執事さんに屋敷まで一瞬で送ってもらった僕は綺麗にベットに寝かされた家族の遺体を蘇生を急いだ。
途中ちょっとしたトラブルがあったけど何とか家族全員が再結成することができた。
「誇銅さ~~~ん!!」
「お兄様~~~!!」
月とフランが起きて真っ先に僕にしがみつく。
あまりの勢いに倒されてしまい二人にのしかかられた状態に。
「……誇銅」
そんな状態の僕を、二人がしがみついてる重さを意に反さず軽く持ち上げて僕を抱く。
僕を独占する恋に対して月とフランは僕を取り返そうと僕が痛くない程度に引っ張ったり手を開かせようとするがびくともしない。
恋がなんか強くなりすぎてない? そしてフランの雰囲気がなんか変わってる。
「また誇銅が戻ってきてくれてこんなにうれしい事は他にないよ」
「うん、すっごく希望的。感動の涙出てきちゃう」
「そうだな。それより俺たち殺した事についてなんかいう事あるんじゃねえのか?」
「誠に申し訳ございませんでした!」
向こうでは何か盾姉がプロシュート兄さんとテト姉に向かって土下座してる。
僕のいない間に何があったんだ!?
だけどプロシュート兄さんもテト姉もなんだかうれしそう。顔を上げた盾姉も同じく嬉しそうな顔。
ん? 兄貴って言うの辞めたのかって? うん、新しい出発にちなんでもっと家族らしい言い方に変える事にしたよ。
「誇銅、よく帰ってきてくれた」
「ごめんね、あの時僕が守ってあげなくちゃいけなかったのに」
「アルセウスさん! ルピ君! ただいま!! そしておかえり!!」
僕は二人の間にダイブした。
二人で僕を優しく受け止めて軽くハグしてくれる。
それが終えると僕は次は盾姉、兄さん、テト姉の所へ行く。
「ところでルピ、お前にしては妙にあっさり誇銅を放したな」
「破面の僕は人間の誇銅君といれる時間に圧倒的差があったからあんなに愛急いでたけど、ほぼ同じ時間を共有できるならそこまで焦らなくてもいいかなって」
「ほう、ルピにもそれなりの理由があってあそこまで積極的に甘えてたのだな」
「うん、だから後でたっぷり甘えさせてもらうつもりだけどね」
三人のところへ行くとやっぱりみんな優しくハグしてくれた。
兄さんだけはちょっと拒否気味だったけど最後は照れ臭そうに軽くハグしてくれたよ。
「ところでルピの蘇生よくできたね。確か体全部破面創りに使っちゃったのに」
「うん、残ってたのは斬魄刀の一部だけ。
だからこの人たちにすごく協力してもらった」
「安置所の溝に髪の毛が2本落ちてましたのでそれをお渡ししただけです」
「ねえ、それどういうこと? 僕だけ髪の毛2本ってどういうこと?」
「あーあー聞こえない聞こえない」
「ねえ! ちょっと!」
いつもの幸せな家族に戻ってきたのを感じる。
ああ、やっぱりずっとこの幸せに停滞したい。
「まあまあ落ち着け、俺とテトなんてこいつに殺されたんだからよ。
ちゃんと生き返ったんだしいいじゃねえか」
「ええ! 盾姉が殺した!?」
え、ちょっと、盾姉が家族を殺したって……どういうことと!!
「あの時は絶望がぶり返してたんだって。
だから家族殺しどころか世界中を絶望病をまき散らそうとしてたっていうか」
「盾子様は復讐以外にもいろいろ巻き込みすぎたためしばらくはその贖罪としていろいろやってもらう事になると思います」
「は~い、覚悟してま~す」
そういえば盾姉はここに来る前は世界中に絶望を疫病のように蔓延させた張本人だったよね。
しかも自分が死んでも絶望の進行が止まらないようにあらゆる手を使って。
だから僕の力で抑えていたそれが暴走しだしたのは仕方ないね。
「ところであなたはなぜ私たちに協力してくれるのですか?」
月が執事さんに当然の質問をする。
最初は焦りで、今はここまでしてくれた信頼で無条件に信用してる執事さんとその仲間。
今ここには執事さんだけしかいないけど本当ならもっと向こうの素性をしっかりと聞くべきだよね。
「これは失礼しました。
執事さんは僕の前に出て跪いて自己紹介を始める。
その名前を聞いた時、盾姉だけはすごく意外そうな顔を見せた。
何? 何か有名な名前なの?
「ヨグ=ソトースってあのクトゥルフ神話に出てくる門にして鍵の邪神!?」
「はい、盾子様の想像通りでございます」
クトゥルフ神話?
「それにしてもあの神話の邪神がこんな姿とは。悪魔とかもそうだけど案外普通の姿してるのね。
それも他の勢力に収まってるなんて」
「いえ、これは人間の姿に身を隠してるだけです。
私たちの姿を見ればほとんどは精神を崩壊させ発狂してしまうので。
アトラス様も初めてお会いした時にシュブ=ニグラスの本当の姿を見てしまい髪が金髪から白髪へとなってしまいました」
姿見ただけで発狂ってとんでもなく物騒な種族。
そんな種族が協力してくれた事は頼もしいけどやっぱりなんて僕に無条件で力を貸してくれたんだろう?
「本来我々の姿を見れば真に原初の神でもなければ発狂します。
もちろん教会などで言われてる神や他の神話勢力のトップたちも真の原初の神とは言えません。
白髪で済んだアトラス様のとてつもない精神力に敬意を表しアトラス様のもとでアメリカ勢力創設時から力を貸してきました」
「ふ~ん。だからアメリカ勢力にいたんだ。
ところでなんで私たちにそこまで協力的にしてくれるの?」
「我々が真に忠誠を誓うのはアザトース様のみ。
アザトース様の器たる誇銅様は我々が忠誠を誓うのは当然。
アトラス様に仕えてるのは仕える対象が不在で暇だったからです」
確か僕はプロメテウスの生まれ変わりでプロメテウスはアザトースなんて邪神とはなんの関係もないよね?
同系統の神話? いや、なんか違う気がする。
「誇銅様の神器に封印されてる邪神がアザトース様なのです。
そして、それを扱う資格があるのは世界創造から数えて誇銅様のみ。
我々は創造されアザトース様が神器に封印された時から誇銅様が我々を頼るその日を永遠と待ち続けておりました」
確か僕の神器には神と邪神が封印されてるって昔聞かされた。
まさかその邪神が封印されてるなんて……これが神の筋書き。
「ただいま戻りました~!」
「ただいま~」
そんな話をしてると新しく二人の声が部屋に響く。
高身長で長い銀髪の男性と優しそうな白い修道服のシスター。
二人はヨグ=ソトースさんの方に近づいて話しかける。
「どの辺まで話しました?」
「ちょうど私たちの正体と役割までです」
「じゃあ私たちも自己紹介と行きましょう!」
新しく来た二人は執事さんと同じように僕の前に跪いて自己紹介を始める。
ちょっとやめてほしいな。
「
普段は一流のスタントマンとして活動してます」
「同じくシュブ=ニグラスと申します。
孤児院の園長をしてます」
親切に自己紹介をする二人に僕たちも軽く自己紹介をする。
とりあえず跪くような事はもうしないでと言っておいた。さすがに僕が困る。
「話変わるけどクトゥルフ神話の邪神って本当にいるんだ。あれって神話っていうより本の設定みたいな扱いじゃん」
盾姉がやたら邪神に対して関心を示している。
悪魔や他の神話には全く関心を示さなかったのになぜこうまでも。
するとヨグ=ソトースさんがその質問に答える。
「我々は原初の神、名前は世界中にいろいろいろある。それと我々の創造主であるアザトース様が世界の基盤となるものを半分ずつ創り出した時から存在します。
もっと具体的に言うなら恐竜が生まれるよりもずっと前、海に生物が誕生しだす前から存在しています」
続いてナイアルラトホテップさんが話の続きを語る。
「原初の神は世界の生となるものと沢山の実態を持たぬ天使を創り出し、アザトース様は世界の死となるものと少数の強力な邪神を創り出した。
そうしてこれから生まれる大量の生とバランスをとるために決して生まれない死、つまり強き我々を創り出したのです!」
そしてシュブ=ニグラスさんに話がつながる。
「私たちの正体は誰も見ようともしなかったのですが、運悪い人間が偶然私たちの一端を見つけてしまいそこから真実の欠片を知ってしまいました」
「そうしてできたのがクトゥルフ神話ってわけね」
「はい、世界に生命があふれ出した時から天使たちはその役目を終え、私たちはバランサーとしてひっそりと残りました」
「じゃあなんでアメリカ勢力に所属してんの?」
「それはアトラス社長に直接ヘッドハンティングされたからなのです。
どこで知ったのか私たちの世界に足を踏み入れてスカウトしに来たんです。
だからそのすごさを称えて手伝いくらいしてるってわけです。もちろん給料はたっぷり」
「ああ、暇だから役割に抵触しない程度に暇つぶし&小遣い稼ぎね」
「その通り♪」
盾姉とナイアルラトホテップさんがなんだか気が合ってるみたい。
ちょっと話しただけで波長があったみたいでもうすっかり仲良くなってる。
「ナイアルラトホテップといえば千の無貌を持つって言うけどそこんとこどうなの?」
「もちろんです! 死んだ魚のようなイケメン、オタク系美少女、貴方にだってなんでもござれ!」
「やっる~♪」
盾姉とナイアルラトホテップさんが親友みたいな事をしてると月、フランちゃん、テト姉がちょっと間を開けて僕の方を見る。
「「「それよりなんで誇銅(さん)(お兄様)まで破面になってるの!!?」」」
僕も破面になってることに盛大なツッコミが入る。
兄さんとアルセウスさんと恋はしれっとしてるのに。
まあ普通に考えれば僕が破面になってる事に疑問を感じるよね。
「ヨグ=ソトースさんに今までの事情を聞いてみんなが破面になってるって知ったから僕もなろうかなって思って」
「そんな軽い感じでなっちゃったの!?」
「だって僕だけ人間でみんな破面じゃさびしいじゃないか」
「ところでどうやってお兄様は破面になったのですか?」
「ああ、それならあたしと」
「僕とで」
「誇銅の要望通り破面化したの」
月とフランの質問攻めに僕が答える前に盾姉とルピくんが答えてくれた。
そこから盾姉が追加の説明をする。
「自分の復活で騒ぎを起こしにくい順番であたしが最初に蘇らせてもらったんだけど、そん時に誇銅のお願いでサクッと」
「なんか私たちの時はもっと手間がかかってなかった? そんなあっさりできるもんなの?」
「普通は適正調べたり段階があるけど誇銅は体質柄速攻できた。ほら、キメラのお姉ちゃんは割とさくっと破面化できたじゃん。あれと同じ」
まだまだ納得した様子ではないけど無理やり納得した三人。
まあこれはそのうち慣れるだろう。
それよりも完全復活としてやるべきことが。
「あのすいません、ずうずうしいお願いなのですがもう一つご協力お願いできませんか?」
「「「仰せのままに」」」
邪神の三人は深々と頭を下げて内容も聞かずに了承してくれた。
たぶん僕が何を言っても実現してれそうだよ。
ファウル君が言っていたように本当にこの人たちは僕の最大の協力者なんだね。
「誇銅さん、何をするつもりなんですか?」
「うん、ちょっとこの死に区切りをね。できればみんなにも協力してもらいたいんだけど」
新たな人生、終わった運命との区切りをね。
◆◇◆◇◆◇
アルセウスの襲撃で重傷を負ったリアス・グレモリー眷属はとりあえず一時退院できるくらいに回復し全員で集まって生き残った事の祝杯をあげていた。
「それじゃ、みんなの生存を祝って」
『『カンパ~イ!』』
回復系の神器を使って何とか動ける程度に回復はすぐにしたが、まだまだ日常生活に支障が残る深いダメージは完治できていない。
今もそこを騙し騙しでこの場祝いを行っている。
しかもロスヴァイセは今回の件で眷属を止めてしまっている。
「今回の戦いは今までとは比べ物にならない程だった」
「それでも私たちは生き残れました。そのことを喜びましょう」
「ああ、だがデュランダルは前のようにはもう使えないと言われてしまった。
どれほど使えるか試してはいないが」
失った物、失ったことにまだ気づけない物、そんな取り戻せないものに思いをはせながらいまいち盛り上がりきらない部室。
「私はまだいい。イッセーのそれよりイッセーの方が」
「イッセーの赤龍帝の籠手はもう……」
一気にムードが暗くなってしまう。
だが当の本人は。
「そんなに暗く受け止めないでください。
あのときは俺もドライグも納得してやりました。
それにみんなを護れたんだから悔いはない」
「……そうね、神器がなくなってもイッセーはみんなの大切なイッセーなんだから」
場の空気が持ち直されていく。
嫌な事はいったん忘れて今日は楽しもうという空気になるが。
「リアスさんは本当にそんな風に思ってるのですか」
「!!」
その空気を根本からぶち壊す乱入者が一人、いつの間にか窓の内側に立っていた。
その乱入者は
『『誇銅((誇銅先輩))(誇銅さん)ッ!!』』
今回破面たちが生まれる理由となった張本人、かつてリアス眷属の戦車をつとめ一度の死を持って新たな力と仲間を引き連れ戻り、裏切りという名目で再び殺された日鳥誇銅その人。
「お久しぶりです」
「誇銅! なぜここに」
「いいよね一誠は、そんなに慕われて。欠片でもいいから昔の僕もほしかったな。
いや、せめて仲間として見てほしかったな」
一誠の質問を無視して勝手に独り言をつぶやく誇銅。
リアスたちはそんな誇銅に警戒を示すが赤龍帝の力を失ったザコ、消滅の力のない王、負傷しまともに戦えない眷属のみ。まともな仲間がいない。
「しかもこの気配、まさかお前!」
「だから僕はこうなって戻ってきた」
誇銅は破面の証である穴を見せつけて自分が破面である事を示す。
しかし本来穴がある場所は石灰のような何かで雑に埋められている。しかしそれでも気配と穴らしき跡だけで誇銅が破面になった事は伝わる。
「虚砲」
誇銅は後ろの窓を破壊して大きな穴をつくる。
その穴から外に出ていく。リアスたちはその後をついていくとそこには空中に立つ誇銅とその家族全員。
「そんな……」
「全員生きてる……だと……」
倒したはずの破面が生きている事にも驚きだが驚くべきとこはそこだけではない。
学校の周りの様子も明らかに変だ。
「一体これはなんなんだ誇銅」
「う~んしいて言うなら今までの清算、もしくは過去との決着かな。
だけど僕の中では過去と未来の区切りだよ」
一誠たちから見れば自分たちの知ってる誇銅ではないと思う。
あの臆病とも言えるぐらい優しかった誇銅がこんな事をするなんて。
「何をしに来たんだ」
「この空間はある人たちに頼んで用意してもらった特別な空間。
ここで僕たちとレーティングゲームをしてもらいたい。拒否権なんてないけどね」
「待ってくれ、誇銅たちがどんな思いをしてきたのかアルセウスから聞いた。
だけど俺たちは今戦える状態じゃない」
主にアルセウスから負った莫大な傷がまったく癒えていない状況。
そんな状態で戦う事は出来ないと抗議。
「何甘っちょろい事言ってんだよガキが。
本気の戦いにそんなの関係ねえ。相手が弱ってるならそこを攻めるんだよ」
「だけど安心しな、この空間ではあんたたちの状態は過去へ戻る。
ちょうどフランとの決着がつく前、あんたが
あんたたちの最高潮でしょ?」
言われて初めて気づいた。一誠たちの怪我が治っている。
扱えなくなっていた聖剣は戻り、壊された羽は戻り、失われたはずの神器までも戻ってきている。
「本当にすべてが戻っている!?」
「通常のレーティングゲームとの相違はたった一つ、選手のリタイアがない事だけ」
「つまり、勝負を終わらせるにはどちらかのキングが死ぬしかないのです」
「ここは本物の学校だけど壊れても何もかも直すから安心して」
誇銅はにっこりと笑いかけて言う。
自分たちが負ける可能性などないと言わんばかりに。
「くっ」
実際に全快したところで勝ち目は薄い。
実際この頃からリアスたちの実力は虚以下なのだから。
「ライザーさんとの戦いの再現だよ。リアスさんたちがその部室から出たらゲーム開始。
僕たちはライザーさんたちの出発地点で待ってるから」