いろいろ試行錯誤した結果、とりあえず意識したものは回収できたと思います。
そして予告通りこの章が中章最後です! 次章からはラスト終章へ突入します!
新たな陰謀
学園祭が終わって僕の生活に徐々に変化がみられるようになってきた。
まず最初は魔法、つまり僕の炎の訓練が毎日に追加されて習慣になりつつあること。
今までなんやかんやで忙しかった家族内のことが完全に落ち着いてきて、家族との時間がゆっくりとれるようになってきたこと。
そして最後にオカルト研究部関係者と距離を置くようになったこと。
最初は今まで通りの関係をなるべく維持しようと考えていた。もちろん一般人としてね。
いろいろ巻き込まれることもあったけど、僕の願いもちゃんと考えてくれていると信じてなるべく友好な関係でいようと思っていた。
だけど最近、だいたい学園祭終わり頃からだ、オカルト研究部の人たち特に一誠が僕をしきりに僕を誘おうとする。訓練やミーディングや三大勢力の事情についてとか。
おっぱいドラゴンのアニメについての話題が出た時は本当に訳が分からなかったよ。
もちろん誘いは全部断っている。一般人に戻りたいって思ってるのだから当たり前だ。正直オカルト研究部の人たちについてかなりしつこいとすら思ってるよ。
だからこれからは距離を置いて接してみようと思う。
あっ、ギャスパーくんとレイヴェルさんについては別だよ。
二人は三大勢力絡みの話題も出てくるけど大体が体験談とかその時思ったことだけだ。それに僕に気を使ってくれてるのかあまり三大勢力絡みの話題は言わないようにしてくれてるっぽい。
普段のおしゃべりでは学校生活のことや休日の出来事についてのことばかり。
オカルト研究部の人たちみたいに何か言葉の後ろに見え隠れしてないところがいいね。
そして現在、僕はフランと一緒に行った帰りに満さんとばったり会っている。
「おっす、ワンコ。フランちゃんも久しぶりね」
「こんばんわ、満さん」
「こんばんわ~」
「お友達かにゃ?」
満さんの横には見慣れない年上っぽい女性。
どことなくテト姉と同じような雰囲気がする。
「はい! アテーの中学時代の親友です!」
「初めまして、日鳥誇銅です。こっちは妹の」
「フランドール・スカーレットです!」
「血のつながりは無くてもれっきとした僕の妹です」
大切なことだから強調して言いました。
それを聞いたフランは嬉しそうに僕にじゃれ付いてくる。
荷物さえなかったら今すぐにでも可愛がりまくりたいほどだよ。
「血のつながりなんで重要じゃない。大切なのは家族愛にゃ! 愛さえあれば立派な家族にゃ!
佐世保 多摩。みっちゃんの通ってる高校のOBにゃ。よろしくにゃ♪」
「はい! 多摩さん」
「一応言っておくけど、猫じゃないにゃ」
「これ多摩先輩の持ちネタなんだ」
フランと名前が違うことを怪しまれるかと思って初めにあんなことを言っておいたのだけれど、多摩さんって良い人だね。
家族愛なんて言葉にしてみればただの感情論かもしれないけど、僕にしてみれば譲れない一線。それを真っ向から肯定してくれるのはとてもうれしい
挨拶もほどほどにして僕たちは家族の待つ家に帰る。
家のドアを開けてリビングまで進むといつもとちょっと違う光景が目に入る。
「え~と、そちらの残りの駒からルール上私の勝ちですよね?」
「え!? ……確かに……。くそ~5戦全敗かよ」
リビングで月とチェスをしているゲオルグさんの姿が。
めずらしいね、曹操さん以外の英雄派の人が来ることは無いことは無いけどいつも曹操さんと一緒に来る。曹操さん以外は一人で来たことは無い。僕の知ってる限りでは。
それに家の中に誘っても上がることは一度もなかった。
「おかえりなさい、誇銅さん」
「やぁ、おじゃましてるよ」
「こんにちわ、ゲオルグさん。お一人とは珍しい、今日はどういったご用件で?」
「京都の一軒以来三大勢力の目が厳しくなってるからな。今までは俺が誤魔化してきたけど今の警備じゃほんの少しだけどばれる危険もある。それはお互いよくない。
だが、俺一人なら絶対にその心配はない。
三大勢力もそこまで無能じゃないが、そこまですぐれてるわけじゃない。政治はガタガタだけどなw
おっと無駄話が過ぎたな。俺が来たわけはちょっとした凶報をつたえに来た。
近々正体不明の集団が三大勢力に何かをたくらんでるらしい情報を掴んだ。
これは禍の団に所属しておきながら様々な観点から日々チャンスを狙うため情報を集めに重点をおいてる英雄派だからつかめた情報と言ってもいいだろう。
敵の規模も実力も未知数だが、そうなるとお前たちが三大勢力に召集されるのは火を見るより明らかだ。
だから何かしろってわけじゃないが、今のうちに何か準備はしておいた方がいい。
例え三大勢力が問題を持ち込まなくともその集団が名ばかりでも協力関係のお前たちに害をなさない確証もない。
てかどっちも三大勢力のせいで起きる危険だな。
まったくあいつ等碌なことしやしないな。和平とか言いつつも結局その視野には自分たちの種族しか目に入ってないんだから。
他の種族と和平を結ぶのも悪いとは言わないがその前に自分とこの社会をどうにかしろよ。
そうしないとまた同じことの繰り返しだっつうの。今までの歴史から見ても明らかだろ。
なんか赤龍帝の勢いに任せて改善していこうみたいな風潮らしいけど。
巷では現赤龍帝は力に呑込まれない新しい可能性だとか言われてッけどただ単に力が使いこなせないからデチューンして使ってるようにしか見えねえよ俺は。
現赤龍帝を黄金のようにみんな言ってるけど、俺たちの目からは黄鉄鉱に見えるぜ。
ああ黄鉄鉱って通称「愚者の黄金」って呼ばれる硫化鉱物の一種だ。
まあ俺たちの決着がつくころにはどっちの評価が正しいのか結果がわかるだろう。
おっと喋りすぎちまったよ。俺って口が開くと止まんねえから普段は口数を少なくを心掛けてんだけどな」
ゲオルグさんってこんなにしゃべる人だったんだ。
京都で会った時は口数が少ない人だなと思ってたけど。すごい喋る人だったんだね。
その後ゲオルグさんは月ともう一勝負してから帰ると言う。
晩御飯ご一緒しますかと聞いたところ
「いや、お構いなく」
とのこと。
本当にさっきの長セリフが嘘のように短い。
それからご飯の支度をしてる最中に月とゲオルグさんの最後の勝負が終わったようでゲオルグさんが立ち上がる。
「……言っとくけど最初の一回は花を持たせたんだからな!」
「はい。細かいルールといくつかの戦術を説明してもらいながらだったので勝つことができました。
そのおかげで私は自分の兵法と合わせながら打つことができました。ありがとうございました」
「……くやしい(ボソ)」
ゲオルグさんはそのまま玄関から帰っていきました。
一応ゲオルグさんの分も確保しておいたんだけどね。どうせ今日はカレーだから。まあ無駄になったわけじゃないけどね。
ちょっと料理中だから見送りはできなかったけどね。
「ただいま~!」
「おかえりさない、盾姉さん」
ゲオルグさんが帰って数分後、盾姉が帰ってきた。
僕はまた料理中だから出迎えは月だけが行く。
「今日のご飯はカレーかな?」
「おかえりなさい、盾姉」
「たっだいま~!」
盾姉がリビングに来た時にちょうどひと段落ついて煮込むだけになったので僕は盾姉にゲオルグさんから聞いた話を盾姉に伝えることに。
盾姉は少しう~んと考え込んでソファに座る。
僕は盾姉に言われてみんなをリビングに呼ぶ。
「とりあえず相手の正体はわからないけど、三大勢力に助けを求めるのは無しの方向がいいね」
「そうですね、変な仲間意識を持たれても困りますし何より借りをつくることは避けたいですね。
こっちには貸もありますが、向こうは協力関係を盾にして貸し借りの意識なんてないと考えたほうがよさそうですしね」
家にいるメンバーでこれからのことを考える。
ちなみに家の中には他にもルピ君とフランもいるが、上で遊んでもらってる。
フランはまだ幼いから話について行けない。ルピ君はすぐに殺しちゃえばいいんじゃない?的なことを最終的には言う。二人とも好戦的な案しか出てこないということである程度案がまとまってから二人には伝えることになっている。
もちろんルピ君やフランがそこで良い案を出してくれれば採用とかも視野には入っている。
まとまった案も決定ではないからね。それこそ普段はそこは盾姉とプロシュート兄貴とアルセウスさんがいつの間にかやってしまってることだから。
「……でも……要請は無下にできない……それこそ……危険」
「ごめんなさい。あの時押し切られて僕が協力関係を了承しなければ……」
ごめんなさい。あの時は本当に僕は軽率な考えでした。
他人とのつながりが切れることを恐れて今あるものを危険にさらしてしまった。
こんなことになるなんて……本当に反省してる。
「自分を責めないでください! あの時はそうするしかありませんでした。
それこそあそこで了承していなければあの場で私たちの居場所はなくなってたでしょう」
「そうそう、あの場にはあたしもいたしそうするのが現在の最良の手段と考えたからね」
「……あの時は何もなかった……でも今は……京都、曹操……頼れる……人脈を伸ばす時間も稼げた……だから……間違いじゃない」
ありがとうございます……。
完璧に自責の念が消えたわけじゃないけど少しは楽になったよ。
そうだよね、後悔してても始まらないよね。よーし3人には劣るけど僕の頭脳もフル回転させて考えるぞー!
でも結局僕から新たなアイディアが出ることは無かった。
さらにプロシュート兄貴とアルセウスさんが帰って来て僕は完璧に話について行けなくなってしまった。
それから帰って来て話し合いに参加するも僕は同じく話に加われなくなったテト姉とおしゃべりすることに。
あっ、そろそろ夕食の時間だ。みんな~ご飯ですよ~。
***
ー一誠sideー
その夜、一誠は神器のなかに潜っていた。
ドライグが合わせたい人がいるとのことで。
「どうしたんだドライグ。
急に神器の中に来てほしいなんて」
一誠はドライグにここに来るように言った要件を聞く。
「前に言った歴代所有者の中にも例外が二人いるのは覚えているか」
「ああ、エルシャさんとベルザードさんだよな。
二人とも解放されちゃったけど」
「実はその例外はもう一人いるんだ。
しかもただの記憶の断片ではなく魂の一部が宿っている。
そいつはある意味相棒と似たようなタイプだ」
「俺と似てる?」
一誠は話の続きが気になりだす。
それと同時に自分と似てると言われて仲良くなれそうなどの親近感も持つ。
「そいつはいわば最短の赤龍帝ともいえる奴でな、俺も直接会話したことは一度しかないほどに。
というのも一回しか会話する機会がなかったと言える。
そいつはたった一回、最初の『赤龍帝の籠手』を出現させてすぐに覇龍へとなりそれを短時間とはいえ制御してみせた」
「覇龍を制御!!?」
「今までと違う可能性を見せてくれたって意味では相棒と似ている」
一誠は自分が暴走してしまった覇龍を制御してみせたということに驚きを隠せない。
ドライグはそんな驚きに満ちている一誠を放っておいて話を進める。
「だが、完璧に制御はできず最後は自害したんだ。
そいつが目覚めていることがついさっきわかったんだ」
「もっと前から起きてたぜ」
一誠の背後から聞いたことない男の声が聞こえる。
振り返ってみるとそこにはすごい筋肉の男が立っていた。
すごい筋肉といってもゴリラのようなムキムキというわけではない。
むしろスマートささえ感じさせるほどに引き締まった肉体美。
見た目からすごい量の筋肉のはずなのにそれをパッと見全く感じさせない無駄のない筋肉。
一誠は一瞬目を奪われてしまう。
「彼が今言っていた歴代赤龍帝の一人、大神力也だ」
「よう、現赤龍帝」
「あっ、どうも」
「ちなみに仲間たちはワテのことをウルフって呼ぶ。
むしろそっちで呼ばれることが多いからウルフで頼む」
一誠とウルフはお互い軽く挨拶を交わす。
最初はウルフの見た目に萎縮していた一誠だったが、意外にフレンドリーな挨拶に少し緩む。
「ところでウルフよ、その胸につけてるのは?」
ドライグはウルフの服装にはまったく似合わない輝かしい三つの宝石を指す。
「ああ、これな。
これは最近時たま会える子供にもらったんだ。
最初はものすごい威嚇されてたけど今ではなつかれてその証的なものでこれをもらったんだ。
三人とも生前可愛がってたワテの娘を連想させてついついかまってやりたくなってな。向こうも一人ボッチでしょんぼりしてたしな。
ここで合った子供は三人いていつも誰か一人にしか会えないんだ。
独りぼっちは寂しいだろうししばらくしたらワテもその空間からなぜか追い出される。何度か他の子供のところへ連れて行こうとしたけどそれもだめだったぜ」
「その子供についてはわからんが発見次第どうにかしよう」
「ありがてえ」
一誠は見た目は厳しそうだが実はけっこうフレンドリーな性格に安心する。
そして自分と似ていると言われたこともあり今では緊張感も解けている。
「ウルフは相棒と同じように愚直に鍛えて強くなったタイプだ。
ウルフと同じ可能性を持つ相棒ならぴったりの先生だと思ってな。
それに、ウルフの持っていた制御する精神力と相棒の柔軟な可能性が合わされば相棒たちの明るい未来にもつながるだろう」
「そっか、ありがとなドライグ。
それじゃウルフ先生、よろしくお願いします!!」
「断る!!」
「「え!?」」
ドライグも一誠もすっかりウルフが稽古をつけてくれる気になっていたのでこの言葉はあまりにも予想外だったため間の抜けた声を出す。
一方ウルフはさっきまでのフレンドリーな笑顔から一変して厳しい表情へと変わっている。
「ちょっと前までいた二人はそいつのことをえらく気に入ってたみたいだがワテはそうは思ってねえ。
ワテの昔の仲間でお前のようにヒーローと呼ばれる奴がいた。そいつはみんなから好かれていた。そう、今のお前のように。
だが、お前の行動は真弓や他の仲間たちと全く違うどころがヒーローと呼ばれること自体おこがましいぜ。
そんな奴にわざわざ稽古つけてやる気なんかねえ。
男磨いて出直してきな」
一誠とドライグはウルフの言葉に圧倒的な威圧を受ける。
一誠は頭の中でいろいろと考える。『え、俺なんかまずいことした?』『何がそんなにウルフさんの逆鱗に触れたのか』『今じゃだいぶ強くなって他の人からの評価もだいぶ高くなってきたし、昔よりはずっと身も心も成長したと思ってたけど』などの思考が一誠の頭の中を駆け巡る
「弱いのは別に悪いことじゃねえ。これから強くなればいいことだ。
だが、性根が汚ぇような奴はまずは自分から変わろうとしなければ変わらねえ。
まずはそこを変えてから来い」
一誠は身に覚えのないこと故に後ろめたさよりも戸惑いの感情が大きい。
思い当たると言えば人間だった頃の日常行為くらいである。
それも今はやっていないため自分はそこまで言われるような人間ではないと思っている。
だが、こんな真剣な目で言われるってことはもしかしたら何かあるのかもしれないと考える。
「今までの自分を振り返ろ。そして考えるんだ、今までの自分がどんなことをしてきたか。
そしてその行為を悔やみ、正し、変われ。
これらを理解したならワテのところに再び来ればいい」
ウルフはそこで神器の深いところに消える。
***
とある一室の広い会議室。
そこである怪しい集団が会議を始めていた。
「これで同士は全員集まったか?」
「あぁ、確認できた同士はこれで全員だ」
一番奥に座っている男の質問にその近くにいた男が答える。
「ということは最後まであの二人の勧誘は失敗したということになるか。残念だ」
「確かに、血を受け継ぐ者は少なく覚醒する者はさらに少ない。中には知らず知らずに覚醒する者もいるかもしれないが発見は自覚ある者よりも数段困難だからな。
それ故にあのレベルまで覚醒した二人を野放しにするのは非常に残念だ」
「残念と言えば覚醒者二人と覚醒者らしき一人を悪魔側に取られてしまっていることも非常に残念だ。
同士を倒すのは後々のことを考えると痛い損失だが仕方ない」
男たちは残念な雰囲気を出すがそれもすぐに切り替えて新しい話に移る。
だが、半分ほどの者は結構興味なしといった感じである。
本当に残念がってるのは半分より少ない。
「近々我々はついに進軍する。
皆にはこれからの頑張りを期待している。
一応前もって詳しい日時は伝えるつもりだが、いつでも戦える準備をしておくように
。
何か質問はあるか?」
場を取り仕切ってる男が全員に問う。
その中で一人が手を挙げた。
「ところで、結局最初のターゲットはどこにすることになった?」
「ケ……ッどうせどこも大したことないだろうがよッ!」
集団の中にごく少数だけいる女性の中の二人が質問する。
「ターゲットは最近知名度を上げて手ごろな三大勢力だ。
いま世界では赤龍帝という奴が注目されているのも気に食わない。
特に我こそはヒーローと言わんばかりしてるところが腹立たしい。
真にヒーロー足りえるのは我々だ!」
「そうだ!!」
「すべては、我らが祖先が失ったものを取り戻すために!!」
『失ったものを取り戻すために!!』
奥の男が立ちあがり宣言すると、その他の集団も続いて立ち上がり高らかと宣言する。
サイラオーグに負けたから進級試験はお預け。