それに、5残ってれば後はないが書き続けるには十分なモチベーションを維持できる!
日本勢力との会談後、リアスたちは学校がしばらく休みだということで冥界の広い敷地でトレーニングに励むことにした。
皆普段の鍛錬メニューに普段できないトレーニングを加えたりしていつもよりハードな鍛錬に励む。
本当はせっかくの冥界なのだから誰にか師事してもらいたいと思ってるがやっぱりすぐにそんな相手は見つからない。
だが、普段通りのメニューでも場所と設備が充実してる場所でのびのびとできるのはやはりモチベーションの上がり方が違う。
「……やっぱり、今までよりは目に見えて力が落ちてるね」
「ああ……」
一誠と木場はいつもよりもずっと広く本気で戦える場所で戦う。
そして今は休憩時間なのだが一誠は自分の力に思い悩んでいる。
「でも、それでもイッセーくんの力はすごいよ。
トリアイナの力も健在だしこれからもっと強くなれるよイッセーくんなら」
「だけど、これじゃだめだ。前の状態でも
みんなを守るためにもっともっと強くならないと」
『
扱いやすくはなったがパワーダウンした分とは釣り合わない。
「……そうだね、イッセーくんはまだまだ強くなれる。
自分の力に慢心しない心は素晴らしいと思うよ。
それに、イッセーくんは僕の目標でもあるんだからこんなところで立ち止まってもらっちゃ困るからね。お互い頑張ろう!」
「オウッ!」
一誠はライバルとして、木場は目指すべき壁としてお互いを高めあう。
そんな二人にかじりつく勢いで二人の訓練に付き合うリアスメンバーが一人。
「やっぱり、先輩たちは強いですね。私なんかよりもずっと」
普段は黒歌と仙術の特訓をしている小猫だが、最近その仙術の上級に進むための感覚がつかめずに停滞している。
だから何か新しい発見をするために一誠たちの訓練に参加してみたが力の成熟していない小猫では二人の戦いについていけない。
「やっぱり小猫ちゃんのお姉さんに教えてもらった方が早いんじゃ……」
「姉さんの仙術は我流なので感覚的なことはあまり参考になりませんでした。
姉さんが感覚的なことをつかめたのは一度日本妖怪から手ほどきを受けたからなので」
「そっか。じゃあちょうど今日本勢力の人たちが来てるんだし頼んでみるのはどうだろう?」
「イッセー君、さすがに厳しいんじゃないかな?」
「同じ日本出身ってことでワンチャンあるかもしれねえだろ?」
一誠がお気楽な考えで小猫を励ます。
一誠自身はダメ元の気持ちではいるが、心の奥底では少しくらいなら相手をしてもらえるのではないかと確信している。
今まで偉い人に気に入られ上級階級から手ほどきを受けさせてもらってきたある種の甘えが出てきた瞬間でもある。
そして次の幸運がそれを助長させた。
「お主らが今噂になってるリアス・グレモリー眷属たちじゃな」
「まさかのナイスタイミング!!」
「な、なんじゃ?」
なんと噂をすればなんとやらということでアマテラスとその護衛が向こうから来てくれた。
護衛はそれぞれ雷・土・陽・無の笠をかぶりアマテラス自身も天と書かれた市女笠をかぶっている。
「あ、すいません、すごいタイミングでテンションがあがっちゃって」
「まあ構わんがのう。
儂はただ三大勢力がそこまで目をかけてる赤龍帝を堅苦しい場以外で会ってみたかっただけじゃから。楽にしてかまわん」
アマテラスは市女笠を外して陽影に渡す。他の護衛たちはアマテラスの後ろに控える。
「遠目からじゃったがお主たちはいつもあんな組手をしておるのか?」
「まあいつもではないですがだいたいは」
「そうかのう。因みにそこまでの力が必要になることもよく起こるのか?」
「普通はレーティングゲームの時くらいですが、最近はちょっと……」
「物騒じゃな。ところで今の人生は幸せか?」
「はい、とても幸せです」
「そうかそうか、それはよかった」
一誠の即答にアマテラスは笑顔でうんうんとうなずく。
そして陽影に市女笠を返すように促す。
「なるほど。すまぬな組手の邪魔をして。
ではこれで失礼する」
「あっ待ってください」
帰ろうとするアマテラスたちを一誠は引き止めた。
このタイミングを逃せばもう二度とこんなチャンスは訪れないと感じて。
「俺の仲間の……小猫ちゃんの仙術をみてあげてくれませんか?
少しだけでいいんです」
アマテラスは考えながら土蜘蛛と鬼喰いをチラッと見る。
「ふ~む……土蜘蛛、鬼喰い」
「「はっ!」」
「よきにはからえ」
そう言ってアマテラスは土蜘蛛と鬼喰いを残して去ってしまった。
一誠たちは残された土蜘蛛と鬼喰いに期待した眼差しを向ける。
「だったら、そうだな……そこの猫又、名をなんと言う」
「搭城小猫です」
「猫ショウか、まだ生き残りがいたとは。
しかし皮肉にも悪魔となになっていようとは。幸福中の不幸だな」
一誠は鬼喰いと土蜘蛛の言い方にムッときた。
それはまるで小猫が生きていることが悪いと言われてるみたいに感じて。
「小猫ちゃんが生きてたらいけないっていうのですか?」
「いやいや、お前たちが生き残っていたことは喜ばしいことだ。
だがな、日本としては悪魔になってしまったということはいかんしがたい事態なのだ。
まあ今ある命を喜び精一杯生きてくれ」
「鬼喰い、この場は任せてよいか?」
「……仕方ない、お前の方が適任だろうからな」
土蜘蛛は鬼喰いをおいてどこかへ飛び去ってしまう。
それから鬼喰いは何事もなかったかのように話を続けた。
「それに、猫ショウが滅びてしまうのはいうなれば自然の摂理でもあった。
猫又、殆どが猫ショウだが猫の妖怪は火車へという上級妖怪へとのぼることができる。火車こそが猫妖怪の
だが、外来の怪異が日本に上陸したことにより死後の管理権が奪われてしまった。
日本の民もそれを受け入れ、我々も争いで世人の世が混乱させるよりも問題がなければそれでよいと受け入れた。
だからこそ人魂を迎える火車は徐々に消えていった」
一誠はいまいち納得のいかない部分もあったが反面納得せざる得ない説得力が鬼喰いの目に、声に籠っていた。
「話を戻そう。搭城小猫よ」
「はい」
「おそらく手詰まりしているのは自然を取り込むのではなく流し込むに変えるところであろう?」
「その通りです」
「その場合ワシは食事を楽しんでみよと教えている。
じっくりと食材一つ一つの変化を楽しみながらな」
そう言って鬼喰いはその場を去ってしまった。
体よくはぐらかされた感もあるがとりあえず鬼喰いのアドバイスを実行してみようと思う小猫であった。
だが、力が必要となる事態はもうそこまで近づいてる。
◆◇◆◇◆◇
アマテラスたちが宿に帰ろうとしている道中、アマテラスは一匹の悪魔と出会っていた。
「天照様……」
「ん? なんだ貴様は」
アマテラスたちの目の前に現れた猫耳の悪魔。
素性のわからない悪魔を前にしてアマテラスよりも先にこころが素性を問う。
「日本を捨てて悪魔に魂を売った愚かな猫ショウです……」
その悪魔とは元日本妖怪であり元S級はぐれ悪魔の黒歌。
顔を俯かせたまたアマテラスたちの前に立つ。
「悪魔になればもっと良い暮らしができると、妖怪なんかよりずっと強いと思い込んで、大切な妹のためと言い訳して悪魔に寝返りました。
師匠の好意も無碍にして、自己中心的な考えで自分だけではなく大切な妹までもつらい目に合わせてしまうような愚か者です」
アマテラス側から見えないが黒歌は今にも泣きそうな目と声をしている。
その罪の意識がたっぷりと籠った声で黒歌は贖罪の言葉をつづる。
「今でこそ……妹は幸せそうにしていますが、そこに至るまで私のせいでつらい思いをさせてきました。
自分の師を裏切り、仲間(日本妖怪)を裏切り、日本を裏切り、妹すら一度は裏切ってしまいました。
だからこそ天照様にちょくせつ謝罪をしたかったのです。
申し訳ございませんでした」
黒歌はアマテラスたちの前で土下座をしてみせた。
自身が犯した罪。黒歌もこれで罪を償った気になっているわけではないがそれでも一度きちっと謝罪をしておきたかったのだ。
黒歌はアマテラスを通して自身の第二の親ともいえる師匠に謝罪しているのである。
アマテラスは黒歌に近寄って膝をつく。
「お主、名前は何と申す?」
「ぐす……黒歌と申します」
「そうか。黒歌よ、儂の方こそすまなかった。
日本を守る立場であるにも関わらずお主のような者を生み出してしまった。
お主がそのような立場になってしまったのも大本の責任は儂にある。すまん」
今度はアマテラスが土下座まではいかなくとも膝をついた状態で頭を下げる。
「お顔をあげてください、天照様!
天照様に責任などありません! 悪いのはすべて私の愚かさが原因です!」
「いいや! 元々は儂がしっかりと日本を守れなかったことが原因じゃ!
異国との交流は浮世の流れじゃが、異国の怪異に日本が侵されたのは儂の怠慢じゃ。儂がしっかりしとればお主ら姉妹が悪魔からつらい目に会うことはなかったじゃろう」
「天照様……お顔をあげてください。私は天照様を恨んでなどいません」
黒歌はなんとかアマテラスの顔をあげさせようと必死に言葉を探す。
でないと自分が罪の意識で押しつぶされそうになるから。
「儂を許してくれるのか?」
「許すも何も天照様は何も悪くありません。
許しを請うのは私の方なのですから」
「そうか、だったら儂を許すなら自分を許すことじゃな」
「はい?」
「儂が犯した大罪、おぬしが起こした裏切り、どちらも共通する事柄じゃ。
だから儂を許すことすなわち自分の罪を許すこと。
だいたいお主は別に日本に実害を与えたわけではない。じゃが、儂はお主に実害を与えておる。
じゃから儂の事を許してくれるならば自分の罪を許せ」
「……このご恩、一生忘れませぬ」
アマテラスの言葉で黒歌が涙を流している間、あうんとこころはアマテラスたちではないある一点の方向をずっと見ていた。
◆◇◆◇◆◇
土蜘蛛が向かった先にいたのは、虚無僧の格好をした大男と笠を深くかぶった武士。
その周りには既に死体と成り果てている警備をしてたであろう下級悪魔の姿が。
「一人か。慢心にも程があるな」
虚無僧の大男は土蜘蛛の出現に余裕たっぷりの見下した態度をとる。
だが、もう一人の男の対応はそれとは真逆であった。
「違うな、慢心してるのはお前の方だ。
あの御仁かなりの手練れと見た。拙者の本能がうずきよるうずきよる。
これは早速解放しておいた方が良いと思うぞ」
「お前がそういうならそうなんだろうな」
虚無僧の大男は背負っている鉄球を掲げ、もう一人は腰の刀を引き抜いて号令を発した。
「挫けろ、『
「千里を駆けろ、『
虚無僧の大男は元々大きかった体が5mを優に超えるほど膨らみ両腕は骨のような籠手がびっしりと装着されている。
もう一人の男は見た目に変化はほぼないがよく見ると足のあたりだけちょっとした変化があった。
「ひねりつぶしてやるぜちっさいの!」
大男は手を握り締め手のひじ部分を下にして土蜘蛛をつぶしにかかる。
だが土蜘蛛はその一撃を両手でしっかりとキャッチしてみせた。
そして次に土蜘蛛はもう一人の男を見るが、
「拙者は―――――――――――――逃げる!!」
もう一人の男はものすごい速さで尻尾を巻いて逃げてしまった。
土蜘蛛は特にそれを追う様子を見せずに上の巨大な手に視線を戻す。が、その時、
「卑剣『逃げ斬り』」
逃げたかと思われた男は土蜘蛛の後ろに回り込み土蜘蛛のひざ裏を斬りつけた。
「
武士の男が土蜘蛛のひざ裏を斬るつけると大男の繰り出した鉄拳の上からもう一発鉄拳が上乗せされる。
「弱い拙者が敵を計り、奇襲をかけ」
「強い俺が正面から叩き潰す」
二人の術中に見事かかった土蜘蛛に二人は勝利を確信した。だが、
「それで終いか?」
「「なに!?」」
やったかと思われた土蜘蛛はダメージどころか両手で受け止めていた手を片手にするほどの余裕を見せる。
「確かにお主は怪力だ。だが、山を揺らすには至らぬ。ハアッ!」
「ぐあっ!」
土蜘蛛はなんと5mを優に超える大男の体をそのままの状態の張り手で宙に浮かせたのである。
強い力で突き飛ばされた大男はまるで人間同士で殴り合いをしたかのように地面に飛ばされた。
「土遁・超加重岩の術」
「はぐっ!?」
「これで終いだ」
「はがぁぁぁぁっ!!」
次に土蜘蛛はまず驚いて動きを止めた男を掴み術で体重を重くして自重で動けなくした。
そして全体重を右足に乗せて男の背中を踏みつけて背骨をたたき折ったのだ。
それが終わったころに大男も立ち上がってくる。
そこに間髪入れず土蜘蛛は追撃に入る。
「土遁・
「!! フンッ!!」
刀剣解放して5mを超える大男の体を上回る巨大な岩で挟み込む。
だが大男はその攻撃を何とか耐えしのぐ。
だが、土蜘蛛の攻撃はこれでは終わらない。
大男の真上まで飛び土遁の術で周りの土を体に集め巨大な何かを作り出す。
そして完成すると自身の重さを何倍にもして落下した。
「土遁・大仏落とし!!」
巨大な大仏は巨大な岩石を巻き込んで大男を押しつぶす。
挟み込む大岩をこらえていた大男に真上の大仏を止めることはできずに無防備に押しつぶされ戦闘不能となった。
「まっ、こんなものであろう。
しかし、どうやって話し合いを切り出そうか考えてるうちに戦いが始まってしまった。
まっ奴らの反応と状況を見れば曲者であったのは間違いないな」
土蜘蛛はパンパンと両手の土を落としてアマテラスが待つ場所へ飛んでいく。
ほんの少しもやもやするところもあったが、この程度なら問題なしと判断してその場を去る。
◆◇◆◇◆◇
一方その頃、他の場所でも事件は起こっていた。
「こ、この俺が……こんな簡単に……!!」
「……お前……弱い」
一時間前ほどから手持ちのタバコをきらしてしまってイライラしている。
だから恋は今現在自分の行く手を阻む者を手当たり次第に斬っていた。
「待て、赤髪の少女よ」
動くものは恋以外にいなくなった場所から恋以外の声が聞こえる。
あたりを注意深く警戒してもどこに潜んでいるかまったくわからない。
「……どこ」
恋のイライラはさらに増した。
その時、水場の水から八頭の龍の頭が大きな水しぶきを上げて現れた。
龍の頭の根元には一人の男、七災怪・八岐大蛇の姿が。
空中に浮かぶ八岐大蛇と地上から見上げる恋の目線が交差する。
「私の名は八岐大蛇。日本妖怪だ。
特に三大勢力に加担する気はないが、今冥界には日本の最高神が来日しておられる。
今戦を起こすのであれば我が主の安全のため止めさせてもらう」
人間だった頃からゲオルグの『
自分に覚られずにこんな近くまで近寄られてたことに内心驚愕していた
「……恋の邪魔をするなら……斬る!」
「ほう、かなりの気迫。
これほどの相手と対峙するのはまだ未熟だった頃、肝の座った人間と対峙した時いらいだ……!」
先に仕掛けたのは恋の方だった。
道中切り捨てた悪魔と同じように素早く近づいて軽く体を切り落とす。
恋が切り捨てた悪魔は明らかに中級悪魔。いや、もしかしたら上級悪魔も交じっていたかもしれないほどの相手。強固な結界や高い身体能力、豊富な実戦経験を持ち合わせていた悪魔も多数いた。
そんな道のりを恋はそれだけの作業、たった一振りでここまでたどり着いた。
そんな上級悪魔ですら一撃で斬り伏せる異常な一撃を八岐大蛇は躱して見せたのだ。
「この一撃、宣戦布告と受け取って相違はないか?」
「…………」
「無言は肯定とみなすぞ?」
「……どけ」
八岐大蛇は内心恋の実力に戦慄した。
(なるほど、この者と出会ったのが私でよかった)
八岐大蛇は恋の力を正しく認識したからこそ、自分も本気を出さないといけない相手だと理解したからこそ全力を持って戦うことを決意。
そして恋の初撃から八岐大蛇は一撃でけりをつけなければ勝機は薄いと判断した。
最強の技で一撃で恋を仕留めにかかる。
「ゆくぞッ! 災害転じて怪となす!!」
八の龍頭が絡み合い一つの激流となって恋に襲い掛かる。
その洪水の如き激流はまさしく古き人が八岐大蛇と呼んだ自然の大災害そのものであった。
自然災害から生まれた八岐大蛇。自然を前にして人は、生物はただ耐え忍ぶしかない。
「…………!!」
八岐大蛇の必殺技、『災害転じて怪となす』を前にした相手の頭の中は逃げに支配される。
そしてあるものは蛇ににらまれたカエルの如く動けなくなり、あるものは洪水の恐怖から視界を大幅に狭める。
だが、恋はそのどちらにも当てはまらなかった。
恋はその洪水から逃げようともせず方天画戟の代わりの剣を構える。
恋は技など使わない。
ただ剣を振れば敵は倒れる。
だからこそこの攻撃も技ではない。ただ本気で剣を振るっただけ。
「ぐぁッ!!」
「……それは罰……恋の邪魔をした」
自分と恋の地力の差を本当の意味で正しく認識した八岐大蛇は自身の必殺技を中断して素早く回避行動で出たが八の龍の頭のうち4つを切り落とされた。
「くっ……私の回避が行動が間に合わなかったうえに龍の首を切り落とされるとは」
「お前……強い。恋……全部切り落とすつもりで斬った。
でも、これ以上邪魔するなら……殺す!」
いくらイライラしてるからとはいえ一流の武人としての本能が八岐大蛇を倒すべき敵ではないと言っている。
恋は本気の殺気を放って八岐大蛇を威嚇する。
八岐大蛇も今までに自分より各上の相手にすら勝ってきた百戦錬磨の猛者。だが恋には敵わないとわかるとわずかなプライドが邪魔しつつもどうやってこの場から逃げようかを考えた。
(だめだ、私では勝てない。この者の剣に私の全力はいとも簡単に切り落とされる。
この場は七災怪としての自尊心など捨てて逃げ………いや、ここで逃げたらアマテラス様はどうなる?
アマテラス様を命を懸けてお守りするのが我が使命。
この者が何かの拍子にアマテラス様に牙をむけばアマテラス様も、仲間たちも危ない)
アマテラスに対する忠誠心が八岐大蛇の逃げ道を完全にふさいだ。
八岐大蛇は自分の命を懸けて仲間たちが協力すれば確実に勝てるだけの手傷は負わせると。
もしもそれだけの傷を与えられなければ自身の死を持って仲間に敵の危険度を伝えようと。
「……これが最後の警告。どけ」
「悪いが、お主を通すわけにはいかん」
「じゃあ死ね」
(しまった!! 功を焦ったッ。
―――――――――――――――申し訳ありません天照様、お先に去らせていただきます」
既に八岐大蛇は自身の死を確信していた。
手傷は負わせるハズだったが命を懸けた特攻攻撃の四つの龍頭はすべて躱され恋の刃はおろちの懐に潜り込んでいる。あまりにも特攻に意識を向けすぎて防御をおろそかにしてしまった焦り。
後は八岐大蛇の首をはねるだけ。
おろちは覚悟を決めてゆっくりと目を閉じた。
一瞬の出来事がおろちにはとても長く感じた。
だが、八岐大蛇はいつまでたっても自身の首を斬られた感覚がしない。
不思議に思い目を開けると恋の刃は自身の首もとで止めれられていた。
「……だれ?」
「日本の文化だ」
日本妖怪最強、七災怪・無影こころによって止められている。
八岐大蛇の首を斬ろうとした剣はこころによって左手で白羽どりされてる状態で。
「おろち、なに真面目に相手をしてるんだ? 戦いなんかサボれ。
お前にはまだ生きてもらわないといけない。
次世代の水影はまだ育つどころが見つかってないのだからな」
「邪魔するならお前も斬……!!」
「隙あり」
恋がしゃべってる途中でこころは恋の腹を思いっきりなぐりつけた。
こころの強力なパンチで後方に吹っ飛びそうになったが、恋は両足の踏ん張りでもとに位置に戻るだけで済んだ。
だが、地面にはとんでもない力の跡が残された。
「硬い。今まで感じたことのない硬さ」
「……隙あり」
こころが拳の感触に浸っているとお返しとばかりに一瞬で距離を詰めた恋がこころに斬りかかる。
「難攻不落・豪傑面」
こころは恋の攻撃に焦る様子も見せず頭のお面を変え顔に装着した。
そうして恋の斬撃をモロに受ける。
「こころ殿!!」
「……手ごたえ無し」
恋の斬撃に吹き飛びやしたもののこころは平然と立ち上がり服についた塵を払う。
攻撃をモロに受けた能面も傷一つついていない。
「難攻不落・豪傑面。それは敵の攻撃を一手に引き受けそれでもなお動かぬ山の如き盾。それは自分の身一つで敵をどんな敵にも怯まずに殲滅する火の如き矛。
私と言う城と落とさぬ限り我が後ろを傷つけることはできぬと思え」
こころは強力な一歩を踏み出して恋のところへ一瞬で移動する。
その打撃を恋は左手で受け止めた。
その攻防の余波が周りや八岐大蛇を吹き飛ばす。
「ぐあっ!」
「……」
「……」
戦いに参加していない八岐大蛇は叫び声と共に吹き飛ばされ、中心地で戦うこころと恋は無言で戦い合う。
剣を捌き打撃を払いのけ、右腕で剣を受け止めて攻撃を躱す。二人の単純だが激しい攻防が激突する。
こころは何とか隙を見つけて強力な技をお見舞いした。
「猿武 山割り」
こころの強力な空手チョップが炸裂する。
恋はこの攻撃を避けたが、避けた場所から一直線に大地が割れた。
恋はこのままではこころに勝てぬと覚った。
「……お前強い。……だから、恋も本気出す!!」
「!!?」
恋は先ほどからの構えから何かを繰り出すような構えに変えた。すると目に見えて恋の霊圧が急上昇していく。
こころも自身の妖力で創り出した薙刀を構える。
次の恋と戦うには素手では力不足と判断したからだ。
最悪の場合自身の最終兵器を使っても勝利は怪しいとも思ってる。
「座し―――」
「まってください、恋ちゃん」
「……月」
恋の霊圧上昇が一瞬にして止まる。
「落ち着いて恋ちゃん。はい、タバコ」
「……ん」
「貴方たちは悪魔ではありませんね?
私たちも無関係の者を巻き込むのは大変不本意ですから」
「スーぷは~」
さっきまでやりたいことを邪魔されてイライラしていた恋だがタバコの力ですぐに落ち着く。
先ほどまでの半場理不尽な怒りはすっかり消え、それを察知したこころも構えを解く。内心戦わずに済んだことに安堵した。
「日本妖怪、こころだ。
現在日本の最高神天照大神様の護衛として冥界に来ている」
「そうでしたか。日本は私たちもとっても好きですよ。
ですから末永い繁栄を願っています」
「それはそれは、どうもありがとうございます」
「こころ~おろち~大丈夫~?」
月とこころが穏やかな会話をしていると月たちの後方からこいしが飛んできた。
「ごめんねこころ~手助けできなくて。そっちの優しそうなお姉ちゃんの後をつけてたんだけど、そっちの強いお姉ちゃんに勝てる気がしなくて」
「あらあら、さっきから私の
近くにいるのはわかってたのだけれど場所の特定ができないなんてすごいね」
「お姉ちゃんこそ無意識的に認識できないハズの私を感じることができたなんてすごいよ。
初めまして、覚妖怪のこいしだよ♪」
「よろしくね。私の名前は
(ペコ)
お互い簡単に自己紹介を済ませた後、月とこころはお互いに戦う意思はないということを伝え合う。
しかし、月は恋を上回る強者の妨害、こころは自分たちに10割被害が及ばないかどうかの心配でいまいち決め手に欠ける話し合いになっている。
「私たちは天照様をお守りするというはっきりした理由がある。
そちらにも三大勢力以外に害を及ぼさない証拠を見せてほしい」
「そうですね……私たちが三大勢力を恨む理由でもお話すれば納得していただけますか?」
「それよりもっと確実な方法がある。
こいしに心を、記憶を覗いてもらうことだ
お前たちの目的が本当に三大勢力だけならば見られても問題あるまい。
こころで証明してくれたならば私たちもお前たちを全面的に信用できる。内容によってはこちらも三大勢力の要請をはっきりと断れる理由になるかもしれん」
こころはこいしに心を覗かせることを了承してもらいたかった。
だが、それはあまりにも一方的な要求だということも理解している。
しかし、敵味方の区別がはっきりしない者を放置するのはあまりにも不用心。
さわらぬ神に祟りなしとも言うが、もしかしたらその神は自分たちを祟りに来ているかもしれない。その場合触らずに放置するのはとてもまずい。
「もちろん相当不快だと思う。だがもし許可してくれるならば今後わた」
「いいですよ、覗かれたところでやましい記憶など私たちにはありません。
それで私たちの無念、怒り、喪失感、そして愛情を理解していただけるはずです。
先に言っておきますと恋ちゃんの心は覗けないと思います。それは恋ちゃんの体質なのでご了承ください。
おそらく私の記憶と恋ちゃんの記憶はほとんど同じだと思うので大丈夫でしょう」
月は心を覗かせることに関してかなりあっさりと許可した。
それは自分にはやましいことなど一分もないという確固たる自信。
自分の大切な人を奪った三大勢力へと憎しみだけの行動だということを誤解なく伝えられる良いアイディアだとさえ思っている。
「ご協力感謝いたします」
「こちらこそ、私たちの無念を正しく伝えられる手段を用意していただき感謝します」
こいしは月の了承を得て月の記憶を読み取る。
そこでこいしが見たものとは、大切な人を失って酒におぼれる月とタバコにすがる親友。愛しの人が殺されたことを知っての自殺。愛しの人との幸せな日常。
こころはその幸せな日常をうらやましく思いながらほどほどで除くのを止めた。
「今見たことはすぐさま主にお伝えします。そしてお心遣い感謝します」
「こちらこそ邪魔しないでいただけるのは助かります。
それと、申し訳ありません、そちらの方の首を切り落としてしまって」
「龍の首であれば再生する。だから心配ない。
それにたとえ私が死んでも人々が八岐大蛇を忘れぬ限り、洪水の恐怖を忘れぬ限り“八岐大蛇は死なない”。妖怪とはそういうものだ」
「あっ、それと事態が収拾するまで中心部、おそらく貴方たちが宿泊している場所からも離れたほうがいいですよ。
私たち以外の暴動に巻き込まれる可能性があるので」
互いに礼を確認するとこころとこいしはすぐさま走り出し、八岐大蛇も一応残った首で切り捨てられた首を咥えて走り去る。
「さて、恋ちゃん。
復讐を始めましょうか」
「……楽になんて終わらせない」
恋と月の復讐の炎が静かに激しく燃え上がる。
怨敵をゆっくりと焼き殺すために。
アランカル大百科
月「はいどーも。みんなの御傍に這い寄る不安ムーンで~す。じゃあ今日もアランカルについて話すで。
一応一通り必要なことは話したと思うから今日は破面となった誇銅家を紹介するわ。
ホンマは誇銅家の紹介はもうちょっと後を予定しとってんけど、みんなが何を知りたがってんのかわからんかったからなあ。
例えば破面とはちょっと関係ない話なんかしたりしてお茶を濁して」
フラン「ねえ、そろそろ今日の紹介をしてもらえると助かるのだけど」
月「ああえらいすんません。じゃあ今日のアランカルはこの方、フランドール・スカーレットさんです。
今日はお忙しい中ありがとうございます」
フラン「構わないわ。どうせ本編では既に殺されてるんだし。退屈しのぎにはちょうどいいわ。
それと、別にかしこまる必要もないわ。確かに私はゲストだけど立場上貴方の方が上なのだからある程度は許容の範囲よ」
月「そう言ってくれるとこっちも助かりますわ。じゃあ話に戻らさせてもらいます。フランちゃんは響転が得意で鋼皮が苦手なタイプの破面。
そして刀剣解放の名前は『
能力は新たに『運命を操る程度の能力』を行使できるようになるんや」
フラン「この能力は知ってのとおり私のお姉さまの能力よ。私にもお姉さまと同じ血が流れているのだから使えたのでしょうね」
月「確かに、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』も『運命を操る程度の能力』の延長線の能力とも言われたりすることもちょいちょいありますもんね。
その人の今の運命を破壊するのではなく、少し未来を破壊することで運命操作をしたりとか。
ちなみに、その大幅な性格改変もそれのせいなん? それとも実のお姉ちゃんを意識してんの?」
フラン「そうね、一応レミリアお姉さまによく似てると自分でも思うわ。
だけど決してこれはお姉さまの真似ではないわ、なんたってこれは私自身のあふれ出るカリスマからにじみ出ているものであってレミリアお姉さまのカリスマではないわ。
確かに尊敬する実姉の血が流れているけど私とレミリアお姉さまは(ペラペラ)」
月「こりゃ姉と一緒でカリスマブレイクする日も近いな」