BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 次の目標はUA数5000としましょう! でも40話でやっとお気に入り数三ケタ……遅っ!
 誇銅がシルバーと出会う前の回想からスタート


不死鳥は死なぬ、されど生まれぬ

 シルバーの親が誰なのかわかったことでその場は一時落ち着く。

 それと同時に一誠とギャスパーは自分たちに矛先が向かなくなったことにホッとする。

 

「シルバー君、じゃああなたのお父さんの名前はこの人?」

 

 リアスは前に一度だけ撮った部員の集合写真の誇銅を指さしてシルバーに見せる。

 

「ちょっと違うけどアルバムで見たお父様とそっくり」

「どうやら間違いないようね」

 

 その場のみんなが確信する、シルバーはレイヴェルと誇銅の子供だと。

 それにより誇銅が最終的に悪魔側に戻ってくることが決定したことを内心歓喜する。

 その喜びの種類は様々だが一律として喜びという表現に間違いはないだろう。

 

「なあシルバー君、誇銅はどうやって悪魔側に戻って来たか知ってる?」

 

 一誠は誇銅が戻ってきた経由を知りたくて興味本位で聞く。

 

「う~ん、わかんない」

「そっか」

「お父様は前の王様にとっても感謝してるってよく言ってました。

 役に立たなかった自分を見捨てないでくれたって」

 

 その時はその場の悪魔たちは特に反応は見せなかった。

 そしてそれから特に目新しい話もなく話が進み、アザゼルが装置の修理と改造を行い、シルバーはその時までフェニックス家で預かることとなった。そして父親である誇銅をしばらく一緒にしてあげるという案が本人の許可なく勝手に採用された瞬間でもある。

 シルバーはその後フェニックス卿に連れられて奥へ連れて行かれた。フェニックス卿は『孫ができたー!』と奥から聞こえてくる。そしてリアスは一誠とギャスパーを連れて帰った。

 だがアザゼルだけはその場に残ってレイヴェルを呼び止める。

 

「なんですか、私もシルバー君のことで少々混乱していますので」

 

 レイヴェルは顔を赤らめてちょっと嬉しそうに言う。

 だがアザゼルは静かに残念そうな表情をする。

 

「もしかしたら……シルバー・フェニックスは生まれてこない可能性がある」

 

 不意にそんなことを言われたレイヴェルは『へ?』といった表情に変わる。

 それでもアザゼルは話を続ける。

 

「リアスから聞いていた誇銅のことと、今聞いたことにちょっと気になる矛盾があってな、もしかしたらシルバー・フェニックスはもう生まれなくなってしまった子供かもしれない」

「……む、矛盾とと言うのは……?」

「それはちょっとややこしいから今は省略させてもらう。

 そこでお前さんに一つ頼みたいことがある、今回のことで誇銅をなんとか落としてほしい」

「は?」

「別に付き合えと言ってるわけじゃない、ただ誇銅の心をこっち側にできるだけ傾けてほしい。

 別にお前が何もしなくても誇銅は子供を意識すると思うがそこをさらに意識するようにしてくれ」

「そ、そんなだますようなこと私にしろと!」

「これは三大勢力の未来のためでもある。誇銅のあの力は敵に渡ると厄介すぎる、だから何としてもこっち側に引き入れなくてはならない」

 

 アザゼルは力強く言う。それにレイヴェルは何も言えなかった。

 

「これは魔王からの命令でもある。頼むぞ」

 

 そう言ってアザゼルも部屋から出て行く。

 そこには一人残されたレイヴェル・フェニックスのみ。

 

 

 

      ***

 

 

「と言うことがあったのです」

「そうだったんですか……」

 

 僕はレイヴェルさんの話を聞いて今自分がどういった立場にされているのかを少し理解した。

 向こうからすれば僕はそこまで魅力的な人材、いや魅力的なのは『救世の神薬』の方だろう。

 必要とされることは少しうれしいけど僕は今の家族との生活を捨てる気なんてさらさらない。

 

「本当に申し訳ありませんでした」

 

 レイヴェルさんが僕に向かって深々と頭を下げる。

 レイヴェルさん! そんな謝ってもらわなくても! 

 僕は頭を下げるレイヴェルさんを止めたかったけどシルバー君をひざまくらした状態でできない。

 

「そんな、レイヴェルさんは何も悪く…」

「いえ、断らなかった私にも責任はあります。

 本当に申し訳ありません」

「いえいえ、大丈夫です。それに真実を教えてくれたレイヴェルさんには感謝しています」

 

 謝るレイヴェルさんがなんだが痛々しく見える。

 

「ありがとうございます。

 そこで一つお願いがあるのですが…」

「なんでしょう?」

「今夜、私と誇銅さんとシルバー君の三人で……そ、そ、添い寝をしてほしいのです!」

 

 レイヴェルさんの突拍子もないお願いに僕はどう反応したらいいかわからないでいた。

 え? どういうこと? なんで?

 

「図々しいお願いと言うことは承知しています!

 ですが生まれないとは言え私たちの子供、ですから少しでも親らしいことをしてあげたいのです。

 ですから……ごにょごにょ」

 

 レイヴェルさんは一層顔を赤くさせて俯いてしまう。

 まあ確かにシルバー君は添い寝してほしいって言ってたもんね。

 そりゃ僕も親らしいことをしてあげたいと思うよ。でも……

 

「……いいんですか?」

「はい……」

 

 いいんですか?の意味がちゃんと伝わってるかよくわかんないけど追及するのも恥ずかしいからこのままでいいや。

 

「わかりました、では今晩」

「はい、では私の部屋で」

「! だ、駄目ですよ! 嫁入り前の女性が好きでもない男を夜部屋に入れて添い寝なんて!」

「で、でも今日はシルバー君は私の部屋で…」

「ダメです!」

「うみゅ……」

 

 レイヴェルさんと言い合いをしているとシルバー君が起きてしまった。

 

「シルバー、起こしちゃった?」

「大丈夫です、お父様、お母様」

 

 シルバー君は目をこすりながら本格的に目を覚ます。

 そしてシルバー君がきちんと目を覚ました頃に恋が学校から帰ってくる。その時に月とルピ君もついてきていてしばらく大騒ぎとなっちゃった。

 

「誇銅さん! 大丈夫でしたか? 何されていませんか? 具体的にはいじめられたり、洗脳されたり!」

「盾姉さんとプロシュート兄さんとアルセウスさんは心配ないって言ってたけどやっぱり僕たちは心配だよ!」

「月、ルピ君、心配してくれるのはうれしいし僕は大丈夫だよ。それに恋もついてるし。

 だから心配しないで。いざとなったらいつでも連絡するから」

「「うん!」」

 

 それから月とルピ君はなかなか帰ろうとせず泊まっていく勢いだったけどちゃんと帰った。

 多分今晩レイヴェルさんとシルバー君と添い寝すると知ったら帰らなかったと何となく思う。

 

 

 そして夜になってレイヴェルさんとの約束を果たす時間になった。

 いつも表情を表に出さない恋がすごい不機嫌な表情になったのが気になる。まあ心配してくれてるんだろう。

 添い寝の話を聞くとシルバー君は大喜び。だけど他の人には内緒にしてね、後が怖いから。

 

「みゅみゅ、あったかくて気持ちいです~」

 

 シルバー君は僕とレイヴェルさんの間に挟まれる形で寝ている。

 幸せそうなシルバー君の寝顔を見ているとこんな未来も悪くないと心の奥底で思える。

 シルバー君は僕とレイヴェルさんに撫でられながらゆっくりと夢の世界へ落ちて行く。

 

「……誇銅さん、ありがとうございました」

「いえいえ、僕も父親になった気分を味わうことができました」

 

 本当に子どもっていいな。僕の両親もこんな気持ちだったのかな。

 

「では、おやすみなさい、あなた」

「///!」

 

 レイヴェルさんの突然の夫扱いに戸惑う僕、でもその声からは確かな照れが感じられた。だから僕もちょっと意地悪したくなっちゃった。

 

「うん、おやすみ、“レイヴェル”」

「///!」

 

 ふふ、お返し。

 そうして僕たちも夢の中へ。

 

 眠っていると時僕は変な夢を見た。

 僕は虹色に輝く空間に一人いた。そしてずっと奥の方には真っ黒な空間がポツンと開いておりそこにはシルバー君が後ろを向いてそこにいた。

 僕はシルバー君のところへ行こうと走り出すがいくら走っても全然距離が縮まらない。

 シルバー君は後ろを向いたまま暗闇の奥へ歩き出し始めてた。僕は必死に声を出そうとするが声が出ない。それでも僕は走りながら声を出し続けた。

 するとシルバー君がピタッと止まってこっちを振り返った。そしてすぐにまた後ろを向いて歩きだして姿が見えなくなってしまう。僕はシルバー君の姿が見えなくなるまで走った、けれどとうとう追いつけなかった。

 だがシルバー君がこっちを向いた時、声は聞こえなかったけどシルバー君が『ばいばい』と言った気がした。

 そして『グギュグバァッ!!!』という声と共に目を覚ました。

 

 目を覚ますとそこにはシルバー君の姿はない。

 僕はすぐさまレイヴェルさんを起こしてシルバー君を探した。

 フェニックス家の人たちや恋にも手伝ってもらったけどとうとうシルバー君は見つけられなかった。

 僕とレイヴェルさんは一度レイヴェルさんの部屋に戻る。何か手がかりがあるかもしれないから。

 するとレイヴェルさんが僕に話しかけた、

 

「誇銅さん、実は私奇妙な夢を見たのです。

 私は虹色に輝く空間に一人いて。そしてずっと奥の方には真っ黒な空間がポツンと開いて、そこにはシルバー君が後ろを向いてそこにいたのです。

 私はシルバー君のところへ行こうと走り出しましたがいくら走っても全然距離が縮まりませんでした。

 シルバー君は後ろを向いたまま暗闇の奥へ歩き出し始めて私は必死に声を出そうとするが声が出ませんでした。それでも私は走りながら声を出し続けました。

 するとシルバー君がピタッと止まってこっちを振り返ったのですが、すぐにまた後ろを向いて歩きだして姿が見えなくなってしまったのです。私はシルバー君の姿が見えなくなるまで走りました、けれどとうとう追いつけませんでした。

 けれどシルバー君がこっちを向いた時、声は聞こえなかったけどシルバー君が『ばいばい』と言った気がしました。

 そして大きな龍のような声が聞こえました」

 

 僕が見た夢と同じだ。

 僕はレイヴェルさんに同じ夢を見たことを話す。すると僕たちはシルバー君が元の世界に帰ったことを悟り探索をやめました。もちろん探してくれた人たちにきちんとお礼を言って。事情は多分言っても信じてもらえないと思うのであやふやにしておいたよ。

 僕と恋はその日のうちにレイヴェルさんのご家族に挨拶を済まして帰りました。

 しかしあの声はなんだったのだろう?




 金の髪を持つ母親と、銅の名を持つ父親から、銀の髪と名をもらった不死鳥。
 だがその不死鳥は既に生まれることなし。
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