BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

83 / 92
 大変長らくお待たせしました!
 リアルの方もいろいろ大変なのはありましたが、
 随分とお待たせしてしまい楽しみに待ってくれてた人には……そんなにいないか(笑)
 どちらにせよ楽しみに待っていてくださた方には大変長らくお待たせしました!
 それでは三大勢力への絶望の復讐の続きをご覧ください!
 


絶望女帝のユートピア
踊る主役と何もできない脇役


 都市伝説組との戦いを終えたリアスたちはある異変に気付いた。

 正確には違和感は感じたが見つけ出したのは白音モード(劣化火車モード)中の小猫である。

 そこは新校舎の普段は使われていない教室。

 そこからなんだか都市伝説組と似た感じがするという事で黒歌とアザゼルも連れて調査に来た。

 

「ここがその場所ね」

「はいそうです」

「確かになんだか怪しい感じがするわね。

 それにここならもっと早く気づいたはずなのに」

 

 一般人には見えず気づかれず気にもされないが、一般人ではない悪魔である彼らはそのあからさまな異変に気付く。

 扉の向こうから発せられる魔とも聖とも言えないような空気。例えるなら外と病院内の空気程の違いがある。

 そして何より扉自体にも何やら術式のようなものが書き込まれている。

 

「この封印、日本式のものにゃ。その中でもこれとこれは存在を気づかれないようにするもの。

 おそらく都市伝説組が派手に暴れまわってほころびが生じたんだと思うにゃ」

「成るほどな。この色具合からしてかなり最近書かれたっぽい。

 おい、誰かこの教室の鍵もってこい」

「開けて大丈夫なんですか?」

「そんなヤバいもんだったらこんなとこには封印しないだろ。

 それに、一応ここはまだ三大勢力。グレモリーっとこの領地だしな。建物なんかなおさらだ、勝手に使う方が悪いし確認する権利はある」

「鍵持ってきました」

 

 アザゼルに言われた通り鍵を持ってくる木場。

 そして鍵を回して扉を開けようとしたが。

 

「あ、あれ? あかねえ」

「これとこれ、後知らないけどこれとこれとこれも錠前の術式だと思うにゃ」

「これ気配をけすだけの術式じゃねえのかよ。だったら悪いがこれ開けてくれねえか?

 お前さんだったらできるんじゃねえのか?」

「これくらいなら時間をかければ何とかできると思うけど断るにゃ。

 日本妖怪として三大勢力に協力するわけにはいかないにゃ」

「お前は悪魔じゃねえか」

「今は日本妖怪として日本勢力に所属してるにゃ!」

 

 アザゼルに扉の術式を解除してほしいと言われるが黒歌は自分は日本妖怪だからと拒否。

 その後小猫も頼んでみたが少し悩んだだけで答えを変えることはなかった。

 

「仕方ねえ、ぶっ壊すか……うぉッ!」

「日本式の封印はパワーで壊すのは難しいにゃ。たぶん壊すには周りの教室の一つや二つ巻き込むくらいのパワーじゃないと」

 

 アザゼルは無理やり破壊しようと、だけど扉だけを吹き飛ばそうとしたが攻撃の3割ほどを跳ね返され残りは分散させられてしまう。

 

「ほら、言ったでしょ」

「チクショウ打つ手なしか」

 

 打つ手がなくなり困り顔で頭を掻いているとギャスパーが恐る恐る手を挙げた。

 

「あの、僕やってみます」

「できるのかギャスパー?」

 

 一誠ができるかと聞くとギャスパーは扉の前に立って術式の位置まで膝を落とし片目をそっと閉じた。。

 ギャスパーは軽く魔力を使って扉を破壊しようとする。

 だけど案の定アザゼルと同じような結果に。

 

「ギャスパー力押しじゃダメなのは先生がやって」

「わかってます、でも実際に肌で感じてつかめました。今度は“氾濫させます”」

 

 ギャスパーは片目をつぶって術式をじっと見つめ、そして術式のいくつかの部分を指で触れながら魔力を流し込む。

 すると今度は魔力は反射されず扉だけが爆発してしまった。

 

「一体どうなってんだ!?」

「堕天使総督が本気でやってダメだった術式をこんなに短時間で……」

「反射する魔力の一部の時間を止めました。そのせいでこの繊細な術式を自壊させたんです」

 

 ギャスパーの説明を聞いてリアスたちは少し前にギャスパーから聞いた新しい能力を思い出す。

 その特異だらけのリアス眷属内では既に埋没してしまいかねない特異な能力ならば確かに可能だと納得。

 

「成るほど、外からの力に強いなら中から攻めたわけね」

「あらゆる実態を見ることができ数秒先の未来まで見通すバロールの目か、こりゃ研究意欲がわいてくるぜ。

 なあ、事態がひと段落ついたらゆっくり調べさせてくれな」

「バロールが相当な拒絶をすると思うんで無理と思います」

 

 アザゼルのお願いをあっさりと断るギャスパー。

 そんなことを放っておいてリアスはドアを開ける。

 

「え、これって……」

「ギャスパーの部屋じゃないですよね……?」

「ギャスパー君は既に学校に住んでいませんわ。でもこの空間は……」

 

 中には学校の道具ではなく床に魔法陣や周りに怪しい道具や盛り塩があるが人一人が生活できる設備が整っていた。

 その中心部にある布団では誰かが寝ている。

 

 

 ジリリリリリリリ、ピタッ。

 

「んん……」

「あ、あいつは!?」

 

 布団の中から起き上がってる女性、それはフランドール戦前に会った中華風破面。

 布団から出てのんきにあくびをしてリアスたちの方を見る。

 

「お、お前は!?」

「ふぁ~あ、おはようございます悪魔さん」

 

 紅鈴の姿を見てリアスたちは驚愕する一方破面側は落ち着いている。

 のんきにあくびをしながらゆっくりと布団から出てくる。

 

「なんでこんなところに破面が!?」

「なんでって私はお嬢様が負けた日からずっとここにいましたよ」

 

 リアスたちを全く意に反さず小型の冷蔵庫からお茶の入った容器を取り出してグラスに注ぎ飲む。

 寝起きの目ををこすって伸びをするとぱっちりと目を開けて完全に目を覚ます。

 

「それで私に何の用ですか? メガネの悪魔さんと同じように門を通りたいのですか?」

「門? もしかして門番っていうのは」

「ええ、私です」

 

 あまりにも身近に潜伏していた門番。

 この突然の発見にラッキーと単純に思う者はいても現時点ではなぜこんなとこにいるかを追求しようとする者は誰もいなかった。

 そのうちの何人かは状況から何となく不自然さを疑う者、現場の痕跡から閉じ込めた人物の判断をする者はいるが今はそんなことよりも門番を見つけた事の方が大事なのである。

 

「じゃあ俺たちも門を開けてくれるのか?」

「お嬢様を殺した貴方たちは個人的にも憎いですが、まあ門番としてはそこは割り切りますよ」

「じゃあ私たちを貴方たちのボスのとこへ案内してもらいましょうか」

「それじゃあ最低でも下の魔法陣をどうにかしてください。これじゃお互い近づけません」

 

 紅鈴は教室の床全体を包むように書かれている魔法陣を指差す。

 その魔法陣はリアスたちはなぜか力を向けようという気すら起きない。その意に逆らって破壊しようとしても魔法陣に力を向けると力が出ない。

 聖魔剣や聖剣で傷つけようとしてもそれはまた他の日本式魔法陣に弾かれ、素手で直接壊そうとすると悪魔が聖なる物に触ったかのような熱により触れない。

 

「どうやって消せばいいんだ?」

「メガネの悪魔さんは普通に魔法陣を傷つけて開けさせましたよ」

 

 紅鈴自身が前任者のやり方を教える。

 簡単なようで一番難しいやり方、リアスたちはそれができなくて困っているのだからなんのヒントもない。

 

「その後また書き直して私をここに閉じ込めました。

 私はすべてが終わるまでここでのんびりさせてもらいますよ」

「一刻も早く盾子を倒さないと虚の被害が」

 

 そんな風に悩んでいるとギャスパーが黙って前に出る。

 

「? ギャスパー一体どうするつもり」

「フンッ!」

 

 ギャスパーは誰も一定以上近づけなかった魔法陣に簡単に近づいてその一部を思いっきり踏みつけて魔法陣を崩した。

 

「シャババ、この魔法陣は貴様ら程度ではどうにもならんだろう。仕方ないからこれだけは手伝ってやる」

「イッセーが言ってたバロールって人格ね」

「その通りだ悪魔共」

「でも、体はギャーくんと同じはずなのになぜ……?」

「例え地に堕ち貴様らと同じ下等に成り下がろうと鍛え方が違う、精根が違う、

理想が違う、決意が違う、魂の欠片になろうとこのくらい破ってみせる!」

 

 それだけ言うと他の質問には一切答えようとせずとっとと主人格をギャスパーに返してしまう。

 だが問題だった結界の破壊はされた。

 

「それじゃ門を開けますね」

 

 そう言って紅鈴は教室を出てリアスたちもそれに続いて教室を出る。

 そして紅鈴がいったんドアを閉めてもう一度開けるとその先は先ほどまでの教室ではなかった。

 

「こ、これは?」

「これより先が私たちの城の中となります。門番の役目を受けた私が門番として開けたドアがそのまま城の門となります。

 これより先は門番の力を授かった私は侵入することはできませんので」

 

 正直都市伝説組のダメージが抜けきっているかと言われればそうではない。

 一応都市伝説組の回復治療を受け一晩体を休めたがそれでも精神的なダメージはまだ癒えない。

 だが魔王の一角を惨殺し、魔界に多大な残忍な被害をもたらした黒幕を一刻も早く倒さなくてはならないと考えた。

 

「じゃあ、みんな行くわよ」

「おっとお待ちください。その前にパスポートを拝見します」

「パスポート?」

「はいは~いご説明します!」

 

 いざ入らんとする足を止められパスポートなんてわけのわからない事を言われただけでなく、またよくわからないところからモノクマが飛び出してくる。

 

「いったいどこから出てきたんだよこの人形」

「パスポートとはこの電子生徒手帳の事です。今から皆さんに配りますので取りに来てください」

 

 モノクマはリアスたちの人数分の電子生徒手帳を取り出して取りに来た順番に配る。

 配られたものがいったいどういう意味があるものなのかよくわからずとりあえず触ってみる。

 そうしてそれがハイテクではあるが普通の電子生徒手帳であると確認した。

 

「おい、俺のパスポートは」

「はあ? 生徒手帳だって言ったじゃん、保護者にはないし部外者は権利ないよ」

「先生、ここは俺たちに任せてください!」

「……仕方ねえ、お前たちに任せる! 必ず勝ってこいよ!」

『はいッ』

 

 リアスたちは電子生徒手帳を受け取り紅鈴の開けたドアの先へと進む。モノクマも中に入りドアを閉める。再び開けるとそこは学校の中に戻っていた。

 その後黒歌はそのまま、アザゼルは傍に置いてあるカラースプレーで欠けた魔法陣を描き足してから教室を出てドアを閉めた。

 

「さて、もうひと眠りしますか」

 

 紅鈴は魔法陣が戻された事に特に反応を見せずに布団へと戻っていく。

 一度布団の中に潜ったが何か引っかかることがあるような表情で布団の中から顔をだす。

 

「だけどあの人たちも敵ながらかわいそうですね、あれじゃ万に一つの勝機もないじゃないですか。

 メガネの悪魔さんたちは霊圧はまだまだ低かったですが雰囲気があの悪魔さんたちと段違い。

 盾子さんは彼らに何を求めるつもりなんでしょう? あれじゃ盾子さんの前じゃ心身ともにサンドバッグ同然じゃないですか」

 

 10秒程なやんだが。

 

「まっどうでもいいか」

 

 どうでもいいことだと思うと再び布団にもぐってしまった。

 だが、すぐに跳ね起きて深刻な表情をし始める。

 

「ちょっと待って、メガネの悪魔さんが戻ってこなかったら私のご飯はどうなるんですか……?」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 こうしてソーナたちの希望を崩す存在が目の前に現れたのだ。

 明らかな動揺を隠せないソーナ、ソーナ程ではないが驚きの表情を見せるリアス。

 二組の出会いから生まれた驚きは別々の意味を含んでいる。

 

(なぜリアスたちがここに!? 門番である紅鈴さんの軟禁場所は昔盾子さんに教わった魔法陣で封じて、扉と中にも悪魔などから見えず気づかれない日本式魔法陣を描いたのに)

 

「ソーナ! なぜここに!?」

「リアスこそなんでこんなところに!?」

「私たちはついさっき門番を見つけてたどりついたところよ。

 もしかしてソーナたちは数日間もこの場所に!?」

「私たちがこの場所に来てまだ一時間程度しか経ってないハズ。つまりこの世界は時間の流れ方も違うということか。

 となると地の利は思った以上に盾子さんの手の上かもしれませんね」

 

 ソーナとリアスが言い合いをしてる中心にモノクマが椅子に座って落ちてきた。

 全員の目はいやでもモノクマに集中した。

 

「さてさてみなさん揃いましたところでこれよりラスボス参加権争奪戦を開催します!」

「ラスボス参加権争奪戦ですって!?」

 

 するとモノクマの足元に二つの魔法陣が現れる。その魔法陣は悪魔がレーティング・ゲーム時に使用する転移魔法陣と同じもの。

 

「これから君たちには試合、つまり君たちの大好きなレーティング・ゲームのフィールドをご用意しました。地形は君たちの町そっくりのフィールド、敵の王を倒すか王以外を全員倒すが勝利条件のいたってシンプルな形式。反則は特になし。

 そこで勝利した組だけがこの扉をくぐる権利があります。もちろん尻尾を巻いて自主退場も可能だよ」

 

 モノクマは尻尾を巻いてのところで腹の立つジェスチャーを見せて二組を煽る。

 このジェスチャーでリアスたちの中には絶対に逃げないという気持ちが一層高まる。

 だがそれをそのまま受け入れる程馬鹿ではない。一誠がモノクマの試合の提案に文句を言う。

 

「同士討ちで俺たちの戦力を削る作戦かよ、せこい事するぜ」

「うぷぷ、ダイジョウブ」

「一体何が大丈夫なんだよ!」

「ラスボス戦前は全回復させてもらえるものさ。ここに9人分のフェニックスの涙をご用意してます。魔王に挑む勇者にはこれをプレゼントします。

 ただしこれは試合の勝者だけの特権だけどね」

 

 リアスたちの前に並べて見せたフェニックスの涙、それがリアスたちの不安を払拭はさせなかったが反論の材料を一つ奪ったのは確か。

 数多くの不安と疑惑を持つリアスたちに対してソーナたちが持つ不安はたった一つ、その一つがどうしてもぬぐえない。

 

「……仕方ないわねソーナ」

「いいえリアス、ここは退いてください。盾子さんとの勝負は私たちに任せてください」

 

 どちらが盾子に挑むのがふさわしいか癪だが従おうとするリアスに対しソーナははなからリアスに辞退を願う。

 

「頼みますリアスさん! ここはおとなしく退いてください!」

「ちょっと待てよ匙、俺たちにだって盾子を倒す権利、いや義務がある!

 冥界、世界、そして誇銅のためにも仲間である俺たちの手で」

「うるせぇ兵藤、お前に盾子さんを倒す手段があるのかよ!

 盾子さんはただ強い神器や能力があるだけで勝てるような相手じゃないんだぞ!」

 

 一誠の自分勝手な正義感からくる義務感だけに苛立ちを覚えた匙はついつい熱くきつく言葉を放つ。

 さらにヒートアップして口げんかになりそうなところをソーナは手で静止するように促す。

 

「うちの匙が失礼しました。ですが今言った通り私たちには盾子さんを倒す秘策があります。リアス、貴方たちはどうですか?」

「……残念ながら秘策らしい秘策はないわ。だけど、私たちが盾子に劣ってるとは思わないわ。

 個々の力では敵わなかっても力を合わせれば私たちは負けない!」

 

 ソーナはリアスの根性論に若干頭が痛くなったがあながち間違いではない。

 リアスたちは確かにここ最近強力で希少な神器を使ってるにも関わらず負けがこんでいる。だがそれはあくまで個人プレー。

 ライザー、コカビエルという当時格上に団体戦で勝ち京都では曹操を退けフランドールにだって一応勝利している。

 チームプレーでは高い勝率を叩きだしている。

 

「これまでの敵のように正々堂々と戦ってくれるような相手じゃありません。さまざまな策に術、心理戦を持ち込みなおかつ強力な力を持ち合わせる相手ですよ。

 私たちはそんな戦い方を研究し習得したのです、何の策もないリアスたちがそれに対応するのは不可能です」

「だったら戦って証明するわ、私たちが破面にもソーナたちにもそして盾子にも負けない力があることを!」

「匙、確かに俺たちは虚、サイラオーグさん、フランちゃんや呂布にも負けてきた。だが、その敗北から反省しより俺たちも強くなった。

 甘く見てもらっちゃこまるぜ」

 

 話がまるで通じない事に頭が痛くなる、だがここで争うわけにはいかない。

 モノクマはハラハラドキドキといった表情で手にゴングとハンマーを持って待ち構えている。

 両者の勝負開始をずっと待っている。

 

「私たちが争えば校則に触れるのですよ!」

「校則……?」

 

 ソーナが言った校則という言葉にピンとこない。

 その様子をおかしく思った

 

「リアス、その電子生徒手帳はいつ受け取りました?」

「ここに来る数分前程だけど」

「数分前、と言う事はリアスたちなら校則なんて読んでない……ちっ、やられました」

「え?」

 

 ソーナは黙ってリアスに近づいて右腕にしている数珠玉のブレスレットを渡す。

 その意味を何となくリアスは察したがソーナの強い眼差しに何も言えない。

 

「最大限の覚悟を持ちなさい。引きますよみなさん」

『ええッ!!?』

 

 ソーナと椿を除く全員が大きな声で驚きの声を上げる。

 後ろで理由を求めるソーナ眷属の声を無視して去る後ろ姿にしぶしぶながらソーナ眷属たちは従った。

 こうしてリアス眷属は戦わずして盾子への挑戦権を勝ち取った。

 味方と敵陣地で同士討ちさせられる事態を防げたことにリアスたちはただただ安堵する。

 

 

  ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「会長! なんで黙って譲るんですか!?」

「そうですよ! リアスさんたちを下に見てるわけじゃありませんが、純粋な力は負けてるかもしれませんが戦術、戦闘力、盾子さんに対する戦い方も私たちの方が上だと思います!」

「そうです、それに私たちには“確実に盾子さんを葬れる秘策”があるんですよ!」

 

 リアスたちのいる場所から離れ入口へ戻る道中で再びソーナ眷属たちの抗議の声がなる。

 ソーナは歩く足を止めはしないがそこでやっと答えた。

 

「盾子さんの呪いにはまり込んでしまったからです」

「呪い? 呪いってこの電子生徒手帳の校則のことですか?

 でもこれにそこまで縛り付けるような内容は」

「電子生徒手帳に記載されている校則第6『生徒同士の勝負で負けた生徒は“退学処分”となります』の部分。

 これは邪魔な味方を一掃する役割の他に私たちを確実に負かす事が目的だったんですよ」

 

 ソーナの言っていることは一応理解できる。だがこの校則がそれほどまでに自分たちを拘束する枷だとはどうしても思えない。

 だからソーナはそれをさらに詳しく説明。

 

「まず邪魔な味方を一掃する事も私たちにとっては味方。それにより盾子さんのマイナスと私たちのプラスを消すだけではなく、身近な他人の死に対して免疫のない私たちの精神を消耗させる」

「でもその作戦は失敗じゃ」

「盾子さんにとっては前者が成功すれば後者は当たればラッキー程度の事でしょう。

 問題なのは私たちを確実に負かす作戦の方です」

「確実に負かす作戦?」

「盾子さんが選んだ役者、あの人は元々リアスたちを主役にするつもりだったんです。

 私たちはリアスたちが主役として無事辿り着けるように下準備をさせられていた」

 

 ソーナはそこまで語ると唇を噛んで悔しそうな表情を見せた。普段感情を表に出さないようにしているソーナの最大の悔し顔はその無念がひしひしと伝わるよう。

 

「テトさんはリアスたちが来るとわかれば私たちを導く事よりもリアスたちという邪魔者をまず消そうとしたでしょう。さらにプロシュートさんと対峙すればリアスたちでは勝ち目は本当にない。

 もっと言うなら門番も私たちが既に見つけて隔離していなければリアスたちが見つけて門を開かせるなんてことできなかったでしょう。

 紅鈴さんはあの後閉じ込めておくのではなく逃がす、いえ殺さなければならなかった!」

「そ、それは仕方なかったこどですよ。あの時は貴重な破面のサンプルでしたし、あの人も無害すぎでしたし、そのおかげで知れた事もありました。

 そもそも俺たちが隔離していなければ門には辿りつけませんでした!」

 

 自身を責めるソーナに匙が仕方ないと慰める。

 その言葉をとりあえず受け取って笑顔でありがとうと伝えた。

 

「でも、もしかしたら私たちがリアスさんたちと戦う事になれば?

 今の私たちなら殺し合いでも試合でも負ける気はしません、そうすれば盾子さんの作戦は」

「そうなれば盾子さんの完全勝利です。

 プロシュートさんやテトさん以上に身近で同族であり悪意のない者を殺して私たちは本来の実力を出せたでしょうか?」

「それは……出せます! そして勝ってみせます!」

「無理です、ついこの間まで一般人程度の覚悟しかなく二、三か月修業しただけの私たちにそこまでの心の強さはありません。

 もしも耐えられたとしても盾子さん程人の傷口をえぐるのがうまい人は私は知りません、きっとほんの少しの負い目をえぐってくるでしょう」

 

 巡の強気もあっさりと否定してしまうソーナ。だがその意見は正しく巡自身も実際はそうであろうと思っている。

 

「幸い盾子さんを倒す切り札はまだ温存されたままです、それがある限り私たちに勝機は十分あります」

「テトさんが無傷で繋いでくれたチャンス、プロシュートさんが死を持って与えてくれた覚悟を見逃すことになるなんて……とても申し訳ない気持ちです」

「悔しいですが今回ばかりは盾子さんに僅かな負けの目を作るために私たちが勝負を受けず引いてリアスたちを無傷で進ませるしかありません。

 下手に校則を説明してしまえば甘いリアスの事ですから二人とも尻尾を巻いて逃げる事になりかねません。幸い校則の呪いは盾子さん自身と戦う事においては支障はありませんから」

 

 花戒がテトとプロシュートの無念を口にすると眷属全体がグッと落ち込んだ。ソーナがせめてもの言葉をかけるがあまり変わらない。

 だからここで少しだけ明るい事を言おうとした。

 

「リアスたちは今までも勝ち目のないと思われた戦いに何度か勝利してます、それに賭けるしか」

「自分たちより弱いかもしれない人に託すしかないんですね」

「でも今回で盾子さんの強い手札はすべて消え、この場所を知ることもできました。

 またすぐに手札は揃えてくるでしょうが、備え対策できる程度の情報は得られました、これで何かしらの対策は立てられるでしょう」

 

 ソーナなりに少しでも落ち込んだ雰囲気を緩和できるようにした結果、落ち込みはだいぶ緩和され話題を変える事はできた。

 しかし今度は冥界の、三大勢力のザル具合で盾子相手にどうこうできるとは思わないという雰囲気が。

 

「まあ今までノーガードに等しかったのがガード体制が取れるだけましですか。

 それでも冥界は既に大打撃を受けてますしこれからもろくな守りはできないでしょうが」

 

 椿が何とかフォローに入り何とか脱出するまで眷属たちがやっぱり自分たちが戦わないと気が済まないという雰囲気に変わることはなかった。

 今ソーナ眷属は打倒盾子の意思からこれからの防衛に既に目を向けている。つまり……

 

 

     ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてさて、補正を失った愚かなヒーローはいったいどんな希望を見せてくれるのかな?

 それはもう見事な希望の光かな? それとも簡単に絶望に呑み込まれちゃうのかな? それとも……ふひひ、絶望的に楽しみ~♪」




 アランカル大百科

月「今日は久しぶりに下級破面が再登場したしそっちの方をざっくりと紹介しよか」

月「一応この作品に出てきたモブ破面は三人+一。その中で名前が紹介された紅鈴について詳しく紹介するで。
 彼女の刀剣解放は『龍門(コンセルジェ)』。攻めよりも守りに重点を置いた刀剣解放やね」

月「その能力は単純に自身の霊力を空中に固める事。それにより殺傷力のある霊力の球体を創り出したり、霊力のみの盾で攻撃を防いだり、霊力をそのまま防具として纏ったりできるんや」

月「その中でも彼女の最大奥義と呼ばれるのが『背水門(ジンデレマンソ)』。これは自身の霊力をすべて放出して巨大な壁を自身の後ろに創り出してまうんや。
 入口とよべるのは彼女の後ろだけになり彼女の許可なくては侵入は不可能。出るのは簡単らしいけどな。
 その性質から発動中はその場から動けなくなるけどまさに門番と呼ぶにふさわしい能力やね」

名無し破面共『俺たちの紹介はどうなってるんだ! 紅鈴だけずるい!!』

月「しゃあないやん、君ら名前ないから紹介しづらいんやから。じゃあまた機会あったら紹介したるさかい今日はおとなしいしとき。それではまた明日」

モブ破面「ブラアアッ! 私にはちゃんと華麗な名前がついているぞ――――――!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告