スカイ「朝起きたらちっちゃくなってたんだけど」 作:アメざいく
「―――スカイさん・・・」
・・・ダメだ。もう涙が止まらない。ぽろぽろとあふれ出てきた涙は、彼女の表情を濡らしてしまう。
「フラ、ワー・・・?」
彼女の困惑する表情が目に飛び込んでくる。・・・当然だ。私に急に押し倒されたと思ったら、こんな状況になっているのだから。
「私、ずっと・・・スカイさんに言わなきゃいけないことがあって・・・!!」
この言葉を言ったら、彼女に嫌われてしまうかもしれない。・・・もう、私たちの関係は終わってしまうのかもしれない。
でも・・・言わなきゃ。彼女に。・・・いつも無条件で私を信じてくれるスカイさんに。
「実は、私――――――」
「いい?タンホイザ。あたしは今から知り合いを当たって情報収集してみるから、あんたはあそこで待機ね。・・・わかった?」
「いやあそこで待機って・・・あそこタキオンのラボのすごい近くじゃん!!」
私―――マチカネタンホイザにそう言ってネイチャが指さしたエリアは、ちょうど階段の関係で影にこそなっているがラボは目と鼻の先・・・そんなエリアだった。・・・いやばれるって。
「あんたはラボに動きがないか、ここで見張ってること。誰かがラボに入っていったら、それが誰なのかをあたしに随時報告すること。
・・・あ、これお昼ご飯の代わりに食べて」
「これから10時間くらいぶっ通しで見張りさせるつもり!?」
私のそんな悲痛の叫び(?)も聞かず、ネイチャはおにぎりか何かが入っているのであろうタッパーを投げ渡してくる。・・・はいはい、わかりました。やればいんでしょ―――ん?
(これ―――・・・)
タッパーの中に入っていた4つのおにぎりたちは、どれも形がばらばらだった。きっと中身の区別のためにあえて変えてあるのだろう。・・・海苔でデフォルメされた猫の顔が書いてあるものもあった。・・・可愛い。
「もしかして・・・手作り?」
「・・・ま、そんなとこ」
ネイチャは終止表情を変えずにそう言い、そのままどこかへと出かけて行ってしまった。・・・ほんのりと顔が紅潮していたのは気のせいではないだろう。
「―――よーし、こっちも、頑張るぞー!!えい、えい、むんっ!!」
「―――全部、私のせいなんです。私の、わがままで・・・」
ちょっとした好奇心に負けて、スカイさんに年齢退行の薬を飲ませたのも。タキオンさんに無茶を言って、その薬を作ってもらったのも、全部。・・・私。ニシノフラワーなのだ。
「・・・許してほしいなんて思ってないです。
でも、・・・私、本当にスカイさんのこと―――」
もういっそのこと、自分の感情全部を吐き出してしまおうと思った。・・・どうせここで、私の・・・スカイさんとの繋がりは完全に断ち切れてしまうのだ。だったら、もう―――
―――でも、その言葉はスカイさんによって遮られてしまった。
「ふぁっ・・・?」
スカイさんのお日様のような香りが、ふわっと鼻孔をくすぐる。・・・あれ、私・・・スカイさんに抱きしめられてる、のか・・・?
「・・・なん、で・・・?」
―――あぁ。なんでこのウマ娘は、こんな私をいまだに優しく接してくれるのだろうか。・・・もういっそのこと、怒って、嫌って、軽蔑して、・・・私の事なんか捨ててくれればいいのに。
「確かに、私の体がこうなっちゃったことについては、いろいろと文句を言いたいところではあるけど・・・
―――やっぱり、信じてるから。フラワーのこと。」
(あっ・・・)
「スカイ、さん・・・っ」
心の中がじんわりと暖かくなっていくのが分かる。・・・我ながら単純だな、私。
泣きはらした目で再び彼女を見上げる。きっと今の私はひどい表情をしているのだろう。
「・・・あっでも、私がこうなってることについては、しっかりと責任取ってよね?
―――ネイチャたちには内緒にしておくから、さ?」
え、
(え――――!?)
「―――そ~いえば、これ多分、さっきフラワーちゃんが落としたやつだよね・・・」
彼女が所持していたのであろう水色の薬品の入った試験管を、私―――マチカネタンホイザ派訝しげに見つめる。
―――私とネイチャがスカイの部屋を出た時、フラワーちゃんは部屋の目の前にいた。・・・よく考えればなんだか様子もおかしかった気がする。ただびっくりしてるとか、そんな感じじゃなくて・・・その・・・
「・・・まさか―――」