BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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生徒会長と希望

 みなさまこんにちは。誇銅です。今僕たちは若手悪魔の会合に参加しています。

 魔王様に他の悪魔たちと交流のために参加してほしいことだ。僕たちは悪魔じゃないからと断ったんだけど、部長とのレーティングゲームで良くも悪くも目立っていたため参加資格はあるとのことで押し切られちゃったよ。

 みんなにも一応相談したんだけど盾姉が

 

「完全に裏があると思うけど、体裁よく断る理由はないわ。それに若手悪魔の会合っていうんだからなんか料理出るでしょ?」

 

 と言いそのまま反対意見もなく参加に同意。って言うか明らかにごはん目的だね。確かに早速恋が出禁くらった店ができちゃったけど……。

 そんなこんなで今僕たちはここにいます。周りの悪魔たちからはなんで人間が? とか、眷属の勧誘が相次いでいます……帰りたい。

 そんな中でもフランはギャスパー君とおしゃべりしてます。やっぱり吸血鬼同士気が合うのかな? 見た感じギャスパー君がちょっとお兄ちゃんぽいけど確かギャスパー君は十代だったはず。対するフランは495歳……う~ん……。

 

「どうしたんですか? 誇銅さん」

「なんでもないよ月。ちょっとアンバランスなことを考えてただけだから」

 

 月は最初からずっと僕の隣で座ってる。最初は恋も一緒だったけど料理を遠目で見て涎を垂らしていたから、僕たちは大丈夫だよと言うとコクリと頷いてそのまま料理の置いてあるテーブルから離れなくなっている。

 アルセウルさんとプロシュート兄貴は二人でワインを飲んでいた。二人からは明らかに大人な雰囲気が漂っていた。でも十分前くらいにアルセウスさんが酔って気持ち悪くなったので今は二人ともいない。

 アルセウスさんってアルコール弱いんだ。なんかかわいい。

 

 テト姉はいつの間にか伴奏つきで歌を歌っていたよ。盾姉はそこでキーボードを担当してる。驚くことなんだろうけどなぜか驚くに値しないことだと思えてくるよ。

 

「次の曲は『セーラー服とヴァンパイア』だお!」

 

 テト姉が高らかと宣言する。後ろで演奏してた人が『え!?』って顔してるよ、大丈夫? まあ盾姉がいるし何とかなるでしょう。

 テト姉は口調が仕事モードになってるしいざとなったらテト姉の方でも何とかできると思う。

 僕は月と恋と一緒に料理を楽しんだ。

 しばらくして僕はトイレへ行くために会場から出る。すると後ろから声をかけられた。振り向いて確認してみるとやっぱり声の主はレイヴェルさんだった。とりあえず笑顔であいさつだね。

 

「おひさしぶりです。レイヴェルさん」

「おひさしぶりです。誇銅さん」

 

 レイヴェルさんも笑顔で返してくれたよ。

 

「レーティングゲーム以来ですね」

「あなたがリアスさんの眷属をやめていたので驚きました。それに、人間になって前よりずっと強くなりましたね」

「別に大して強くなってませんよ。ちょっとしぶとくなったくらいです」

「どうしてリアスさんの眷属をやめたんですか?」

「あそこに僕の居場所はないと判断しましたので……」

 

 しまった! 暗い雰囲気にしてしまった!

 やっぱ暗いより明るい方がいいよね。

 

「……また、会えますか?」

「う~んどうでしょう。僕としてはもう人間として家族と生きていこうと思っていますから」

「そうですか……では、また機会があれば」

「ええ、そうですね」

 

 僕は走ってその場を去る。そろそろ尿意がヤバイところまできそうだからね。

 

「ええ……誇銅さん……」

 

 誇銅が去ったあと、一人、誇銅の名前を呟くレイヴェル・フェニックス。

 誇銅とレイヴェルの距離はそこまで離れていないはずなのにレイヴェルの誇銅を見る目はまるではるか遠くを見るような目をしていた。

 

 

 

 

    ***

 

 

 

 

 ヤバイ、迷った。

 僕は今現在迷っています。行道で迷って迷った末ギリギリでトイレに駆け込めたんだけど帰り道で完全に迷っちゃった。ここ何処だろ。

 ずっと歩いていると僕があまりにも遅いから探しに来てくれた月と恋と出会えた。助かったよ。

 僕が戻った時には部長とソーナさんの間に火花が見える。何かあった?

 

「ねえ、盾姉。何かあったの?」

「うーん、別に~。ただ紅髪巨乳とメガネ微乳がレーティングゲームすることになただけ」

 

 表現はひどいけど内容はわかったよ。

 もうしばらくして僕たちはやることもないので魔王様たちに言って帰らせてもらった。このまま家に帰りたい。

 

 

 

 

    ***

 

 

 

 

 

 

 ソーナ・シトリーは落ち込んでいた。自分の本気の夢を笑われたのだ、誰だって多少なりともへこむ。ましてやソーナ・シトリーは真面目な少女。人前では気丈に振る舞っても人には見せない部分は人一倍繊細である。

 ソーナ・シトリーは席を外し一人で外へ出た。自分の心情を整理するためである。ソーナ・シトリーは外で2回深呼吸をして自分を落ち着かせて自分の夢のことを考えた。下級悪魔にもチャンスを与えることはこれからの将来絶対に悪魔社会をより良い方向へ導いていけると。

 

「こんなところで何やってんの?」

 

 誰かが後ろからソーナ・シトリーに声をかける。

 

「あなたは確か江ノ島盾子さんでしたよね」

「アッタリ~」

「なんの御用ですか?」

「いや、あんたの夢の話を聞いてさ、ちょっと心配になってさ」

「そうですか」

 

 盾子はソーナの隣まで歩く。

 

「下の人にチャンスを与えるのはいいことだよ思うよ。良くも悪くも新しい発見があるからね。停滞は腐敗の始まり」

「そうです! だから私は新しく」

「でも! いいことばっか見るのはだめ。新しいレーティングゲームの学校を作った時のマイナスも考えないと」

 

 盾子は真剣なまなざしでソーナを見る。

 

「眷属を持てる悪魔が増えるということは、他種族の被害者が増えるのよ。強い神器を持った人間を殺して無理矢理眷属にする悪魔も増えるでしょうね。他にも眷属を奴隷のように扱う奴も出るでしょう」

「そ、それはしっかりと学校でおしえ」

「今の学校は教えていないの?」

「そんなことは」

「現にはぐれ悪魔の中にはそういった理由ではぐれになった悪魔もいたわ」

「……」

 

 ソーナは黙って下を向く。その表情は暗くなっている。

 

「今言ったのは他種族への問題。もちろん悪魔内での問題もある。例えば人間の学校で起こっているようなイジメ問題。下級ともなれば何の後ろ盾もない。だから下級の中に少数の中級、上級悪魔がわざと入学して弱い者いじめをする。そして虐げられた者は恨みをつのらせてやがて団体で復讐をする。そして学校で大問題が起き、未完成なこの方法が完成することはなくなる。一例としてはこんなとこかな」

「……確かにあり得るかもしれません」

「あんたが夢のためにやらなくちゃいけないのはルールの裏をかくことじゃなくてルールを変えることよ」

 

 盾子は会場の方へ歩き出す。

 

「どうしてそんなことをわざわざ教えてくれるのですか!」

 

 ソーナは去っていく盾子に聞く。

 盾子はその歩みを止めずに答える。

 

こっち(人間側)に迷惑かけられないようにする為よ。それにあたしも昔とんでもないことした末に誇銅たちに救われた身だしね」

 

 一人残されたソーナの顔は先ほどのような暗い顔ではなくまた歩みだす者の顔であった。

 

 

 

 

 

 

     ***

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、ソーナさん」

「時間ぴったりですよ、誇銅君」

 

 次の日僕はソーナさんに電話で僕たちが泊まっている場所の近くの喫茶店に呼び出された。

 僕の電話番号教えた記憶はなかったけど一誠に聞いたらしい。最初は宿まで来たらしいけど近寄れなかったから電話で呼び出す形になって申し訳ないって言ってた。それって盾姉が四方に書いた悪魔避けの魔法陣のせいだね。家にもある。

 それで現在こうしてソーナさんと向かい合っている。

 

「僕になんの用ですか?」

 

 真剣な目で僕を見るソーナさん。ちょっと威圧が……

 

「昨日会合で言った私の夢についてどう思いますか?」

 

 へ? 昨日ソーナさんが言った夢?

 

「あの~多分その時僕会場にいませんでした」

 

 申し訳ないです。

 

「そうですか。私の夢は下級悪魔でも通えるレーティングゲームの学校を作ることです。そこで下級悪魔にもチャンスをあげたいのです」

 

 なるほど。そういうことね。

 

「実際にやってみないとわかりませんが良いことだと思います」

「……そうですか」

「考え付く限りの問題点を改善する手段を考えてしっかりとした学校を作ってくださいね。

 学校ってところは他の人の未来を左右する大切な場所でもあるんですからね」

「!!」

 

 ん? この表情は……満足する答えを言えたかな?

 

「誇銅さん! 私とリアスは十九日後にレーティングゲームをすることになりました。あなたたちに修業のお手伝いをお願いしたいです!」

「ふぇ!」

 

 そんなに体を乗り出して言わなくても。思わず変な声あげちゃったよ。

 

「僕はいいですけど、他のみんなは聞いてみないと」

「それで構いません。ですからお願いします」

「……わかりました。家族たちに聞いてみます」

「ありがとうございます」

 

 きれいな笑顔。……ここはひとつソーナさんにお願いしようかな。

 

「あのソーナさん。修業を手伝う代わりと言っちゃなんですけど一つお願いを聞いてくれませんか?」

「なんでしょう」

「使い魔の森に連れて行ってほしいのです。僕の使い魔だったももたろうを故郷に埋葬してあげたくて」

 

 うぅ……ももたろう。

 できればもう一度君に逢いたい。だけどもう……。

 

「泣かないでください。もちろん構いませんよ。レーティングゲームが終わったら連れて行ってあげます」

「ありがとうございます」

 

 これでやっとももたろうを埋葬してあげられる。

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