BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 ごめんなさい、まだ全部仕上がってません。
 この章すべてを連続投稿はまた出来そうもありません。
 楽しみのしてくださった方々本当に申し訳ありません。


絶望のカンパネラ
暴走・暴発・密告者


 江ノ島盾子の狂気の贈り物。

 骸骨に付着していた肉や血のDNAからその骸骨が魔王アジュカ・ベルゼブブということが正確に確証された。

 さらに料理に使われていた肉料理にソーナが持ってきた人形に入っていた手と髪の毛もベルゼブブ本人と確認された。

 その事実は冥界全体だけではなく、三大勢力すべてに多大な混乱と恐怖を巻き起こすのである。

 

 これからのことについてリアス・グレモリー眷属、ソーナ・シトリー眷属、その他悪魔関係者が一カ所に集まり話し合いの場を設けた。

 そこで最も強く話題に上がったのがやはりアジュカ・ベルゼブブ殺害調理事件。

 その話題でソーナは最も注目を浴びることになった。

 

「犯人は間違いなく盾子さんですね」

 

 その一言でソーナ眷属以外が凍りついた。

 当の本人は平然と手元に置かれた紅茶を飲んでいる。

 

「なぜ江ノ島盾子が犯人だと?」

「生徒会室に置かれていた熊の人形、あれの名前はモノクマ」

「モノクマ?」

「盾子さんが前の世界で愛用していたオリジナル人形です。

 あの人形を知っているのはこの世界で私と盾子さん本人、それと誇銅さんたちだけでしょう」

 

 事態は何一つ解決はしていないがそれでも犯人がわかったことによる安堵は大きい。

 これで少なくとも正体不明の犯人におびえるよりはずっとマシ。 

 

「その人形以外に何か接触はなかったか? もしくは昔のことでも引っかかるようなこととかよ」

「……いえ、特にありません」

 

 ソーナはつい最近盾子と接触したこと、呪術人形モノクマのこと、電子生徒手帳を受け取ったことなどは何も伝えなかった。ただポーズとして何かを思い出そうと考えるそぶりだけを見せて。

 

「そっか、情報もこれで打ち止めか。

 はっきり言って情報不足もいいところだ。

 だから今のところ用心、特に破面の気配に用心しろとしか言えねえな」

 

 アザゼルは情報不足すぎる事態に頭を悩ませながらも結果論を出す。

 あまり助言にはなっていないが立場上普段からこういったことに慣れてるメンバーたちはそこまで深く考えていなかった。

 それは今回の事で全体の警備が強固にされたことと魔王が収める地、さらには自身の力なら対抗することくらいはできると考えているからだ。

 今回魔王がやられたのもアジュカ・ベルゼブブが前線復帰が難しいほどの重症だったからということも含まれるであろう。

 そうして特にめぼしい話し合いもなく会議は解散となった。

 

 会議が終わったとこで生徒会メンバーはここ最近落ち着いては来たが仕事する時間が減って結果的に溜り気味な生徒会の仕事を片付けるべく生徒会室へ向かう。

 

「会長、なぜ盾子さんが犯人だと教えたんですか?

 今までの会長の判断から彼らの暴走を危惧して教えなかったハズでは?」

「リアスたちは既にメインターゲット。ならば自分たちの敵を知ってもらった方がよいでしょう。下手に張り切りすぎても困りますが、アザゼル総督や入って日の浅いロスヴァイセさんがある程度ブレーキになってくれると思ったからです」

 

 ソーナは特に感情を見せることなく質問に答える。

 その答えを聞いてふむふむと納得する。

 

「それに、ある程度情報を与えたことでまた一つ情報源が増えます。

 友人を一方的に利用するのは気が引けますが場合が場合なので仕方ありません」

 

 こっちに関してはソーナも少しばかり申し訳なさそうは表情を見せる。

 だが、本当に些細な申し訳なさ程度ではある。

 そんなこんなで生徒会室へついたソーナ眷属がドアを開けるとまたまた驚くべき事態に。

 

「どうなってんだよこの町の警備は……」

 

 なんと誇銅ファミリーであった重音テトがそこで待っていた。

 この町への二度の侵入。いや、以前の事や冥界も加えると4度目の破面の侵入。

 警備のザル具合を嘆く匙。

 そして問題の当人であるテトはソーナたちが入ってくると笑顔で手を振っている。

 

「お久しぶりですテトさん。今日はどういったご用で?」

「って、そんな対応でいいんですか!? 生徒会室だけでも2度目の侵入ですよ?」

「確かに悪魔の警備体制のお粗末さは問題ですが今気にするのはそこではありません。

 それに彼女からは戦闘意識どころが盾子さんのような悪意も感じません」

 

 ソーナの言うとおりテトから敵意のようなものは感じない。むしろ友好的な雰囲気がする。

 なのでソーナたちもこれといって戦闘の意思を見せない。

 匙自身もそれはわかっているがどうもやりきれない部分がある。

 

 テトは手をパタパタと動かして何かを伝えたそうにしている。

 だが、ソーナたちは小首をかしげるばかりで伝わらない。

 伝わらないとわかるとテトは周りをキョロキョロ見回して部屋にあるパソコンに何かを打ち込み始めた。

 

(誇銅が亡くなってから声が出なくなったんだ。そのおかげでアイドルも強制引退さ。

 だからこうして話させてもらうよ)

 

 それはテトからのメッセージ。

 声が出せないテトは最初は手話やジェスチャーで何とかコミュニケーションを図ろうとしたが、手近にあるパソコンを使う簡単な方法に気付いた。

 

「なぜ誇銅さんが死んだ日に声が出なく?」

(僕たち家族はみんな誇銅によって命を貰い必要なものを補ってもらっていた。失ったものは補い、過剰なものは鎮め、邪魔なものは変化させて。)

 

 テトは一見関係なさそうな誇銅の死と自分が声を失ったことの関連を説明する。 

 

(僕は元々歌うために作られた歌姫の一人。だけど僕はエイプリルフールのために作られた嘘の歌姫。ただその日のためだけに生まれた声無き歌姫。その日が過ぎればお払い箱。

 そんな僕に命と声を吹き込んでくれたのが誇銅。

 だから今僕は声を失っている。)

「なるほど、理由はわかりました。

 ですが、ここに来た理由の説明をしてもらってよろしいでしょうか?」

(君たちに協力しに来た)

 

 その予想外の返答に表情を消すことを得意とするソーナも眉をぴくっと動いた。

 そんなことがありながらもソーナ眷属たちは目を見開くだけで何一つしゃべらない。

 ソーナは再び冷静な心に戻して質問を続ける。

 

「テトさんもご存じの通り私も誇銅さんを奪った悪魔と同じ種族です。

 多少信用がおけても実質私たちは敵同士。なのになぜわざわざ怨敵に協力するのですか?」

(確かに誇銅を奪い、家族をバラバラにした三大勢力は憎い。

 だけど、それ以上に盾子のやってることは止めなくちゃならない。)

 

 テトがここまで打ち込んだ時点で質問したくなったが、ここはぐっとこらえてテトが打ち終わるまで待つ。

 

(今の盾子には家族の愛情なんて、今までの思い出なんてどうにも思ってない。

 変わってしまった。いや、戻ってしまった。昔の盾子に。)

「どうして盾子さんが愛情を失ったと? 確かに残忍な手段をとりはしましたが、盾子さんは家族を生き返らせました。

 盾子さんの技術と知識があれば手早く復讐して自身がかけた復讐の暗示も簡単に解けるハズなのに。

 それは心の中では家族を愛している証拠ではないですか?

 それに、こんな残忍で効果的な方法も今まで今の今まで使わなかったのも」

(月と恋、それにフラン。もしも妹三人がなりふりかまわず攻撃を仕掛けていたら?

 初期段階で破面になれなかった虚もこちらにはまだ多数残っている。今は盾子の意向で緊急時の防衛として保管されているが、それらも全部攻撃に使っていたら?)

 

 ソーナの希望観測もテトは打ち砕く。

 信じたかった、盾子はただ悲しみでおかしくなっただけだと。その裏側には愛情があふれる素晴らしい人だと。

 だが、そんな盾子と身内であるテトがそれを否定する。

 

「しかし、それになんの意味が?

 フランちゃんにしても月さんと恋さんにしても戦力として見てもかなり貴重とみました。それに作戦も大雑把すぎて後の事を考えられていないどころか攻めの考えも甘すぎです。

 これはフランちゃんに月さんと恋さんの行動は独断でなければ説明がつきません。

 盾子さんなら例え狂っていたとしても間違いなくもっと効果的な作戦を」

(答えは単純にこの三人を効率良く処分するためさ。)

 

 とても信じられない返答が返ってきた。

 常日頃から盾子自身が自慢で愛しの妹たちと豪語していた妹を処分。

 それは例えただの戦力として見た場合でもとても信じられない一言。

 

(盾子の中では精神が不安定で強力な三人が自分の計画に邪魔と感じたからと思う。てっ、プロシュートが。)

 

 自身が知っている盾子の印象が崩れ去る。

 ソーナの中での盾子はいい加減に見えても思慮深く家族愛の強いお姉さん。

 自分より年下のはずなのに姉のように思える人。そして何より自分が確固たる意志を持って進む道を示してくれた恩師。

 だからこそその恩義に報うためにも盾子の暴走を止める必要もあると考えていた。

 だが実際今の盾子はそれとはまったく違う。

 ソーナは表情にこそ出ていないが多大なショックを受けていた。

 

(盾子はまずフランにだけ許可を出した。その際にまず兵藤一誠の勝利の運命を壊すように命令した。フランの能力でも兵藤一誠の主人公の如き運命には“絶対”に勝てないと言って。

 そしてフランはムキになって運命を壊さずにその手で支配しようとして負けた。)

 

 テトは盾子がどのようにして三人の妹を処分したのかを語る。

 

(次に月と恋。二人には二人の破面を連れさせて魔王討伐に行かせた。

 月には誇銅をもっとも苦しめたグレモリー眷属を苦しめ、恋は魔王を全員をゆっくり殺してから月と合流して暴れろと。

 月と恋は誇銅が死んでから非常に不安定な精神状態に陥っていた。二人一緒にいる時だけ安定した力を出せる。

 なのに盾子はこれを割いた。そして二人も死んだ。

 保険と称して連れて行った破面も好戦的な二人でわざとその日来日する予定だった日本勢力とぶつかるように。)

 

 テトが語ることすべてにソーナは恐怖した。

 なぜ少し前まではあんなにも可愛がっていた家族を、妹たちをそんな簡単に捨てれるのか。

 ここまで思い通りに事を動かせるのか。

 そして何より尊敬する師がこんな一瞬で変わってしまったことに驚愕した。

 ソーナは盾子の闇の深さの鱗片を感じ取った。

 

(その事にいち早く気付いた僕とプロシュート。いや、プロシュートはもっと早い段階で盾子の暴走に気づいてたみたいだけど。)

「盾子さんはなぜこのようなことを……」

(さあね、僕にもわからないよ。だけどこれだけはわかる。

 僕もプロシュートも盾子を止めたいと。

 盾子は明らかに復讐劇を隠れ蓑にしてそれ以上のことを企んでる。)

 

 ここでテトはソーナの目をしっかりと見つめる。

 声がなくともテトの目は真っすぐな思いが籠っていた。

 そしてそれを伝え終わると再び打ち始める。

 

(僕やプロシュートでは盾子を止められない。悔しいけど止めるには盾子が選んだ役者じゃないと。)

「盾子さんが選んだ……役者?」

(盾子は絶望を欲している。他人にも、自分にも。だから自分が選んだ役者だけには自分を倒す希望を残す。それがあなたたち。)

 

 そんな馬鹿な話普通はありえない。

 だけど、盾子ならばあり得る。盾子ならばそうするはずだとソーナも心の中で納得する。

 だからこそ盾子の思惑通りになってることに一層警戒を増す。

 

「一つお聞きしたいんですが、盾子さんは自分のもとへ来るなら門番に頼めと言いました。

 その門番とはいったいどういう意味なんですか?」

(門番なんてのは僕も最近知った。僕たちの城へは破面か虚しか出入りできないはず。

 だけど、盾子が言うからには実在はする。

 盾子が言うには門番はソーナたちが持っていると言ってた。)

 

 仲間であるテトも知らない門番の存在。

 確実な情報は得られなかったがそれでも有益な情報を得ることができたとソーナは感じた。

 そして他の眷属はなおも何か言いたそうにしてもしゃべらない。

 

(どうやって入るかはわからないし、これ以上の手助けはお互い危険。

 だけど、もしこちらに来れたなら僕がサポートする。)

「ありがとうございました、テトさん。

 危険を冒してまで私たちに協力していただいたこと、感謝します」

(頑張って、僕も悪魔は憎いけど君たちなら応援するよ。)

 

 そう最後に書き込んでテトはその場を去った。

 そしてテトが去ってしばらくしてからしばらくは無言の空間ができたが。

 

「もうしゃべって構いませんよ」

「ぶは~! すげえ息が詰まりました」

「確かに必要な情報は会長が聞いてくれましたが、なぜ私たちにはしゃべるなと?

 もしかしたらもっと情報を引き出せたかもしれませんのに」

 

 ソーナ・シトリー眷属が一言もしゃべらなかったのには理由がある。

 ソーナは眷属たちに秘密の合図の一つ『誰もしゃべるな』を出していたからだ。

 司令塔として眷属たちの絶対的な信頼を持つからこそ眷属たちは異論があってもその場では従い続けた。

 

「確かにテトさんからは悪意は感じられませんでした。

 しかし、自分の勘だけを頼りにするのはこの場合得策ではありません。その勘が最も必要とされるのは急を要する時だけです。

 テトさんに盾子さんへ裏切りの意思があってもテトさんから情報が漏れる危険性はゼロではありません。

 敵と場合を考慮して今は確証がもてるまではこちらから無暗に情報を与えることは禁じます」

 

 例え味方であっても猶予があるなら確証が持てるまで全面では信用しない。

 見知った中であり可能性が低くとも本人も知らぬ間にスパイに仕立て上げられているかもしれない。

 そう考えてソーナはテトと協力はするがテトを完全には信用しないという方法にでた。

 

「しかし、少なくともテトさんが言っていたことはすべて事実だと思われます。

 もしかすると盾子さんは禍の団なんかよりもずっと恐ろしいことを企んで。いや、あの襲撃も盾子さんが一枚かんでいたのであれば既に禍の団すら盾子さんの駒となっているかもしれませんね」

 

 ソーナはうーんと考え込みテトが座っていた席に座り書き残された文字を見つめる。

 悩み始めて2~3分してソーナは立ち上がる。

 

「ハハっ、つい最近リアスに説教したばかりのことを私がやぶる事になるとは。

 真羅 椿姫、由良 翼紗、巡 巴柄、花戒 桃、草下 憐耶、仁村 留流子、匙 元士郎、北海 誠司。

 これより先は今までと比べ物にならないほど残忍な敵が相手です。死を超えた死の恐怖が襲ってくると思われます。

 しかし、今ならまだ引き返せます。それを知らずに平和に生きたいならここで降りてください。中途半端な覚悟は足手まといです」

 

 ソーナは厳しい口調で自身の眷属に語りかける。

 そして水の造形物で生徒会室のドアを開けて自身は眷属たちに背を向けて目をつぶる。

 

 ――――――――――――――――――――――――カツン カツン カツン ガチャ

 

 何名かの足音が静かな空間に響き渡り、ドアが閉められた音が聞こえる。

 それでもソーナは何も動じずにそれからもうしばらく背を向けて目をつむった。

 そして物音が消え去りしばらくして振り返ると。

 

「……後悔はありませんね? これは倒すのではなく、たった一人を殺しに行くのですよ。自身の死の危険を冒してまで」

「「「「「「「「はいッ!」」」」」」」」

 

 そこには閉じられたドアの前に並ぶ眷属全員。

 その光景にソーナも思わずかすかな笑みを浮かべる。

 

「それでは私たちの技術の仕上げに向かいます。日時は明日この場所。

 各自死地への身支度を整えてください。

 向かうは高天原!」

 

 

 

    ◆◇◆◇◆◇

 

 

 明快襲撃の犯人が盾子だと知らされた次の日、ソーナ眷属全員が学校を休むと連絡が入った。しかも1週間以上の長期で。

 ソーナらしからぬ突然の行動、行き先も理由も誰も知らない。リアスたちも怪しんだ。

 

「このタイミングで、しかも全員いなくなるなんてなんだか不自然だと思わない?」

「私もこの行き先も理由も不明なのはソーナさんらしくないと思います。それに、時期も時期ですし」

「もしかして、俺たちに情報をもらしたから破面たちがソーナさんたちを」

「失礼な! ボクはそんなことしないよ!」

『!!?』

 

 一誠が憶測を口にすると突如一誠が座っているソファと反対側のソファの後ろからモノクマが飛び出した。

 

「ボクはそんなことをしないよ。も~ボクほど人間に友好的なクマはいないよ。

 タイムマシンでダメダメな小学生の未来を変えてあげるくらい友好的なボクがそんな恐ろしいことをするわけないじゃないか」

「モノクマ!?」

 

 リアスたちはいきなり目の前に現れたモノクマ、しかも動いてしゃべっていることにまず驚く。

 だが、そんなことはすぐにどうでもよくなりそのモノクマを動かしてる人物に検討をつけた。

 

「ここに何の用かしらモノクマ。いえ、江ノ島盾子」

「やだな~ボクは江ノ島盾子じゃなくてモノクマだよ?」

「下手な芝居はもういいわ。あなたが江ノ島盾子だけが知りえるぬいぐるみだってことはもう知ってるわ」

「……ハァー仕方ないめんどくさいけど説明してあげるよ。ボクの名前はモノクマ、江ノ島盾子が作った呪術人形。

 だからボクは江ノ島盾子じゃなくてちゃんと自我をもった人形、モノクマなのさ」

 

 目の前の人形が言っていることが定かかどうかはわからないがどちらにしても江ノ島盾子の手によるものには変わりない。

 リアスたちが警戒を緩める理由は一つも見当たらなかった。

 むしろ呪術という言葉により一層警戒を強める。

 

「それよりこんなラブリーなお客様が来てるのにケーキの一つも出さないの?」

「これは失礼しました。ではお詫びに特別な部屋へお連れしましょう。強力な魔獣用のオリの中へ」

 

 モノクマのペースに呑み込まれまいとリアスも嫌味を反す。

 そのことでモノクマはプンスカ怒り出す。

 リアスはふんと強気な態度でしてやったりと思った。

 

「クマー! 失礼な悪魔だねー! せっかく君たちをボクのご主人様の居場所を教えてあげようと思ったのに。やーめたー」

「江ノ島盾子の居場所!」

 

 モノクマのまさかの言葉に強く反応を示す。

 だけどモノクマはぷんぷんと怒って背中を見せる。

 教える気をすっかり失っている。

 

「お願い、教えてちょうだい!」

「教えてくださいでしょ?」

「うぐっ! お、教えてください」

「おや~? お願いの前に謝罪の言葉が聞こえないな~?」

 

 モノクマは自分の片耳に手を置きわざとらしく腹の立つポーズをする。

 この姿勢にリアスもイライラしたがここはぐっとこらえてしぶしぶ要求に従う。

 

「し、失礼な発言をしてしまい申し訳ありませんでした。どうか江ノ島盾子の居場所を教えてください。お願いします」

 

 今度は何の文句も言われないようにしっかりと頭を下げる。

 こうして文句が出る前にモノクマが満足するであろう謝罪をしておけばこれ以上挑発はできないだろうとのリアスなりの考えであった。

 リアスの無様な姿を見て機嫌よくしたモノクマはどことなく満足そうな顔になる。

 

「しょうがないな~まあ今回だけはこのくらいで勘弁してあげるよ。どう、僕って心がアフリカ大陸並みに大きいでしょ?」

「は、はい。その寛大さに感謝します」

 

 リアスは今まで感じたことがない屈辱を味わった。

 そんなところを指をくわえてみてるしかない自分のふがいなさに怒りを覚える一誠。

 

「あの、江ノ島盾子の居場所をそろそろお教え願えませんか?」

「そうだね~門番を見つけることができたら来てもいいよ」

「その門番とは?」

「それを言っちゃ面白くないじゃないか。それを探すのも君たちの仕事だよ」

 

 モノクマが教える江ノ島盾子への希望はとても不明瞭なものだった。

 モノクマがさす門番の居場所も正体も実在するかすらも不明である。

 

「ん~じゃ我儘な君たちのためにヒントをあげよう。

 門番は君たちの身近な人が知っている」

「身近な人が知っている……? おい、それは一体どういうこと」

「それじゃ気張ってや~」

 

 モノクマはとってつけたような大阪弁を残して一誠の質問に答えずに消える。

 終始モノクマに振り回されっぱなしのリアスたち。

 だがそこに見出す希望は例え罠だとしてもつかむ価値はあると確信した。

 その判断こそが盾子が最も望む絶望の一歩だとも知らずに。




 アランカル大百科

月「今回の破面は恐らくお察しの通り三国志最強の武将、呂布奉先こと恋ちゃんやで。よろしくな恋ちゃん」

恋「……」

月「……恋ちゃんは鋼皮が強力で探査神経が苦手な破面。その鋼皮は魔法攻撃などの異能を受け付けない対魔力防壁であり単純に強固な鋼皮でもある。その名も無敵無頼の鋼皮(ゲラ・シン・コンフィアンサ)

恋「……恋に異能は通じない」

月「おっそうやね刀剣解放は『飛将(ソレダッド・ゲラ)』能力はまさに防ぐだけの力が触れる異能を拒絶し破壊する能力や。
 さらに恋ちゃんだけが使える二段階解放ではその視界に映る世界を自分の世界とし視界内の異能をすべて否定するんや。
 相手は異能すべてを封じられ恋ちゃんは身体能力をカンストさせる。まさに恋ちゃんには異能は通じない!」

恋「……」

月「なんかやりずらい子やな……。じゃあ僕から一つ質問ええか?」

恋「……コク」

月「ほんまに! ありがとな。これはたぶん読者も気になる矛盾やと思うねんけど恋ちゃんはあらゆる異能を受け付けない。それは同郷の月ちゃんの能力であろうと盾子ちゃんの術式も関係ない。
 なのになんで誇銅くんの炎は通じたん? あの時は恋ちゃんも最強の状態やったのに」

恋「……誇銅は恋がここにいる理由。……異質な恋を受け入れられる人はいなかった。……孤立してる恋を受け入れてくれのは誇銅だけ。……だから……恋の世界の魔法」

月「でも、その理屈なら家族全員。少なくとも月ちゃんも入らへん?」

恋「……月は……傍にいてくれる。……だけど……恋の世界には入れない」

月「う~ん恋ちゃんにしかわからん世界があるねんな。僕には違いがわからへんわ。要するに怪物を倒す英雄の心は人間である限りわからへんってとこかな?」

恋「……」

月「だからな? 人間であるはずなのに人間がかなわぬ怪物を倒す人間は人間ではないってことでつまり……ああこれはなし続かんわ!! 
 今回はこれでおしまい! おしまい!」
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