BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

32 / 92
 見た目は子供、頭脳は高校生、覚悟は大人、自我は未発達。その名は日鳥誇銅。


救世の銀と偉大な赤

 フランがどこかに飛んで行ってしばらくすると無表情の男は急に姿を消した。ん? どこ行った?僕がそんなことを思っていると後ろからものすごい気配。 これは!

 

「お兄ちゃ――――――――――ん!」

「グハッ!」

 

 すごい勢いでフランが僕の胸に飛び込んできた。やっぱりフランだったよ。でもこれでも減速してくれたんだろうな。骨折れてないし。最初であったころはバキバキ折られたもんな~。ちょっと懐かしい。

 それはさておきフランは僕の胸に飛び込んできて僕にいつもの笑顔を見せてくれる。うん、かわいい。

 

「お兄ちゃん、敵の本体をボンしてきたよ」

 

 うん、それかわいい擬音にしてるけど絶対殺したよね。まあ戦場では敵はしっかり殺さないといけないもんね。悲しいけどこれってコロシアイなんだよね。

 

「よくやったねフラン」

 

 僕はフランの頭をなでる。フランは目を細めて気持ちよさそうに笑う。

 

「でもねフラン、こ」

「殺すことを当たり前と思わないだよね」

 

 先に言われちゃったよ。

 

「その通り」

「わかってるよお兄ちゃん」

「あ、いいな~僕もなでて! なでて!」

 

 戦闘が終わって戻ってきたルピ君が僕がフランをなでているのを見て自分もしてほしいとねだってくる。

 

「いいよ」

「わ~い」

 

 僕はフランを放してルピ君の頭をなでる。絵的にすごく腐女子の皆さんが喜びそうな絵になってると思うけど、まあいいか。ルピ君も気持ちよさそうだし。

 僕はルピ君をなで終えると魔王様や知ってる人を探した。早くこの戦場から離脱するためにね。魔王様たちの居場所はすぐにわかる。ルピ君の探査能力で強い魔力を探してもらえば一発だもん。僕たちはすぐに魔王様のところへ急いだ。

 

「サーゼクス様!」

 

 僕たちはリアスさんのお兄さんと合流で来た。一応様づけにした方がいいよね。

 

「誇銅君! や……無事だったんだね」

 

 ん? 今なんて言おうとしたの? まあいっか。重要なのは無事にここを脱出して家に帰ることなんだから。

 

「来てもらったとこ悪いんだが私たちを回復させてくれないか?」

「わかりました」

 

 僕はサーゼクスさんとその周りの人に触って回復させる。

 

「ありがとう。しかし、君の神器はすばらしいね。傷だけでなく体力と魔力も回復させてしまうんだから」

「それが僕の取り柄ですから。それよりここから出してもらえませんか?」

「悪いがもうしばらく協力してくれ。これから敵の親玉と戦わなくちゃなんねーからな」

 

 そう言うとアザゼルさんは向こうの幼女の方を見た。え? あれが敵のボス? 見た目はただのかわいい女の子だね。

 そんなことを思っていると後ろからものすごい爆発音が鳴り響く。こ、今度は何!? てかあっちは確かリアスさんたちがいた場所。こっちは敵のボスと戦うとか言ってるけどこっちの方が数が多いし回復も済んでいる。何より相手から戦意が感じられない。だから大丈夫だよね?

 

「ルピ君、フラン、僕を向こうに連れてって!」

 

 あれだけ派手な爆発音があったんだ、アーシアさんだけでは回復は追いつかないハズ。

 

「……しょうがない、イヤって言っても行くんでしょ?」

 

 少し困った顔をしつつもルピ君は了承してくれた。

 

「ありがとう! ルピ君」

「誇銅君の移動術は見ていて痛々しいからね。さあ乗って」

 

 僕はそのままルピ君におんぶしてもらって移動する。一応僕にもルピ君の響転(ソニード)やフランの飛行には劣るけど高速移動術はある。だけど緊急時以外は家族から止められてる。僕もできればしたくない。

 僕たちは結界の前まで来たけどあれだけの轟音が鳴り響いたのに結界はいまだ健在で中に入れない。どうすれば

 

「もういいじゃない。僕たち元々関係ないんだし。誇銅君もよく頑張ったよ」

 

 ルピ君が隣で言う。

 

「でもこの中には一誠たちがいるんだよ」

「おぬし等中に入りたいのか?」

 

 僕たちが結界の前で立ち止まっているとローブ姿の隻眼のお爺さんが話しかけてきた。

 

「よければわしが中に入れてやろうか?」

「おじさん誰?」

 

 あっ、ルピ君に先に言われちゃった。

 

「わしの名はオーディン。安心せい味方じゃ」

 

 この人かオーディン……イメージと割と似ている……

 

「オーディン様! お願いします!」

 

 僕がそう言うと僕たちの足元に魔法陣が出現した。どうやらオーディン様がしてくれたようだ。

 

「ありがとうございます」

「なに、礼には及ばんよ」

 

 僕がオーディン様にお礼を言うと次の瞬間周りの風景が変わっている。どうやら成功したようだ。

 僕たちはすぐにルピ君が言っていた霊圧が密集している場所へ行く。ルピ君とフランのスピードだからすぐにその場所へ着く。そこにはリアスさんたちがいた。よかったみんな無事なようだ……あれ? 一誠とアーシアさんは?

 僕はとりあえず今の状況を知るためにリアスさんのもとへ行く。

 

「リアスさん!」

「ん!? 誇銅!」

「誇銅君!」

「誇銅さん!」

「「誇銅先輩!」」

 

 リアスさんが僕の声に振り向くと他の皆さんも次々に僕たちに気づく。

 

「リアスさん、一誠とアーシアさんは何処ですか?」

「アーシアは……殺されたわ」

「……え?」

 

 リアスさんの口から残酷な言葉が零れ落ちる。う、うそですよね?

 

「そのせいで一誠はあの状態に」

『ぐぎゅあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!』

 

 リアスさんはが向いた方向にはまさしくドラゴンという形をした鎧が咆哮をあげて暴れまわっている。……あれが一誠……。

 

「あんな力を振り回すなんて急速に寿命を縮める行為だね」

『!』

 

 僕を含めたリアスさんたちがルピ君の言葉に強く反応する。それじゃこのままじゃ一誠は!

 そう思うと僕は既に体が動いていた。鳴り響く爆音とともに。

 

「もう帰ろうよ誇銅君、僕たち関係ないのにすごく頑張ったよ。だからもう帰ろう…って誇銅君!?」

「お兄ちゃん!」

 

 二人の声が聞こえたのは僕が動き出してすぐだった。ルピ君は僕の左横、フランは右後ろにいる。僕のスピードは徐々に遅くなっている。

 

「危険だ! 今の彼は正気じゃない!」

「苦しんでる友達を簡単に見捨てられないよ! 僕なら大丈夫、だからルピ君たちは何かあった時お願い!」

 

 ルピ君の静止も聞かず僕は最初に踏み出した足とは逆の方でもう一度地面を蹴る。再び爆音が鳴り響き最高速度へ達する。

 確かに今の一誠はヤバイと思う。でも、助けれる可能性があるなら助けてあげたい。

 僕は一誠の近くで叫んだ

 

「一誠――――!!」

『ぐがああああああああああああああああああっ!」

 

 一誠は僕のことを無視して暴れ続けている。どうやら聞こえてないみたいだ。だったら気づかせるとこから始めるか!

 僕はさらに一誠に近づくために一誠のもとへ走る。それに気付いたのか一誠は僕を見る。よし!

 

「いっ」

『ぐぎゃああああああああああああああ!』

「ぐぁ!」

 

 一誠の攻撃によって僕の左腕が吹き飛ばされる。気づいたみたいだけど聞こえてないみたいだね。

 僕はそのままさらに一誠に近づく。僕の間合いまで近づくまでに右腕、左腕、頭部、上半身が吹き飛ばされた。でも吹き飛ばされるたびにすぐに再生する。僕の神器がここまで回復に特化してなかったらここまでこれなかったよ。それにこんな攻撃もできなかった。

 僕は右腕を引き正拳突きの構えをとり、爆音とともに打ち出す。一誠のダメージは少し体制を崩したくらい。対して僕は右腕がそのまま吹き飛んだ。吹き飛んだ腕の肘からはボロボロに焼け爛れ煙が出ている。

 

 そう、これが僕の戦闘術、『自爆』!

 

 僕は別の世界で魔法を学んだ時に僕には異常なほど火の力があることが分かった。けど火を出そうとすると手が爆発する。だから僕は逆にこの爆発を接近戦に利用することにした。そうして生まれたのがこの『自爆』

 自分を爆発させることでその勢いで攻撃するというもの。僕の高速移動術も足を爆破させてその推進力で進んでいる。今回の正拳突きも肘を爆破してその勢いで殴っているだけ。まあ代わりに腕が吹き飛ぶけどね。

 最初は爆発をうまく制御できるように見せかけて使用、訓練してたんだけどある日盾姉に見破られて使用禁止となっちゃった。

 

『ぐぎおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

 

 一誠は体制を立て直して僕に再び攻撃を始める。僕は今度は左腕の一誠とは向けている反対側を爆破させてラリアットをする。それからも同じように蹴り、拳を叩き込むが一誠に大したダメージはあるようには到底見えない。攻撃して怯んだ時に何度も語りかけてはいるけど全く反応はない。

 すると一誠の鎧の胸元と腹部が開き、何かの発射口が姿を現す。!? これはヤバそう。

 僕は両腕を開き一誠の方を向く。ヤバイ何かが発射される前に僕の必殺技をくらわせるために

 

「フル・バースト!」

 

 僕は自爆エネルギーに変換した魔力すべてを前方と後ろに飛ばされないように後方に放つ。爆発の関係上かなり近くでしないとダメな上に威力が残りのエネルギーに比例するから場合によってはただ殴った方が総合ダメージが多い場合すらある。もはや必殺技と呼べるような技じゃない。ただの自爆だ。これにより僕の五体は吹き飛ぶ。

 『救世の神薬(メシア・アンサー)』で魔力も回復できるが爆発エネルギーは別だ。僕が自爆するには自分の魔力を自爆エネルギーに変換しなくてはならない。このエネルギーは僕の魔力によって任意によって変化させるので神器では回復、補給できない。つまり今僕は自爆することができない。

 僕の自爆でどうやらヤバそうな攻撃は止められたみたいだ。僕の後ろにはリアスさんたちやフランたちもいるからね。僕を貫通されると大変だ。

 でもどうやらここまでだ。僕には魔力を自爆エネルギーに変換する余裕はない。僕は一誠の龍の手に引き裂かれあたりに臓器をばらまかれ、刃で斬られ首を雑に切断され、翼でおもいっきり吹っ飛ばされる。どうでもいいことだけど飛ばされている時に転がっている自分の生首とちょっと目が合っちゃった。グロ!

 

「誇銅君!」

 

 空中を飛ぶ僕をルピ君が空中でナイスキャッチしてくれた。続いてフランも僕のもとへ駆け寄ってくる。いや、飛び寄ってくると言った方がいいかな?

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「ごめん、誇銅君。もっと早く助けに行くべきだったのに」

「いやいや、あんな爆心地に入ってこられる方が困るよ」

 

 ここは余裕を見せて大丈夫アピール。本当はものすごく痛いけどね。『救世の神薬(メシア・アンサー)』は他人の痛みは癒せても自分の痛みは癒せないからね。

 

「こっちこそごめん、一人であんな無茶して」

「無事戻ってきたから許してあげる」

「フランも許してあげる」

「でも帰ったらこのことはきっちり報告するからね。きっと長いお説教があると思うけどがんばってね」

「え~~」

 

 二人の笑顔が温かい。この笑顔で僕の痛みは癒えちゃったよ。

 僕が癒されているとどこからかおっぱいとドラゴンが大量に含まれた歌が聞こえてくる。え? 何この歌。フレーズ的に到底好きになれそうもない。

 僕はフランを抱き寄せてフランの耳を塞ぐ。悪影響受けそうだからフランには聞かせたくない。ちなみに僕は女性の胸に関しては小ぶり派だよ。

 歌が流れると一誠の荒々しい雰囲気が消えた。……え!?

 ついにはリアスさんの胸を触って鎧が解除された。なに? そこ一誠のスイッチかなにか?

 

「うーん。あれ? 何がどうなったんだ?」

 

 少しして一誠が目を覚ました。リアスさんや朱乃さんは号泣しながら一誠に抱き着いている。いつの間にかアーシアさんもいる。あれ? アーシアさんは殺されたんじゃ……まあ生きてたのならいいか。

 

「おはよう、一誠」

「ん? 誇銅……! アーシア! アーシアが!」

 

 一誠が僕の体を揺さぶる。

 

「アーシアならそこに」

「! アーシア! アーシア!」

「ヴァーリが助けてくれたんだ」

 

 木場さんが銀髪で透き通った蒼い碧眼をした美少年を指さす。へ~この人が助けてくれたんだ。いい人だね。

 

「アーシア!」

 

 今度はゼノヴィアさんがアーシアさんに抱き着く。うんうん。友情というものは素晴らしきかな。

 僕がアーシアさんとゼノヴィアさんの友情のシーンを眺めていると上の方から何か変な音がする。なんなのか上を見ると空間に巨大な穴が開いていく。そして、そこから空中を雄大に泳ぐ真紅のドラゴンが現れた。すごくおっきい。確かアルセウスさんが3mほどだから……100mは越えてるね。

 

「『真なる赤龍神帝(アポカリユプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』と称される偉大なるドラゴンだ。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこを飛び続けている」

 

 へ~次元の狭間に住んでいる龍か……ん? 次元の狭間に住んでいる龍? 次元の狭間に住んでいるのは『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』じゃないの? じゃあアルセウスさんはどこに?

 

「グレートレッド、久しい」

 

 一誠たちのすぐ近くに黒髪で黒のワンピースの少女っていうか敵のボスの女の子じゃん!

 

「誰だ、あの娘……? さっきまでいなかったぞ」

 

 ヴァーリさんがそれを確認して苦笑する。 ?

 

「――――オーフィス。ウロボロスだ。『禍の団』のトップでもある」

 

 うん、まあ知ってます。ちょっと前に魔王様から聞きました。

 オーフィスは空のグレートレッドに指鉄砲のような構えでバンッと撃ちだす格好をする。

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

 展開が全く分からない。それよりアルセウスさんの安否が心配。

 その後魔王様たちが来て何だか重そうな話をしていたけどよくわからなかった。けど結界が解かれたという言葉が出た瞬間僕たちはさっさとこの場から去った。はー、これでやっと帰れる。

 

 

 

        ***

 

 

 家に帰るとアルセウスさんが帰って来ていた。とりあえずどこに行ってたのか聞いてみると

 

「最初は腕試しのために次元の狭間に住むという無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』と戦おうと思っていたのだが、実際行ってみるとそこには巨大な赤い龍しかおらんかった」

 

 「『真なる赤龍神帝(アポカリユプス・ドラゴン)』のことだね」

 

「仕方ないからその龍と戦うことにしたのだ。我は最初は期待した戦いはできぬと思っておった。だが、その龍の強さはすさまじいものだった。我がプレートの力で無効、半減を駆使しながらも大ダメージを負うほどに。力では我が負けていたが手数では圧倒的に我が勝っていた。我は回復と弱点属性を使い勝利した。まあとどめは刺しておらんがな」

 

 うん、とどめ刺してたらあの時僕あってないからね。それより僕が知りたいのは

 

「でも、ずっと戦ってたわけじゃないですよね?」

 

 僕が『真なる赤龍神帝(アポカリユプス・ドラゴン)』に会った時はピンピンしてたからね。

 

「ウム、戦い自体は行った初日で終わった。だが、次元の狭間を見て思ったのだ、もしかしたら我が手直しせねば危ない場所が他にもあるのではないかと」

「危ない場所?」

「この家は一部を裏側の世界とつなげることで広さを実質二倍にしておるだろ?」

 

 確かにこの家はアルセウスさんが裏の世界を見つけフランが境界線を壊し盾姉とアルセウスさんの指示にしたがって僕の神器で補強。それによって表と裏で二倍の広さになっている。

 実際見た僕でも思うけどありえないでしょ! まあ実際はありえちゃってるし手伝ったけど。

 

「最初裏の世界を見てみると綺麗に整いすぎていた。あれでは何かあった時の柔軟性に欠ける。我はそこに管理する者としてギラティナを生み出した」

「うん」

「それと同じように世界を支える重要なところに補助が必要ないか見て回ったのじゃ」

 

 なるほど。なんだかんだ言ってもアルセウスさんは神なんだね。

 

「で、どうだったんですか?」

「他はまあ大丈夫そうだ。しかし、有事の際にすぐに動けるようにディアルガとパルキアのタマゴを亜空間と時間の狭間に置いてきた。おぬし等と住む世界に何かあってはいかんからな」

 

 さすが家のお父さんポジション!

 

「いや~我もまだまだ実力不足だな。あの龍があれほどの強さであれば『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』とやらの力は未知数。あの龍ですらこの家の結界に割いてる力を戻そうかと思った。我もまだまだ鍛える必要がありそうだ」

 

 笑いながらも自分の力不足を言うアルセウスさん。こう見てみると神様なんて思えないや。てゆうか今更だけど神様と暮らしてる僕たちって……。

 

「それと誇銅、兵藤という男を助けるために無茶をしたらしいな」

 

 うっ! まずい、完全にお説教コースだ。

 

「友達を助けようとしたこと自体はよい。だが話を聞く限り無謀すぎるぞ! 暴走した相手にみすみす切り刻まれにいくとは」

「……はい」

「お主の一番大切なものはなんだ? その者の気持ちもしっかりと考えてやれ。

 それを考慮したうえで自分の心に従い最善の行動をせい」

「はい」

 

 アルセウスさんのプレッシャー説教はほんと心臓に来るよ。

 

 そしてしばらくすると後から帰ってきた盾姉とプロシュート兄貴にも今日のことで長いお説教を受けた。

 トイレ休憩を一回挟んで一時間以上はお説教がつづいた。

 

 

 

         ***

 

 あれから数日たった。今日は駒王学園の体育祭。一誠はあの日から学校に来ていない。ギャスパー君から聞いた話では覇龍というモードになった時の疲労が出て起きないらしい。まあ大丈夫ならいいか。なんか一誠なら主人公みたいに体育祭の一番いいタイミングで来そう。

 

「おーい、誇銅ー!」

 

 観客席の方からテト姉の声が聞こえる。テト姉の声が聞こえる方を見ると盾姉も兄貴もルピ君もフランさえも来ている。……フラン! 

 

「大丈夫、日傘があれば平気だしいざとなったらあたしが影作るし」

 

 それなら安心。てか今ナチュラルに心読んだよね?

 そんなことを思っていると盾姉がなんか向こう側を指さしてる。……あ、アルセウスさんがお父さんたちと一緒に撮りやすいポジションにいた。

 ちょっぴり恥ずかしいな。でも、あふれるくらいに心が満たされてる。ふふ、幸せだな~。

 

 体育祭のプログラムがついに始まる。いくつかのプログラムが進み次は恋の長距離走。当然の如く恋が一番。恋は僕たちの方を見て少し笑顔を見せてくれた。

 次は僕と月の二人三脚。僕たちの出番は一誠とアーシアさんの次。だけど一誠はまだ来ない。ギリギリの時間になってやっと現れる一誠。流石だね。

 一誠とアーシアさんはそのまま一位。最後一誠がふらふらになってるけどね。あっ、一誠が倒れた。何かあったのかな? まあ大丈夫でしょ。次は僕たちの番。

 

「行くよ、月」

「はい」

 

 僕たちはスタートの合図とともに走り出す。決して早いとはいえないスピード。しかし、その息はぴったりと足並みそろえている。僕たちは現在先頭を走っている。

 

「誇銅ー! 月ー! いい調子だおー!」

 

 テト姉の応援が聞こえる。胸にスッと溶けてゆくようだ。

 

「順調! 順調! そのまま一番いっちゃいなよ!」

 

 盾姉の応援が聞こえる。盾姉の元気が僕にも伝わってくる。

 

「負けてねえぞ! 誇銅ー! 月ー!」

 

 二人よりは小さいプロシュート兄貴の応援が聞こえる。ちょっと恥ずかしがってるね。

 

「「頑張れ誇銅君(お兄ちゃん)! 張れ月ちゃん(月お姉ちゃん)!」

 

 ルピ君とフランの応援が聞こえる。二人の声が疲れを吹き飛ばしてくれる。

 

「誇銅さん、この幸を育んでいきましょう」

 

 走りながら月が言ってくる。もちろんだよ! となれば答えはもちろん笑顔で

 

「もちろんだよ! 大好きだよ、月」

「へう!」

 

 突然二人の息が合わなくなり僕たちはその場で転んでしまう。すぐに体制を立て直して走り出すが結果二位。でも僕は満足。

 お昼休みになり僕は家族と一緒にお弁当を食べた。僕と月と盾姉の3人で作ったお弁当。去年は一人で人気のないところで一人で作ったお弁当を涙を流しながら食べていた。でも今年は家族と一緒に笑いながら食べている。

 僕―――――――。

 僕、今、最高に幸せ♪




 古すぎる情報を掴まされたアルセウス。
 結局無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)とは戦えずじまい。

 ps.真なる赤龍神帝VSアルセウス戦の決まり手は、こらえる→いたみわけ→ふいうちです。
 本人は何処の馬の骨ともわからない龍に苦戦したのを隠したかったので楽勝したみたいに言ってます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告