「ミ、ミシェルさん? どうしたんですか?」
ミシェルさんの目が怖い。
僕は恐怖に体を強張らせるが突然ミシェルさんの手元に危機感を感じとっさに体をずらす。
すると僕の腹部には痛みと傷跡が、ミシェルさんの右手には血の付いたナイフが握られていた。
「ちっ、無駄にワシ等のもとで修業しただけはあるの」
「な、何をするんですか!?」
「大丈夫じゃ、殺そうとは思っとらん。じゃが最終的には死ぬだろうがな」
冗談ですよね!? ……ダメだ、目が本気だ。
斬られた箇所は神器を使ってるのになぜかふさがらない。
「無駄じゃよ。このナイフは旧世界のアルテミスのナイフ。真の不死殺しの武器じゃ。お前さんの神器でもそう易々とは治せんぞ」
うう、僕の自慢の回復が使えないなんて。ここは早く逃げないと、家の近くまで逃げればさすがに追ってこないハズ。
僕はその場を走って逃げようとするが
「逃がさんよ」
僕はその場でミシェルさんに地面に押し込められる。
そして左手にナイフを突き刺され地面に張り付けられる、右手も別のナイフで刺される。
自爆で逃げようにも大きな爆発を起こせるほどたまっていない。その間にもミシェルさんは新しいナイフを僕に突き刺そうとしている。こうなったら……。
「
「ぬおっ!」
僕は自分の血を沸騰するほど熱して一部の場所を集中して爆発させることによって沸騰した血を浴びせる。
この技は熱された血が体をかけることもありと大きな爆発を起こすより痛い。でも相手へのダメージは少ない。でも目くらましにはちょうどいい。
僕はナイフで地面とくっつけられた手を無理矢理はがすと力を振り絞って走った。
左手からは血が流れ続ける。幸い右手は不死殺しのナイフではなかったようで傷は治った。僕は足に自爆エネルギーを集中量産して逃げようとしたが全然堪らない。なんで!?
そうしてるうちに顔面にやけどを負ったミシェルさんに追いつかれてまた地面に押し込められてしまう。そうして今度は両手両足をナイフで地面に固定される。
「ワシは幽霊でこの肉体もただの死体じゃ。その程度の攻撃じゃ目くらましがやっとじゃよ。
それにお主の右腕に刺したナイフは力を漏洩させるものじゃ。これでお主は何もできんじゃろう」
そう言ってミシェルさんは自分の荷物から何かを取り出す。
「これが何にかわからんという顔をしておるな? 最期じゃから教えてやろう。そうじゃな~これに別に名前はついておらんが、しいて言うなら『仏の御石の鉢』、『蓬莱の玉の枝』、『燕の産んだ子安貝』と言うべきかの。まあそう呼ばれことがあるというだけじゃがの」
どこかで聞いたことあるものだ。でもそんなことどうでもいい、今はどうやって逃げるかを考えないと。
ミシェルさんは仏の御石の鉢に聖水をたっぷりとそそぐ。なにやら呪文を唱えだす。
「コルプスリデラリ、アニマコルプスシクトインテェガーリカト」
ミシェルさんがそう唱え終えると鉢の水は薄く光りだす。
そして今度は燕の産んだ子安貝を口に入れるとそれを鉢の水で流し込む。するとミシェルさんは突然苦しみだしてその口から透明な気体が溢れ出す。
その気体はどんどんあふれ出してたと思ったら、気体は突如髭をたっぷりと蓄えたお爺さんの姿へと変わった。
「ほほ、成功じゃ! ん? 何が起こったかわからんのじゃな? 最期じゃから特別に教えてやろう。仏の御石の鉢と燕の産んだ子安貝は正しい手順で正しい呪文を唱えるとその者の魂から肉体を作り出すことができるのじゃ。
つまりワシは肉体という限界のない肉体を手に入れたということ。
そして次はお前さんの番じゃよ」
そう言うとミシェルさんは今度は蓬莱の玉の枝を取り出し僕の胸に突き刺す。
銀色の根が僕の胸をえぐり血が溢れ出す。す、すごく痛いし苦しい。
ミシェルさんはそんなのをお構いなしに呪文を唱え始める。
「シジルームデウスアンチェイス、ペリレアンテエゴファッツム」
そう唱えると真珠でできた実が白く光ったり黒く光ったりする。その光はどんどん強くなっていく。それと同時に僕の意識もどんどん遠のいていく。
僕の意識がなくなる直前にミシェルさんは僕に向かって
「ありがとう。これで長年の苦労が報われるというものだ。これでワシは最強の神となれる。
フォフォフォ。気の遠くなるような時間も、死ぬほどの痛みも、かりそめの仲間意識も今となってはいい思い出じゃわい!」
僕の意識は完全になくなった。
***
「フォフォフォ、ついにこの時が来た。長年復讐者のフリをして生きてきた甲斐があったわ」
ミシェルは誇銅の心臓に刺さってる蓬莱の玉の枝に実っている、黒と白がごっちゃになったような色になった実を取る。
ミシェルはその実を手に取るとまるで欲しがっていたおもちゃを買ってもらった少年のような表情を浮かべる。
「ああ、この時をどれほど待ちわびたか……」
ミシェルはその実を一飲みで呑込む。
ミシェルはこれ以上にないほど幸せな表情を浮かべる。すると……
『ばくれつパンチ』
一瞬のうちにミシェルに向かって一つの拳が突き出される。その拳は相手に触れると強烈な爆発を起こす。が、ミシェルはその拳を見もしないで掴みとっている。それも無傷で。
ミシェルが拳の方を向くと、そこには怒りの表情を浮かべた人型のアルセウスの姿があった。
ミシェルはその拳をアルセウスごと放り投げる。
すると今度はミシェルの両足に砂でできた鎖が巻き付き、傍に倒れていた誇銅を砂の手が奪い去る。
いつの間にかミシェルの周りは誇銅たちの家族で囲まれていた。
「誇銅さん!!」
月が誇銅に駆け寄る。
月が誇銅が触れた時にはすでに誇銅の暖かさは既に失われつつあった。
月は『
それでも月は泣きながら誇銅に力を行使し続ける。
「はて? この辺りは旧天使ですら察知できぬ結界を張っていたのだが?」
「お前の結界なんかで僕の
ミシェルの言葉にルピが反応する。ルピは表情も声もいつもより険しくなっている。
ルピや恋やフランは今すぐにでもミシェルに襲いかかろうとしている。だがまだ身構えながら睨みつけているだけだ。
アルセウスと盾子とテトもいつでも行動できるようにしている。
プロシュートは一歩前に出てミシェルへ話しかける。
「ミシェル、なんでこんなまねしやがった?
たとえ恩人だとしても見過ごせねえことだぜ」
プロシュートも内心怒りを持っているが、表面上はクールに装う。
「別に話したところでお前たちには関係のないことじゃ。それにこの世界でのやることも済んだことじゃし元の世界で次の目的を達成しようとおもっとる。何もせんなら別にお前たちを殺すつもりもないから安心せい」
「そんなことをきいてんじゃねえ!」
ミシェルの対応に我慢できなくなったプロシュートは怒鳴る。
「俺たちに幸せをくれた誇銅をなんで殺したって聞いてんだよ!」
「ワシが欲しかったものを誇銅がたまたま持っていた。それを取り出したら死んだ。それだけのことじゃよ」
「『
「『はかいこうせん』」
「『495年の波紋』」
ミシェルが言い終わると同時に三つの光がミシェルを襲う。あたりには土ぼこりが舞う。三つの攻撃は確かにミシェルに直撃した。
しかし土ぼこりが収まるとそこには何事もなかったかのように立つミシェルが。
シュッ!
すると今度は空を切り裂く音よりも早く恋が『
少し遅れてテトの拳とプロシュートのザ・グレイトフル・デッドがミシェルに襲いかかる。
テトの姿はレーティングゲームの時よりも禍々しくなっている。その羽は通常の悪魔ほどものになり尻尾は先端が鋭利なものになり殺傷力を帯びた。テトの本気第二形態である。その力は通常通常キメラモードよりずっと強大である。
プロシュートは接触と同時に老化の力を使う。スタンド越しとはいえ直に触っている。通常ならすぐに効果は表れる。
だが、ミシェルは恋の『
それを見たプロシュートは動こうとしないミシェルに対悪魔用のナイフを突き立てる。が、それでも効果はない。
「この身体にそのナイフくらいどうってことない」
相手の強大さを感じ取った三人はすぐさまミシェルから離れる。ミシェルは恋の『
「
盾子がそう言うと大量の砂がミシェルを包み込む。そして
「
開いた右手をギュッと握りしめる。するとミシェルを包み込んでいる砂の塊が圧縮され小さくなる。
普通なら圧死しているほどの圧縮量。だが
「ほう、だいぶ成長しとるみたいじゃの」
ミシェルは砂の棺桶を破壊して平然とした姿で立つ。
「ちっ」
「『
月は先ほどまで誇銅の治療をしていたカブトムシを手の甲に乗せてミシェルの方に向けてそう叫ぶ。
「「「「「グォォォオオォッ!!」」」」
するとカブトムシの背中が割れて中から20mほどの翡翠の龍が四体、咆哮と共に飛び出す。その姿は東洋の龍に酷似している。
龍はそれぞれミシェルの両手両足に食らいつく。月は龍に備わっている回復の力を全力で使う。
一体一体が元のカブトムシより強大な力と効率性を持つ。だがミシェルはそれも平然と受ける。
「でしたら……四肢を引きちぎりなさい!」
月がそう命令すると四体の龍はミシェルの四肢に噛みつきながらそれぞれ別の方へ飛ぼうとする。が、一向にミシェルは動かない。
「ふむ、回復系神器にしてはかなりの戦闘能力だな。だが足りん」
ミシェルは四肢を龍に噛みつかれながらも平然と四肢を動かし龍を一体一体引っぺがす。
月も必死に抵抗するが何の意味もなさない
すると今度は恋が『
「『
そう言うと『
「『
恋の斬撃は再びミシェルに受け止められてしまう。
恋の表情はどことなく残念そうである。
そして再び距離を取る。
「さっさと死にさらせ!
「誇銅を殺した罪、死んでからも悔い続けるが良い」
ルピは刀剣解放し、アルセウスはポケモンとしても体に戻り全力の状態になる。
「
「さばきのつぶて!!」
ルピとアルセウスは自身の最強技を全力でミシェルに両サイドから放つ。
攻撃の余波が半端ないことを理解していた家族たちは一か所に集まる。
盾子が30mの砂のゴーレムを作り出し、それを別の魔法で石のゴーレムへ変化させ、さらに自分を含め家族たちを砂の盾で覆う。
他の家族たちは盾子に霊力を譲渡して守りを固める。
「ふむ、せっかくの大技じゃ。肉体ばかりではなく力も少し試してみるか」
そう言うとミシェルは両手を開き、ルピの方には白い光、アルセウスの方には黒い光の波動を放つ。
すると二人の大技はその波動にかき消されてしまい、さらにはその波動の余波まで受けてしまう。
「ガハッ!」
「グハッッ!」
ルピとアルセウスはその場に倒れてしまう。
砂の盾を解除した家族たちはその光景を信じられないといった表情で見る。
そしてミシェルは家族たちの方を見て
「今でもワシはお前たちを殺すつもりはない。この世界には興味もないし、ワシにこの力をくれた誇銅への礼としてワシに楯突いたことも不問にしてやろう」
そう言うとカバンから人がつつめるほどの大きな皮衣と、手のひらサイズの赤い玉を取り出す。
そして皮衣を身に着け玉に向かって呪文を唱え始める。が、中断する。
「そうじゃ、日本の言葉には『立つ鳥跡を濁さず』と言うものがあったの」
そう言うと指を一鳴らしする。するとさっきまで更地のようになっていたこの場所も戦闘前のように戻っている。
「これで良し」
すると満足して再び玉に向かって呪文を唱え始める。すると玉からはどんどん赤い光が大きくなってミシェルを包み込んだと思えばその姿は光と共に消えた。
家族たちはそんなことはどうでもいいと言わんばかりに負傷した二人のもとへ走る。
幸いアルセウスとルピには外傷は酷いものの二人の種族的には命の危険は大丈夫そうだ。だが誇銅は……。
ミシェルの詳しい目的などは向こうで彼がペラペラしゃべると思います。
今回は月と恋の禁手と盾子の魔法をご紹介します。
月と恋はすでにこの世界に来た時には禁手に至っていました。だが今まで使うほどの相手はいなかったため使ってませんでした。
月の龍のイメージは氷輪丸の龍をイメージしています。
盾子の魔法技術はゼロの使い魔のフーケとナルトの我愛羅を足して二で割って魔力劣化補正をかけた感じと考えてもらえば大丈夫と思います。