BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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誇銅ラバーズ

 次の日、誇銅はご機嫌な様子で家を出た。

 いつもより気合を入れておしゃれをして忘れ物はないか入念に確認して家をでる誇銅。

 誇銅は案外自分が幼い外見をしているのをよくわかっている。だからいつもは幼く見られないような服装を心掛けているが、今日はその幼さとよくマッチした服装をしている。

 しかも誇銅の機嫌がいいせいもあってその姿は同人誌から飛び出したかのようなかわいいショタッ子そのものであるためそう言った趣向がある人の目をくぎ付けにしながら目的地まで行っていた。

 

「満さ~ん!」

「オース、ワンコ!」

 

 しかし満と誇銅は同じ電車に乗り合わせていたため集合場所に行くまでもなかった。

 

「またですね満さん」

「そうだな、今までもアテーたちが集合場所まで行ったことねーよな」

 

 実は誇銅と満は今までもどこか集合場所を決めて遊びに行ったことはあるがいつも道中で落ち合ってしまうのである。

 

「はは、アテーたちのこういうとこ変わってねーな」

「そうですね。だけど何だか安心しました。まだ変わってないってことが」

「アテーも安心してるぜ。じゃあまずどこ行くか考えようぜ」

「そうですね」

 

 驚くことに二人ともノープランで遊びに出かけていた。だけどこれは相手がお互いだからであって普段からこうってわけではない。二人とも他の相手と遊びに行くときはある程度の計画は立てる。だけど二人の間だけは予定はその場で二人で立てる。

 二人は仲良く適当な予定を考える。あの場所はまだあるのか、あそこに行った後はどうするか、お昼はどうするかなどを考えあう。

 そんなカップルより姉弟のように見える二人をこっそりとじっと見つめる視線が五つ。

 

「むむむ~誇銅君が僕たちの知らない女の子とあんなに楽しそうに…」

「あんなに楽しそうな笑顔を異性の前でするなんて…」

「……誇銅……かわいい」

 

 五つのうち三つの視線はルピ、月、恋であった。

 昨晩から嬉しそうな様子を見せながら明日友達と遊びに行ってくると言っていたのがどうしても気になってここまで後をつけてきたのである。

 そしてそれとは別の残りの二つの視線とは

 

「誇銅さんがあんなに嬉しそうに。ギャスパーさん、あの人が誇銅さんとどういった関係かご存知ですか?」

「いいえ、僕も知りません」

 

 レイヴェルとギャスパーである。

 二人は今日の休みを利用して誇銅たちを遊びに誘おうと誇銅の家まで来ていた。

 二人とも誇銅の連絡先を知らず、知っているであろう一誠たちに聞いては悪魔の私情を挟まれて純粋に楽しむことができなくなると考えて直接家に来たのである。

 当日に誘っても予定がある場合もあるが連絡先を聞くだけでも十分価値があると考え悪魔避けの効果範囲外からインターホンを押せるように伸縮自在の棒を持って来た。

 そしていつもよりおしゃれをした誇銅を見かけて気になったので後をつけた。

 

「とりあえずいつも通りぶらぶら歩きましょうか」

「そうだな」

 

 誇銅と満はお互い予定を考えることを放棄して出たとこ勝負に切り替えた。

 そしてとりあえず電車を降りて本来の集合場所まで行くことに。

 そこから二人は五人の追跡者、正確には三人と二人の追跡者に後をつけられながらぶらぶら歩き始めた二人はまず服屋に入っていった

 

「なあなあ、これなんてどうだ?」

「とってもいいと思います! じゃあこれはどうですか?」

「流石ワンコ。いいの持ってくるじゃね~か」

 

 二人はお互い持って来た服を見せ合う。

 ただ、満が持って来たのは男性もの、誇銅が持って来たのは女性ものの服である。そう、二人はお互いの服を選んでいたのだ。

 そうして試着してお互いに見せ合いながら楽しんでいる。

 

「なんですかあれ、あれはどう見てもデートじゃないですか。私たちに内緒でいつの間にそんな相手を」

「ぐぐぐ、僕と言う者がありながら」

「じー」

 

 月とルピは悔しそうに二人を遠目に見る。今すぐにでも飛び出したい気持ちではあるが、誇銅の幸せを壊したくないのと別に自分たちが誇銅と付き合ってるわけでもないためなんとか自重できている。

 そして恋は自分たちとは離れた場所にいる誇銅を見つめる二つの影を見ている。

 

「まさか誇銅さんに既にお付き合いしてる方が……」

「誇銅先輩が幸せなら僕はそれを応援します」

 

 ちょんちょん

 

「なんですの!……」

「……恋先輩」

 

 物陰から誇銅たちを見ていたレイヴェルの方を恋がつつく。

 恋は黙って月とルピのいる方を指さす。

 

「「あ……」」

 

 恋はレイヴェルとギャスパーを連れて月とルピの方へ戻った。

 

「「あ……」」

「「ど、どうも」」

「「「……」」」

 

 月とルピ、レイヴェルの間に何かが伝わった。

 そして五人がとった行動とは

 

「誇銅く~ん!」

「おはようございます誇銅先輩」

 

 偶然出会ったかのように装って近づくことであった。

 ギャスパーはえ~!と言った表情で三人を見る。

 そしてギャスパーが驚いてる間に月が一番知りたいことをズバリと聞く。

 

「ところでそちらの方は?」

「アテーか? アテーはワンコの中学時代の友達だ」

「「「ただの友達?」」」

「そ、どうだけど。で、お前たちは誇銅の高校の友達ってとこか?」

 

 満は誇銅の顔をちらっと見る。

 そして誇銅の表情を見て満は安心の表情を表した。

 

「あ、申し遅れました私は「おなかすいた」」

 

 月の自己紹介の途中で恋が容赦なく割って入る。

 その様子をおもしろく思って満と誇銅はクスリと笑う。

 

「そうだな飯にすっか。大人数だったらいいとこ知ってるぜ」

「す、すいません…」

「いいっていいって。そこでゆっくり話そうじゃねえか」

 

 そうしてここからは全員一緒に行動することに。

 

 

 

     ***

 

 

 満のおすすめの店に来て自己紹介をした。

 そしてお互い誇銅と言う共通点の話題をネタに話でじょじょに打ち解けていって今では

 

「林間学校の夜な、女子に可愛がられすぎてアテーのとこに逃げてきてアテーの布団の中に隠してやったんだ。そしたらそのままアテーの布団の中で寝ちまったんだよ。

 しょうがねえからーそのままワンコを抱き枕にして寝たんだが、ワンコの抱き心地ハンパねえ。その夜はすげー寝やすかったぜ」

「知ってる知ってる! 僕もよく誇銅君を抱っこするけどすっごく幸せな気持ちになる!」

 

 今では夜中の居酒屋レベルまで打ち解けている。

 誇銅も自分の話が中心で恥ずかしがっているが、決して嫌がってはいない。むしろ賑やかで嬉しそうである。

 

「なんだよワンコ、こんな美人ばっかでさ。ワンコの事だからこれ作るのにも苦労してると思って紹介してやろうと思ってたのに。心配して損したじゃねえか」

 

 満は小指を立てて誇銅にからむ。

 

「ぜってーワンコと気が合うと思う奴がいたんだよ。しかも五人姉妹の三女だぜ?

 まあこんなに候補がいるなら心配いらねえか。ワンコのことを頼むぜ」

 

 満のその言葉で月とレイヴェルとルピは顔を赤らめて照れる。

 そうして盛り上がり続いて行く。

 

「あの満さん」

「あっち」

「ありがとうございます」

 

 誇銅は席を外して店の奥へ行く。

 この間には誇銅は満を見て一言発しただけで満も店の奥を見て顔をクイっと動かしただけ。

 その様子を全員が不思議に思った。

 

「あの、今のは?」

「ああ? ワンコが便所どこだって聞いてきたから奥行って右って教えただけじゃねえか」

「え!? 今ので?」

「アテーにとってワンコは弟みたいなもんだからな。このくらいどってことねえよ」

 

 満はさも当然のように言い放つ。

 もちろんこれは当たり前なことではないため全員がツッコみを入れる。

 だが満はそれを笑い飛ばす。

 

「はっはっは! まあできるんだからしょうがねえよ。だけどよ、ワンコは弟同然の存在以前にアテーの一番の親友だ。ワンコって意外と見栄っ張りで背伸びしたがるところもあるからつらいこともついつい溜めこみがちになっちまう。

 今ワンコを一番近くで支えてやれるのはお前たちだ。だからアテーの親友のことを頼んだぜ。」

 

 月、恋、ルピ、レイヴェル、ギャスパーはこの時はっきりとわかった。誇銅にとってこの人は本物だと。

 そこから一変して誇銅がR指定の同人誌を持ってるところを見つかってあたふたした話をした。

 その話の途中になると誇銅が戻って来る。

 誇銅は自分がトイレに行ってる間に場の盛り上がり方が若干違うことににすごい違和感を感じた。

 

「どうしたんですか?」

「なんでもねえよこのお利口ワンコが!」

「あ、ちょっと、あはははははははっ!」

 

 満は誇銅をがしっとつかんで脇腹をくすぐりだす。

 その様子は誰がどう見ても仲のいい姉弟にしか見えなかった。

 

 

***

 

 

 時間も遅くなっていきみんな帰りの電車に乗る。

 そして満と変える方向が違うところまで来た。

 

 

 

  

 

 

 

「じゃあなまた遊ぼうぜ!」

「はい! またー!」

 

 誇銅は元気よく満に手を振る。満も歩きながらそれに答えるように元気よく手を振る。

 誇銅は満足した表情で月と恋とルピと残りの道のりを歩く。

 ギャスパーとレイヴェルはとっくに別れている。

 

「楽しい方でしたね誇銅さん」

「うんうん、誇銅君ともまるで姉弟みたいだったね」

「うん! 僕にとって満さんはお姉ちゃんみたいな存在だからね。

 でも、それ以前に満さんは僕の一番の親友だよ」

 

 誇銅は満を一番の親友と完全に言い切った。

 それを聞いた三人はそこまで気持ちが通じ合ってることにちょっぴり嫉妬するのであった。

 

 

 

 

     ***

 

 

 

「いてててて…」

「大丈夫か、サイラオーグ」

 

 自室のベットの上から動けなくなっているサイラオーグの元に一人の女性がやって来た。

 その女性の耳が長くまさにエルフの耳。そう、彼女こそがサイラオーグの背骨をへし折った犯人である。

 だがその姿は一誠の思い描いていた物とはかけ離れており、美人なモデル体型。

 

「すまん、折ってしまって」

「謝らないでください師匠。これは自分が本気で戦ってくださいと言ったのですから。

 それより背中の封印術式を解いてくれませんか?」

「半端に治って無茶されるわけにはいかなかったからな。完治するまで解かん。

 だが今日で解いてやる。ほら『不死鳥の生血』だ」

「いいのですか!!? こんな希少な物を」

「別にかまわない」

 

 『不死鳥の生血』とはごく少数の者だけが製造法を知っている回復アイテム。その回復性能は『不死鳥の涙』では直せない失った部位の再生や死後間もない命の蘇生も可能。

 本来は『フェニックスの涙』を渡すつもりであったがなかなか手に入らず手元にあった『不死鳥の生血』で済ませることにしたのだ。

 サイラオーグはお礼を言うと『不死鳥の生血』を受け取るとそれを飲んだ。

 

「ありがとうございます!…まっず!」

「良薬は口に苦し」

「すいません、予想以上に血の味がしたもので」

 

 サイラオーグは背中の封印から解放されると大きく伸びをした。

 女性はサイラオーグの背中がちゃんと完治してるか確認する。

 

「一応病み上がりだ。試合も近いのだから無茶なトレーニングはするなよ」

「はい! 師匠もよかったら試合見に来てください」

「弟子の晴れ姿だ、見に行こう。勝利を願ってる」

完璧(パーフェクト)超人、【完情(かんじょう)】のロビンの弟子として恥じない戦いをします!」

「ん……」

 

 ロビンはそれだけ聞くと部屋から出て行く。

 ロビンが部屋を出ると同時にサイラオーグの眷属たちが王を心配して部屋に入る。

 サイラオーグの回復を喜ぶ眷属たち少しの間だけ振り返って眺めるロビン。そうしてまた出口に向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれからどれだけ時が経っただろうか。次世代の希望を絶やさぬため私だけ完璧超人となって。

 【完情】の異名を手に入れてから一日たりとも弱音を吐かなかったが、今だけは吐かせてくれ。周りには誰もいないのだから。

 真弓、アメリア、ディアブル、(フォウ)、ウルフ、ブルーダー、ウォーズ。

 みんなにまた会いたい」

 

 ロビンの仮面のように無表情の瞳から涙が一滴こぼれ落ちた。




「真弓(女)アメリア(女)ディアブル(男)否(男)ウルフ(男)ブルーダー(男)ウォーズ(男)ロビン(女)」
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