM 6:00
まだあの夢を見る。
『…もう電池が切れそうだ…』
「松田くん。」
…私にはまだ死神が見える。彼が死んで1年、あの時の感覚が消えない…それに消せないメール…ね
携帯を意味もなく見つめていると電話がかかってきた。
「はい、こちら警視庁捜査一課の佐藤」
東都コンサートホール前でバスが転倒し、内24名全員死亡事件性があるとの判断で招集がかかった。
警視庁に着いて直ぐにバスの運転手の死因の鑑定をした監察医の所に赴くよう言い渡された。
彼女は法医学研究所に向った、
この犯罪多き日本。1ヶ月前警察に協力する法医学研究所に一人の監察医が転属してきた。
その男、人の死にやたらと詳しい変わり者だ。
「この男性は心臓病を患っていた、後半年で亡くなっていたよ。」
「なら、何故、他殺だと思うの?」
「あなたは?」
「捜査一課の佐藤よ。 質問に答えて、何故他殺だと?」
「これだよ。肺水腫。 坂口君、この肺水腫を鑑識にまわしておいてくれ」「了解しました。」
「毒物を入れられた。それは肺水腫をみれば明らかさ」
「この人は本当に凄いんですよ、解剖する前に死因を言い当てることもあるんですよ、まるで死体に聞いたみたいに」
「坂口君、私たちはあくまで監察医、医者がオカルトじみたことを言ってどうするんだ、」
「えぇ、わかったわそれじゃあ他殺の線で捜査を進める。」
「是非そうしてくれ。あぁ、それと、この度はご愁傷様でした。」
「何故、そう思うの?」
「結婚はしていない、じゃあ、恋人、友達か職場の同僚だ最近、アルコールの量が増えたね、息づかいで判断できる。あと、眼の腫れとマスカラの塗り忘れているよ。それらと仕事に対する熱意から判断したまでさ」
「本当に何でもお見通しなのね。」
「何でもはないさ、」
彼女は不機嫌になりつつ本庁に戻っていった。
これから、彼女たちはタッグを組んで捜査するのだが、それはまた次回の話だ。
ファンタジーもミステリーも作者は好きです。