エクスカリバー破壊団が結成され数日……あれから匙さんも手伝ってくれている。
表の部活が終わる放課後の時間にゼノヴィアさんから貰った魔の力を抑える神父服を着て僕、一誠、木場さん、搭城さん、匙さんでエクスカリバーを捜索しているがなかなか見つからない……正直、僕はあの壊れた神父に会いたくないけど、木場さんや仲間の為にも頑張ろう。
そんなこと考えているともう夕方……今日はそろそろ終わらないと部長たちにバレちゃう。
「ふぅ。今日も収穫なしか」
気落ちしながら匙さんが言う。
しかし、そろそろ足をつかまないと。そんなことを考えていると先頭を歩いていた木場さんが歩みを止めた。
感じたことのある殺気を感じる。この殺気は……いや、やっぱ殺気がする以外わからないや。
「……祐斗先輩」
搭城さんも気づいたみたい。
「上だ!」
匙さんの叫びに全員が上空を見上げると長剣をかまえた白髪の壊れた神父フリードだった。
何となく覚えがあるような殺気だったのは気のせいじゃなかったみたい。
「神父の一団にご加護あれってね!」
ギィィィン!!
木場さんは素早く魔剣を取り出して、フリードの一撃を防いだ。
「フリード!」
「その声はイッセーくんかい? それに教会の時の君も、へぇぇぇぇ、これは珍妙な再開劇でござんすなね!
どうだい? ふたりともパワーアップはしたかい? そろそろ殺していい?」
お断りだね。
相変わらずな調子だね。僕たちは神父服を脱ぎ捨ていつもの制服の姿に。
『Boost!』
一誠は
今回僕たちはサポートだか危険になったら木場さんを助ける。
「伸びろ、ラインよ!」
匙さんの手の甲にはデフォルト化されたトカゲの顔らしきものが装着されていてそいつの口からベロが伸びフリード目掛けて飛んでいく。
匙さんも神器持ってたんだ! へ~どんな能力かな?
「うぜぇっス!」
聖剣で薙ぎ払おうとするがトカゲのベロは軌道を変え下に落ちフリードの右足に巻きつく。
フリードは斬ろうとするが実体がないかのようにすり抜けた。
「そいつはちょっとやそっとじゃ斬れないぜ。
木場! これでそいつは逃げらねねぇ! 存分にやっちまえ!」
便利だなぁー匙さんの神器は……確かにあの人は逃げ足は速いからね……。
「ありがたい!」
木場さんは二刀の魔剣を作りフリードを攻め立てていた。
「チッ!『
わーお、レア神器を持っているとはなかなか罪なお方ですこと! だが、俺様の持ってるエクスカリバーちゃんはそんじょそこらの魔剣くんでは」
ガキィィン!
破砕音を立てて、木場さんの魔剣が二刀とも砕け散る。
やばい! このままじゃ……
ダッ!
「テメェ!」
僕はフリードと木場の間に割り込む。
木場さんなら僕ごと攻撃しちゃうことは無いだろうし、敵は一人だから片方に集中させないようにできる。
「一誠! 今のうちに木場さんに力の譲渡を!」
「わ、わかった!」
一誠が木場さんに力を譲渡すればグッと有利になる。
そのために僕が出てきたんだから。
一誠が
『Transfer!!』
音声が発せられ、木場の全身からオーラが迸る。
「……もらった以上は使うしかない! 『
路面から電柱から壁まで周囲一帯に様々なカタチの魔刃が出現し、四方八方からフリードに飛んでいくが…
「うっは! これはおもしろいサーカス芸だね! この腐れ悪魔がぁぁぁ!」
キン!キィン!キィィィン!
フリードは飛んでくる魔剣を打ち落とす。
「俺さまのエクスカリバーは『
速度だけなら、負けないんだよッッ!」
フリードのもつ聖剣の切っ先がブレだし、ついに消え去った!
そして周囲の魔剣をすべて破壊したフリードが木場に向かって斬りかかろうとしたが
「やらせるかよ!」
匙さんがトカゲのベロを使ってフリードの体勢を崩した。
同時トカゲのベロが淡い光を放ち始める。それは、フリードから匙さんのほうへ流れていた。
「……これは!クッソ!俺っちの力を吸収するのかよ!」
「へっ!どうだ!これが俺の神器! 『
こいつに繋がれた以上、おまえさんの力は俺の神器に吸収され続ける! そう、ぶっ倒れるまでな!」
うわ、凶悪だけど便利。
正直うらやましい。
「木場!文句言ってられない! とりあえず、そいつを倒せ!
エクスカリバー問題はその次でいいだろう! こいつ、マジで危ねぇ!
こうして敵対しているだけで危ない気をビシビシ感じるしよ! このまま放置してたんじゃ、俺や会長にまで害がありそうだ!
俺の神器で力を吸収して弱らせるから、一気に叩け!」
ここは匙さんの言うとおりだね。
確かにあの人は危ない、しかたないけどこの場で始末した方がいい。
はぐれ悪魔の時もそうだったけど、殺すってことにはまだなまだれそうもないよ。
木場さんは複雑な表情をしたが匙さんの提案に乗った。
「……不本意だけど、ここでキミを始末するのには同意する。
奪われたエクスカリバーはあと二本ある。そちらの使い手に期待させてもらうよ」
「ハッ! 他の使い手さんより俺さまのほうが強いんだぜ?
いいんかい?俺を殺したら満足できる聖剣バトルはなくなるぜ?」
不敵な笑みを浮かべるフリード。
「ほう、『
使い手の技量しだいでは無類の力を発揮する神器だ」
突然の第三者の声が届きそちらに視線を送ると神父の格好をした初老の男が立っている。
また新手!? 強そうには見えないけど警戒はしておかないと。
「……バルパーのじいさんか」
フリードの言葉に僕以外全員度肝を抜かした。
も~また僕だけ知らないことみたいじゃん。もう怒る気にもなれないよ。
え!? みんな知ってるの? 誰!?
「……バルパー・ガリレイッ!」
憎々しげに木場はバルパーを睨む
「いかにも」
バルパーは堂々と肯定した。
「フリード。なにをしている」
「じいさん!このわけのわからねぇトカゲくんのベロが邪魔で逃げられねぇスよ」
「ふん。聖剣の使い方がまだ十分ではないか。おまえに渡した『因子』をもっと有効活用してくれたまえ。そのために私は研究していたのだからね。
体に流れる聖なる因子をできるだけ聖剣の刀身に込めろ。そうすれば自ずと切れ味は増す」
因子? 確か聖剣を使うのに必要なものだったけ?
そう考えているとフリードのもつ聖剣が輝き始め匙さんのトカゲのベロを斬った。
そしてフリードとバルパーが逃げようとしたとき
「逃がさん!」
ゼノヴィアさんが僕の横を通り過ぎ、それを追うようにイリナさんが駆けつけていた。
フリードは懐から球体を取り出し路面に投げ放つと眩しい閃光が僕たちの視界を奪い回復したときにはフリード達はいなかった。
「追うぞ、イリナ」
「うん!」
「僕も追わせてもらう! 逃がすか、バルパー・ガリレイ!」
ゼノヴィアさんとイリナさん、そして木場さんはフリード達を追いかけて行く。
とり残された僕たちは戦闘態勢を解き、息を整えていると
「力の流れが不規則になっていると思ったら……」
「これは、困ったものね」
聞き覚えのある声に僕たちは振り返ると
「イッセー、どういうこと?説明してもらうわよ」
一誠の顔が一気に青ざめた。
***
「……エクスカリバー破壊ってあなたたちね」
額に手を当て、きわめて機嫌のよろしくない部長さん。
僕たちは今、近くの公園の噴水の前で正座させられている。
横を見てみると
「サジ。あなたはこんなにも勝手なことをしていたのですね。本当に困った子です」
「あぅぅ……す、すみません、会長……」
危険なほど顔を青くしている匙がいる。
そんなに怖いんだな……会長さん。
気をつけよう……。
「祐斗はそのバルパーを追っていったのね」
「はい。ゼノヴィアとイリナも一緒だと思います。……な、何かあったら連絡をよこしてくれると思うのですが……」
一誠の顔は匙さんほどではないが青くなってる。
僕はそこまでじゃな。なぜなら
「復讐の権化と化そた祐斗が悠長に電話をよこすかしら……小猫、誇銅」
「……はい」
「はい」
「どうして、こんなことを?」
「……祐斗先輩がいなくなるのは嫌です」
搭城さんは正直に口にした。
部長はそれを聞き、怒りより困惑の表情をし
「誇銅、あなたは?」
今度は僕に訊いてきた
「僕は木場に過去と決別して前を向いてほしかっただけです。そのための手伝いをしたかったのです」
その後部長に説教を受け、謝っていると
「あなたには反省が必要ですね」
「うわぁぁぁぁん! ゴメンなさいゴメンなさい! 会長、許してくださぁぁぁい!」
「ダメです。お尻千叩きです」
ベシッ! ベシッ! と魔力のこもった手で尻を叩かれといる匙さんがいた。
高校生でアレは辛いな。でも、漫画とかでみると滑稽で面白いシーンだね。
その後の部長さんの話は部長の使い魔で木場を探索し、見つけ次第、全員で迎えに行くこと僕たちはそれに返事をした。
「……バカな子たちね。本当に、心配ばかりかけて……」
やさしい声音で僕たちを抱きしめた。
「うわぁぁぁん! 会長ぉぉぉ! あっちはいい感じに終わってますけどぉぉぉ!」
「よそはよそ。うちはうちです」
完全にお母さんが子供に言い聞かせる一言ですね。
「さて、イッセー、誇銅。お尻を出しなさい」
ニッコリ微笑む部長さんの右手が紅いオーラに包まれた。
匙さん、いい感じには終わらなかったですよ。
あとこんなこと言うのもなんですけど、情報交換もねぎらいの言葉ももらったことないけどお仕置きと説教だけはいつもきっちりもらってるんですよ、僕は。
「下僕の躾は主の仕事。あなた達もお尻千叩きよ」
「ちょっと待ってください! 部長!」
「なにかしら?」
部長さんは魔力を込めた手のままこちらに視線を向ける。
今この最初のダメ押しを使う時!
「今回俺は一誠と約束しました」
「約束?」
「はい。もし、部長にバレたら一誠ががよろこんで僕の分の罰を受けるという」
一誌が今思い出したかのようにハッ! としていた。
少し内容は違うけど今の一誠ならごまかせるハズ。
「悪魔は契約を大事にしなければなりません。よって僕の分の罰は一誠にお願いします」
「……そう。契約ならしかたないわね」
ふぅー、危なかった……顔を青くして反論していないところを見ると一誠の頭の中では誤差として言ったことになっているらしい。
言ってみるもんだね。そして僕が申し訳なさそうな顔をしながらも見届けるだけだった。何の弁護もせず、ただ見届けるだけ。それ以外僕にできることはなさそうだからね。