BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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ストップ・ザ・タイム

『何とも惨い! 流石『殺人遊戯コンビ』の名だけある戦い方だ!

 しかし、その魂はサイラオーグ眷属を誇る戦士の魂だった! そんな二人と正面から戦ったギャスパーくんに観客の惜しみない拍手だー!』

 

 実況の激しいセリフ中も鳴り止まないギャスパーに送られる拍手。

 そんな中、リアスとサイラオーグの両者がダイスの置かれた台の前に立つ。

 そしてダイスの目はリアスが5、サイラオーグが3、合計8となった。

 

『おっぱいドラゴンがどうやら戦うみたいです!』

「「「「「「おっぱいッ! おっぱいッ! おっぱいッ!」」」」」」

 

 子連れの観客席が今までにないほどに沸いて揺れる。

 

『見てください! 子供たちのあの元気な笑顔! 冥界のヒーロー! 子供たちがおっぱいドラゴンの登場に大興奮しております!

 先ほどの戦いはまさに悪役(ヒール)の戦いだっただけに期待大です!』

 

 モニターに映る冥界の子供たちはみな笑顔。一誠の名前を一生懸命呼んでいた。

 

『対するバアル眷属は、『僧侶』二つのペンタゴナ』

 

 バアル側から現れたのは白いバイクスーツとヘルメットを着た女性。

 

『第六試合、開始してください!』

「今まで隠してきたが、赤龍帝が相手となれば隠したままでは勝負にもならないだろう。サイラオーグ様の許可も得た今、隠すことをやめよう! これが私だ!」

 

 ペンタゴナは悪魔の羽を出現させて飛び上がると、空中で一回転しながら悪魔の羽を隠して―――――

 

「これが私の正体だ!」

「そ、その羽は!!」

 

 ペンタゴナが悪魔の羽の代わりに現したのは真っ黒なカラスのような羽、堕天使の羽である。

 そのことにサイラオーグ眷属以外の会場の全員が驚愕する。

 

「そう、私は堕天使! そして今はサイラオーグ様の『僧侶』! 行くぞ、赤龍帝!」

 

 一誠はとりあえず『女王』にプロモーション。もちろん『女王』はトリアイナ状態ではない。

 その場を駆け出しながら禁手化する。

 だが一誠が禁手状態になった瞬間、空中から一誠に光の力を込めたドロップキックを放った。

 一誠はそれを寸でのとこで躱すが、ペンタゴナは一度も着地することなく連続で一誠に光のドロップキックを放ち続けた。一誠は洋服崩壊(ドレス・ブレイク)を当ててライダースーツの上からかなり良いスタイルをしていることがわかるペンタゴナの裸体を拝もうとするが『騎士』と間違うかのような素早い動きについて行けない。

 だが一誠も黙ってくらい続けているわけではない。パイリンガルを発動させて次の攻撃にカウンターを入れようと考えた。一誠は残念ながら洋服破壊(ドレス・ブレイク)を当てるのは無理と判断し泣く泣く普通の拳に切り替えた

 

(次は私から見て左側から仕掛けてみようかな? そもそもこの技は多方向から一度も地面に落ちず蹴れるのが強みだけど一直線なのよね)

「そこだ!」

(でも、もしカウンターが来たら―――――――)

「!!?」

 

 一誠はバイリンガルで聞こえてくる声に続きが聞こえてくるが既に遅し。

 

「残念だな、クロノス・チェンジ」

 

 ペンタゴナのヘルメットの星をくるりと一回転させた。

 するとさっきまで一誠がペンタゴナのドロップキックを躱してアッパーを当てた瞬間だったのが、一誠がドロップキックを躱されてペンタゴナがアッパーを当てる瞬間に変わっている。

 

「はぁっ!!」

「ぐっっ!!!」

 

 ペンタゴナが無防備な一誠の背中にアッパーを当てる。ペンタゴナのパワーは強化されてたとはいえ大したことない。だが、光の力が込められていたことは痛手となった。

 

「攻撃の手は緩めない! それが華麗で隙のない私の戦い方!」

 

 ペンタゴナは一誠に接近しつつ光の短剣を投げ続ける。一発一発の威力は低いが光の力で作られてるため悪魔にとって効果抜群なのである。

 そしてそのまま再びドロップキックのありじごくへ。

 

「じゃあこれならどうだ!?」

「ほ~考えましたね」

 

 一誠は先ほどと違ってペンタゴナの無防備な個所に攻撃を加えるのではなくドロップキックに真正面から攻撃を加えようと考えたのである。これならたとえ立場を入れ替えられてもお互いだがきちんとダメージを与えられる。

 

「でも問題ない。クロノス・チェンジ」

 

 ペンタゴナの足が一誠の拳が触れると二人の立場が入れ替わった。

 一誠の作戦ならこれでペンタゴナにダメージを入れれる。それに自分の方がパワーがある自身もあった。だが、

 

「素人のドロップキックなんてこの状態からでも躱すのはたやすい」

「なっ!? ぐぁぁぁ!!」

 

 ペンタゴナは超近距離から一誠のドロップキックを躱し背後に回って光のナイフで切りつけた。

 

「すげぇよその技。だけどもう見切ったぜ!」

 

 一誠はすぐさまペンタゴナとは逆の方向へ走り出し距離をとると、左手に魔力を溜めて。

 

「その技は相手と触れてないと発動できない! そうだろ!?」

「流石実践で鍛えられた洞察力、見事だ」

「だったら、ドラゴンショットォォォォ!!」

 

 一誠は左手の倍加された魔力をペンタゴナに発射する。そこそこ距離があるとはいえこんな近くから広範囲攻撃は避けられないと踏んだのだ。

 

「正解とは言ってないわ。だがわかっていたよ、遠距離広範囲攻撃が来ることは。そう来るように誘ったからね。

 しかし、残念ながらそこはクロノス・チェンジのギリギリ効果範囲外。

 だが! 四次元エレメント交差!」

 

 ペンタゴナは光に包まれる。そしてその光が収まると一誠の放った魔力は突如現れた穴に吸い込まれた。

 ドラゴンショットで遮られていた視界に映ったのは

 

「クイーシャ・アバドン!!?」

「そうよ。私は紛れもなくサイラオーグ眷属『女王』クイーシャ・アバドンよ」

 

 一誠の目の前にいたのはペンタゴナではなく『女王』のクイーシャ・アバドン。

 

『おーっと、バアル眷属ペンタゴナの代わりに『女王』クイーシャ・アバドンが現れた!』

「ちょっと! なんであなたが!?」

「私とペンタゴナだけができる禁断の技、四次元エレメント交差。ちゃんと事前に運営に告知して許可をもらってるから大丈夫よ」

『えーと、ただ今入りました資料によりますと、ペンタゴナ選手の『四次元エレメント交差』はお互いの位置を入れ替えるれっきとした技であり、試合前に運営側からOKが出ているため違反行為とはなりません!』

 

 ガヤガヤしていた観客もアナウンサーの説明で納得の静寂を取り戻す。

 予想もしなかった『女王』クイーシャの出現に次の手を冷静ではなくなってる頭で急いで考える。

 

「そうゆうこと、その代りこれは実質二人係で戦ってるのと一緒だから私かペンタゴナのどちらかが倒れれば二人とも失格になっちゃうの」

「そっか、じゃあ簡単なことだな。クイーシャさんかペンタゴナさんのどちらかを倒せば一石二鳥だ!」

「そう簡単にはいかせないわ。それとこんな悠長におしゃべりしててもいいのかしら? 今試合中よ?」

 

 クイーシャがそう言うと一誠の背後に『(ホール)』が開き先ほど吸い込まれた一誠のドラゴンショットが一誠に向けて放たれた。

 一誠が自分の攻撃をくらっている間にクイーシャは一誠の方へ駆け出していく。

 

「シャルルとバッボが柔と剛の『殺人遊戯コンビ』なら、私とペンタゴナは、四次元エレメント交差!」

 

 クイーシャは前方に『(ホール)』を開けてそこに飛び込むと、一誠の背後に現れた『(ホール)』からペンタゴナがドロップキックの体勢で現れる。

 

「私とクイーシャは近と遠の『四次元殺法コンビ』だー!!」

 

 一誠はこのキックには耐えきれず前方に吹っ飛ぶ。

 そしてペンタゴナは先ほどと同じように光の短剣を投げながら一誠に接近する。

 

「……本当はサイラオーグさんと戦うまでとっておこうと思っていたけど……ここからは手加減できません。死にたくなかったら、防御にすべてをつぎ込んでください。そうすればリタイアだけで済むと思いますから」

「言ってくれるじゃないの。あなたがどんな攻撃をしようともすべて返してあげるわ!」

「警告はしました。――――――『影龍の騎士(ウェルシュ・スレイヤー・ナイト)』」

 

 一誠の鎧はパージされ、トリアイナ状態の騎士に変わる。だが、その鎧はまた変化しており鎧は前の状態より禍々しくなり額にはプラチナでできた装飾が施されている。

 

「クロノス・チェンジ」

 

 一誠は神速の速さで動き出すと同時にクロノス・チェンジを発動させて反撃の体勢に移った。だが、一誠はペンタゴナの目の前まで行くと突如黒い黒い空間に姿を消してしまった。

 

「な、なんなの!!?」

 

 ペンタゴナは一誠の攻撃をいつでも返せるようにヘルメットの星を回し続ける。

 ペンタゴナのクロノス・チェンジはヘルメットの星を回転させて5秒間の間に目標が受けたことの位置関係を逆転させる技。しかも直接触れていなくとも短い距離ならば位置関係を逆転できる。

 だから回し続けることによって魔力消費は激しくなるが鉄壁のカウンターとなるのだ。

 そしてついに一誠はペンタゴナの正面に姿を現した。

 

「ドラゴンダイブゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

「クロノス・チェンジ!」

 

 ペンタゴナと一誠の位置関係はクロノス・チェンジによって逆転させられ、ペンタゴナは見事一誠の攻撃を回避。だが、

 

「キャァァァァ!!」

 

 一誠の攻撃で眼前のコロシアムが跡形もなく破壊され、ペンタゴナはその余波で吹き飛んでしまう。

 コロシアムが破壊されてもペンタゴナはまだリタイアするほどのダメージは負ってなかったが光に包まれてフィールドから消えて行った。

 この時、一誠は『影龍の騎士(ウェルシュ・スレイヤー・ナイト)』に若干の違和感を感じたが特に気にすることではないと判断。

 

『サイラオーグ・バアル選手の『僧侶』、リタイアです。それにより『女王』もリタイアとなりました』

 

 審判がサイラーグ眷属のペンタゴナとクイーシャのリタイアを告げる。

 ペンタゴナは強制的にリタイアさせられたのだ。

 モニターの映像にサイラオーグが映り込んだ。その表情は苦渋にまみれている。

 

『…………おれが強制的にペンタゴナをリタイヤさせた。あのままではペンタゴナの魔力が先に尽きて赤龍帝に殺されるところだったからな。殺すつもりだったのだろう?』

 

 サイラオーグがバトルフィールドにいる一誠に語りかけた。

 一誠は鎧のマスクを収納して、顔を見せて言った。

 

「すみません。あなたたちへの敵意が止まらないもので。いまのは後輩たちの分ってことで許してください」

 

 冷淡とした声音(こわね)で残酷なことを言い放つ一誠。

 だがサイラオーグはむしろ嬉しそうに笑んだ。

 

『……なんて目を向けてくる……ッ! 殺意に満ちているではないか……ッ。

 赤龍帝と拳を交える瞬間を俺は夢にまで見た。―――――俺は次の試合、こちらの全部とあちらの全部での団体戦を希望する! もちろんただとは言わない。もし希望が通るならこちらの残りの『騎士』と『戦車』はリタイア扱いで構わない』

『おおっと! ここでサイラオーグ選手からの提案が出ましたーっ!』

 

 そして数分間、委員会で議論した結果は。

 

『え、はい。いま、委員会から報告を受けました!―――――認めるそうです! 次の試合、事実上決定戦となる団体戦です! 両陣営、サイラオーグ選手の『騎士』と『戦車』を除く残りのメンバーの総力戦となります!』

 

 その報告に会場は沸いた。

 

『―――――だそうだ。やりすぎてしまうかもしれん。死んでも恨むなとは言わんが、死ぬ覚悟だけはしてくれ』

「―――――――殺すきで行きます。そうじゃないとあなたに勝てなさそうだし、リタイヤしていった仲間に顔向けできないんで」

『たまらないな……ッ』

 

 

 

 

    ***

 

 

 サイラオーグ陣内、出番のなくなったシャルルとバッボは二人で話をしていた。

 

「最後まで戦いたかったな」

「そうだな」

 

 二人は座り込んで舞台に出て行くサイラオーグとサイラオーグ眷属の兵士』を見る。

 

「けど、俺たちは役目を果たした」

「ああ、数の利をつぶし、赤龍帝の力をださし、サイラオーグ様を無傷でつなぎ、神滅具『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の差を埋める彼をサイラオーグ様と一緒に舞台に出せた」

「そうだな、俺たちの不戦敗は『王』の勝利への布石となれたんだしな。ここからは完全に王の仕事だ」

 

 二人がモニターを眺めているとそこにクイーシャとペンタゴナもやって来た。

 そして『騎士』のリーバンと『戦車』のラードラもやって来た。

 一か所に全員集まったサイラオーグ眷属たちはただ静かに王の勝利を願い待つのである。




『バミューダミステリー』を聞きながら書いてたもんで。
ちなみにラードラとリーバンは『多と単』のコンビです。
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