「ん……」
僕は目を覚ますと真っ暗な場所にいた。ただ真っ暗だが僕はこの場所を知っている。そう、僕が一度死んだ時に着た場所だ。
「……僕はまた死んだの?」
自問してみるがその答えはわかっている。また死んだんだ。
「……ダメだ、帰らなきゃ」
前回はここがどこだか分らなかったし、何より僕を待つ人がいなかった。
でも今は違う。僕を本当に家族と思ってくれて僕を待ってくれる人がいるんだ! こんなところで死ぬわけにはいかない!
しかし、戻る方法はわからない。前回は扉があったけど今回は何もない。
「やあ誇銅君」
「うわ!」
突然目の前にファウル君が現れる、びっくりした。
でも今はびっくりしてる場合じゃない。
「ねえファウル君、僕を戻して! 今死ぬわけにはいかないよ」
僕はファウル君の肩をしっかりとつかみながら必死にお願いする。
そうするとファウル君は僕の掴む手を軽くつかむと
「大丈夫、すぐに生き返らせてあげるから。
今回のことは完全にイレギュラーが起こしたことだからね」
ファウル君は僕に向かって優しく微笑んでくれる。よかった~。
僕はその言葉に安心してその場にへたり込む。
「今回のことはこっちの責任もある。そんな危険な人物を監視もせず野放しにしてしまったからね。
だからそのお詫びとして君の身に起こったことと君の正体について教えてあげる」
「僕の正体?」
僕の正体って?
「まず君に起こったことを教えるよ。
君の神器には別の世界の神と邪神が封印されていたんだよ。
君の神器『
その魔の方に神を、聖の方に邪神を封印していたんだ。
元々『
でも
万物は闇から生まれ光にかえるのだからね。
つまり、邪神の力を神のごとく使用してるんだよ」
へ~僕の神器ってそうなってたんだ。
「そもそも神と邪神が封印されていて君じゃないと
でもたとえされていなくても重い神器だから今までの所有者じゃ無理だったろうね。
おっと話がそれてきた、君の身に起こったことだよね。簡潔に言うと君の神器に封印されていた神と邪神が抜き取られたことにより一時神器が抜かれたと同じ状態になったんだよ。
神器を抜かれればどんなやり方でも所有者は死ぬ。君の場合神器は抜かれてないけどね。
でも一時的とはいえ機能停止したことにより君は死んでしまった」
ファウル君は長々とした説明を僕にする。なぜ僕が死んだのかは一応わかったけど……
「なんでミシェルさんはこんなことをしたんですか?」
ミシェルさんがそんなことをした理由が気になる。
「それは僕が言うことでもないし、知らなくていいことだ。また向こうに行くことがあれば彼らに聞くといいさ。
どうせ彼は世界のルールを破ったのだから生かしておけない」
ファウル君は物騒なことを言いつつも笑顔を向ける。
「次に君の正体だね。と言っても君の前世のことだ。いや、今からだと前々世だね」
僕の前々世?
「君は前々世はプロメテウスなんだ。しかもその一部ではあるが今は持っている」
ぼ、僕がプロメテウス!?
「君は特に嫌な思い出があるわけでもないのに山とハゲタカが嫌いだろ?
プロメテウスはヘパイトスの炉から火を盗み人間に火を与えた。そのせいでゼウスの怒りをかい、山に縛り付けられ、不死の体で永遠にハゲタカに生きたまま内臓をつつかれるという拷問を受けた。
だから君は山とハゲタカが嫌いなんだ」
確かに山とハゲタカが嫌い理由はなかった。
「火の才能もそれ故だよ。
今までは神と邪神の妨害でうまく使えなかったみたいだけど、生き返った後はうまく使えるようになってるはずだよ。
「それにしても誇銅君ってよく死ぬよね。今世だけで三回も死ぬなんて」
いやまあなんていうか……ん? 三回? 二回じゃなくて?
「今回と前回とライザー・フェニックスの時だよ。
どうやらプロメテウスの不死が一回分だけ残ってたみたいなんだね。
そのおかげで数時間死んで生き返ったんだ。ここには来てないから寝てたようなもんだよ。
アーシアって子の回復が完全に無駄になってたね。
まあ明らかに君よりは軽傷だった男の子を真っ先に回復させてたけどね」
……まあ過ぎたことだし。それにアーシアさんは一誠のことが好きだもんね。しょうがない。
「さあ、そろそろ行こうか?」
そう言うとファウル君の掌に光が集まってくる。光はだんだん玉状に大きくなっていく。
うわ~綺麗。
……てゆうか僕の体の光から集まってるじゃん!
なんか体が軽くなっていくと思ったら体が物理的に減ってるじゃん! ああ、だんだん意識が遠のいていく
僕の意識はそこで途絶えた。
***
家族たちはあの後、誇銅とアルセウスとルピを担いで家まで急いだ。負担をかけないように。
家に帰ると残りの力を月に譲渡して回復を急ぐ。
結果アルセウスとルピは全快とは言えないが回復した。だが誇銅は……。
「グスグス、こ、誇銅さん……」
「うわ~ん! お兄ちゃ~ん!!」
誇銅の遺体の前で月とフランはすり寄って泣く。
月は誇銅がすでに死んでいることなど公園の時点でわかっていた。しかし傷口に包帯を巻いたり神器で治そうとしていた。だがいくらやっても冷えて行く誇銅の体を感じその手を止める。
「ごめん……ごめん、誇銅君」
「クソッ! すまん、我がついておきながら……」
回復したルピとアルセウスは悔し涙を流しながら自分を責める。
自分がもっと強ければ、もっと早く気づけていれば、そんな思いに打ちひしがれる。
「……」
「……」
テトと恋はただ黙って涙を流すばかり。時折すすり泣く声が聞こえるだけ。
あまりの悲しさに声も出ないのである。
(なんでだ……なんでまたこんなことになっちまうのかよ。結局俺はただ仲間が無残に殺されたのに何もできねえのかよ!)
(……あはは、すごい! すごい絶望的! 絶望学園以来の快感! すっごいうれしい! うれしいはずなのに……なんで……笑顔になれないの……」
プロシュートと盾子は自分の過去の絶望を思い出す。
プロシュートとはこのまま怒りを直接ぶつけれたら、盾子はここで本気で喜べたらどんなに楽なのだろうと思う。
家族全員が誇銅の死を悲しみ行き場のない怒りを抱える。
「おじゃましま~す」
するとその真っ只中に真っ黒なスーツと黒い帽子をかぶったフランほどの子供が突然現れる。
ファウルである。
「だ、誰だテメェ」
半分がその子供を取り囲み、半分が誇銅を守るように立つ。
誇銅の遺体を利用しようとする輩かもしれないと警戒心を強める誇銅ファミリー。もはや遺体となってしまっている誇銅だが、彼らは誇銅を誇銅が生きていた時と同じ気持ちで誇銅を守る。
「そんな警戒しないでください、僕は誇銅君の魂を持ってきた者です。つまり誇銅君を生き返らせにきたんです」
「ほ、本当ですか!」
その言葉を聞くと月とルピは真っ先に飛びつく。
誇銅を生き返らせると聞いて真偽も確かめずに。と言うより二人の心にはそんな余裕はなかった、それは家族全員に言えることだが他はかろうじて警戒を解かない。
「はい、今回のことはこちらのミスもありました。こちらの世界の住人ではない者がこちらの重要な者に干渉するのは禁忌なのです。
我々もそれを事前に防ぐことが出来たかもしれないのになんの行動も起こしませんでした。
よって、誇銅君の魂はお返しします」
そう言うとファウルは誇銅の遺体の前まで行き、持っていた大きめの黒い鞄を開ける。すると中からはまぶしいほどの光があふれ出しファウルはそのかばんから光の正体を両手に包む。そしてそれを誇銅の胸に押し込む。
「これで魂は戻りました。しばらくすれば目を覚ますでしょう」
そう伝えるとファウルの姿は一瞬にして消える。
盾子はすぐさま誇銅の生存確認をする、すると体温が戻り心臓も動いている。それを他の家族に知らせると全員喜ぶことよりもその場で誇銅が目を覚ますのを待った。
***
目を覚ます最初に見えたものは僕を見下ろす家族たちの顔。よかった、帰ってこれたんだ。
僕がみんなに抱き着こうと思った瞬間
「「「「「「「「誇銅(さん)(君)(お兄ちゃん)!!」」」」」」」」
逆に全員から抱き着かれてしまう。まあこれでもいっか、なんかすごい幸せ。
みんな泣きながら喜んでくれる。うん、間違いない、ここが僕の帰る場所なんだ!
この時僕は本気で家族を一番に考える決心ができた。
僕も涙を流しながら必死に抱き着く。この家族の暖かさ、二度と離すもんか。
テレッテッテー、誇銅はレベルアップした。
『内なるのみの炎』は『内なる光炎』へと進化した。
『恩人に殺される』『二度目の裏切り』のクエストをクリアしたことにより、『不審』を習得。
リアスたちへの『嫌悪感』がLV2に上がった(MAX10 LV11で殺意に変化)