状況とか細かいことはどうでもいいんだよ! って感じでその場の雰囲気だけお楽しみください。
結果として微妙。もっとこう、変態的に、外道でダメダメな感じにはっちゃけた感じがまだ取り戻せていない。
これでは駄目だ。
そんな訳でテイク3あるかも。
「どうした? そんな弱腰で俺のダンスに付き合えんのか?」
「ッ! 舐めるな!」
「HA! 強気な女は好きだぜ、組み敷いて鳴かせたくなる!!」
「黙れ! この不届き者が!」
騎士風の恰好をした長髪の女性は、魔力の込められた薬莢をリロードしながら烈火の如き剣閃を放つ。
それをニヤついた表情を崩さぬまま半歩だけ下がって逃れたウエスタンハットを被った男は、視線だけ向けたまま右手に握った
しかし女性は右へ踏み込み銃口から逃れると、返し刃で切り上げようと身体を捻る。
男は己の放った弾丸が避けられた時点で、左手でもう一つの銃を取り出していた。
2人の動きが止まった。
女性の剣は男の脇腹付近で止まり、男は女性に銃口を向けたまま静止している。
「ヒヒッ! 俺を相手に
「まさか貴様が銃を引き抜くのと私の剣が同じ速度とはな……」
「楽しいだろう? 笑えよ、もっと歯ぁ剥きだしてゲラゲラ笑えよ女ぁ!」
男が突然右の銃を発砲した。銃音のすぐ後に、激しい金属音が鳴り響いた。
女性は剣を握っていた左手に衝撃を受けて身体が引っ張られ、大きく体勢を崩す。
男は女性の顔をニヤついた表情で眺めたまま、何度も発砲すると、それに連続して金属音も同じだけ響いた。
(ぐっ……!? こいつ、レヴァンティンだけを精確に……!?)
2秒も経たない内に既に女性の剣には十数発の弾丸が叩きこまれていた。
最初の銃弾で右手を手放してしまい、今剣を握っているのは左手だけだ。その左手も一瞬の内に注がれた衝撃で取りこぼしてしまいそうになった。
男の銃撃が途切れた。おそらく弾切れなのだろう。
(ここで……ッ!)
女性は震える左手から右手で剣を持ちなおすと同時に、崩れた体勢を持ちなおして回転しながら再び男へ斬りかかる。
男もそれを読んでいたのか、右に握ったリボルバーに銃弾を一発だけ装填すると素早く女性へと向けた。
(やはり構えから照準までのタイムラグがほとんどない……! だが……!)
女性の剣のギミックが作動し、一発の薬莢が飛び出した。
増強された魔力の猛りを己の身体に取り込み、男が引き鉄を引くより一瞬早く女性の剣が男の脇腹を深く斬り裂いた。
「ゴガッ……!?」
(手応えあり…………ッ!?)
男の呻き声を聞いた女性は確かな手応えに僅かな違和感を感じていた。
男は痛みに顔を強張らせたものの、その表情は依然としてニヤついたままだ。さらに速度重視だったとはいえ、カートリッジをリロードした状態の女性の一撃を男は踏み止まって
そして男のリボルバーの銃口は精確に女性に向けられていた。
女性は悟った。
(誘い込まれたッ!)
回避、という単語が頭を過る。しかし女性の身体は剣を振り切った状態ですぐさま動くのは無理だ。それに男は女性がどのように動こうともその銃口を逸らさない、と女性は確信していた。
どうするのか、猶予はもう無い。男の銃口は定まっている。引き鉄を引くまで十分の1秒もかかるまい。狙いは眉間。当たれば脳震盪くらいは起こしそうだ。そうなれば装填までの時間を与えてしまう。再び距離を開けられれば近付くのに苦労するだろう。敵の増援がいる状態でこれ以上の時間は懸けられない。この下郎を打倒し離脱するには……!
思考が凝縮し、そこまで考えた時、女性は跳んだ。
銃声。
「ガッ……!?」
「くうっ……!?」
男は今度こそニヤついた表情を驚愕に染め、自分の胸に体当たりをかました女性を見下ろした。
脇腹に加え、胸骨辺りに嫌な鈍痛が広がる。骨が折れるかヒビが入るかしたのだろう。流石の男も肺の空気を吐き出し呻くしかなかった。
そのまま絡み合うように男と女性は倒れ込んだ。
女性は素早く馬乗りになると男の喉元に剣を突きつけた。
「……堅物かと思えば、随分とゲホッ、大胆なお誘いじゃねーか。あ?」
「その口を閉じろ」
「HA! 欲しいのは優しい言葉じゃなくて息子の方か? それならもうちょい下にずりな」
女性は無言で体重を掛けると、骨の異常から生じた激痛に男は歯を食いしばった。
しかし目を限界まで見開きながらもその顔には再び剥き出しの笑みが宿っていた。
「ギッ……! は、ハハハ、降参だ! 好きにしな、魔力だろうと
「…………」
女性は無言で男の前から退いた。
そして剣を鞘に納め、そのまま男を置いて空へと浮かんだ。
「おい女」
その背中に男が声を掛けた。女性はそれを無視しようとしたが、一対一で自分と競り合った戦士への最低限の敬意として振り返って耳を傾ける。
「管理局魔導機師、ダウニー・ヘッツバウワー」
「……ヴォルケンリッターが烈火の将、シグナム」
「覚えたぜそのツラァ……! 次会う時はてめぇの眉間を吹き飛ばす」
上半身を起こしながらそう吠えた男に対し、女性は呆れた表情を零しながら、少しだけ口角を上げて言った。
「それならば、我が主に誓って次こそ貴様の首を刈り取ろう」
「その口上、忘れんなよ」
「ああ、貴様こそな」
男と女性は互いに笑みを浮かべ、その顔を睨みあいながら同時に口を開いた。
「俺とお前、次に逢い見えたその時は――――」
「互いの技と誇りを賭け――――」
「盛大に――――」
「存分に――――」
「「殺試合だ」」
数瞬の交差を経て、男と女性は互いの力量を見極めた。
そして気付いた、余裕を持っていい相手ではないと。
だから次は必死になる。全力と全開を持って相手の命を先に奪って殺す。そうするだけの相手であると、理解し合っていた。
女性はそう言い放った後、今度こそ振り返ることなく男の視界から消えた。
男はしばらくそちらの方を見詰めた後、ようやく力を抜いて仰向けに倒れ込んだ。
荒い息をしながらも、男は楽しそうに笑っていた。
「くっそたれ……すげぇいてぇ……ヒヒヒッ! こりゃ久しぶりに本腰入れてかねぇとなぁ!」
「ヘッツバウワー捜査官! 無事ですか!」
「おうクロクロ、脇腹の打撲と胸骨のヒビ、ざっと全治2週間ってとこだ!」
幼い顔立ちの制服を着た少年が、男の隣へ降りたつと、男の惨状を見て慌てて駆け寄った。
男は相変わらず嬉しそうに笑いながら少年の声に答えた。少年はその答えを呆れたように溜息を吐くと、倒れたままの男に手を差し伸べた。
少年の手を借りながら立ち上がると、男は嬉しそうに少年に話しかけた。
「なぁ、クロクロ。“生きてる!”って思うのは、どんな時だ?」
「いきなりなんですか?」
「人間ってのは檻の中でなだめすかすように大事に育てられた犬だ。そんな甘ったれた犬が牙を剥くのは、てめぇが強い奴に脅かされてビビった時さ」
突然の話に少年は付いていけず、いつもの事だと黙って聞くことにした。
「無様に唸りながらションベン漏らして強い奴に噛みつくってのは、どんだけこえぇんだろうな? ガタガタ身体も心も震えたままで戦うのはどんだけカッコわりぃんだよ!」
だんだん熱のこもっていく口調に嫌な予感を感じながらも、少年は止めても無駄だと解っていたので結局黙っていた。
「ああ、カッコわりぃ!! カッコわりぃなぁおい!! 死んじまえよクソッたれめ! ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
うわーなんか破滅的に笑い始めちゃったよこの人、と思いながらも、一応先輩なので少年は黙ったままだ。若干泣きそうになっているのは、いつまでもこの男に振り回され続ける自分への哀愁だろうか。
「シグナム、シグナムか、よし、あいつは俺が捕縛する。俺より強い奴は俺がやらなきゃなぁクロクロ」
「もう少し自重を覚えてください、ヘッツバウワー先輩」
「ヒヒヒッ、楽しみだなぁおい。今度は派手にやらねぇと殺されちまうぜ!」
「聞いてくださいよ……」
そんな会話を繰り広げながら、男と少年は自分達の基地へと戻っていった。
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