悪魔側の挑戦者が300人以下まで減った頃、再び超人同盟からの電波ジャックが起こった。
そして映し出されたのは今まさに戦おうとしているパルテノンとサーゼクス・スシファー。
「いいのかい? 君たちのルールでは六人倒さないと君とは戦えないんじゃ」
「結構時間が経つと言うのにこちらの人数が一向に減らんのでな。
こちらとしても不毛な戦いをだらだらするのは避けたい。
だから超越者と呼ばれるお前を倒して実力の違いをはっきりとさせるのだ!
そのためにお前に特別に私と戦うシード権をくれてやるのだ。
それに、貴様らも我の部下がすべて倒されてから戦おうと思っていたからあんなとこに居たのだろう?
ただ、こっちの人数が一向に減らんかったのは誤算だったのだろうがな。
見方によっては貴様の行動は卑怯と映るだろう。
だが、我は卑怯と罵ったりしない。むしろ賢い選択だと受け取る。
トップという看板を背負ってるからにはそう簡単に倒れるわけにはいかんからな」
「そう受け取ってくれるとはうれしいね」
「後は戦いの中で語り合おう。
そっちの方が早い」
カーン!!
ゴングの音と共に両者が動き出す。
サーゼクスはゴングの音とパルテノンが動き出した直前に話し合いのさなかに練り続けていた滅びの力を少し不意打ち気味に攻撃を浴びせる。
並みの相手ならこれで即終了となるが、こちらの精鋭がパルテノンの部下にことごとく返り討ちにされてることを考えて流石に倒せたと楽観視はできない。
それでもかなりの先制ダメージは与えれたと考えていた。
「グハハハハ! 効かんな!」
「なんだって!?」
だが、パルテノンは全くの無傷の姿で立っている。
普通滅びの力をもろに喰らえばその性質上ただじゃすまないハズなのに、パルテノンは無傷である。
「一ついいことを教えてやろう。
我々超人の体は魔力などには極端に強い耐性を持っている。
それによって特殊な魔力も物理ダメージとしてしか計算されない。
つまり、貴様の滅びの力も私にとってはただボールをぶつけるに等しい行為なのだ!」
「だったら……これならどうかな!」
サーゼクスは今度は滅びの力を鋭い槍状にして貫通力を高めた状態で放つ。
槍は先ほどの不意打ちに匹敵するスピードでパルテノンに向かう。
だが、パルテノンはそれを楽々と片手でキャッチする。
「それともう一つ、超人は魔力などの実体無きものの実体に触れることができる。
超人というものは基本的に接触技以外を持っていないが、この力のおかげで我々はたとえ敵が霧や水に体を変化させようとも等しくダメージを与えられる。
そしてこのように相手の攻撃を受け止めることも可能なのだ!」
パルテノンは受け止めた滅びの槍をサーゼクスに投げ返す。
サーゼクスは飛んでそれを躱す。
だが、パルテノンは一蹴りでサーゼクスの前に飛び出す。
サーゼクスは槍状の滅びの力でパルテノンを迎撃しようと考えた。
一度目の球体の滅びの力は避けなかったパルテノンが槍状の滅びの力は結構遠い時点で受け止めたのを見逃さなかった。
それはたとえ滅びの特性が聞かなくとも貫通力を上げれば通じるんじゃないかという仮説にサーゼクスはたどり着いたからだ。
「
パルテノンはサーゼクスの目の前でバラバラになってサーゼクスの真上に上昇する。
そして重力に従って落下しサーゼクスを石柱の下敷きにした。
「ぐふっ!」
「トドメだ! パルテノン100万トンクラッシュ!!」
パルテノンは再び飛び上がってサーゼクスを全体重で押しつぶす。
だが、サーゼクスは立ち上がらないまでもかろうじて意識は残っており降参を言うつもりもなさそうだ。
「流石に超越者と呼ばれるだけはあるな。
一度だけ聞こう、降参しろ」
「こ、断る……」
「そうか……。
魔王よ、私がパルテノンと名乗るわけを知っているか?」
「さあね……知らないな。
君の姿がギリシャのパルテノン神殿と似てることに関係あるかい?」
「その通り。ギリシャに古代アテナの神をまつる大理石の神殿がある。
その一つが変身したのがこの私だからだ。
そしてもう一つ。はるか昔人間共が私のボディを作る時、永遠不滅の神殿を作るため若くたくましい生贄の男たちを人柱として埋めたのだ。
その時、埋められた男たちの中には超人もいたのだ。
そうして生まれたのがこの私、パルテノン。
そして、これが私の中に眠る男たちの恨みと憎しみの
パルテノンの足元から紫色のヘドロがサーゼクスの方へ伸びていく。
そのヘドロの中にはアンモナイトや三葉虫などの古代に絶滅した生物の化石が多量に浮いており、時折その隙間から人の顔のようなものが浮かび上がる。
「人体化石封じ! グオオオオオッ!」
そのヘドロが少しずつ少しずつサーゼクスに伸びていく。
バタン!!
サーゼクスに触れるまであとほんの少しのところでパルテノンのいる場所の扉が開く。
そこにはたった一人が威風堂々といった感じで立っている。
「むう!? まさかこの短時間であそこから巻き返すとは!?」
カーン! カーン! カーン!!
サーゼクスはついに誰かが突破してくれたと安心しつい気を失ってしまう。
それはヘドロに触れる直前のことだった。
パルテノンは乱暴にサーゼクスを試合フィールドから乱暴に降ろすとそこで放送は終了される。
「ふむ、ちょうど魔王が落ちたようだな。
では、私の元に一番にたどり着いた勇者よ名前を聞かせてくれるかな?」
「私の名は――――――――――――」
***
悪魔側の数字が300人台以下まで落ち込んだにも関わらず超人同盟側の人数は依然として七のまま。
悪魔側もこれには最初の勢いは既になくなってしまっている。
それでも冥界には希望を失っていない子供たちがたくさんいた。それは敗者の名前の中に彼の名前が書かれていなかったからだ。
赤龍帝、それは冥界の子供たちのヒーロー。レーディングゲームでは結果的にサイラオーグに負けたがそれでも子供たちは失望の眼差しなど向けやしなかった。
それは兵藤一誠が日頃の冥界イベントで子供たちに夢と希望を与え続けたたわものである。そして赤龍帝の力のカリスマ性が湧き上がる感情をさらに引き寄せる。それは兵藤一誠の人柄によるものも含まれるのであろう。
だから冥界の子供たちは敗北を経験した赤龍帝がさらに強くなって這い上がってくることを期待している。
そしてその子供たちのあきらめない心は近くの大人たちも勇気づける。
「あっ、あれは!!」
そんな時、ついに七の数字が六へと変化したのだ。
子供たちは赤龍帝が復活したんだと騒ぎ、大人たちも子供の夢を壊さまいとそうだねと勇気づける。
それからも超人同盟の数字は順調に急速に減っていく。
だが、そんな中映し出されたのが魔王サーゼクス・ルシファーVSパルテノンの試合。
その勝負は冥界中の希望を砕くまでには至らなかったが、多大なショックを与えた。
そして今にもサーゼクスがトドメをさされるといった時に開けられた扉。その姿は映らなかったものの冥界の住人はすっかり兵藤一誠と思い込んだ。
数分後、冥界のテレビにはリアス・グレモリー眷属とサイラオーグ・バアル眷属の戦った試合会場とその真ん中に置かれたプロレスリングが写し出された。
「私の名はレディ・ロビン」
扉の先にいたのはビキニアーマーをつけた金髪の女性。
そして、サイラオーグの師匠でもあるエルフ、ロビン・レディであった。
「さて、準備は整った」
「ああ」
パルテノンの元に一番初めに辿りついた人物とは
試合会場の中心に置かれたリングの上にパルテノンとロビンが上がる。
お互いコーナーの両端にもたれかかりリラックス状態で向き合う。
「休息はとらなくてもいいのか?」
「魔王との連戦の心配か?
あれはちょうどいい準備運動みたいなものだ。
むしろ貴様の方が休息をとらなくてもいいのか?
あの連勝はお前の仕業だろ、だったら疲労はそちらの方が上では?」
「問題ない」
カーン!!
「グオオオオオオッ!」
パルテノンはリングの中央に駆けていきロビンは一呼吸遅い出だし。
だが、二人は出だしの差があったにも関わらずリング中央でロックアップの体勢になる。
パルテノンはサーゼクス・ルシファーと戦った時は正直慢心して戦っていた。
今の時代、強者と呼ばれる者は皆魔力や特殊な能力などで強者足りえるもの。その傾向は強い者ほどみられる。
逆にそららを除いた心技体のみで戦う者は良くて中級者止まりとなってしまう。
パルテノンはサーゼクスの戦いを深く研究したわけではないが、サーゼクスが超越者と呼ばれていることと滅びの力が強力ということだけは事前に知っていた。
今の時代、腕力や個々の技ですら魔力や能力、神器などに頼らなくてはまともに戦えない時代。そんな思考である限り超人の体質と優れた身体能力、己の体一つで鍛え上げた技には及ばないと思っていた。
パルテノンは実際それが悪いことではないと考えている。むしろ戦ううえで工夫することはとても大事。
だが、それが自分たちと戦えるレベルではないと数々の強者と呼ばれる者との戦いが実証したまで。
しかし、目の前のエルフは違う。エルフというのは身体能力が低く、知能や魔力で補う代名詞のような種族。
そんな種族が自慢の部下を短時間で倒したという事実。
少なくとも目の前のエルフは我々超人に対抗できる魔王ですら持ち合わせていない何かを持っていると。
「……15万パワーか」
「!……なぜわかった!」
15万パワー。
超人はそれぞれ力の目安として超人強度という数値を持っている。
そしてパルテノンの超人強度は15万パワーなのだ。
「そうだ、私の超人硬度は破格の15万パワー。
この計算を人間に換算すると最大でも100パワー。人外で大体その2~5倍。
それに引き替え超人の平均パワーは5000パワー。
超人の中でも二番目に高い超人硬度が1万5000パワー、それをはるかに上回るパワーだ!」
「なるほど」
二人はロックアップの体勢を解き距離をとる。
そしてパルテノンは猛烈なパンチを繰り出しロビンはそれを躱しつつ防御する。
「我々は確かに超人。だが、正確には少し違う。
正確に言うなら我らは…」
「先祖帰りした超人の子孫」
「な!?」
パルテノンの次のセリフをロビンが言ったためパルテノンは動揺してパンチを止めてしまう。
そこには決定的な隙があったにも関わらずロビンは攻撃をせずに話を続けた。
「昔地球に超人がまだ住んでいた頃、ある事件がきっかけで地球からすべての超人は去らなくてはいけなくなった。
その時どうしても地球に残りたいと言った超人は超人の力をすべて引き渡すことで超人の神から在住を許された。
だが稀に先祖帰りをして超人として生まれてくる子孫がいる。だが超人の神に超人としてのすべてを渡したため本来の超人には程遠い」
「なぜ我々でさえ知らぬことを知っている!!?」
「昔は私もそんな祖先帰りした超人だった。
だが、仲間と繋いだ友情の火種を絶やしたくなかった私は我が家に代々伝わる古文書に記されていた永遠の超人を目指した。
そしてその場所に行くことに運よく成功した私は本来の超人の力を取戻し、その果てについに永遠の超人『
ロビンは一瞬の踏込でパルテノンの目の前まで移動する。
その移動はあまりにも早すぎたためパルテノンは未だにロビンが目の前にいることを認識できていない。
「今や私の超人強度は7000万パワーだ」
「グハッッ!……ハッ!」
ロビンの強烈なパンチを右頬にくらってダメージを負ったところでパルテノンはやっとロビンが目の前に来ていることを認識した。
しかし、ロビンの攻撃はこれでは終わらない。
今度は肩の上にパルテノンを仰向けに乗せ、あごと腿をつかむ。そして弓なりに反らしていく。
そのあまりのダメージにパルテノンも思わずうめき声をあげてしまう。
「タワーブリッジ」
「グゴゴゴ……」
「『
完璧超人とはとにかく強者や勝利を好み、弱者や敗北をとにかく忌避する。
そんな中で私の友情も弱者の思考と否定され続けた。
だが私は仲間との友情を片時も忘れなかった。そしてついには友情の心を保ったまま『
それによってつけられた私の異名は完璧な友情、【完情】ことレディ・ロビン」
ロビンはそのままでも十分パルテノンを倒せるのに、技を解いてパルテノンを回転させて宙に投げる。
パルテノンの巨体を軽々と持ち上げ、放り投げるロビンのパワーにいつの間にか集まっていた悪魔の観客も驚きの喚声をあげる。
ロビンは落ちてきたパルテノンを腕をクロスさせた状態で頭、両足をクラッチさせる
「〈完情〉タワーブリッジネイキッド!!」
パルテノンの柱に急激にひびが入り即座に砕け折れてしまう。
真っ二つになったパルテノンはそのままリングに倒れ動かない。
カーン! カーン! カーン!!
試合終了を知らせるゴングが鳴る。
それと同時にレディ・ロビンに惜しみない拍手喝さいが送られる。
「パルテノン」
「ググ……?」
ロビンは倒れているパルテノンに対して只々握手を求めた。
パルテノンはよくわからずともその握手に応じる。
握手をした後、パルテノンの心にはなぜか清々しさが満ちた。
「情けないぞパルテノン」
「ボス!」
突如巨大モニターに仮面をつけた大男の姿が映し出される。
パルテノンがその男をボスと呼んだことから彼が超人同盟のボスということが判明した。
パルテノンは折れた体をかろうじて起こしてモニターを見る。
「せっかく力をくれたやったのに無様に負けるとは、正直失望したぞ」
「申し訳ありませんボス。
私の力及ばず超人同盟の悲願が遠のいてしまい」
「まあ良い、既に私の改造超人もどきが既に冥界に進軍している。
すぐに冥界は死体の山となだろう」
「な、なんですと!」
その場の悪魔たちはその一言で驚きでざわざわとし始める。
だが、それ以上に驚きを隠せないのはパルテノンだった。
「どういうことですか! 我々が負ければ潔く手を引く。勝てばそのまま収めるハズでは!?」
「グハハハハ!!
何を言っておる、私は始めからこうするつもりだったのだ。
貴様ら先遣隊を送り込んで超人の強さを世界に知らしめ、悪魔共を見せしめの生贄にすると。
そして用済みとなった貴様らもな!!」
「なっ!」
「貴様らは確かに見事に始祖帰りをしてみせた優秀な超人だ。
だが貴様らも所詮なりそこないの下等超人だ、世界をひっくり返すほどの力などない。
だが、自分の力を過信した下等超人もどきはよい使い捨ての兵士になる。
言うことを聞かん兵士など使い捨ての駒にするのが有効な使い道だ。
しかし、正直に言うと貴様には期待して負ったのだぞパルテノン。
お前は超人パワーだけは複数の超人の子孫を埋め込んでるだけあって優秀だった、だから私直々に化身超人として生まれ変わらせてやったのだ」
パルテノンは全身から怒りをあらわにする。
その気迫はとてつもないもで今パルテノンに触れれば有無を言わさずに殺されそうなほどだ。
「下等超人の中でも一番見どころのあったお前を失うのは少し残念だ。
他の幹部共は悪魔に落ちた下等超人に負けるわ悪魔ふぜいに片腕を奪われるわで私自身の手で粛清するはめになったことを考えればお前は本当に優秀だったぞ。
まったく、先祖帰りした下等超人をほぼすべて失うのはこれからの手間を考えると惜しいが仕方ない、言うことを聞かん兵など私の配下には必要ない!」
「貴様が超人の権威を得るために戦うと言ったから私はついてきた。
私がみんなの希望を支える柱となると言ったから部下はついてきてくれた。
だが、お前はそれを裏切ったんだ!」
「はっ、元々貴様らなんぞ全員私がこの地球を支配するための捨て駒に過ぎない。
わざわざ下等超人共の居場所など作ってやる気などさらさらないわ。
私の支配する世界には支配する完璧と支配される下等の二種類しか必要ない!
私が世界を支配したあかつきには私を王とした完璧な世界を実現させる! グハハハハッ!」
「絶対許さんぞボス! いや、ネプチューンキング!!」
「それとそこでアホ面してる赤龍帝に告ぐ」
パルテノンがネプチューンキングに怒りを向けているにも関わらずネプチューンキングはそれを完全に無視して一誠に話しかける。
「貴様の存在は個人的にも気に食わん。
だから貴様には私と直々に戦う権利をやろう」
「なんだと! 望むところだ!」
「グハハハハ! まさか私に勝てる気でいるのか?
超人の子孫などという下等生物などではない本物の超人。
この完璧超人、【
ただし、この戦いで生き残れたらの話だがな」
画面が消えると同時に会場に大量の人間達が流れ込む。
乱入してきた人間達は皆頭四分の一ほどが機械のようになっており目にも感情がこもっていない。
会場にいた手練れの悪魔たちがそれに応戦するが実力は拮抗している。
「あれは……」
「知っているのか?」
「ネプチューンキングが祖先帰りしていない超人の子孫に施した手術跡だ。
特殊な装置を脳に埋め込んで火事場の馬鹿力なるものをいつでも発揮できるようにする手術だ。
だが、それによって感情を失い寿命が極端に減ってしまうことから私が抗議してやめさせたはずの技術。まさかまだ行われていたとは。
いや、ネプチューンキングの本性を知った今ならこの行動も予測できなた」
「無関係な人を巻き込むとは……『
ロビンは未だに消えたモニターをにらみつける。
顔に感情は出てはいないがそれでも雰囲気からロビンが怒っていることは想像に難くない。
会場が混乱に陥っている中、新しく乱入した二人の男が次々と改造人間を倒しながらパルテノンの元に駆け寄ってくる。
「「大丈夫ですか、リーダー」」
「体は真っ二つになったが大丈夫だ。
無機物の化身超人はこの程度では死なない。
それより一般市民たちを」
「「はい!」」
二人の若き超人は改造人間達の中に飛び込んでいく。
だが、すぐさま二人は何者かによってその進撃を止められた。
二人係で一人を押しているがかなり手こずっているようだ。
ロビンはそれを見て加勢しようと一歩動き出すが、二人の超人が力負けをして二人の背で見えなかった敵の姿が見えた途端ロビンは固まってしまう。
「あ……ああ……」
「コーホー」
「ギャアーッ!」
「うわっわわわわわ……うわ―――――!!」
レオパルドンの部下一人は鉄の爪によって頭を串刺しにされ、頭からはおびただしいほどの血を流し四肢は力なく垂れ下がる。
殺した張本人は真っ黒な仮面に怪しい笑みを浮かべる。
恐怖に臆したもう一人の部下はその場を逃げ出した。
黒仮面の男はそのままロビンたちに襲いかかろうとするが、客席で何かを見つけたようでロビンを無視してそっちに行ってしまう。
***
一誠、リアスは観客せいで超人同盟の改造人間と戦っていた。
改造人間は確かに強いが一誠とリアスには対応できないほどの強さではない。
非戦闘員の市民悪魔たちを避難させつつ戦っている。
その二人の前に黒仮面の男が人ごみを切り裂いて現れる。
「待て!」
パルテノンは黒仮面と一誠たちの間に割って入る。
パルテノンは真っ二つになった体を無理矢理引っ付けてここまで来たのである。
人間でいう骨折した足を無理矢理動かして来たようなことである。
「これ以上無関係な者を巻き込むな!」
「コーホー」
「やはり話は通じんか。
ならば実力行使だ!」
パルテノンは黒仮面に向かって果敢に駆け出す。
だが、パルテノンはまともに動かない体を無理矢理動かしているのである。
故に普段なら避けれる攻撃も避けることができない。さらに無機物の化身超人のデメリット特徴、というより硬い物すべてに言える弱点。
そのものが硬ければ硬いほど少しの傷が命取りとなる。
それどころがパルテノンは体が大きいことから普段でさえ回避ではなく受け止めるを選択せざる負えない。
黒仮面の鉄の爪がパルテノンの心臓に向かって真っすぐに突き出される。
「グハァァァ!!」
柱にひびが入っているパルテノンでは攻撃を支えることはできない。
パルテノンは衝撃のまま再び真っ二つに折れ爪も心臓に突き刺さる。
幸い折れたことにより攻撃の衝撃が緩和され傷は浅いため絶命には至っていない。
が、それも時間の問題である。
黒仮面はパルテノンはこれで終わりだと判断してパルテノンから目を切る。
次に黒仮面の男はパルテノンはもう戦闘不能と認識すると再び一誠たちの方を向く。
だが、パルテノンは折れた上半身だけで黒仮面の男を後ろから羽交い絞めにする。
最後の力を振り絞ったあがきである。
「逃げろ!
こいつは私でも勝敗がわからぬ奴だ。
お前たちが命を散らすことはない!
早く逃げろ!」
「コーホー」
黒仮面の男はパルテノンを強引に外す。
だがパルテノンも負けずと黒仮面の足にしがみつく。
流石にパルテノンがうっとおしくなった黒仮面はパルテノンの顔面を蹴って拘束を外させてから鉄の爪でパルテノンを何度も切り裂く。
パルテノンは何とか一人でも多く逃げれるように必死に耐える。
「やめろよ! 仲間なんだろ!!?」
「……」
「このッ!!」
一誠が黒仮面の男に『
一誠は足腰の力で急ブレーキをかけて緊急回避をしたことによりかすっただけで済んだ。
だが、鉄の爪は無事で対する一誠の鎧はほんのわずかだが欠けている。
それはこの鉄の爪がただの鉄ではないことを物語っている。
すると黒仮面の男は一瞬のうちにパルテノンへの攻撃をやめて一誠たちの方へ向きなおす。
そして錐揉み回転しながら一誠たちの方へ向かってくる。
「コーホー」
一誠は『
にも関わらず黒仮面の男が動いたことに一瞬といえど二人は認識できなかった。
その攻撃はリアスに向けられている。
リアスよりも早く気づいた一誠はリアスを庇う。
「危ない! リアス!」
「……え、はっ!」
一誠は直感的にわかっていた、この攻撃は鎧を貫通することを。
危機感により一誠の体は普通は動けないハズ。
だけど愛する女性を前にして反射的に体が動いたのだ。
今まで感じたことのない鋭く冷血な殺気と魔力や神器などのどことなく非現実感を漂わせるものではなく現実的な凶器。
それが一誠をより死の恐怖を感じさせる。
だが一誠はそれに負けずに飛び出した。
「よくやった、兵藤一誠!
その恐怖に負けずに愛する者のために戦える心、それこそがお前の美徳だ!」
黒仮面の男の攻撃は変わった鎧の男によって止められている。
受け止められている黒仮面はすぐさま捕えられてる腕を外して距離をとる。
「ただ、助けたいという純粋な気持ちでもプライドを賭けた戦いを邪魔するのは良くなかったな。
まあ途中から見たお前にそれがわかりにくいだろうしワテもきちんと教えれるわけじゃないし―――――――察しろ! としか言えねえな。
でも、損得抜きで他人のために動こうとできることはお前の良いとこでもあるけどな」
「この鎧は……?」
目の前の変わった鎧の一誠はどこかで見たことがあると思う。
そしてどこで見たことがあるかを思い出す。
それもそのハズ。その鎧は『
感じる気配も赤龍帝の気配である。
「……これ、邪魔!!」
「「ええッ!!?」」
だが目の前の人物はそれを次々に砕いてしまった。しかも素手で。
自身の鎧を次々に破壊して最後の頭の鎧を砕くと現れたのは、歴代赤龍帝で籠手の中に封印されていたハズのウルフ。
「鎧壊しちまったけど……まあいっか。
この鎧ってあの時も結構邪魔だったからな。
自我を失って得られたのが動きづらさと遠距離攻撃だけだもんな。まああの場ではその遠距離攻撃が欲しかったからいいけど」
「ウルフ!!?」
ついさっきまでリングの上で固まって何かを考えていたロビンが客席のウルフを見て声を上げる。
そして急いでウルフのいる方へ近づく。
「ほ、本当にウルフなのか……」
ロビンはゆっくりをウルフの顔に手を当てながら問いかける。
「おうよ! こんな鋼の筋肉を持つ男と言えばワテはワテ以外に知らんぜよ」
「ウルフ!!」
ロビンはウルフに思いっきり抱き着く。
ウルフもロビンを落ち着かせるために背中をポンポンと叩いてやる。
5秒ほど抱き着いて離れたロビンに向かってウルフは質問をする。
「ロビン一つ聞きたいんだがあの後、ワテが死んだ後真弓は、みんなはどうなった?」
「お前のおかげで無事生還できた」
「そうか、それはよかった。
俺も命をなげうった甲斐があったってもんだぜ」
「コーホー」
黒仮面の男は臨戦態勢を保ったままこちらを見ている。
「ウォーズ……いったいどうしちまったんだ?」
「ウォーズ?」
一誠がウルフに対して質問する。
「あいつの名はウォーズ。
かつて俺とロビンと同じ志を持った仲間だった奴だ。
確かに以前は冷酷と呼ばれた時代もあったが、本当は暖かい心を持った優しくて強い超人だったんだけどな」
「今のそいつはそんなんじゃない」
倒れているパルテノンがウルフに語りかける。
かなり衰弱してるがまだまだ精神力で持ちこたえているといった感じの状態で。
「昔はどうだったか知らんが、今のそいつはネプチューンキングの忠実な殺人マシーン。
初めてそいつに出会った時、そいつはただの壊れた機械であった。
それを持ち帰ってネプチューンキングが改造してしまったのだ。
くっ、もしも私がネプチューンキングの助けになるかと思って持ち帰らなければこんなことには。
しかも同時にお前たちの仲間をも怪我してしまった。
私の責任だ」
「違う!!」
「どうしたんだロビン?」
ウルフの質問にロビンは暗い表情で語りだす。
「お前が死んだ後、真弓を狙う残党との戦いでウォーズは命を落とした。
私も必死に治療を試みたが、記憶の回路が完全に焼き切れていたため蘇生できてもそれは全く別のウォーズになってしまう。
だから私はウォーズの遺体を土葬したのだ。
本当は機械超人のウォーズの体は二度と悪用あされぬように火葬にするべきだった。
だが、もしかしたらウォーズなら完璧に蘇生させる方法があるのではないかと考えた愚かな私にはできなかった。
それがこんな結果に……すまない犠牲になった者たちよ、すまないウォーズ」
いつも仮面をつけたように無表情なロビンの表情に変化が現れる。
「だから、その始末は私がつけなくてはならない。
ここは私に任せてくれ!」
ロビンは涙を流しながら前にでる。
だが、ウルフがそれを遮る。
「おっと、そうはいかねえな」
「どいてくれウルフ」
「涙を止めろよロビン、美人な顔が台無しだぜ。
それに、女にそんな悲しい役目やらせるわけににゃいかねえ。
ここは死人同士ワテが行かせてもらう」
そう言ってウルフはウォーズの前に出る。
「待て! これは私の責任だ、だから私が…」
「お前のせいでもパルテノンのせいでもねえよ。
それにな、ワテは真弓とアメリアの前ではかっこいいとこを見せられた気はするけど、ロビンには見せた記憶はねえ。
だからワテにかっこつけさせてくんな!」
「ウルフ……」
ロビンはこれ以上何も言わなかった。
そしてウルフはウォーズの前に躍り出る。
「ワテのおそらく最後の大舞台、みててくんなロビン。
行くぜウォーズ!!」
「コーホー」
ウォーズが走りだすと同時にウルフはその場を一歩も動かずにまるで相撲のようなスタート体制をとる。
そしてウォーズがある程度近づくと、
「はっけよーい、のこった!!」
踏ん張り強く動き出した。
ウルフはまず迫りくるウォーズの両腕を払いのけて正面をがら空きにする。
「ねこだまし!」
通常のねこだましと違いウルフはウォーズの両頬をサンドするように掌底攻撃を与える。
それによってふらついたウォーズに張り手の連撃を浴びせかける。
「オラオラオラオラッ!」
ウォーズは既に何の抵抗もできずにふらふら状態に陥る。
そこからさらにウォーズの顔面を両手で捕まえ、ひねり投げる。
「合掌ひねり」
ウォーズはひねり上げられ、張り手の連続でフラフラのウォーズは碌な受け身をとれずに地面に激突する
ウォーズの体からバチバチと蒸気が上がる。
それでもウォーズは立ち上がり凶器を構えて突撃してくる。
「昔のウォーズならもっとクールに対処しただろうし、初手のねこだましも決まらなかったろう」
ウルフは鉄の爪を両手に構えて突撃してくるウォーズの両脇の下に自分の腕を入れて、ウォーズの首を自分の腹に着けて差した両手を組んで相手の両腕を極める。
さらにその状態から自分を体重を乗せてウォーズの頭部を地面に激突させた。
「相撲決まり手非技、五輪砕き!!」
ウォーズはそのままバチバチと音を立てつつもまったく動かなくなった。
それと同時にウルフもふらふらになって壁にもたれかかる。
そして胸の三つの宝石にも急速にひびが入る。
「外で実体化するための三つの宝石も今にも砕けそうだし、ワテの体力も限界だ。
このまま消えるか籠手の中に今度こそ永遠に封印されるのどっちかしかねえな」
「ウルフさん……」
「だが!」
ウルフは自分の胸の中に自らの腕を深く突っ込んだ。
そして自分の肉体の中から光の玉を取り出す。
その玉の放つ光は力強くパワーにあふれている。
「これはワテの超人パワー。
これを次に託したい」
ウルフは最後の力を振り絞って立ち上がり一誠の方へ歩いて行く。
「ウルフさん……?」
が、そのまま一誠を素通りしてしまう。
「兵藤一誠、確かにお前の仲間を思う気持ちは熱い物を感じるぜ。
だがな、ワテはお前には未来を託せそうにない。
そして今目の前に未来を託せそうな男がいた、パルテノン」
「グオ……!」
「それにな、ワテやロビン、ウォーズ、ブルーダー、アメリア、
それってつまり俺たちの友情は赤龍帝の力よりずっと強ぇってことじゃねえか。
だからワテは赤龍帝よりも友情を残す」
ウルフはパルテノンに自身の超人パワーを差し出す。
パルテノンは超人パワーの玉とウルフの顔を何度も行き来する。
ウルフはニッと笑って見せる。
「いいのか?」
「一度は捨てた命だ」
パルテノンはウルフに腕を伸ばす。
しかしそれは超人パワーの玉を持っていないもう片方の腕に。
ウルフはパルテノンの意図に気づきその差し出す手を取りがしっと握手を交わす。
「ウルフ、君の友情確かに受け取った。
後は私に任せてくれ」
「ああ、頼んだぜ」
ウルフの超人パワーを体に入れるとパルテノンの傷はみるみるうちに回復し完全復活を果たす。
それて引き替えウルフの体は徐々に消え始める。
ロビンはそれを今にも泣きそうな顔でみる。
「すまねえなロビン。思い出話の一つもしたかったろうけどよ」
「いや、いいんだ。
私はまたお前に会えたことがうれしい。
そして今度こそ安らかに眠ってくれ」
「そうさせてもらうぜ。
あばよロビン」
「ああ、死しても我々の友情は永遠だ」
「もちろんさ」
「おっと忘れてた、おい! 兵藤一誠!」
ウルフは何かを思い出したかのように一誠の名を呼ぶ。
急に名前を呼ばれた一誠は一瞬びくっとする。
「お前はまだ間に合う。だから……変われ」
それを最後に言うとウルフは一誠から目を外してロビンの目を見る。
最後の瞬間まで二人はお互いの目をしっかりと見つめる。
ウルフの姿は完全に消えてしまう。
そして胸に着けていた三種類のひびの入った宝石だけが残ったが、地面に落ちた瞬間に砕けてなくなってしまう。
ロビンは涙を拭いて再び戦場を見る。
その時のロビンの表情はいつも通り仮面を被ったかのように固い無表情へと戻っていた。
だが、その瞳は一切の濁りはない。
***
「人体化石封じ!」
完全回復したパルテノンは次々と改造人間を倒し非戦闘員悪魔と戦闘員悪魔を逃がしていく。
ここは超人である自分がすべての責任を負うと言って。
だが、流石にすべてをパルテノン一人で背負うにはあまりにも数が多すぎる。
「焦熱地獄!」
「ワニ地獄!」
突如上空からあらわれた二人によって改造人間は次々に炎に飲まれ、食いちぎられる。
パルテノンは突如現れた乱入者をみて目を丸くする。
「ザ・くノ一! スニゲーナ!
なぜここに!? お前たちはネプチューンキングについてるはずじゃ……」
「私たちはあんな奴鼻から信用してなかったのさ」
「独自の調査の結果、証拠はつかめなかったが薄暗いところはいくつも見つかった」
パルテノンの前に出てきたくノ一とスニゲーナはバンバン敵を倒しながらしゃべる。
くノ一は的確に急所を破壊し、スニゲーナはどこであろうとワニの腕で食いちぎる。
「あいつは自分の思い通りにならない奴はすべて切り捨てるつもりだったのさ」
「それは私たちも含まれている」
「だから奴に一泡ふかせてやるために」
「あのお二人の超人を完全に目覚めさせて万全の状態で反乱に加えたのさ」
くノ一が奥の扉を指さす。
すると扉は突然吹き飛んで扉の奥にはやる気十分のバッボとペンタゴナが立っている。
体に多少傷跡が見られるが元気そのもの。
戦闘意欲も高い。
「ちょっと遅れちゃったかな?」
「カラカラカラ、まあ間に合ったから良しとしようぜ」
バッボとペンタゴナの登場を確認して周りを見ると実は超人同盟の他のメンバーもちらほらと集まって来ていた。
そして民間人を避難させつつ改造人間を蹴散らしている。
「行くぜマジシャーン!
俺たち『世界一凶悪ペア』の初大舞台だッ!!」」
「イエッサー!」
「にょほー! 俺たち『アフリカン・ケルベロス』も負けてられねえな、アイアンマスク」
「おう! コイサンマン!」
超人同盟の殆どのメンバーが集まり自体は急速に収集されつつある。
そこにロビンも加わってあっという間に改造人間は全滅した。
そして、ネプチューンキングの元にジャンプする魔法陣ががら空きとなる。
一誠、リアス、そして一誠に戦わせずに自分がネプチューンキングと戦おうと思ってるロビンが魔法陣の上に乗る。
この魔法陣は一誠が乗らなくては発動せず、ロビンも書き換えようと思えばできるが時間がかかるため一誠の同伴としてジャンプする。
***
「<完力>マッキンリー
「グボァ!!」
カーン! カーン! カーン!!
一誠たちが到着した時、ネプチューンキングはちょうどリングの上で倒されているところだった。
意気込んできた一誠は肩透かしを食らいリアスも事態をうまく呑み込めていない。
だがロビンはネプチューンキングを倒した相手をじっと見る。
「クマ――――――!!」
ネプチューンキングを倒した相手は勝利の雄たけびをあげる。
ネプチューンキングを倒したのは熊の毛皮を被った少女。
だたし、熊は熊でもテディベアだが。
ロビンは少女の方へ歩いて行く。
「あっ、ロビンさん……」
「久しぶりだな、ポーラ」
急に歩き出したロビンを止めようとした一誠だがロビンは少女に親しげに話しかける。
ロビンに気づいた少女はリングを降りてロビンの方へ歩く。
「久しぶりだクマ~。
だけど、今の球磨の名前はポーラじゃないクマ-。
今は球磨だクマー」
「そうか。
いつから地球に?」
「ロビンが出て行った半年後ほどクマー。
ロビンの友情に触れて家族と言うものが欲しくなったクマ」
ロビンとポーラと呼ばれた少女は周りを完全に放置して親しげに話す。
その間一誠とリアスは今ここで何か起こったのか自分の中で整理する。
「そうか。
それで、家族は見つかったのか?」
「それは…」
「にゃあ、残党狩りは終わったにゃ」
「ネコ耳と二尾の尻尾ってことは、小猫ちゃんと同じ…」
すると今度はネコ耳と二尾の尻尾を生やした少女が現れる。
その少女の登場と共にドライグがぶるぶると震えだした。
「どうした? ドライグ」
「相棒、あいつは……多摩は危険だ!」
「多摩?」
「何にゃ?」
「え?」
一誠が多摩という名前を口に出すとネコ耳の少女が反応を示す。
すると少女は何かに気づいたように一誠に近寄りじーっと見つめる。
「にゃあ、赤龍帝だにゃ。
久しぶりに見たにゃ」
「えっと……」
「は、離れろ!」
ドライグが怯えが目に見えてひどくなっていく。
「いったいどうしたって言うんだよ!」
「そいつはな……昔、禁手化状態の赤龍帝と白龍皇を同時に殺したことのある妖怪だ!」
「え!!?」
「しかも、持ち主が死んだ後も俺たちは多摩に無理矢理宝玉を穿り出されて、次世代の使い手の元に行けずに遊び道具にされた上にすぐに捨てられた」
「赤龍帝と白龍皇を同時に殺した!!?」
一誠は目の前の少女がそこまで強力で凶暴な行為をしていたことが信じられずにただただ驚くばかり。
それでもドライグの調子から嘘ではないことが証明されている。
「多摩、そんなことしてたクマか」
「闘争本能が強かった時の話だにゃ。
赤龍帝と白龍皇の宝玉がとてもきれいだと聞いて欲しくなってにゃ。
でも、人魂の方がきれいだったにゃ」
多摩はそれ以上興味ないといった感じで一誠にはそっけない態度で球磨のよこに行く。
「ロビン、紹介するクマ、妹の多摩だクマー。
他にも下に三人いるけどみんな可愛い妹たちクマ。
最初は100年ほど体験するだけのつもりだったけどもうこの家族の暖かさに病みつきクマ♪」
「多摩です。猫じゃないにゃ。火車だにゃ」
「よろしく」
「火車? 猫又や猫ショウじゃなくて?」
「馬鹿め、もう一つ別働隊がいるとも知らずに呑気に……」
リング上のネプチューンキングが小さな声を発する。
それを聞いた球磨と多摩は一瞬のうちにリングの上に上がり、
「まだ生きてやがったクマかッー!!
ポーラネイル!」
「ガハッ!!」
球磨はネプチューンキングの胸に容赦なく熊の爪を突き刺した。
それによってネプチューンキングは口から大量の血を吐きだして今度こそ絶命。
だがそれだけでは終わらない。
「地霊灼熱葬火」
ネプチューンキングの遺体がリング上すべてを覆うほどの真っ赤な炎によって包まれる。
炎は極短時間で消えたが、そこには何も残らなかった。
一誠は多摩から発せられた一瞬の殺気と膨大な力を感じ取りドライグの話が完全に嘘でも誇張でもないことを理解する。
「ところで、こいつの言っていた別働隊は?」
「それなら多摩が行った時にはみっちゃんが全部片付けてたにゃ、夜中にうるさいという理由で。
お姉ちゃんの言った通りみっちゃんは優秀だったにゃ」
「おぉー! やっぱり球磨の見込んだ通りだったクマー。
本人は一切知らないけどクマー♪」
すべてはただ今を持って収束された。
後日、三大勢力ではこのことが報告されパルテノン、ロビン、球磨姉妹は冥界に呼ばれることに。
***
冥界に呼ばれた超人三名(+妖怪)は各々の想像通り同盟の話を持ちかけられることに。
三大勢力としても超人と呼ばれる者の強さを目の当たりにしどこにも所属していない彼らを野放しにするのは惜しいと思った。
パルテノンは今までネプチューンキングを通さない情報からも三大勢力の情報は得ていたが、今の三大勢力と組むことはできないといってパルテノン率いる『新・超人同盟』は姿をくらました。
最後にもう攻め込んだりしないと口約束とどこかの傘下に収まるつもりはないとだけ残して。
ロビンも三大勢力に肩入れするつもりはないと言って同盟を拒否。
そして球磨と多摩も…
「断るクマー!」
「いやだにゃ!」
同盟を激しく拒絶した。
『新・超人同盟』とロビンは取りつく島もなくさっさと出て行ってしまったからこっちの姉妹だけでも引き入れたかったため食い下がって協力関係を提案。
だが球磨姉妹はそれも強く拒否する。
「絶対嫌クマー!
そもそもお前ら三大勢力が今まで勝手なことをしたせいで球磨たちの平穏も脅かされたクマ!
口では平和平和と言っておきながら一番平和を乱してるのはお前らクマ!」
「そんなに生き残りたいなら悪魔、天使、堕天使だけで和平しとくにゃ。
そして他種族を巻き込むなにゃ!
一番下の妹は厨二病こじらせて危うく悪魔になるとこだったにゃ!!」
球磨と多摩は頑として威嚇の体勢を崩さずにトップたちと対峙する。
少しでも不穏な動きをすれば即狩られそうな雰囲気が漂う。
「いいかクマ、球磨の家族は球磨にとって一番の宝物クマ。
もし傷つけるなら容赦はしないクマ。
お前らは他人の大切を犯すことの罪深さをもっとよく考えるクマ!」
そう言ってプンプン起こりながら球磨と多摩も出て行く。
とりあえず超人の危機は去ったが、得たものはほとんどなかった。
むしろ今数えられるものは失ったもの、そして失うものである。
おまけ
佐世保家の経歴。
長女(超人):元は『
その際にロビンの言う友情や愛情などを知り地球へ。
長い歳月をかけて家族の温かみを知りそのまま在住。
次女(妖怪):元はただの喧嘩っ早い猫又。だが、それが災いして強い妖怪に狙われるも鵺に助けられその強さにあこがれを感じ長い修業の末に火車へと進化した。それからも剣隠癖は抜けずに暇さえあれば喧嘩。
その中で球磨と出会い、コテンパンに負けてから球磨をご主人様と呼び仕えた。
そこから徐々に単純な暴力以外の強さを学び、ご主人様はお姉ちゃんへ変わっていき今の状況。
尊敬するのは球磨と鵺。
三女、四女(人間):とある孤児院で起こった非人道的実験の生き残り。現在は球磨に助けられて球磨の妹となった。
現在はその記憶は球磨によって封印されているが、体に染みついた恐怖からお互いに依存し合ってる部分がある。(レズ)三女は軽傷、四女は重傷。
末っ子(人間):とある裏軍事組織で生まれたころから残虐な教育をされてきた。その組織は軍によって壊滅したが、彼女だけが生き残り多摩に保護された。
最初は他人の気持ちがわからない精神病を患っていたが現在は厨二病を患っている。