BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 この章の最後を追加で加えているだけです。
 次の章の始まりではありません。連続投稿はまだお待ちください。

 アンケートは次の章の終わりまでを期限とさせていただきたいと思います。
 投票数は少ないですが、一応愚者が圧倒的に多いのでそっちを選んだとして話を進めています。
 まあ、今更変わってもこの話の変更点は最後のドアくらいですが。


後味の悪い晩餐会+別れの試練

 冥界での騒動が鎮圧された後、冥界はかつてないほどの大打撃を受けていた。

 自爆特高を嬉々として行う禍の団に虚の襲撃。そして月と恋の破面の攻撃。

 冥界は一日にして戦える大部分の悪魔を失い、都市中心部は完全に焦土と化していた。

 冥界の一般人にも微量とはいえ死者が出た。

 自殺志願者のような禍の団は戦闘員が抑え込んだが、虚にはほとんど対処が間に合わずに体を食いちぎられたり魂だけをすべて吸い取られたりして民間人にも被害を与えた。

 もしもサイラオーグ・バアル眷属が2体、ソーナ・シトリー眷属が1体の虚を討伐しなければもっと被害が出ていただろう。

 そんなことがあり冥界の機能はほぼストップ。すべての予定もキャンセル。

 もちろんサイラオーグVSソーナのレーティングゲームも中止。

 そんな中冥界で動ける魔王、サーゼクス・ルシファーとファルビウム・アスモデウスが日本勢力との会談の締めを行う。セラフォルー・レヴィアタンはベルゼブブ程ではないにしろ重症のため欠員。

 

「こんな事になってしまい本当に申し訳ないと思っています」

「別にそれはよい。ただ間が悪かっただけじゃ。

 確かにマイナスイメージは拭いきれんほどの事件じゃったが、幸い儂らには被害はなかった。

 それに儂が求めているのは今よりも未来があるかどうかじゃ」

 

 すごく申し訳なさそうな態度をとる魔王側に対しアマテラスはにこやかな笑顔で返す。

 軽と重がはっきりと分かれたこの空間は少なくとも魔王側からすれば少しはましな空気ではあるが、本当のところアマテラスがどう思ってるかの心配は拭えそうもない。

 

「今があまりにも酷いと困るがまだ立て直せる時点、または立て直そうという努力がみられれば儂としては同盟の話を受けてもよいと考えておった。

 だが、いくら今を努力したところでそれがその場凌ぎばかりを考えてるようではそう遠くない未来、同盟を組んだ者すべてを巻き込んで落ちることになろう」

 

 まるで小さな子供に説教をするような口調で話しかけるアマテラス。

 それは相手に威圧をかけるわけではなく優しく諭すような口調で話を続ける。

 

「逆に未来ある組織、または例え共に落ちてもよいと考えるような義を感じるような組織であればより良い未来のために我々は協力は惜しまん。

 日本とていつまでも島国に閉じこもっておったら世界に取り残される。

 今の時代儂らももっとぐろーばるに生きねばならぬ」

 

 こんな事件が起こったというのに嫌悪感や拒否感を示すわけではなくむしろ受け入れてくれるような姿勢に魔王側は安堵した。

 

「それに、日本でも大規模な反乱が起こったことはある。

 初代風影の天狐が日本全土を巻き込んだ反乱をおかした」

「その反乱を起こした者は日本ではどのように?

 やはりアマテラス殿が鎮圧なされて」

「んにゃ、反乱した者は当時の七災怪が皆殺しにし天弧は二代目風影が討伐した」

 

 意外と過激な行動に出ていたアマテラスにびっくりした魔王たち。

 そのことをもう少し深く突っ込んでみようとした魔王たちだがその前にアマテラスが話を進めてしまう。

 

「それではきょ」

「話を戻すが儂はお主らに未来を共に歩めるかを確かめたかった」

 

 アマテラスを挟んで両側に黒いモヤが立ち込めた。

 そしてそこから七災怪全員が現れる。

 

「そこで儂らは独自にお主らがそれに値するかどうかを調べた。もちろん今回のことも考慮に入れるが、昔行った善政も調べられるだけ調べ考慮した。

 儂もこの目で三大勢力の中心の一組織である悪魔たちの様子を観察してな」

 

 アマテラスと七災怪たちが懐かに手を入れる。

 そして感じが一文字だけ書かれた紙を魔王たちに見せつけた。

 

「そして七災怪たちとも議論を交わし満場一致で同盟を拒否することに決っした!」

 

 紙には漢字一文字、『拒』と書かれていた。

 

「昨晩七災怪全員を集めて議論後多数決をとった結果じゃ。

 これにて儂らは三大勢力との同盟を正式に拒否するものとする。

 さらばじゃ」

「まっ、待ってくれ」

「あ、そうそう一つだけ言い忘れとった。

 儂は確かに戦は好まんと言ったが、愛する日本を愛する日本の民をこれ以上侵害するのであれば儂らは戦上等じゃぞ?」

 

 最後の最後にアマテラスは自身の圧倒的威圧感で魔王たちを黙らせた。

 そしてその場を七災怪と共に去って行った。

 

 

 

 

    ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 禍の団と虚の襲撃により冥界の都市部では復旧作業で大忙し。

 医療施設はそれ以上に大忙し。

 そんな中ソーナ・シトリーは自分の仕事をいったん預けて月とリアスたちが戦った場所とは違う闘技場へ来ていた。

 

「ん~~~~~~ッ! さて、七面倒臭い会談も終わった終わった。

 じゃが、帰っても仕事は山積みじゃ! 皆も倒れん程度に休息を取りつつも頑張ってくれ!」

『ハッ!』

「来ていただけて幸いです天照様、七災怪の皆さま」

 

 そこには日本勢力のトップたちが先に集まっていた。

 ソーナがここに来た理由はアマテラスたちをここに呼んだからだ。

 

「お待たせして申し訳ありません」

「儂らもちょっと前に来たばかりじゃ。

 それで、儂らにお願いとは?」

 

 ソーナは深呼吸をして自分を落ち着かせてから真剣なまなざしでアマテラスと目を合わせる。

 

「アマテラス様、どうか今から最後の試験を受けさせください! お願いします!」

『お願いします!』

 

 ソーナに続いて他の眷属たちも頭を深く下げてアマテラスにお願いする。

 アマテラスはそれを顔色一つ変えず、控える七災怪たちもこれと言って何か行動を起こすわけでもなくじっと何かを待っている。

 

「なぜそんなに急ぐのじゃ? 聞けばお主に残された機会は一度だと聞いておる。

 その残りの機会をこんな大事件のすぐ後でよいのか?」

「最初はサイラオーグ・バアル眷属とのレーティングゲームで勝つために試験を急ぎました。でもレーティングゲームはこのテロで延期となりました。

 しかし、これから襲い来るであろう脅威に私たちが立ち向かうために忍術が必要不可欠となったからです!

 今回は何とか人目の中で使用することはありませんでしたが、これからは表立って使う必要が近いうちに必ず来ます。

 ですから、可能性が低くとも今すぐ認めてもらう必要があるからです!」

 

 

「そうかそうか。では多摩よ伝えるがよい」

「はいにゃ。ソーナ・シトリーよ、多摩の試験受ける資格なしにゃ!」

「え!? そんな……どうして」

「多摩さん! どうか試験を受けさせてください! お願いします!」

 

 ソーナはおろおろしながらなんとか考え直してもらえるように言葉を尽くす。

 どんな時でも冷静さを失わないソーナにしては珍しく冷静さを失っている。

 他の眷属たちも何とか多摩に試験を受けさせてもらえるように必死にお願いする。

 だが、多摩は頑として首を横に振るばかり。

 

「いいや、必要なしにゃ。

 なぜなら多摩の試験を合格とするからにゃ!」

『え?』

「おめでとうにゃ!」

 

 試験が受けられないと思いきや、急に何もしていないのに合格を伝えられ祝福された。

 あまりの事にソーナたちはポカンとなっている。

 

「ソーナたちがあの武人と戦うところを遠くから見物させてもらったにゃ。

 そして見事逃げるということに成功したにゃ!」

「オマエたちノ忍術のウデまえはスデに合格てンに達していた。」

「だが、吾が輩たちの試験でお主らは一度たりとも逃げるということをしなかった」

「いつも追いつめられてもそこから逆転の糸口を探そうとするばかり。それでは忍びの技を使う許可は与えられん」

「忍びとは潜み耐え忍ぶ者。逃げない忍びなんてダメ! 勝てないとわかったら逃げないと!」

「正面から戦うことは悪いことではない。逃げずに戦うと言うことももちろん大切だ。

 それが必要な時は多々ある」

「しかし、生き延びて伝え、次に盤石の態勢で勝てるようにするのが人間の知恵。

 忍術は人間の知恵の力。

 だから私たちの試験は最初は受けに回って君たちの忍術の技量を見、次に圧倒的に攻め立てて君たちが逃げ延びれるかの試験」

 

 多摩、鵺、土蜘蛛、鬼喰い、こいし、八岐大蛇、あうんが試験の意味を説明していく。

それにこころが最期の説明を付け加える。

 

「つまりお前たちは忍びの本質を理解できてなかったのだ。

 お前たちが使うそれを忍術と認めてほしくばそのことを理解してもらう必要があった」

「実際にどう使おうがお主らの勝手じゃが、その力の意味も知らずに使ってほしくなかったんじゃ。

 もしかしてお主らも力だけを求めて日本人の文化を蔑ろにする輩かと思ってヒヤヒヤしたわ。

 まあ、その力の意味を知ってくれたならもうお主らがどう応用するかは勝手じゃ。

 日本の魂を汚さぬのであれば好きに使ってよいぞ」

「はっ、ありがとうございます」

 

 アマテラス直々の許可にソーナ・シトリー眷属一同頭を深く下げて礼をする。

 アマテラスも安心した表情でソーナたちを見る。

 

「ソーナよ、日本妖怪が儂を恐れとる話は影牢……忍の棟梁から聞いておるか?」

「えっ、あ、はい聞いております」

「ちなみにな今日本には人々の信仰から生まれたほぼ妖怪と変わらぬ神は多数おるが、父上母上から始まった本物の日本神はもう儂しかおらんのじゃ」

「!!」

 

 アマテラスはレイヴェルに話した自身の過去と同じことをソーナにも話した。

 ソーナはその過去を今の三大勢力の行く末と重ね合わせた。それにソーナは恐怖を感じる。

 

「ぶっちゃけ儂一人で無数の妖怪たちを押さえつけられているのは儂への恐怖も大きい。

 あっ、七災怪たちは別じゃぞ? こやつらと儂は深い信頼関係で結ばれておる!」

 

 アマテラスは大きくも小さくもない見た目年齢相応の胸を張る。

 そのアマテラスの言葉を聞いて後ろの七災怪たちも思わず表情が緩む。

 多摩やこいしのように思いっきり笑顔を見せる者や土蜘蛛や八岐大蛇のように表情を物理的に隠す者がいる。

 

「恐怖というのは諸刃の剣でもある。

 儂を恐怖の象徴としてよからぬことを企む者も出るやもしれん。恐怖から日本を救うと大義名分を掲げれば徴兵もしやすかろう。

 そんなことは起こらんと信じておるが、もし起こったならばもう儂も日本も終わりじゃな。

 儂は遺恨となる基は生かしておかんからな。

 元凶を処罰ししばらく儂への恐怖で平和が維持され、次に恐怖から日本を救おうとする者を処罰し、これを永遠繰り返す。

 そして日本は弱体化してゆっくりと破滅へ向かう」

 

 思わず頬が緩むような雰囲気から一変重くのしかかる現実へと変化した。

 冥界の未来を暗く思ったソーナの脳内がさらに暗くなる。

 

「一度動き出した破滅はもう止まらん。頂点を変えぬ限りな。

 先ほど言った日本の滅亡も儂が死ねば止まるじゃろう。

 しかし、今儂が死ねば日本は終わる。それこそ他国の力に依存せねば。

 だから儂は頼れる家臣たちと共に儂自身が移り変われるように精進する」

「……」

 

 この空間にしばしの無言の時間が流れる。

 この空間を作り出したのはアマテラスだがこの空気の中言葉を発したのもアマテラスであった。

 

「ソーナよ」

「はい」

「お主がいずれ冥界をよき国に変えてくれるのじゃな?」

 

 アマテラスの質問にソーナはぐるぐると頭を回す。

 今の話と現状を考えるととても即答などできない。

 だが、そんなソーナの脳内とは裏腹にソーナの口は先に動いていた。

 

「はい、必ずや私がこの手で変えてゆきます」

「うむ。では、その時が来ればまた日本に同盟を申し込みに来るがよい。

 その時代をこの目でしかと拝見せてもらおう」

 

 こんな現状だからこそ必ず改革に向けて現実的に進めなくてはならないと思うソーナ。

 だからこそすべてを賭けるつもりでソーナは即答した。ソーナの覚悟はすべて決まったのだ。

 アマテラスもその返事に思わず笑顔になる。

 ソーナたちはとても良い表情でアマテラスたちの帰路を見送った。

 

 そして冥界の復興作業も少ない人数ながら順調に進む。

 やはりこの辺の修復スピードは魔法による部分も大きい。人間世界ではこの被害をとりあえず生活できる状態まで戻そうとすれば年単位かかるであろう。

 しかし魔法の存在するこの世界では側だけならば比較的早く治せる。もちろん魔法道具や術式、精密機械などは新しく買い入れたり手作業でコツコツする必要はある。

 その過程で特に問題は起こらなかったが、しいて言うなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 重症のアジュカ・ベルゼブブが厳重な病室から忽然と姿を消したことくらいである。

 

 

 

 

 

    ◆◇◆◇◆◇

 

 

 リアスやソーナたち人間界で生活している悪魔たちは復興作業の山を越えたあたりで人間界へ戻った。

 学級閉鎖はまだまだ続いているが人間界での仕事もおろそかにするわけにもいかず拠点としている駒王学園のそれぞれの居場所へ向かう。

 リアスたちはオカルト研究部へ、ソーナたちは生徒会室へ。

 そしてソーナたちが生徒会室に全員入ってドアを閉めた瞬間部屋の中に生徒会の誰でもない声が聞こえてきた。

 

「うぷぷぷ」

 

 ソーナたちの目の前の机の影から白と黒が真ん中からはっきりと分かれたファンシーでありながらも不気味さを醸し出すクマらしきぬいぐるみが現れた。

 

「うぷぷ、初めまして。ぼくモノクマ」

「わけのわからない芝居は抜きにしてもらえませんか? 盾子さん」

 

 ソーナはこのぬいぐるみを知っている。

 ずっと前に盾子が前世で使用していたぬいぐるみだと見せられたこともある。

 だからこのぬいぐるみに茶番はすべて盾子が仕組んだものだとすぐにわかった。

 そして盾子の知識と技術ならこのくらいはたやすいことも知っている。

 

「ソーナちゃんはお堅いね~。一応言うと僕は本当にモノクマだよ?

 まあ厳密には江ノ島盾子が作った自我を持つ呪術人形さ」

「あたしはこっちだよ~」

 

 モノクマと名乗る人形と全く同じ人形がもう一体物陰から飛び出す。

 そこから聞こえる声は間違いなく盾子のものだった。

 

「ソーナちゃんもまだまだ甘いね。昼間っからパチンコ打ってるお笑い芸人志望の見通しくらい甘いね。

 まあそんなことは犬の餌にでも混ぜとくとして、モノクマ」

「ハイ! テレテレッテレー、電子生徒手帳」

 

 呪術人形のモノクマが人数分の電子生徒手帳を取り出した。

 

「はい、一人一つずつね」

「なんですかこれ?」

「ボクと戦うんでしょ? 冥界なんて有害地帯のためにさ。

 その電子生徒手帳はボクの所へ来るためのパスポートだよ」

 

 盾子と戦うためのパスポート。

 それはソーナが今最も優先すべきこと。

 その意味ではモノクマから差し出されたこのアイテムは今最もほしいと思う物。

 だが、盾子がパスポートなしじゃ絶対に侵入できない場所にいたとしてそこへ行くためのパスポートを自身を狙う者に渡すのは不信感しかない。

 

「その言葉を全面的に信用すると?」

「信用するかはあんたの自由。

 でも、来るなら正々堂々戦って正面から叩き潰して、圧倒的実力の差を見せつけて絶望させてあげるから」

「うぷぷ、君ってばホント優しいね~。

 わざわざ秘密基地に招待してあげるなんて」

 

 遠隔操作のモノクマと自動操縦のモノクマ。

 二匹のいかにもこちらをちょうはつしてるコントにソーナ以外は若干の苛立ちを覚える。

 ソーナだけはそんな挑発などすべて受け流し冷静を保つ。

 

「ちなみにその電子生徒手帳は君たち専用だから。しゃべったりしても使えるのは君たちだけ」

 

 モノクマがバックについている三大勢力に教えても無駄と伝える。

 ソーナはこのことを他の誰かにしゃべるつもりは毛頭なかった。

 三大勢力にこのことを教えても何も出来そうもないうえに自身が監視対象となり動きにくくなる。そのことでこのように向こうからの接触というチャンスもなくなる。

 さらに付け加えるなら向こうが無理にでも接触を図ろうとすれば間違いなく無駄な犠牲がこちらにでる。

 それに教えたとこで盾子が何の対策も取らないわけがない。きっと知らせれば後悔する結果になるように仕組まれてるのは目に見えている。

 ソーナはモノクマから電子生徒手帳を受け取る。他の眷属たちもソーナが受け取るのを見て全員が受け取る。

 

「そのかわり……このボクをあげちゃう♪

 やったー! こんなプリチーなぬいぐるみをもらえるなんてソーナちゃんはラッキーだね~」

 

 遠隔操作のモノクマはそう言うとその場で動かなくなった。

 操作を止めたのだ。

 そして自動操縦のモノクマも窓の方へ向かって歩き始める。

 

「ぼくを捕まえようと思ってるなら無駄だよ?

 ぼくが壊れても変わりはたくさんいるんだ。さらに僕への攻撃は校則違反だから。校則を破ればきつ~いお仕置きだよ」

「校則?」

「詳しくは電子生徒手帳を読んでね」

 

 モノクマが生徒会室を去ると同時にソーナたちは電子生徒手帳を開いてみる。

 すると画面に持ち主の名前が大きく出てくる。

 それをもう一度タッチしてメニューを開き校則の部分をチェックした。

 

 

 1:この電子生徒手帳を受け取ったということはモノクマの呪術、絶望学園(ディストピア)を受け入れたと同意義とし、絶望学園の生徒となります。

 

 

 ソーナたちはまずこの一文に驚愕した。

 不自然で自然な会話の中で既に自分たちに呪いをかけられてしまってたことに。

 呪いと言うものはその条件が厳しくなるほどローリスクハイリターンな効果を得る。

 例えば丑の刻参りは平たく言えば藁人形を打つだけで呪いが成立する。だが、失敗した時のリスクは大きい。

 だが、盾子の使った呪いの類はそのリスクを呪いをかける時点で難しくすることでその後のペナルティを軽くするもの。

 しかも詐欺紛いの手法でも自ら受け入れたと同義のこの方法。

 甘い呪いではないとソーナは確信する。

 

「会長……」

「……やられました」

 

 ソーナは既に自分たちがじたばたしても始まらないとあきらめてこの校則を詳しく調べて糸口を見つけることに切り替えた。

 

 

 2:学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。

 

 3:モノクマは基本的に自衛以外で生徒に危害を加えてはならない。

 

 4:生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、

生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

 

 5:上記の殺人が同意のもとの正式な勝負であれば適応されない。

 

 6:生徒同士の勝負で負けた生徒は“退学処分”となります。

 

 7:仲間の誰かを殺したクロは”卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません

 

 8:卒業した生徒は絶望学園の呪術から解放となり、校則すべてが適応外となります。

 

 9:卒業生が再度生徒となるにはモノクマからもう一度電子生徒手帳を受けなければなりません。

 

 10:電子生徒手帳の他人への貸与を禁止します。

 

 11:既存の校則は生徒数が0となるまで削除不可能となります。

 

 12:なお、校則は順次増えていく場合があります。

 

 

「意外に理不尽なものではありませんね?」

「そうですね」

 

 副会長の言うように多少気持ち悪い文面だが今のところこれと言って自分たちを苦しめるところはない。

 校則をすべて確認すると窓から出て行ったはずのモノクマがなぜか戻ってきていた。

 

「他になにか?」

「ちょっと言い忘れてたことがあってね。

 君たち冥界での戦いお疲れ様」

「ん……」

 

 やはりあの襲撃盾子が裏で動いていたと半場確信していたがやはりとソーナは思う。

 だが、そのことをわざわざ言いに戻ってくるモノクマ、いや、盾子の心理が想像もつかなかった。

 

「オカルト研究部の部室に月と恋を倒したご褒美を用意したからみんなで仲良く食べてね」

「急いでオカルト研究部へ!!」

 

 ソーナ眷属は急いで生徒会室から出て旧校舎のオカルト研究部へ走り出した。

 

「それともう一つ」

 

 生徒会室で最も出口から遠いソーナだけがモノクマの声に足を止める。

 他のメンバーはもう先に飛び出して行った。

 

「電子生徒手帳をパスポートとして使用する場合は“門番”に言ってね」

 

 そう言ってまた窓から外へ出ていく。

 ソーナはモノクマの最後の言葉をしっかりと記憶に焼き付けて自身もオカルト研究部へ急いだ。

 部屋に残されたのは盾子が操作を切ったモノクマ人形だた一つ。

 

 

 

    

  ◆◇◆◇◆◇

 

 

 リアスたちがオカルト研究部の前まで来るとなぜかとてもおいしそうな匂いがしてきた。

 それもその匂いの原因はオカルト研究部から漂ってきているみたい。

 誰もいないはずの部室から漂う匂いに警戒しつつドアを開けた。

 すると中央のテーブルにとてもおいしそうな料理と中央にはきれいにラッピングされたプレゼントボックス。

 

「今までお疲れ様です。どうぞお召し上がりください」

 

 テーブルの上に置いてあるカードを読み上げる木場。

 とてもおいしそうな料理に明るい配色のプレゼントボックス。

 一見自分たちを喜ばそうとしているサプライズにも見えないこともないが怪しすぎる。

 お気楽な一誠でさえ料理に手を付けようとはしない。

 リアスは料理には手を付けなかったが中央のプレゼントボックスが気になり手に取ってリボンを外し箱を開けようとした瞬間……

 

「ちょっと待った!!」

 

 後ろからソーナ眷属、二村の声がリアスたちを振り向かせる。

 二村はまだ無事なリアスたちを見てほっとする。

 

「どうやら間に合っ」

「ちょそんなとこで止まらな―――――――――――「キャー!」」

 

 それぞれの属性を生かして最速でオカルト研究部を目指したソーナ眷属。

 雷に近い速さで飛んできた二村に風に近い速さで飛んできた花戒がブレーキをかけれずに大惨事となった。

 

「大丈夫ですか!?」

「「だ、だいじょ……副会長を呼んでください」」

「まったくあなたたちは……」

 

 そんなコントをしているうちに他のソーナ眷属がオカルト研究部に集まってくる。

 ソーナはその一番最後に少し遅れて到着した。

 

「リアスッ!! まだ料理には手を付けてないですよね!?」

「え、ええ」

 

 ソーナの必死の形相にリアスも言葉数が少なくなる。

 そして最近自分はソーナに押されっぱなしだなとふと思った。

 

「よかった」

 

 ソーナはふっと一安心する。

 その間に匙はいろんなことに注意を飛ばしながら料理の並べられた机に近づく。

 そして手を触れずにじっくりと観察してみる。

 さらに自身の神器である『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』のラインを料理に刺す。そして料理の中に毒物がないかを慎重に探る。

 

「何やってんだ匙?」

「料理に毒が盛られてないか調べてんだ。これだいぶ集中しなくちゃいけないからちょっと黙っててくれ」

 

 匙が念入りに料理の毒物検査を行う。

 その間ちょっとした暇な時間が流れた。

 

「ところでリアス、その箱は?」

「これ? テーブルの中央に置かれてたんだけど……」

「……開けてみましょう」

 

 ソーナは盾子の性格から直接的な危害を加える物は入っていないと判断し、なおかつ自分たちにとってリアスに見られて困るものも入ってないと判断した。

 なぜなら盾子がそんなあっさり殺しにくるはずがないから。もしそうなら自分たちはとっくに死んでいるだろうと。

 そして電子生徒手帳の挑戦状からそれを台無しにするような仕掛けは盾子の性格上絶対ないと確信している。

 

「大丈夫ですかね? だって盾子さんのプレゼントですよ?」

「盾子さんだからこそ危険はないわ」

 

 二村とソーナが小声でリアスに聞こえないように会話をする。

 盾子だからこそ箱の中に危険物は入れてない。

 さらにタイミングと目的から見ても危険物が入ってるわけないと。

 

「キャー!」

「なんですの、これ……?」

「これは一体!?」

 

 リアスが箱を開けた。

 すると中には人一人分の骸骨が入っていた。

 しかもその骨にはまだ微量の肉が残っている。

 リアス眷属は白骨ではなくまだ肉や血のついた骨に恐怖する。

 だが、ソーナはこの骨の本当の意味にすぐさま気づいた。

 

「こ、これは……もしかしてこの料理は!?」

 

 箱の中の髑髏の中に光に反射するものが見える。

 匙はその正体を恐る恐る取り出してみる。それはモノクマの顔の形をしたガチャガチャのカプセルだった。

 カプセルを開けると名前の書いてある小さな紙が入っているだけ。

 だが、その名前が重要。

 

「……アジュカ・ベルゼブブ…………」

 

 行方不明になった魔王の名前が。

 

「まさか……そんな……」

 

 その後生徒会室に残されたモノクマ人形を調べると中にはずっしりと詰まった砂の中に防腐魔法のかかった手と髪がご丁寧にも入れられていた。

 

 

 

     ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 本のおじいさんが守護する隠者の試練をクリアした僕はおじいさんが導くまま次の試練への扉の中へ走って行った。

 そこで僕が辿り着いた場所はアメリカ映画のホラーで使われるかのような薄暗い豪華な洋室。

 部屋の雰囲気で若干わかりにくいが周りの家具はすべて高級品であることは素人目にもわかる。

 

「ようこそ、誇銅くん。待っていたよ」

 

 そこで守護者として待ち受けていたのは悪そうな笑顔のタキシード姿の中年男性。

 初めてだよ、出会ってすぐさまでこんなにも嫌悪感を感じたのは。

 

「まあ座りたまえ。今お茶をだしてやろう。あのすましたジジイは茶の一つも出さんかったろ? 紅茶orコーヒー?」

 

 この人は僕の嫌悪感を無視してずかずかと入り込んでくる。

 僕の中の嫌悪感がより一層警報を鳴らす。

 だから僕は言われた通りにせず離れて立ちっぱなしでいる。

 

「どうした? ん? ……ああ、前は信用させるために変装してたんだ。

 まあそんなのはこの際どうだっていい。

 オラ、試練の話を始めるからさっさと座れ甘ガキ。

 俺もこんな楽しみもうま味もない仕事さっさと終わらせて悲鳴響く素敵な拷問部屋で至福の拷問作業に戻りたい」

 

 人差し指と中指で机を強く叩いて僕をせかす。

 ついさっきまでは表面だけでも良い人っぽいとこを見せていたのに急に乱暴な口調へと変わった。

 おそらくこれがこの人の本性なんだろう。

 僕は試練と言う単語を聞いてその人に従う。

 

「んんっ! まずは軽く自己紹介をさせてもらおう」

 

 そしてまた急に表面だけは良い人に戻った。

 なんだこの人は?

 この人に見られるたびになぜかすごい嫌悪感を感じる。

 

「私は悪魔の守護者。おそらくお前は今私に私への印象以外からくる嫌悪感を感じているだろう?」

 

 なぜそれを!?

 考えを的中させられた僕の顔を見て目の前の男性はにやりと笑う。

 

「それは俺が司る誘惑に反応してるのだ。

 悪魔の誘惑は禁忌の快楽。だからこそお前は初めてドラッグを手にした優等生と同じような心境に陥った。

 今手に持ってるものがいけないものだと頭では理解している。だが、それは強い誘惑を放つ。だから防衛本能として嫌悪感を感じる。

 だからお前はまだ真っ白なチェリーボーイなんだよ。よかったな甘ガキ」

 

 この人になぜ嫌悪感を感じるかはわかった。

 でも、僕が知りたいのはそんなことじゃない!

 早く家族のもとへ帰りたいんだ!!

 

「そんなことはどうでもいいです! 早く試練について説明してください!」

「甘ガキの割には威勢がいいじゃないか。

 じゃあ教えてやる、俺の誘惑の試練についてな」

 

 僕が勇気を振り絞って強気に出ると男性はやっと試練について話す気になってくれた。

 さあ、早く試練を受けさせてくれ。

 僕は一刻も早く家族のもとへ戻るんだから。

 

「お前にはこれから二つに一つを選んでもらう。過去か現在か」

「……どういうことですか?」

「つまり、お前にはある死者と会ってもらう。

 そこでお前には一つだけ過去を変える権利をやる。

 死んだ両親の死を変える権利をな」

「え!」

 

 そんなの助けるに決まってるじゃないか!!

 というより自分の親を助けられると言われて助けない人はいないよ!?

 今回の試練、なんとしてもクリアしてみせる。

 絶対にお父さんとお母さんを救ってみせる!!

 

「ただし! もし救ったなら試練は失格。お前には過去に戻って死ぬはずだった家族と過ごしてもらう。

 そしてもう今の家族の元へは帰れない」

 

 ……え? それってつまり……。

 

「お前が両親の死を救うかどうか。

 救えば両親は生きていた未来を生きる。

 もし救わなければ今の未来を進む。

 さあ、どっちを選ぶ?」

 

 僕が状況に混乱している間、この人はさらに口角を釣り上げて僕の顔を覗き込む。

 僕の困惑した様子を嬉しそうに眺めて。

 

「悩んでる時間も惜しいだろ? お前は早く家族のもとへ帰りたいのだろ?

 大事な大事な家族を片方見捨ててでもな?」

 

 当然僕はお父さんとお母さんを救いたい。

 だけどそれをすれば今の家族を見捨てることになる。

 そんなの嫌だ。

 だけどここでお父さんとお母さんを見殺しにするなんてできない。

 僕はどうしたら……。

 

「生き返らせるならママとパパと一緒に過去の扉へ。見殺しにするならたった一人で未来の扉へ。

 ほら、さっさと行ってこい。

 そして存分に苦しめ」

「まっ……!」

 

 するとあの悪魔は消え、というか別の部屋にいつの間にか移動させられていた。

 そして目の前には死んだはずの両親が。

 そんな、僕はまだ何も決めれていないのに。

 僕が混乱しているとお父さんが話しかけてくる。父親としての強い眼差し。懐かしいな、僕のお父さんってこんなに強い目をしてたんだ。

 

「誇銅、一つ聞きたい。

 私たちと今の家族、どっちが大切だ?」

「そんなのどっちも大切だよ! 僕には選べないよ……」

「言い方が悪かったな。

 失った家族と今ある家族、どっちが大切だ?」

 

 お父さんの言葉が僕の頭の騒音をピタッと止めた。

 失った家族と……今ある家族。その言葉で僕の頭は真っ白になる。

 

「誇銅、誇銅には既に新しい家族がいるんでしょ?

 だったらそっちを(うつ)ろになんかしちゃダメ。

 失ったものよりも今あるものを大切にしなさい」

「お父さんたちは嬉しいぞ、誇銅が立派な家族を持つことができたと知って。

 今の家族を見捨てるようなことはするな、お父さんたちがお前を置いて行ってしまった罪を繰り返すんじゃない」

 

 お父さんとお母さんは優しい目で、だけつ強さのこもった眼差しで僕を見つめる。

 

「でも、それじゃお父さんとお母さんが」

「親はいつかいなくなる。それがちょっと早すぎただけだ。

 それに、今をきちんと生きれるお前は大丈夫だ」

「誇銅にはさびしい思いをさせたし誇銅の子供の顔を見れないのは残念だけど、それでも過去を手に入れるために未来を捨てるなんてダメ。

 貴方の帰りを待ってくれる家族もいるんでしょ?」

 

 僕の両親はそう言ってにっこりと僕に微笑みかける。

 僕の目から際限なく涙があふれてくる。だけどその笑顔はしっかりと見える。

 泣き崩れる僕の頭をお父さんとお母さんが優しく撫でてくれる。

 そうしてしばらく泣き続けてまともに話せるくらいまで落ち着いた僕は涙を拭いてしっかりと両親に向き合う。

 

「わかった、父さん、母さん。

 僕、絶対に家族のところに帰るよ。

 ありがとう……そして、ごめんなさい」

「謝るんじゃない誇銅、お父さんたちはお前の重荷になんてなりたくない」

「たくさん幸せになるのよ」

 

 そう言ってお父さんとお母さんは二人で光のもれる扉へと消えて行った。

 そして僕は人工的な光で照らされたシックなドアを開けた。

 

「おめでとう、試練合格だ。最後の試練へすすめ」

 

 やる気なさそうな拍手を無視して指差す扉へと僕はそそくさと歩いていく。

 次で最後だ、気合入れて行くぞ!!

 そうして僕は部屋の雰囲気に似つかわしくない木一枚のボロボロのドアを開けて進んだ。




 アランカル大百科

ムーン「さて、今回紹介する破面はってなんか僕の名前表記おかしないか!? う~んまあしゃあないか。まあゲスト一覧見せられた時にはいつかこんな日が来るってわかってたしな。
 あっそうそう、しゃあないで思い出したんやけどな、この前オモロイ事があってん。
 一昨日久しぶりに町で昔の友達とおうてな」

月「あの~……私の紹介のほうはまだでしょうか? 裏ではもう出番だから出ろって言われたんですが」

ムーン「ああごめんごめん。オホン、では今回のアランカルは董卓こと月さんに来ていただきました!」

月「本日はよろしくお願いします」

ムーン「月ちゃんは探査回路が得意で鋼皮が弱いタイプの破面。そして刀剣解放の名前は『咎聖女(アレペンティル)
 能力は罪悪感に応じた重さを与えることができるんや。
 頭を痛めるような罪悪感なら脳の圧迫から爆発、心が苦しくなるような罪悪感なら心臓が重くなり体を突き抜ける」

月「そのほかにも解放時の十字架で範囲内の人の心の中に自分を責める自分を作り出すこともできます」

ムーン「ところで、なんであの時キミの心臓が飛び出たん? あれ僕の中でずっときになっとってん。自分の能力なんやから普通は自分には効かんハズやろ?
 第一十字架のほうは効いてへんかったし」

月「それは私の能力は自分も含めて敵味方無差別に発動してしまうのです。元々この能力の原点は悲しみや罪悪感に苦しむことを他人にも押し付けようとするところから始まってるらしいんです。申し訳ございません」

ムーン「あの状態やったらしゃあないしゃあない。それに破面になるってことはそういう負の思いが他者を傷つける武器にするってことでもあるねん。
 負の感情に落ちたからこそ畜生へと堕ちる。本場の虚やって心の穴という負の感情に呑み込まれて他者を傷つけまくる。
 それに、最後の最後で月ちゃんは畜生から人間の心を取り戻しとったやないか」

月「あ、ああ、あああ、こんな身も心も汚れてしまって誇銅さんは許してくれるでしょうか!? いえ、優しい誇銅さんなら許してくれるでしょうが私には誇銅さんの御傍にいる資格なんかありません!」

ムーン「ちょちょちょ! そんな取り乱さんでも……! 続行が不可能なので今回はここまでで。ちょ(スター)手伝ってえや!」
 
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