DOG DAYS ~桜の花が舞う頃に~(凍結中)   作:緋奈桜

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現在書き直しております。前回と変わっている部分も多々ありますが、よろしくお願いします。


1話 終わりと始まり

 3月も下旬となり春を感じさせる爽やかな風が開け放った窓から吹き込む中、身支度を整える姿があった。そこには、茶色が混じった黒い髪の少年がいた。少年は髪の毛が長いため後ろで束ねてから制服に袖を通して昨日の夜に準備しておいたバックを肩にかけ、机に置いてあったブレスレットと携帯電話を手に取り玄関へと向かった。玄関で腕時計とお守りがあるのを確認して友達の家へ向かうために外に出て駆け出した。

 

「遅刻する~」

 

俺は此花(コノハナ) 雪花(セッカ)。日本の紀ノ川市に住み、紀ノ川インターナショナルスクールに通う中学1年生だ。現在爆走中です。理由は単に遅刻しそうだから……とはいってもまだ始業開始までは、まだ30分もあるのだが……。

 

「シンクと約束なんぞしなければよかったな……。それに、ベッキーがいるんだから特に必要ないだろうに」

 

 シンクことシンク・イズミとベッキーことレベッカ・アンダーソンは俺の友人である。2人ともちょっとした出来事で知り合い、今では気軽に話ができるようになった。あの時はいろいろあったなぁ……。

 

シンクの家が見えてきたところで前方からチリンチリンという音と一緒に元気な声が聞こえてきた。

 

「おはよう。雪花」

 

「ベッキー、おはよう~。シンクはまだ出てきてないのか?」

 

「ううん。上々」

 

 ベッキーの声につられて上を向いてみるとちょうどベランダから跳躍しようとしているシンクの姿が目に入った。

 

「おはよう。セッカ!」

 

「おはよう。シンク」

 

 挨拶を交わした後に、勢いよく跳躍したかと思うと、空中でくるくると回転し見事着地を決めた後に跳躍する前に投げていたのか、真上から降ってくるバックをキャッチした。

 

「はい、おみごと~」

 

「あいかわらず、ベランダからの登校かよ」

 

「ははは……」

 

 苦笑いをするシンクをよそに俺たちは学校に向かって歩き始めた。

 

「そういえばさ、明日から春休みだけど2人ともどこかへ行く予定とかあるの?」

 

「ん~父さんと母さん、あいかわらず出張から帰ってこないしなぁ……。僕は里帰りでもしようかなって」

 

そう言ってシンクはガードレールに飛び乗った。

 

「里帰り? イギリスの方?」

 

「そっ! コーンウォールの方。向こうはアスレチックの練習できる場所もたくさんあるしね」

 

シンクは器用にガードレールの上を後ろ向きで歩いていると思っていたら今度はバックを後ろに投げた後、華麗にバク転を決めた。

 シンクはあいかわらず器用だよなぁ。俺なら、確実に足を踏み外してるぞ……。

 

「俺は今のところは誰かと会う予定ないし、久しぶりに山籠もりでもしようかな~」

 

「雪花は今時の若者にしたら山籠もりとか……ホントーに物好きだけどさ、シンクもシンクで相当な、アスレチック好きもとい、アスレチック馬鹿だよね~。」

 

「え? なんで今言いなおしたの? そりゃあまぁ、楽しいからね」

 

「え? 違うのか? まぁ、俺はシンクと違ってただの暇つぶしだよ」     

 

 時代劇に影響されてっていうのもあるけど……やっぱり一番の理由としたら体を動かしたいっていうのが大きいのかもなー。

 

「雪花も山の中で体動かしているんでしょ? だったらシンクと一緒にアイアンアスレチックだっけ? 出てみればいいのに」

 

「そーだよ、セッカ。今年こそ一緒に出ようよ。体育の授業とかを見てると僕としては結構いい線いくと思うんだよねー」

 

「それってアスレチックの大会だろ? おだてられてもアスレチックや大会とかには興味ないんだよな……」

 

「セッカってば、いつもこれなんだもん。例えば、うーん。そう! 腕試しと思ってさ」  

 

「腕試しかぁ……。それはいいかもしれないけど……」

 

「まぁ無理にとは言わないし、出たくなったらいつでも言ってね?」

 

「あいよ」

 

そう、今の俺が……山籠もりで鍛えた俺自身がどこまでいけるのか。その腕試しはしてみたいとずっと思っていた。なんせ、実力を試すにも野生の動物ばかりが相手だったからな。だけど、大会(・・)ってものが気にいらない。そもそも、あの大会は障害物をいかに早く進めるかだしな。俺がやりたいのは時代劇のような刀を使った戦闘がやりたいだけだし。剣道だと、防具とか付けるからなー。爺さんとの稽古はいつも防具無しでやってるから、しっくりこないし。やはり、時代劇の見すぎか……。

 

「実際現代じゃ、そういう機会が全然ないんだよなぁ……」

 

 はぁ……。

 

「「どこか、思いっきり暴れられる場所(機会)があればいいんだけど」」

 

「「え?」」

 

 考えていたことがいつのまにか口にでてしまっていたらしい。しかもシンクと内容が似ていた。

 

「セッカも暴れたいの?」

 

「もって、俺は別に……。ただ、時代劇とかにでてくるような戦場を駆け抜けたいなってね。シンクこそ暴れたいの? いつも街中を駆けまわってるのに?」

 

「紀ノ川市はいいとこだけどさ、ちょっと物足りないというか……。うん。それを聞いて益々思ったけど、やっぱり出ようよ。アイアンアスレチックに!」

 

「いや、だから出ないって」

 

 これでは堂々巡りになりそうだったのでここらで話を打ち切った。いつの間にか学校の目の前まで来ているし、ちょうどいいや。

 

「あぁそうだ、忘れてたよ。」

 

「何?」

 

「ん?」

 

「春休みの最後の3日間。2人とも……あぁ、ベッキーの家はお父さんとお母さん暇?」

 

「ん……どうかな? なんで?」

 

「俺は暇だよ」

 

「その時はうちの父さん母さんが戻ってくるから、一緒に和歌山の別荘に行かないかってさ」

 

「あぁ、本当?」

 

「うん。ナナミもくるんだって」

 

「いいわねぇ、素敵」

 

「シンクのとこって別荘あるのか。てか、ナナミ……?」

 

「あれ? セッカにはどっちも言ってなかったっけ?」

 

「あぁ、特に聞いたことはなかったかな」

 

「ナナミの方は今度別荘に来た時にでも紹介するよ」

 

「シンクの紹介なら、うん。よろしく頼むよ」

 

「それでね。ちょうどお花見の季節だし、お父さんとお母さんが忙しそうなら2人だけでもって」

 

 お花見かぁ……。花見なんて、いつ以来だろ? 朧げだけど母さんと見たときぐらい……か。せっかくだし、行ってみるかな。

 

「そ……そう。でもやぁよ、いつかみたいに私をほっぽってナナミとシンクだけでアスレチック遊びとか、棒術ごっこばっかりとか……ん?」

 

「そんなことがあったのか……。シンク、いくらなんでも誘っておいてそりゃないだろ?」

 

 するとシンクは、目を輝かせて

 

「平気! 前日までにボロボロになるまで特訓しとくから!」

 

「あんまり無茶苦茶しないようにね」

 

「ははは……ボロボロって、やりすぎないようにな」

 

「「「お」」」

 

 そんな話をしているといつの間にか玄関の近くまで来ていたらしい。気が付くとちょうど始業開始の予冷が鳴った。

 

「それじゃあベッキー……それと、セッカも予定確認しといてね~」

 

「うん。メールする~」

 

「俺はついでかよ! まぁ確認するまでもないけどな。大丈夫だよ」  

 

 さぁて、終業式に出ますかねぇ。そういや今日シンクは途中で抜けて空港行くとか言ってたよな……。式は面倒くさいし俺も途中で帰っちまうかな。ついでに空港まで一緒について行くか。

 

 この時近くの草むらからこちらの様子をうかがっている犬がいた。ただし、誰もその犬には気づかなかった……。

 

 

 

 

 よし、帰るか! 出席はとったしどうせ式なんて校長とかお偉い人たちの話を延々と聞くだけだしな。

 

「あれ? 雪花も帰るの?」

 

「おう。調子が悪くてさ、じゃあ先に帰るわ」

 

 と言い訳をベッキーに向けてそそくさと体育館を後にした。教室に戻るまでに先生に会わなかったのはラッキーだった。無事に教室につき、帰る支度をしているとシンクがやってきた。

 

「あれ? どうしてここに……? あぁ、もしかしてサボり?」

 

「バレたか。これから空港なんだろ? せめて友達の見送りくらいはさせてくれよ」

 

「え? もしかして僕をダシに使ったの? でも、見送りはうれしいかな」

 

「悪いな。俺は支度できたから先に外で待ってるわ」

 

「うん。僕もすぐに支度していくよ」

 

 シンクに一旦別れを告げて、玄関まで走り出した。早く行かないと先生に見つかる恐れがあったからだ……。思えばこの時から、もしかしたらずっと前からミスをしていたのかもしれない……。これが、雪花の運命を変える出来事になるなど、この時は露ほども思っていなかったのであった。

 下駄箱に置いてある靴を履いて、教室に忘れているものがないか頭の中で考えながら外に出てみるとちょうどシンクが教室の窓から出てくるところだった。

 

「またかよ。学校ぐらい玄関まで下りてくればいいのに……お?」

 

 ふと前を見るとワンコがこっちに近寄ってきた。首にマフラーが巻いてあるところを見ると、どうやら飼い犬らしい。野良犬だった場合、人に懐いていないと吠えたり、追いかけまわされたり、噛まれたり。と碌な目に遭っていないために、雪花の場合は、まず最初に野生動物かそれとも飼われているかを確認する癖がついていた。

首輪の変わりにマフラーを巻いてるのか? この犬の飼い主は変わってるなー。ん? よく見るとこのワンコ……かわいい……けど、なんで背中に短剣なんて背負ってるんだ? 益々飼い主のことがわからんぞ。でも、かわいい……撫でても平気かな? 噛まれたりはしないよね? よし、撫でるぞ!おぉ、久しぶりに動物と触れ合えたー。しかも、モフモフだー。

 

雪花にとって動物と触れ合える貴重な経験を不意にするなど論外な事なので、シンクが来るまで。と思い撫でているとふいにワンコが上を向いた。撫でられすぎて機嫌を損ねてしまったか!? と内心思いながら、表情には出さずにつられて上を向くとちょうど朝と同じように、だけど今度は学校の窓からシンクが飛び降りるところだった。

 

「ワン!」

 

 先程のワンコが一鳴きしたかと思うと、ワンコの口には先程まで背負っていた短剣がいつの間にか咥えられていた。そして、徐に地面に突き刺した。

 

「へ?」

 

 そう言ったのは雪花自身だったのか、はたまた窓から飛び降りたシンクの方だったのかは解らないが、次の瞬間には、雪花の足元にいろいろな文字が描いてある絵、後で知ることとなる紋章が広がっていた。()()()()()()()()()……。

 これはなんかヤバイ! 急いで離れないと……そう思った時にはもう後の祭りであった。

 

「マジかよぉぉぉ!」

 

「え……えぇ……えぇぇぇ!」

 

「「うわぁぁぁ!」」

 

 こうして、俺とシンクはワンコが開けた穴へと落ちていった。

 

 これが、俺たちの……俺にとっては忘れようにも忘れられない物語の始まりであった。

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いかがでしたか?

拙い文章なので、悪い点などありましたらご指摘宜しくお願いします。



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