BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 すいません、少々遅れました。
 予約投稿が仮止めの方になってまして……。


千変万化の技

 部屋に荷物を置いて出入り口で恋たちを待っていると僕たちより数分遅れて月と恋がやって来た。

 

「お待たせしました。すいません遅くなってしまい」

「大丈夫だよ、僕たちも今来たばかりだし」

 

 そして僕とルピ君と恋と月の四人班で京都の町に乗り出す。慣れない土地なので下調べは一応してきたけどやっぱり迷っちゃったよ。

 でもその迷った時間も決して無駄じゃなかった。

 決して名所ばかりが見どころではないからね。

 そうして僕たちもきちんと名所を回り始めた。

 

「見てください、珍しいお菓子が売ってますよ」

「……おいしそう」

「まだお菓子系のお土産を買うのは早いよ。最終日に大きなお土産屋さんがあるところに行くからそこでね」

「はい!」

 

 そう言って僕たちは次に行こうとするが恋がなかなか動こうとしてくれない。

 

「……恋、次の場所にはおいしい甘味屋があるよ」

「……(コク)」

 

 そう言うと恋はやっと動いてくれた。

 でも懐かしいな。確かあの時もお土産を見ていた時。僕は修学旅行で家族へのお土産を考えてたら班の人に置いて行かれちゃった時、その地域の不良に僕は絡まれた。

 ちなみに不良は全員女性でその人たちは何だか怪しい目で舌なめずりをしていた。

 あの時は自分がこれからどんな目にあわされるのか怖くて声も出なかったっけ。そこで僕を助けてくれたのが同じ班の僕を探しに来てくれた(みつる)さん(女性)。

 男勝りな性格の(みつる)さんは既に大人の人を呼んだとハッタリをかまして僕を助けてくれた。

 今でもあの時(みつる)さんが助けてくれなかったらどんなトラウマを残してしまってたか考えるとぞっとするよ。ありがとう、(みつる)さん。

 今では違う学校になっちゃってるけどね。ちなみに僕はこんな見た目と性格だから(みつる)さんによくお世話になることが多くて学校内では狼と仔犬って呼ばれたりもしたね。

 

 そうやって観光しながら名所めぐりをしていると意外な人に出会う。

 名前はえ~と……!

 

「張角さん!」

「曹操だ!」

 

 いっけない、間違えちゃった。テヘ♪

 あてずっぽうで言ってみたけどやっぱり間違いだったよ。

 

「なんでそんな序盤で消えたマイナーなキャラと間違えるんだよ! 間違えるにしてももっと有名どころで間違えようよ! 俺って三国志でかなりメインキャラだから」

「はーい、孫策さん」

「だから曹操だ!」

 

 反応が面白いからついつい二回目はからかっちゃった。

 

「曹操さんはどうしてここに?」

「ん? まあちょっとな。

 それよりお前たちはなんでここに……あっそうか、お前たちもあいつ等と同じ学校だったか」

 

 あいつ等? 誰の事言ってるんだろう?

 それより曹操さんはなんでここにいるんだろ? お茶を濁されたあたり聞きづらいから聞かないけどちょっと気になる。

 曹操さんの見た目年齢からして大学の友達と観光とかかな?

 

「誇銅君、誰?」

 

 ルピ君が僕に曹操さんのことを聞く。

 ルピ君は曹操さんと初対面だからね。

 

「曹操さんは時々恋の鍛錬の相手をしてくれてる人だよ。

 曹操さん、ルピ君は僕の家族の一人です」

「ルピ・アンテノール。よろしくね」

「曹操だ。こちらこそよろしく」

 

 二人の挨拶が終わると曹操さんはこれから予定があるとのことで行ってしまう。

 

「さようなら劉表さん」

「曹操だッ! まったくなんて日だ!」

 

 修学旅行でテンションが上がっちゃって調子乗っちゃった。

 曹操さんが去ると僕たちも観光を続ける。

 そして八坂神社の人通りの少ない場所を観光していると何だか周りの空気が急に変わるのを感じる。誰かに見られてるように。

 

「ねえねえ、これってお姉さんの仕業?」

 

 ルピ君が急に振り向いて話しかける。

 ルピ君の後ろは僕だけしかいないけどその目線は僕に向けられていない。

 僕も後ろを振り返るとそこには、黒いスーツ姿の一誠が好きそうなスタイルの大柄で美人なお姉さんが灯籠にもたれかかりながらこっちを見ていた。

 見た目は普通の人間だが明らかに一か所人間であることを否定する部分がある。

 

「頭のあれって……」

「……角」

 

 月と恋が言ってくれたようにその頭には角が生えている。

 

「何か僕たちに御用でしょうか?」

「いやな今京都ではちょっとした問題が起こっていて、怪しい奴には警戒してんだ。

 そんでそこの君は隠してるみたいだけど人間じゃないでしょ」

 

 女性はルピ君を指さして言う。

 ルピ君が人間じゃないことを見破った人はミシェルさん以外見たことないのに。

 

「よくわかったね」

「オレの目は誤魔化されねえよ。

 そんで、明らかに怪しそうだったんでしばらく監視させてもらった。でも、どうやら危険はないみたいだな。オレの勘がそう言ってる」

 

 勝手に話しか進んでるけど何の話かちっともわからない。でも巻き込まれるよりずっといいから別に詳しく聞かないけどね。

 それよりさっきからこのお姉さん僕をずっと見てくる。ルピ君と話してる時も僕から目線を外さない。

 しかも一誠が女性の胸を見るようないやらしい目で見てくる。しかも今舌なめずりした。ものすごく怖い。

 僕は一番近くにいるルピ君の後ろに隠れる。

 女性の目線に気づいたのか月が僕の傍に来てくれる。なんかちょっと安心する。

 

「あらあら、怖がっちゃってかわいい……ん?」

 

 女性の傍に一匹の狐が寄っていく。

 すると女性はしゃがんで狐の方を見る。

 

「ふんふん……あーどうせ九重のお嬢ちゃんの早とちりとかじゃねーの? まあすぐ行くわ。

 じゃあな、京都をたっぷり堪能してくれ」

 

 女性がそう言うと突如女性の周りに黒い煙が漂う。そして煙が消えると女性も狐も消えていた。

 まあ敵意とかは感じなかったし話の様子じゃよくわからない誤解も解けた感じになってたからもう大丈夫かな。

 でもそれ以降特に変わったこともなく普通に観光を楽しむことができた。

 初めて見るものや写真では味わえない生の感動を堪能してホテルへ戻る。

 

 初日の夜の食事では豪華な京都料理。繊細な味がとてもおいしい。湯豆腐も今まで食べた湯豆腐とは何だか一味違う。

 月は料理を食べながら何かをメモしていたから何をメモしてるのか聞いてみると、

 

「ここの料理を少し参考にしてみようと思いまして。皆さんにもおいしい料理を食べてもらいたいですから」

 

 月の優しい向上心に感動しちゃった。

 

 食事が終わると僕たちは僕とルピ君の部屋で明日の確認を軽くし、持ってきたトランプでしばらく遊ぶ。しばらくして月と恋はお風呂の時間になったので一旦席を外す。

 まずは女子からだから時間が来るまでルピ君とトランプUNOの続きをする。

 だけどやっている途中、なんだか魔力の衝突を感じる。しかも場所的に大浴場に近い場所!

 

「ねえルピ君!」

「大丈夫、侵入者とかではないよ」

 

 ルピ君のその一言で僕は確信する。一誠か。

 多分一誠の覗きを誰かが止めてるんだろう。でも一誠はもう人間じゃないからちょっとした戦闘になってると。

 僕は気にするのをやめてトランプの続きをすることに。

 その後なぜか非常階段の修理をさせられた。僕なら一瞬で終わるけど僕に頼まないでほしい。

 

 

 

      ***

 

 

 

 曹操と誇銅たちと出会うちょっと前。

 曹操は京都の陰陽師の一人をスカウトに来ていた。

 

「それで、私に何の用アルね」

「単刀直入に言おう。俺たちの仲間にならないか」

 

 曹操は部下たちの力を借りて陰陽師のテリトリーに侵入して目的の陰陽師だけと接触しようと試みる。

 そしてその作戦が成功し目的の交渉へこぎつけた。

 

「なんで私アルか?」

「君は錬丹術と陰陽術、そして君の祖先が編み出したその二つを複合した技を持つ天才と呼ばれている」

「天才なんかじゃないアルね。これは私の努力の結晶アルよ。ただ人より努力しただけのことアルね」

「そう、それだ!」

 

 曹操は自分の期待通りの人材であったことを喜ぶ。

 曹操のテンションが上がったとしても彼女は冷静なまま静かに曹操を見極める。

 

「君が根っからの人間であることが魅力的なんだ!

 君の力が人外を倒す力がありながら人間の力そのものであることが!」

「何が言いたいアルのかさっぱりアルよ」

「君がどんな努力をしてきたか俺に教えてくれないか?

 そして俺の心を聞いてほしい。これで」

「っ!」

 

 曹操は『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を見せる。力は抑え込めてるのでまだ周りに気づかれてはいない。

 彼女もその槍の真価までは気づけてはいないが強力な神器であることは見抜いた。そして曹操の思いも。

 彼女は立ち上がって外へ出て行こうとする。

 

「ついてくるアルね。ちょうどいい場所がアルよ」

 

 そう言って彼女はどこかへ歩いて行く。そして曹操もその後をついて行く。

 そうしてついた場所は敷地内の武道場。

 彼女は入り口の横にある札を『使用中』に変えると中に入る。

 曹操も中に入るとドアをしっかり締めて鍵をかけると曹操と反対側のやや離れた場所に立つ。

 

「ここは私たちが試合や術の練習をするばしょアル。

 この中なら外に力が漏れる心配がなく、ドアを閉めると結界が発動して中の気配もわからないアルね。

 ここなら暴れても誰にも迷惑はかからないアルし、誰にもばれないアル」

 

 彼女は戦闘の構えを取る。

 だがその構えは術者のような構えではなくまるで中国拳法のような構えである。

 

「なるほど。お気遣い感謝する!」

 

 曹操も再び『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を出して構える。

 

「いざ尋常に!」

「勝負アル!」

 

 まず最初にしかけたのは曹操の方。

 『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を下段に構えて自分の間合いに入ろうとした。

 だがしかし相手も自分に近づいてきたた。

 

「アチョ!」

 

 彼女は蹴りで曹操の槍術に対抗する。

 普通陰陽師は自分から積極的に戦うことはしない。自分で戦うとしても柔術が基本。しかし彼女は真っ向から体術で攻撃を仕掛ける。

 その情報を事前に知っていた曹操だが実際目の当たりにするとやはり驚愕する。

 

「自分の気脈を知り、その流れを操る。これが私流の錬丹術アルね!」

「つまり肉体強化ってことか」

「まあ平たく言えばそうアルね」

「ならこれでどうだ!」

 

 すると今度は曹操が黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)で光の球体を作り出しそれを遠距離攻撃として発射する。

 

「はっ! ふっ!」

「そこだ!」

「覇ァー!!」

 

 曹操の相手の隙をついた攻撃もたやすく返されてしまう。

 しかし彼女は光弾の対処もしなくてはならないため曹操が有利であることは変わらない。

 そこで曹操は積極的に攻撃を仕掛けるために彼女に接近するが、

 

「掛かったアルね! ヒエー旋風脚ーッ!!」

 

 彼女は曹操が自分の間合いに入ってきた瞬間激しい回し蹴りで周りの光弾ごと曹操を攻撃する。

 

「仕留めきれなかったアルか」

「なるほど、わざと相手の有利を残しておいて俺を誘ったか。

 呂布との稽古が無かったら少なくとも完全には防げなかったな」

「ハァー!」

 

 彼女は今度は懐から札を取り出して曹操の『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』めがけて放つ。

 曹操はそれをわかっていながら普段から『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の性能から『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』でガードする癖が出てしまい札は『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』に張り付いてしまう。

 

「これは封印かな?」

「式神を使役することや、妖怪を封じることだけが陰陽術ではないアル。封じることもまた陰陽術の極意アルっ」

 

 曹操は一応封印をはがそうと力技で試みるが、

 

「どうやら、すぐってわけにはいかないようだな」

 

 簡単に突破できるほど軟な封印じゃないため力技でも突破できないこともないがしばらくは封じられることを悟る。

 しばらくは普通の槍として使わなくてはいけないことになる。

 幸いなことに彼女の攻撃は呂布と比べるとそこまで激しくない。十分さばけると曹操は思う。

 

 しかし彼女が急に雰囲気を変えて攻撃してきたかと思うと曹操はいつの間にか床に倒れていた。

 痛みはあるが倒れるような痛みじゃない。それでも曹操は立ち上がることができない。

 

「練丹術で体の無駄な力を無くし、攻撃した部位を陰陽術で封じるアル。

 そうすることでいつの間にか敵を倒すアル。これが胡蝶の舞アルよ」

「そうか。素晴らしい技だ。俺の負けだ」

「ありがとうございましたアル」

「ありがとうございました」

 

 彼女は曹操の部位封印を解くと最初のように曹操の話を聞く。

 

「君の努力の結晶はしかと感じた」

「こっちも君の思いを感じたアルよ。ところで私をスカウトと言っていたアルが目的はなにアルか?」

「ああ、俺たちは人間の力でどこまでのことができるかやってみたいんだ」

 

 曹操は自分たちのことを全て話した。

 自分たちの思想、自分たちの目的、そして自分たちが『禍の団』と言うテロ組織の一員でもあることを。

 

「なるほど。しかしスカウトの話は断らせてもらうアル。

 私にはそんな大それた思いのためだけに動けないアル」

「そうか。もし気が変わったらいつでも来い」

「その時はお邪魔させてもらうアルよ」

 

 そう言って彼女は曹操を敷地の出口まで見送る。

 

「あっどうだ曹操。最近京の流れが乱れておるのだが何か知らないアルか?」

「ああ、それは俺たちのせいだな」

「そうアルか」

 

 彼女はそう一言だけ聞いて何も聞かない。

 

「……聞かなくていいのか?」

「最初から何となくわかってたアル。

 だから正々堂々を装って捕えようと思ってたアル」

「そうだったのか……」

「でも手合せしてわかったアル。お前は決して悪ではないアルと。だからお前を信じるアル」

「ありがとう。青娥」

 

 ツリ目と生え際から伸びた弁髪のような三つ編みが特徴の女の子は曹操を見送ると敷地内へと戻った。

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