BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 すいません一旦ここまでです。
 続きは早めに書き上げて連続で投稿しますのでもうしばらくお待ちください。


入学、絶望学園

 高天原から帰ったソーナたちは帰ったことを誰にも告げずに門番を通して破面の本拠地へ侵入した。

 たどりついた先はまるで未来世界の大規模な地下基地のような場所。ただし床と壁だけで天井がない。

 天井の代わりに宇宙のような真っ暗な空間に鏡が浮いている。

 そこでソーナたちが最初に出会ったのは。

 

「無事辿り着くことができたみたいだね」

「テトさん!? 来てくれたんですね。

 しかし、声を失ったはずでは?」

 

 それは重音テト。

 しかも口元を変わったマスクで隠してはいるが明らかにテトがしゃべっている。

 しかしその声は前までの耳触りの良いものではなくとても機械らしいロボ声。

 

「この翻訳機のおかげさ。

 僕の口の動きと吐く息の量に合わせて言葉を伝えてくれる優れものだよ。

 アメリカの人外医療施設から買った。

 やっぱり筆談や手話は伝わりにくいからね」

「そうですか。

 ところでここは一体どこなんですか?」

 

 ソーナはレーティングゲームで使用する異次元とは明らかに違う異次元らしき場所に疑問を持った。

 返答次第では控えなくてはいけない大技や注意しなくてはいけないことがあるためそこをまず確認。

 

「ここは裏側の世界。

 表があるから裏もある。

 例えばあの鏡を割るとその鏡に映しだされてる表の場所に少なくない影響が出てしまう。

 いわば表を支える支柱の世界。

 盾子はこの場所に研究施設を作ったのさ」

「グレートレッドが住む場所以外にこんな場所があったなんて」

「ここは入るのは困難だけど出るのは意外と簡単。

 例えば浮いてる鏡ではなく地面に突き刺さってる大きな鏡ならそこから映ってる表の世界へ出られる。

 入るのは無理だけど」

 

 テトの説明にソーナや椿は自分たちの行動にいくつかの制限を頭に浮かべた。

 それほどまでデリケートな場所ならば後々の考えて暴れることはできない。

 リアスたちのようなもっぱらなパワー勝負するタイプではないがそれでも気をつけなくてはいけない。盾子はそんなことお構いなしに暴れるだろうが。

 

「入るにはギラティナと言うこの世界の主の力を介さないといけない。

 まあ今はそんなことどうでもいい。

 この場所は特殊な術式のおかげで裏寄りの表と裏の中間の空間になっている。

 だから盾子の招待した方法で入れば暴れまわってもあの鏡に干渉することはまずない。

 さあ、急ごう」

 

 最後の補足で頭に浮かんだ制限は解かれた。

 それは盾子への敵としての信頼。彼女ほどの術式ならおそらく自分たちが暴れたところで問題が出る程脆くはないだろうと。

 だが、それも暴れる制限がないだけ。

 中間地点らしき大広場で自分たちを待ち受けていたらしき虚の大群に手を焼かされることは間違いない。

 

「ちっ、まずはザコ戦からってわけか」

「ちょ匙くんこれザコ戦って呼んでいいの? 私たちじゃこんな数を一度に相手にするの厳しいわよ」

「しょうがない。敵の懐に潜り込んだ時点で消耗は仕方ないことね」

 

 匙が虚の群れに渋い顔をしながらも強がりを言い他の眷属たちも戦いの準備をしているとテトがそれを止める。

 

「君たちは盾子とぶつかるまで可能な限り力を温存しておいて。

 ここは私が。嘘ぶけ『虚栄混合獣(メンティロサ)』」

 

 テトそう号令するとテトの両腕が肘まで覆い尽くす大きな丸太のようなツメに覆われ、白いコウモリのような巨大な翼に鋭い尻尾が現れた。

 その爪先は鋭く、巨大な骨は片腕がテトと同じ程の大きさがある。

 

「さあ、道を開けてもらうよ」

「―――――――――――――――――――――――――――――」

 

 テトはその大きな翼で羽ばたいた。

 そして道を塞ぐ大量の虚を切り裂き、握りつぶし、尻尾で薙ぎ払う。それだけで虚の数がどんどん減り死ななくとも重傷を負う。

 ある程度虚の数が減るとさらに高く飛び上がり両手の手のひらを前に突出し

 

「虚砲」

 

 両の手のひらから放たれた極太の虚砲で残りの虚を消し飛ばす。

 30体以上はいた大小虚の大群は瞬く間に消え去った。

 

「さあ、こっちだよ」

 

 あっという間に消え去った虚の跡地にソーナたちはさらに気合を入れる。

 これから戦う破面はこれ(テト)よりも恐ろしい敵だから。

 そしてソーナたちとテトは先を急ぐ。

 

「テトさんはパワータイプでしたか。

 今までの破面はみんな能力系でしたからなんだか新しいですね」

「一応僕も能力系だよ?」

 

 草下が走りながら少し雑談をするとテトがその前提を否定した。

 他の人もテトの言ったことが気になるので走りながら黙って聞く。

 

「能力系なんですか!? 一体どんな」

「そうだね。さしずめデータを詰め込む能力かな?」

「データを詰め込む?」

「そう。僕は能力を持ってないけど能力を入れる空き容量は破面一なの。

 そこに転移できる能力や神器、能力の部類に一時的に変換できるなら軍隊だって宿して自由に呼び出したりもできるさ。

 今はその容量をすべてパワーに注いでる。

 例えるなら僕はパソコン。空き容量が多い程処理スピードも速い」

 

 そこからまたしばらく黙って走る時間が訪れる。

 以外に広いこのアジトではテトが一緒だろうと敵の奇襲も十分考えられる。

 だが広場での虚以外敵と全く遭遇しない。

 それを一番不思議に思ったのはソーナと椿。

 

「ところで他の破面はいないんですか?」

 

 ソーナよりも先に椿がテトに質問した。

 その質問にテトは少し顔色を暗くする。

 

「……処置さえ行えば殆どの人は破面になることができる。

 だけど、そこから大きな問題にぶち当たる」

「そ、その問題とは?」

「破面から虚への退化」

 

 テトが発した問題。

 ソーナたちもその言葉に心当たりがあった。

 

「破面となった者は常に退化の脅威と隣り合わせ。

 さっき倒した虚も破面化実験の被験者さ。

 今ではかなり安定した破面化が可能らしいけどそれが完成した時には被験者は両手で数えられるくらいしか残ってなかったらしい」

 

 ソーナたちが初めて会った虚っぽい破面がまさにそれだ。

 それよりも椿が気になったのは。

 

「その被験体は一体どこから」 

「盾子によって絶望に魅入られた志願者。だけど足りなくなればたぶん適当な人をさらうだろうね。

 それと設備が足りないらしくてこれ以上良質の破面化はできそうもないらしい。

 だから僕たち以降は粗悪な破面化でほぼ一週間以内で完璧に虚へと退化する者ばかり量産してる」

 

 善人の盾子を見てきたソーナには信じられない言葉。

 あの良き師だった盾子の狂い具合に戦慄すら覚える。

 その表情を見てテトは何か悩むような表情をした。そして確認するかのような口調で言う。

 

「今更だがもう一度だけ言っておく。

 今の盾子は明らかにおかしくなっている。

 ただ悲しみで狂っているのではなく根本から暖かい心を捨てている。

 既に別人だと思うんだよ。

 盾子の事を思うんだったらむしろ本気で殺してあげて」

「……はい」

「ついた」

 

 ソーナたちはテトの助力があって力を消費する事も迷うこともなく辿り着いた。

 

「この扉が第一壁。

 この奥が私たちの居住スペースになっていてさらにもう一つ壁の向こうが盾子のいる研究スペース」

「先はまだまだですか」

「本当はもっと先の所で僕が君たちを迎え撃つ予定だったんだ。……あ、あれ? ロックかかってる。なんで!?」

 

 テトは自動ドアが開かない事に疑問視し力を入れてこじ開けようとするが開かない。

 

「なんで!? ここはロックかかってないハズなのに!?」

「そんなもんお姉ちゃんの裏切りに気づいてるからに決まってんじゃん」

 

 ソーナたちの後ろから盾子の声がする。

 振り向いてみるとそこには江ノ島盾子が立っていた。

 

「盾子さん! いえ、砂分身ですね」

「ひゅーわかるようになったんだね。

 きちんと忍術の修業をしただけあるね~」

 

 盾子はちゃかすように対応する。

 テトは思いがけない盾子の登場に動揺が隠せない。

 

「な、なんで?」

「なんでってそりゃあたしが絶望的なまでの天才だからよ。

 お姉ちゃんとプロシュートがあたしを裏切る気でいることなんてとっくの昔に知ってるっつ~の。

 そんな事に気づけないなんてマジ残姉ちゃん」

「わ、私たちをどうする気……?」

 

 テトは響転でソーナたちをかばうように盾子の前に出る。

 盾子はその行動を鼻で笑うと砂で丸椅子を作り出して座った。

 

「別に~。ただお姉ちゃんには本来の役目をしてもらうだけ」

「本来の役目」

「そう、ソーナちゃんたちと戦ってもらう。

 ルールは適当。きちんと決着がついた時点でこのドアは開くから」

 

 テトはしばらく考え込んでソーナの目を見る。その目には強い思いが籠っていた。

 ソーナたちの目の前に立ちふさがり一呼吸おいて力強く言った。

 

「ソーナちゃん、僕と真剣勝負だ。

 僕に勝てないようじゃ盾子ちゃんの絶望を打ち砕くことなんてできない!

 さあ、受けてもらうよ!」

「……わかりました。ここで私たちの力を試させていただきます。

 テトさん胸をお借りします」

 

 ソーナは戦う意思をはっきりと示す。

 体力温存できなくなったのは残念だが上級破面であるテトに自分の力がどれだけ通用しどれだけ通用しないかを調べるのにちょうどいいと思う。

 ソーナ眷属全員が素早く戦闘の準備に取り掛かるが。 

 

「それじゃ私は棄権するよ。

 これなら文句ないよね?」

 

 テトは勝負を受理されてすぐに棄権した。

 盾子は残忍だがルールは守る。それが盾子の性格だとテトはよく知っている。

 確かにそうだがソーナたちはテトの気迫に完全に騙されて見事に肩透かしをくらう。

 

「じゃああの強烈な戦う意思はなんだったんですか?!」

 

 テトの過剰ともいえる演技にツッコミを入れざる得なかった匙。

 ソーナ眷属の殆どもその意見に首を縦に振って同意する。

 

「だって本気じゃなきゃ盾子ちゃんが道を開けてくれない可能性があったからね。

 私は歌う人形であると同時に最高の人口役者でもあるの。

 確かに僕を倒せるくらいの実力がないと盾子ちゃんの絶望は倒せない。だけどこのチャンスを逃せば僕をたやすく倒す実力があっても難しくなる。

 ならばこの機にソーナちゃんを万全に近い状態で残すことを選ぶ。

 さあ、盾子ちゃんこれなら文句ないでしょ?」

「ああ、問題ないさ。それじゃ後よろしく」

「はいは~い。今回の勝負の敗者は重音テトでしたー!」

「「「「え?」」」」

 

 盾子が勝敗を受理すると同時にモノクマがどこからともなく現れる。

 そして不吉な言葉を声高らかに口にする。

 

「今回は嘘の歌姫である重音テトサンの為に、スペシャルなおしおきを用意させていただきましたぞっ!!」

 

 モノクマの床下からボタンがおかれた台座がモノクマの高さまで伸びてくる。

 そのボタンをモノクマは木槌で押した。

 

「な、何それ? 聞いてな―――――――――」

 

 するとテトはその場から消えた。テレビの電源を消したようにビユンと。

 その時、ソーナはテトがいた場所に自分たちが持っている電子生徒手帳と同じものが落ちていることに気付いた。

 他のモノクマが大きなモニターを持ってくる。

 そこに映し出されていたのは

 

『夢のレッドカーペット』

 

 赤いカーペットの上にテトが立ち、そのレッドカーペットはたくさんのモノクマが出待ちする扉の奥へつながってる。

 すると突然カーペットが扉の方へ勢いよく引っ張られ、テトも扉の奥へ引っ張られた。

 扉を潜ったテトはたくさんのモノクマたちによって見えなくなる。が、モノクマの大群の奥ではフラッシュ音や電気と電気がぶつかり合う音、何かが爆発する音、生々しい打撲音などが鳴り響く。

 そこでスーツ姿のモノクマがそのモノクマの大群の中に一人で乗り出す。

 しばらくして鳴り響いていたグロテスクな音が止み、大群の中からスーツ姿のモノクマが誰かの片足を引きずって出てくる。

 その足はボロボロになって動かなくなったテトの足だった。

 テトは地面の方に顔を向けて引きずられながら反対側へ引きずられていく。

 そして引きずられてできる血の跡はまるで最初にあったレッドカーペットのように伸びていき、その上を扉から出てきたゴージャスな衣装を着たモノクマが歩く。

 そこでモニターの映像がきれる。

 

「いやっほうっ! エクストリ―――――――――ムッ!!

 アドレナリンがぁ―――染み渡る―――ッ!!」」

「あわ……あわわわ……」

「な、な、なんで……? テトさんは盾子さんの仲間で家族じゃ……?」

 

 密告者ではあるが盾子の仲間であり家族であるテトが目の前で無残で悪趣味な殺され方をしたことにその場のモノクマ以外は動揺を隠せないでいた。

 盾子のあまりにも残酷な行為に戦意を喪失する。

 ソーナと椿、匙と誠司はこれは自分たちの戦意をそぐための冷酷な作戦だと割り切って何とか目の前の非道を受け止めた。

 

「……これがお仕置きなんですね」

「さっすがソーナちゃんわかってる~。そうだよ、校則通り負けたらお仕置きだよ」

 

 この一言がさらにソーナ眷属の戦意を奪っていく。

 負ければ自分がテトと同じように殺される。

 たった今目の前で起こったことだけにその効力は絶大。

 

「ここで逃げてはだめです! 私は既に逃げる機会は与えました」

「それに、ここで逃げても盾子さんの恐怖からは逃れられない。いつ襲ってくる呪いの恐怖に死ぬまで侵されるだけです」

「逃れる手段は二つ。今ここで自ら命を絶つか」

「恐怖の対象を倒すかだね」

 

 ソーナが厳しい言葉で一喝し椿が逃げ道がないことを示す。

 そこに戦意を失っていない匙と誠司が解決にならない方法と根本的な解決法を示す。

 

「そ、そうです。そうですよね! 私たちは既に覚悟を決めたはずですよね!」

「あんなお仕置きにおびえて残りの一生を生きるなんてまっぴらです」

「私たちはみんなそれを最初から知っててここに来ました。だからこんなとこで立ち止まるわけにはいきませんよ」

「自害って元ちゃんそれ何の解決にもなってないじゃない。私たちは生き残るためにここに来たのに。ふふっ」

「でも、負けて死ぬか生きて帰るかの二択だもんね。だったら私たちが求めるのは」

「「「「「生きて帰る!」」」」」

 

 ソーナ眷属の心は完全に立ち直った。

 だが、盾子とモノクマは不敵な笑みを浮かべながら砂へと変わりその場から姿を消した。

 まるで地獄はこれからだとソーナたちをあざ笑うかのように。

 

 

 

    ◆◇◆◇◆◇

 

 

 虚討伐の現場を見せられた次の日、一誠の携帯にメリーからのメールが入った。

 その件名は勝負ルールの説明と書かれている。

 

『ルール説明

 町を漂う都市伝説妖怪に全滅させられたら負け。

 全滅前に三勝するか日の出まで逃げきれば勝ち。

 悪魔は三体以上で一体の妖怪と戦うことを禁ずる。

 妖怪は他の妖怪と協力して戦ってはいけない。

 悪魔側は妖怪に触れられた際に自分と他の協力者を指名して戦う。逃げれば失格。

 敗者は残りの者に手を貸すことはならない』

 

 次に日時の書かれたメールが別に転送されてきてリアスはそれをこの問題を解決するためしぶしぶ承諾の返信を送った。

 

 

 

 

 

 

 都市伝説組との約束の日となりリアスたちは駒王学園の夜の校舎へと集まっていた。

 この件は顧問であるアザゼルも知ってることだがアザゼルは不在である。

 この件に自分がでしゃばるのはお門違いだとリアスたちに都市伝説組との交渉をすべて任せた。どちらにしろ参加権はないが。

 だがそこに足りないメンバーが一人。

 

「ギャーくんはどこですか?」

「秘密の特訓で現地で合流すると聞いていますわ」

 

 小猫がギャスパーがまだ来ていない事に疑問に朱乃が答える。

 だがその説明を聞いて一誠が質問を重ねる。

 

「だけど都市伝説組との約束の時間はもうすぐですよ」

「そうですねちょっと遅いですね」

「もしかして何かあったんじゃ!?」

 

 リアスたちがギャスパーを心配しているとサイドカー付のゴツイバイクが校庭に入ってくる。

 サイドカーに座っている人物がヘルメットを外してリアスたちに手を振る。

 

「お待たせしました」

「ギャスパー!? なんでバイクで?」

「特訓の帰りに送ってもらったんです」

 

 ギャスパーはバイクの人物にヘルメットを返し一礼するとリアスたちの方へと向かう。

 リアスはギャスパーを送ってきたバイクの人物へと近づく。

 

「私の眷属をここまで送ってくれてありがとう。

 私は彼の王のリアス・グレモリー。あなたお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

「俺が誰かわからないってことはうまくできてる証拠だな」

 

 バイクの男は頭のヘルメットに左手をつけると手首までヘルメットに吸い込まれ、その手を引くと手首から先がなくなっており代わりに長い鎖でつながれている。

 肌の色はだんだん鋼のように黒ずんでいき最終的に肉体は完全に鎧へと変化し頭のヘルメットは鉄球に変わり目が浮かぶ。

 その人物に一番最初に反応を示したのは一誠だった。

 

「バッボ・ボーブさん!?」

「カラカラカラ」

「なぜサイラオーグのところの戦車が。もしかしてギャスパーの特訓相手は」

「秘密だ。言っとくが俺じゃないぞ」

 

 バッボはバイクを持ち上げて出入り口の方向へ無理やり方向転換させいつでも帰れる準備を整える。

 

「気をつけなこの町には虚が何体もいたぜ。

 まあ道中俺たちが5体程狩ったし、他にも虚を倒してるやつがこの町にはいる」

「ええ知ってるわ。それと他の虚を倒してるっていうのは日本妖怪のグループよ。

 これから彼らと手合せする予定よ」

 

 変えるために再び人間に変身しようとしていたバッボはその手を止めてリアスの方へ振り返った。

 

「そうか、ならば俺の持ってる情報を教えよう。

 その都市伝説組というのはそいつしか知らねえが金次郎という男は要注意だ。

 例えるなら魔力を持ったサイラオーグ様といったところだな」

「サイラオーグさん!? だけど俺たちも都市伝説組の二宮金次郎と戦ったけどサイラオーグさんみたいな強さは感じませんでしたよ」

「いや、身体能力はサイラオーグ様の方が圧倒的にうえだろう。

 しかし魔力の扱いが巧みなのと反射神経はサイラオーグ様すらも上回っている。

 俺の鉄球の攻撃を止めたのは超人を覗けばサイラオーグ様だけだった。だけど30cm以上後退させた。

 だが金次郎という男は僅か3mm程度。この圧倒的違いがわかるな?」

 

 バッボの言葉が本当だとするとその真の強さが一誠には想像できた。

 そしてバッボが言ってることも嘘ではないことも。

 一度たたかったことのある人物だけにその想像もさらにしやすい。

 

「魔力を帯びた瞬間的攻撃力はおそらく俺程の防御力がなければ軽症では済まん。

 守りも超反射神経で攻撃を打ち落とすなり躱すなりされる。

 攻める隙があるとすれば素の防御力だ。

 超反射神経を突破して高威力を打ち込めば沈めるまでいかなくとも大ダメージだろうな」

 

 説明を終えるとバッボはギャスパーをリアスたちから少し離し耳打ちをした。

 

「ペンタゴナの訓練や俺との狩りの成果をしっかり見せつけてやれ」

「はい」

 

 話し終えるとバッボは今度こそ人間の姿に化けてバイクにまたがり帰る準備を済ませた。

 

「じゃあな頑張れよ」

 

 帰り際にそうひとこと言い残してその場を去る。

 リアスたちはバッボを見送った後全員そろった事で作戦の確認を行う。

 時間もそこまでないので手短に簡単な内容確認と持ち物確認だけをした。

 

「作戦は大丈夫そうね。

 今回は三勝すれば私たちの勝ちよ。

 他の妖怪と戦ってはだめよ」

 

 最後にそう付け加えて出発した。

 リアス・朱乃ペア、木場・ゼノヴィアペア、子猫・ロスヴァイセペア、一誠・アーシア・ギャスパーに別れてそれぞれ相手を探す。

 そう言ったのに。

 

「ようチビカス」

 

 出発して数分で早くも二宮金次郎に見つかりギャスパーがカベドン状態にされた。

 第三者から見ればカツアゲかいじめの現行犯のような構図にしか見えない。

 

「な、なんでここに?

 まさか俺たちを狙って!」

「俺たちの記事はしっかり見てきたんだろ? ん?」

 

 金次郎は一誠の言葉に返事せず完璧にいない者のように無視。

 強引にギャスパーに対して絡むばかり。

 

「……はい」

 

 ここで一誠はギャスパーに対して違和感を感じた。

 今までのギャスパーならここでおびえていただろう。

 だが今のギャスパーは多少おびえは見えても金次郎の眼をしっかり見返して噛むことなく返答した。

 

「だったら探してるのは怪談ばかり乗ってる俺じゃないよな?」

「!!?」

「ちなみに俺たちはまだ互いに触れてないから勝負は成立してないぜ?」

 

 金次郎は壁に手を当てていない片方の手をポケットにしまいこみわざとギャスパーが逃げやすいルートをつくる。

 そうしてニヤニヤとギャスパーを見下す。

 

「その赤なんとかが速さの鎧を纏えば俺は追いつけない。

 あいつの所まで行けたら逃がしてやる。

 ほらほら、早く逃げねえとタッチしちまうぞ?」

「ギャスパー早くこっちへ来い!」

 

 一誠はギャスパーに早く逃げるように促す。

 金次郎の強さは実際に戦った一誠も理解はしている。

 金次郎の露骨な誘いも動いた瞬間自分でさえ金次郎の反射神経であっという間に捕まることも。

 それでも攻撃をするわけにもいかない一誠たちは行けとしか言えない。

 

「『世界停止の邪眼』」

「おっ」

 

 ギャスパーは神器を使用して金次郎を止める。

 力の差があり数秒しか止めることはできなかったがそれでも逃げるのに十分な時間ではなる。

 だが金次郎はけた外れの反射神経で戻ってすぐにギャスパーを捕まえる行動に出ておりすでに捕まえる一歩手前まで来ていた。

 だが金次郎はギャスパーを取り逃がしてしまった。

 お世辞にも運動神経が良いとは言えないギャスパー最後の攻撃を自力で避けたから。

 

「ほう、ラグが生じたとしてもやるじゃねえかカスにしてはな」

「よし、これで早くおさらばすれば」

「カスにも劣るテメエが逃げられるわけねえだろ」

「なッ」

「俺が追わないのはチビカスがザコの所まで逃げられたらだぜ」

 

 金次郎はギャスパーは逃がしてしまった。

 だから一瞬でギャスパーが一誠に所へ辿り着く前に一誠の頭をつかみ地面にたたきつける。

 金次郎の超反応に対応できず思考をわずかに停止させてしまいまともに防御もできない。

 

「さあ、始めようじゃねえか」

 

 力いっぱい地面にたたきつけられた一誠の額には血が出ている。

 その様子をまたニヤニヤと悪人顔で見下す金次郎。

 

 

 

  ◆◇◆◇◆◇

 

 

「見つけたよ」

「……トン・カラ・トン」

 

 一誠が金次郎に掴まっている時木場とゼノヴィアペアは目的通りの妖怪に出会うkとに成功していた。

 

「前回は負けたが今回は負けんぞ」

 

 エクス・デュランダルを構えて気合を見せつけるゼノヴィア。

 トンカラトンは微動だにせずに木場とゼノヴィアを見る。

 

「……セオリー通りならお前たちが探しているのは私、口裂け女、ひきこさん、テケテケ、カシマレイコ、赤マント、メリーさんってとこか?」

「!!? なぜそれを!?」

「トン・カラ・トン」

 

 トンカラトンはゼノヴィアの質問には答えずに前ぶりもなしに斬りかかる。

 木場はそれをとっさに大量の聖魔剣で壁を創りガードする。

 少しは時間稼ぎをするつもりで作った聖魔剣の壁は一瞬で切り裂かれた。

 

「まさか僕の聖魔剣がこんなにあっさりと。

 少なくとも二回くらいは耐えられると思ったんだけどね」

「……トン・カラ・トン」

 

 トンカラトンハ再び刀を鞘に戻して居合切りの体制をとる。

 だが今度はみねうちの構えである。

 

「トンカラトン!」

「!!」

 

 トンカラトンと唱えたすぐ後に木場はトンカラトンと口にする。

 するとトンカラトンの抜いた刀は鞘へと戻る。

 

「トンカラトンから助かるには『トンカラトン』と言い返す。そうすれば殺されない。

 都市伝説から生まれた君たちなら対処法も忠実だと思ったよ。でも確証はなかったから正解で安心したよ」

 

 突如自身の刀が意思と反して鞘へともどったというのに少しも焦らずにチャンスを思い攻めてきたゼノヴィアのエクス・デュランダルを鞘に入った状態の刀でそらす。

 鞘に入った状態の刀で木場とゼノヴィアの猛攻をくぐりぬける。

 

「……妖刀『トンカラトン』所有者がトンカラトンと唱えなければ引き抜けぬ刀。

 しかし一たび鞘から抜けばよろずを斬ることができる。所有者の腕に頼る部分も多いがな」

 

 攻めきれないと判断した木場は聖魔剣を無数に作り出し手数をさらに増やして戦う。

 トンカラトンはエクス・デュランダルを上手に弾くことによって木場の攻撃を邪魔した。

 

「……ただし所有者以外がトンカラトンと唱えれば鞘に戻ってしまう。

 なのに私が何の手も打たないと思ったらお前たち舐めすぎだ」

 

 防御に徹していたトンカラトンが急に攻めに転じる。

 木場とゼノヴィアはトンカラトンの刀から瞬きすらせずに目を凝らしていた。

 しかし二人の体には新たな刀傷が刻まれた。

 

「なぜだ、刀を抜かれた気配はなかったのに」

「……日本一美しい霊刀、名は『鏡面』

 所有者の周りを浮遊し引き抜くことでこの世に姿を現す霊刀。ただし切れ味はピンからキリ。

 その中でも非常にもろくかなりの手練でなければふるうことはおろかその刀身すら見ることはできないほど薄い」

 

 トンカラトンが何も持っていない手を上げる。

 月光があたるところで手首を少し動かすと二人の目に月明りに照らされる美しい刀の姿が見えた。

 

「……見えぬ二本目。奇襲には最適」

「強力な妖刀に奇襲の霊刀、それを扱う君の剣術。

 正直とんでもない脅威だけど僕たちだって負けないよ」

「ああ、勝って証明してみせよう私たちの思いの力を」

 

 木場とゼノヴィアとトンカラトンは再び立ち会う。

 最初と違いトンカラトンは刀を鞘から引き抜いてはいないため一方的に聖魔剣を破壊されていくことはないがそれでもすべての剣を突破する強力な居合切りの脅威は微塵もなくなっていない。

 妖刀の攻撃なら唱え返せばいい。霊刀ならばガードするだけでよい。

 だが妖刀を引き抜くような手の形にはなってるが正確には柄には手をかけていない。

 トンカラトンならこの体制ならどちらの刀を抜くこともたやすいだろう。

 だから木場とゼノヴィアは注意深く見なければならない。

 

「トン・カラ・トン」

「トンカラトン!」

 

 ゼノヴィアはその言葉にとっさに反応し唱え返す。

 そしてそれを隙としてすばやく斬りかかるが斬れたのはゼノヴィア。

 トンカラトンは初めから鏡面を引き抜いたからだ。

 

「強力な妖刀に見えずすばやい刀。さらに言葉のフェイント。

 極端な二本の刀だけに一度の判断ミスがかなり危険だ」

「くっ今回は引っかかったが次はそう簡単にいかんぞ」

「……ド三流が」

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 金次郎に掴まった一誠はルールにより金次郎と戦わざる得なくなってしまった。

 作戦と違ううえに相手は一度負けた相手。

 だが一度負けた相手だからと折れる精神ではない。一誠は覚悟を決めて立ち上がった。

 

「よしわかった。その勝負を受ける」

「へっ、だったらその傷治療しな。そっちの女が回復薬だろ?

 それまで待ってやるぜ。

 どうせ対処法のある楽な都市伝説ばかり狙ってたんだろ?

 だったらせめて体制くらい整えさせてやるよ。どうぜ俺相手にゃ無駄だしよ」

 

 金次郎は思いっきり余裕ぶり一誠に怪我を治療する猶予すら与えた。

 それから金次郎はギャスパーの方を見る。

 ギャスパーのその目に対抗して見返す。

 

「よし、終わったぜ!」

「おおそうか、じゃあかかってきな」

 

 金次郎はもう一誠を見ず適当に答えた。

 その言葉は間違いなく一誠に返された言葉だが意識は一誠の方へはまったく向かっていない。

 

「なめんじゃねえ! モードチェンジ! 『龍星の騎士(ウェルシュ・ソニックブースト・ナイト)』」

 

 一誠はスピードの赤龍帝の三叉成駒の超スピードで金次郎に突撃した。

 金次郎は突撃してくる一誠をほんの一瞬だけ見て完璧なカウンターで叩き落とす。

 アーシアはすぐさま『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で一誠を遠距離回復をし、ギャスパーはじっと金次郎を観察した。

 

「どうしたかかってこいよカス?」

「言われなくてもそうしてやるさッ」

「テメエじゃねえよザコ」

 

 回復し起き上がってくる一誠を踏みつけて起き上がれなくする。

 神器の力もプラスされ一誠の方が力が上のはずなのに一誠は金次郎の足を退けることができない。

 

「テメエだよチビカス。どうした? こいつの突進もお前が手を貸せば当てられたかもな」

「……」

「だんまりか。だけどお前の思ってる通りだ。

 カスがいくら強力な能力を使おうがタイミングを合わせて妖力を張れば防げる。

 そしてテメエから目を離さない俺なら絶対にタイミングは外さない。

 だったらカスはカスらしく足掻いて俺につぶされな」

 

 ギャスパーは金次郎をじっと見ていた目を初めてそらし踏みつけられる一誠の方をじっと見た。

 そして2秒程見てギャスパーは叫んだ。

 

「押し返そうとしないでください。横に全力で転がるんです!」

「横に!?」

「早く」

 

 ギャスパーの言葉を聞いた一誠はすぐに横に転がろうとするがそれもびくともしない。

 金次郎は力で敵わぬ代わりに妖力の放出を行っていた。

 縦に脱出する力に対して対極の方面から突き刺すように放出し地面に串刺しにしていた。

 だから横に力を加えれば純粋なパワー勝負へ持って行ける。

 だが、金次郎は超反射神経で力の方向性を純粋な力比べになる前に臨機応変に変える。

 

「そのまま左右縦に逃れようとしてください!」

「ああわかった」

「無駄だつってんだろ」

「はぁぁぁッ」

 

 金次郎が一誠のふみつけを行ってる間にギャスパーが単騎で金次郎に突撃する。

 正確には一誠を踏みつけてる足に向かって。

 

「無駄」

「『世界停止の邪眼』」

 

 ギャスパーは神器の力でまた金次郎を数秒だけとはいえ止めようとするが今度は完全にタイミングを合わされて弾かれてしまう。

 だが

 

「ふんっ!」

「なに!?」

 

 ギャスパーは金次郎のカウンターをすり抜けて足にタックルをくらわせる事に成功。

 一誠はそのおかげで抜け出すことができた。

 だが、ギャスパーはその代償として金次郎の手刀で弾き飛ばされてしまう。

 ギャスパーはなんとか魔力のガードが間に合いアーシアの回復もあって前線復帰した。

 金次郎は弾き飛ばした体制からしばらく固まる。

 

「……チビカスなぜわかった?」

「え? どういう事だよ」

 

 金次郎の発言に疑問を抱く一誠。

 当の本人のギャスパーは黙って金次郎を見る。

 

「さっきだけじゃなくその前もだ。

 この俺がわずかなラグがあったとしても0.01秒のインパルスから逃れられるはずがねえ。

 チビカス、なぜ俺の動きがわかった」

 

 金次郎は一誠とアーシアを完全無視してギャスパーにガンとばす。

 ギャスパーはその視線に臆することなくただ視線を合わせる。

 

「テメエが隠してるのは時間停止だけじゃねえな」

 

 金次郎が一誠たちを無視してる間に一誠はアーシアの神器で完全回復した。

 一誠が回復したにもかかわらず金次郎は一誠を必要最低限だけ見てまたほぼ無視する。

 

「だが、わずかに足掻く要素が増えただけだ。

 俺に無様に負けることにはかわらねえ。

 かかってきな、その力の正体を暴いてそれでなお通じねえってことを教えてやるぜカス!」

「イッセー先輩、あの人を一撃で倒せるくらいまで力をためてください」

「どうする気だギャスパー」

「その間僕があの人の足止めをします」

 

 今まで後衛、前線に出ても仕方ない場合でどこかおびえてる様子が見られた。

 だが今は根性が座った様子で自信を持って前に出る。

 

「む、無茶だギャスパー!」

「無茶でもそうするしかないんです!

 今の攻防なら僕でもわかります。イッセー先輩では躱せないし躱される。

 相手は完璧なタイミングで威力をすべて殺してきます」

「わかってんじゃねえか」

「でも、あの人はさっき僕の攻撃を受けた。躱せるのに。

 それはつまりイッセー先輩の攻撃は躱さなくてはならないからです。

 だから力をためてください。

 僕なら、あの人を足止めできますから」

「あ゛?」

 

 ギャスパーの強気な態度に金次郎は青筋たてるがすぐに収まり悪そうな笑みを浮かべる。

 

「……へ、言ってくれるじゃねえかカスのくせに。

 じゃあ止めてみろよ」

「そのつもりです」

「昨日の夜のこともう忘れてんじゃねえのか?

 俺はテメエの能力を全部弾き飛ばして腕も折ってやったのによ。

 それに今日はあの使えるデクカスの代わりに使えないカス以下のザコしかいないぜ」

「確かに昨日僕はあなたに神器による時間停止を防がれ、関節技が解けぬように強化した腕も力技で折られました。

 ですが昨日の僕が僕のすべてだと思わないでください」

 

 オマエのすべては知っていて俺には通じないぞという余裕をかましていた金次郎に対してそれでなおギャスパーは強気に出た。

 

「ここで使う気はありませんでした。

 ですが、ここで使わないと時間稼ぎも満足にできそうもありません」

「そうか、テメエもやっと全力出す気になったか。かかってこいよカスがッ!」

完備ノ虚砲(ベリー・グロリアスセロ)

 

 今まさにギャスパーと金次郎の戦いが始まろうとしたその瞬間、突如真横から放たれた光線が金次郎に直撃した。

 その跡には大規模な破壊跡だけが残り金次郎の姿はない。

 

「ウララ、華麗なる我が攻撃跡。

 実にビユーティフォー」




 こんな微妙なところで止めて申し訳ありません。
 おそらく皆様が思ってるような不完全燃焼だけはないと思います。
 最後には小さな悪意が大きな被害を呼び、甚大な責任を負います。三大勢力が。
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