BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 2話くらいで、「お気に入り数200突破しました! みなさんありがとうございます!」とか書いてるのを見るとつらくなる今日この頃。でも今年最初の投稿で評価10ついたからDMY(でも まあ よし)ありがとうございます!
 まあ多作品のキャラを使わないときちんとキャラクターを伝えられない未熟者ではそりゃ差も開きますよね。
 とりあえずこの作品はこの方向性で頑張ってみます。
 皆様どうかもうしばらくおつきあいお願いします。


心を失いし獣

 いつも通りのオカルト研究部。

 ただし、ちょっと前までいたギャスパーとレイヴェルがこの場にいないところを見ると和平会談前のオカルト研究部のようにも見える。

 

「これはおそらくもはぐれ悪魔の仕業ね」

「でも、物理的被害はないんですよね?」

 

 ここ最近駒王町ではぐれ悪魔らしき被害が増えてきている。

 だが物理的被害はゼロ、直接襲われたという被害もゼロ、目撃者もゼロ。

 一誠にはなにがはぐれ悪魔の仕業と断定できたのかがわからなかった。

 

「物理的な被害がなくともそういった輩もいるわ」

「一誠くん、今や駒王町は三大勢力の和平の象徴でもあるの。

 そこを荒らすのはそれこそはぐれ悪魔か禍の団くらいよ。

 禍の団にしては被害が人間側にあることからそうじゃないかとの過程ですわ」

「なるほど」

 

 朱乃の説明で一誠もリアスの考えを理解した。

 すると次に小猫がリアスに話しかける。

 

「ギャーくんはどうします?」

「本人に行く意思があれば連れてくわ。

 思いっきり力を使うことで少しは気分が晴れるかもしれないからね」

 

 現在準引きこもり状態になっているギャスパーを何とか元気づけようとするリアスの考え。

 既に神器が制御できなくて周りの人を止めてしまうという最初の原因は克服している、あとは

 

 

 

 

 

     ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 討伐メンバーはいつものリアス眷属に加え新しい戦車のロスヴァイセも加わっている。

 ロスヴァイセはもともとオーディンに置いて行かれた後にリアスたちに拾ってもらえた恩義を感じており、その恩義を直接返せるときが来たと張り切っている。

 

 そしてギャスパーは結局はぐれ悪魔討伐に参加することに。

 ギャスパーは確かに不審を抱いている。

 しかし、それで自分に落ち度を作ってしまっては元も子もない。

 とりあえず決定的な証拠となることがあるまでは今まで通りリアス眷属の僧侶として働こうとしたのだ。

 道中一誠がギャスパーを元気づけるような言葉をかけるがギャスパーの心が晴れることはない。

 ギャスパーはとりあえず「ありがとうございます」とだけ言っておく。

 

 今回の事件はどのような被害があったかというと、端的に言うと体調を崩す人が増えたということ。

 不特定多数の人が街中や家の中で突然精気を吸い取られたのだ。

 なかには吸われすぎて命を落としそうになった人も。

 そして被害者が特に多いエリアに調査に来た。

 そこでリアス眷属は不思議な気配を感じた。

 リアスたちはその気配が感じるほうへ進む。そしてその気配の正体を見つけた。

 そこにいたのは、白い骸骨のような仮面を付け胸のあたりに大きな穴が空いている巨大な怪物。その姿は一切の生気を感じさせない。

 

「―――――――――!」

 

 何かわからないその怪物はリアスたちを見ると声になっていない叫び声をあげて襲いかかってきた。

 木場とゼノヴィアはすぐさまそれに反応して反撃に移る。そして仮面の怪物の両腕を斬る。

 小猫もそれに続いてがら空きになる腹を攻撃した。

 

「!?」

「なにっ!?」

 

 だが、聖魔剣もエクス・デュランダルも仮面の怪物の太い腕をわずかに切る程度しかできていない。

 子猫の一撃に至ってはノーダメージの様子。

 

「でしたらこれはどうですか!」

「雷光よッ!」

 

 遠くから新しい戦車のロスヴァイセと朱乃は遠距離魔法攻撃で三人が仮面の怪物から離れる時間稼ぎをする。

 二人は本当はこのまま倒せなくともかなりのダメージを与えるつもりで攻撃したが仮面の怪物には大したダメージには至っていない様子で動きを止める程度に収まっている。

 

「くっ、ならばこれならどう!?」

 

 仮面の怪物の動きが止まっている隙にリアスは滅びの力を放つ。

 さすがにあの頑丈な怪物も滅びの力は通ると信じて。

 だが、仮面の怪物の口から放たれた閃光にかき消されたうえにその攻撃をくらってしまう。

 

「―――――――――」

「なんですって!? キャ――――――!!」

「部長!」

「リアス! 俺の大事な人を傷つけやがって、もう許さねえッ!『時龍の戦車(ウェルシュ・シュバリエ・ルーク)』」

 

 リアスを傷つけられて激昂した一誠は『時龍の戦車(ウェルシュ・シュバリエ・ルーク)』で仮面の怪物に突っ込んでいく。

 一誠の拳は木場やゼノヴィアの攻撃よりはダメージ量は高かった。

 しかし、同時に敵の攻撃も『時龍の戦車(ウェルシュ・シュバリエ・ルーク)』の上から一誠に僅かながらダメージを与えられている。

 

「大丈夫ですか、リアスさん」

「ええ大丈夫よ。

 それよりみんな、一誠の援護に回って頂戴!」

『はいッ!』

 

 リアス眷属たちは一誠をサポートするように仮面の怪物を攻撃する。

 仮面の怪物の動きはまるで獣、知性を感じさせず本能と感覚だけで動く獣ならばいくら敵が強くとも突破口は十分ある。

 スピードと数で撹乱し敵の射程外から遠距離攻撃、そして敵が閃光攻撃のチャージをしている時に強力な一撃を与える。そして傷ついたなら回復。それを繰り返す。

 少しずつだが仮面の怪物を押している。

 

 

「ハッ!」

「―――――――――!!」

 

 一誠の攻撃が仮面の怪物の仮面に当たりひびが入る。

 すると仮面の怪物は突如痛がるそぶりを見せてリアス眷属を力任せにはねのけた。

 

「もしかすると、あの仮面が弱点なのかも」

 

 仮面の男の仮面を攻撃された時の尋常じゃないほどの嫌がりと痛がりを見て木場はそう推測する。

 仮面の怪物の反応を見て誰しもその推測が正しいと結論付ける。

 

「そっか、じゃああの仮面を引っぺがしてアイツの面を直接ぶん殴ってやる!

 俺の大切な人な人を傷つけた責任はとってもらうぜ!」

「ギャスパー『停止世界の邪眼(フオービトウン・バロール・ビュー)』でアイツの動きを少しでも長く止めて頂戴。

 みんなはその隙に一斉攻撃よ」

『はい』

 

 リアスの指示で全員がすぐさま配置につく。

 だがギャスパーは不安だった。不審を抱いている自分がきちんと神器を制御することができるか。

 以前まではかなり制御する自信はあったが、身体の一部となっている神器は本人の精神状態などに左右されやすい。

 

 そんな不安を抱きながらもギャスパーは神器を使用した。

 それが失敗かはたまた敵が強かったのかはわからないが敵はほんの一瞬だけ動きを止めた。

 

「今よッ!」

 

 リアスの号令とともにリアスも含めた眷属たちが一斉に仮面の怪物に襲い掛かる。

 木場とゼノヴィアの剣が怪物の両足を止め、朱乃のロスヴァイセが魔法で両腕を止め、子猫とリアスが閃光攻撃を防ぐ。

 お膳立てをされた一誠は先ほどの仮面のひびに向かって全力の一撃をくらわせる。

 すると仮面のひびはどんどん広がり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとよ仮面を外してくれて、おかげでよく見えるぜ!」

 

 仮面の奥からはなんと人間の男の顔が現れた。

 衝撃の事態に硬直したリアス眷属を仮面の大男は素早く拘束を解いて一誠に強力なパンチを放つ。

 

「ガハッ!」

「一誠!」

「テメエらもだ!」

 

 仮面の大男は先ほどの獣のような動きから一変してリアス眷属を一人一人確実に攻撃をあてる。

 さらに仮面の大男は瞬間移動したかのように一瞬姿を消してはリアスたちに強力な攻撃を与えた。

 ほぼノーガードからリアス眷属は一誠と同じところに吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされた場所はアーシアとギャスパーもいるところで飛ばされた拍子に二人も巻き込まれてしまった。

 

虚砲(セロ)

 

 仮面の大男は大口を開けてそこに力を集中させる。

 そして口から放たれた閃光を全員まともに受けてしまう。

 その威力は先ほどよりずっと強く全員すぐには動けないほど。

 

「ガハハッ! ありがとよ、虚に落ちちまった俺を仮面を剥がして正気に戻してくれてよう。

 お礼に苦しめずに喰らってやる!」 

 

 仮面の大男はリアス眷属のもとに走る。

 リアスたちを喰らうために。

 一誠や木場といったもとから体を鍛えている人たちは何とか立ち上がる。

 だが、特に鍛えていないアーシアや防御力の低い朱乃やリアスは立ち上がれない。

 一誠たちも立ち上がれるからと言っても逃げ切れるほどの力はない。

 せいぜいあがく程度である。

 絶体絶命のピンチ。

 

 

 

 

 その時、暗闇の中から一つの影が飛び出して仮面の大男の背中に乗る。

 そして素早く両手で印を組み手のひらを仮面の大男の背中につける

 

「土遁、加重岩(かじゅうがん)の術」

「ああ゛っ!?」

 

 ドシンという音とともに仮面の大男の動きが突如完全に停止する。

 仮面の大男は両腕で自身の重さを支えるので精一杯なのである。

 

「か、体が重い……!」

「そういう術をかけていますからね。

 相手が大柄であればあるほどこの術に嵌りますからね」

 

 仮面の大男の背中から女性の声が聞こえてくる。しかし暗がりで姿までは見えない。

 リアスたちは助っ人が来たと確信した。

 しかしいったい誰が来てくれたという疑問も上がってくる。

 

「なめんじゃねえぞッ!!」

「わわっ!」

「危ない!」

「奥で隠れている奴も含めてかかってこいやッ!」

 

 女性の言葉が癇に障ったのか少しイラつきを見せた仮面の大男は右手をグンとあげて見せた。

 急に動いた衝撃で背中の女性はバランスを崩し落ちてしまう。

 それを見て一誠はすぐさま女性を助けようと動き出した。

 しかし、女性が落ちたことで術から逃れた仮面の大男は急に体が軽くなったため自分でも予想外の攻撃をしてしまう。

 本人すら不意打ちの攻撃を見事予想してみせるなんて芸当はそうそうできるものではなく当然リアス眷属は誰も手遅れになる前に反応はできなかった。

 

「風遁、大突破(だいとっぱ)

 

 突如吹いた強烈な風が仮面の大男の攻撃を防いだ。

 その突風のおかげで仮面の大男は転ぶまではいかなくとも態勢を崩した。

 その風の範囲にいたリアス眷属も危うく飛ばされそうになるもその場にしっかりしがみついていたことで飛ばされずに済んだ。

 だが、仮面の大男の上に載っていた女性だけは空中にいたにも関わらず突風に飛ばされずにゴスッという重い音とともにそのまま地面に着地。

 

「油断してはだめですよ、草下」

「す、すいません会長」

「ソーナ! あなただったのね助けに来てくれたのは。感謝するわ」

 

 風が吹いた方向から現れたのはソーナ・シトリーとその眷属たちである。

 リアス眷属のピンチを助けたソーナ眷属である草下もソーナたちのもとへ戻る。

 

「彼女たちのパートナーが嫌な予感がすると言ったので来てみたのですが、どうやら正解だったようですね」

「また邪魔ものが増えたか。

 だったら貴様らの魂も喰らってやるわ!」

「おとなしく食べられる気はありません」

 

 仮面の大男がソーナたちのほうへ駆け出すと、ソーナ眷属の兵士の仁村と戦車の由良が前に出て何かの印を組む。

 その素早い印の組み方はなにをしているのかリアスたちはまったくわからなかったがきちんと意味のあるものである。

 

「雷遁、地走り!」

「火遁、豪火球の術!」

 

 仁村は地面に手をつけそこから地面を走るように仮面の大男に向かって雷を走らせる。

 由良は直径が等身大ほどの火の玉を作り相手に向けて吹く。

 地を這う雷は仮面の大男に完全にヒットし大きめの火の玉も顔面に直撃した。

 だが仮面の大男をひるませはしたがダメージまでは至っていない。

 煙を割いて仮面の大男の余裕の笑みが顔を出す。

 

「この程度目くらましがやっとだぜ!」

「目くらましですからね。今です誠司!」

「はいッ! ダッ――――――――!!」

「ガァァッ!!」

 

 仮面の大男の腹にとてつもない衝撃が走る。

 その衝撃の犯人は一誠たちと同じくらいの少年だった。だがその一撃は子猫をはるかにしのぐであろう一撃。

 少年は仮面の大男からの反撃がないうちにソーナのほうへ逃走する。

 

「よくやりました」

「はい」

「その子は見たことないわね、ソーナの新しい眷属の子?

 子猫の全力でもダメージを与えられなかったのにすさまじいパワーね」

「ええ、うちの最高打点の戦車です」

 

 ソーナが手短に新しい眷属の紹介をしているうちに仮面の大男も体制を立て直す。

 

「かなりの霊圧、なぜ見落とした……」

「あなたは気配を消して隠れていた私たちを見つけて見せました。

 だから普通の目くらましでは感知されてしまう危険性があったので、目くらましに強めの攻撃系の術を使用しました。

 そうでなくては誠司くんから意識をそらせなかった」

 

 だがこれも敵の感知能力が自分の憶測より広ければ不発に終わってしまうであろう不完全なもの。

 だけどソーナは少ない情報から敵は高い感知能力を持っているが自分たちが結構な距離に近づくまで感知されなかったことから範囲は狭い。さらに後ろからくる草下を見抜けなかったということは常に感知できるわけではないと仮定した。

 

「ちっ、厄介な獲物が来ちまったぜ」

 

 仮面の大男もソーナの分析能力と誠司の強力なパワー、さらにほかの眷属たちの未知の実力にさっきまでの大胆な行動はとれなくなってしまった。

 さっきまでの実力の差でゴリ押しできるような相手ではないと。

 

 実はこれもソーナの作戦のうち。

 相手の手の内どころが種族もよくわからない敵に対しては警戒しないといけないのはむしろこちら側。

 個々が強く希少性のある眷属がそろっているリアスたちより、個々がそこまで強くなくとも多彩な戦術で臨機応変に対応できる自分たちのほうが戦える。

 敵がこちらの弱点に気づく前に警戒で動きを制限させてリアスたちを逃がそうとしたのである。

 

 だが、それも無駄になってしまった。

 

「ハァーッ!」

「ガッ!」

 

 仮面の大男が次の瞬間縦真っ二つに切り裂かれてしまう。

 仮面の大男は亡骸を残さずに闇へととけてしまう。

 後に残ったのは華人服とチャイナドレスを足して2で割ったような白を主体にした衣装の女性だけ。

 突如現れたその女性はさっきまで自分たちがさんざん手こずっていた相手を簡単に倒してしまった。それも何の容赦もなく真っ二つに切り裂いて。

 敵ではないかもしれないが油断できる相手ではない。

 味方であれば良し。だがもしもこちらに敵意があれば相当まずいことになる。

 一応自分たちを結果的かもしれないが助けてくれ現在こちらに危害を加えないことから少しは安心できる可能性が高い。

 女性は一歩前に出て軽く頭を下げる。

 

「リアス・グレモリー眷属はどうぞお進みください、お嬢様がお待ちです。

 ですがほかの皆様は通すわけにはいきません。

 もし行くというならば全力で阻止させていただきます」

「……森羅、アーシアさんと一緒にリアスたちをできる限り回復させてあげて」

「はい」

 

 森羅はアーシアと一緒にリアス眷属の回復を手伝う。

 アーシアは神器の光で傷を癒す。森羅の回復術もアーシアと見た目はほとんど一緒だがその回復は神器を使わずに自分の魔力だけで行っている。

 その間にソーナは中華風の女性に一歩近づいてしゃべる。

 

「少し回復してからでもよろしいですか?」

「かまいませんがあまり長居されると困ります」

 

 ソーナは少し考えてからリアスのほうを向く。

 あなたたちはこのまま進むのか、それとも退くのか。それをリアスに尋ねようとした。

 本当ならこのまま一緒に撤退してほしい。そしてそのための説得をするつもりであった。

 だがソーナは長年の付き合いからリアスの表情で考えを察する。

 

「リアス、行くなら先に行ってください。

 それなら私たちもあなたたちが行ってから彼女を倒して追いかけます。

 幸運なことに彼女もこちらから手を出さなければ手を出さないと言ってくれてますし」

 

 ソーナはリアスに先に行くように告げる。リアスはこういう事に関しては口で言っても譲らない。もしも下手に説得して怒りを抱えたまま暴走されたら最悪。

 だったら自主的に行かせて自身の考えて撤退してもらおうと。

 さすがにそれ相応のピンチになればついさっきのこともあって撤退するであろうし、回復した優秀な眷属もいることだから逃げることくらいはできるだろう。

 しかしリアスは首を振って拒否する。

 そしてかなり回復したリアス眷属はソーナたちの横に立つ。

 まるで相棒のように。

 

「いいえソーナ、どうせなら協力してさっさと片付けてから一緒に行きましょ」

「いいえ先に行ってください、一人相手にこれだけ数がいては邪魔になるだけです。

 それにうまく連携が取れなければお互いの足を引っ張ってしまうだけです」

「……そうわかったわ」

 

 ソーナは今までリアスに見せたことない迫力でリアスを黙らせた。

 本当に多対一ではチームワークの取れない味方は邪魔である。一番の敵は無能な味方。

 もちろん個々が強いリアス眷属が加われば心強いかもしれないし、赤龍帝の倍化の力が加わるのは助かる。

 だがチームワークや作戦を味方に崩されるのはそのプラスを上回るマイナス要素である。

 リアスたちはソーナの気迫に負けて先に進む。

 そしてソーナ眷属たちに一言二言感謝の言葉やがんばれなどの言葉を送って行く。

 その様子を敵の女性は少し微笑んだ営業スマイルで見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアスたちがたどりついたのはとある廃墟。

 そこに待っていたのは十歳ほどの金髪の少女が一人。その背中には七色の結晶がぶら下がったような翼が生えている。

 

「久しぶりね、リアス・グレモリーとその眷属たちよ」

「貴方は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 リアスたちが行った後、ソーナと敵の女性はお互いをじっと見る。一触即発という雰囲気ではなかったがそれなりの緊張感が漂っている。

 敵の女性はぐっと力を込めて氣を巡らせて臨戦態勢はばっちりである。

 これから激闘が繰り広げられる、そう思われた瞬間、

 

 

「それでは……話し合いを始めましょうか」

「へ?」

 

 ソーナは話し合いをしようと言ってその場に座る。

 その言葉と行動にすっかり戦うと思い込んでいた敵の女性は逆に驚かされてしまう。

 

「た、戦うのでは?」

「戦わずに済むかもしれないのにそれをむざむざ放棄するなど愚の骨頂です。

 とりあえず自己紹介から、私はソーナ・シトリーと申します」

「こ、これはご丁寧に、鳳紅鈴と申します」

 

 紅鈴もその場に座って自己紹介をする。

 笑顔を浮かべるソーナに対して紅鈴はいまだに状況が呑み込めない様子。

 

「あの……戦わないのでしたらさっきの方たちは先に行かせないほうがよかったのでは?」

 

 紅鈴はとりあえずさっきの疑問を口にすることに。

 

「貴方が示した方向、おだやかだけどかなりの力を感じます。

 それもこちらに意識が向いていますね。

 あなたの口ぶりからその正体が後ろから迫られれば対処しきれませんからね」

「あっそれで私と戦うふりをして先にいかせたんですね!

 それで建前として戦うと」

「それに、あなたがリアスを後ろから攻撃しない保証もありませんし」

「信用されてませんね。まっ当然の保険ですが」

 

 ソーナは紅鈴が意外にも親しみやすい性格であることにとりあえず安心感を覚えた。

 これならば話し合いで解決できる見込みも大きいと。

 そんなことを思っているとソーナはある疑問が浮かんだ。

 

「ちなみにリアスたちが私たちと一緒に撤退する言ったらどうしました?」

 

 あの時リアスたちはかなりの重傷を負っていた。

 そうじゃなくても相手が自分の言うとおり素直に進むとも限らない。

 必ず来る保証などどこにもない。

 

「お嬢様は必ず来ると」

「その自信はいったどこから?」

「それは……お嬢様だからです」

 

 無茶苦茶な理論である。どこにも確証もない賭け。

 だが紅鈴の絶対的に信じている目がソーナには不思議と説得力があるように感じた。

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