ソーナとの戦いを終えたアルセウスは心境が変わったのか最初はすぐに殺す気だったのになぜかリアスたちと同じ地に降りて戦いを始めた。
と言ってもとても勝負にはなっておらず一方的に痛めつけられているだけ。
「はっけい」
「ああッ!!」
斬りかかろうとした木場の腕を止められ手のひらからの衝撃で骨を折られただけでなく、折れた骨が肉を突き破り体外へ飛び出す。
とても剣を握るどころか後遺症なく治療できるかのレベル。
「くそっ!」
「ふん」
「ガハッ!」
エクス・デュランダルを全力で振るったゼノヴィアは容易くその攻撃を受け止められただけでなくこちらの腕を折って強引にエクス・デュランダルを奪われ、折れた腕を取られたエクス・デュランダルで切り落とされた。
「せいなるつるぎ」
さらに目の前でアルセウスの手刀でエクス・デュランダルを真っ二つに。
まるで貴様が持った聖剣などもはや聖剣の価値などないとでも言うように。
「貴様にとってこの翼は家族との大事な繋がりらしいな」
空中から雷光で攻撃しようとした朱乃はすぐさま背後に回られ堕天使の翼をアルセウスにわしづかみにされ、そのままちからづくで翼を引きちぎられて地面に落とされた。
「ステルスロック」
朱乃の落ちる地点にとがった岩が先に待ち散らされる。
翼をもがれ飛ぶことはできないが落下先の岩を破壊するくらいはできる。だが、上空からアルセウスがそのまま降りてきて上から踏みつけながら落下速度を速める。
それによって落下地点の岩を破壊できず腹の、女性にとって大切なものがある部分に大きな穴が空くことに。
「こいつは……既に魂まで傷だらけだ」
まともにファイティングポーズもとれない小猫に近づいてじっくりと観察する。
これはチャンスと攻撃に出ようと思っても盾子から受けた傷が深すぎてまともに戦えない。
「しおみず」
アルセウスはそんな小猫に向かって大量のしおみずを発射する。
そのしおみずは小猫の傷口にしみこみ痛みを倍増させる。
相当に弱ってる小猫にとって体中をナイフで切り刻まれ海に何度も沈められるような苦痛。
「貴様はあの時まだいなかった。今はこのくらいで勘弁してやろう」
ロスヴァイセに対しては腹を思いっきり殴って気絶させるという他と比べたら何とも優しい方法で決めてくれた。
他と比べて彼女には恨みというか意識そのものが薄い証拠。
ただ他と比べてというだけでアバラ骨の数本は折れた音が。
「貴様に一つ質問だ。目の前に傷ついた恋人と今にも死にそうな知り合いがいる。さて、どちらを貴様は優先するか」
「も、もちろん今にも死にそうな人です」
「不正解。貴様はずっと前に恋人を選んだ」
そう告げるとアルセウスはアーシアの両手を優しくとり強めに握り。
「やきつくす」
その手を焼いた。
すぐに逃げれば軽いやけどで済んだだろうがアルセウスが握っているので逃げられない。なのにアルセウスの手は無事、焼かれてるのはアーシアの手のみ。
しっかりと酷いやけど跡になるまで焼き上げるとやっと手を放してくれた。
「邪魔だ」
魂の傷が一番深くまだ目覚めないギャスパーは他よりも相当やさしめの蹴りでソーナたちの方へ蹴り飛ばす。
人間なら下手すれば死ぬかもしれない着地の仕方だが悪魔の体なら問題ない。
「これで貴様らだけになったな」
さんざん痛めつけられたリアス眷属たちは痛みのあまり気を失う者や死にかけだらけで一ミリも戦力にならない。
魔王たちなど簡単にダークホールで眠らされ悪夢にうなされている。
目覚めた時には悪夢が現実になっているだろう。
「な、なんでこんなことを……?」
「なぜだと? 当然貴様らが我らの大切な誇銅を裏切り我らから奪い去ったのが始まりだ」
「俺たちが裏切り奪った? 俺たちは誇銅を裏切ったことなんてない! 先に裏切ったのだって誇銅の方」
「デタラメを言うでないッ!!」
一誠の言葉に今まで見せたことがない程の怒りで怒鳴る。
その声一つで周りの大気が震えた。
そこまで瞬間的に怒りを見せたアルセウスだがその怒りは突然収まった。
「……フフフ、そうか、お前にとってやはりそれが真実なのだな。何とも哀れな道化師だ。ハハハハ」
「何がおかしい」
「兵藤一誠、貴様は誇銅の友人とまではいかなくとも知り合い以上の学友だ。本来なら誇銅の生前から戯言をぬかし続けた貴様にも裁きを降そうと思ったとこだが特別にチャンスを与えよう」
アルセウスはそう言って一誠の隣にいるリアスを指差す。
「貴様の隣にいる女はこの騒動の諸悪の根源。許されざる悪だ」
「リアスが悪だって……?」
「その女を殺せ。貴様の手でな」
「!!」
アルセウスはねんりきで気絶している木場の傍に落ちてる聖魔剣を一誠の前に放った。
「この剣でその女の腹を切り裂け。そして死に至るまでその女の内臓を抜き取れ。
そうすれば命だけは助けてやる」
「断る! なぜそんなことをしなくちゃいけないんだ!」
「ほう、我の温情を断るか。ならば貴様もその女共々我に殺されるだけだ」
「だれがお前なんかに殺されるもんか!」
「ほう虚勢をはりおるわ。先にやられた者のように我に立ち向かう度胸もないくせに」
確かに今までの一誠には強敵に立ち向かう無謀な度胸だけはあった。始めのうちは力の差もわからぬ無知からくるものではあったが、次第に赤龍帝の力を過信した信頼をおき強敵にも怯むことなく立ち向かっていた。
今の一誠から度胸がなくなったのではない、信頼し依存していた力がなくなったから虚勢を張れなくなっただけ。
なぜなら赤龍帝の籠手、ドライグは既に死亡が決してるから。
「ドライグ……」
一誠はポケットの中の大き目の石炭をギュッと握りしめた。
◆◇◆◇◆◇
冥界に転移する前、一誠はソーナにこっそり連れ出されこんなものを渡されていた。
「なんですかこれ?」
「石炭です」
「石炭、なぜ石炭を俺に?」
「ただの石炭ではありません。これはサンタクロースの石炭と呼ばれる呪具」
見せられた石炭からは確かに呪いの禍々しさが漂っている。
見るだけではわかりにくいが触ってみればその禍々しさが良く解る。
「今のイッセーくんでは完璧に足手まといにしかなりません」
「うぐっ!」
「例えイッセーくんが赤龍帝の力を使用可能だとしても盾子さんの残した絶望には力不足でしょう」
盾子の強さからソーナの言う大袈裟な言葉がオーバーだとは思えない一誠。
だから一刻も早くドライグを専門家に見せて自身も力になれるようになりたいと思っている。
「この石炭を使えば代償の代わりに相応の力を得られます。その覚悟があるならこの石炭はいざって時必ずイッセーくんの力になってくれるでしょう」
「今までだって何度も代償を払ってきた。今更そのくらい」
一誠は今までドライグに払ってきた体や寿命を思い出しながらその石炭を受け取ろうとする。
しかし、一誠が受け取ろうとすると石炭を持つ腕を引っ込めてしまう。
「その程度の覚悟では渡せません! この代償は本当に高い。
体の一部をドラゴンに渡す? 寿命が減る? そんな生易しいものではありません!
現にドラゴンに変わったからといって特に人間の形に戻すのは容易い。寿命もかなり取り戻せている、それも簡単に。こんなものではとても代償なんて呼べない」
一誠が思ってる代償の程度をズバッと言い当てるソーナ。
その程度の覚悟で受け取ろうとした一誠を逆にしかりつけた。
肝心の一誠はなぜここまで怒られてるのかちゃんと理解していない。自分の事を心配してくれてるんだなくらいにしかとらえていない。
「この呪いで手に入れれるものは過去のイッセーくんすべて。
その代償は自分の得た力すべてと未来の希望、つまり経験と才能」
「俺の経験と才能?」
「これを使えば早い話イッセーくんはドライグを失う事になります」
この説明をしてソーナは再び石炭を持つ腕を差し出す。
再び差し出された腕を今度は一誠がちゅうちょした。
「それでも赤龍帝の籠手を失えばどちらにしても同じ。イッセーくんを今まで支えていた力はなくなります。
ドライグがまだ仮死状態の今ならまだ使える。使えば必ず赤龍帝の籠手はイッセーくんから失われるが一時過去を終結した力が出せる。
ドライグが治るわずかな可能性を捨てて」
ドライグを自ら犠牲にして。
自分以外から代償をとるこの呪具に対してまだズレはあるがきちんと恐怖は覚えた。
一誠が目の前の呪具に対して恐怖を見せた事にとりあえず安心するソーナ。これならもう能天気な選択はしないだろうと。
「それじゃもしもドライグの治療がうまくいかなかったときの最終手段として」
「赤龍帝の籠手を失ってから使えばイッセーくんが過去に使用した赤龍帝の力は使えなくなる。
過去の力が宿る器が無くなってるのですから」
「そんな、ドライグを犠牲にして」
「失礼ですけどドライグなしのイッセーくんは何の脅威もありません。そして赤龍帝の力を除いた才能も感じられません。
赤龍帝の力を完全に失いかけてる今なら代償も無きにひとしい。
今がベストな使い時」
ソーナは言いにくい事をズバズバと一誠に伝える。
ここで気を使い遠まわしに言えば肝心な事が伝わらなかったり、誤解されてしまうおそれがある。
だからあえて嫌われようが恨まれようが正直に伝える
「これを一番使いこなせるのはイッセーくんでしょう。
使えば自分のすべてを失い後悔する、使わなければあの時自分に力があればと後悔する。
どのような後悔の仕方をするのかはイッセーくんの自由です」
例え一誠の身に絶望しか待ち受けて無くとも。
「残念ですがイッセーくんにはどのみちこれからの未来はありません。
……おそらく冥界も三大勢力も」
絶望にまみれた言葉。一誠自身にはもう未来がないと伝えるとソーナは一誠に石炭を握らせて先に行く。
去り際に独り言でさらに絶望に満ちた予想を呟いて。
◆◇◆◇◆◇
「どうする? 兵藤一誠」
「イッセー……」
「……やらせねえつってんだろ」
「ん?」
「お前みたいな逆恨み野郎に誰も殺させない! 俺がお前を倒して必ずみんなを救って見せる!」
一誠はアルセウスに向かって駆け出す。
アルセウスは神器も発現させず向かってくる一誠をただ眺めるだけ。
「無茶よイッセー! あなたは今赤龍帝の力を失ってるのよ!」
「その無謀な勇気に免じて一度だけ我に触れる事を許そう。ただしさわらぬ神に祟りなし。
一度でも我に触れればもう温情はないと思え!」
「温情なんてはなっからいらねえんだよ、この逆恨み野郎!」
一誠はアルセウスに殴りかかる瞬間、失ったハズの赤龍帝の籠手を出現させた。
さらに倍加されてないハズの赤龍帝の籠手には今まで類を見ない程の魔力がたぎっている。
禁手戦車状態にも見劣りしない威力でアルセウスの顔面を思いっきりなぐりつけた。
そのあまりの衝撃でアルセウスは大地ごと吹き飛ばされる。
「イッセー赤龍帝の籠手が……」
「すまないドライグ」
『謝るな相棒。そうでなくとも俺の消滅は確実だったろう』
「……ああ」
『ならば最後にこうして全力全快で戦えるようにしてくれた事にむしろ感謝する』
二人は今、過去最大のつながりを見せる。一年も一緒にいなかったのにドライグは今までの赤龍帝の中でも一誠と最大のつながりを感じる。
『これが赤龍帝最期の戦いだ! 必ず勝つぞ、相棒!』
「おう、
二人は気合を入れて禁手の鎧を纏う。
あれだけ派手に吹き飛ばされたアルセウスは傷一つなくもう戻って服の汚れを払っている。
見た目の派手さの割にアルセウスに入ったダメージは皆無。
「やれやれ、わかっていたがここまで愚かとは。貴様は神に触れたのだもう生きられるとは思うな」
『力が膨大すぎる! まずは通常のトリアイナで慣らすんだ』
「わかった!」
一誠はまず通常の禁手状態である赤龍帝の鎧でアルセウスに真っすぐ向かっていった。
これだけの魔力がたぎってるのだから力で対抗できると思い込んで。
しかしただの思い込み。愚直に真っすぐ進んだ一誠は簡単に力で止められ前の鎧を殆ど砕かれる事に。
それでも過去すべての倍加された魔力がすぐに再構築を始める。
『そろそろ大丈夫だ、次に進もう』
「よし来た!
力に馴れてきた一誠は次にトリアイナのモードに移る。
「モードチェンジ!
一誠はすぐさま砲撃のチャージを始める。
膨大な魔力のおかげですぐに発射できるのだがそのわずかなチャージ時間ですらアルセウスにとっては致命的なロスタイム。
「無駄」
僧侶の砲身を掴んで引っぺがした。
僧侶の砲撃は発射前に失敗に終わる。
「まだまだ! モードチェンジ!
極近距離からのラッシュ攻撃。
しかしアルセウスはノーガードでノーダメージ。
膝うちで一番頑丈な戦車のトリアイナをほぼ全壊に。
ここまでで一誠が与えたダメージはナシ。
なのに一誠は既に2度鎧を全壊にされている。力の差は歴然。勝機は全くない。
なのにまだ勝機があると思い込んでいる。
『次のステージに進むぞ!』
「おう! モードチェンジ! アルセウス、これが俺の最強のモードだ!
一誠は三体の龍の力を得た時のモード、自身の最強のモードへと鎧を変えた。
その鎧をまとった時、アルセウスは明らかな動揺を見せた。
一誠はその動揺を自身の力に驚いてると受け取った。
「これならお前とも互角に戦える!」
一誠の勘違いのまま特攻。
アルセウスはその攻撃をモロに受けてしまう。
しかし周りの大地は吹き飛んでもアルセウスは不動。
「なぜ、貴様がその力を持ってる……?」
「は?」
「その力は我が子、ディアルガ、パルキア、ギラティナのもの。なぜ貴様如きが使える……?」
この時一誠はやっと理解した。
アルセウスの動揺が焦りからではなく怒りから来ていると。
目の奥底が怒りで満ちている。
「ぐっ!」
アルセウスが一誠の胸のコアに腕をツッコム。
始めは何をされてるのかわからなかったがドライグ経由で何をされてるか知った。
この力を得た経緯を読み取られている。
読み取り終えたのかアルセウスはコアから腕を引き抜き一誠をさらに怒りのこもった目で見る。
「そうか、貴様のせいだったのか……よくも我が大切な人だけでなく我が子までも……!!」
そして一誠の首を絞めあげながら呪いのようにつぶやく。
「忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい」
一誠を絞殺さんとするアルセウスの腕から一誠は全力で抗うがピクリともしない。
首の部分の鎧にも尋常じゃないヒビが入りもう少しで生首を絞め折られる。
しかしそうなる前にアルセウスは一誠を前方に投げつけた。首の装甲は完全に割れ危機一髪。
「イッセー大丈夫!?」
『大丈夫か! 相棒!!』
「ああ、なんとか」
「我の子をよくも……貴様はそこの女にお似合いのゲスだ。
そんな力この世から追放してやる!」
そういうと鏡の中から大きめのランスが出現しアルセウスの手の中に納まった。
そのランスを天高く振り上げ他の破面同様に刀剣解放の号令を発する。
「堕ちろ、『
他の破面同様アルセウスのただでさえ強大な霊圧が急激に膨れ上がり姿も変わった。
顔面はバイクのヘルメットのようなもので完全に覆われ、背中には古代の遺跡にでもありそうな輪を背負い禍々しくも神々しい雰囲気が漂う。
その輪には不自然に17のくぼみがある。
「一体どんな能力が……うぐっ!」
『相棒!!』
一誠のからあふれ出る龍のオーラがアルセウスの背負う輪のくぼみの一つに吸い込まれていく。
赤龍帝のコア、ダイヤモンドのコア、パールのコア、プラチナのコアから別々のオーラが別々のくぼみに吸い込まれる。
「何が起きて……はっ! 禁手が解除されて籠手も ドライグ! ドライグ!」
『俺はまだここにいる!』
ドライグはまだ健在でサンタクロースの石炭の効力もまだ続いている。魔力も減った様子はない。
なのにいくら神器を発動させようとしても籠手すら出てこない。
「どうなってるんだ……!」
「誇銅の学友の手前ただ無知なだけだったと見逃してやろうと思ったが貴様は悪魔以前に下種な存在だったようだな」
「イッセーにこれ以上手は出させないわ!」
リアスは一誠の危機に消滅の力を放つが放った魔力は一誠の鎧同様くぼみに吸い込まれてしまった。
それでも何とか一誠を助けようと無駄でも何発でも打ち込もうとするが最初の一発を最後に消滅の魔力が出ない。
「どうして!?」
「貴様のその力は追放された」
フルフェイスタイプのヘルメットで表情は見えないが雰囲気から怒り一色だったのに少しだけ嬉しそうな声が混じる。
弱者をいたぶるような捕食者の笑い。
「追放だと?」
「我の刀剣解放の能力は追放。
今貴様らのその力を貴様らの中から追放した」
アルセウスがそんな事を行っていると冥界の遠くからたくさんの何かが飛んできた。
「あれはなに!?」
「我が解放した瞬間この冥界で発動していたすべての力だ」
その飛来した力はリアスや一誠の力同様17のくぼみにすべて吸い込まれてしまう。
「我のレスレクシオンに吸い込まれた力は永遠に追放される。もう貴様らは二度とその力の領域に足を踏み込むことはない。
今冥界中から追放した力もしかり」
敵から抗う力すべてを没収したアルセウスはもう怒っていない。もちろん怒りがなくなったわけではなく怒りに支配される必要がなくなっただけ。
哀れに思うくらい相手には抵抗する手段がないのだから。
「とは言っても死にゆくものには意味のない事」
「私たちがおとなしく殺されるとでも」
「滅びの力を、赤龍帝の力を失った貴様らに何ができる」
まったくもってその通り。
もうリアスたちにはまともに戦う手段すらない。できる抵抗と言えば唾を飛ばすくらい。
そんなことやればやる程みじめになるだけ。
「忌々しい力を追放したところでそろそろ……ん」
アルセウスがリアスたちから視線を外してどこかを見る。リアスたちもその視線の先を見るとそこには17色の光がこちらに向かって飛んできている。
「な、なぜあれがまだ……」
アルセウスのヘルメットのガラス越しに見えるわずかに見える目にはとんでもない焦りが見える。
「この害虫共が――――――――――――――――ッ!」
アルセウスは焦った様子でリアスと一誠に向かって駆け出す。
既に一誠たちには逃げる事もできない。
だが、ここでまた一つの奇跡が起きた。
「ぐぐっ! なんだ!?」
「一誠の魔力が抜けていく!?」
一誠の未来を奪い去る呪いが偶然にもアルセウスの攻撃から身を守る盾となった。
呪いはタイムリミットに過去から得た力を一誠の体から抜くだけの作業だけで未来を奪う呪いは呪具発動時に既に奪われてるためアルセウスの能力は発動しない。
「くそっ! くそっ!」
アルセウスは一誠たちを殺すのをあきらめて魔王と倒れてるリアス眷属の方へ方向転換した。
それに気づいた一誠は今自分の力が高まってるんだと勘違いしアルセウスに向かっていく。
「させるか!」
「離せ!」
一誠はアルセウスの足を掴み止めるが一蹴りで引っぺがされてしまい、手首が折れた。
だがその一瞬がアルセウスにとって命とり。
アルセウスが焦る要因となった光、アルセウスが生前体に宿していたプレートがすぐそこまで来ていた。
「く、来るな―――――――ッ!!」
アルセウスは遥か上空に逃げたがプレートは追ってくる。
それでアルセウスは焦り電気タイプのらいげきで押し返そうとするが、自身の能力でらいげきが追放されてしまった。
そして飛んできたプレートはそれぞれ17のくぼみにぴったりと収まる。
「ぐ、ぐォォォォオォォォォォ……ッ!」
神だった頃のアルセウスを形成する17属性のプレート。
破面となり穢れ空虚となってしまったアルセウスには神聖なプレートは毒にしかならない。
17属性を追放する輪はプレートの力にぴったりと収まってしまい、やがては全属性を否定するアルセウスの体に流れ込んでいき。
「ガァァァァァァァァァァッ!!!」
17属性の大爆発を起こした。
空中で爆発したためそれほどの規模がありながら死者はない。
大爆発の際プレートはすべて粉々になってしまったがもう使う事はないだろう。
「さようなら、ドライグ」
アルセウスの大爆発の下、一誠はもう死に体となった赤龍帝の籠手に向かってそうつぶやいた。
◆◇◆◇◆◇
アルセウスが死んで魔王たちも悪夢から目覚めやっと悲劇は終わった。
怪我が酷いリアス眷属は冥界の惨状からすぐにとはいえなくとも応急処置をされた後処置が終え次第かなり優先的に治療してもらえることに。
死者がけが人の数を大きく上回ったからできた特例。
「ところでこれは一体なんだったんだ?
これのおかげでアルセウスを倒す事ができたけど」
一誠はアルセウスが爆発したあたりに散乱してる欠片を拾って眺める。
「これは生前のアルセウスが死んだ後に残されたものだよ。
すごい力が宿っているのはわかっていたんだがそれを抽出する方法がわからず保管していたのだが役にたってよかった」
サーゼクスがその疑問を解消。
冥界では三大勢力が争っていた時以上の数の純血悪魔や転生悪魔が死んだ。
これではまた転生悪魔を増やさなくては種を保てない。
「ここからまた再出発か」
「だけど、この戦いを生き残れた私たちならきっとまた素晴らしい冥界を取り戻せるわ」
この生き残ったのが素直に喜べない程冥界には悲劇の跡が残った。
魔王たちやリアスたちや生き残った純血悪魔はここからでも冥界は立て直せると思っているがそんな事を微塵も思っていない純血悪魔が一人。
「終わりがより悲惨な形で訪れただけか」
まるでこうなって当然とでも言うようにぼそりとつぶやく。
そんな彼女だがこの程度で、こんなものですべてが清算されたとは思えなかった。
確か悲劇は起きたが、このままでは冥界は単なる悲劇の被害者。それで終われるほど冥界が三大勢力がやってきた悪事は少なくない。
「なぜでしょう……」
彼女にはどうしても誇銅家の呪いがこれで終わりじゃないような気がしていた。
アランカル大百科
月「さて、今日のゲストは今日紹介されたばっかりやけどページの都合上今回しかあらへんから来てもらいました。アルセウスさんや」
アルセウス「う、うむ」
月「今日は本番終わりにすぐ呼び出してもうてホンマご苦労様です」
アルセウス「そんなことどうでもよい。それよりさっさと話を進めろ」
月「そんじゃ始めさせてもらいます。
アルセウスさんは盾子ちゃんと同じ万能型の破面や。やっぱりホンマモンの神さんやから苦手はあらへん。
そんな神様の刀剣解放は『
能力は異能の追放。
背中の輪っかにある17のくぼみが17属性を感知して発動中に使われる異能を片っ端から追放、つまり二度と使えなくするんや」
アルセウス「炎・電気・水・草・氷・格闘・毒・じめん・飛行・エスパー・虫・岩・ゴースト・ドラゴン・あく・鋼・フェアリーの17種類だ」
月「へ~。ところでこの格闘とノーマルの違いはどこなん?」
アルセウス「格闘に分類されるのは主に強化魔法などだ。他にも仙術での強化も格闘に入る。
薬によるドーピングは魔法などの異能が使われていれば毒タイプに分類される。魔法が使われていなくともその者が持つ異能に何らかの効果を与えればそれも毒タイプに分類され以降その者がその薬を摂取しても意味がなくなる」
月「後もう一つ質問があるんやけど君たち破面はそのタイプやったらどのタイプに部類されるん?」
アルセウス「破面はタイプでは鋼に部類される。因みに我は鋼単。他の破面はこのようになっている」
ルピ:鋼/草 盾子:鋼/土 月:鋼/エスパー 恋:鋼/格闘 プロシュー:ト鋼/毒 テト:鋼/飛行 フラン:鋼/悪 誇銅:ノーマル/炎
月「成るほどね。それじゃ今回はここまでや。それじゃみんなバイバ~イ」