最終話で邪神なんて新しいキャラ出すなよとかの意見もあるかもしれませんが、一応予定していた終わりはこんな感じです。
おつきあいありがとうございました。
誇銅からレーティングゲームを挑まれた一誠たち。
しかし、はっきり言って勝算は今までなんかと比べ物にならないくらい0だ。
それでも挑むしかない。
(誇銅……本気なのか)
一誠はまだこんな考えを持っていた。
確かに誇銅の家族たちは本気で自分たちを殺そうとしてきた。
だけど誇銅が戻ってきたのだからその必要はもうない。
優しい誇銅の事なのだから本気で殺しに来る事はないと。
「さあ、そろそろ行くわよ」
『『はい!』』
ギャスパーを除いた全員が力強く返事をする。
ギャスパーだけは未だに乗り気ではない。
(全身全霊を持って誇銅の思いを受け止める。そうすれば絶対にみんなでまた日常に戻れる)
そう思って一歩を踏み出した瞬間。
「虚砲」
ドス黒い光線がゼノヴィアを包み込んだ。
「「「ぐぁぁぁ」」」
その光線の余波で周りの仲間は吹き飛んだ。
特にダメージもなく吹き飛んだだけだったが光線の中心部は。
「……ゼノヴィアさん?」
「ゼノヴィア、どこに行った……?」
ゼノヴィアの姿はない。
ゼノヴィアが持っていたエクス・デュランダルもない。
あたりをきょろきょろと探していると上の方から強大すぎる何かが下りてきた。
「アルセウス! ルピ!」
「ふきとばす」
「ギャスパー!」
アルセウスはすごい風を吹きかけてギャスパーだけをどこかに吹き飛ばしてしまった。
「このッ!!」
「私の役目はこれで終わり。テレポート」
「僕の相手はギャスパーくんだからまだ続きが」
一誠が一矢報おうと無謀にも攻めかかるが逃げられてしまう。
陣地から一歩出ただけで既に仲間を二人失った。それも一人は影も形もなく消滅。
ここでようやく理解した。誇銅たちは本気だと。
「……ゆるせねえ。ゼノヴィアを殺しやがって、絶対にゆるせねえ!」
一誠は怒りをあらわにして怒る。
その怒りであふれ出す魔力に仲間は圧倒されていたが、そんな魔力を全く意に反さない存在がすぐ近くまで迫っていた。
『『!!』』
突如仲間に、木場自身にも木場が縦に真っ二つにされるビジョンが映し出される。
ビジョンだけで実際には斬られていないがリアルなビジョン。
これだけでもう誰が近づいて来てるのか理解したがもう遅い。
「……遅い」
「木場ッ!!」
ビジョン通り木場は恋によって縦に真っ二つに切り裂かれてしまった。
イケメンと言われていた木場もこうも無残に殺されてはその面影はない。
「このッ!!」
一誠は今度こそ一矢報いるため
しかも恋に気を向けている間にさらに二人の破面が。
「そっちばっかり見てていいの~?」
「力なき正義は罪ですよ?」
「イッセーさん!」
「アーシア! くそっ」
盾子と月の二人にアーシアがさらわれてしまった。
二人はアーシアを連れて上空へと上がり。
「愚弄しろ『
「許して『
二人の刀剣解放が発動される。
盾子はアーシアに耳打ちで何かを言いながら、月は主にアーシアが抵抗できないようにしながら上へ登って行く。
「アーシア! 絶対助けるからな」
一誠もそれを追いかけるが上からは傷ついたアーシアによる血の雨。
それでも全速力で駆け上がるが。
ドボッ!
大きな塊のような何かが一誠の顔面に落ちてきて止まってしまう。
それを手に取ってみると血がべっとりとついた生暖かい何か。
一誠がそれを心臓だと認識するには時間がかかった。
それを心臓と認識するか否くらいに上から心臓がすっぽりと無くなったアーシアが落ちてくる。
「アーシア……」
体中深い切り傷だらけになりながら心臓を抜かれ死んだアーシアの亡骸を持って一誠は急いで降りた。
これ以上犠牲を出さないために。
しかし、そんなうまいことはいかない。
「今度はあの二人か」
「気を付けるのよ、あの二人の能力はわからないのだから」
既にリアス・グレモリー眷属は王を覗いて女王、兵士、戦車のみとなってしまった。
そんなリアス眷属をさらに追い打ちするように解放したテトとプロシュートが迫ってくる。
二人はその強みから響転のスピードは遅いので相手の射程内に入ってしまう前に気付く事ができた。
「この距離なら私たちの領分よ」
「そうですわ雷光ッ」
リアスと朱乃は遠距離から攻撃をするがテトもプロシュートも防御を一切せず正面から受けてスピードは一切落ちない。
「効かない!」
「ならこれならどうだッ!」
一誠は自身の最大チャージの遠距離砲撃を放つが。
「「虚砲」」
二人のセロで相殺されてしまう。
視界を自ら塞いでしまったその時、二人は響転で一気に距離を詰めて近接戦闘の射程内に入ってきた。
逃げると言う選択肢もできない事もないが無意味と考え迎え撃つ。
二人は真っすぐにそれぞれの目標に掴みかかる。
「んっ!!」
テトが掴みに行ったのは小猫。
自分の攻撃が効かない事を学んだ小猫は少しでもダメージを軽減するためにガード体制をとる。
「キミのパワーじゃテトには勝てないよ」
小猫は両腕でブロックするがそのブロックごと頭部を大きな手に握りつぶされた。
テトが手を開くとベチャベチャにミンチ状になった赤い肉が。
下半身が無事なとこがさらにグロテスク。
「捕まえたぜ」
プロシュートが狙ったのは朱乃。
巨大な怪物の手に捕まった朱乃はあっという間に老婆の姿に変えられてしまう。
「テト、あれ出してくれ」
「は~い」
テトは自身の能力で収納していた大きな姿見鏡を出す。
そして老婆となった朱乃を朱乃自身に見えるように。
「キャ―――――――!!」
老婆となった自分の姿に絶叫する朱乃。
女性として惨たらしい姿をあえて手間かけてまで見せつける。
「自分の醜い死に姿、よく見ときな」
朱乃はシワシワの老婆の姿にされながら目玉が飛び出しそうになるくらい強く握られ全身の骨と内臓をぐちゃぐちゃにされその姿を鏡で映されながら殺される。
能力発動中に殺されれば老化した体はそのままになってしまう。
後にはなんとも醜い死骸が残された。
「女性としてこんな死に方は同情するけど、君には同情できないな」
二人は他の仲間同様二人を殺し終えるとその場からいなくなってしまう。
残されたリアスと一誠はこの短時間で起こった悲劇に思考が停止してしまった。
目の前で朱乃が惨殺されたのが二人の思考を冷まして恐怖が怒りを凌駕させてしまったのだ。
「なんで……なんでこんな事に」
「だから言ったでしょ? 僕の人生に区切りをつけるためだって」
そして最後の破面、誇銅が一誠たちの方へゆっくりと歩いてくる。
手にはノコギリの形をした自分の一部。
誇銅から感じる霊圧は他の仲間と比べると大したことないがそれでも虚よりは大きい。
十分リアスたちでは勝てないレベル。
「僕の日常の崩壊は悪魔になった時から崩壊した。
だからその出会いを消し去る事で僕たちは幸せを取り戻す」
「なんで……殺す必要があるんだよ」
「一誠たちだって僕たちを殺したじゃないか。
だけどもっと乱暴な言い方をすれば、死んで当然ってやつかな」
「誇銅――――――――――ッ!!」
誇銅の言葉にブチ切れた一誠が自爆しそうな程の魔力量で誇銅に突っ込む。
なのに誇銅は焦らずに至って冷静。
「貴方の相手は私よ。
神槍『スピア・ザ・グングニル』」
向かってくる一誠を上から真っ赤な大きな槍が串刺しに。
槍は心臓をきれいに外して一誠の胸の中心に深く刺さり地面に這いつくばる体制にさせられる。
それでも一誠はしっかりと誇銅を睨みつける。
「誇銅、俺はお前を絶対に許さない!」
「僕だって一誠から受けた痛みを許すつもりはないよ」
「都合のいい時だけお兄様を仲間扱いして普段は便利な道具扱いしてたやつが何を言ってるのかしら?」
フランは一誠の神器と魔力を砕こうと両手を突き出すが誇銅がそれを止める。
「お兄様?」
「フラン……」
「……わかったわお兄様」
そして目で何かを訴えフランはその意味をくみ取り下がる。
誇銅は左手に巨大な炎の塊を創り出しそれを一誠のいる地点に投げつけた。
「旧章、クトゥグア。小規模バージョン」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ」
誇銅の炎で唯一炎としての殺傷能力を持つ邪神の炎。
人を殺す方法で最も苦しむ殺し方と言われる焼死。それを行きながら見知った人物に平然とする。
「イッセー!!」
「かげふみ。邪魔はさせんぞ」
アルセウスが助けに入ろうとしたリアスの影を踏む。するとリアスはその場に釘づけされたかのように動けなくなる。
黙って一誠が焼け死ぬところを見せられた。
「だけどね一誠、僕は一誠がうらやましかった。みんなから愛される一誠が。
一誠の努力が大したことないなんて言わない。だけど、僕だって一誠に負けないくらい努力して体も張った。
僕には一誠に向けられた愛情の欠片ほども向けられなかったけどね」
身を焼かれる一誠。
しかし火力が弱いからかなかなか死ぬ事ができない。
一誠も生を諦めてるわけではないがどうやっても抜け出せない。
「だけど僕は幸せだよ。こんなに思ってくれる家族を持てて、僕の死で狂ってしまう程愛してくれる家族を持てて」
肌を焼かれながらまだ死ぬには程遠い。
だがその苦しみは最上級。煙で肺を焼かれ炎で身を焼かれる。
なのに何の抵抗もできず黙って焼かれ続けるしかない。
「だから僕は世界を敵に回したって家族の方が大事。
その家族を守るため、僕は甘いままじゃダメ。
だから甘さを捨てて一誠、君を焼き殺す」
そしてついに一誠を縛り付けていたフランの強力な槍すらも燃え溶けていく。
「さようなら」
急激に火力を上げて一誠の肉、骨、魂までも一瞬で焼き尽くした。
身をすべて焼かれても魂で最期まで苦痛を味わう。
音のない悲鳴が確かにこの場に響きわたった。
一誠を焼き殺し終えると今度はリアスの方に歩きながらノコギリを構え号令を発する。
「償え『
すると誇銅のノコギリは巨大な鎌へと変化し両腕が真っ黒に変わった。
そしてその鎌でリアスの首を斬る。
「あ、あれ?」
確かに斬られたはずの首がつながってる事にリアスは疑問を感じた。
だが次の瞬間そんな事を考える余裕はなくなった。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
あまりの首の痛みにのた打ち回り、指が首に食い込むこませる程痛みを感じている。
自分で自分の首を引きちぎろうとするリアスをテトが無理やり止めてやめさせる。
その間もリアスの首には信じられない程の痛みが走る。
「僕の
その代わり強烈な痛みを残す。
痛みの呪いは僕が解除するまで永遠に対象を苦しめる」
誇銅はそう説明すると今度は両手両足胴体と合計48カ所に鎌を入れる。
気絶するほどの痛みを負うが痛みで気絶しても痛みで起こされる。
「僕の痛みは特別でショック死なんてさせてくれないから。
それどころか対象を死ににくくしてくれる」
痛みに苦しむリアスをテトが離してリアスが信じられない悲鳴と自傷をするが死ねない。
ただ痛みにのた打ち回るだけ。
「その痛み、死んでも忘れないでね」
「ァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
誇銅がリアスに背を向けるとヨグ=ソトースが樽を持って現れる。
そして樽に手を付けて何かするとリアスの姿が消えた。
「最後まで力を貸していただきありがとうございます」
「いいえ。しかし誇銅様のお力でよほど死ににくくなっているのですね。
血管は繋いでいますが臓器がすべて外に出して四肢がバラバラになってるのにまだ生きている。
ただ声帯は抜いて声も出せず動くことも全くできませんから死んだ方がましでしょう」
「だけど本当に……うわ、マジだわ」
盾子が確認で樽のふたを開けると中にはヨグ=ソトースの言った通りの状態になっていた。
「門にして鍵。私は何でも、どこでも、どのような形でも一瞬で移動させることができます。
その力がお役に立てて光栄です」
「どのくらいの期間生きてると思う?」
「そうですね、およそ30年と言ったところと思われます」
誇銅が最後に頼んだこと。
痛みを感じたまま誇銅を悪魔にし捨てた張本人を痛みの呪いを受けた状態でなるべく惨たらしく閉じ込めてほしい。
ヨグ=ソトースはその願いを最高の形で実現してくれた。
「ありがとうございます。これでやっと僕たちの運命に区切りをつけられました。
他にもこの結界を作ってくださりありがとうございます」
「ええい、このくらいいつでも言ってください」
ヨグ=ソトースはリアスの入った箱を持ってまた消える。
すべてが終わった後、小学生くらいの子供たちが小さなシャベルで地面に穴を掘りだす。
誇銅はそこまで気にしなかったけどやっぱり気になってもう一度見直すとさっき掘り始めたばかりとは思えない程の穴が。まるでショベルカーで数時間は掘っていたようなとてつもなく深い穴。
子供たちはその穴の中に残った一誠たちの死骸を放りこんで埋めた。
「え!」
そのあまりの仕事の速さに驚いているとその子供の一人が誇銅の服を引っ張る。
そのこの方を見ると逆側からまた引っ張られそんな風に徐々に20人は超える子供が誇銅の所に集まってきていた。
「え、ええ?」
「おらおらまだ仕事残ってんだろ。あんな適当なのじゃ認めねえよ。ちゃんと元通りにしろ」
『『え~ブーブー!』』
「終わったら全員に飴をやろう」
『『は~い!』』
まるでヤクザの下っ端のような風貌の男が子供たちに学校の先生が生徒に言うようなきつさで言うと子供たちはブーブー文句を言う。
しかし飴をやると言ったら子供たちは嬉々として作業に戻った。
「困らせてすいやせんでした! あっしは『コズミック』に所属する邪神:古のものです。
普段はマフィアと教師の二束のわらじでやらせてもらってやす!」
男は本当にヤクザのような感じで誇銅に自己紹介した。
誇銅はその感じに終始困り顔で対応。
「あ、はい。
ところであの子供たちは……?」
「へい! 確かに見た目は子供ですが安心してください。
あいつらもショゴスという邪神ですので」
「せんせ~。AくんとBくんとEくんとMくんとCちゃんとPちゃんとHちゃんがいません」
「またか! わかった俺が探しとく。
すいませんがここで失礼しやす」
「う、うん」
古のものとなるの邪神はそう言ってはぐれたショゴスを探しに行った。
とりあえずこの場で誇銅たちがすることは終わった。
「さて、最後は新たな出発か」
◆◇◆◇◆◇
リアスたちが行方不明になって数か月後、三大勢力が自身の罪を認め新たに三国同盟という組織が世界の中心へとなった。
三国同盟は水面下で進めていた政治的な他の勢力との交流で瞬く間に新しい時代の基盤を創りその権力を確実なものへと昇華させた。
その一方で世界は大きく変動を見せる。
今まで強いと信じられていたものの価値観がグッと変化した。
世界の強さのランキングは一気に書き換えられ、不動と言われた上位10位すら大きく変動を見せる。
今まで世界を作ったとされた神話は邪神の存在により根本から覆された。
そして今世界から注目を集めているニュースは。
「ではこれを持ちまして破面を正式にスペイン勢力として認める事をここに宣言します」
破面と言う新しい種族が一勢力として三国同盟の加護のもと国を任される大勢力として任命された事。
実は誇銅はアメリカ勢力発展に大きく貢献した邪神たちのコネを使って三国同盟のトップたちと話す場を設けてもらったのだ。
誇銅が代表として一人で。護衛としてアルセウスもついて行ったがあくまで話し合いをしたのは誇銅一人。
そこで話した結果
「……ふふふ、いいだろう。今の腑抜けた時代でよくそれだけの男の目を持っている。気に入った、お前たちにスペインを任せる」
「え! そんな僕たちみたいな小勢力に国なんて任せても」
「スペインには勢力と呼べる勢力が存在しないのじゃ。他にもそんな国はいっぱいある。例えば三大勢力の傘下に収まって勢力が吸収された国とか。
だから儂らもどこか信用できそうな奴に国を任せたいんじゃ」
「それに君たちの強さはあの騒動で折り紙つき。
世間的な信用に関してはもうどこも大差ないから新人でも大丈夫。
最初はこっちから補佐出すし徐々に慣れればいいさ」
そうして出来上がった出来レースで誇銅たちは一勢力として認められただけでなく国を治める王となった。
そんあ王になった誇銅の最初の仕事は記者の質問攻め。
その中でも注目された内容は。
「ギャスパー・ヴラディを除くリアス・グレモリー眷属が行方不明になったのは破面の仕業と世間では言われていますがそこの所はどう考えていますか?」
「そのことに関しましては我々破面とは何のかかわりもありません。火の無い所に煙は立たぬと申しますが事実無根です」
リアス・グレモリー眷属の行方不明事件。
確かに証拠となるものは何もなかった。
そもそも三大勢力があの事件を起こした原因はリアス・グレモリーに大きな原因があった事は発表前から細々と伝わっていた。
なのでその恨みからどこかで闇討ちをされたのだろうと事件は迷宮入りとなる。
そして唯一無事なギャスパーは今。
◆◇◆◇◆◇
「ギャスパーさん、どうしたんですか?」
「はい、ちょっとこのニュースが」
レイヴェルの家、フェニックス家に現在お世話になっている。
将来自分の眷属になってもらうと言う事でレイヴェルの眷属としての待遇。
テレビで誇銅があの事件に対するコメントを伝えてるシーンを見てギャスパーは暗い表情になる。
「あの時、アルセウスさんから強制的に戦闘から除外されて僕だけ生き残った」
あの時ギャスパーはアルセウスのふきとばすで戦闘から強制的に外され戻った時はすべてが終わっていた。
そして誇銅にこのことを秘密にすると約束するなら命はとらないと言いギャスパーは迷った末その提案を飲んだ。
誇銅への罪滅ぼしのつもりで。
「この秘密が僕を苦しめるんです」
「……仕方ありません。これが私たちにできる罪滅ぼし。
この苦痛が私たちの贖罪。背負わなければいけません」
唯一信用できる悪魔、レイヴェル・フェニックスがギャスパーの苦痛を共感し支えてくれる。
だからギャスパーは壊れずにいられる。
「……そうだね、こんなところで負けちゃ誰もうかばれないよね」
(シャババババ、そうだ、それでこそ完璧を目指す私の分身)
バロールもギャスパーの秘密を共有してくれる良き理解者。
盾子のダメージで傷つき再起不能と思われたが、完璧を完全に捨て自身を下等とさげすんでいた者と同じと認める事で新たに出発を果たした。
「僕にはレイヴェルさんがいる、バロールがいる。それに大好きな先輩の誇銅さんだって生きてる。
前程の苦痛はない」
レイヴェルとバロールの励ましで元気を取り戻したギャスパー。
将来この二人が結ばれるのにそんなに長い時間はかからなかった。
こうして人外世界には厳格な法律が定められより確実な平和が訪れる。
例えば人間の記憶を操作する魔法は使用には許可と使用後の申告が義務付けられた。適性な使用方法でない場合には厳しく罰せられる。
転生悪魔や種族を変更するような道具の使用は禁止。発見された場合最高で処刑すらある。
など人間のような法律ができあがった。
また法律の穴を掻い潜って悪さをするようであれば正当な主張のもと武力行使される事もいとわないある種恐怖政治的な側面を持つ人外ならではの法律も存在する。
こうして三大勢力が収めていた時代よりもずっと秩序のある平和な世界へと生まれ変わる事に。
その平和に貢献した三国同盟のアメリカ、エジプト、日本の他に大きく力を貸した国の名前に中国やギリシャ、そしてスペインつまり破面の名前もあった。
◆◇◆◇◆◇
数十年後
破面が収めるスペインはすっかり破面をスペインのトップと認めていた。
つまり誇銅は立派に王として国にも世界にも認められるほどに成長。
「誇銅さん起きてください」
「ん~」
僕がスペインの王となって十年以上たつ。
王となって僕の日常はいろいろ変わったけど頑なに変えない事もある。
例えば月が起こしてくれるとこ。
今では使用人がいるのに朝食の支度や僕たちの身の回りの世話など可能な限りやりたがる。
月だって主要人物だからやめさせてほしいと部下に言われた事もあるけど月は聞き入れてくれないからね。
「おはよう月」
「ん~おはようお母さん」
「はい、おはよう」
僕の隣で目を覚ます小さな女の子。
この子は結婚して生まれた僕の子供。
破面は事実上出産率が低く子供が生まれにくい種族。
盾姉とプロシュート兄さんも結婚して頑張ったみたいだけど子供はまだできていない。
「もうすぐ御飯ですから二度寝しちゃだめですよ?」
「「は~い」」
「さ、ちゃんと起きて」
「うん、パパ」
こうして僕は二度寝しそうになる娘を起こしながら身支度を整えて長い廊下に出る。
その廊下で数日ぶりにフランに会った。
「おはようお兄様」
「フラン、帰ってきてんだ」
「ええ。ついさっきね」
フランは現在スペインを代表する大企業の女社長。表では影武者をたててるけど。
そのカリスマとコネを生かして瞬く間にトップ企業へと登りつめた。
そのノウハウの出所はやっぱり盾姉。
盾姉はホントなんでもできるのもすごいけど、途中は完全にフランが自分一人の力でやりとおした。
フランは既に朝食を済ませたのか食堂とは逆の自室へと歩いていく。
「おっはよ~」
「おうおはよう」
「おはようございます盾姉、兄さん」
「おはようございます」
次に会ったのは盾姉と兄さんの夫婦。
見た目は破面のせいで全く変わってないけどもう立派な夫婦。
「これからお出かけ?」
「うん、ちょっと今日は朝から急用があってね」
盾姉は世界に多大な被害を与えたという事で今現在も三国同盟に呼び出されれば駆けつけて奉仕活動をしなくてはいけない。
盾姉の知恵と力はあらゆる分野で少なくない貢献をして徐々にその汚名を返上している。
そんな盾姉は学校を建てた。世界の希望を育成するための学園を。
「体を壊さないようにね」
「大丈夫、希望峰学園は今日もバンバン希望を生み出してるよ」
「世界の希望を育成する希望峰学園。盾姉の夢だったもんね」
「うん、可愛い娘のためにも世界を希望に満ちさせなきゃね」
「ま、ほどほどにがんばるわ」
プロシュート兄さんは現在盾姉の学園の教師を務めている。
今では二人仲良く学園を経営してる。
因みに二人の子供と言うのは養子。現在小学5年生で小学校に通っている。
次に会ったのはアルセウスさんとテト姉。
「おはよう」
「おっはよ~」
「おはようございます」
「おはよ~」
「うん、おはよう愛ちゃん」
アルセウスさんは破面になってポケモン状態になれずずっと人型のまま。
だいたいはお父さんだけどたまにお母さんになる。
テト姉は相変わらず綺麗で可愛い。一度結婚前にプロポーズしたけどやっぱり同じ理由で断られちゃった。
今の所テト姉に彼氏とかはいないけどできたらたぶん泣いちゃう。
「おはよ~誇銅君、愛ちゃん」
「……誇銅、愛、おはよう」
「おはようございます。ルピさん、ママ」
そのすぐ後にルピくんと恋に会った。
ん? この子の母親は月じゃないのかって? 僕の娘の愛は恋との間の子供だよ。
赤ちゃんの頃から子育ての苦手な恋に変わって得意な月がよく相手をしていたから月の事をお母さんと呼ぶ。
そういえば最初の言葉はママだったね。月に向かって言ってたけど。
その時は流石に恋もショックだったらしくしばらくひきこもった。その後恋は必死に自分を母親と思ってもらうために一生懸命母親やってたね。
ちなにルピ君と恋は警備の隊長をしてもらっている。
平和になってからあまり仕事はないけどね。
こうして家族全員が揃って朝食とはいかなかったけど全員が同じ屋根の下で再び暮らせるようになった。
子供もできて愛する家族がいて、寿命と言う別れも長い時間やってこない。
今僕はとても幸せだよ。