BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 大変長らくお待たせしました。二か月もかかってもうしわけございません。
 それではどうぞ!


解放されし四

 こいしの能力でいつの間にか山を追い出されていたリアスたちは何とかもう一度頼み込もうとして山に入るが、何度行っても、たまもに連れられた道を歩いてもあの場所にはたどりつけなかった。

 なぜなら妖怪の結界とこいしの無意識の結界に護られて侵入できないようにされていたから。

 リアスは仕方なく駒王町へ戻ることに。

 冥界で一誠の傍についていてあげたいが今自分たちにできる最善なことは駒王学園に戻ってるソーナに他に心当たりがないか聞いてみることだと思ったからだ。

 

 

「そういうわけで他に何かいい案はないかしら?」

「ないかしらじゃないでしょ! 今何時だと思ってるんですか! もう5時間目が終わってる時間ですよ?

 確かに一昨日はいろいろ大変でした。一昨日はね。

 だけど昨日丸一日連絡もないとはどういうつもりですか!? そもそも休むにしても連絡くらいはいれてください!」

 

 生徒会室を訪ねたリアスたちは懇願よりもまずソーナからも説教を受けることとなった。

 イッセーを助けたい気持ちと目の前に希望があったことで何の連絡もせずに現地に向かってしまったのである。

 それについてソーナは怒っている。

 そしてひとしきり怒鳴ったソーナは落ち着きを取り戻していつものように冷静に対処し始めた。

 

「ふー、イッセー君のことが心配なのはわかりますよ。だけど、最低限の手続きはしないとこちらも困りますが、リアスたちも困るのですよ?

 いくら駒王学園がリアスの領土だとしても、出席日数には響かなくともルールを守ることを意識しないと後々困りますよ。

 リアスたちが取り戻したいのはイッセー君だけじゃなくてイッセー君がいる日常なんでしょ? だったら日常のルールも守らないといけません」

「そ、そうね。私たちが間違ってたわソーナ。

 七災怪(しちさいかい)がイッセーの治療をできると聞いてはしゃぎすぎたわ。

 しかも断られて帰ってくるなんて(キング)として情けないわ」

 

 ソーナに言われてリアスたちは自分たちの軽率な行動を恥じた。

 一誠を助けることばかりを考えてその後のことを全く考えていなかったと。

 今までもそのような無茶なことをしてきたが今までは悪魔のルールで処理されていた。それではいつまでたっても自覚がでないとソーナは言っているのである。

 だがソーナが伝えたい肝心なところはソーナがリアス自身で気づいてもらいたいと思ってその部分は直接言葉にしなかったためリアスには届いてない。

 

「ちなみにどんな妖怪に交渉したんですか?」

「まず京都の御大将にお願いに行ってから七災怪(しちさいかい)のところへ治療の交渉に行ったわ。

 あっ、七災怪(しちさいかい)っていうのは…」

「ふむ、七災怪(しちさいかい)ですか。

 リアスが会ったのは火影・風影・土影・水影・雷影・陰影・陽影のだれですか?」

「てっ、なんでソーナが知ってるのよ!?」

「忍術は人間が妖怪の力を疑似的に使用する術。

 だから忍術の最終試験官が妖怪でもなんの不思議もありません。そして、七災怪(しちさいかい)は忍術の最終試験官でもあります」

 

 ソーナが自分たちと少し別の世界に行ってしまったことを少しさびしく思うリアス。

 だがソーナもリアスが、イッセーが強大な敵をなぎ倒し大きな事件を中心で解決することで感じていた劣等感ににた何かよりもずっと小さいものである。

 

「風影ということはこいしさんですか。

 こいしさんは子供のような一面を持ちながらもトップとしての自覚はある方ですから直接の交渉は難しいですね。

 ちなみに一番気性が穏やかで可能性が高いのは雷影様ですよ。まあ居場所は知りませんが」

 

 ソーナは言い終わった後にこれは言ってもいいことなのか考えたがもう後の祭りなので次からは言わないでおこうと思う。

 幸い話した相手は友人として信用できるリアスであるため問題はないだろうと考えた。

 

「もしかしたら七災怪(しちさいかい)の皆さんも自分たちが認めた合格者ならあるいは」

「既に風影・土影・水影・雷影・陽影の試験に不合格通知を受けてます。残念ですがそういう意味では今の私はあてになりませんよ?

 私たちが大ぴらに忍術を使うには、七災怪(しちさいかい)の一人以上から合格を言い渡される必要があります。

 なので明日受ける陰影様の試験を合格しなければ私たちもいよいよもって後がないのです。

 近々行われる予定のサイラオーグさんとのレーティングゲームでは忍術の習得は必須となるでしょうから」

 

 ソーナの目には破面との戦いと同じくらいの強さが宿っていた。

 その気持ちを理解したリアスはこれ以上友人に迷惑をかけまいとほかにも頼みたいことがあったがやめた。

 そもそも妖怪方面から一誠を救うのは自分たちには無理と判断したからでもある。

 

「そう、頑張ってねソーナ。

 ところで今日は平日よね? 他の生徒がまったく見当たらないのだけれど」

「昨日から学級閉鎖となりました。

 学校全体の半分以上の生徒が欠席となったために。

 症状からみておそらく破面が原因と思われます。でもそれがフランドールが現れた時点なのか今もどこかに破面が潜んでるのかわかりませんがね。

 とりあえず三大勢力が総力をあげて調査してるので今はイッセー君を救うことを考えてください」

「そうだったのね。迷惑をかけちゃってごめんなさいね」

 

 そう言ってリアスたちは生徒会室を出ようとした。

 だが出て行こうとするリアスたちをソーナが呼び止める。

 

「それとしばらく学校には入れないかもしれないので教室や部室に必要なものがあれば念のために持ち帰ってください」

「ええ、わかったわ」

 

 

 

 

     ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 とりあえず今できることをやったリアスたちは再び日常に戻っても支障がないようにオカルト研究部の部室に足を運んだ。

 ソーナに言われた通り持ち帰った方がいいものがないかとの確認とこれからのことを話し合うために。

 だからリアスたちはこんなことが起こるなんて予想もしてなかった。

 部室の前まで到着するとなぜか緊張感が漂う。不思議に思いながらも気のせいだと一掃する。

 そしてオカルト研究部のドアを開くとそこには信じられない人物が待っていた。

 

「遅かったわね。私様をこんなに待たせるなんて無礼だぞ愚民よ」

「あ、あなたは……!

 

オカルト研究部に入って真正面のソファーに誇銅の家族だった盾子が座っていた。

 敵地のど真ん中だというのにその様子は女王のように威厳と余裕たっぷりのリラックス感。

 フランドールとは違う気持ちの悪い威圧感。それに飲まれたリアスたちは一瞬だが何のアクションも起こせずに固まってしまった。

 

「どうした、(わたくし)様がわざわざ出向いてやったと言うのにお礼の一つもないのか?

 まあもらったところで道中で捨てますけど」

 

 盾子は童話に出てくるような悪い女王のような態度でリアスたちに話しかけた。

 その盾子の態度を見てギャスパーとレイヴェルはひときわ違和感を覚える。

 二人が知っている限り盾子はおちゃめなお姉さんといった印象である。直接会話を交わした時にも良い意味で遊び心があり場の空気を居心地の良い所にしていた。

 だが今は相手を傷つけ侮辱して自分一人が楽しんでいる。

 

「江ノ島盾子、私たちの学園に足を踏み入れてただで済むなんて思ってないわよね?

 それに、貴方には聞きたいことがたくさんあるわ。手荒な手段を使っても捕らえさせてもらうわ」

「こちらには聞きたいことなどない。

 それに、そんなことできるとでも思ってるのか?」

 

 盾子はニヤニヤしながらリアスたちを見る。

 盾子の不気味な笑みにも怯まずにリアスたちは部室の中に突入した。

 一誠の仇も含めて。

 

「できないとでも思ってるのかしら!」

「女王たる私様に下種な下級悪魔如きが何かできるとでも?」

 

 ………―――――――ガチャ

 

「……!!?」

 

 何の音もなっていない、何も動いていない。だけどリアスたちの耳には空耳と言うにはあまりにもハッキリした何かが閉まる音がした。

 さらに目の前に壁などないのにまるで見えない牢獄にでも入れられたかのように動けない。そして魔法や神器も一切使えなくなっている。

 盾子はリアスたちの頭上を指差す。

 盾子は砂を遠隔操作して部室のカーテンを閉めて明かりを消した。

 そしてリアスたちの頭上を指差す。すると天井には蛍光塗料で書かれた魔法陣がリアスたちをすっぽり包んでいた。

 

「こんな魔法陣見たことないわ」

「オーディン様につかえていた時にいろんな魔法陣を見てきましたが、こんな形の魔法陣は初めて見ました」

「賢人たちが生み出した対悪魔用魔法陣。悪魔を完全に無力化して閉じ込めることができる。

 これでもまだ私様に何かできるとでも?」

「くっ」

 

 もう自力で脱出できないことを告げる盾子。

 だけどリアスたちはそこであきらめずに何とか魔法を使おうと試みたり、神器や聖剣を出そうとしたり、悪魔の身体能力で天井を破壊する。

 だが、すべて魔法陣の効力により封じられてしまっており脱出は絶望的だ。

 

「この世のありとあらゆる知識を抱擁した場所で時間の許す限り知識を詰め込んだ私が描いた魔法陣が貴方たち程度が対抗できるとでも?

 もう少し自分の実力を理解したら?」

 

 盾子は先ほどの女王様のような態度から一変してキザっぽくふるまう。

 急な性格の変化が現れたがリアスたちには指摘する程の余裕もないのであえて指摘せずに流した。

 

「まあ魔法陣自体はなんの魔力も発してないから外側からなら悪魔にでも壊すことはできる。まあだからどうしたって言うんだけどね。

 粗野な力は時には鍵のかかった扉を蹴破れるだろうが、知識は万能の鍵。

 粗野な力しか持ち合わせていない貴方たちには理解できないだろうけどね」

 

 キザっぽくなったが相手を不快にするスタンスは一切変わらず言葉でリアスたちに屈辱を与え続ける。

 

「てゆうか幼女一人に実質負けちゃったなんてダサ~イ」

 

 今度はぶりっ子のようにふるまう盾子。

 

「そんなかしこ~い盾子ちゃんには兵頭一誠の治療もお手のものなので~す!」

 

 不意に聞き捨てならない言葉を口にした盾子。絶望()の口から零れ落ちた希望のかけら。

 

「えっ、今なんて……」

「だから、私様なら今すぐにでも兵藤一誠を治療することが可能だって言ったのです」

 

 ころころ性格を変えながらリアスたちに話しかける絶望(盾子)

 その|絶望による希望の言葉がリアスたちの心をいたずらに乱す。

 

「うぷぷ……どうせオマエラにはフランの呪いを解くことなんてできないだろ?

 兵藤一誠の病室に侵入して直接見てきたから間違いないね」

 

 今度は白黒のクマのようなお面を顔の正面にもってきてしゃべる。

 どうやらそのお面のクマになりきって腹話術でもしているつもりなのだろうか。

 

「残念でしたね。私たちには無理でも日本妖怪の力を借りれば治療は可能らしいですわよ。

 あなたが治療できるからってなんの意味もありませんわ」

 

 朱乃は盾子の言葉に呑み込まれそうになっている眷属たちを正気に戻すために精一杯の強がりを見せた。

 

「日本妖怪? 確かにすごく強い日本妖怪、それも伝説になるくらいの妖怪なら可能だろうね。

 でも日本の神に無断で日本の領土を私有地としてるオマエラに協力なんてしてくれるのかな?

 それに、フランも僕のお願いをきちんと聞いてくれたみたいだから今頃日本の本当の支配者が現状を正しく認識してるだろうね」

 

 だが絶望の申し子はその強がりすらも完膚なきまで叩き潰す。

 弱者が精一杯創り出した虚構の壁も無慈悲に踏み潰す。

 その無情な攻撃は危険な暗闇さえも明るい希望に見せかけるほど心の平穏を脅かす。

 

「盾子さん、あなたはなんでここに来たんですか?

 最近の破面らしい被害はあなたの差し金なんですか?」

「そんなこと答える義理はなくてよ。

 それでは、私様は多忙のためここで失礼しますわ。早くしなければケーキバイキングに遅れてしまいます」

『えッ!?』

 

 リアスたちの心をかき回すだけかき回して帰ろうとする盾子にとんでもない肩透かしを食らった。

 盾子はソファーから立ち上がって窓の方へ歩き出す。

 

「イッセーを治療してくれるとかの取引とかじゃないの!?」

「治療? ハァ? 何言ってんの? 敵の私がするわけないじゃん、ウケルー」

「じゃあなんで来たのよ!? あんなこと言って、何か取引を持ち掛けに来たようにしか思え…」

「んなもんねえよ! 俺が来たのはただ俺ならできるって親切にわざわざ教えに来てやっただけだ。

 そもそもそっちに取引できる材料なんて一っつもないだろが。勝手に野垂れ死んでろ主人公野郎!」

 

 凶暴そうな目をしてリアスたちに向かって中指を立てる。

 そうして空中を走るようにして窓から去って行った。

 盾子が去って少ししてから盾子が開けた窓から大量の手の形をした泥が飛んでくる。

 その泥は天井の魔法陣をや廊下の他の隠されていた魔法陣をかき消して周りをどろどろにした。

 そうしてリアスたちはやっと解放された。

 だが同時に盾子が使用した魔法陣を調べることもできなくされてしまい、魔法陣に関しては何の対策も新たな知識も得ることはできなかったのだ。

 

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 翌日、リアスたちは誰もいない学校でアザゼルたちと一誠の容態に妖怪たちとの交渉、昨日の盾子襲来の事について報告&話し合いをすることに。

 元々は違う場所でやる予定だったが学級閉鎖で学校には一般人はいないということでちょうどいいという話になったのだ。

 

「盾子の事はわりぃ、まったく気づかなかった。

 まあ今回は敵の方が一枚上手だったってことで敗北を認めて次に生かすしかねえな」

「それより、イッセーの容態は今のとこどうなの?」

「あまりよくないわ。天使陣営もミカエル様たちが直接見てくれたりしたけどダメみたい。進行速度すら止められそうにないらしい」

 

 一誠の状態は想像以上に危険な状態にある。

 呪いのせいでフランドールから受けた傷は塞がらず一誠自身の氣もどんどん破壊されている。

 今は冥界の技術で命を繋いでるがそれでも絶対に楽観できない状況にある。

 

「そんなお前らにうれしい知らせだ。今度この町で三大勢力と日本勢力との会合が行われることに決まった。

 まだ総督として働かされてる俺としてはめんどくさいことこの上ないが、お前たちにとってはグッドタイミングだったろ?」

「ということはもしも協定関係を結べれば……」

「ああ、うまくいけばイッセーの治療を頼めるかもしれねえ。

 しかし、日本妖怪がそこまで一点に長けた能力を持ってたなんて予想外だったぜ。

 正直な話俺たちの中で日本勢力は弱小って印象だったがこりゃ認識を改める必要があるな」

「まったく、その通りだな」

 

 突如この場に現れるはずのない声が会話に入ってきた。

 声の聞こえたドアの方を見ると同時にオカルト研究部のドアが開かれる。

 そこから入ってきたのはなんと三大勢力を裏切り、ロキ襲撃の際に共闘してくれるはずだったヴァーリチームである。

 

「ヴァーリ! お前なんでここに!?」

「今日は戦に来たんじゃない、安心してくれ」

「まあ……お前が戦える状態じゃないのはたぶん素人目にもわかる」

 

 ヴァーリたちはある種の強者の風格を醸し出している。

 ただしヴァーリはボロボロでアーサー・ペンドラゴに肩を貸してもらっている状態であるが。だがヴァーリの顔はなぜか満足げだ。

 ヴァーリの危機感を感じさせないボロボロ具合がこの場の緊張感をかなり和らげている。

 

「え? 何があった?」

「ここに来る途中、七災怪と呼ばれる妖怪と戦ってこうなったにゃ」

「すごい力と能力だった。この俺が何をされたかわからないうちにやられていた」

「それが七災怪、陰影の鵺の力にゃ」

 

 黒歌の口からつい最近話題に上がった七災怪の名前が出た。

 そのことでリアスたちの目線はいっきに黒歌に移る。

 事情を知らない日本生まれのイリナは自身が知ってる鵺の情報を口にする。

 

「鵺って確かさるの顔、タヌキの胴体、トラの手足に尾はヘビの日本の合成獣みたいな妖怪だっけ?」

「それは人間が見た鵺の伝説が独り歩きしただけらしいにゃ」

 

 猫の妖怪、猫ショウである黒歌が鵺について詳しく語りだす。

 まだ妖怪に属していた頃、小猫はまだ幼かったが黒歌は立派な妖怪として生きていたためある程度妖怪にも詳しい。

 黒歌はことあるごとに小猫に視線を向けて他に皆に説明し始めた。

 

「見る角度によって、また見る人によって姿が違って見える大妖怪、鵺。

 その本当の姿は同じ七災怪でも見ることができないとか」

「私の目から見たらヴァーリがスズメにやられてるように見えて可笑しかった」

「ヴァーリをこんな状態にした奴がスズメに見えたって!」

「まあ鵺はそういう妖怪にゃ。

 ちなみに私には赤龍帝に見えたにゃ」

「よくわからねえ能力だな。

 それで、お前たちがここに来た理由をまだ聞いてねえんだが」

 

 アザゼルはこれ以上この話を発展させても意味がないと判断して話の本題に入る。

 そのころにはヴァーリも一人で立てるほどに回復しており自分の足で立って自分の口で説明した。

 

「特別な理由はない。

 ただ俺のライバルにこんなところでつぶれてほしくないことと新たな強敵、アランカルと戦うにはこちら側の方が何かと都合がいい。

 それと禍の団内で最近ある日突然おかしくなる奴が増えて危険を感じたから抜けてきた」

「理由はないって理由だらけじゃねえかッ!!」

 

 アザゼルは思わず素の状態に戻ってツッコミを入れた。

 ボロボロな姿でかっこつけているヴァーリが何とも滑稽な姿に見えている。

 普段なら強者の風格がキザっぽくも出てくるのに台無しである。

 

「それより、イッセーを治療するために一流の術士が必要なんだろ?

 だったらここにいるぜ。一流の魔術師と一流の仙術士がな」

「手を貸してくれるの!?」

「言っただろ? ライバルにこんなとこでつぶれてもらっては困ると。奴を倒すのはこの白龍皇であるこの俺だ!」

 

 とりあえずヴァーリたちは三大勢力への協力の姿勢があることと、一誠の治療を許可してもらうために冥界に行くことに。

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 冥界に連れてこられたヴァーリチームは様々な話し合いのもとアザゼルから各勢力からの不信感を少しでも払拭するためテロ対策チーム「D×D」の暫定メンバーとして参加するように要請されてそれを受けた事で恩赦を得た。

 その後それぞれ身の振り方についての話にもなったが、それはとりあえず簡単に済ませて黒歌とルフェイ・ペンドラゴンによる一誠の治療が始まった。

 

「ルフェイ、頼んだぞ」

「OK~任せといて!」

「姉さん……お願いします」

「うん! お姉ちゃんに任せて、白音」

 

 二人はそれぞれの方面から一誠の異常を探る。

 リアスたちは二人に期待の眼差しを向け、ヴァーリたちはどこか安心した様子で二人の治療を見守った。

 だが、数時間経った頃二人の治療は進むどころが難しい顔をしながら一誠のいろんなところをぺたぺた触ってるだけで一向に治療する気配が見られない。

 

「どうしたんだ?」

「……どこが悪いのかわからない」

「え!?」

「私も漠然と悪い状態くらいしかわからない」

 

 二人は一誠の病の原因がまったくわからなかったのである。

 普通の回復を使っても無意味、原因を探っても見つからない。

 あらゆる可能性を考えて調べてみるが原因が見つからない。

 

「ソーナは気脈に得意で強力な蝕む力が働いてると言っておりましたわ。

 さらに気脈全体に広がっているので発見は困難だとも言っておりました」

「ばかにゃ、そんな強大な力が全身に広がっていればすぐにわか……る……にゃ、にゃんだこの力は!?」

「え!? えっと……なにこれ!?」

「どうしたルフェイ!?」

「この呪い、一誠くんの体すべてとほぼ同化してる。こんなの自分の魂が自身を蝕むのと同じことよ!」

 

 一誠を蝕む呪いを発見した二人はその力に恐れおののいた。

 未だかつて見たことのない異質で強力で大胆な呪いの力に自分たちの手には負えないと確信したから。

 アザゼルは一度ため息をついて何かを考えだす。そして藁にでも縋り付くかのような目で何かを決心した。

 

「仕方ねえな。もう一度あれを試すしかねえか」

「あれとは?」

「ついてきな」

 

 アザゼルはその場のメンバーを連れてどこかへ行く。

 そこはアザゼルの研究室。

 アザゼルはこれまでのことで神器に関してそれなりの信頼を得ている。だから三大勢力内で保有する所有者なしの神器をいくつか任されていたりする。

 アザゼルはその中でも特に厳重に保管されている神器をリアスたちの前に持ってきた。

 

「こ、これは……!?」

 

 白銀に光る球体。それが神器だということはむき出しの神器を見たことがあるものならわかっただろう。

 だが、なんの神器までは調べなければわからない。しかし、リアスたちにはこの神器がなんなのか不思議とわかってしまった。

 

「そうだ、誇銅の神器、『破滅の蟲毒(バグズ・ラック)』だ。

 こいつを禁手させることができればおそらく一誠を助けることができる」

「もう、これに賭けるしかないのね」

「そうか……なんだか複雑な感じだな。誇銅の家族によって傷つけられた一誠を誇銅の力で治療するとは」

「そうだね。でも、そんなのはどうでもいい。

 誇銅君、今イッセーくんがピンチなんだ、力を貸してほしい」

 

 そう言ってリアスたちは『破滅の蟲毒(バグズ・ラック)』を自身の中に入れようとしたが、前回と同じように全員弾かれてしまった。

 その後もヴァーリたちならどうだということで大目玉覚悟で試してみるが結果は同じ不適合。

 結局、誇銅の神器はだれのも答えることはなかった。

 リアスたちは誇銅に裏切られたような気持ちを抱えた。

 これで残された希望は日本妖怪に一誠の治療を懇願するという薄い希望のみとなる。

 ヴァーリたちは別行動でアザゼルとこれからの詳しい身の振り方について話し合い。リアスたちはとぼとぼと一誠のいる病室に戻る。

 せめて一誠の傍で回復を願うくらいしか彼女らにはできることはないから。

 

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 平和な日常。一誠はいつもの駒王学園での幸せな日常の中で友達と笑い合っている。

 そこにはリアスがいて朱乃がいて木場がいてアーシアがいて、その他のかけがえのないオカルト研究部のみんながいる。

 そこにはもちろんアザゼルやレイヴェル、そして誇銅も含まれていた。

 

「これで本当の平和な日常が送れるのね。

 あなたのおかげよイッセー」

「そ、そんな俺のおかげだなんて。みんなの力あっての結果ですよ」

「いや、イッセー君の存在なしにこの平和は訪れなかったよ。

 君はそれだけのことをしたんだ、胸を張っていいだよ」

 

 危険な戦いや悲しい悲劇など何一つない平和な日常。

 普通の学生生活を送り放課後は部室でおしゃべり、時々悪魔の仕事が入ったり冥界でのおっぱいドラゴンの収録に呼ばれる。

 悪魔・天使・堕天使のわだかまりも完全に解消され、禍の団のテロもない。

 修業の成果がちゃんとでてレーティングゲームも何とか勝利をおさめ、誇銅の死など一度もない。

 

「お前ならもしかしたら転生悪魔初の魔王になるかもしれねえな」

「転生悪魔の魔王か……それは素晴らしいですね。

 もしそうなれば転生悪魔の差別問題も一気に解決して未来へのわだかまりもなくなるでしょう」

「お、俺なんかにそんな期待をかけてもらえるなんて……恐縮です」

 

 一誠は照れた様子でアザゼルとロスヴァイセの先生組の賞賛を受け止めた。

 確かに一誠はそう言われるだけの功績を遺したが本人からすればがむしゃらに頑張って自分の正義を貫き続けた結果こうなったくらいの気持ちなのである。

 

「僕もイッセー君と同じ眷属として恥じないようにもっと強くならないとね」

「木場はもう十分強いじゃねえか。俺だっていつも助けてもらってるし」

「いえ、私たちがここまで強くなれたのはイッセー先輩のおかげです。

 イッセー先輩がいなかったら今の私たちもいなかったでしょう」

 

 小猫の猫のような甘えに思わずドキッとする一誠。

 自分の膝にちょこんと座る小猫の頭をなでると嬉しそうに猫耳をぴくぴく動かしながら甘える。

 

『相棒、俺はお前が赤龍帝で本当によかったと思ってる。

 最初は俺もかなり苦労させられたがその甲斐はあった』

「ドライグ……ごめんな苦労かけちまって」

『いや、謝るな。その甲斐あったって言っただろ。

 お前のおかげで二天龍の問題どころがグレートレッドとオーフィスの問題まで解決しちまったんだから大したもんだ』

 

 ドライグも今までの一誠のことについて褒め称える。

 一誠も信頼が置ける仲間からここまで賞賛されるのは照れる反面とてもうれしくもあった。

 自分はここまでのことができたんだと、俺は幸せな未来をつかめたんだと。

 

「イッセー、これからも頼りにしていいのかしら?」

「はいっ! 俺に任せてください!」

「流石私の未来の旦那さんね」

「本当に頼りになるねイッセーは」

「ん?」

 

 すべてが順調、すべてがハッピーなこの状況に一筋の曇りが見えた。

 一誠はその疑心の正体にすぐさま気づいた。

 

「どうしたのイッセー?」

「違う」

「え?」

「誇銅は俺をイッセーとは呼ばない。

 例え親しみを込めてという意味でも人様の名前はしっかり呼びたいって言って頑なにイッセーと呼ばなかった」

 

 自身の記憶の矛盾に困惑する一誠。

 

『あなたには何の価値もないわ』

 

 今までに聞いたことのないほど冷たいリアスの声。

 そんな声が一誠の頭の中に本の一瞬映った。

 

『うふふ、ヒーローごっこは楽しかったかしら?』

 

 快楽殺人鬼のように笑う朱乃の声。

 

『本当にお前には失望されっぱなしだ』

 

 無気力なドライグの声。

 

『こんな奴にひと時とはいえ期待してしまうなんて……』

『どれだけ世界を不幸にすれば気が済むんだ!』

『こんな奴に惚れたなんて一生の恥だ!』

『お前さえいなければ!』

『冥界の恥さらし』

『すべてお前のせいだ!』

 

 一誠の頭の中に記憶にない体験が頭をよぎる。

 一誠に向けられすべての視線は一誠を疎ましく思い、一誠に放たれるすべての言葉は負の感情に満ちている。

 そんな映像が数秒とはいえ一誠の中に鮮明に浮かんだ。

 額には大量の汗が。

 そうしてまた幸せな日常に呼び戻される。

 

「どうしたんですか? イッセー先輩?」

「お、思い出したぞ! お、俺は……何度も見させられてる。このシーンを。

 そしてこれが悪夢に変わるところも!」

 

 一誠の視界がグニャグニャと歪んでいく。そうして目の前の虚像が崩壊していった。

 実は一誠は何度も幸せの中から仲間に裏切られる悪夢をエンドレスに見せられていた。

 終わるたびに記憶を消され、悪夢に変わると今までの悪夢も思い出す。

 

 次に一誠が目を覚ましたのは白い世界、『赤龍帝の籠手』の中にある世界に来ていた。

「おっ!? 目を覚ましたか」

「え……?」

「外の仲間たちが君に必死に声掛けしてたから君の神器内の意識だけは取り戻したようだな」

「あなたは白龍皇の……」

「リエル。白龍皇リエルだ」

「リエルさん。今どういう状況なんですか?」

「あれを見ろ」

 

 歴代白龍皇であるリエルは首をクイッと動かして一誠に後ろを見るように促した。

 すると後ろでは歴代の赤龍帝たちが全員串刺しになっていた。それは吐き気を催すほどのグロテスクな場面である。

 においなどしてないのに血の鉄臭さが漂ってくる感覚がした。

 

「ヴッ!!」

「まるでヴラド公の串刺しの様子だな。あいつらは君とつながってるものが太いからああなっちゃったけど、俺っちは白龍皇だからだいぶマシだ。

 まあマシって言ってもこのありさまだけどな」

 

 歴代白龍皇は一誠に自分の手のひらを見せる。

 その手はひどく焼けただれ、太い針が貫通したような跡がいくつもある。

 それが一誠の吐き気を余計悪化させる。

 だが、吐しゃ物など一向に出ないと同時にその気持ち悪さも一向に取れない。

 

「これじゃ筆も持てやしない。

 欠片の俺っちがこれじゃこの場では何ともない君も本体は相当危険な状態だろうね。

 言っとくけど数分前まで君はあの歴代と同じような状態だったぜ。まあ今は意識取り戻したから消えてるけど。

 勘違いはするなよ、微塵も回復はしてないから」

「どうして俺はこんなことに……」

「そりゃ当然あの吸血鬼の少女との戦いのせいに決まってるじゃん」

 

 リエルは両手を傷つけないように絵のスタンドにもたれかかって話し始める。

 

「どうすれば……」

「原因はもう見つけてある。

 一流の芸術家である俺っちの類まれない感性がすぐさま美しい異常を感知した。感謝しろよ」

「え!? あ、ありがとうございます。

 で、原因とは?」

「お前の……なんて言うんだろ? 確か……そうそう気脈に位置する部分が完全に侵されてる。

 だから治療も相当困難だろうね。なんせ下手に手をつければ気脈がボン! 破裂しちゃうだろうからね。最悪二次感染も考えられなくない。

 まあ方法がないこともないけどね。治療方法まで見つけちゃうなんて俺っちってダ・ヴィンチに匹敵する天才じゃね? ……当たり前か」

 

 リエルは何やら自画自賛しながら一誠に希望を与える。

 一誠はまさかの展開に若干頭がついていってないところがあるが、自分が今までにない危機的状況に追い込まれてることは理解した。

 だからこそ目の前のリエル(希望)がまぶしく感じる。

 

「それで、その方法とは?」

「これは外側の力では難しいが内側からならそこまで難しいことではないな。

 まあ、君がここで起きてきたのは完璧な奇跡だ。この方法は本人の意思がないと無理だから」

「つまり、俺の力でどうにかすることができると」

「そういう事。むしろ君じゃないと無理」

「リエルさん、教えてくださいその方法を!」

 

 一誠はリエルに真剣に頼んだ。

 こんなところで死ぬはけにはいかない。自分には守りたい大切な仲間がいる。その人たちを悲しませることはしたくないと。

 そして、フランドールが言っていたこれからの激戦を予感させる言葉。その脅威に立ち向かわずにリタイアするわけにはいかないから。

 一誠はそこまで思って真剣に頼み込んだが、リエルはなんともあっさりとした感じで教える。

 

「ドライグ以外の三匹の龍を解放することだ。

 あの龍たちは力もさることながら力の性質も異質であり強大だ。彼らが外にでる力を利用してこの呪いを吹き飛ばせばいい。

 彼らは神器の中核は担ってないから君の任意で解放できるし、死にやしない」

「そんなことでいいんですか?」

「ただし、君はあの龍の力を失う。

 さらに言うならあの龍なしでは君は破面(アランカル)に太刀打ちできないだろうな」

 

 リエルは急に突き飛ばすように、他人事のような軽い感じで一誠には重い一言を口にする。

 

「だったら、今以上に修業を頑張って力を…」

「赤龍帝の籠手の力を十全引き出せてない君では絶対無理。さらには現在ドライグも心が弱ってしまっている。もう全盛期の力は出せない。

 君が今までドライグの力をここまで引き出せたのはドライグの弱体化も一枚かんでたんだろう。

 そして何より君を勝利に導いてきた謎の光が彼女によって破壊された。

 僕も君の中に入ってびっくりしたよ、まさかこんな明確な勝利の光を拝めるなんて。だからこそ僕も君に影ながら力を貸してきた」

 

 リエルから突き付けられるあまりにも残酷な現実。

 一誠の目の前の希望は一転して絶望へと変わった。

 一度は力を貸してくれ希望にも見え優しい人だと思っていたリエルがここまで冷たくなれることがショックだった。

 さらにリエルの絶望はそれだけでは終わらずさらに追い打ちをかける。

 

「俺っち的には龍の解放をおすすめするよ。僕もその勢いに乗ってここを出ていく。

 もう君に価値を感じないからね。

 価値の切れ目が縁の切れ目だ」

 

 目の前のリエルはむしろ一誠よりも普通の悪魔よりも悪魔らしい人間に見えるだろう。

 しかも、もしリエルに「悪魔みたいな人だ」と罵っても「悪魔はお前だろ?」と平常心で言い返されてしまうだろう。

 それほど最初に出会ったころより一誠に対する対応が一変してしまっている。

 

「最低な奴だってののしってもらっても構わない。

 崇高な芸術家ってものは我儘で自分勝手なものさ。だから死んでから価値が出る」

 

 その目は既に一誠の方へは向いておらずななめ上の真っ白な空間を見ながら空に指で絵をかくようなしぐさをしている。

 だがこれがリエルという人間。

 自分の人生すべてが芸術へ向いている。そこに芸術性を微塵も感じないものには彼にとって真の無価値なのである。

 

「ちょうどいいじゃないか?

 彼らを解放すれば君は助かり彼らも助かる。あの龍たちは君を嫌ってるみたいでしょっちゅう暴れてたし」

「え?」

 

 少し落ち着いてきたところの一誠の心に再び厳しい現実が突き付けられる。

 驚いてる一誠の顔と声に逆に驚くリエル。

 

「え? 気づいてなかった?

 もしかしてあの龍たちが喜んで君に力を貸してたとでも?

 そもそも時々現れる神器の不具合は彼らのささやかな抵抗の証なんだぜ?」

 

 その言葉に多大なショックを受けた一誠はしばらく黙ったままになる。

 リエルはそんな一誠を見かねて少しだけ助け船を出してやることにした。

 

「まあ、神器ってのは所有者の心に反応するみたいだからもしかしたらってこともあるっちゃあるだろうね。

 その他にも他人の力や神器を一時的に借りて強化するとか。声援などその人を思いやる信仰にも似た何かによって摩訶不思議な力が加わったりとかね」

 

 リエルは最後の最後に一誠に一筋の希望を残した。

 だが、それは一誠がかわいそうに見えたとか一誠を気遣うとかそんな優しさからではなく、この状態で放置すれば後々めんどくさいことになると思ったからだ。

 最悪俳人状態になられて一誠の寿命が尽きるまで閉じ込められるのはまっぴらごめんだと思ったから。

 リエルは相手の人柄で嫌悪することはあれど愛好することはない。すべての愛好の価値観は自身の芸術性に沿ったも。

 リエルもまた生前から破滅の道を嬉々と進む真の狂人なのだ。だからこそ心の強さも異常であり覇龍を使いこなすことができた。

 

「さて、どうする? 現赤龍帝の兵藤一誠。

 これからの敵に対抗できる力を捨ててこの場を安全に生き延びる?

 それともこの力を持ったまま目覚めることを期待して待つ?

 俺っち的には本当に前者を選んでほしい。てか選べ」

 

 そして一誠の選んだ答えは……

 

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 リアスたちが眠っている一誠を見守っている中、一誠の胸あたりが急にカオス色に光り輝きだした。

 その光は徐々に光力を強め最後には一誠の胸から飛び出て病室の窓ガラスを突き破って外へ落ちた。

 一誠から飛び出したカオスの光は青・桃・黒の三色に分離して大きな光へと変わった。

 

『グギュグバァッ!!』

『ガギャギャァッ!!』

『ギゴガゴーゴーッ!!』

 

 一誠の体から飛び出した三つの光は一誠が昔倒した龍の姿へと変わる。

 三匹の龍はかなり衰弱してるようで三匹とも立っているのがやっとの状態。

 

「ギガゴー……」

 

 その中で黒い龍だけは一誠の病室を鋭い目つきで睨みつける。

 だが強がっているが黒い龍もひどく衰弱してるため攻撃はしない。

 

「グギュ……」

「ガギャ……」

 

 そんな間に他の二匹の龍はその場に倒れこむ。

 それを見た龍は異形の翼を器用に使い二匹を抱え近くにある大きめの池から反転世界へ逃げて行った。

 

 そして龍の宿主だった一誠はゆっくりとそのまぶたを開き小さく声をこぼす。

 その声にいち早く気づいたリアスが一番最初に一誠に近づき、アーシアに木場、そして次々に一誠のもとに駆け寄る。

 

「イッセー! よかった……目覚めて本当によかった……」

「イッセーさん……イッセーさん……」

「おかえりイッセーくん」

「ああ、ただいま、みんな。

 そしてすいません、心配かけて」

 

 力を失った一誠はどこか素直に喜べないところがあった。

 今まで倒れて力を得たことは何度もあった。今まで命を危険にさらして力を得たことばかり。

 多大な犠牲を払うと思ってもそれに見合う力はもらってきたし、体がドラゴン化する代償も寿命が縮む代償もさして影響しなかった。

 だが、今回の復帰で一誠は確実に今まで頼ってきた力を失っている。

 

 例えそれを説明したところでリアスたちが一誠の無事を喜ぶことには変わりないだろう。

 今はただ一誠の無事が何事にも代えがたい喜びなのだから。

 だが、その一方で絶望はちゃくちゃくと彼らの平和を脅かそうとしている。




 アランカル大百科

月「さて、今回は破面の退化についてちょっとお話しましょ。一度破面になった虚は基本的にいらんことせえへんかったらどんな傷を負うまいが破面のままや。
 退化するっちゅうたら原作で虚を強制的に破面に進化させる崩玉ってのを破面にもう一度使ったりした場合かな。
 でも! この作品には一度だけ退化した破面が出てきてんねんで~」

(第66話『心を失いし獣』)

月「あれは破面が退化して虚に戻りかけてる最中に虚と破面の境目でもある仮面を剥がされたから破面としての自我を取り戻したんや。
 まあ一時的なもんやし性能は虚に戻ってるからあの後すぐに成体の破面に殺されたけどな。
 ほんで破面が退化した理由がな適性とかだけの問題じゃないねん。適性ない子は元々破面化せえへんし。
 そんでその理由がな」
戦車「そこまでだ月。それ以上は主は許可してないぞ!」
月「あらあらええとこで口うるさい邪魔が入ってもうたな~。この人作者の他の作品でこの作品の死神に当たるポジションもろて張り切ってはるんやで」
戦車「私はいつでも大真面目だ!」
月「で、どんな作品もろた? 女騎士の戦車はんやからオークに襲われて『くっ、殺せ』みたいな作品やったりして」
戦車「フンッッ!!」
月「ヘブッ!!」
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