BADENDの先に掴むもの   作:超高校級の警備員

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 評価4.89……5.00以下だと……チ、チクショォォ!
 とはならない! まだだ、たかがメインコアをやられただけだ。 


這い出る努力の希望

「さて、後はどんな希望を見せてくれるのかしら?」

 

 盾子はワクワクした悦楽に浸る表情でリアスたちの方を向く。

 しかし、リアスたちにはバロール以上の切り札はない。今までエースとして頼りにしてきた一誠の赤龍帝の力はフランドール以後から一度もここぞという時役にたっていない。

 

「うふふ」

「くっ」

 

 リアスたちがとった行動はとりあえず全力攻撃。バロールとのダメージが残ってる間に素間髪入れずに遠距離攻撃と近距離攻撃のコンビネーションで畳み掛けようというのだ。

 

「くそ、やっぱり通じないのか」

「いやどこかに突破口があるはずだ、諦めずに戦おう。そして帰るんだ、平和な日常に!」

 

 絶望ムードが漂う眷属内を一誠は何とか希望を持たせ頑張るがその攻撃は盾子には一切届かない。遠距離攻撃は砂に阻まれ、近距離攻撃は響転で軽くかわされる。逃げ場のないように攻め込めば手加減された虚弾で飛ばされる。

 そんな攻防のさなか盾子はついに攻めに動いた。一誠たちの攻撃を意に反さずにロスヴァイセに護られてるアーシアと小猫に近づいて小猫だけを連れ去ったのだ。

 

「小猫ちゃん!」

「うう……」

「あらあらやっとお目覚めかな猫又ちゃん?」

 

 幸か不幸か盾子にさらわれたタイミングで意識を取り戻した。

 現在盾子にお姫様抱っこされてる小猫であるがすぐに自分の立場を察し好機と盾子にとっさにできる最高威力の仙術強化の拳を顔面に叩き込むが小さな砂の盾に阻まれて通じない。

 

「いつの間にか一番役立たずになって今も一番最初にやられてお荷物になる気分はどう?」

「!!」

 

 バロールと同じように体が突如切り裂かれる正体不明のダメージを負った。

 

「まがい物の火車の力を手にしてもいまだに足手まといだけどね」

 

 盾子は愉快そうに笑いながら小猫をロスヴァイセに投げ返す。

 

「小猫さん大丈夫ですか!?」

「すぐに治療します」

 

 アーシアがすぐさま小猫の傷を治療するが小猫は以前ダメージを負ったまま。治ったのは傷と出血だけで回復したようには見えない。

 

「盾子は一体小猫ちゃんとバロールに何をしたんでしょう」

「わからないわ。だけど小猫の苦しみ方から見て何か毒のようなものかもしれないわ」

「傷口は剣で斬られたような傷痕でした」

「ということは毒が塗られた透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)のようなものを持ってると考えた方がいいのか?

 いやしかしそれではバロールとの戦いの距離は説明がつかん」

 

 盾子が仕掛けた傷痕はリアスたちをさらに苦しめ混乱させる。

 そこに盾子は再び仕掛ける。

 

「まだ私のレスレクシオンの能力がわからねえか。じゃあ大サービスだ、もっと披露してやるよ」

 

 そういうと盾子はじっくりとリアスたちを見渡す。次の獲物を誰にしようかと。

 毒を塗った透明な剣が正体だと予想をつけた一誠たちは防御手段がない後方組を囲んでガード体制をとった。

 

「よし決めた! 次のターゲットはそこのアバズレ聖女様だ!」

 

 盾子は厳重に守られてるアーシアを指差す。

 

「アーシアは絶対に傷つけさせないぞ!」

「私の親友に手は出させない!」

 

 一誠とゼノヴィアは特に強気にアーシアの周りを固めた。

 だがそんなことはお構いなしに盾子は近づいてく。

 

「そうやって頼もしい騎士に護られるのは優越感に浸れて気持ちいいか? またそうやって戦う覚悟も力もなく仲間の足を引っ張るの?」

「うっ」

「アーシア!」

 

 小猫やバロールと同じようにアーシアの体にも深めの傷が刻まれた。そして傷以上のダメージを受けたように衰弱している。

 

「いったいどうなってるんだ。防御は完璧に固めたはずなのに」

「向こうの攻撃が見えないのならもしかしたら砂のように操れるのかもしれない」

 

 そんな憶測ばかりで攻撃の実態はまるでつかめていない。

 なのに仲間は既に3人も戦闘不能にされている。

 リアスたちは仲間を傷つけられただけでなく侮辱された事に怒りを感じた。だが無策で勝てる相手ではない。

 どうしようもない憤りが理性と反発しあう。

 幸いにも盾子はこんな不利な状態に追いつめ常時有利な立場にいるにも関わらず本気で殺しには来ない。

 それを見越して攻撃をしつつもいつでも守りを固められるように消極的に攻める。

 

「奇跡に甘やかされたお坊ちゃまお嬢様が私様をどれほど楽しませることができるのかしら。

 オマエラが絶望に堕ちるところを私様に見せなさい」

 

 またまたリアスたちの全力が盾子にいとも簡単に躱され防がれる展開が始まった。

 消極的に攻めてるからか動きを見切られたからか盾子は既に砂の盾も響転も使わずに素の身体能力だけで攻撃を避ける。

 唯一防御するのは一誠が逆転の為に僧侶の大技を放つ時だけ。

 トリアイナの騎士ですら完全に見切られてなめられている。

 

「赤龍帝の力ね~。確かに力の量は膨大だ、だけどあまりにも粗悪品すぎるのよね~。

 普通は魔力の膨大さで隠れる雑さだけど破面から見れば魔力の純度が悪すぎるし先読みも難しくない」

 

 余裕すぎてあくびが出そうなのを我慢して眠気を紛らわそうと考察を口に出す。

 盾子が操る砂とリアスたちが放つ魔力には半紙とダンボール程の差が実際ある。一誠と比べるともうコンクリートに匹敵する。

 なのにリアスたちのダンボールやコンクリートは半紙を敗れない。

 それはリアスたちを含むだいたいの人外は魔力を放出した後に違いがあり、盾子は魔力を創り出す時点で既に違う。

 

「これに脅威を感じたり希望を持ったりする悪魔や天使の程度の低さがよくわかる」

 

 盾子の言うとおり一誠の魔力の扱い方はかなり雑。しかし悪魔や天使、その他の神話形態も魔力を変質させたり形を変えるのは得意でも魔力事態の純度や密度は一部の人を除き雑。

 一誠がこれまでのし上がってこれたのも魔力の量の世界で赤龍帝という魔力の量を倍加させる力を持っていたからだ。

 だから純度の世界に足を踏み入れれば一誠は通用しない。

 むしろ赤龍帝の力だけを頼りにしすべてだった一誠はド素人。

 リアスの中で一番マシなのは五体を使う小猫。次に強力な武器を頼りにしてる部分を除けば木場、次点でゼノヴィアがギリギリ素人は抜けられるといった感じだ。

 

「にしてもあんたらホント絶望的に無様よね。戦闘以前になぜこんな事になったかも知らないってことにさ」

「それは一体どういう意味だ」

「オマエラが今してる事はオマエラが変えたいとほざいた負の歴史そのものだってこと」

「私たちが負の歴史ですって」

「正しくは延長線」

 

 リアスたちは盾子の言動一つ一つに踊らされる。それでも盾子が自分たちを惑わそうとてきとうな悪意を言ってると思いながらも心に何かが引っ掛かる。

 

「ふぁ~あ」

 

 かみ殺していたあくびがついに漏れてしまう。

 リアスたちのダンボールに100の力があるとすれば盾子の半紙には1万以上の力がある。なのに消費魔力は盾子の方が圧倒的に少ない。

 仮に同じものを同じ魔力で創っても魔力自体の質の違いで差は圧倒的である。

 

「まだ立ち上がるか。ゆとり教育の癖にガッツあるね~」

 

 最初はワクワクしてた盾子の顔もすっかりつまらなそうな顔になっている。

 それほどまでに両者の間には差がある。

 力だけを比べた場合本当は五分五分、赤龍帝の倍加に多数であることからリアスたちの方が本来は有利。

 なのにこれほどまでの差が開いたのは技術戦略覚悟戦術心理知識などさまざま。五分の力量からこれほどまでの差に変わったのは必然である。

 

「でもね、あたしは絶望的に飽きっぽいの。だから絶望に堕ちるオマエラをじっくり楽しみたいって言ったけどもう飽きてんの。

 だからひとおもいに全員順番にオシオキしてやるよ。勝負に負けたらオシオキ、ちゃんと校則にかいてるでしょ?」

「校則? なんのことだ」

「駄目だよ~ちゃんと読まないと。知らなかったで済まされない事は世の中にはたくさんあるんだから。今のように。まっ来世では気をつけな」

 

 盾子はつまんなそうに砂の怪獣の顔面だけを創り出してリアスたちを攻撃させる。今度はからかいではなく殺すために。

 リアスたちも最後の必死の抵抗を見せるが全く通用してない。

 いつもならここで一誠が何とかするだろうがそんな奇跡は二度と起こらなかった。

 だが、別の奇跡は起こった。

 

「「「火風雷遁・三位舞首」」」

 

 火と風と雷が混ざり合った砲撃が怪獣の顔を横から破壊した。

 

「間に合ったと言えばいいんですかね」

「ヒーローは遅れてくるってやつですか」

「ヒーローって柄じゃねえだろ。それに俺からすれば一歩早すぎただ」

 

 そこには譲って帰ったはずのソーナ眷属とあの破面の姿が。

 

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 リアスに挑戦権を譲り外の世界に戻ろうとしていたソーナたちを止めたのは既にこの世にいないと思われた意外な人物だった。

 

「ここであきらめんのかよ」

「え!?」

 

 出口に去ろうとするソーナたちに後ろから声をかけたのは死んだはずのプロシュート。

 ソーナたちは驚きで飛び上がりそうな勢いになった。

 

「なんで生きてるんですか師匠! いや、生きてちゃいけないってわけじゃなくてただあの時師匠から力をもらったというか」

「盾子の呪いはトドメの一撃以外は相手に対する嫌がらせが目的だ」

 

 服装もボロボロで立ってるのもつらそうに壁にもたれかかるプロシュート。

 それは先ほどの戦いでソーナたちがつけたもの以上であるのは明白。

 どんな方法で脱出したにせよかなり危ない橋を渡ったのだろう。

 

「でもそれはトドメの一撃は必ず殺すことができるのでは?」

「老人を殺せても俺を殺すには一歩届かなかっただけだ」

 

 花園の疑問に簡単に答えるがそれでもまだピンときてない。

 そんな雰囲気をとりあえず放置して一旦タバコを取り出して一息つく。

 

「殺される直前に自分自身を老化させて死のラインを下げたんだ。

 そして何とか生き延びた」

「じゃあ俺の中にプロシュートさんの力が入ったような気がしたのは気のせい」

「いや、お前の感覚が正しい。

 察しの通り俺は匙に残りを力を渡してほぼ役に立たない。

 だから」

 

 まだ十分吸えるタバコを捨て足で火を消すとポケットから懐中時計を取り出した。

 

「お前らの時間を少し俺にくれ」

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

「リアス、飛ぶくらいの力は残ってますね」

「え、ええ何とか」

「じゃあ空中に逃げておいてください。地面は危険です」

 

 リアスたちのピンチに乱入したソーナは早速リアスに指示を出す。

 盾子が砂を使う事は身をもって理解しているので飛べない程ダメージを負ってる小猫やアーシアやギャスパーを抱えて空中に逃げる。

 

「呪いの道具、クロノスの懐中時計か」

「そうだ。他者の時間を奪い術者の時間を戻す呪具。これで匙たちの時間を少しもらって万全の状態で戦えるようにしたんだ。

 今の俺は体力も能力も万端だぜ」

「あっそ、だけどその呪具の呪具たるデメリットはちゃんと理解してる?」

「クロノスの懐中時計で吸い取る時間が対象の時間に換算されるのは1割程度ということですか?」

 

 盾子の問いかけに椿がすぐさま答える。

 もちろんこれで動揺するそぶりを見せる者はここにはいない。

 

「わかってるじゃん」

「失った時間は確かに戻りません。しかし、少しの寿命で今の希望を得られたなら決して高い代償ではない」

「こいつらはそこの大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような奴らとは違うぜ。あんまりなめてると痛い目みんぞ」

「お~コワイコワイ、初めて会った時もそうやってあたしを叱りつけたよな。そうしてあたしのありったけの絶望を真っ向から受け止めてくれたあんたにあたしは惚れた」

「そうかい、だがどうしようもなく救いようもなくなったお前を受け止めてやれるほど俺は寛容じゃねえんだ。

 真っ向から俺たちの意地を通させてもらうぜ」

 

 既に戦闘不能となったリアスたちに背を向けてソーナ眷属とプロシュートの方を向く。

 ソーナとプロシュートたちに向ける霊圧の強さはリアスたちに向けられた舐めきった霊圧とは段違いの強さ。

 リアスたちの時と同じような態度をとるが向ける意識はまったく違うものだ。

 

「気を付けてソーナ、盾子には砂以外にも不可視の攻撃方法があるわ」

「盾子さんのレスレクシオンの能力ですね」

「……ソーナは知ってるの? 盾子の能力を」

「ええ、プロシュートさんからさっき聞きました」

 

 リアスたちはプロシュートの方を見た。

 本来的であるはずのプロシュートがなぜソーナたちと一緒にいるのかがわからなかったがこの言葉で彼が味方になってくれたことがはっきりと理解した。

 リアスたちがプロシュートを仲間を見るような目で見るがそれに気づいたプロシュートは敵を見るような目で返す。

 

「俺はソーナ・シトリーたちに特別に力を貸しただけだ。三大勢力のクソ悪魔共に手を貸す義理はないな」

 

 それだけ言ってリアスたちの方を見向きもしなくなる。

 正直リアスたちにはプロシュートがなぜソーナに味方するかもなぜ自分たちをここまで敵視するかもわからなかった。

 だけど今はとりあえず敵対しないことに安堵する。

 

「じゃあ、盾子の能力は一体なんなの?」

「盾子さんのレスレクシオンの能力は簡単に言うと誹謗中傷」

「誹謗中傷? 確かにあいつはさっきから悪口ばかり言ってたけどそれが俺たちのダメージと何の関係が」

「悪口は言葉の暴力や刃物、相手を傷つけるという表現がされますよね。

 盾子さんの能力はそれを実体化し言葉で心が傷つくと傷ついた相手の肉体と魂を同時に傷つけられるんです」

「だいせ~かい。補足するなら体の傷と魂への傷はほぼ同等の傷を負う。

 体が深い傷を負えば魂もそれ相応に深く傷つく。

 魂の傷は体に比べ修復も遅く傷から生じる不具合もダメージも段違い」

 

 自慢げに能力の補足を説明する盾子。

 この能力でリアスたちは見た目以上のダメージを負い、魂だけの存在のバロールは戦闘不能になりギャスパーは傷がなくとも疲弊した。

 

「本来なら耳を防げば簡単に防げる能力。だけど私たちじゃ聴覚を制限して戦えるほど強くない」

「私たちが他よりすぐれてるのは基本属性を網羅したコンビネーションだけど、盾子さんには通じないでしょう」

「だから下手なコンビネーションでは使いません」

「たった二人のため、そこにプロシュートさんを加えた三人だけに託して」

「私たちはたった一つの術で盾子さんの術を制限させます」

 

 由良、草下、花戒、草下、巡が順にそういうと匙と椿を抜いたソーナ眷属が円状に並び両膝をついて印を組む。誠司は円の真ん中で座禅を組む。

 盾子はすぐにいくつかの察しをつけ何をするか知ってる匙たちとほぼ同じタイミングで空中に逃げた。 

 

「五行遁『不毛の大地』」

 

 ソーナ眷属の円を中心に嫌な力が砂漠に広がっていく。

 見た目こそ一切変わっていないが砂の地面からは本能が危険だと言うような気配が嫌ってほど漂ってくる。

 

「五行遁『不毛の大地』か。五行属性を必要とする上級術。

 術者の外側にいる地面を含め地に触れるすべての力と命を吸い取るでもなく空中に散らすわけでもなくただ奪ってしまう。

 まさに不毛の大地にしてしまう絶望的に私好みの術ね」

「これで盾子さんの砂は使えません」

「確かに砂は使えない。だからって素手の私様が弱いとでも?」

 

 もちろん盾子が素手でも一定以上の強さを持つことは誇銅が生きてる時から知っていた。

 それに盾子のいる部屋に突撃する前にプロシュートはこんなことを言っていた。

 

「砂や能力抜きでも盾子に一対一で勝てるのは恋と狂気を使ったフランだけだ。

 だからあらゆる能力が効かない恋と狂気状態で言葉が届かなくなるフランは盾子からすればなんとしても排除したかった」

 

 その言葉を肝に銘じてまるで現時点で接近戦最強の悪魔、サイラオーグを相手とるような気持ちで狡猾な魔術師を相手にするような心境で挑む。

 

「食らいつけ『魂合怪魔(グラン・ムエルテ)』」

「禁手『百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)』」

 

 空中でプロシュートと椿の刀剣解放と禁手化が披露される。

 当然術に参加しない二人が解放させたという事は三人目も。

 

「禁手、『怨嗟の獄煙龍王(グレイトフル・ヴリトラ・プロモーション)』」

 

 一時間ほど前に受け継ぎ完成したばかりの匙の禁手。

 毒のような紫色の鎧を身に纏い全身には大きな目の模様と触手のようなものをはやしている。さらに全身の目からは紫色のガスが少量ではあるが絶えず噴出されている。

 その姿は横にいるプロシュートの刀剣解放とほぼ類似している。

 

「匙、その姿まるで」

「破面みたいか? 別におかしなことじゃないだろ、お前だって三匹の龍の力で禁手を得たんだ。だから俺が破面の力を得た禁手を発現させたっておかしくないだろ」

「匙、わかってると思うがお前では魔力の純度に僅かだがそこには圧倒的違いがある。『直』にプルパワーじゃなきゃ僅かも通らんと思え」

「ええ、わかってます」

「じゃあ行くぜ!」

 

 それを合図にプロシュートと匙は盾子に近づき椿は逆に離れた。

 

「いっちょやったりますか」

 

 盾子は動きにくそうなドレス姿のまま袖だけ少し巻くってその場から動かない。

 ただその場に突っ立ってるだけというわけではなくその場から匙とプロシュートに向かって手加減された大量の虚弾をばらまいてはいる。

 

「怨龍の砲口(ブレス)

全方位虚砲(オールセロ)

 

 プロシュートは前方についてる目から虚砲を放ち、匙は黒っぽい紫色のブレスで虚弾を朽ちさせて消滅させた。

 二人の攻撃は虚弾を貫通し盾子へと。

 しかしプロシュートの虚砲はヒラリと躱され、ブレスは命中しても効果なし。

 

「ふむ、プロシュートの老化ガスに似たブレス攻撃。でもこの威力なら老化だけでなく朽ちるまで老いさせられるね」

 

 自身の攻撃を朽ちさせるという凶悪なやり方で突破されたというのにそれをその身にあえて受けあまつさえ冷静に考察までする。

 リアスたち程なめてないにしろ慢心した余裕の風格は一切崩さない。

 

「でもその程度じゃ無機物や魔力は朽ち殺せても生物は老化がやっとじゃない?」

「まだ試運転だからわかんないっすけどたぶん盾子さんの見立て通りだと思います」

「素直に情報渡してんじゃねえ。って言いたいところだがコイツにはどっちでも一緒か」

 

 今までの格上相手なら間違いなく一撃で殺せる息吹(こうげき)だった。

 匙の新しい禁手の力は元々の邪龍の力に加え破面の瘴気もミックスされたため伝説と呼ばれる邪龍たちと比べても異質で強力な呪詛を放っている。おそらく同族であろうと難なく少しも手こずる事もなく殺せるであろう。

 そんな攻撃がプロシュートも匙自身もは始めっから盾子に素直に通じるはずはないと思っていた。

 

「後やっぱりこの手の能力攻撃って格上には通じないのよね。薄く霊力張るだけで防げた」

「テメェの生成する魔力が異常なだけなんだよ」

「生成する魔力が異常? それはどういう意味なんだ! 教えてくれ!」

 

 一誠が上空から問いただす。それがわかれば盾子を倒す糸口につながると思ったから。

 だがプロシュートはソーナたち以外の悪魔に協力する気はなく無視。

 一誠の疑問に答えたのはなんと盾子自身だった。

 

「魔力も肉体みたいに鍛える事ができるってことさ。ただし一朝一夕でできるものじゃないし都合よくババーンと開花するものでもない。

 その訓練の結果あたしはあんたらよりも純度も密度も高い魔力を生成できるようになったのさ」

「質の高い魔力……」

「あたしが生成する魔力はあんたらの魔力よりも約1%程純度も密度も高い。たった1%の違いだけど壁を一枚超えたと超えてないの差は大きいぜ」

 

 魔力の違いの壁、つまり0と1の違い。0同士なら0が多い方が個数的に有利。しかし、1が相手では0はいくら集まっても0。1には届かない。

 1は二つ以上あれば2を超えられる。2が二つ以上あれば4をこえられる。

 今まで魔力の総量と威力だけの世界にいたリアスたちには全くピンとこない話である。

 だけど今はソーナに賭ける以外に盾子に勝つ手段がないことはよく理解した。

 

「上位の魔力はそれだけで下位の魔力を降せる。滅びだろうが老化だろうが下位の魔力で成形してる時点で簡単に防げるんだよ。

 別におかしなことじゃねえ、防御不可能と言われる力も格上が膨大な魔力で強引にねじ伏せるなんてよくある話だしよ!」

「やはり大して効き目はありませんか」

 

 盾子がしゃべってる間に遠くから椿の禁手が放たれる。

 油断してる間に打ち込んだが簡単に払いのけられてしまった。油断といっても現時点で盾子はずっと慢心してる状態。

 

「そっちの超人が加わればもっと戦えるんじゃない?」

 

 不毛の大地はソーナたち程度の魔力ではすぐに魔力が尽きてしまう。だから誠司の超人パワーを借りてその時間を延長している。

 不毛の大地の効果を受けない超人である誠司を戦闘に回した方が良いと思えるが、飛べない誠司では空中に逃げられればほぼ打つ手はなくなり盾子の能力で削り殺される可能性が大きい。

 誠司を失えば十全の盾子が搦め手でじわじわと絶望へ追いつめてこられるであろう。

 

「盾子さん、貴方の相手は俺たちです」

「あっそ(たった二人+一人であたしと戦うなんて絶望的に勝機なしじゃん。と言ってもあいつがそこまで無能な考えなわけないし何考えてんのかな)」

 

 もちろん考えがあってのこの行動。

 ここに来る前ソーナはプロシュートにこんなことを言われていた。

 

「俺の攻撃を耐えきれるだけの守りと注意力があればとりあえず何もできずに殺される事はないだろう。

 だが攻撃は別だまったく足りてねえ。前らも今までの破面や虚でその程度じゃ通じなのにはわかってるな」

「はい」

「と、言うとこはちゃんと切り札はあるか? それもとびきりのやつを」

「はい、これなら確実に盾子さんを殺せます」

「ならよし」

 

 そんな問答があってこの不思議な陣形を築いた。

 

(あたしを不毛の大地に落とす? いや、そんな馬鹿な考えじゃないな。それより気になるのはこの矛盾した位置取りと戦い方)

 

 まずプロシュート、匙、椿の位置取りがおかしい。

 後方の椿を頂点に三角形になるような位置取りをしている。

 これは椿の攻撃が二人に当たらないようにと考えればおかしくないのだが、二人の攻撃はその性質上味方の攻撃も殺してしまう。百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)もその影響で消滅はしていないがかなり威力をそがれている。

 ならば普通なら盾子を囲んで三角形が望ましい。

 

 次に二人の攻撃は確かに盾子には通じていない。だが、現段階で通じる可能性があるのは超人を除けば二人だけ。

 唯一の矛なのに二人は矛としての動きではなく、盾子をその場から動かさない囲いの役目を果たしている。

 

 さらにおかしい事は百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の使い手である椿は百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の後ろに完全に隠れてしまい砲撃先を見ていない。

 二人が盾子をその場から動かないように誘導してるのがそのためと言うなら納得だが百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)ははっきり言って二人の攻撃よりも通じてない。削られてないとしても二人の攻撃より殺傷力は下。

 

(勝つ気がない。いや、戦う気すらないのか?)

 

 ソーナたちがとった行動は戦わず守り続けること。攻めず攻めさせずいたちごっこをくり返す。

 匙とプロシュートの直は通じる事が予測できてもそれを脅し以外の用途では決して使わずにただ消費しきるのを待った。

 盾子の魔力がなくなるのを待ったのではない、封印の力を消費しきるのを待ったのだ。

 

「割れます!」

「ついに割れた」

「戦闘を放棄した甲斐はあるんだろうな」

 

 二人は最後に包み込むような大技を放って左右に逃げた。

 盾子の視界に残ったのは椿の百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)のみ。

 

「割れた?」

 

 三面鏡の形をしてる百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の姿に映るのは現在盾子のみ。

 しかし休まず攻撃を放ち続けた百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の鏡は今にも割れそうな程ひびが入り濃い紫色だった本体もかなり薄くなっている。

 

「盾子さん、悪霊はいつでも道連れを求めてるんですよ」

 

 そして百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の鏡はパリンと音をたてて割れた。

 割れた百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)から悪霊の腕があふれ出し盾子を捕まえようと追いかける。

 

百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)はあの世のはざまを彷徨う悪霊との鏡一枚の境界線。解放された悪霊は道連れを求める」

虚砲(セロ)! くっ効かない、それに魂だけの癖に魂吸できない」

 

 盾子は全速力で逃げるが悪霊の手は何処までも無限に伸び続け決してあきらめようとはせず執拗に追いかける。

 そしてとうとう無数の悪霊の手の一本に捕まり次々と他の手にも捕まる。最後の抵抗を見せるがどんどん鏡の中へと引っ張られる。

 

百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)は使い続ける事で悪霊を封印する力が弱まっていく。封印はしばらく閉じる事で回復するけど、それでも使い続けると封印が解かれ最後に鏡に映ったものをあの世へ道連れにする。

 これが確実に盾子さんを倒す切り札です」

「イヒヒ、絶望的に絶望的な状況だわ~」

 

 とてもアブナイ笑顔で必死に抵抗を見せる盾子。

 誰もが盾子の完全敗北と思われた次の瞬間、悪霊の手は盾子の中に入っていき何かを掴んで盾子を鏡の中へと連れ込まずに鏡の中へと戻って行った。

 

「そんな! なんで?」

「!!」

「プロシュートさん!?」

 

 それと同時にプロシュートが声一つあげず地面に倒れこんで動かなくなった。

 ソーナたちは何が起きたのかさっぱりわからず珍しく混乱し匙と椿も冷静さを失っている。

 

「そ、そんな師匠!!」

「え、なんで、私の神器は確かに盾子さんを捕らえたのに。なのに盾子さんを殺せずプロシュートさんが」

「あ~ヤバかった。これのおかげで助かった」

 

 盾子が取り出したのは黒い藁人形『御縁の藁人形』

 

「それは……!」

「確かに私はまだプロシュートを愛してたよ? 愛してたけどさ、まさか自分が死んだ方がマシと思えるくらい愛してたなんて……最愛の人を自分の代わりに…………それも二度も無駄死にさせてしまうなんて、なんて絶望、サイッコーに絶望的~ッ!」

 

 最愛の人プロシュートを自分の身代わりに失った盾子はその絶望に歓喜しもだえる。

 その人らしかぬ感情を表す気持ち悪さに誰もが恐怖を覚えた。

 そんなふうに盾子が一人もだえているとプロシュートの遺体からレスレクシオン状態の形をしたエクトプラズムが浮かび上がり盾子の方へ飛んで行った。

 

「復讐も果たせないまま無様に無駄死にした野郎が、その死んでも殺す意思があるならリーダーの悲願も誇銅の無念も晴らせたかもな。

 なのに仲間殺す時にだけ起き上がってんじゃねえよ」

 

 ハッと気づいた盾子がエクトプラズムに向かって誹謗中傷を吐き出すとエクトプラズムの約半分が消し飛び残りの半分が盾子を包んで通り過ぎて行った。

 一見なんのダメージを負ってなさそうに思えたが、盾子は現在乗ってる空中から落ちて危うく不毛の大地が発動中の砂場に落ちてしまいそうになった。

 

「ハーハーそうだ忘れてた。そういえば昔全員にお守りとして配ったんだっけ」

 

 匙がプロシュートの傍に駆け寄って体を起こし確認するとプロシュートの遺体から破れた人型の紙がピラッと落ちる。

 

「これは……人型」

「昔の盾子さんがお守りにということはおそらく呪い返しの人型でしょう」

「でも神器の力で殺されたのに呪い返しが成立したの?」

「盾子さんを攻撃したのは神器の力でもそれを返してプロシュートさんを殺したのは御縁の藁人形の呪い。呪い返しの条件は満たします」

 

 術をかけながら仁村はソーナに質問する。その返答によってなぜこのような出来事が起こったが理解した。

 まず椿の百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)の黄泉連れをプロシュートに返したのが御縁の藁人形の呪い。呪い返しの人型は本来呪いをそのまま返すので悪霊が魂を持ち去ったお返しにプロシュートの魂が盾子の魂を持ち去ろうとした。

 だがプロシュートの最期の呪い返しを魂を傷つける言葉で相殺。結果盾子は魂の一部、多くても半分程魂を持ち去られただろう。

 いくら良質の霊力を生成できても魂の塊である破面が魂を一部でも持ちさられれば致命傷になる。

 

「……今なら……勝てる!」

 

 ここに来て初めて弱みを見せる盾子に対して匙が勝負に出る。

 神器の力を大々的に開放して積極的な攻めの体制に変えた。

 

「お前は未だに赤龍帝に劣等感を抱いてる。それはお前の力は味方を巻き込み個人プレイしかできないからだ!」

 

 匙の攻撃が攻撃する前に止まってしまう。

 それは匙の体に小さな切込みが入ってしまったから。これが何を意味するのか匙には十分理解できた。

 

「匙、お前の能力はプロシュートの能力を受け継ぎ強化され特性も引き継いでるな。

 おそらくその老いの力は無差別。ちょっと前に手に入れた力を完璧に制御できるほど天才肌じゃない。

 眷属たちとやたら距離を気にするのはその証拠。

 私を殺す覚悟やそこのザコ眷属を巻き込んで死を背負う覚悟はあっても仲間を巻き添えにする覚悟はない!」

「ぐっ」

 

 攻撃するのを止め魔力の荒ぶりを抑え消極的に戦ってた時よりも力を鎮静化させる。

 

「元ちゃんどうしたの!?」

「すまん、やられた」

 

 匙は腕の部分の装甲を解いて仲間に見えるように腕を伸ばす。

 腕には軽くひっかいたような傷痕に薄らと血が出ている。明らかに軽症であるがそれが何を意味するのかソーナ眷属全員が理解する。

 

「例えやましい事でもなくとも触れられたくない事実を指摘されると多少なりとも人は傷つく。魂に傷を負った状態でその力を制御し続けられるのかな?」

 

 盾子の言った通りグレイトフル・ザ・デットの力が混じったことでヴリトラの精神汚染の制御はむしろ簡単になった。

 だが同時にスタンドパワーが加わり能力の制御は難しくなった。

 ただでさえ仲間を巻き込む範囲が広く殺傷力も高いこの能力を制御できない。さらに魂に傷を負う事は簡単になったヴリトラの制御すらも怪しくなる。匙はやむなく禁手を解かざる得ない。

 

「ですが、匙が禁手を解けば私たちが大々的に動けます。

 プロシュートさんと匙と誠司くんが削ってくれたおかげで私たちでも十分勝機はでました」

「でも、それ解いたらあたしのフィールドが解放されるわ。必殺の切り札ももう使えないみたいだし」

 

 百霊悪行の紫三面鏡(ベルギム・パープル)は閉じられた状態で地面に落ちる。

 色は白色になり側にはお経のようなものがびっしりと書き込まれている。

 

「そんな強力な能力、何の代償もないわけないよな」

「……封印が解かれた後はしばらく開ける事ができなくなり浮遊させることも戻す事もできなくなる」

「さらにその鏡から離れられないとか?」

「ん!」

 

 代償の一つを言い当てられた椿の体に僅かな傷が刻まれる。

 この傷が何より正解を物語ると同時に魔力の連携にものちのち亀裂を入れる。

 

「確かに椿の神器どころが椿も戦力外にされたようなものです。私たちも不毛の大地で魔力も残り少ない。ですが」

 

 ソーナは空中のリアスたちを見る。正確には一誠を見ていた。

 

「イッセーくんの能力なら、リアスたちの力なら私たちが手を貸せば今の盾子さんなら十二分に勝ち目はあります」

 

 ソーナの言った通りリアスたちの戦力も含めれば戦局は有利。

 リアスたちは言葉の傷を深く受けているが実質戦闘不能は小猫、ギャスパー、アーシアのみ。

 傷を受けても一誠の神器はドライグの意識が深く残ってるので能力は使用できる。そこにリアスや朱乃の強力な魔力と木場やゼノヴィアの聖魔剣と聖剣、ロスヴァイセの多彩な魔法攻撃が加われば今の盾子なら数名から半数程度の犠牲を出せば必ず勝てる。

 盾子はついに追いつめられた。

 

「死ぬには悪くない絶望的な日ね」

 

 盾子はそれなりに満足そうな顔で異次元の空を見上げつぶやく。

 

「いいわ、貴方たちの望み通り死んであげても」

 

 盾子のまさかの敗北宣言。しかしこの言葉に安堵したのはリアスたちだけでソーナたちは未だにすぐにでも攻撃を開始できる準備をしている。

 この時ソーナたちは不毛の大地を解除しリアスたちも空中から地面に降りている。

 

「でも、あたしが死ねばオマエラも不都合な事が起きるぜ」

「私たちに不都合ですって」

「実はあたしには厄介な呪令がかかっていてオマエラを殺さないと他の絶望計画を勧められないんだ。

 だから世界中に絶望を届ける最終絶望計画も準備完了の状態から動かせない。だけどあたしが死ねばそんな呪令関係ない。私の死をきっかけに最後の絶望が世界中に降り注ぐ計画だった!

 だけど、ここで見逃してくれるなら今ある最終絶望計画はすべて破棄して白紙に戻してもいい」

「それを信じろと?」

「『絶望学園(ディストピア)』追加項目校則第13条、学園長の名で交わした約束は厳守されなければならないものであり、約束において嘘偽りを硬く禁ずる」

 

 ソーナはそっと電子生徒手帳の校則の部分を確認する。するとそこには確かに今言った通りの校則が追加されている。

 

「さっき言った約束はすべて学園長として嘘偽りはない、何ならもう一度繰り返してあげましょうか?」

「ええ、もう一度お願いします」

 

 ソーナはさっきの約束ももう一度言わせて完璧に呪いを確認する。

 これで盾子は自分の呪いに縛られて約束を破れない。

 ソーナたちはここで盾子を逃がすつもりだった。盾子の実力は理解した。盾子が使うワンランク上の魔力の使い方をできる人物にも心当たりがある。

 だから修業を重ね自分たちもその領域に足を踏み入れれるようになれば次は勝てるだろう。

 それよりも盾子が誰にも気取られず着々と準備してきたという絶望計画の方が脅威だ。確実に盾子を生かす以上の脅威になり得るだろう。

 だからこの絶好のチャンスを捨てても今の計画をつぶす。今では盾子の危険性は十分世界に伝わり三大勢力に非協力的な強豪勢力が盾子をマークするだろう。

 そう考えていたのだが。

 

「でもここでみんな生還ハッピーってのは面白くねえな。よし決めた、あたしの代わりにお前らの中の誰かに死んでもらう! そんで生贄はお前だ!」

 

 盾子が指差したのは一誠。

 その指先に驚いてる間に発現している一誠の赤龍帝の籠手に盾子の砂が一瞬で大量に潜り込む。

 

「しまった!」 

「魔力枯渇は覚えてる? 初めてのレーティングゲームでオマエの倍加を封じた私の技。

 それと似た原理で神器の魔力をすっからかんにして砂を詰め込むことで供給を封じ神器を使い物にならなくする術、神器石化」

「なんだと!? ドライグ返事をしろ、返事をしてくれドライグ!!」

『…………』

 

 一誠は必死に神器内のドライグに語りかけるがいつものような返事は帰ってこない。

 それどころが敵の目の前だと言うのに神器の中に意識を潜らせてもあたり一面砂だらけで歴代の赤龍帝たちの声も聞こえない。

 

「すぐに詰まった砂をかきだして純度の高い魔力を供給すれば治っちゃうけどね。

 神滅具なら長く見積もって……5時間ってとこかな」

「5時間……決して長い時間ではありませんね」

「赤龍帝の籠手は永遠にただのお飾りになる。神器が使えないそいつはお飾り、いやお荷物だな」

 

 にやにやと笑いながら不利な状況から這い上がってくる絶望(盾子)

 崖下に落としたと思った絶望は希望の足を掴んでいた。

 

「今から最初で最後の学級裁判を始める! 議題は江ノ島盾子か兵頭一誠どちらを有罪にすべきか。

 それを決めるのはオマエラだ!!」

 

 絶望を崖底まで追いつめた希望は選択させられた。自分の足を切り落として絶望を崖の下に突き落とすか、それとも掴まれた足ごと絶望を引き上げるか。




 アランカル大百科。

月「今日はこの前文句が出た名前の無い破面たちの刀剣解放を一気に紹介するで。
 それぞれ名前が『撤戒僧(アカイモンヘ)』、『飛脚武者(エスカバル)

月「『撤戒僧(アカイモンヘ)』は単純な巨大化の能力。『飛脚武者(エスカバル)』は単純な素早さ強化や。
 やっぱ大した恨みや信念を持つ上級破面と比べると霊力もそうやけど能力もぱっとせえへんな」

V(ヴィクトリー)「ブラァァ! なぜ私の説明がない!!」

月「そりゃ君は人口中の人口破面やから常時開放状態やからな。いうなれば君の名前自体が刀剣解放や」

V(ヴィクトリー)「ならばそれを説明してちょうだいよ~」

月「しゃあないな。じゃあV(ヴィクトリー)の刀剣解放は」

V(ヴィクトリー)「やっと華麗な私の出番だ。いいかよく聞け! 私の能力は何と言っても華麗な砲撃力にありそして」

月「おっとそろそろ時間や。それじゃこれにてバイバ~イ」
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