盗品蔵へ急ぐスバルだったが、
道順を覚えてなかった為、
道を訪ねながら向かうことに、
そんな中、出会った老紳士ヴィルヘルム
彼が同行してくれて、
ようやく盗品蔵に到着したスバルだったが、
そこには死んだはずの老人が生きていた。
スバルは徽章を取り戻すことは出来るのか。
盗品蔵の主との話が一向にはかどらない事に、
焦りを感じ始めるスバル。
「あの子がいない以上、俺の目的は探し物一つだ。
爺さん聞きたいんだが…」
するとそこへ一人の少女がやってきた。
「…入口でギャースカ騒いで、何してんだよ。ロム爺」
「おお、フェルトか。待っとったぞ」
やってきたのは、金色の髪をセミロングにした少女だ。
兎のように赤い瞳、口の端から覗く悪戯な八重歯。
小柄な体を動きやすそうな、言葉を選ばなければボロい服に包んでいる。
一瞬ではあったが、路地裏で出くわした少女に間違いない。
「人払いしといてくれって言ってあったろ?
なのに、誰かと立ち話なんかして…」
「…」
「…げ!な、なんであのヤバイ爺さんがここにいんだよ!?」
彼女はヴィルヘルムさんを見て動揺していた。
―以前何かあったのか?
「ヴィルヘルムさんがヤバイ爺さんって…
いや、それより今は大事な話があるんだ」
「ヤバイ爺さん…とは
いささか不本意な言われ様ですな」
「こんなヤバイ爺さん連れてきて、
どうせ碌な話じゃねーだろ」
ヴィルヘルムさんが居ることで、
ますます顔を不審にしかめる少女――フェルト。
心なしか胸のあたりに手を当てる様子を見るに、
盗んだ戦利品はそこにあるのだろう。
「まあ聞けよ。
お前、銀髪美少女から何か盗んだだろ?」
「盗み、ですか…」
「ばっ、おま…ッ、しーっ!
…な、なんでその話知ってんだ?
アタシを脅そうってのかよ」
ヴィルヘルムさんの凄みに動揺するフェルト。
「事と次第によってはそうなるかもな」
―俺としては、穏便に済ませたいけどな。
「私はあくまで、貧民街への同行者。
荒事のお手伝いをするつもりはありませんよ」
ヴィルヘルムさんは護衛の為についてきてくれただけだからな。
「何じゃお前さん、フェルトに用があったのか」
「結果的には、そういう事になっちまったみたいだな」
「厳密には、俺の目的は懐の中身だ。
譲ってもらえるのが、最適解ってとこだな」
―そううまくはいかないだろうけどな。
「ま、話くれーは聞いてやるよ。
ただし、こいつに興味あるんなら
それに相応の金を払ってもらう事になるぜ?」
「…やべぇ、俺一文無しなの忘れてたわ」
「なんだよ!話にならねーじゃねーか!」
いざ交渉で値を釣り上げようとでも思っていたのか、
肩すかしを食ったようにフェルトが怒鳴る。
「じゃ、この話は終わりだ。
とっとと帰りな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!
確かに金はねぇんだけどさ」
が、スバルはそんなフェルトに対してとある話を持ち掛ける。
「話がつづくならこんなところで、
立ち話もなんじゃから続きはなかですればいいじゃろう」
―〇●〇―
盗品蔵の中へと場所を移して、
引続き交渉を続けるスバル。
お金の代わりに提示した交渉物とは…。
「で?結局、金はどうするんだよ。
さっきも言ったけど、
一文無しですじゃ話になんねーぞ」
「ここは物々交換と行こうぜ!
損はさせねぇからさ!」
「物々交換?アタシは金じゃなきゃ受け取らねーよ」
「まぁ、待てって」
「何か策がおありで?」
ヴィルヘルムさんの質問に頷きで応じて、
スバルはズボンのポケットをまさぐった。
そして、抜き出すその手が握るのは、
「ああ!ここに取り出しますは
恐らく世界にたった一つ!
万物の時間を凍結させる魔器、スマホだ!」
「な、なんだこりゃ…?」
「ほう…」
「始めて見る代物じゃが…」
「ちょっと待ってな、
あんたらの時間を切り取って見せてやるぜ」
コンパクトなサイズの白いスマホ。
初めて見るその姿に目を白黒させるロム爺とフェルトに対し、
スバルは素早く操作を入力し――直後、
薄暗い店内を白光が切り裂いた。
パシャリ、と効果音が鳴り響き、光を向けられたロム爺とフェルトが
大げさに驚いてカウンターの向こうに転げる。
そのリアクションの大きさにスバルが思わず笑うと、
「お、おお…う!?」
「うわああっ!
何の音だよ、眩しいっつの!」
「まあまあ、落ち着け、深呼吸だ。
いいか?こいつの中を見て見ろよ」
突然の事に驚く二人に、スバルはずいと携帯の画面を押し付ける。
胡乱げな目でロム爺は下がり、
その小さな画面に目を凝らして――その目を見開いた。
そこに映っているのは、今しがた撮影したロム爺とフェルトの顔だ。
携帯電話のカメラ機能、それを使っての撮影。
当然、そんな技術はこの世界には存在しまい。
スバルの予想通り、ロム爺は食い入るように画面を見据えながら、
「これは…儂とフェルトの顔じゃな。
こりゃどうなっとるんじゃ?」
「…驚きましたな」
「言ったろ?
この道具であんたらの時間を切り取って、
この中に閉じ込め立ってワケさ」
顎に手を当てて、ロム爺は考え込むように携帯を覗き込んでいる。
その予想以上の食いつきに、スバルは交渉における手ごたえを感じ取った。
そんなスバルの確信を後押しするように、ロム爺はスマホを手に取って眺めながら、
「始めて見るが…これが噂に聞く、
『ミーティア』という奴か?」
「噂に!そう、それ!
どうだ、いい値が付くんじゃねぇか?」
それが何かは知らないが、とりあえずその場の勢いに乗っかるスバル。
「ふむ、確かにこいつは珍しい
高値で売れるのは間違いないじゃろうよ」
「ロム爺、『ミーティア』って、あの?」
「うむ、魔法使いでなくとも、
魔法のような効果を発揮できる道具じゃ」
「スバル殿にとって、『ミーティア』を手放してでも
手に入れたい物というわけですか」
「もちろんだ!何しろ、あの子が大切にしている探し物だからな」
―思いの他、評価は上々だ。このまま何事もなく終わってくれ!
コンコンッ!
そんなスバルの願いを打ち消すように、その場に乾いた扉を叩く音が響くのであった。
次回のフォー・ゼロは
交渉は何とか成功すると思われた矢先、
フェルトの依頼者が現れた。
何とか交渉して徽章を取り戻そうとするスバルだったが、
徽章を見たヴィルヘルムの反応に
事態は急変する事となった
次回 第10話「交・渉・決・裂」
異世界!SwitchON!