シルバー君が未来に帰ったことにより僕の役目も終わり僕と恋はやっと家に帰ることができた。
まあ拘束期間はたった二日間だけどね。
僕はまだ公欠扱いになってるし恋はあらかじめ休んでいたから今日は家にいる。
ちなみに家にはプロシュート兄貴、盾姉、フラン、テト姉、アルセウスさんがいる。月とルピ君は普通に学校。
僕たちが家に帰ると家族たちが出迎えてくれるが、
「おかえり、お兄ちゃん! 恋お姉ちゃん!」
「おかえり~! 誇銅、恋」
「ただいま、フラン、テト姉」
「ただいま」
明るく出迎えてくれるテト姉とフラン。
リビングに行くと盾姉とプロシュート兄貴がいた。
「おかえり、何かお土産とかある?」
「お土産は無くてもいいが何か問題とかなかったか? それとおかえり」
盾姉とプロシュート兄貴はちょっとおふざけ気味でおかえりと言ってくれる。
いつもの日常に戻れたこの感じがうれしく感じる。
「察するに月やルピが心配していたような事態は起こらんかったようだな」
「アルセウスさん、ただいまー」
「ただいま」
「うむ、おかえり誇銅、恋」
後ろからアルセウスさんの声がした。アルセウスさんの子を信頼するかのようなプレッシャーが僕にはとても心地いい。
これで今家にいる家族全員に挨拶は終わったね。後は月とルピ君が帰ってくるのを待つだけ。
それまで家族たちとゆっくりおしゃべりでもしてようかな。
「じゃああたしこれからちょっと出かけるから、晩御飯までには帰る」
「じゃあ俺もそろそろ行くわ。アルセウス頼む」
「うむ、わかっておる。誇銅、我とプロシュートも晩飯までには戻る」
そう言って盾姉とプロシュート兄貴とアルセウスさんはリビングを出る。
じゃあフランと遊ぼうかな。
「……誇ど…」
ピンポ~ン
家のチャイムの音が鳴る。誰だろう?
インターホンを見てみると見知った人が一人。見知ったと言っても僕はあんまり関わりないんだけどね。確か名前は……呂布…違う、劉備? 違う、孫策? 違う……あっ曹操だ! 曹操さんだ!
多分本名は違うと思うけど知らない。
「恋、曹操さんが来てるよ」
「……ん」
恋に用があると思うからとりあえず恋に変わる。
恋はインターホンには出ずに直接玄関まで行く、興味があるのかフランもなぜかついて行った。
そして戻ってくると、
「ちょっと行ってくる」
「フランも行ってくる~!」
「晩御飯までには帰って来てね」
「(コク)」
「うん!」
恋とフランはそのままリビングから出て行く。
「早く行こ!」
「……」
恋はなぜかめんどくさそうな顔をしている。それに対してフランは大はしゃぎ。
「二人になっちゃったね」
「そうですね」
リビングに、と言うかこの家に残ったのは僕とテト姉だけになってしまった。
「ねえ、向こうでのことよかったら聞かせてほしいな」
「大丈夫ですよ、では何か飲み物でも入れますよ」
「僕は紅茶がいいな」
僕は紅茶を二人分作るとテト姉にフェニックス家でのことを話した。
フェニックス家で感じた気まずいことや、シルバー君とレイヴェルさんを通して感じた子供を持つ喜びを話す。
それを聞くテト姉は興味津々と言った様子で間間に相槌や感想を入れる。それによって話してる方の僕も話し甲斐がとってもあって話しやすかった。でもそれによって話すつもりのなかったことも話してしまったのはまずかったよ、主にレイヴェルさんとシルバー君との添い寝の時に感じたこと。恥ずかしい。
そして話は最後の変な夢についてのことも話し終えた。
「へ~不思議なことだね、でもちょっとドラマチックで素敵でもあるね」
「まあ不思議なことだったけどシルバー君が無事に帰れたならよかったよ」
テト姉にフェニックス家での出来事を話している最中僕の中にはあることがずっと浮かんでいた。
今までずっと隠してきた思い、明かそうにも恥ずかしくてずっと言えなかったこと。
「ねえテト姉」
「ん?」
「実は……」
フェニックス家での出来事で真剣に思い悩めた今、この絶好のチャンスの今なら言える!
「初めて会った時からずっとテト姉のことが好きだったんだ!」
「……え///」
テト姉への恋心を!
「初めて会った時に言ったこと覚えてる?」
「え、え~と……///」
「あなたに僕の傍で歌ってほしい、です。
あれは僕なりの告白でもあったのです。が、やっぱりそう受け取ってもらえなかったみたいですね。
それ以降全然勇気が出ずに今の今まで引き延ばしにしていましたが、今こそ言います!
テト姉、僕はあなたを一人の女性として好きです///!!」
「!!」
ついに言っちゃった、僕の気持ち。
だけどこれだけの好条件がそろったんだ僕はもう言わずにはいられない!
「あ……その……えと……んー……」
テト姉さんは顔を真っ赤にしてあたふたする。その姿はとってもかわいらしい。
そして俯いてしばらくすると、真っ赤になった顔を落ち着かせて僕の目を見て口を開く。
「……誇銅、告白とっても嬉しかった。
僕も誇銅のことを男としても好きだよ」
「それじゃ!」
「でも! 同時に弟して、家族としても大好きなの。だから誇銅には幸せになってもらいたい。私にはそれができない……。だって……」
テト姉さんが何を言おうとしてるか想像がつく。だけど僕はそれでもかまわない!
「だって、僕は正確には“女”じゃないから。誇銅を女として幸せを与えることはできない」
「知っています、それでも構いません! 僕はテト姉が好きなんです!」
「ダメ! 僕は誇銅を彼女として幸せにしてあげる自信がない!」
「そ、それでも……」
テト姉の強い拒絶。だけどそれが拒絶材料なのだとしたら僕は引かない、だってそれは元から覚悟の上だから。
するとテト姉はさっきまでのつらそうな表情からニッコリと微笑みを僕に見せてくれる。
「テトはアイドルなの、だから彼氏はファンのみんなだよ」
そう言ってテト姉は僕の唇にキスをする。
僕は一瞬何が起こったか認識できなかった。
だが理解すると僕の中から何とも言えない気持ちが湧き上がってきた。
「ファン第一号の誇銅には特典として僕のファーストキスをあげちゃう」
「え……あ……」
「大好きだよ、ファンとして家族として、そして一線を越えたい弟として」
そう言ってテト姉はリビングから出て行った。
後に残ったのは空のカップが二つと放心状態の僕だけ。だけど僕の中には熱い幸せ満ち、ドキドキが収まらないでいた。
***
「「ただいま」」
どれほど時間が経ったかわからないけど玄関の方から月とルピ君の声がして僕は我に返った。
ドキドキで時間の感覚なんてなくなってたよ。こ
僕はとりあえずそのことは置いといて玄関へ向かう。
「おかえり、月、ルピ君」
「誇銅さん!」
「誇銅君!」
「ふふ、ただい……うわっ!」
僕がただいまと言う前にルピ君の勢いのある抱き着きが僕を襲う。
「誇銅く~ん」
「ルピさん! 誇銅さんが困ってるじゃないですか!
でも誇銅さん無事でよかったです。盾子姉さんとプロシュート兄さんとアルセウスさんは心配ないなんて言ってましたが私たちはもう心配で心配で…」
月はルピ君を無理矢理はがそうとすると思いきや僕の右腕を抱き込む。
「でもなんでこんなに早く帰ってこれたの?」
「それはね…」
僕は月とルピ君にテト姉と話したことと同じようなことを二人にも話した。
「へ~なるほどね」
「じゃあ盾子姉さんの予想は当たってたんですね」
「盾姉の予想?」
「はい、盾子姉さんは『その子供は既に生まれない子供だろうから大丈夫』と、そう言ってました」
盾姉すごい!
「それとプロシュート兄さんもいろいろ難しいこと言ってたけど僕たちはずっと心配したんだよ。
あー誇銅君の匂いはやっぱり最高だよ、スーハークンカクンカ」
「ルピさん、何をしてるんですか!?」
「まあまあ」
「「あう~」」
二人を落ち着かせようと二人の頭を撫でたらすぐに落ち着いた。
でもルピ君はちょっとした禁断症状みたいなものが出ちゃってるけど。抱き着いて僕の匂いを一生懸命嗅いでいる。
それから僕は月と夕食の買い物に行った。ルピ君も行きたい言っていたけど月とのじゃんけんで負けて留守番している。
買い物から帰ると恋とフランもすでに帰っていた。
「お兄ちゃん、おかえりー!」
「ただいまフラン」
フランがタックルで出迎えてくれる。
このはしゃぎようはどうやらいっぱい遊べたらしい。
「いっぱい遊べた?」
「うん! あのね、フランがバーンとしたら曹操はガーット避けてね全部避けちゃったの。
でも終わったらいっぱい汗かいてしばらく動かなくなっちゃったの」
曹操さんも必死に避けたんだろな……。
フランは普段は僕たちが相手だから未だに加減がよくわかってない部分があるしよく忘れる。
曹操さんありがとうございました。
「それからね、恋お姉ちゃんも曹操の事ドカンって倒しちゃったの」
ドカン……え? 素手?
そんなことを思いつつも夕食の支度を始める。夕食の支度をしていると盾姉、プロシュート兄貴、アルセウスさんも帰ってきた。
僕はなんでシルバー君がもう生まれない子供ってわかったのか聞いてみた。
「あんたの子に質問したの。『私たちを知ってる?』って。で、帰ってきた答えが知らないだったからよ」
確かに僕が今の家族のことを自分の子供に教えないのはおかしい。そうなると始めから出会ってないってのが考えられる。
そうなると分疑点はあの会合の時以外考えられない。説明は大まかにこんな感じだった。
なるほど、確かにそうなるね。でもそこまで僕の家族愛が強いと信じてくれてうれしいな。
そしてみんなそろって夕食を食べた。家族と食べるごはんはやっぱり最高だよ、変な気まずさもないし。それに今家族と一緒に暮らしてるってすごく感じる。
夕食後はいつも通りみんな各々自由に寝るまでの時間を過ごす。
「誇銅、これからかわいい動物番組始まるけど一緒に見る?」
「うん見る見る!」
僕はテト姉に誘われて一緒にテレビを見る。
僕はつい数時間前にテト姉に告白をして断られた。でも不思議とテト姉を前にしても緊張はしなかった。
テト姉を思う気持ちはみじんも変わらないのに。それにテト姉もいつもと同じように接してくれる。お互いあんなことがあったのに何も変わらない日常を送れている。気持ちの疑問点はいっぱいあるけど、僕の軽率な発言で幸せが失われることが無くてよかった。
「可愛かったね」
「そうだね」
テレビを見終わった時には周りには僕たち以外の家族たちは周りにはいない。
ここでこの不思議の訳をテト姉に聞いてみるという手段もありかもしれないけどもうそんなのはどうでもいい。この幸せが続けば。
「僕も部屋に戻ろうかな」
「じゃあ僕は残りの洗い物をちゃっちゃっと洗らっちゃおうかな」
「ご苦労様」チュッ
「!!」
テト姉はそう言って僕の額にキスをした。今まではそんなことしなかったのに。
「誇銅さん、テト姉さん、お風呂空きましたよ」
「じゃあ次僕が入らせてもらうね」
月がお風呂が空いたことを知らせてくれるとテト姉はそのままリビングを出て行った。
「……誇銅さん、テト姉さんと何かありました?」
月は僕の顔を見て不思議なことを聞く。
「え、どうして?」
「なんだかテト姉さんと誇銅さんが姉弟に見えたもので。
いえ、今まで姉弟として見えなかったわけじゃないですよ、ただいつも以上にそう見えたので」
「……さあ、僕にはさっぱりわからないよ」
「まあ別に悪いことではありませんし大丈夫ですよね」
月がそう見えた明確な理由は説明できそうもない。
でも、なんで僕の気持ちが変わってないのに緊張しないのかが何となくわかった気がする。
どうやら僕はテト姉を女性とではなく今度は姉として愛してるんだ。姉として愛すること言うことは前とは似て非なる愛、それは一人の男としてではなく一人の家族として傍にいたいと思ってるから。
たぶんテト姉も僕の告白を受けてもなお姉として受け止めたことで僕を弟として再確認したんだろう。だから僕の額にキスをしてくれたんだと思う。
その後僕はお風呂に入って寝る準備をする。さて、おやすみ~。
そして僕がいざ寝ようとした時、突如僕の部屋のドアがバラバラに切り裂かれた。え! なに、なに!?
「……誇銅……」
「れ、恋……」
ドアを壊した犯人は恋、なせ斬った!?
まあドアは後で神器で直すとして
「どうしたの……?」
「……昨日、誇銅が他の人と一緒に寝てすごくもやもやした。
……だから……今夜は誇銅と一緒にいたい」
恋がなんで僕の部屋に突撃してきたのかはわからない。
でも、恋が本当に武力も最強で、思い切りの強さも最強だってことは理解できるよ。
「……いいよ、一緒に寝よ」
それにこの恋を見て断れそうもないしね。
恋は僕をお姫様抱っこで持ち上げて僕のベットへ行く。
お姫様抱っこはやめて、僕の男としてのちっぽけな何かが壊れていくから。
「恋、降ろしてほしいんだけど……」
チュッ!
僕が喋るのを止めるかのように恋が僕の唇にキスをした。
「な、なななななにを……!?」
「……誇銅、大好き、……どっかいっちゃやだ」
この後むちゃくちゃ抱かれた。
がんばれ、曹操!
フラン「アハハハハハ、すぐに壊れちゃだめだよ!」
曹操「ちょ呂布この吸血鬼なんか変なスイッチ入ってない?」
恋「……」
曹操「なんか言ってよ!」
フラン「よそ見なんてしてたらすぐにピチュっちゃうよ? コンティニューなんてできないからね!」
この後、フランが満足するまで逃げ続けた曹操。
***
曹操「さあ、体力も回復したし次は呂布、お前の番だ!」
恋「……」
曹操「……呂布、武器は…グフッ! ちょグーパンチって…」
恋「……」
曹操「そんな無言で拳を振り上げるな! もしかして機嫌悪い? グハッッ!!」
この後、むちゃくちゃ殴られた。