病院に送られた一誠は重傷でアーシアの神器でも回復量が足らず真夜中にも関わらずすぐさま誇銅が呼ばれた。
電話でゴタゴタはしたがフランに抱えられた誇銅が病院にやって来る。誇銅は夜中、眠っている時に起こされたためそのことに関して不機嫌。だけど一誠の治療はちゃんとやってあげた。
誇銅の治療のかいあって一誠はすぐさま完治し退院。その時には一般人の記憶を消すなどの隠蔽もきちんとおこなったうえで。
誇銅の治療の甲斐あって一誠たちは次の日すぐに試合に向けてのトレーニングをすることができた。
「うーん、やっぱりトリアイナのコンボは『僧侶』が一番のネックか」
グレモリー眷属は霊の修業場―――――――グレモリー領の地下にある広大な空間でトレーニングに励んでいた。
一誠と木場が実戦形式の模擬戦をして、ゼノヴィアのトレーニングにロスヴァイスが付き合い、小猫とギャスパーがそれぞれサポートに回っている。それをリアスと朱乃がアドバイスをかけながら見守る。アーシアとイリナは神聖な術式について話し込んでいる。
「そうだね、トリアイナ版『僧侶』はチャージが問題だ。『騎士』と『戦車』はそれぞれ使うタイミングさえ間違えなかったら相手に大きなダメージを与えられると思うよ。
砲撃も発射後にうまく曲げられるようになれば虚をつける」
「うーん、まだまだトレーニングの必要があるな」
「集団戦――――。それも仲間との連携が必須になるね。僕やゼノヴィアが前衛になり、その分イッセー君は後方に下がってチャージする。
前衛は薄くなっちゃうけど決まればこっちのものだ」
一誠は休憩中なのでおにぎりを頬張りながら考える。いろいろ不足していることを頭に浮かべて。
そしてそのほとんどを解決できる人物を頭に描く。
「それで、消耗具合はどう?」
「うーん、能力を発現したばかりの頃に比べると多少は持つようになったけど、やっぱり体力の消費はハンパじゃない。特に『戦車』と『僧侶』の消費は『騎士』よりも多いんだよな。
あー誇銅のやつ早く戻ってこねえかな」
「そうだね、彼がいればアーシアさんの負担も軽くなるし、前衛の回復も可能だ。それに一誠君の体力問題も解決するね」
木場は一度考えるそぶりを見せてお茶を飲む。
そして何かを思いついた表情を見せた。
「もしかしたら、誇銅くんはタイミングがつかめないのかもね。あんな事故があったとはいえ一回自主的に抜けちゃったんだから戻りにくいだろうし」
「そうかもな! だったら戻りやすいようにこれからもっと誘ってやらねえとな」
一誠の中で誇銅の心情が自己完結された。
元々眷属内でもそのように誇銅が思っている流れになってはいたが、言葉に出すことでよりその思い込みは強固なものになっていく。
リアス眷属はトレーニングの息抜きとピクニック的なことを兼ねてグレモリー領の自然豊かな場所に遊びに来た。
一誠はそこで大きめの湖に近づいた。最近黒龍のせいでまともに鏡を見ていないので水面に映る自分を見ながら変になってないかチェックしている。
一誠が湖を見ていると水面に映る自分の後ろに黒龍が迫ってきているのが見えた。
一誠は一瞬で振り向くがそこには黒龍などいない。その時やっと一誠は気づいた、黒龍が後ろから迫ってきているのではなく湖の中から迫って来ているのだと。だが既に遅かった。
湖の中から現れた龍は黒い穴の中からその上半身を表し一誠に噛みつく。
そして一誠を穴の中へ引きずり込もうとした。
一誠は引きずり込まれぬように急いで禁手化して必死に抵抗を重ねる。が、トリアイナ状態でも龍のパワーに勝てない一誠が龍に抵抗するのは難しすぎた。
「一誠!!」
「ぶ、部長!!」
一誠の危機にいち早く気づいたのはリアス。
それに続いて他の眷属たちもこの突然の大きな異変に気づいて集まっていく。
引きずり込まれていく一誠に手を差し出す。だが、その手を掴まれぬまま一誠は暗い穴の中へ引きずり込まれ穴は塞がってしまった。
一誠が引きずり込まれた先は、さっきまでいた場所とほとんど変わらない場所だった。
だがさっきまでいた場所とは違う。それは一誠でもはっきりと確信できた。
なぜなら生き物の気配が一切せず、時間は昼なのに既に辺りは真っ暗。そして何より決定的なのが地平線の向こうの大地が繋がっていない。
『ギゴガゴーゴーッ!!』
一誠を引きずり込んだ黒龍が暗い夜空を泳ぎながら一誠を見下ろす。
黒龍の姿は初めて会った時と少し変化しており、脚がなくなっており代わりに東洋竜のような姿に変わっている。
「またお前かよ、俺に何の恨みがあるんだよ!
しかもみんなまでも傷つけやがって! お前は絶対ぶっ倒す!!
モードチェンジ! 『
一誠は騎士にプロモーションして背中のブースターを目一杯吹かす。感情によって強化されている今の一誠は一度目の黒龍との戦闘よりずっと早くなっている。
だが強化されているのは一誠だけではない。
『ゴ―――!』
「なにっ!?」
黒龍は一度目の戦闘よりも軽々と一誠の攻撃を避けて翼の爪で切り裂いた。
実際黒龍の変化と言えば姿が変わったことにより防御力が落ちて攻撃力が上がったことと、飛行能力が向上したことくらいである。
だが誰にも邪魔されることのなく得意なフィールドで戦える黒龍の強さは本来以上の強化をもたらしていた。
ただでさえ装甲の薄い状態の騎士で攻撃力の強化された黒龍の一撃をまともに受けてしまった一誠は一撃で地面に沈められて戦闘不能状態に陥る。
黒龍はさらに追撃を加えるかのように一誠の籠手の宝玉に噛みついた。
「ぐぁぁぁぁぁっ!!!」
『ぐぉぉぉぉぉっ!!!』
『グギュグバァッ!!!』
『ガギャギャァッ!!!』
一誠とドライグの叫び声が常闇の世界に響く。だが黒龍にはその二人以外の二匹の苦痛の叫び声が聞こえた。
黒龍はとっさに一誠の籠手から離れて距離をとる。
黒龍には一誠を襲う目的があった。その目的は一誠を倒せば成就されると思っていた矢先、その可能性がないことに気づいてしまった。
なので黒龍は一誠を戦闘不能にしたのはいいが次はどうしようか決めかねている。
いつもの黒龍の思考なら冷静に考えて判断を下せただろうが黒龍の内心はあの日から穏やかではない。なので黒龍は今はどうすることもできないと決めつけてしまった。
なので黒龍は一度一誠をこの世界から追い出すことに。表の世界の入り口を開けてそこから投げ捨ててしまおうと。だがそれは悪手だった。
「イッセー助けに来たわよ!」
「イッセーくん無事ですか?」
「イッセーくん遅れてごめん」
湖の近くで一誠を助けることができなく悔やんでいたリアス眷属たちが空いた穴からやぶれた世界に入って来てしまった。
「……先輩!!」
「イッセーさん、すぐに治療します! 死なないでください!」
倒れて動かなくなっている一誠に眷属たちが駆け寄る。一誠の状態に眷属全員が本気で心配する。
それと同時に一誠をこんな姿にした龍を憎しみの目で睨みつけた。
龍はあまりの事態に逆に冷静になった頭で悔やむ。なぜあの場所に穴をあけてしまったのか。少し離れた場所に捨てればよかったと。
そして黒龍はその時やっと自分が一番するべき行動、するべきだった行動を理解した。自分の父であり母であり主である者に報告をすること。
黒龍は今すぐ報告に行こうとリアスたちをここに置いて報告に行こうと考えた。だが、冷静になった頭がそれを悪手ととらえた。
こいつらをここに放置すれば何をしでかすかわからない。自分に敵意をむき出してる奴らを放置して報告なんて行ったら間違いなく追ってくる。もしうまく撒いたとしてもその辺で暴れられでもしたら。
この世界には表の世界を形成するための大事なものがたくさんある。それをもし壊されでもしたら。
そもそもこの世界の番人である自分が自分の失態とは言え侵入者を放置するわけにはいかない。
仮に穴をあけて外への道を示しても奴らには戦闘以外の選択を取るとは考えにくい。もしかしたらさらに侵入者を呼び込むことになるかもしれない。
自分自身が起こした悪手が自分の行動をどんどん悪い方向に縛っていく。
そして冷静になった頭で導き出した黒龍の答えは、
『ギゴガゴーゴーッ!!』
全員を戦闘不能にして外に追い出してから報告に向かうということだ。
黒龍はリアスたちを迎え撃つことに決めた。
「あの時は不覚をとったが、今度は負けん!」
「ぼ、僕も、グレモリー眷属の男として頑張ります!」
「みんな! 今度は前のようにはならないわよ!!」
『はいっ!』
リアス眷属たちはそれぞれ散らばって黒龍を取り囲むように向かい合う。
そして一斉に攻撃を仕掛ける。
もちろん黒龍は全員の一斉攻撃くらい簡単に避けて反撃をすることができる。だが、リアス眷属の攻撃がやぶれた世界に浮いている鏡に直撃して破壊してしまった。
『ゴ―――!!』
やぶれた世界の漂う鏡を破壊することは禁忌の一つである。この世界の番人である黒龍はそれを許してはならないこと。
攻撃の余波による被害をなくすためいくつかの攻撃は受けなくてはならなくなった。
最悪なことにリアス眷属の攻撃は広範囲、高威力な技が多い。そのため黒龍は一誠たちの攻撃の殆どを避けることができなくなってしまった。
「あいつ、俺たちの攻撃に完全には反応できなくなってるぜ!」
「みんな、その調子で畳み掛けるのよ!」
黒龍にとって躱してはいけない攻撃は雷光とエクス・デュランダルの一部の遠距離攻撃、消滅の魔力と一誠の遠距離攻撃。
このうち前半の二つは龍は完全に耐えることができる。特に雷光は全くと言っていいほどに。
だが問題は後半の二つ。一誠の攻撃はディアルガとパルキアも同じく効果的であったが、黒龍はリアスの消滅の魔力とも相性が悪かった。
例え黒龍にとってレベルの低い攻撃でも相性の悪い攻撃を数くらえばダメージも蓄積する。しかもこちらの世界では防御力が少し下がる。
黒龍も攻撃を加えるがあちらの攻撃を受けなくてはいけない分どうしても怯んでしまう時がある。その間にリアス眷属はアーシアの回復を受けてしまう。黒龍はだんだん弱ってきた。
「勝てる、この調子なら勝てる!」
黒龍も黙って不毛な攻防戦を繰り広げているわけではない。戦いながら鏡を戦闘範囲外に送ってはいるが、それでも龍はダメージを受けすぎてもう本調子では戦えない。
その間にも自体はどんどん黒龍を不利な状況に追い込んでしまう。
『ギゴガゴーゴーッ!?』
実はこの世界の大陸は浮遊大陸なのだ。陸地に乗っていると実感できないが、しばらく上空を飛び回っていると陸地が動き回ってるのがよくわかる。
この世界の中心には芯の役割をする大きな柱が一本天高く、地深く伸びている。
そして一誠たちと戦ってる大陸がちょうどその柱の近くまで来てしまった。
もし攻撃の余波であの柱に傷でもつけられたら、自分でもそう簡単にできないがもしも一部だけでも破壊されたら。だから黒龍今出せる全力の必殺技で表の世界への出入り口に吹っ飛ばしてしまおうと考えた。
そして黒龍は影の世界に潜り込みそこでチャージされたパワーで一気に一誠たちを穴の向こうへ吹き飛ばした。
『ゴーゴー!!』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
『ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!』
その攻撃でリアスたちは見事にやぶれた世界の出入り口に吹き飛ばされて外の世界に出て行く。だが、戦車にプロモーションした一誠だけはダメージを受けつつも黒龍の顔に張り付いている。
一誠は黒龍の顔に張り付きながらも胸のダイヤに力を溜める。
ここで一誠を引っぺがすことはできないわけではなかったが、黒龍はもしものことを考えて外に出ることを優先した。やぶれた世界で今のところ下準備もなく大きな被害を出すと全く別の場所に大きな被害が出て関係ない一般人が傷つくことがある。
だから黒龍は危険な賭けに出た。この状態で外にでてから急いで一誠を引っぺがすこと。
黒龍は全速力で出入り口に突進した。だが……
「決めるぜッ! ドラゴンフルバーストォォォォォォォォォッ!」
『ギゴガゴー!!!』
一誠の弱点属性攻撃をゼロ距離からくらった黒龍はついに力尽きて倒れてしまった。
そして一誠は今まで通り黒龍に触れると籠手の宝玉に吸い込まれ宝玉は数回光を放つとそれすら収まった。
一誠手持ち
ドライグ LV測定可能
ディアルガ LV30
パルキア LV35
ギラティナ LV70
すいません、今回ちょっとご都合主義が多くなってしまいました。
でもこうしないと終章に行くまでに話が終わっちゃうので。あくまでオリ主は誇銅なので。
そして次回はサイラオーグ戦!