ここまで支えてくださった全ての人に最大の感謝を…!
まだだ!まだ終わらんよ!(決意)
やっぱり異世界ってクソだな!(挨拶)
はやく1位になって地球に帰りたい!(決意)
えー、どうも。ティエラです。
今まさにボス戦の真っ最中です。
そして、絶賛死にかけております。
いやー、なに?なにこの、なに?
とりあえず一言。こんなん無理ゲーやろ。
敵ボスはガラクタの塊みたいな奇怪な怪物。
その中心にある存在が、朽ちた古代兵器の残骸やら遺跡の壁やら侵入者の武器やらを全身に纏っているのだ。
要するに、寄せ集めのガラクタに過ぎない。けれど、その材質はどれも金属とかの硬質な物質。
いやね、ゲームだったら鋼鉄の敵に剣で攻撃してもダメージあったけどさ。
でもね、現実だと無理ね。こんな小さな双剣とオレの細腕じゃ、ダメージすら与えられないわ。
オレの剣『葬送』『回帰』は、輪廻転生を司る星剣。実は滅茶苦茶すごい剣なのだが、これが効果を発揮するのは輪廻に含まれる「命」のみ。「魂」のない機械とか物質には吃驚するくらい効果がない。
今は雷の魔術を繕わせて振るっているけれど、ダメージは僅かって感じだな。
オレの攻撃魔術の火力じゃ然もありなん。ヒーラーだもの。
もう少し、ルネが戦力になると踏んでたんだがなぁ…。だって、あの娘の正体…。
まぁ、覚醒してない以上、仕方がないともいえる、か。
とはいえ、「アレ」が計算しただけあって勝ち目があるのは間違いないわけで。
考えるに、「アレ」の計算がオレ抜きで行われてたのは疑いようがない。
そもそも、オレという存在を認識すらしていなかっただろう。
これはテラと「アレ」の関係性を考えれば分かることだ。
だからこそ、迷宮内での魔獣との戦闘において、オレの存在がイレギュラーとして計算を狂わせたわけだが。
今戦っている機械仕掛けの怪物は迷宮の防衛システム自体とは無関係。
封印されていた側であって、封印する側じゃないんだから当然とも言える。
オレの存在が戦力的にプラスとなることこそあれ、マイナスに働く理由がない。
故に。ルネとキズナ君の力で打倒できる、ということなんだろう。
少なくとも「アレ」はそう計算したし、「アレ」が「カオス」の事で手を抜くわけもない。
なら、見せてもらおうか!原作主人公の力とやらを!
じゃないと、冗談抜きでオレが死ぬ!
なんであんな異常者を信じて命預けなきゃなんないんだ!ふざけんな!
死んだら末代まで呪ってやるからな!
◇◆◇◆
あの時、ティエラさんに言われて考えた。
自分は本当にこの世界を救いたいのだろうか、と。
自分が元々いた世界の記憶はないけれど。故郷と言えるその場所から遠く離れて、この世界を救うことに命を懸けるのか、と。
答えは出した。そして、その答えに後悔は無い。けれど、不安や疑問が全く無いかと言えば嘘になっただろう。
ティエラさんが僕を庇って傷ついた時、また考えた。
こんなに危険な冒険をしてまで、誰かが傷つくのを承知で。
それでも、世界を救う道を進むのか――
答えは。
――進むに決まっているじゃないか。
答えは決まった。もう疑問も不安もありはしない。
ティエラさんは、あんなに傷ついてまで僕に力を貸してくれている。
回復魔術があるから大丈夫?荒事には慣れている?そう、彼女は確かにそう言った。
でも違う。僕も負傷を治療してもらったから分かる。治療魔術があったって痛いものは痛い。きっと失った血だって戻らないだろう。
それでも、彼女は辛さを隠してでも助けてくれている。
それは、ティエラさんが僕の覚悟を
多分、彼女は僕の選択を完全に認めたわけではなくて。かつての僕を知っている彼女は、僕の身を案じてくれていて。
でも、それでも僕の覚悟を受け止め、力を貸してくれている。
ルネも、そうだ。
自分だって大きな不安を抱えているくせに、僕の言葉を信じて一緒に歩いてくれている。
右も左も分からない状態で目覚めて。自分の記憶すら無くて。だというのに、何故か「ワールドイーター」のこと、「カオス」の事だけは不思議な確信と共に頭の中にあって。
そんな意味不明な僕を、彼女は信じてくれた。
僕の何気ない行動から、僕という人間を信じてくれた。
ルネが、ティエラさんが。僕を信じてくれた。
ティエラさんは、僕の過去と覚悟を。
ルネは、僕の今と理想を。
そんな2人に。
ルネやティエラさんが生きる世界に危機が迫っているのなら。
それは十分すぎる、戦う理由になる。
ガラクタの塊のような不気味な敵が暴れている。
ティエラさんとルネがそれぞれの得物で攻撃を繰り返している。
あの巨体に踏みつぶされたら、それだけで致命傷。
故に、2人は攻撃しては離れるヒット&アウェイを繰り返す。
自分は詳しくないけれど、どちらのそれも相当な技量で。
けれど、鋼鉄の怪物には効いているようには見えない。
考えろ。考えろ。考えろ!
今の僕に出来るのはそれだ。それだけだ!
この状況を打開する術を何か!
あの怪物を構成しているのは、良く分からない部品と、遺跡の壁。そして、ここに侵入したであろう人たちの武器や防具。
あれは絶対に、
なら、考えられるのは。
バラバラのそれを集めた
「
であれば、あのバラバラのガラクタは鎧。
鎧で護るのは、
そして、彼女たちの双剣と鎌が効かずとも。僕には魔術がある。
これをコアに直接ぶつけられたのなら?
きっと、勝機はある。
手に魔術の力を込めながらも思考を止めない。
手が1つ足りない。
コアを露出させる方策がない。
どうする。考えろ!考えろ!何か。何か――
すると。
「私は、助けたい。キズナの力に、なりたい」
「…ルネ?」
怪物を攻撃後、僕の傍まで離脱してきたルネが呟く。
振り返って僕の眼を見つめながら。
戦闘中で、明らかにそんな場合ではないけれど。その漆黒の眼を綺麗だと思った。
「これは、私の気持ち。なんにも無い私の、初めての心。だから――!」
そして、彼女は鎌を構え、吶喊していく。
防御を捨てた突撃。
無謀だ!
「ルネっ!」
駆ける彼女の頭上。押しつぶすようにガラクタの腕が迫る。
そして――。
「■■、発動。『其の離別は――
彼女の身体が漆黒に包まれる。
黒い奔流が彼女から溢れ出し、そして――。
――運命に導かれ』っ!」
放たれた黒き光の濁流が敵を飲み込む!
堅牢な装甲の一部が溶けるように消えてゆく。
覗く、水晶のような透き通った蒼の塊。
コアが現れた。
「キズナ、いま!」
「わかった!いけぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」
ルネの言葉に、溜めていた魔術を解き放つ。
紅き炎が真っ直ぐに飛び、そして――!
◆◇◆◇
うわぁ、ホントに勝っちゃったよ。
なんか、キズナ君とルネちゃんが目と目を合わせて、何事か言葉を交わし。
謎のイチャイチャシーンを展開し始めた時は戦闘中に何やってんだ!って軽く殺意が湧いたけれども。
勝ったのだから不問にしてやろう。よくやったな、2人とも!オレは信じてたぜ!
今はとりあえず、遺跡のシステムっぽいものを止めている。
脅威の防衛システムの割には、ボタン1つで止められた。
まぁ、でも考えてみれば当然か。
超兵器が朽ちて使い物にならなくなる程の永い期間、この封印システムも稼働し続けるわけで。複雑すぎると時間の中で壊れてしまう可能性も高い。
そもそも、あのシステムであれば、ここまで侵入されることは無いという自信もあるだろう。世界融合さえ無ければ、深い地下の底にでも遺跡はあったはずだしね。
システムの暴走とか、いざという時に直ぐに止められるようにしておくのは理に適っている。
「これで大丈夫なんだよね」
「えぇ、遺跡のシステムは完全に停止しました。少し見てきましたが、黒い魔獣は発生していません。あとは来た道を戻り、本来の入口を見張っている兵士にでも話をしましょう」
「怒られ、そう」
「まぁ、怒られるでしょうが…しかし、それを上回る戦果があります。絶対に無視することは出来ないでしょう」
「じゃあ帰ろう!」
「はやく、かれーらいす、食べたい」
いいや、違う。
『――言語解析、完了。疑問提示。当機の疑問に対する回答を要請する』
【こぼれ話】
感想欄にてティエラの誕生日について触れてくださっている方がいたので、公開しておきます。
ティエラ(星地くん)は4月22日(地球の日)が誕生日です。
実は、2章1話「原作開始」を誕生日に合わせてたりします(小さなこだわり)。
今後とも当作品をお楽しみいただければ幸いです。